JPH0725561Y2 - 燃焼機器の過熱防止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、ガス給湯器等の燃焼
機器において、燃焼室、熱交換器等の加熱部に火災の危
険のある異常過熱によるひび割れ、穴あき等が生じたと
き、ガスの供給を直ちに停止するなどして安全を期す燃
焼機器の過熱防止装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のガス給湯器等の燃焼機器における
過熱防止装置は、たとえば、図６に示されているガス給
湯器のように、燃焼室１２′、熱交換器１３′等の加熱
部の背面部、たとえば、外胴ケーシング１１′の背部内
面に通気間隙ｃ′を存して備えた遮熱板１′にガラス管
又はセラミック管タイプの１個の温度ヒューズ３′を取
付け設置し、該温度ヒューズ３′の接続端子を燃焼制御
回路に接続して加熱部に火災の危険のある異常過熱によ
るひび割れ、穴あき等が生じたとき、温度ヒューズ３′
がこれを感知して溶断することによりガスの供給を直ち
に停止して安全を期す構造となっているのが一般的であ
る。

【０００３】また、加熱部の背面部に１個だけでなく、
複数個の温度ヒューズを散在的に配設して感知範囲を広
げたものも提案されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】業務用のガス給湯器等
のように、使用頻度の高い燃焼機器にあっては、長時間
連続使用しているうちに燃焼室、熱交換器等の加熱部が
異常に過熱してひび割れ、穴あき等が生じ、該ひび割
れ、穴あき部分から高温の排気ガスが漏れて外胴ケーシ
ングを焼損し火災の原因となることがある。

【０００５】そこで、前記従来の技術における１個の温
度ヒューズを燃焼室又は熱交換器等の加熱部の背面部に
取付け設置したにすぎないものにあっては、異常過熱に
よるひび割れ、穴あき等の個所が該温度ヒューズより離
れた位置に生じると温度ヒューズがこれを感知せず、異
常が拡がるまで作動しないという問題点があった。

【０００６】また、複数個の温度ヒューズを燃焼室又は
熱交換器等の加熱部の散在的に配設したものは、数多く
の温度ヒューズを燃焼室又は熱交換器等の加熱部の背面
部に取付けても、異常加熱によるひび割れ、穴あき等が
生ずるのは不特定局部位置であることが多いために温度
ヒューズが必ずこれを感知して確実に作動するとは限ら
ず、１個の温度ヒューズを取付けたものの上記欠点を若
干補足するにすぎないもので、不特定の個所のひび割
れ、穴あき等に対処し得ないという問題点があった。

【０００７】しかも、複数個の温度ヒューズを燃焼室又
は熱交換器等の加熱部の背面部における複数個所に取付
け設置する必要があるために、配線、組立て等の作業に
多大の手間と高度の技術を要するなどその作業性が悪い
ばかりでなく、コスト的にも高価となるという問題点も
あった。

【０００８】この考案は、従来の技術の有する斯かる問
題点を解消するために、外胴ケーシングの背部内面に備
えた遮熱板に導電性を有し予め設定された温度で溶断す
る金属等の長尺ヒューズ部材を任意の形状をもって各部
均等に配し絶縁薄板材とでパックして一体に設けたもの
において、異常過熱時における長尺ヒューズ部材の確実
な溶断を可能とするとともに、耐久的に安定した使用が
できる燃焼機器の過熱防止装置の提供を目的としてい
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この考案の燃焼機器の過熱防止装置は、導電性を有
し予め設定された温度で溶断する金属等の長尺ヒューズ
部材を埋入する遮熱板のガイド溝をその長手方向が鉛直
となるよう形成するほか、該ガイド溝の断面積を長尺ヒ
ューズ部材の断面積より大きくして充分な空間を設け、
かつ、長尺ヒューズ部材の埋入部の内面に非粘着処理を
施したことにより長尺ヒューズ部材の確実な溶断を可能
とした構成を特徴としている。

【００１０】また、長尺ヒューズ部材の埋入部を密封状
態にシールするとともに、該埋入部に脱酸素剤を封入せ
しめて、耐久的に安定した使用ができる構成をも特徴と
している。

【００１１】

【作用】この考案の燃焼機器の過熱防止装置は、ガイド
溝はその長手方向が鉛直となっているので、長尺ヒュー
ズ部材が異常過熱を感知して溶けたとき、これが下方へ
即座に流れ長尺ヒューズ部材の該当部分は迅速、確実に
溶断される。

【００１２】また、ガイド溝はその断面積を長尺ヒュー
ズ部材の断面積より大きくして充分な空間を設けたの
で、長尺ヒューズ部材が異常過熱を感知して溶けたと
き、これが広い空間部に流れ長尺ヒューズ部材の該当部
分は迅速、確実に溶断される。

【００１３】さらに、長尺ヒューズ部材の埋入部の内面
に非粘着処理を施したので、長尺ヒューズ部材が異常過
熱を感知して溶けたとき、支持面へ貼り付かずその流れ
がスムースとなって長尺ヒューズ部材の該当部分は迅
速、確実に溶断される。

【００１４】さらには、長尺ヒューズ部材の埋入部に密
封状態にシールされ、かつ、該埋入部に脱酸素剤を封入
したので、長尺ヒューズ部材は外気と遮断され、しか
も、脱酸素材の脱酸素作用と併せて酸化による老化が防
止されて耐久的に安定した使用ができる。

【００１５】

【実施例】以下この考案による燃焼機器の過熱防止装置
の実施例について図面を参照して説明する。

【００１６】図１〜図５において、１は燃焼機器の遮熱
板で、たとえば、カラー鋼板等のように、金属板１ａの
表面に絶縁塗膜又はフィルム１ｂを備えた構成となって
おり、たとえば、図４及び図５に示されているように、
ガス給湯器の外胴ケーシング１１の背部内面に一定の通
気間隙ｃを裏面に存して備えるものである。

【００１７】２は前記遮熱板１に設けたガイド溝で、後
述の長尺ヒューズ部材３を埋入して配設するためのもの
で、遮熱板１の全範囲にわたって均等となるよう蛇行状
に形成され、その迂回部位ｂに対する直線部位である長
手方向ａが鉛直となるように設けて、長尺ヒューズ部材
３が溶けたとき、これが下方へ流れやすくしている（図
１参照）。

【００１８】また、前記ガイド溝２は、その断面積を長
尺ヒューズ部材３の断面積より大きくして長尺ヒューズ
部材３との間に充分な空間５を有する大きさに形成し
て、長尺ヒューズ部材３が溶けたとき、これが溶断部分
に残留しないようにしている（図３参照）。

【００１９】３は導電性を有し予め設定された温度で溶
断する長尺ヒューズ部材で、低温溶融金属からなる一連
の線状で形成され、前記ガイド溝２内に埋入して配設す
るものである。

【００２０】低温溶融金属としては、たとえば、錫又は
錫と鉛の合金等を用い、その設定温度（融点）は、１２
０℃〜２００℃程度の安全温度とするものである。

【００２１】４はガイド溝２に埋入して配設された長尺
ヒューズ部材３を遮熱板１とでパックするための絶縁薄
板材で、合成樹脂等の絶縁材で形成され、ガイド溝２の
開口側に平面状に張付けて密封状態の長尺ヒューズ部材
３の埋入部７を形成して、長尺ヒューズ部材３を外気と
遮断するようになしている（図２、図３参照）。

【００２２】なお、前記絶縁薄板体４の表面には熱反射
用の蒸着膜８を設けて、燃焼室壁からの放射熱を反射
し、背面側への伝達を通気間隙ｃの空気層の存在と相ま
って効果的に防いでいるとともに、正常時の無用な温度
上昇をヒューズに伝えない。

【００２３】６はヒューズ部材３の埋入部７の内面に設
けた弗素樹脂等の非粘着材で、ガイド溝２の内面と絶縁
薄板材４の内面の少なくとも長尺ヒューズ部材３が接す
る所に非粘着処理を施して形成し、長尺ヒューズ部材３
が溶けたとき、これが溶断部分に粘着残留しないように
している。

【００２４】前記密封状態の長尺ヒューズ部材３の埋入
部７には、脱酸素剤を封入して、長尺ヒューズ部材３が
酸化するのを防いでいる。

【００２５】なお、図中、９，１０は長尺ヒューズ部材
３の端部に接続したリード線である。

【００２６】図４及び図５は、壁掛型の強制給気式ガス
給湯器にこの考案の過熱防止装置を適用した実施例であ
って、燃焼室１２と、該燃焼室１２の上部に備えた熱交
換器１３等の加熱部の背面部、すなわち、外胴ケーシン
グ１１の背部内面に一定の通気間隙ｃを存して備えた遮
熱板１に絶縁薄板材４とでパックして一体に設けた長尺
ヒューズ部材３をガス給湯器の熱電対式電磁安全弁回路
等の燃焼制御回路にリード線９，１０を介して接続して
いる。

【００２７】このため、加熱部における背面部と長尺ヒ
ューズ部材３との位置関係が正確になり、不特定局部位
置における過熱検知が確実に行い得て検知動作のバラツ
キがない。

【００２８】したがって、火災の危険のある異常過熱に
よるひび割れ、穴あき等が加熱部の背面部のいずれの位
置に発生しても、長尺ヒューズ部材３の該当部分がこれ
を即座に感知して溶断し、燃焼制御回路を動作してガス
の供給を停止し安全を期すものである。

【００２９】実施例のガス給湯器は、ガスバーナ１４で
熱交換器１３を加熱することにより給水管１５からの水
が熱交換器１３を流通する間に熱交換されて昇温し、給
湯管１６から台所の流し台とか浴室の浴槽等へ給湯され
るものである。

【００３０】一方、ガスバーナ１４への燃料ガスはガス
ノズル１７から供給され、燃焼用空気は給気ファン１８
からの空気が給気室１９、多孔整流板２０を介して燃焼
室１２へ強制給気されるようになっている。

【００３１】前記構成において、ガイド溝２はその長手
方向ａが鉛直に形成されているから、異常過熱を感知し
て長尺ヒューズ部材３の該当部分が溶けたとき、これが
下方へ即座に流れて溶断部分に残留して未だ接続状態に
保たれることはないために長尺ヒューズ部材３の溶断動
作は迅速、確実に行われる。

【００３２】また、ガイド溝２はその断面積を長尺ヒュ
ーズ部材３の断面積より大きくして長尺ヒューズ部材３
の囲りに充分な空間５を設けたから、異常過熱を感知し
て長尺ヒュズ部材３の該当部分が溶けたとき、これが空
間部５に散らばって溶断部分に溶けながら残留し未だ接
続状態に保たれることはないために、長尺ヒューズ部材
３の溶断動作は迅速、確実に行われる。

【００３３】さらに、長尺ヒューズ部材３の埋入部７の
内面に非粘着膜６を設けたから、異常過熱を感知して長
尺ヒューズ部材３の該当部分が溶けたとき、その散流が
スムースに行われて溶断部分に粘着残留して未だ接続状
態に保たれることはないために、長尺ヒューズ部材３の
溶断動作は迅速、確実に行われる。

【００３４】さらには、長尺ヒューズ部材３の埋入部７
は密封状態にシールされているから、長尺ヒューズ部材
３は外気と遮断されてその酸化による老化が防止され
る。

【００３５】また、長尺ヒューズ部材３の埋入部７には
脱酸素剤を封入したから、長尺ヒューズ部材３の酸化に
よる老化防止がより向上される。

【００３６】

【考案の効果】この考案による燃焼機器の過熱防止装置
は、外胴ケーシングの背部内面に備えた遮熱板に導電性
を有し予め設定された温度で溶断する金属等の長尺ヒュ
ーズ部材を任意の形状をもって各部均等に配し絶縁薄板
材とでパックして一体に設けたものにおいて、

【００３７】長尺ヒューズ部材を埋入する遮熱板のガイ
ド溝をその長手方向が鉛直となる構成とし、該ガイド溝
の断面積を長尺ヒューズ部材の断面積より大きくして充
分な空間を設け、かつ、長尺ヒューズ部材の埋入部の内
面に非粘着処理を施し、異常過熱を感知して長尺ヒュー
ズ部材の該当部分が溶けたとき、これが未だ接続状態に
保たれるのをなくして長尺ヒューズ部材の迅速、確実な
溶断を可能としたから、誤動作のない安定した過熱検知
が常時行える。

【００３８】また、長尺ヒューズ部材の埋入部は密封状
態にシールされ、かつ、該埋入部に脱酸素剤を封入し
て、長尺ヒューズ部材を外気と遮断し、しかも、脱酸素
剤の脱酸作用と併せて長尺ヒューズ部材の酸化による老
化を防止したから、耐久的に安定した使用ができる。

【００３９】したがって、特に、使用頻度の高い業務用
のガス給湯器等の燃焼機器に適用してその安全性を著し
く高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案による燃焼機器の過熱防止装置の一実
施例を示した要部だけの一部切欠正面図である。

【図２】図１におけるＸ−Ｘ線の断面図である。

【図３】要部の一部拡大断面図である。

【図４】この考案の過熱防止装置を適用したガス給湯器
の縦断側面図である。

【図５】図４のＹ−Ｙ線における横断平面図である。

【図６】従来例の縦断側面図である。

【符号の説明】

１ 遮熱板 ２ ガイド溝 ３ 長尺ヒューズ部材 ４ 絶縁薄板材 ａ 長手方向 ５ 空間 ６ 非粘着処理 ７ 埋入部

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 燃焼機器の遮熱板（１）に一連のガイド
   溝（２）を形成し、該ガイド溝（２）に導電性を有し予
   め設定された温度で溶断する金属等の長尺ヒューズ部材
   （３）を埋入し絶縁薄板材（４）とでパックして一体に
   設けた燃焼機器の過熱防止装置において、前記ガイド溝
   （２）をその長手方向（ａ）が鉛直となるように設けた
   ことを特徴とする燃焼機器の過熱防止装置。
2. 【請求項２】 請求項１記載の過熱防止装置において、
   ガイド溝（２）の断面積を長尺ヒューズ部材（３）の断
   面積より大きくして充分な空間（５）を設けたことを特
   徴とする燃焼機器の過熱防止装置。
3. 【請求項３】 請求項１記載の過熱防止装置において、
   ガイド溝（２）の内面と絶縁薄板材（４）の内面の少な
   くとも長尺ヒューズ部材（３）が接する所に非粘着処理
   を施したことを特徴とする燃焼機器の過熱防止装置。
4. 【請求項４】 請求項１記載の過熱防止装置において、
   ガイド溝（２）と絶縁薄板材（４）とで形成される長尺
   ヒューズ部材（３）の埋入部（７）を密封状態にシール
   したことを特徴とする燃焼機器の過熱防止装置。
5. 【請求項５】 請求項４記載の埋入部（７）に脱酸素剤
   を封入したことを特徴とする燃焼機器の過熱防止装置。