JPH06192029A - 前処理材 - Google Patents

前処理材

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JPH06192029A
JPH06192029A JP4344520A JP34452092A JPH06192029A JP H06192029 A JPH06192029 A JP H06192029A JP 4344520 A JP4344520 A JP 4344520A JP 34452092 A JP34452092 A JP 34452092A JP H06192029 A JPH06192029 A JP H06192029A
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JP
Japan
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acid
pts
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meth
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JP4344520A
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English (en)
Inventor
Toshio Kawaguchi
俊夫 川口
Makoto Oguri
真 小栗
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Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (A)ビニルホスホン酸、(B)ビニルホス
ホン酸金属塩、(C)疎水性基を有する有機カルボン
酸、(D)水、及び(E)アルコールを含有してなるこ
とを特徴とする前処理材。 【効果】 本発明の前処理材は象牙質とエナメル質のど
ちらにも接着性を著しく向上させることが可能である。
しかも、象牙質とエナメル質を別々に前処理する必要は
なく同時に処理でき操作が簡素化される。本発明の前処
理材は歯の接着の他に骨の様な人体硬組織についても有
効である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は人体硬組織の接着に好適
に使用できる新規な前処理材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】接着材は近年、自動車、電子産業、ある
いは建築、医療などの様々な分野に広く用いられ、それ
ぞれ特有の性状が要求されている。なかでも医療用とし
て歯牙の修復に用いられる歯科用接着材は、口腔内での
特殊な環境に耐える強固な接着性と耐久性が要求され
る。
【0003】歯牙は主にエナメル質と象牙質とで構成さ
れているが、その大部分が無機質から成るエナメル質に
対しては、被着面を予めリン酸などの強酸で処理しか
上、アクリル系のモノマー液から成る接着材を塗布する
方法が一般に採用され、臨床的にも十分な効果が認めら
れている。しかしながら、有機質を多く含み、無数の細
管を通じて歯髄と絡がっている象牙質をリン酸などで処
理した場合には、カルシウム成分が必要以上に溶出して
しまうために、むしろ接着力が低下したり、歯髄の損傷
を招く危険があった。
【0004】そこでこの様な象牙質に対し、リン酸など
の強酸に代わってクエン酸、EDTAなどの比較的マイ
ルドな酸による前処理に関する研究が行われ、ある程度
の効果は得られたが、この処理材をエナメル質に用いた
場合には充分な接着が得られず、象牙質とエナメル質は
別の前処理を行う必要があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述のように象牙質と
エナメル質を別々に前処理する操作は煩雑であるだけで
なく、エナメル質の処理中にリン酸が象牙質部分に流れ
込んでしまうことで歯髄損傷の危険性がある。
【0006】本発明の目的は、象牙質とエナメル質を同
時に処理した場合でも充分な接着力を有し、象牙質を必
要以上にエッチングしない前処理材を見い出すことであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決するため研究を重ねた結果、ビニルホスホン酸
およびその金属塩と疎水性基を有する有機カルボン酸を
組み合わせることによって象牙質だけでなくエナメル質
に対しても十分な接着力が得られることを見い出し本発
明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明は、(A)ビニルホスホン
酸、(B)ビニルホスホン酸金属塩、(C)疎水性基を
有する有機カルボン酸、(D)水、及び(E)アルコー
ルを含有してなることを特徴とする前処理材である。
【0009】本発明に用いられるビニルホスホン酸およ
びその金属塩は、下記の構造を有する有機リン化合物と
その金属との塩である。
【0010】
【化1】
【0011】ビニルホスホン酸金属塩としては、水に溶
解性を有する塩であれば特に制限なく使用される。一般
に好適に使用される塩を具体的に例示すると、上記ビニ
ルホスホン酸とナトリウム、カリウムなどのアルカリ金
属との塩、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなど
のアルカリ土類金属との塩、鉄、コバルトなどの遷移金
属との塩などが挙げられるが、特に好ましいのはビニル
ホスホン酸ナトリウム、ビニルホスホン酸カリウムなど
のビニルホスホン酸アルカリ金属塩である。
【0012】かかるビニルホスホン酸とその金属塩は、
両者が共存する場合にのみ本発明の効果が発揮され、い
づれか一方のみでは効果がない。
【0013】該ビニルホスホン酸とその金属塩の合計に
対する金属塩の割合は、10〜90重量%、特に30〜
80重量%が好ましい。
【0014】又、該ビニルホスホン酸およびその金属塩
の量は水とアルコールからなる溶媒の合計100重量部
に対し、1〜30重量部が好適に使用される。該濃度よ
りも低い場合には、特にエナメル質に対するエッチング
効果が少いため充分な接着力が得られず、該濃度よりも
高い場合には象牙質に対するエッチングが強すぎて接着
力が低下する傾向が見られるため適当でない。
【0015】ビニルホスホン酸金属塩の添加方法として
は、(1)予めビニルホスホン酸と後述のアルカリ性化
合物とを中和させ、単離して得られたビニルホスホン酸
金属塩を本発明の前処理材成分として加えるか、又は
(2)ビニルホスホン酸を前処理材成分として水とアル
コールの混合溶媒に予め溶かしておき、次いでアルカリ
性化合物を添加してビニルホスホン酸の一部を中和して
ビニルホスホン酸金属塩を生成させる方法、更には
(3)本発明の疎水性基を有する有機カルボン酸の金属
塩を予め前処理材中に加えておき、ビニルホスホン酸を
添加することで塩交換を生じさせてビニルホスホン酸金
属塩を生成する方法などいずれの方法も好適に用いられ
る。
【0016】上記アルカリ性化合物としては、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化
第1鉄などの金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリ
ウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリ
ウムなどの金属炭酸塩;酢酸ナトリウム、安息鉱酸カリ
ウム、乳酸カルシウム、シュウ酸第二鉄、シュウ酸コバ
ルトなどの金属カルボン酸塩が具体的に挙げられる。
【0017】前記(2)のアルカリ性化合物とビニルホ
スホン酸を用いて一部ビニルホスホン酸金属塩を生成さ
せ本発明の前処理材に含有させる場合、両者が反応して
前述の通りにビニルホスホン酸とその金属塩の合計に対
する金属塩の割合が10〜90重量%、特に好ましくは
30〜80重量%となるように、予め化学量論的に計算
して各々添加すればよい。この中和反応はほぼ完全に進
行する。
【0018】本発明に用いられる疎水性基を有する有機
カルボン酸(以下、疎水性カルボン酸という)は、分子
内に炭素数3以上のアルキル基又はアルケニル基を有す
るか、アリール基を有するカルボン酸であれば何ら制限
無く用いられる。
【0019】一般に好適に使用される疎水性カルボン酸
を具体的に例示すると、
【0020】
【化2】
【0021】等のアルキル基又は置換アルキル基型カル
ボン酸;
【0022】
【化3】
【0023】等のアルケニル基型カルボン酸;
【0024】
【化4】
【0025】等のアリール基又は置換アリール基型カル
ボン酸が挙げられる その中でも特に好ましいのは、以下の一般式で示される
疎水性カルボン酸である。
【0026】
【化5】
【0027】(式中、R1 は水素原子又は低級アルキル
基であり、nは3〜20の整数を示す)
【0028】
【化6】
【0029】(式中、R2 は水素原子又は低級アルキル
基であり、R3 は炭素数2〜20の有機残基を示す) (イ)の具体的な化合物としては、
【0030】
【化7】
【0031】(ロ)の具体的な化合物としては、
【0032】
【化8】
【0033】等が挙げられる。
【0034】上記疎水性カルボン酸の量は水とアルコー
ルの合計100重量部に対し、1〜20重量部が好適に
使用される。該濃度よりも低い場合には、象牙質に対す
る接着力が充分でなくなり、該濃度よりも高い場合には
エナメル質に対する接着力が低下する傾向が見られるた
め適当でない。
【0035】疎水性カルボン酸の添加方法としては、単
に該疎水性カルボン酸を加える方法だけでなく、予め疎
水性カルボン酸の金属塩として前処理材に加えておき、
ビニルホスホン酸を加えることで塩交換反応を起こさせ
て、該疎水性カルボン酸を生成、含有させる方法も好適
に用いられる。従って、本発明の前処理材には該疎水性
カルボン酸の塩も一部含まれていても良い。
【0036】本発明に用いられる水は、一般に入手可能
なものであれば特に制限無く使用される。
【0037】本発明に用いられるアルコールは、水と相
溶性を有するものであれば特に制限無く使用される。一
般に好適に使用されるアルコールを具体的に例示すると
メタノール、エタノール、i−プロパノール等の低級ア
ルコールが挙げられるが、口腔内で使用する事を考慮に
入れるとエタノールが好ましい。
【0038】該アルコールの量は、水100重量部に対
して、50〜300重量部が好適に用いられる。該濃度
よりも低い場合には疎水性カルボン酸の溶解性が不充分
になり、濃度が高い場合にはビニルホスホン酸およびそ
の金属塩の溶解性が低くなるため不都合となる。
【0039】尚、本願発明において前処理材とは、接着
材を用いて接着する前に被着体面を処理する下塗り剤を
示している。
【0040】前処理方法としては、一般にはスポンジま
たは小筆で被着面が完全に濡れる程度に塗布する方法が
採用される。前処理後は、エアーを吹きつけて乾燥した
後次の接着工程へ移る場合と、前処理後、一旦水洗・乾
燥を行って余剰の前処理材を洗い流した後に接着工程へ
移る場合が考えられるが、後者の方法が接着力向上のた
め好ましい。
【0041】本願発明の前処理材を用いて被着面を処理
した後通常は、接着材を用いて接着を行うことになる。
接着材組成物としては、一般に入手可能なものであれば
制限なく用いられるが以下に示すものが好適に用いられ
る。
【0042】(i)特定の酸性基を有するビニルモノマ
ー、(ii)(メタ)アクリレート化合物、及び(iii)ラ
ジカル重合触媒から成る接着材組成物である。
【0043】特定の酸性基を有するビニル化合物として
は、一般式
【0044】
【化9】
【0045】〔式中、R1 はアルキル基又は水素原子、
2 は炭素数2〜20の有機残基、Xはカルボキシル基
(l=2の場合、Xは酸無水基の形で存在してもよい)
又は−OPO(OH)R3 基(R3 は水酸基、アルコキ
シル基又はアリーロキシル基)、lは1又は2の整数、
mは0又は1の整数、nは1〜3の整数〕で表わされる
ものが好適に用いられる。
【0046】上記一般式中、R1 で示される基は水素原
子又はアルキル基であり、アルキル基としては具体的に
メチル基、エチル基が挙げられる。
【0047】又、R2 は主鎖が酸素で中断されることも
ある炭素数2〜20の2価の有機酸基である。炭素数1
以下の場合は、湿潤下での接着耐久性が低い。炭素数2
1以上の場合は、材料の入手が困難であり、しかも硬化
体の強度が得られないため接着力が低い。該有機残基
は、上記炭素数を満足する限り脂肪族系あるいは芳香族
系有機残基のいづれでもよく、さらにハロゲン、アミノ
基、水酸基等の置換基によって一部が置換されていても
よい。
【0048】一般式中、Xはカルボキシル基又は−OP
O(OH)R3 基であり、上記有機残基に1又は2個結
合している。ここでR3 で示される基は水酸基;メトキ
シ基、エトキシ基、ブトキシ基等のアルコキシル基;フ
ェノキシ基、ベンジルオキシ基等のアリーロキシル基の
いづれかである。
【0049】該ビニルモノマーとしては、上記構造を有
するものであれば何ら制限なく用いられる。一般に好適
に使用される酸性基を有するビニルモノマーを具体的に
例示すると
【0050】
【化10】
【0051】等の分子内に1つのカルボキシル基を有す
るビニルモノマー;
【0052】
【化11】
【0053】等の分子内に2つのカルボキシル基を有す
るビニルモノマー;
【0054】
【化12】
【0055】などの分子内に1つのリン酸基をユウスル
ビニルモノマー;
【0056】
【化13】
【0057】などの分子内に2つのリン酸基を有するビ
ニルモノマー;などが挙げられる。
【0058】優れた接着性を発現させるためには、前記
一般式で表わされる酸性基を有するビニルモノマーのR
2 が炭素数4〜20のアルキレン基が好ましく、更には
Xがカルボキシル基であることが好ましい。
【0059】これら好ましいビニルモノマーを具体的に
例示すると、7−メタクリロキシ−1,1−ヘプタンジ
カルボン酸、11−メタクリロキシ−1,1−ウンデカ
ンジカルボン酸、13−メタクリロキシ−1,1−トリ
デカンジカルボン酸等の分子内にカルボキシル基を2個
有するジカルボン酸類が挙げられる。
【0060】かかる酸性基を有するビニルモノマーは、
通常接着性組成物中の全ビニルモノマー100重量部当
り1〜50重量部含有させる。
【0061】接着材組成物の成分の一つは(メタ)アク
リレート化合物である。該(メタ)アクリレート化合物
としては、ラジカル重合触媒によって重合する公知のも
のが特に限定されることなく使用できる。一般に好適に
使用される該(メタ)アクリレート化合物を具体的に例
示するとメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)
アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イ
ソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)
アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−
ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル
(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレー
ト、ステアリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレー
ト、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレー
ト等の単官能ビニルモノマー;エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、
1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ビ
スフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2′−ビ
ス〔(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニ
ル〕プロパン、2,2′−ビス〔4−(3−メタクリロ
イルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕プ
ロパン、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、
テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等
の多官能ビニルモノマーが用いられる。
【0062】接着材組成物の成分の他の一つはラジカル
重合触媒である。ラジカル重合触媒としては既知の光重
合開始剤や化学重合開始剤が用いられる。高い接着力を
発現させる為には光重合開始剤が好ましく、ジアセチ
ル、アセチルベンゾイル、ベンジル、2,3−ペンタジ
オン、2,3−オクタジオン、4,4′−ジメトキシベ
ンジル、α−ナフチルβナフチル、4,4′−オキシベ
ンジル、カンファーキノン、9,10−フェナンスレン
キノン、アセナフテンキノン等のα−ジケトン;ベンゾ
インメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベン
ゾインプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテ
ル;2,4−ジエトキシチオキサンソン、2−クロロチ
オキサントン、メチルチオキサンソン等のチオキサンソ
ン誘導体;ベンゾフェノン、P,P′−ジメチルアミノ
ベンゾフェノン、P,P′−メトキシベンゾフェノン等
のベンゾフェノン誘導体が好適に使用される。
【0063】化学重合開始剤としては、過酸化物、アゾ
化合物等が好適に用いられる。過酸化物としては公知の
ものが何ら制限なく使用される。具体的にはジベンゾイ
ルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオ
キサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジオクタノイ
ルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド等のジア
シルパーオキサイド;クメンハイドロパーオキサイド、
t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオ
キサイド;及びシクロヘキサノンパーオキサイド、メチ
ルエチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイ
ド等が挙げられる。またアゾ化合物としては2,2′−
アゾビスイソブチロニトリル、4,4′−アゾビス(4
−シアノ吉草酸)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメ
チルバレロニトリル)等が採用される。
【0064】上記光重合開始剤と化学重合開始剤はそれ
ぞれ単独で用いられるだけでなく、必要に応じて両者を
組合わせて用いることもできる。
【0065】これらのラジカル重合触媒は接着性組成物
中の全ビニルモノマー100重量部に対して、0.05
〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部添加するこ
とが望ましい。
【0066】また、上記のラジカル重合触媒と同時に他
の添加剤を必要に応じて添加してもよい。例えば硬化促
進剤を添加することができる。
【0067】かかる硬化促進剤としては、N,N−ジメ
チル−P−トルイジン、N,N′−ジメチルベンジルア
ミン、N−メチルジブチルアミン、ジメチルアミノエチ
ルメタクリレート、N,N−ジメチル−m−アニシジ
ン、P−ジメチルアミノ安息香酸エチル等のアミン化合
物;アリルチオ尿素、o−トリルチオ尿素などのチオ尿
素化合物;ジメチルホスファイト、ジオクチルホスファ
イト等のホスファイト化合物;ナフテン酸コバルトなど
のコバルト系化合物;バルビツール酸、5−エチルバル
ビツール酸、2−チオバルビツール酸等のバルビツール
酸誘導体;p−トルエンスルフィン酸ナトリウム、ベン
ゼンスルフィン酸ナトリウム等のスルフィン酸塩などが
挙げられる。
【0068】該硬化促進剤の添加量は接着材組成物中の
全ビニルモノマー100重量部に対して0.05〜5重
量部、好ましくは0.1〜3重量部が望ましい。
【0069】上記接着材組成物は、必要に応じてハイド
ロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ブチル
ヒドロキシトルエン等の重合禁止剤を少量添加するのが
好ましい。
【0070】また、接着の対象物によってはフィラーを
添加するのが好ましい。フィラーを添加することによっ
て機械的強度、耐水性が向上し、更に流動性、塗布性を
コントロールすることができる。フィラーとしては例え
ば、石英、無定形シリカ、シリカジルコニア、クレー、
酸化アルミニウム、タルク、雲母、カオリン、ガラス、
硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、チッ化
ケイ素、チッ化アルミニウム、チッ化チタン、炭化ケイ
素、炭化ホウ素、炭酸カルシウム、ヒドロキシアパタイ
ト、リン酸カルシウム等の無機物;ポリメチルメタクリ
レート、ポリエチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、
ポリスチレン、ポリエステル、ナイロン等の高分子又は
オリゴマー等の有機物;及び有機−無機の複合フィラー
等が挙げられる。上記無機フィラーは通常、γ−メタク
リロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルト
リエトキシシラン等のシランカップリング剤で処理した
ものを使用するのが好ましい。
【0071】上記フィラーの添加量は必要に応じて適宜
選択でき、例えば接着性組成物中の全ビニルモノマー1
00重量部に対して1〜300重量部の割合となる範囲
から選べばよい。
【0072】接着性組成物は、保存中における硬化を防
止するため、必要に応じて安定な2包に分けて包装する
こともできる。例えば、酸性基を有するビニルモノマー
とラジカル重合触媒およびラジカル重合可能なビニルモ
ノマーの一部から成る包装(A)と硬化促進剤およびラ
ジカル重合可能なビニルモノマーの一部から成る包装
(B)との組み合わせなどが一般的である。
【0073】次に接着方法について具体的に説明する
が、これら具体的に限定されるものではない。被着体の
一方が固体で他方が例えば光硬化型コンポジットレジン
のようなペースト状物の場合は、固体側に物を塗布した
のちに、好ましくは接着力を上げるために接着性組成物
に可視光を10〜60秒照射する。次いでペースト状物
を盛り、さらに圧接したのち、光照射して重合硬化さ
せ、両被着体を接着する。被着体がいづれも固体である
場合は、一方にプライマ及び光重合開始剤を含有する接
着性組成物を塗布し、他方には接着性組成物を塗布した
のち両体を圧接し、次いで接着境界あるいは固体表面の
上から光照射を行い硬化接着させる。
【0074】
【発明の効果】本発明の前処理材は象牙質とエナメル質
のどちらにも接着性を著しく向上させることが可能であ
る。しかも、象牙質とエナメル質を別々に前処理する必
要はなく同時に処理でき操作が簡素化される。本発明の
前処理材は上記の如き歯の接着の他に骨の様な人体硬組
織についても有効である。
【0075】
【実施例】以下、本発明を更に具体的に説明するため実
施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。
【0076】化合物の略号
【0077】
【化14】
【0078】実施例1〜10、比較例1〜2 ビニルホスホン酸5g、イオン交換水50g、エタノー
ル50gを混合した溶液に対し、水酸化ナトリウム1.
2gを添加し30分間撹拌する。得られた溶液に対し表
1に示した疎水性カルボン酸を添加して前処理材を得
た。溶液のpHはpH試験紙を用いて確認した。次に上
記前処理材で象牙質およびエナメル質を処理した後以下
の接着材組成物を用いて接着強度の測定を行った。
【0079】〔測定方法〕屠殺後24時間以内の牛前歯
を抜去し、注水下、#800のエメリーペーパーで唇面
に水平になるように象牙質又はエナメル質を削り出し
た。次にその面に圧縮空気を約10秒間吹きつけて乾燥
した後、この象牙質の面に直径4mmφの穴のあいたパ
ラフィンワックスを両面テープにより固定して、該面を
底面とする模擬窩洞を形成した。
【0080】その面に、表1に示した組成の前処理材を
塗布して30秒間放置した後に水洗を10秒間行い次に
圧縮空気を吹きつけて乾燥した。引き続き下記の組成の
接着材組成物を塗布し、次いで市販の可視光照射器「ホ
ワイトライト」(タカラベルモント社製)を用いて10
秒間光照射した。さらにその上に市販光硬化型コンポジ
ットレジン「パルフィークエステライト」(徳山曹達
(株)製)を填入、圧接した後、再度30秒間光照射し
て硬化させた。
【0081】コンポジットレジンが硬化後、パラフィン
ワックスを取り除き、37℃の水中に24時間放置し
た。前記牛前歯とコンポジットレジン硬化体にそれぞれ
金属製のアタッチメントを取り付け、引張り試験機(ク
ロスヘッドスピード:10mm/min)で象牙質と接
着材組成物との接着強度の測定を行なった。
【0082】接着材組成物の組成は以下の通りである。
【0083】 化合物B 20重量部 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 30重量部 ビスフェノールAジグリシジルメタクリレート 30重量部 トリエチレングリコールジメタクリレート 20重量部 カンファーキノン 0.4重量部 p−ジメチルアミノ安息香酸エチル 0.6重量部 ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.05重量部
【0084】
【表1】
【0085】実施例11〜18、比較例3〜8 ビニルホスホン酸と当量の金属水酸化物を反応させ表2
に示すビニルホスホン酸金属塩を単離した。次に、ビニ
ルホスホン酸およびビニルホスホン酸金属塩を、イオン
交換水50重量部、アルコール50重量部の混合液に表
2に示す組成で溶解させ、最後に化合物Bを5重量部溶
解させて前処理材を調製した。溶液のpHはいずれも
2.5〜3.5の間であった。接着試験方法および接着
材組成物は実施例1〜10と同様な方法で行い結果は表
2に示した。
【0086】尚、比較例として前処理材のpHが2.5
以下(pH=1.4)の場合(比較例3)、アルコール
の代わりに他の有機溶媒を用いた場合(比較例4)、ビ
ニルホスホン酸又はビニルホスホン酸金属塩の一方を除
いた場合(比較例5,6)およびビニルホスホン酸の代
わりに他のホスホン酸とその金属塩を用いた場合(比較
例7,8)の接着力を測定し、結果を表2に示した。
【0087】
【表2】
【0088】実施例19〜26 実施例4の前処理材を用い、接着材組成物として下記に
示した組成(具体的酸性基を有するビニルモノマーは表
3に記載)を使用した以外は実施例1〜10と同様にし
て接着力を測定した。
【0089】 酸性基を有するビニルモノマー x重量部 ビスフェノールAジグリシジルメタクリレート 40重量部 トリエチレングリコールジメタクリレート 60−x重量部 カンフェーキノン 0.4重量部 p−ジメチルアミノ安息香酸エチル 0.6重量部 ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.05重量部 上記方法で得られた接着力を表3に示す。
【0090】
【表3】
【0091】実施例27〜29 前処理材としては実施例4に示したものを使い、接着材
組成物としては、実施例1〜10で用いた組成物中の2
−ヒドロキシエチルメタクリレート、ビスフェノールA
ジグリシジルメタクリレートおよびトリエチレングリコ
ールジメタクリレートに替えて表4に示した(メタ)ア
クリレート化合物を用いた以外は同様にして接着強度を
測定した。結果をあわせて表4に示す。
【0092】
【表4】
【0093】実施例30〜33 前処理材としては実施例4に示したものを使い、接着材
組成物としては、実施例1〜10で用いた組成物中のカ
ンファーキノンとp−ジメチルアミノ安息香酸エチルに
替えて表5に示した光重合開始剤および硬化促進剤を用
いた以外は同様にして接着力を測定した。結果もあわせ
て表5に示す。
【0094】
【表5】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ビニルホスホン酸、(B)ビニル
    ホスホン酸金属塩、(C)疎水性基を有する有機カルボ
    ン酸、(D)水、及び(E)アルコールを含有してなる
    ことを特徴とする前処理材。
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