JPH07258242A - 抗腫瘍性物質be−39891類 - Google Patents

抗腫瘍性物質be−39891類

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JPH07258242A
JPH07258242A JP7144894A JP7144894A JPH07258242A JP H07258242 A JPH07258242 A JP H07258242A JP 7144894 A JP7144894 A JP 7144894A JP 7144894 A JP7144894 A JP 7144894A JP H07258242 A JPH07258242 A JP H07258242A
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JP
Japan
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compound
formula
streptomyces
strain
microorganism
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JP7144894A
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English (en)
Inventor
Koichiro Torigoe
浩一郎 鳥越
Shigeru Nakajima
中島  茂
Hajime Suzuki
肇 鈴木
Katsuhisa Ojiri
勝久 小尻
Hiroyuki Suda
寛之 須田
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MSD KK
Original Assignee
Banyu Phamaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】一般式: 【化1】 (式中、Rは水素原子または低級アルキル基を示す)で
表される化合物又はその薬学的に許容しうる塩。 【効果】本発明に記載するBE−39891類は、癌細
胞に対して強い増殖抑制効果を示すことから、医薬の分
野で癌の治療剤として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は医薬の分野で有用であ
り、より具体的には腫瘍細胞の増殖を阻害し、制癌効果
を発揮する新規化合物BE−39891類、その製造法
及びその用途並びにBE−39891を産生する新規な
ストレプトミセス(Streptomyces)属に属
する微生物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】癌化学療法の分野においては、既に多く
の化合物が医薬品として実用化されている。しかしなが
らさまざまな種類の腫瘍に対してその効果は必ずしも充
分ではなく、また臨床上これらの薬剤に対する腫瘍細胞
の耐性現象が明らかにされるにつれ、その臨床的応用性
は複雑化している[第47回日本癌学会総会記事、12
頁〜15頁(1988年)参照]。このような状況下、
癌治療の分野においては常に新規制癌物質の開発が求め
られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の希求に
応えることのできる新規な制癌物質を提供することを目
的とするものである。即ち、既存の制癌物質が充分に効
果を発揮できない種類の癌に対しても優れた制癌活性を
有する化合物を見いだすことが本発明が解決しようとす
る課題である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく、抗腫瘍活性を有する物質について微生
物二次代謝産物を広くスクリーニングした結果、下記一
般式(1)で表される化合物が優れた抗腫瘍作用を示す
ことを見いだして本発明を完成した。
【0005】即ち、本発明は新規な式:
【0006】
【化5】 (式中、Rは水素原子または低級アルキル基を示す)で
表される化合物、その薬学的に許容しうる塩、その製法
及び用途並びに一般式(1)の化合物のうちRが水素原
子である化合物を産生する能力を有するストレプトミセ
ス(Streptomyces)属に属する微生物に関
するものである。
【0007】なお、明細書中、低級アルキル基とは、メ
チル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチ
ル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6個の分
枝状又は直鎖状のアルキル基を意味する。
【0008】以下、一般式(1)で表されるBE−39
891類と称される化合物のうちRが水素原子である化
合物をBE−39891と称し、Rがメチル基である化
合物をBE−39891MEと称する。
【0009】以下に本発明にかかわる新規な抗腫瘍性物
質BE−39891及びBE−39891MEについて
の物理化学的な性状を示す。
【0010】BE−39891の物理化学的性状 性状 ;無色油状物質 分子式 ;C39688 質量分析;[HRFAB−MS](M+H)+ m/z
665.5018紫外部吸収スペクトル; λmax(MeOH,nm) 201(ε=256
0),277(ε=10380) λmax(0.1N HCl−MeOH 1:9,n
m) 200(ε=3250),277(ε=1070
0) λmax(0.1N NaOH−MeOH 1:9,n
m) 295(ε=13690) 赤外部吸収スペクトル;νmax(KBr,cm-1
2968,1730,1709,1614,1462,
1377,1088,1078,1032,9741 H−NMRスペクトル(CDCl3,500MHz)δ
ppm:0.84(6H,d,J=6.7Hz),0.
86(3H,d,J=6.7Hz),1.00(3H,
d,J=7.0Hz),1.02〜1.17(5H,
m),1.11(3H,d,J=6.4Hz),1.1
2(3H,d,J=7.0Hz),1.13(3H,
d,J=6.7Hz),1.14(3H,s),1.1
5(3H,d,J=6.7Hz),1.27(3H,
s),1.40〜1.58(4H,m),1.58〜
1.72(7H,m),1.75〜2.00(5H,
m),2.06(1H,m),2.12〜2.23(2
H,m),2.42(2H,m),2.54(1H,
m),2.80〜3.30(2H,br s),3.5
8(1H,dt,J=5.5Hz,5.5Hz),3.
79(1H,q,J=6.4Hz),3.97(1H,
dd,J=7.0Hz,8.2Hz),4.13(1
H,m),5.36(2H,m),5.59(1H,
s)13 C−NMRスペクトル(CDCl3,125MHz)
δppm:16.1(q),17.4(q),17.8
(q),18.5(q),18.5(q),19.3
(q),19.3(q),19.3(q),23.9
(q),25.8(q),27.6(t),28.0
(d),28.0(d),30.4(t),30.8
(d),31.9(t),34.0(t),36.8
(d),40.1(d),40.1(d),40.2
(t),40.2(t),41.2(t),41.9
(t),42.4(t),42.9(d),45.0
(t),73.3(d),74.3(d),80.6
(d),83.8(d),85.2(s),86.9
(s),97.7(d),129.4(d),133.
6(d),179.3(s),198.4(s),19
8.6(s) 溶解性;クロロホルム、メタノール、ジメチルスルホキ
シド等の有機溶媒に溶け易く、水に溶けにくい。
【0011】酸性、中性、塩基性物質の区別;酸性物質 Rf値;0.45[メルク社製キーゼルゲル60F254
使用、展開溶媒:クロロホルム/メタノール(15:
1)] 呈色反応;硫酸反応 陽性 リンモリブデン酸反応 陽性BE−39891MEの物理化学的性状 性状 ;無色油状物質 分子式 ;C40708 質量分析;[HRFAB−MS](M+H)+ m/z
679.5066 紫外部吸収スペクトル; λmax(MeOH,nm) 201(ε=323
0),277(ε=12340) λmax(0.1N HCl−MeOH 1:9,n
m) 200(ε=4300),277(ε=1271
0) λmax(0.1N NaOH−MeOH 1:9,n
m) 297(ε=18930) 赤外部吸収スペクトル;νmax(KBr,cm-1
2968,1738,1458,1375,1124,
10901 H−NMRスペクトル(CDCl3,500MHz)δ
ppm:0.81(3H,d,J=6.4Hz),0.
83(3H,d,J=6.4Hz),0.86(3H,
d,J=6.7Hz),1.00(3H,d,J=7.
0Hz),1.02(2H,dd,J=6.7Hz,
7.0Hz),1.05〜1.17(3H,m),1.
09(3H,d,J=6.4Hz),1.10(3H,
d,J=6.1Hz),1.11(3H,d,J=7.
0Hz),1.12(3H,d,J=6.7Hz),
1.13(3H,s),1.25(3H,s),1.4
3〜1.52(4H,m),1.53〜1.71(7
H,m),1.83(3H,m),1.90(1H,
m),1.98(1H,m),2.05(1H,m),
2.12(1H,ddd,J=4.9Hz,9.8H
z,12.5Hz),2.19(1H,m),2.41
(2H,m),2.53(1H,m),3.60(1
H,m),3.65(3H,s),3.73(1H,
q,J=6.7Hz),3.93(1H,dd,J=
7.0Hz,8.3Hz),4.13(1H,m),
5.37(2H,m),5.46(1H,s)13 C−NMRスペクトル(CDCl3,125MHz)
δppm:16.1(q),17.5(q),17.7
(q),18.3(q),18.5(q),19.2
(q),19.3(q),19.4(q),23.7
(q),25.5(q),27.5(t),27.7
(d),27.9(d),30.3(t),30.7
(d),32.1(t),34.1(t),37.1
(d),40.0(d),40.1(d),40.2
(t),40.4(t),40.9(t),42.0
(t),42.2(t),42.8(d),44.5
(t),51.3(q),72.9(d),74.5
(d),80.9(d),83.7(d),85.1
(s),86.9(s),97.0(d),129.1
(d),133.6(d),177.3(s),19
8.4(s),198.7(s) 溶解性;クロロホルム、メタノール、ジメチルスルホキ
シド等の有機溶媒に溶け易く、水に溶けにくい。
【0012】酸性、中性、塩基性物質の区別;中性物質 Rf値;0.75[メルク社製キーゼルゲル60F254
使用、展開溶媒:クロロホルム/メタノール(20:
1)] 呈色反応;硫酸反応 陽性 リンモリブデン酸反応 陽性BE−39891類の生物学的活性(抗腫瘍作用) 抗腫瘍性物質BE−39891およびBE−39891
MEのマウス実験腫瘍細胞に対する増殖阻止作用を決定
するため、in vitroで試験を行なった。マウス
白血病細胞P388に対する抗腫瘍作用試験は、検体を
ジメチルスルホキシドに溶解した後、牛胎児血清10%
含有RPMI1640培地(20μMの2−メルカプト
エタノールを含む)で逐次希釈し、2×103個の腫瘍
細胞を含む細胞培養培地(牛胎児血清10%含有RPM
I1640培地、20μMの2−メルカプトエタノール
を含む)50μlに対し50μlを加えた。37℃で7
2時間、5%CO2下で培養後、MTT測定法[本郷輝
明ら「マイクロプレート短期培養、MTT dye還元
法による制癌感受性試験」、癌と化学療法、14巻、4
72−478頁、1987年]により対照群と比較し
た。
【0013】更に、BE−39891及びBE−398
91MEのヒト癌細胞に対する抗腫瘍活性をin vi
troで試験した。細胞は、ヒト大腸癌細胞DLD−
1、ヒト肺癌細胞PC−13及びヒト胃癌細胞MKN−
45を使用し、細胞培養用培地は、全ての癌細胞共に牛
胎児血清10%含有RPMI1640培地を用いた。検
体をまずジメチルスルホキシドに溶解し、次に牛胎児血
清10%含有RPMI1640培地で逐次希釈して検液
とした。癌細胞増殖阻害の検定は、1×103個の癌細
胞を含む細胞培養用の培地100μlを96穴マイクロ
プレートに分注し、37℃で24時間、5%CO2下で
培養した後、上記検液100μlを加えた。更に、72
時間培養後細胞を50%トリクロロ酢酸で固定し、0.
4%スルホローダミンBで染色後、10mMトリス液を
用いて細胞から色素を抽出した。450nmを対照波長
として550nmに於ける吸光度を測定して対照群と比
較した。その結果、BE−39891類はヒト腫瘍細胞
においても強い増殖阻害活性を示し、その50%増殖阻
止濃度(IC50)値は第1表の通りであった。
【0014】
【表1】 上述したようにBE−39891類はマウス及びヒトの
癌細胞に対し顕著な増殖阻止作用を示す。従って、本発
明はヒトをはじめとする哺乳動物の抗腫瘍剤として有用
である。
【0015】次いで、BE−39891の製造法につい
て説明する。
【0016】本発明の抗腫瘍性物質BE−39891の
製造に使用する微生物又はその変異株は、抗腫瘍性物質
BE−39891を生産するものならばいずれでも良い
が、例えば以下の菌学的性状を有する微生物が挙げられ
る。 1.形態 A39891株はよく伸長し分岐する基生菌糸と気菌糸
を形成し輪生岐および菌糸の分断は認められない。胞子
の形状は、卵型、三角型、T字型で大きさが0.6〜
0.9×0.7〜1.2mm位でその表面は平滑であ
る。胞子の鎖(10個以上)は気菌糸上に形成され、三
角型およびT字型の胞子を基点として分枝する。
【0017】胞子のう、鞭毛胞子、および菌核等の特殊
な器官は観察されない。 2.培養性状 各種寒天平板培地における28℃、14日間培養時の性
状を第2表に示す。
【0018】
【表2】 3.生育温度(イースト・麦芽寒天培地、14日間培
養) 12℃;生育せず 16℃;生育良好、気菌糸形成せず 19℃;生育非常に良好、気菌糸形成僅少 23℃;生育非常に良好、気菌糸形成良好 28℃;生育非常に良好、気菌糸形成良好 32℃;生育非常に良好、気菌糸形成良好 37℃;生育せず 4.生理学的諸性質 (1)ゼラチンの液化 陽性 (グルコース・ペプトン・ゼラチン培地) (2)スターチの加水分解 陽性 (スターチ・無機塩寒天培地) (3)脱脂粉乳の凝固 陰性 (スキムミルク培地) (4)脱脂粉乳のペプトン化 陽性 (スキムミルク培地) (5)メラニン様色素の生成 陰性 (6)食塩耐性 食塩含有量4%以下で生育 (イースト・麦芽寒天培地) 5.炭素源の利用能 プリドハム・ゴドリーブ寒天を基礎培地とし、下記各種
糖を添加して28℃14日間培養した。その結果を第3
表に示す。
【0019】
【表3】 6.細胞壁組成 LLージアミノピメリン酸およびグリシンが検出され
た。
【0020】以上の菌学的諸性質よりA39891株は
放線菌ストレプトミセス属に属すると考えられる。
【0021】したがってA39891株をストレプトミ
セス エスピー A39891(Streptomyc
es sp.A39891)と称することとした。
【0022】また、Sci.Reports of M
eiji Seika Kaisha No.13,7
2−79(1973)など文献調査の結果、Strep
tomyces triangulatusが近縁の種
と推定された。
【0023】尚、本菌株は通商産業省工業技術院生命工
学工業技術研究所に寄託されており、その受託番号はF
ERM P−14070である。
【0024】本発明で使用する抗腫瘍性物質BE−39
891を生産する微生物の変異株は、例えばX線若しく
は紫外線などの照射処理、例えばナイトロジェンマスタ
ード、アザセリン、亜硝酸、2−アミノプリン若しくは
N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン
(NTG)等の変異誘起剤による処理、ファージ接触、
形質、転換形質導入又は接合などの通常用いられる菌種
変換処理方法によりBE−39891生産菌を変異させ
た微生物である。
【0025】本発明のBE−39891及びBE−39
891MEを製造するにあたり、BE−39891の生
産菌株を栄養源含有培地に接種して好気的に発育させる
ことにより、BE−39891を含む培養物が得られ
る。栄養源としては、放線菌の栄養源として公知のもの
が使用できる。例えば、炭素源としては、市販されてい
るブドウ糖、麦芽糖、デンプン、庶糖、糖蜜又はデキス
トリンなどが単独又は混合物として用いられる。窒素源
としては、市販されている大豆粉、コーンステイープリ
カー、肉エキス、酵母エキス、乾燥酵母、綿実粉、ペプ
トン、小麦胚芽、魚粉、ミートミール、脱脂米ヌカ、脱
脂肉骨粉、無機アンモニウム塩又は硝酸ナトリウムなど
が単独又は混合物として用いられる。無機塩としては、
市販されている炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、塩化
カリウム、硫酸マグネシウム、臭化ナトリウム、ホウ酸
ナトリウム又は各種リン酸塩などを使用することができ
る。その他必要に応じて、鉄、マンガン、亜鉛、コバル
ト、モリブデンなどの重金属塩を微量添加することもで
きる。また、発泡の激しい場合には消泡剤として、例え
ば大豆油又は亜麻仁油などの植物油、オクタデカノール
などの高級アルコール類、各種シリコン化合物などを適
宜添加してもよい。これらのもの以外でも、該生産菌が
利用し、BE−39891の生産に役立つもの例えば3
−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸又はホウ酸ナ
トリウムなどであれば、いずれも使用することができ
る。
【0026】培養方法としては、一般の微生物代謝産物
の生産方法と同様に行なえばよく、固体培養でも液体培
養でもよい。液体培養の場合は、静置培養、攪拌培養、
振とう培養又は通気培養などのいずれを実施してもよい
が、特に振盪培養又は深部通気攪拌培養が望ましい。培
養温度は27〜37℃が適当であるが、好ましくは25
〜30℃である。好ましい培地のpHは4〜8の範囲
で、培養時間は72時間〜360時間、好ましくは96
時間〜240時間である。培養物から目的とするBE−
39891を採取するには、微生物の生産する代謝物か
ら採取するのに通常使用される分離手段が適宜利用され
る。
【0027】BE−39891は培養濾液中及び菌体中
に存在するので、培養濾液または菌体より通常の分離手
段、例えば溶媒抽出法、イオン交換樹脂法、吸着クロマ
トグラフィー、分配クロマトグラフィー法、ゲル濾過法
などを単独又は組み合わせて行なうことにより精製でき
る。
【0028】好ましい分離精製の例として次の方法が挙
げられる。まず培養液を濾過し、菌体を得る。得られた
菌体をメタノールまたはアセトンなどの有機溶媒を用い
て抽出する。得られた粗抽出物について、水−酢酸エチ
ル分配を行ない、酢酸エチルを留去後得られる抽出物に
ついてシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム/
メタノールで溶出)を行なう。BE−39891を含む
フラクションを減圧下に濃縮し、更にゲル濾過(メタノ
ールで溶出)を行なう。BE−39891を含むフラク
ションを減圧下で濃縮し、残留物を更に逆相カラムクロ
マトグラフィーによって精製することにより、BE−3
9891を無色油状物質として得ることができる。
【0029】次にBE−39891低級アルキルエステ
ル体の製造法について説明する。
【0030】本発明のBE−39891MEは本発明の
BE−39891をメチル化することにより得ることが
できる。用いるメチル化剤はジアゾメタンまたはトリメ
チルシリルジアゾメタン等でよく、メチル化は有機溶媒
中(例えばエーテル、ヘキサン、メタノール、クロロホ
ルム等を単独又は、組み合わせて用いる)で、加熱し、
又は加熱せずに行なうとができる。メチル化物は減圧
下、溶媒留去後、従来の分離法例えば、逆相カラムクロ
マトグラフィー等を行なうことにより、純粋なBE−3
9891MEを得ることができる。更に、メチルエステ
ル誘導体及びメチルエステル体以外の低級アルキルエス
テル誘導体は化学の分野で通常良く知られているカルボ
ン酸のエステル化法を使って製造することができる。例
えば、BE−39891を良くとかす溶媒、例えばクロ
ロホルム/メタノール(1:2)などの溶媒にBE−3
9891を溶解し、これに低級アルキルアルコールを加
え、塩酸などの酸を添加することにより対応するBE−
39891の低級アルキルエステルを製造することがで
きる。
【0031】本発明化合物を抗腫瘍剤として使用する際
に、本化合物の薬学的に許容しうる塩としても使用され
る。これらには、通常の無機塩基、有機塩基との塩が含
まれるが、薬学的に許容しうる塩の典型例としては例え
ばナトリウム塩、カリウム塩等を挙げることができる。
【0032】本発明の化合物BE−39891及びBE
−39891MEは腫瘍細胞の増殖を阻害し、制癌効果
を発揮するが、本発明化合物を抗腫瘍剤として使用する
際の投与形態としては各種の形態を選択でき、例えば錠
剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤もしくは液剤などの経口
剤、又は例えば溶液もしくは懸濁液などの殺菌した液状
の非経口剤が挙げられる。
【0033】固体の製剤は、そのまま錠剤、カプセル
剤、顆粒剤又は粉末の形態として製造することもできる
が、適当な添加物を使用して製造することもできる。そ
のような添加物としては、例えば乳糖もしくはブドウ糖
などの糖類、例えばトウモロコシ、小麦もしくは米など
のデンプン類、例えばステアリン酸などの脂肪酸、例え
ばメタケイ酸アルミン酸マグネシウムもしくは無水リン
酸カルシウムなどの無機塩、例えばポリビニルピロリド
ンもしくはポリアルキレングリコールなどの合成高分
子、例えばステアリン酸カルシウムもしくはステアリン
酸マグネシウムなどの脂肪酸塩、例えばステアリルアル
コールもしくはベンジルアルコールなどのアルコール
類、例えばメチルセルルース、カルボキシメチルセルロ
ース、エチルセルロースもしくはヒドロキシプロピルメ
チルセルロースなどの合成セルロース誘導体、その他、
水、ゼラチン、タルク、植物油、アラビアゴムなど通常
用いられる添加物が挙げられる。
【0034】これらの錠剤、カプセル剤、顆粒剤及び粉
末などの固形製剤は一般的には0.1〜100重量%、
好ましくは5〜100重量%の有効成分を含む。
【0035】液状製剤は、水、アルコール類又は例えば
大豆油、ピーナッツ油もしくはゴマ油などの植物由来の
油など液状製剤において通常用いられる適当な添加剤を
使用し、懸濁液、シロップ剤もしくは注射剤などの形態
として製造される。
【0036】特に、非経口的に筋肉内注射、静脈注射又
は皮下注射で投与する場合の適当な溶剤としては、例え
ば注射用蒸留水、塩酸リドカイン水溶液(筋肉注射
用)、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、エタノール、静脈
内注射用液体(例えばクエン酸及びクエン酸ナトリウム
などの水溶液)もしくは電解質溶液(点滴静注及び静脈
内注射用)など、又はこれらの混合溶液が挙げられる。
【0037】これらの注射剤はあらかじめ溶解したもの
のほか、粉末のままあるいは適当な添加剤を加えたもの
を用時溶解する形態もとり得る。これらの注射液 は通
常、0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%の有
効成分を含む。
【0038】又、経口投与の懸濁剤又はシロップ剤など
の液剤は、0.5〜10重量%の有効成分を含む。
【0039】本発明の化合物の実際に好ましい投与量
は、使用される化合物の種類、配合された組成物の種
類、適用頻度及び治療すべき特定部位、宿主及び腫瘍に
よって変化することに注意すべきである。例えば、1日
あたりの成人の投与量は、経口投与の場合、10〜50
0mgであり、非経口投与、好ましくは静脈注射の場
合、1日あたり、10〜100mgである。なお、投与
回数は投与方法及び症状によって異なるが、1回ないし
5回である。
【0040】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。
【0041】実施例1 斜面軟寒天培地に接種した放線菌A39891株をグル
コース0.2%、デキストリン2%、ミートミール0.
5%、脱脂米ヌカ0.5%、脱脂肉骨粉0.1%、乾燥
酵母0.05%、硫酸マグネシウム0.025%、臭化
ナトリウム0.025%、塩化ナトリウム0.25%、
リン酸水素二カリウム0.05%、硫酸第一鉄0.00
02%、塩化第二銅0.00004%、塩化マンガン
0.00004%、塩化コバルト0.00004%、硫
酸亜鉛0.00008%、ホウ酸ナトリウム0.000
08%、及びモリブデン酸ナトリウム0.00024%
からなる培地(pH7.2)100ml含む500ml
容の三角フラスコ2本に接種し、28℃で72時間、回
転振盪機(毎分180回転)上で培養した。この培養液
を2mlずつ上記の培地を100ml含む500ml容
の三角フラスコ100本に接種し28℃で144時間、
回転振盪機(毎分180回転)上で培養した。
【0042】このようにして得られた培養液(10L)
から濾過により菌体を分離し、この菌体にメタノール4
Lを加え、30分攪拌後濾過した。残渣に更に4Lのメ
タノールを加え攪拌後、濾過した。この濾液を減圧下3
00mlまで濃縮した後、酢酸エチル300mlで抽出
した。酢酸エチル層を更に300mlの水で洗浄した。
得られた酢酸エチル層を減圧下に濃縮し、残渣を200
mlの90%メタノールに溶解し200mlのn−ヘキ
サンで2回洗浄した。この90%メタノール画分を減圧
下に濃縮し、粗抽出物を得た。この粗抽出物をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー(メルク社製キーゼルゲル
60、70〜230メッシュ、3.0φ×20cm,ク
ロロホルム/メタノール(19:1)で溶出)に付し、
溶出した活性画分を更にセファデックスLH−20カラ
ム(ファルマシア社、2.8φ×44cm)にかけメタ
ノールで溶出した。次に、BE−39891を含む画分
を集め、減圧下に濃縮して得られたものをODSカラム
(CapcellpakTM18,資生堂,20φ×25
0mm)で精製した。移動相として0.5%の酢酸を含
む85%のアセトニトリル水を用い、毎分5mlで送液
して分取高速液体クロマトグラフィーを行なった結果、
BE−39891を320mgを得た。
【0043】実施例2 84mgのBE−39891をクロロホルム/メタノー
ル(1:2)1.5mlに溶解し、10%のトリメチル
シリルジアゾメタンのn−ヘキサン溶液を0.7mlを
加え室温で攪拌する。3時間後、溶媒を減圧下に留去
し、残留物を高速液体クロマトグラフィーに供した。カ
プセルパック C18 (CapcellpakTM
18、資生堂、1.0φ×25cm)を用い、移動相90
%アセトニトリルを毎分2mlで送液し、活性画分をあ
つめ、純粋なBE−39891ME33.4mgを得
た。
【0044】以下に本発明の化合物の製剤例を示すが、
本発明の化合物の製剤は本製剤例に限定されるものでは
ない。
【0045】製剤例1 BE−39891 10(部) 重質酸化マグネシウム 15 乳糖 75 を均一に混合して、350μm以下の粉末状又は細粒状
の散剤とする。この散剤をカプセル容器に入れカプセル
剤とした。
【0046】製剤例2 BE−39891 45(部) 澱粉 15 乳糖 16 結晶性セルロース 21 ポリビニルアルコール 3 蒸留水 30 を均一に混合した後、破砕造粒して乾燥し、次いで篩別
して直径177〜1410μmの大きさの顆粒剤とし
た。
【0047】製剤例3 製剤例2と同様の方法で顆粒剤を作製した後、この顆粒
剤96部に対してステアリン酸カルシウム3部を加えて
圧縮成形し直径10mmの錠剤を作製した。
【0048】製剤例4 製剤例2の方法で得られた顆粒剤90部に対して結晶性
セルロース10部及びステアリン酸カルシウム3部を加
えて圧縮成形し、直径8mmの錠剤とした後、これにシ
ロップゼラチン、沈降性炭酸カルシウム混合懸濁液を加
えて糖衣錠を作製した。
【0049】製剤例5 BE−39891 0.6(部) 非イオン系界面活性剤 2.4 生理的食塩水 97 を加温混合してからアンプルに入れ、滅菌を行なって注
射剤を作製した。
【0050】
【発明の効果】本発明に記載するBE−39891類
は、癌細胞に対して強い増殖抑制効果を示すことから、
医薬の分野で癌の治療剤として有用である。
【0051】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:465) (C12P 17/16 C12R 1:465) (72)発明者 小尻 勝久 茨城県つくば市大久保3番 萬有製薬株式 会社つくば研究所内 (72)発明者 須田 寛之 茨城県つくば市大久保3番 萬有製薬株式 会社つくば研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式: 【化1】 (式中、Rは水素原子または低級アルキル基を示す)で
    表される化合物又はその薬学的に許容しうる塩。
  2. 【請求項2】ストレプトミセス(Streptomyc
    es)属に属し、下記式(2)の化合物を産生する能力
    を有する微生物又はその変異株を培養し、その培養物か
    ら下記式(2)で表される化合物を採取し、要すれば薬
    学的に許容しうる塩とすることを特徴とする、式: 【化2】 で表される化合物又はその薬学的に許容しうる塩の製
    法。
  3. 【請求項3】微生物又はその変異株が、ストレプトミセ
    ス エスピー(Streptomyces sp.)A
    39891株又はその変異株である請求項2記載の製
    法。
  4. 【請求項4】式: 【化3】 で表される化合物又はその塩をエステル化することを特
    徴とする、式: 【化4】 (式中、R1は低級アルキル基を示す)で表される化合
    物の製法。
  5. 【請求項5】請求項1記載の一般式(1)で表される化
    合物又はそれらの薬学的に許容しうる塩を有効成分とす
    る抗腫瘍剤。
  6. 【請求項6】請求項2記載の式(2)の化合物を生産す
    る能力を有するストレプトミセス(Streptomy
    ces)属に属する微生物又はその変異株。
  7. 【請求項7】請求項2記載の式(2)の化合物を生産す
    る能力を有するストレプトミセス エスピー(Stre
    ptomyces sp.)A39891株又はその変
    異株。
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