JPH0725893A - 抗腫瘍性物質be−13793x及びbe−13793xa - Google Patents

抗腫瘍性物質be−13793x及びbe−13793xa

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JPH0725893A
JPH0725893A JP5194000A JP19400093A JPH0725893A JP H0725893 A JPH0725893 A JP H0725893A JP 5194000 A JP5194000 A JP 5194000A JP 19400093 A JP19400093 A JP 19400093A JP H0725893 A JPH0725893 A JP H0725893A
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formula
compound
cells
acid
culture
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JP5194000A
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Katsuhisa Ojiri
勝久 小尻
Hiroshi Nishioka
浩 西岡
Koichiro Torigoe
浩一郎 鳥越
Shigeru Nakajima
中島  茂
Kenji Kawamura
健二 河村
Hiroyuki Suda
寛之 須田
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MSD KK
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Banyu Phamaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】式: 【化1】 で表される化合物、式: 【化2】 で表される化合物又はその薬学的に許容しうる塩。 【効果】本発明に記載するBE−13793X及びBE
−13793XAは、マウス及びヒトの癌細胞に対し、
強い増殖抑制効果を示すことから、医薬の分野で癌の治
療剤として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は医薬の分野で有用であ
り、より具体的には腫瘍細胞の増殖を阻害し、制癌効果
を発揮する新規化合物BE−13793X、その新規酸
加水分解物BE−13793XA、その製造法及びその
用途並びにBE−13793Xを産生するストレプトバ
ーティシリウム(Streptoverticilli
um)属に属する微生物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】癌化学療法の分野においては、既に多く
の化合物が医薬品として実用化されている。しかしなが
らさまざまな種類の腫瘍に対してその効果は必ずしも充
分ではなく、また臨床上これらの薬剤に対する腫瘍細胞
の耐性現象が明らかにされるにつれ、その臨床的応用性
は複雑化している[第47回日本癌学会総会記事、12
頁−15頁(1988年)参照]。このような状況下、
癌治療の分野においては常に新規制癌物質の開発が求め
られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の希求に
応えることのできる新規な制癌物質を提供することを目
的とするものである。即ち、既存の制癌物質が充分に効
果を発揮できない種類の癌に対しても優れた制癌活性を
有する化合物を見いだすことが本発明が解決しようとす
る課題である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく、抗腫瘍活性を有する物質について微生
物二次代謝産物を広くスクリーニングした結果、後記式
[I]で表される化合物及び式[II]で表される式
[I]の酸加水分解生成物が優れた抗腫瘍作用を示すこ
とを見いだして本発明を完成した。
【0005】即ち、本発明は新規な式:
【0006】
【化4】 で表される化合物(以下、BE−13793Xとい
う)、式:
【0007】
【化5】 で表される化合物(以下、BE−13793XAとい
う)又はその薬学的に許容しうる塩、その製法及びその
用途並びに式[I]の化合物を産生する能力を有するス
トレプトバーティシリウム属に属する微生物に関するも
のである。
【0008】以下に、本発明に係わる新規な抗腫瘍性物
質BE−13793X及びBE−13793XAについ
ての物理化学的な性状を示す。
【0009】BE−13793Xの物理化学的性状 性状 ;黄色アモルファス状固体又は結晶 分子式 ;C475620 融点 ;198−202℃ 高分解能FAB−MS(m/z);941.3413
(M+H)+ 比旋光度;[a]20 D =+215°(c 0.97,
MeOH) 紫外部吸収スペクトル; [MeOH中]:λmax,nm(ε) 231(2
5,820),274(28,530),295(sh
18,800),362(14090),420
(4,460) [0.1N HCl−MeOH中]:λmax,nm
(ε) 231(27,570),250(23,09
0),276(35,850), 296(sh 2
4,010),360(16,740),420(4,
210) [0.1N NaOH−MeOH中]:λmax,nm
(ε) 236(sh 31,580),277(2
5,520),391(17,670) 赤外部吸収スペクトル(KBr錠);ν(cm-1) 3
466,2938,1668,1629,1578,1
563,1467,1449,1380,1341,1
257,1230,1170,1062,9871 H−NMRスペクトル (DMSO−d6,δ pp
m);0.94(3H,t,J=7.0Hz),1.1
8(3H,d,J=6.0Hz), 1.20(3H,
d, J=6.0Hz), 1.21(3H,d,J
=6.0Hz),1.25(1H,m),1.40(1
H,m),1.47(2H,m),1.62(1H,
m),1.68(1H,m),1.78(1H,m),
2.08(1H,m),2.31(1H,m),2.4
8(1H,m),2.89(1H,m),2.97(3
H,m),3.14(2H,m),3.29(1H,
m),3.32(3H,s),3.36(2H,m),
3.51(1H,m),3.72(1H,m),3.9
6(3H,s),4.54(1H,br s),4.5
8(1H,s),4.61(1H,dd,J=9.8,
1.8Hz),4.72(1H,dd,J=9.8,
1.4Hz),4.75(1H,m),4.89(1
H,d,J=3.6Hz),5.04(1H,br
s),5.15(1H,d,J=5.4Hz),5.2
0(1H,br d,J=9.8Hz),5.47(2
H,br s),6.91(1H,s),7.12(1
H,d,J=8.8Hz),7.62(1H,d,J=
8.8Hz),11.7(2H,brs),12.2
(1H,br s)13 C−NMRスペクトル (DMSO−d 6,δ pp
m);13.6,17.6,17.7,17.7,1
8.0,31.7,35.9,36.0,36.4,3
8.7,56.6,62.5,64.4,68.5,6
9.8,71.2,71.7,71.9,74.0,7
4.7,77.3,79.3,79.6,86.8,9
6.7,97.7,100.1,106.5,107.
3,108.0,108.5,113.1,117.
7,119.8,127.1,138.0,139.
2,139.3,141.4,145.8,148.
3,149.9,150.3,152.9,158.
2,169.8,185.8 溶解性;酢酸エチル、メタノール、ジメチルスルホキシ
ド等の有機溶媒に溶け易く、水に溶けにくい。
【0010】酸性、中性、塩基性物質の区別;酸性物質 Rf値;0.45[メルク社製キーゼルゲル60使用、
展開溶媒:クロロホルム/メタノール(10:1)] 呈色反応;硫酸反応(陽性)、塩化第二鉄反応(陽
性)、過マンガン酸カリウム反応(陽性)BE−13793XAの物理化学的性状 性状 ;黄色アモルファス状固体又は結晶 分子式 ;C282411 融点 ;178−180℃ 高分解能FAB−MS(m/z);537.1402
(M+H)+ 比旋光度;[a]20 D=+449°(c 1.00,M
eOH) 紫外部吸収スペクトル; [MeOH中]:λmax,nm(ε) 235(2
7,050),274(sh 25,260),284
(26,870),374 (12,370),434
(5,700) [0.1N HCl−MeOH中]:λmax,nm
(ε) 235(24,100),282(37,08
0),300(sh 23,720),367(12,
400),428(3,480) [0.1N NaOH−MeOH中]:λmax,nm
(ε) 237(sh 30,690),291(2
5,960),395(14,130) 赤外部吸収スペクトル(KBr錠);ν(cm-1) 3
400,2953,2926,2368,2329,1
658,1625,1605,1579,1487,1
467,1437,1382,1303,1257,1
231,1184,10531 H−NMRスペクトル(DMSO−d6,δ pp
m);0.94(3H,t,J=7.3Hz),1.4
7(2H,m),1.68(1H,m),1.78(1
H,m),2.96(1H,dd,J=16.5,1
0.3Hz),3.14(1H,dd,J=16.5,
3.6Hz),3.95(3H,s),4.52(1
H,br t,J=3.7Hz),4.76(1H,
m),5.03(1H,br t,J=3.7Hz),
5.46(2H,br s),6.90(1H,s),
7.07(1H,d,J=8.8Hz),7.37(1
H,d,J=8.8Hz),9.49(1H,s),1
1.5(1H,s),11.7(1H,s),12.3
(1H,s)13 C−NMRスペクトル(DMSO−d6,δ pp
m);13.6,17.7,31.7,36.0,6
2.4,64.4,71.2,79.3,106.5,
107.2,107.9,108.4,112.6,1
17.8,119.8,124.9,138.0,13
9.0,140.7,141.0,145.8,14
6.9,148.0,148.4,152.8,15
8.1,169.8,185.9 溶解性;酢酸エチル、メタノール、ジメチルスルホキシ
ド等の有機溶媒に溶け易く、水に溶けにくい。
【0011】酸性、中性、塩基性物質の区別;酸性物質 Rf値;0.44[メルク社製キーゼルゲル60使用、
展開溶媒:クロロホルム/メタノール(10:1)] 呈色反応;硫酸反応(陽性)、塩化第二鉄反応(陽
性)、過マンガン酸カリウム反応(陽性)BE−13793X及びBE−13793XAの生物学
的活性(抗腫瘍作用) 抗腫瘍性物質BE−13793Xのマウス実験腫瘍細胞
に対する増殖阻止作用を決定するため、in vitr
oで試験を行なった。マウス白血病細胞P388及びマ
ウス大腸癌細胞colon 26に対する抗腫瘍試験
は、BE−13793Xをジメチルスルホキシドに溶解
した後、PBS(−)(Ca2+,Mg2+free ph
osphate buffered saline)で
逐次希釈し、3×103個の腫瘍細胞を含む細胞培養培
地(牛胎児血清10%含有RPMI−1640培地)1
00μlに対し10μlを加えた。37℃で72時間、
5%CO2下で培養後、P388細胞はMTT測定法に
より対照群と比較した。colon 26細胞は、50
%トリクロロ酢酸で固定し、0.4%スルホローダミン
Bで染色後、10mMトリス液を用いて細胞から色素を
抽出した。450nmを対照波長として540nmに於
ける吸光度を測定して対照群と比較した。その結果、B
E−13793Xは両癌細胞に対し、強い増殖阻止活性
を示し、50%増殖阻害濃度(IC50)は第1表の通り
であった。更に、BE−13793Xのヒト癌細胞に対
する抗腫瘍活性をin vitroで試験した。細胞
は、ヒト大腸癌細胞DLD−1、ヒト肺癌細胞PC−1
3及びヒト胃癌細胞MKN−45を使用し、細胞培養用
培地は、全ての癌細胞共に牛胎児血清10%含有RPM
I−1640培地を用いた。BE−13793Xをまず
ジメチルスルホキシドに溶解し、次にPBS(−)で逐
次希釈して検液とした。癌細胞増殖阻害の検定は、3×
103個の癌細胞を含む細胞培養用の培地100μlを
96穴マイクロプレートに分注し、37℃で24時間、
5% CO2下で培養した後、上記検液10μlを加え
た。更に、72時間培養後細胞を50%トリクロロ酢酸
で固定し、以下colon 26細胞と同様の方法を用
い対照群と比較検討した。その結果、BE−13793
Xはヒト腫瘍細胞においても強い増殖阻害活性を示し、
そのIC50値は第1表の通りであった。また、抗腫瘍性
物質BE−13793XAのマウス実験腫瘍(P388
細胞)及びヒト癌細胞(DLD−1細胞、PC−13細
胞、MKN−45細胞)に対する抗腫瘍活性について
も、BE−13793Xと同様の方法により測定を行な
い、そのIC50値を第1表に示した。
【0012】
【表1】 上述したようにBE−13793X及びBE−1379
3XAはマウス及びヒトの癌細胞に対し顕著な増殖阻止
作用を示す。従って、本発明はヒトをはじめとする哺乳
動物の抗腫瘍剤として有用である。
【0013】BE−13793Xの製造法について説明
する。
【0014】本発明の抗腫瘍性物質BE−13793X
の製造に使用する微生物又はその変異株は、抗腫瘍性物
質BE−13793Xを産生するものならばいずれでも
良いが、例えば以下の菌学的性状を有する微生物を挙げ
ることができる。 1.形 態 BA−13793株は、顕微鏡下で、よく発達した気菌
糸よりほぼ一定間隔の輪生枝が形成され、さらに5〜8
本の二次分枝を形成し、それらの先端が5〜10ヶの直
状の胞子鎖となっている。
【0015】胞子の大きさが0.5×1〜1.5μm位
の円筒状で、その表面は平滑である。
【0016】胞子のう、鞭毛胞子、菌核等の特殊な器官
及び菌糸の分断は観察されない。 2.培養性状 各種寒天平板培地における28℃、14日間培養時の性
状を第2表に示す。
【0017】
【表2】 3.生 3.生育温度(イースト・麦芽寒天培地、14日間培
養) 12℃:生育は不良で気菌糸を形成せず 20℃:生育は不良で気菌糸を形成せず 28℃:生育及び気菌糸形成は良好 37℃:生育は良好で気菌糸形成は不良 45℃:生育せず 4.生理学的諸性質 (1)ゼラチンの液化 陰性 (グルコース・ペプトン・ゼラチン培地) (2)スターチの加水分解 陽性 (スターチ・無機塩寒天培地) (3)脱脂牛乳の凝固及びペプトン化 陰性 (スキムミルク培地) (4)メラニン様色素の生成 陰性 (5)食塩耐性 食塩含有量4%以下で生育 (イースト・麦芽寒天培地) 5.炭素源の利用能 プリドハム・ゴドリーブ寒天を基礎培地として、下記の
各種糖を添加して、28℃、14日間培養した。その結
果を第3表に示す。
【0018】
【表3】 6.細胞壁のアミノ酸 LL−ジアミノピメリン酸及びグリシンが検出された。
【0019】以上の菌学的性状により、BA−1379
3株は放線菌ストレプトバーティシリウム属に分類さ
れ、バージーズ・マニュアル・オブ・デターミナティブ
・バクテリオロジー第8版、1974年(Berge
y’s Manual of Determinati
ve Bacteriology 8th Editi
on, 1974)及び放線菌の同定実験法(日本放線
菌学会編)などの文献検索によると、ストレプトバーテ
ィシリウム・モバラエンス(Streptoverti
cillium mobaraense)が近縁な種と
して挙げられる。しかし、BA−13793株とはラフ
ィノース、シュクロースの利用能が異なり、また寒天培
地上での培養性状における菌糸の色調などの点では、ス
トレプトバーティシリウム・モバラエンスは緑色が基調
になっており、BA−13793株とは異なる。従っ
て、新規な微生物であることから、BA−13793株
をストレプトバーティシリウム・エスピー・BA−13
793(Streptoverticillium s
p. BA−13793)と称する。
【0020】なお、本菌株は通商産業省工業技術院微生
物工業技術研究所に国際寄託されており、その微工研受
託番号は微工研条寄第2785号(FERM BP−2
785)である。
【0021】本発明で使用する抗腫瘍性物質BE−13
793Xを産生する微生物の変異株は、例えばX線若し
くは紫外線等の照射処理、例えばナイトロジェン・マス
タード、アザセリン、亜硝酸、2−アミノプリン若しく
はN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニン
(NTG)等の変異誘起剤による処理、ファージ接触、
形質転換、形質導入又は接合等の通常用いられる菌種変
換処理方法によりBE−13793X生産菌を変異させ
た微生物である。
【0022】本発明のBE−13793Xを製造するに
あたり、BE−13793Xの生産菌株BA−1379
3株を栄養源含有培地に接種して好気的に発育させるこ
とにより、BE−13793Xを含む培養物が得られ
る。栄養源としては、放線菌の栄養源として公知のもの
が使用できる。例えば、炭素源としては、市販されてい
るブドウ糖、グリセリン、麦芽糖、デンプン、庶糖、糖
蜜又はデキストリンなどが単独又は混合物として用いら
れる。窒素源としては、市販されている大豆粉、コーン
グルテンミール、コーンスティープリカー、肉エキス、
酵母エキス、綿実粉、ペプトン、小麦胚芽、魚粉、無機
アンモニウム塩又は硝酸ナトリウムなどが単独又は混合
物として用いられる。無機塩としては、市販されている
炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸
マグネシウム又は各種リン酸塩などを使用することがで
きる。その他必要に応じて、鉄、銅、コバルト、モリブ
デン、マンガン又は亜鉛などの重金属塩を微量添加する
こともできる。また、発泡の著しい時には、消泡剤とし
て、例えば大豆油又は亜麻仁油等の植物油、オクタデカ
ノール等の高級アルコール類、各種シリコン化合物等を
適宜添加しても良い。これらのもの以外でも、該生産菌
が利用し、BE−13793Xの生産に役立つもの例え
ば3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸又はホウ
酸ナトリウムなどであれば、いずれも使用することがで
きる。
【0023】培養方法としては、一般の微生物代謝産物
の生産方法と同様に行えばよく、固体培養でも液体培養
でもよい。液体培養の場合は、静置培養、攪拌培養、振
盪培養又は通気培養などのいずれを実施してもよいが、
特に振盪培養又は深部通気攪拌培養が好ましい。培養温
度は20℃〜37℃が適当であるが、25℃〜30℃が
好ましい。好ましい培地のpHは4−8の範囲で、培養
時間は通常BE−13793Xが十分に蓄積するまで継
続でき、使用生産菌や培地組成、培養温度により異なる
が、通常は72−144時間の培養で目的物質を得るこ
とができる。
【0024】かくして、培養物中に蓄積されたBE−1
3793Xは、培養後に必要により、濾過、遠心分離な
どのそれ自体公知の分離方法によって菌体を除去し、そ
の濾液上澄から適当な有機溶媒を用いた溶媒抽出法や吸
着、高速液体クロマトグラフィー、向流分配を利用した
クロマトグラフィーを単独又は組み合わせて使用するこ
とにより単離精製して採取することができる。ここに用
いられる有機溶媒としては、酢酸エチル、メチルエチル
ケトンなどBE−13793Xを溶解でき、水に実質的
に不溶なものを挙げることができる。また、吸着クロマ
トグラフィーの担体としては、活性炭、シリカゲル、多
孔性ポリスチレン−ジビニルベンゼン樹脂を用いること
ができる。また、分離した菌体からは、適当な有機溶媒
を用いた有機溶媒抽出法や 菌体破砕による溶出法に
より菌体から抽出し、上記と同様に単離精製して採取す
ることができる。ここに用いられる有機溶媒としては、
メタノール、アセトンなどBE−13793Xを溶解で
き菌体を破壊できるものを挙げることができる。
【0025】次に、BE−13793XAの製造法につ
いて説明する。
【0026】本発明のBE−13793XAを製造する
にあたり、本発明のBE−13793Xを酸性条件下で
加水分解することにより得られる。用いられる酸は、酢
酸、硫酸、塩酸、硝酸、又はリン酸などでよく、加水分
解は直接、種々の濃度の酸でまたは有機溶媒例えばメタ
ノール、アセトンなどと組み合わせたもので、加熱しま
たは加熱せずに行なうことができる。酸加水分解物BE
−13793XAは、溶媒を除去するために減圧下で蒸
留することにより、反応混合物から回収してもよい。残
留物は水で洗浄され、そして水に非混和性の溶媒例えば
酢酸エチルなどで抽出することにより、純粋なBE−1
3793XAを得ることができる。
【0027】本発明化合物を抗腫瘍剤として使用する際
に、本発明の化合物は薬学的に許容しうる塩としても使
用される。薬学的に許容しうる塩の典型例としては、例
えば苛性ソーダ、苛性カリ等の無機塩基との塩を挙げる
ことができる。
【0028】本発明化合物を抗腫瘍剤として使用する際
の投与形態としては各種の形態を選択でき、例えば錠
剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤若しくは液剤等の経口
剤、又は例えば溶液若しくは懸濁液等の殺菌した液状の
非経口剤が挙げられる。
【0029】固体の製剤は、そのまま錠剤、カプセル
剤、顆粒剤又は粉末の形態として製造することもできる
が、適当な添加物を使用して製造することもできる。そ
のような添加物としては、例えば乳糖若しくはブドウ糖
等の糖類、例えばトウモロコシ、小麦若しくは米等の澱
粉類、例えばステアリン酸等の脂肪酸、例えばメタケイ
酸アルミン酸マグネシウム若しくは無水リン酸カルシウ
ム等の無機塩、例えばポリビニルピロリドン若しくはポ
リアルキレングリコール等の合成高分子、例えばステア
リン酸カルシウム若しくはステアリン酸マグネシウム等
の脂肪酸塩、例えばステアリルアルコール若しくはベン
ジルアルコール等のアルコール類、例えばメチルセルロ
ース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース
若しくはヒドロキシプロピルメチルセルロース等の合成
セルロース誘導体、その他、水、ゼラチン、タルク、植
物油、アラビアゴム等通常用いられる添加物が挙げられ
る。
【0030】これらの錠剤、カプセル剤、顆粒剤及び粉
末等の固形製剤は一般的には0.1〜100重量%、好
ましくは5〜100重量%の有効成分を含む。
【0031】液状製剤は、水、アルコール類又は例えば
大豆油、ピーナツ油若しくはゴマ油等の植物由来の油等
液状製剤において通常用いられる適当な添加物を使用
し、懸濁液、シロップ剤若しくは注射剤等の形態として
製造される。
【0032】特に、非経口的に筋肉内注射、静脈内注射
又は皮下注射で投与する場合の適当な溶剤としては、例
えば注射用蒸留水、塩酸リドカイン水溶液(筋肉内注射
用)、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、エタノール、静脈
内注射用液体(例えばクエン酸及びクエン酸ナトリウム
等の水溶液)若しくは電解質溶液(点滴静注及び静脈内
注射用)等、又はこれらの混合溶液が挙げられる。
【0033】又、これらの注射剤は予め溶解したものの
他、粉末のまま或いは適当な添加物を加えたものを用時
溶解する形態もとり得る。これらの注射液は、通常0.
1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%の有効成分を
含む。又、経口投与の懸濁剤又はシロップ剤等の液剤
は、0.5〜10重量%の有効成分を含む。
【0034】本発明の化合物の実際に好ましい投与量
は、使用される化合物の種類、配合された組成物の種
類、適用頻度及び治療すべき特定部位、宿主及び腫瘍に
よって変化することに注意すべきである。例えば、一日
当りの成人一人当りの投与量は、経口投与の場合、10
ないし500mgであり、非経口投与、好ましくは静脈
内注射の場合、1日当り10ないし100mgである。
なお、投与回数は投与方法及び症状により異なるが、1
回ないし5回である。
【0035】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるも
のではない。
【0036】実施例1 斜面寒天培地に培養したBA−13793株をグルコー
ス0.1%、デキストリン2.0%、コーングルテンミ
ール1.0%、魚粉0.5%、酵母エキス0.1%、塩
化ナトリウム0.1%、硫酸マグネシウム0.05%、
塩化カルシウム0.05%、硫酸第一鉄0.0002
%、塩化第二銅0.00004%、塩化マンガン0.0
0004%、塩化コバルト0.00004%、硫酸亜鉛
0.00008%、ホウ酸ナトリウム0.00008
%、モリブデン酸アンモニウム0.00024%及び3
−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸0.5%から
なる培地(pH6.8)100mlを含む500ml容
の三角フラスコ3本に接種し、28℃で96時間、回転
振盪機(毎分180回転)上で培養した。この培養液
2.5mlをグルコース0.2%、デキストリン4.0
%、酵母エキス0.1%、L−イソロイシン0.5%、
塩化ナトリウム0.1%、硫酸マグネシウム0.05
%、塩化カルシウム0.052%、硫酸第一鉄0.00
02%、塩化第二銅0.00004%、塩化マンガン
0.00004%、塩化コバルト0.00004%、硫
酸亜鉛0.00008%、ホウ酸ナトリウム0.000
08%、モリブデン酸アンモニウム0.00024%及
び3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸0.5%
からなる培地(pH6.8)100mlを含む500m
l容の培養用三角フラスコ100本に接種し、25℃で
6日間、回転振盪機(毎分180回転)上で培養した。
【0037】このようにして得られた培養液(10L)
から濾過により菌体を分離し、この菌体にメタノール4
Lを加え、数時間攪拌後濾過した。この濾液を減圧下で
濃縮した後、先の濾液と合わせ酢酸エチル/メチルエチ
ルケトン(3:1)の混合溶媒10LでBE−1379
3Xを抽出した。この抽出液を減圧下に濃縮し、得られ
た残渣をセファデックスLH−20のカラムクロマトグ
ラフィー(1.8x90cm,ファルマシア社製)にか
けメタノールで展開溶出を行なった。次に、BE−13
793X含有画分を集め、減圧下に濃縮して得られた油
状物(751.1mg)をシリカゲルカラム(50m
l)にかけてクロロホルム/メタノール混合溶媒系で展
開溶出を行ない、BE−13793Xを含む画分を得
た。この画分をODSカラム(Chromatorex
TM−ODS,20x250mm)を用い、移動相として
75%メタノール水を毎分10mlで送液して分取高速
液体クロマトグラフィーを行なった。BE−13793
Xを含む溶出液を集め、濃縮後、セファデックスLH−
20のカラム(1.8x35cm)にかけてメタノール
で溶出し、BE−13793Xを37.0mg得た。
【0038】実施例2 BE−13793X 306mgを50%酢酸30ml
に溶解し、室温で15分間攪拌後、更に、65℃で30
分間攪拌しながら加水分解を行なった。反応液を水70
mlで希釈後、100mlの酢酸エチルで抽出し、酢酸
エチル層を濃縮することによりBE−13793XAを
191mg得た。
【0039】以下に、本発明の化合物の製剤例を示す
が、本発明の化合物の製剤は本製剤例に限定されるもの
ではない。
【0040】製剤例1 本物質(BE−13793X) 10(部) 重質酸化マグネシウム 15 乳糖 75 を均一に混合して、350μm以下の粉末状又は細粒状
の散剤とする。この散剤をカプセル容器に入れてカプセ
ル剤とした。
【0041】製剤例2 本物質(BE−13793X) 45(部) 澱粉 15 乳糖 16 結晶性セルロース 21 ポリビニルアルコール 3 蒸留水 30 を均一に混合した後、破砕造粒して乾燥し、次いで篩別
して直径1410〜177μmの大きさの顆粒剤とし
た。
【0042】製剤例3 製剤例2と同様の方法で顆粒剤を作った後、この顆粒剤
96部に対してステアリン酸カルシウム4部を加えて圧
縮成形し、直径10mmの錠剤を作製した。
【0043】製剤例4製剤例2の方法で得られた顆粒剤
の90部に対して結晶性セルロース10部及びステアリ
ン酸カルシウム3部を加えて圧縮成形し、直径8mmの
錠剤とした後、これにシロップゼラチン、沈降性炭酸カ
ルシウム混合けん濁液を加えて糖衣錠を作製した。
【0044】製剤例5 本物質(BE−13793X) 0.6(部) 非イオン系界面活性剤 2.4 生理的食塩水 97 を加温混合してからアンプルに入れ、滅菌を行って注射
剤を作成した。
【0045】
【発明の効果】本発明に記載するBE−13793X及
びBE−13793XAは、マウス及びヒトの癌細胞に
対し、強い増殖抑制効果を示すことから、医薬の分野で
癌の治療剤として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12P 17/18 D 7432−4B 19/60 7432−4B //(C12P 17/18 C12R 1:465) (C12P 19/60 C12R 1:465) (72)発明者 中島 茂 茨城県つくば市大久保3番 萬有製薬株式 会社つくば研究所内 (72)発明者 河村 健二 茨城県つくば市大久保3番 萬有製薬株式 会社つくば研究所内 (72)発明者 須田 寛之 茨城県つくば市大久保3番 萬有製薬株式 会社つくば研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式: 【化1】 で表される化合物、式: 【化2】 で表される化合物又はその薬学的に許容しうる塩。
  2. 【請求項2】ストレプトバーティシリウム(Strep
    toverticillium)属に属し、式[I]の
    化合物を産生する能力を有する微生物又はその変異株を
    培養し、その培養物から式[I]の化合物を採取し、要
    すれば薬学的に許容しうる塩とすることを特徴とする、
    式: 【化3】 で表される化合物又はその薬学的に許容しうる塩の製
    法。
  3. 【請求項3】微生物又はその変異株が、ストレプトバー
    ティシリウム・エスピー BA−13793(Stre
    ptoverticillium sp.BA−137
    93)株である請求項2記載の製法。
  4. 【請求項4】請求項1記載の式[I]の化合物の酸処理
    による、請求項1記載の式[II]で表される化合物又
    はその薬学的に許容しうる塩の製造法。
  5. 【請求項5】請求項1記載の式[I]の化合物若しくは
    式[II]の化合物又はその薬学的に許容しうる塩を有
    効成分とする抗腫瘍剤。
  6. 【請求項6】請求項1記載の式[I]の化合物を産生す
    る能力を有するストレプトバーティシリウム(Stre
    ptoverticillium)属に属する微生物又
    はその変異株。
  7. 【請求項7】微生物が、ストレプトバーティシリウム・
    エスピー BA−13793(Streptovert
    icillium sp. BA−13793)株の変
    異株である請求項6記載の微生物。
JP5194000A 1993-07-09 1993-07-09 抗腫瘍性物質be−13793x及びbe−13793xa Pending JPH0725893A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023106452A1 (ko) * 2021-12-07 2023-06-15 한국해양과학기술원 항암효과가 우수한 신규 잔톤 화합물

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