JPH07260715A - 合金めっき相の厚さ測定方法及び装置 - Google Patents

合金めっき相の厚さ測定方法及び装置

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JPH07260715A
JPH07260715A JP4701594A JP4701594A JPH07260715A JP H07260715 A JPH07260715 A JP H07260715A JP 4701594 A JP4701594 A JP 4701594A JP 4701594 A JP4701594 A JP 4701594A JP H07260715 A JPH07260715 A JP H07260715A
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thickness
ray
alloy plating
rays
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JP4701594A
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Yoshinori Fukuda
義徳 福田
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JFE Engineering Corp
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の合金めっき相の
厚さ、特に3つのめっき相の最下層であるΓ相の厚さが
精度良く測定できる合金めっき相の厚さ測定方法及び装
置。 【構成】 合金めっき鋼板3の表面に、Cr管球1より
第1のX線を、Mo管球2より第2のX線をそれぞれ入
射し、前記第1のX線に基づき出射される第1のFe及
びZn両蛍光X線の強度を半導体検出器5により、また
共に出射される3つの各相の回折X線の強度をPSPC
検出器4によりそれぞれ測定し、また前記第2のX線に
基づき射出される第2のFe及びZn両蛍光X線の強度
を半導体検出器6により測定し、前記測定した第1及び
第2の両蛍光X線の強度情報から得られる合金めっき相
内のFe含有率と合金めっき相全体の厚さTとの関係を
示す2つの解曲線の交点より前記厚さTを求め、次に前
記Tと前記測定したΓ相の回折X線の強度情報とを用い
てΓ相の厚さtΓを求める演算式に基づき前記tΓを算
出する厚さ測定方法及び装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、合金化溶融亜鉛めっき
鋼板の合金めっき相の厚さ測定方法及び装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、鋼板を溶
融亜鉛めっきした後、直ちに加熱炉に導き、亜鉛層と鉄
地層との間で相互拡散を行わせ、めっき層全体をFe−
Zn合金としたものであり、塗装性、耐食性などに優れ
ていることから、近年、自動車用を中心に広く用いられ
ている。
【0003】図10は合金化溶融亜鉛めっき鋼板の合金
めっき相の構造を示す図であり、同図に示すように結晶
構造の異なる3相から成り、上層よりζ相(FeZ
13)、δ1 相(FeZn7 )、Γ相(Fe5 Zn21
と呼ばれる。合金化溶融亜鉛めっき鋼板の品質は、この
各合金相の厚さに依存する。つまりζ相厚さはプレス性
と、Γ相厚さはパウダリング性(剥離性)と相関があ
る。図9はΓ相厚さとパウダリング特性との関係を示す
図であり、同図に示すようにΓ相厚さが大きくなると剥
離性が増大し、好ましくない。
【0004】特にパウダリング性(Γ相厚さ)は、合金
化溶融亜鉛めっき鋼板の品質に大きな影響を与えるた
め、品質保証上重要な管理項目である。従って品質の高
いめっき鋼板を製造するには、ζ相とΓ相の厚さを抑
え、合金めっき相をδ1 相主体にしなければならない。
特にΓ相の厚さの管理は重要である。そこで、品質の高
い製品を製造するために、各合金めっき相の厚さを測定
することが必要となってきている。特に、オンラインで
の測定技術のニーズが高い。
【0005】従来、合金めっき相の厚さ測定法として
は、例えば、特開平4−42044号公報に示されたよ
うに、合金めっきにX線を照射し、各合金めっき相より
回折される回折X線強度より各合金めっき相の厚さを定
量化している。上記公報には、最もニーズが高く、合金
めっき相のうち最下層であるΓ相の厚さ測定は、ζ相、
δ1 相の厚さをパラメーターとして採用し、補正をする
と記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】回折X線法は、X線の
結晶格子による回折を利用するものであり、X線回折の
基礎式であるBraggの法則は次の(8)式で示され
る。 λ=2d・sinθ …(8) ここで λ:X線の波長 d:結晶格子面間隔 θ:回折角 である。X線回折は結晶による回折であるため、結晶の
状態の影響を受け誤差が生じる。例えば、結晶の状態に
より格子面間隔(dの値)が変化し、Braggの法則
から回折角(θ)が変化する。特にδ1 相においてその
影響は大きい。
【0007】図8は合金めっき相組成に対するδ1 相回
折角の関係を示す図であり、合金めっき相の組成(Fe
含有率)の変化に対するδ1 相の回折角をプロットした
ものであるが、組成の変化に対し回折角が大きく変化す
る。そのため合金めっきの組成が変化する場合、回折X
線ピークが検出器に有効に入射せず、回折X線強度の測
定に誤差が生じる。
【0008】また、回折X線法は蛍光X線法に比較して
バックグランド成分が大きい。バックグランド成分は、
主に、他ピークの重畳、コンプトン散乱X線、蛍光X線
である。バックグランド成分のうち蛍光X線は、薄膜フ
ィルターを用いることによりある程度は低減することが
できるが、他ピークの重畳、コンプトン散乱X線、エネ
ルギーの近接した蛍光X線を完全に除去することは難し
い。そのため、回折X線法は感度が低く測定誤差が大き
い。
【0009】また、回折X線は一般に低エネルギーであ
り、物質による吸収が大きい。そのため、下層の合金め
っき相の厚さ測定においては、上層の合金めっき相中で
の回折X線の吸収を考慮する必要があり、上層の合金め
っきの厚さも同時に測定しなければならない。そのた
め、Γ相の厚さ算出式は、Γ相からの回折X線強度のみ
ならず上層のζ相、δ1 相からの回折X線強度も含んだ
複雑な形となる。したがって、ζ相、δ1 相からの回折
X線強度の測定誤差も、Γ相の厚さ測定に影響を与える
ことになる。
【0010】以上述べたように従来の回折X線法は定量
化の精度が悪い。特にδ1 相の回折X線強度に対しての
精度が低い。また、上層の合金めっきの厚さ測定誤差
が、下層の合金めっきの厚さ測定の精度に影響する。し
たがって、合金めっきを評価する上で最も重要なΓ相の
厚さが、精度良く測定できない現状にある。本発明はか
かる問題点を解決するためになされたもので、合金化溶
融亜鉛めっき鋼板の合金めっき相の厚さ、特に3つのめ
っき相の最下層であるΓ相の厚さが精度良く測定できる
合金めっき相の厚さ測定方法及び装置を得ることを目的
とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
合金めっき相の厚さ測定方法は、合金化溶融亜鉛めっき
鋼板の合金めっき相の厚さ測定方法において、ζ相、δ
1 相及びΓ相の3相よりなる合金めっき鋼板の表面にX
線を入射し、該表面から出射されるFe及びZn両蛍光
X線の強度と前記3つの各相の回折X線の強度及び回折
角とを、それぞれ対応する受光検出器を介して共に測定
する工程と、前記測定した両蛍光X線の強度情報より合
金めっき相内のFe含有率と合金めっき相全体の厚さT
との関係を示す解曲線を求め、次に前記測定した3つの
各相の回折X線の強度情報又は回折角情報に基づき得ら
れる合金めっき相内のFe含有率を用いて前記解曲線よ
り前記厚さTを求め、次に前記Tと前記測定したΓ相の
回折X線の強度情報を用い前記3つの各相の線吸収係数
を同一とみなしてΓ相の厚さtΓを求める演算式に基づ
き前記tΓを算出する工程とを有するものである。
【0012】本発明の請求項2に係る合金めっき相の厚
さ測定方法は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の合金めっき
相の厚さ測定方法において、ζ相、δ1 相及びΓ相の3
相よりなる合金めっき鋼板の表面に、X線波長の異なる
第1のX線と第2のX線をそれぞれ入射し、前記鋼板表
面から出射される、第1の入射X線に基づく第1のFe
及びZn両蛍光X線の強度及び前記3つの各相の回折X
線の強度と、第2の入射X線に基づく第2のFe及びZ
n両蛍光X線の強度とを、それぞれ対応する受光検出器
を介して共に測定する工程と、前記測定した第1及び第
2の両蛍光X線の強度情報を用いてそれぞれ合金めっき
相内のFe含有率と合金めっき相全体の厚さTとの関係
を示す2つの解曲線を求め、次に前記2つの解曲線の交
点より前記厚さTを求め、次に前記Tと前記測定したΓ
相の回折X線の強度情報とを用いて前記3つの各相の線
吸収係数を同一とみなしてΓ相の厚さtΓを求める演算
式に基づき前記tΓを算出する工程とを有するものであ
る。
【0013】本発明の請求項3に係る合金めっき相の厚
さ測定方法は、前記請求項1又は請求項2に係る合金め
っき相の厚さ測定方法において、前記Γ相の厚さtΓ
求める演算式として下記の(1)式を用いて前記tΓ
算出する工程を有するものである。
【0014】
【数3】
【0015】なお(1)式において、Tは合金めっき相
全体の厚さ、μは合金めっき各相で同一とみなした線吸
収係数、I0 は入射X線強度、KΓはX線装置、試料、
X線波長、入射角及び取出角、回折角、並びにΓ相の回
折面等によって決定する定数、IΓはΓ相の回折X線強
度、γは1/sinφ3 +1/sinΨ3 であり、且つ
前記φ3 ,Ψ3 はそれぞれΓ相の入射角、取出角であ
り、φ3 とΨ3 の和はΓ相の回折角に等しい。
【0016】本発明の請求項4に係る合金めっき相の厚
さ測定方法は、前記請求項1、請求項2又は請求項3に
係る合金めっき相の厚さ測定方法において、前記ζ相、
δ1相及びΓ相の各相の厚さ測定方法として、ζ相の厚
さtζは、ζ相の回折X線強度情報に基づき算出し、Γ
相の厚さtΓは、Γ相の回折X線強度情報及び合金めっ
き相全体の厚さTの情報に基づき算出し、δ1 相の厚さ
δ1 は、前記Tから前記算出したtζとtΓとの和を
減算して算出する工程を有するものである。
【0017】本発明の請求項5に係る合金めっき相の厚
さ測定装置は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の合金めっき
相の厚さ測定装置において、ζ相、δ1 相及びΓ相の3
相よりなる合金めっき鋼板の表面にX線を入射し、該表
面から出射されるFe及びZn両蛍光X線の強度と前記
3つの各相の回折X線の強度及び回折角とを、それぞれ
対応する受光検出器を介して共に測定する測定手段と、
前記測定した両蛍光X線の強度情報より合金めっき相内
のFe含有率と合金めっき相全体の厚さTとの関係を示
す解曲線を求め、次に前記測定した3つの各相の回折X
線の強度情報又は回折角情報に基づき得られる合金めっ
き相内のFe含有率を用いて前記解曲線より前記厚さT
を求め、次に前記Tと前記測定したΓ相の回折X線の強
度情報を用い前記3つの各相の線吸収係数を同一とみな
してΓ相の厚さtΓを求める演算式に基づき前記tΓ
算出する演算手段とを備えたものである。
【0018】本発明の請求項6に係る合金めっき相の厚
さ測定装置は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の合金めっき
相の厚さ測定装置において、ζ相、δ1 相及びΓ相の3
相よりなる合金めっき鋼板の表面に、X線波長の異なる
第1のX線と第2のX線をそれぞれ入射し、前記鋼板表
面から出射される、第1の入射X線に基づく第1のFe
及びZn両蛍光X線の強度及び前記3つの各相の回折X
線の強度と、第2の入射X線に基づく第2のFe及びZ
n両蛍光X線の強度とを、それぞれ対応する受光検出器
を介して共に測定する測定手段と、前記測定した第1及
び第2の両蛍光X線の強度情報を用いてそれぞれ合金め
っき相内のFe含有率と合金めっき相全体の厚さTとの
関係を示す2つの解曲線を求め、次に前記2つの解曲線
の交点より前記厚さTを求め、次に前記Tと前記測定し
たΓ相の回折X線の強度情報とを用いて前記3つの各相
の線吸収係数を同一とみなしてΓ相の厚さtΓを求める
演算式に基づき前記tΓを算出する演算手段とを備えた
ものである。
【0019】本発明の請求項7に係る合金めっき相の厚
さ測定装置は、前記請求項5又は請求項6に係る合金め
っき相の厚さ測定装置において、前記Γ相の厚さtΓ
求める演算式として下記の(1)式を用いて前記tΓ
算出する演算手段を備えたものである。
【0020】
【数4】
【0021】なお(1)式において、Tは合金めっき相
全体の厚さ、μは合金めっき各相で同一とみなした線吸
収係数、I0 は入射X線強度、KΓはX線装置、試料、
X線波長、入射角及び取出角、回折角、並びにΓ相の回
折面等によって決定する定数、IΓはΓ相の回折X線強
度、γは1/sinφ3 +1/sinΨ3 であり、且つ
前記φ3 ,Ψ3 はそれぞれΓ相の入射角、取出角であ
り、φ3 とΨ3 の和はΓ相の回折角に等しい。
【0022】本発明の請求項8に係る合金めっき相の厚
さ測定装置は、前記請求項5、請求項6又は請求項7に
係る合金めっき相の厚さ測定装置において、前記ζ相、
δ1相及びΓ相の各相の厚さ測定装置として、ζ相の厚
さtζは、ζ相の回折X線強度情報に基づき算出し、Γ
相の厚さtΓは、Γ相の回折X線強度情報及び合金めっ
き相全体の厚さTの情報に基づき算出し、δ1 相の厚さ
δ1 は、前記Tから前記算出したtζとtΓとの和を
減算して算出する演算手段を備えたものである。
【0023】
【作用】本請求項1に係る発明においては、合金化溶融
亜鉛めっき鋼板の合金めっき相の厚さ測定方法におい
て、測定工程により、ζ相、δ1 相及びΓ相の3相より
なる合金めっき鋼板の表面にX線を入射し、該表面から
出射されるFe及びZn両蛍光X線の強度と前記3つの
各相の回折X線の強度及び回折角とを、それぞれ対応す
る受光検出器を介して共に測定し、演算工程により、前
記測定した両蛍光X線の強度情報より合金めっき相内の
Fe含有率と合金めっき相全体の厚さTとの関係を示す
解曲線を求め、次に前記測定した3つの各相の回折X線
の強度情報又は回折角情報に基づき得られる合金めっき
相内のFe含有率を用いて前記解曲線より前記厚さTを
求め、次に前記Tと前記測定したΓ相の回折X線の強度
情報を用い前記3つの各相の線吸収係数を同一とみなし
てΓ相の厚さtΓを求める演算式に基づき前記tΓを算
出する。
【0024】本請求項2に係る発明においては、合金化
溶融亜鉛めっき鋼板の合金めっき相の厚さ測定方法にお
いて、測定工程により、ζ相、δ1 相及びΓ相の3相よ
りなる合金めっき鋼板の表面に、X線波長の異なる第1
のX線と第2のX線をそれぞれ入射し、前記鋼板表面か
ら出射される、第1の入射X線に基づく第1のFe及び
Zn両蛍光X線の強度及び前記3つの各相の回折X線の
強度と、第2の入射X線に基づく第2のFe及びZn両
蛍光X線の強度とを、それぞれ対応する受光検出器を介
して共に測定し、演算工程により、前記測定した第1及
び第2の両蛍光X線の強度情報を用いてそれぞれ合金め
っき相内のFe含有率と合金めっき相全体の厚さTとの
関係を示す2つの解曲線を求め、次に前記2つの解曲線
の交点より前記厚さTを求め、次に前記Tと前記測定し
たΓ相の回折X線の強度情報とを用いて前記3つの各相
の線吸収係数を同一とみなしてΓ相の厚さtΓを求める
演算式に基づき前記tΓを算出する。
【0025】本請求項3に係る発明においては、前記請
求項1又は請求項2に係る発明における演算工程は、前
記Γ相の厚さtΓを求める演算式として下記の(1)式
を用いて前記tΓを算出する。
【0026】
【数5】
【0027】なお(1)式において、Tは合金めっき相
全体の厚さ、μは合金めっき各相で同一とみなした線吸
収係数、I0 は入射X線強度、KΓはX線装置、試料、
X線波長、入射角及び取出角、回折角、並びにΓ相の回
折面等によって決定する定数、IΓはΓ相の回折X線強
度、γは1/sinφ3 +1/sinΨ3 であり、且つ
前記φ3 ,Ψ3 はそれぞれΓ相の入射角、取出角であ
り、φ3 とΨ3 の和はΓ相の回折角に等しい。
【0028】本請求項4に係る発明においては、前記請
求項1、請求項2又は請求項3に係る発明における前記
ζ相、δ1 相及びΓ相の各相の厚さ測定方法として、前
記演算工程により、ζ相の厚さtζは、ζ相の回折X線
強度情報に基づき算出し、Γ相の厚さtΓは、Γ相の回
折X線強度情報及び合金めっき相全体の厚さTの情報に
基づき算出し、δ1 相の厚さtδ1 は、前記Tから前記
算出したtζとtΓとの和を減算して算出する。
【0029】本請求項5に係る発明においては、合金化
溶融亜鉛めっき鋼板の合金めっき相の厚さ測定装置にお
いて、測定手段は、ζ相、δ1 相及びΓ相の3相よりな
る合金めっき鋼板の表面にX線を入射し、該表面から出
射されるFe及びZn両蛍光X線の強度と前記3つの各
相の回折X線の強度及び回折角とを、それぞれ対応する
受光検出器を介して共に測定し、演算手段は、前記測定
した両蛍光X線の強度情報より合金めっき相内のFe含
有率と合金めっき相全体の厚さTとの関係を示す解曲線
を求め、次に前記測定した3つの各相の回折X線の強度
情報又は回折角情報に基づき得られる合金めっき相内の
Fe含有率を用いて前記解曲線より前記厚さTを求め、
次に前記Tと前記測定したΓ相の回折X線の強度情報を
用い前記3つの各相の線吸収係数を同一とみなしてΓ相
の厚さtΓを求める演算式に基づき前記tΓを算出す
る。
【0030】本請求項6に係る発明においては、合金化
溶融亜鉛めっき鋼板の合金めっき相の厚さ測定装置にお
いて、測定手段は、ζ相、δ1 相及びΓ相の3相よりな
る合金めっき鋼板の表面に、X線波長の異なる第1のX
線と第2のX線をそれぞれ入射し、前記鋼板表面から出
射される、第1の入射X線に基づく第1のFe及びZn
両蛍光X線の強度及び前記3つの各相の回折X線の強度
と、第2の入射X線に基づく第2のFe及びZn両蛍光
X線の強度とを、それぞれ対応する受光検出器を介して
共に測定し、演算手段は、前記測定した第1及び第2の
両蛍光X線の強度情報を用いてそれぞれ合金めっき相内
のFe含有率と合金めっき相全体の厚さTとの関係を示
す2つの解曲線を求め、次に前記2つの解曲線の交点よ
り前記厚さTを求め、次に前記Tと前記測定したΓ相の
回折X線の強度情報とを用いて前記3つの各相の線吸収
係数を同一とみなしてΓ相の厚さtΓを求める演算式に
基づき前記tΓを算出する。
【0031】本請求項7に係る発明においては、前記請
求項5又は請求項6に係る発明における演算手段は、前
記Γ相の厚さtΓを求める演算式として下記の(1)式
を用いて前記tΓを算出する。
【0032】
【数6】
【0033】なお(1)式において、Tは合金めっき相
全体の厚さ、μは合金めっき各相で同一とみなした線吸
収係数、I0 は入射X線強度、KΓはX線装置、試料、
X線波長、入射角及び取出角、回折角、並びにΓ相の回
折面等によって決定する定数、IΓはΓ相の回折X線強
度、γは1/sinφ3 +1/sinΨ3 であり、且つ
前記φ3 ,Ψ3 はそれぞれΓ相の入射角、取出角であ
り、φ3 とΨ3 の和はΓ相の回折角に等しい。
【0034】本請求項8に係る発明においては、前記請
求項5、請求項6又は請求項7に係る発明における前記
ζ相、δ1 相及びΓ相の各相の厚さ測定装置として、前
記演算手段により、ζ相の厚さtζは、ζ相の回折X線
強度情報に基づき算出し、Γ相の厚さtΓは、Γ相の回
折X線強度情報及び合金めっき相全体の厚さTの情報に
基づき算出し、δ1 相の厚さtδ1 は、前記Tから前記
算出したtζとtΓとの和を減算して算出する。
【0035】
【実施例】最初に本発明の演算工程又は演算手段が実行
する演算式の導入について説明する。合金めっきの各合
金めっき相毎の厚さ測定法としては、回折X線法が唯一
の方法である。しかしながら、従来の回折X線法では定
量化の精度が低く測定誤差が大きいという問題であり、
それを解決する本発明の計測法と演算式を説明する。回
折X線による溶融亜鉛めっき鋼板の各合金相の厚さ測定
の原理は以下の通りである。 (1)最上層のζ相からの回折X線強度は、ζ相自身で
のX線の吸収があるため、理論的に次の(2)式で導か
れる。
【0036】
【数7】
【0037】(2)式で、Iζ:ζ相回折X線強度 I0 :入射X線強度 Kζ:X線装置、試料、X線波長、入射角−取出角、回
折角、ζ相の回折面などによって決定する定数 μζ:ζ相の線吸収係数 tζ:ζ相の厚さ α :1/sinφ1 +1/sinΨ1 φ1 :入射角 Ψ1 :取出角(φ1 +Ψ1 =ζ相の回折角)である。 ζ相は、結晶の配向の影響が多少あるものの、組成の変
化に伴う回折角の変化は無視でき、δ1 相に比べれば定
量性に優れる。また、合金めっき相中最上層に存在する
ため、他の合金めっき相における吸収を考慮する必要が
ない。そのため、(2)式を用いても十分精度良くその
厚さを測定することができる。
【0038】(2)中間層のδ1 相の回折X線強度は、
ζ相での吸収を考慮すると、理論的に次の(3)式とな
る。
【0039】
【数8】
【0040】(3)式で、I0 :入射X線強度 Iδ1 :δ1 相の回折X線強度 Kδ1 :X線装置、試料、X線波長、入射角−取出角、
回折角、δ1 相の回折面などによって決定する定数 μδ1 :δ1 相の線吸収係数 tδ1 :δ1 相の厚さ β :1/sinφ2 +1/sinΨ2 φ2 :入射角 Ψ2 :取出角(φ2 +Ψ2 =δ1 相の回折角)であ
る。 δ1 相は、先に述べたように回折X線強度の定量性に劣
るため、精度良い厚さ測定は困難である。
【0041】(3)最下層のΓ相では、ζ相及びδ1
での吸収を受けるため次の(4)式のように複雑な式と
なる。
【0042】
【数9】
【0043】(4)式で、I0 :入射X線強度 IΓ:Γ相の回折X線強度 KΓ:X線装置、試料、X線波長、入射角−取出角、回
折角、Γ相の回折面などによって決定する定数 μΓ:Γ相の線吸収係数 tΓ:Γ相の厚さ γ :1/sinφ3 +1/sinΨ3 φ3 :入射角 Ψ3 :取出角(φ3 +Ψ3 =Γ相の回折角)である。
【0044】ここで、式(2)、(3)、(4)におい
て、α=β=γとみなせるような近接した回折角を持つ
回折X線を使用し、これら3式を連立させてζ相厚さ、
δ1相厚さを消去し、Γ相の厚さ算出の式に直すと次の
(5)式のようになる。
【0045】
【数10】
【0046】(5)式のように、回折X線情報だけを用
いたのでは、Γ相の厚さの算出式は複雑になる。また、
上層のδ1 相の回折X線は定量性が低い。そのため、こ
の式を用いたのではΓ相の厚さ測定に関して誤差が大き
くなる。また、この理論強度式を導くには、α=β=γ
とみなせるような回折角を持つ回折X線に限定される。
従って本発明では(5)式を演算式としては採用せず、
代りに3相の線吸収係数の値がほぼ同一値とみなせるこ
とに着目した演算式を考えた。
【0047】例えばX線にCrKα線を用いた場合、線
吸収係数はζ相では1.28×103 cm-1、δ1 相で
は1.25×103 cm-1、Γ相では1.22×103
cm1 であり、合金めっき相におけるζ相、δ1 相、Γ
相での線吸収係数はほぼ同じ値とみなすことができる。
従っていま合金めっき相の線吸収係数を各相に共通な値
のμとすると、(4)式は次の(6)式のように書き直
すことができる。
【0048】
【数11】
【0049】さらに、合金めっき相の全体の厚さが既知
の場合、いま合金めっき相の全厚さをTとすると(6)
式は次の(7)式のようになる。
【0050】
【数12】
【0051】したがって、Γ相厚さの算出式は下記の
(1)式のように簡略化できる。
【0052】
【数13】
【0053】(1)式で、tΓ:Γ相厚さ T :合金めっき相の全厚さ μ :合金めっき各相で同一とみなした線吸収係数 I0 :入射X線強度 KΓ:X線装置、試料、X線波長、入射角−取出角、回
折角、Γ相の回折面などによって決定する定数 IΓ:Γ相回折X線強度 γ :1/sinφ3 +1/sinΨ3 φ3 :入射角 Ψ3 :取出角(φ3 +Ψ3 =Γ相の回折角)である。
【0054】従って合金めっき相全体の厚さTとΓ相か
らの回折X線強度IΓが求められれば、前記(1)式を
用いてΓ相の厚さtΓを算出することができる。Γ相
は、結晶の配向の影響が多少あるものの、δ1 相に比較
すれば定量性に優れ、精度良くΓ相の回折X線強度を測
定することができる。また、Γ相からのピークに対し、
任意の回折角のものが使用でき、回折面に限定されな
い。この発明の主眼はこの点にあり、合金相中最下層で
その厚さの定量化の困難なΓ相の厚さ測定において、ま
ず合金めっき相全体の厚さTを測定し、次にこのTとΓ
相のみの回折X線強度IΓとを用いて、Γ相の厚さを精
度良く測定することにある。
【0055】次に合金めっき相全体の厚さTの測定手法
について述べる。合金めっき相全体の厚さは、合金めっ
き鋼板の表面にX線を入射し、回折X線と同時に発生す
る蛍光X線を用い共に測定する。蛍光X線法は、結晶の
影響を受けない、吸収が小さい、感度が高い、バックグ
ランド成分がほとんどなく、あらゆる方向に発散する、
ことなどから定量性に極めて優れるが、合金相毎の細か
い測定はできない。また回折X線法は、先に述べたよう
に定量性に劣るが、合金相毎の細かい測定ができる。こ
の発明は、回折X線法と蛍光X線法の両X線法を使用
し、両者の長所を兼ね備えるようにするものである。
【0056】蛍光X線法では、溶融亜鉛めっき鋼板にお
いて、FeとZnの両蛍光X線が得られる。蛍光X線法
においては、ラインの距離変動や機器変動の影響を考慮
して、Fe蛍光X線強度/Zn蛍光X線強度を測定値と
して用いるのが一般的である。ところが、蛍光X線法に
おける合金めっき相に関する未知量は、合金めっき相全
体の厚さと合金相内での組成(Fe含有率)であるの
で、1つの蛍光X線光学系での測定値だけでは、この両
者を一意に定めることはできない。図5は蛍光X線法に
より得られる合金めっき相全体の厚さと組成(Fe含有
率)との関係(解曲線)を示す図であり、1つの蛍光X
線光学系では図5に示されるような解曲線が得られるだ
けである。
【0057】合金めっき相全厚さと合金相内での組成を
一意に求める第1の方法は、特開平2−257045号
公報に示されたように、X線波長及び取出角の異なるも
う一つの蛍光X線光学系を設置するものである。図6は
2つの蛍光X線光学系で得られる解曲線を示す図であ
り、同図の第1及び第2の光学系でそれぞれ得られる2
つの解曲線の交点から合金めっき相全厚さと組成の両方
を一意に求めることができる。
【0058】また、第2の方法として次の手法も考えら
れる。合金めっき相のFe含有率(平均Fe%)が減る
とζ相の厚さが増す傾向にあり、また、平均Fe%が増
すとΓ相の厚さが増す傾向にある。図7は組成の変化に
伴うζ相及びΓ相回折X線強度の変化を示す図であり、
上記ζ相及びΓ相の厚さとFe含有率との関係を示して
いる。また図8で述べたように、平均Fe%とδ1 相の
回折角とは相関がある。
【0059】そこで、ζ相またはΓ相からの回折X線強
度情報または、δ1 相の回折角情報のうちどれか少なく
とも一つの情報から合金めっき相での平均Fe%を推定
する。この場合に、定量性の低い回折X線情報を用いて
もある程度の平均Fe%の推定は可能である。そして、
得られた平均Fe%の推定値を用い、1つの蛍光X線光
学系で得られる解曲線(前記図5)から合金めっき相全
厚さを求めることができる。
【0060】蛍光X線光学系としては、高入射角、高取
出角、高X線エネルギーのもので構成し、合金めっき相
全体の厚さに対する平均Fe%の勾配の大きい解曲線に
することが望ましい。これらの蛍光X線光学系を用いる
ことにより、回折X線測定と同時に蛍光X線強度を測定
し、合金めっき相の全体の厚さTを知ることができる。
そしてこの全体の厚さTとΓ相の回折X線強度IΓとか
ら(1)式を用いてΓ相の厚さtΓを算出することがで
きる。なお(1)式等の演算は、市販のマイクロプロセ
ッサ(CPU)又はデジタル信号プロセッサ(DSP)
等を用いて容易に実行することが可能である。
【0061】次に本発明の光学的な測定工程又は測定手
段について説明する。図1は本発明の合金めっき相の厚
さ測定光学系の第1の例を示す図であり、同図において
は、2組の蛍光X線光学系を用いて、それぞれの光学系
から得られる2つの解曲線の交点から合金めっき相全体
の厚さTを求める測定法を示している。
【0062】図1においては、2組の光学系のX線管球
には、それぞれX線波長の異なるCr管球1及びMo管
球2を使用し、またそれぞれの入射角も異なる値にして
入射している。回折X線の受光検出器にはPSPC検出
器(位置敏感型比例計数管)4を用い、ζ相、δ1 相及
びΓ相の各相の回折X線強度情報と回折角情報とが測定
できるようにした。また蛍光X線の受光検出器には半導
体検出器5,6を用い、Fe、Zn両蛍光X線強度情報
をエネルギー分散法により測定できるようにした。
【0063】図1の例においては、Cr管球1から合金
めっき鋼板3への入射X線の入射角は25°、蛍光X線
の取出角は45°、回折X線の取出角90°〜120°
(回折角:110〜145°)とした。図1のCr管球
1は白色X線を用い、前記入射角で合金めっき鋼板3へ
白色X線を入射し、前記取出角において、そのCrKα
成分をVフィルターを通して抽出しPSPC検出器4に
より各相の回折X線強度と回折角の情報を得る。この回
折X線情報は、PSPC検出器4を走査することなく、
所定角度(この例では30°)内の情報を同時に得るこ
とができる。また回折X線に対しては、バックグランド
補正を行った。また、同じCr管球1の白色X線成分に
よる励起により得られた蛍光X線を、前記取出角におい
て半導体検出器5により検出して、そのFe、Zn両蛍
光X線強度をエネルギー分散法により測定する。
【0064】Mo管球2は、モノクロメーターを通し単
色化してから試料に照射し、合金めっき成分を励起して
得られた蛍光X線を半導体検出器6により検出して、そ
のFe、Zn両蛍光X線強度をエネルギー分散測定法に
より得る。この例においては、Mo管球2から合金めっ
き鋼板3への入射X線の入射角は75°、蛍光X線の取
出角は60°とした。位置敏感型比例計数管で検出した
回折X線は、図11に示すように、増幅器を経て、時間
波高変換器で1次元情報に変換され、マルチチャンネル
アナライザーで1次元的な回折X線強度情報が得られた
後、演算器に導かれる。半導体検出器で検出した蛍光X
線は、図12に示すように、増幅器を経て、マルチチャ
ンネルアナライザーにてエネルギーごとの計数値が得ら
れた後、演算器に導かれる。
【0065】図1の例における演算工程又は演算手段
は、次の順序でΓ相の厚さを算出する。 (1)前記光学系で測定した第1及び第2の両(Fe、
Zn)蛍光X線の強度比を用いてそれぞれ合金めっき相
内のFe含有率と合金めっき相全体の厚さTとの関係を
示す2つの解曲線を求め、 (2)次に前記2つの解曲線の交点より前記厚さTを求
め(図6を参照)。 (3)次に前記Tと前記測定したΓ相の回折X線の強度
情報とを用いて前記3つの各相の線吸収係数を同一とみ
なしてΓ相の厚さtΓを求める前記演算式(1)に基づ
き前記tΓを算出する。 図1の測定光学系と市販のCPU又はDSP等を用い、
前記演算式(1)によりΓ相の厚さtΓを測定するのに
要する時間は約10秒と短時間であり、オンラインでの
測定が十分に可能である。
【0066】図1の蛍光X線と回折X線の両方を使用す
る両X線法と従来の回折X線法によるΓ相厚さ測定結果
の比較を行った。サンプルはΓ相の厚さの異なるものを
20種類選択し、Cr管球を用いたときの回折角とし
て、ζ相は130.6°、δ1 は126.5°〜12
7.4°、Γ相は138.8°のものを用いた。蛍光X
線は、FeKα線・ZnKα線を用いた。2つの蛍光X
線光学系で得られる合金めっき相全厚さと鉄含有率の解
曲線の交点から、合金めっき相の全厚さを測定した。サ
ンプルの平均Fe%と合金めっき相全厚さは、化学分析
により得た。Γ相厚さは、合金めっき断面のSEM(走
査型電子顕微鏡)による観察により得た。
【0067】図2は図1の両X線法と従来方法(回折X
線法)とによるΓ相厚さの測定結果の比較例を示す図で
あり、黒丸は図1の両X線法による測定値を、白丸は従
来方法による測定値を、それぞれSEMによる測定値と
対比して示している。この図により、本発明の両X線法
を用いることにより従来よりも精度良くΓ相厚さが測定
できることがわかる。また、δ1 相の厚さも、蛍光X線
法による合金めっき相の全厚さTの測定値から、Γ相厚
さ測定値とζ相厚さ測定値との和を減算することにより
精度良く測定することができる。図13に、図1の光学
系を用いた測定のフローチャートを示す。また、本発明
法は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板のみならず、錫めっき
など複層のめっき相からなるめっき金属に対しても適用
は可能である。
【0068】図3は本発明の合金めっき相の厚さ測定光
学系の第2の例を示す図であり、同図は1組の光学系に
よる回折X線情報と蛍光X線情報とによりΓ相の厚さを
求める測定法を示している。この場合は1つの解曲線か
ら合金めっき相全体の厚さTを求めることになる。図3
において、Cr管球1、PSPC検出器4及び半導体検
出器5は図1と同一のものを使用することができる。図
3の例においては、Cr管球1から合金めっき鋼板3へ
の入射X線の入射角は70°、蛍光X線の取出角は90
°、回折X線の取出角は45°〜75°である。
【0069】図3においても、図1と同様に、ζ相、δ
1 相及びΓ相の3相よりなる合金めっき鋼板の表面にX
線を入射し、表面から出射されるFe及びZn両蛍光X
線の強度を半導体検出器5により測定し、前記3つの各
相の回折X線の強度と回折角とをPSPC検出器4によ
り測定する。位置敏感型比例計数管で検出した回折X線
は、図11に示すように、増幅器を経て、時間波高変換
器で1次元情報に変換され、マルチチャンネルアナライ
ザーで1次元的な回折X線強度情報が得られた後、演算
器に導かれる。半導体検出器で検出した蛍光X線は、図
12に示すように、増幅器を経て、マルチチャンネルア
ナライザーにてエネルギーごとの計数値が得られた後、
演算器に導かれる。
【0070】図3の例における演算工程又は演算手段
は、次の順序でΓ相の厚さを算出する。 (1)前記光学系で測定した両(Fe、Zn)蛍光X線
の強度比より合金めっき相内のFe含有率と合金めっき
相全体の厚さTとの関係を示す解曲線を求め、 (2)次に前記測定した3つの各相の回折X線の強度情
報又は回折角情報に基づき得られる合金めっき相内のF
e含有率を用いて前記解曲線により前記厚さTを求め
(図5、図7を参照)。 (3)次に前記Tと前記測定したΓ相の回折X線の強度
情報を用い前記3つの各相の線吸収係数を同一とみなし
てΓ相の厚さtΓを求める前記演算式(1)に基づき前
記tΓを算出する。
【0071】図4は図3の蛍光X線と回折X線の両方を
使用する両X線法と従来方法(回折X線法)とによるΓ
相厚さの測定結果の比較例を示す図であり、黒丸は図3
の両X線法による測定値を、白丸は従来方法による測定
値を、それぞれSEMによる測定値と対比して示してい
る。この図においても、本発明の両X線法が従来方法よ
りも精度が良いことがわかる。図14に、図3の光学系
を用いた測定のフローチャートを示す。なお図4におけ
るサンプル及びCr管球を用いたときの回折角等は図2
の場合と同一である。
【0072】本発明は、主に蛍光X線情報に基づきまず
合金めっき相全体の厚さTを求め、同時に得られる回折
X線情報と前記Tとに基づきΓ相の厚さtΓを求める手
法を用いた厚さ測定方法又は装置であればよい。
【0073】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、合金化溶
融亜鉛めっき鋼板の合金めっき相の厚さ測定方法及び装
置において、ζ相、δ1 相及びΓ相の3相よりなる合金
めっき鋼板の表面にX線を入射し、該表面から出射され
るFe及びZn両蛍光X線の強度と前記3つの各相の回
折X線の強度及び回折角とを、それぞれ対応する受光検
出器を介して共に測定し、前記測定した両蛍光X線の強
度情報より合金めっき相内のFe含有率と合金めっき相
全体の厚さTとの関係を示す解曲線を求め、次に前記測
定した3つの各相の回折X線の強度情報又は回折角情報
に基づき得られる合金めっき相内のFe含有率を用いて
前記解曲線より前記厚さTを求め、次に前記Tと前記測
定したΓ相の回折X線の強度情報を用い前記3つの各相
の線吸収係数を同一とみなしてΓ相の厚さtΓを求める
演算式に基づき前記tΓを算出するようにしたので、従
来の回折X線法に比較して精度の良いΓ相の厚さ測定値
が得られる。
【0074】また本発明によれば、合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板の合金めっき相の厚さ測定方法及び装置におい
て、ζ相、δ1 相及びΓ相の3相よりなる合金めっき鋼
板の表面に、X線波長の異なる第1のX線と第2のX線
をそれぞれ入射し、前記鋼板表面から出射される、第1
の入射X線に基づく第1のFe及びZn両蛍光X線の強
度及び前記3つの各相の回折X線の強度と、第2の入射
X線に基づく第2のFe及びZn両蛍光X線の強度と
を、それぞれ対応する受光検出器を介して共に測定し、
前記測定した第1及び第2の両蛍光X線の強度情報を用
いてそれぞれ合金めっき相内のFe含有率と合金めっき
相全体の厚さTとの関係を示す2つの解曲線を求め、次
に前記2つの解曲線の交点より前記厚さTを求め、次に
前記Tと前記測定したΓ相の回折X線の強度情報とを用
いて前記3つの各相の線吸収係数を同一とみなしてΓ相
の厚さtΓを求める演算式に基づき前記tΓを算出する
ようにしたので、前記1つの解曲線を用いた場合よりも
さらに精度の高いΓ相の厚さ測定値が得られる。
【0075】また本発明によれば、前記Γ相の厚さtΓ
を求める演算式として前記の(1)式を用いて前記tΓ
を算出するようにしたので、演算が比較的簡単で短時間
で処理でき、オンラインでΓ相の厚さ測定ができるよう
になった。
【0076】また本発明によれば、前記ζ相、δ1 相及
びΓ相の各相の厚さ測定方法及び装置として、ζ相の厚
さtζは、ζ相の回折X線強度情報に基づき算出し、Γ
相の厚さtΓは、Γ相の回折X線強度情報及び合金めっ
き相全体の厚さTの情報に基づき算出し、δ1 相の厚さ
δ1 は、前記Tから前記算出したtζとtΓとの和を
減算して算出するようにしたので、Γ相のみならず、ζ
相とδ1 相の厚さもそれぞれ精度良く測定することがで
きるようになった。
【0077】また本発明は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板
のみならず、錫めっきなど複数のめっき相からなるめっ
き金属に対しても適用は可能であり、これらのめっき相
の厚さも精度良く測定できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の合金めっき相の厚さ測定光学系の第1
の例を示す図である。
【図2】図1の両X線法と従来方法によるΓ相厚さの測
定結果の比較例を示す図である。
【図3】本発明の合金めっき相の厚さ測定光学系の第2
の例を示す図である。
【図4】図3の両X線法と従来方法によるΓ相厚さの測
定結果の比較例を示す図である。
【図5】蛍光X線法により得られる合金めっき相全体の
厚さと組成との関係を示す図である。
【図6】2つの蛍光X線光学系で得られる解曲線を示す
図である。
【図7】組成の変化に伴うζ相及びΓ相回折X線強度の
変化を示す図である。
【図8】合金めっき相組成に対するδ1 相回折角の関係
を示す図である。
【図9】Γ相厚さとパウダリング特性との関係を示す図
である。
【図10】合金化溶融亜鉛めっき鋼板の合金めっき相の
構造を示す図である。
【図11】位置敏感型比例計数管の検出信号の信号処理
を示す図である。
【図12】半導体検出器の検出信号の信号処理を示す図
である。
【図13】図1の光学系を用いた測定のフローチャート
である。
【図14】図3の光学系を用いた測定のフローチャート
である。
【符号の説明】
1 Cr管球 2 Mo管球 3 合金めっき鋼板 4 PSPC検出器 5 半導体検出器 6 半導体検出器

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の合金めっき
    相の厚さ測定方法において、 ζ相、δ1 相及びΓ相の3相よりなる合金めっき鋼板の
    表面にX線を入射し、該表面から出射されるFe及びZ
    n両蛍光X線の強度と前記3つの各相の回折X線の強度
    及び回折角とを、それぞれ対応する受光検出器を介して
    共に測定し、 前記測定した両蛍光X線の強度情報より合金めっき相内
    のFe含有率と合金めっき相全体の厚さTとの関係を示
    す解曲線を求め、次に前記測定した3つの各相の回折X
    線の強度情報又は回折角情報に基づき得られる合金めっ
    き相内のFe含有率を用いて前記解曲線より前記厚さT
    を求め、次に前記Tと前記測定したΓ相の回折X線の強
    度情報を用い前記3つの各相の線吸収係数を同一とみな
    してΓ相の厚さtΓを求める演算式に基づき前記tΓ
    算出することを特徴とする合金めっき相の厚さ測定方
    法。
  2. 【請求項2】 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の合金めっき
    相の厚さ測定方法において、 ζ相、δ1 相及びΓ相の3相よりなる合金めっき鋼板の
    表面に、X線波長の異なる第1のX線と第2のX線をそ
    れぞれ入射し、前記鋼板表面から出射される、第1の入
    射X線に基づく第1のFe及びZn両蛍光X線の強度及
    び前記3つの各相の回折X線の強度と、第2の入射X線
    に基づく第2のFe及びZn両蛍光X線の強度とを、そ
    れぞれ対応する受光検出器を介して共に測定し、 前記測定した第1及び第2の両蛍光X線の強度情報を用
    いてそれぞれ合金めっき相内のFe含有率と合金めっき
    相全体の厚さTとの関係を示す2つの解曲線を求め、次
    に前記2つの解曲線の交点より前記厚さTを求め、次に
    前記Tと前記測定したΓ相の回折X線の強度情報とを用
    いて前記3つの各相の線吸収係数を同一とみなしてΓ相
    の厚さtΓを求める演算式に基づき前記tΓを算出する
    ことを特徴とする合金めっき相の厚さ測定方法。
  3. 【請求項3】 前記Γ相の厚さtΓを求める演算式とし
    て下記の(1)式を用いて前記tΓを算出することを特
    徴とする請求項1又は請求項2記載の合金めっき相の厚
    さ測定方法。 【数1】 なお(1)式において、Tは合金めっき相全体の厚さ、
    μは合金めっき各相で同一とみなした線吸収係数、I0
    は入射X線強度、KΓはX線装置、試料、X線波長、入
    射角及び取出角、回折角、並びにΓ相の回折面等によっ
    て決定する定数、IΓはΓ相の回折X線強度、γは1/
    sinφ3 +1/sinΨ3 であり、且つ前記φ3 ,Ψ
    3 はそれぞれΓ相の入射角、取出角であり、φ3 とΨ3
    の和はΓ相の回折角に等しい。
  4. 【請求項4】 前記ζ相、δ1 相及びΓ相の各相の厚さ
    測定方法として、 ζ相の厚さtζは、ζ相の回折X線強度情報に基づき算
    出し、 Γ相の厚さtΓは、Γ相の回折X線強度情報及び合金め
    っき相全体の厚さTの情報に基づき算出し、 δ1 相の厚さtδ1 は、前記Tから前記算出したtζ
    Γとの和を減算して算出することを特徴とする請求項
    1、請求項2又は請求項3記載の合金めっき相の厚さ測
    定方法。
  5. 【請求項5】 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の合金めっき
    相の厚さ測定装置において、 ζ相、δ1 相及びΓ相の3相よりなる合金めっき鋼板の
    表面にX線を入射し、該表面から出射されるFe及びZ
    n両蛍光X線の強度と前記3つの各相の回折X線の強度
    及び回折角とを、それぞれ対応する受光検出器を介して
    共に測定する測定手段と、 前記測定した両蛍光X線の強度情報より合金めっき相内
    のFe含有率と合金めっき相全体の厚さTとの関係を示
    す解曲線を求め、次に前記測定した3つの各相の回折X
    線の強度情報又は回折角情報に基づき得られる合金めっ
    き相内のFe含有率を用いて前記解曲線より前記厚さT
    を求め、次に前記Tと前記測定したΓ相の回折X線の強
    度情報を用い前記3つの各相の線吸収係数を同一とみな
    してΓ相の厚さtΓを求める演算式に基づき前記tΓ
    算出する演算手段とを備えたことを特徴とする合金めっ
    き相の厚さ測定装置。
  6. 【請求項6】 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の合金めっき
    相の厚さ測定装置において、 ζ相、δ1 相及びΓ相の3相よりなる合金めっき鋼板の
    表面に、X線波長の異なる第1のX線と第2のX線をそ
    れぞれ入射し、前記鋼板表面から出射される、第1の入
    射X線に基づく第1のFe及びZn両蛍光X線の強度及
    び前記3つの各相の回折X線の強度と、第2の入射X線
    に基づく第2のFe及びZn両蛍光X線の強度とを、そ
    れぞれ対応する受光検出器を介して共に測定する測定手
    段と、 前記測定した第1及び第2の両蛍光X線の強度情報を用
    いてそれぞれ合金めっき相内のFe含有率と合金めっき
    相全体の厚さTとの関係を示す2つの解曲線を求め、次
    に前記2つの解曲線の交点より前記厚さTを求め、次に
    前記Tと前記測定したΓ相の回折X線の強度情報とを用
    いて前記3つの各相の線吸収係数を同一とみなしてΓ相
    の厚さtΓを求める演算式に基づき前記tΓを算出する
    演算手段とを備えたことを特徴とする合金めっき相の厚
    さ測定装置。
  7. 【請求項7】 前記Γ相の厚さtΓを求める演算式とし
    て下記の(1)式を用いて前記tΓを算出する演算手段
    を備えたことを特徴とする請求項5又は請求項6記載の
    合金めっき相の厚さ測定装置。 【数2】 なお(1)式において、Tは合金めっき相全体の厚さ、
    μは合金めっき各相で同一とみなした線吸収係数、I0
    は入射X線強度、KΓはX線装置、試料、X線波長、入
    射角及び取出角、回折角、並びにΓ相の回折面等によっ
    て決定する定数、IΓはΓ相の回折X線強度、γは1/
    sinφ3 +1/sinΨ3 であり、且つ前記φ3 ,Ψ
    3 はそれぞれΓ相の入射角、取出角であり、φ3 とΨ3
    の和はΓ相の回折角に等しい。
  8. 【請求項8】 前記ζ相、δ1 相及びΓ相の各相の厚さ
    測定装置として、 ζ相の厚さtζは、ζ相の回折X線強度情報に基づき算
    出し、 Γ相の厚さtΓは、Γ相の回折X線強度情報及び合金め
    っき相全体の厚さTの情報に基づき算出し、 δ1 相の厚さtδ1 は、前記Tから前記算出したtζ
    Γとの和を減算して算出する演算手段を備えたことを
    特徴とする請求項5、請求項6又は請求項7記載の合金
    めっき相の厚さ測定装置。
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