JP2525883Y2 - 燃焼機器の安全装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、燃焼機器の異常過熱を
検知し、危険レベルに達する前に燃焼を停止させる安全
装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、燃焼機器の異常過熱を防止す
るために、燃焼室や熱交換器の外側後面にガラス管封入
型温度ヒューズを配置し、異常過熱による温度ヒューズ
の溶断により燃焼制御回路のリレーを作動させて燃焼を
停止させる安全装置が知られている。ところが、燃焼器
全体にわたる広い範囲を保護するためには、数多くのヒ
ューズを散在的に配置しなければならず、配線，取付等
の作業性が悪い。そこで、低温溶融金属であるハンダを
線状にした線状体を接点部材として、燃焼室や熱交換器
の外側に張り巡らせ、異常過熱により一箇所でも溶断し
たときにリレーを作動させるものが考え出されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、低温溶
融金属の線状体を用いた場合には、異常過熱箇所では溶
融するものの完全に溶断されないことがある。つまり、
図６に示すように、低温溶融金属Ｆが融けた状態であっ
ても線形態を保持してしまい、導通が維持されるのであ
る。これは、低温溶融金属Ｆの表面張力によるものと考
えられる。また、低温溶融金属Ｆ表面での酸化物のまき
こみによる流動性低下に起因しているとも考えられる。
従って、実際には過熱を検知する確実な動作があまり期
待できないのである。本考案は上記課題を解決し、燃焼
機器内の広範囲にわたる過熱防止を図ると共に、その動
作を確実にすることを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本考案の燃焼機器の安全装置は、導電性を有し予め設定
された温度で溶融する金属からなる一連の線状体を、燃
焼機器の燃焼室および熱交換器の外側に配設し、上記線
状体が異常過熱により溶断したときに燃焼機器の燃焼を
停止させる安全装置において、上記線状体に、予め設定
された温度で溶融する絶縁性の樹脂を覆い、上記線状体
が異常過熱により溶融したとき上記樹脂の溶融により上
記線状体の分断を補助する溶断補助手段としたことを要
旨とする。

【０００５】

【作用】上記構成を有する本考案の燃焼機器の安全装置
では、燃焼室あるいは熱交換器にひび割れ等の損傷が生
じると、その部位からの熱放出により機器本体ケース内
が異常過熱され、これに伴って線状体が融点に達し、過
熱部分が溶融し始める。一方、線状体を覆う絶縁性の樹
脂も溶融し始める。このとき、溶融した線状体は、溶融
した樹脂により包み込まれ先端が球状化して完全に溶融
箇所で分離する。この結果、過熱状態においては常に線
状体が断線することとなり、線状体の導通が断たれて異
常過熱を確実に検出できる。こうして、危険な状態に陥
る前に燃焼機器の燃焼が停止される。

【０００６】

【実施例】以上説明した本考案の構成・作用を一層明確
にするために、以下、本考案の燃焼機器の安全装置の好
適な実施例について説明する。図１は、一実施例として
のガス湯沸器の縦断側面図であり、図２は、そのＸ−Ｘ
線における矢視図である。ガス湯沸器１０は、本体ケー
ス１１内中央に設けられバーナ１２にてガス燃焼を行な
う燃焼室１３と、燃焼室１３上部に連設され吸熱管１４
に通水される水と燃焼排気とを熱交換して冷水を昇温さ
せる熱交換器１５と、熱交換された後の燃焼排気を排出
する排気ダクト１６と、燃焼室１３に燃焼用空気を供給
する給気ファン１７を設けた給気ダクト１８とを備え
る。

【０００７】本体ケース１１の背面板１９と燃焼室１
３，熱交換器１５との間には、背面板１９から所定の隙
間をあけて遮熱板２０が設けられる。この遮熱板２０に
は、図２に示すように、１本の線状の温度ヒューズ線１
が上下方向に蛇行して配設され、上下で耐熱テープ２１
にて固定される。この温度ヒューズ線１は、図３に示す
ように、導電性を有し予め設定した温度で溶融する低温
溶融金属からなる一連の線状体２（以下、溶融金属線２
と呼ぶ）に、同程度の融点を有するチューブ状の透明な
樹脂３（絶縁体）を被覆したものである。本実施例で
は、溶融金属線２に錫，鉛，カドミウムからなる合金
（融点１４５℃）を用い、樹脂３にはナイロンエラスト
マ（融点１６０℃）を用いる。

【０００８】この温度ヒューズ線１の両端は、図２に示
すリード線２２，２３を介して燃焼制御回路（図示略）
に接続される。燃焼制御回路では、この温度ヒューズ線
１の断線（正確には溶融金属線２の断線）を検出したと
き、つまり両リード線２２，２３間が導通状態から非導
通状態になったとき、リレー（図示略）を作動させて燃
焼を停止するように構成される。本実施例では、バーナ
１２への燃料供給を制御する電磁制御弁（図示略）を閉
止する。

【０００９】次に、本実施例の温度ヒューズ線１の動作
について説明する。燃焼室１３あるいは熱交換器１５に
ひび割れ等の損傷が発生すると、その部位からの熱放出
により本体ケース１１内が異常過熱され、本体ケース１
１背面から建物の壁Ｗに熱が伝わって火災の危険性があ
る。このような異常過熱が生じた場合には、損傷部に近
い溶融金属線２が融点に達し溶融し始める。一方、溶融
金属線２を覆う樹脂３もこの温度付近で溶融し始める。
本実施例では、樹脂３の方が溶融金属線２に比べて熱源
に近くなることから、融点が溶融金属線２よりやや高く
てもほぼ同時期に溶融する。尚、どちらが先に溶融して
も問題はない。このとき、溶融した溶融金属線２は、図
４に示すように、溶融した樹脂３により包み込まれ、先
端が球状化して完全に分離する。この結果、溶融金属線
２の導通が断たれてリレーが作動し、ガス供給が停止さ
れるよう電磁制御弁が閉止される。従って、危険な状態
に陥る前に燃焼が停止される。

【００１０】以上説明したように本実施例によれば、広
範囲にわたって異常過熱を検出できるとともに、その動
作が確実であるため非常に信頼性が高くなる。また、温
度ヒューズ線１の取り付けも非常に簡単であり、従来の
ように温度ヒューズを複数散在させるものに比べて工
数，部品点数も削減されコストダウンが図られる。ま
た、溶融金属線２を覆う樹脂３が絶縁性であるため、絶
縁シートやスペーサといった絶縁保護を何等図る必要が
ない。

【００１１】以上本考案の実施例を説明したが、本考案
はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本考
案の要旨を逸脱しない範囲で様々な態様で実施し得るこ
とは勿論である。例えば、図５（Ａ）に示すように、溶
融金属線２を２枚の樹脂プレート４，５（溶融金属線１
と同程度の融点を有する）で挟んだ構成であってもよ
い。また、同図（Ｂ）に示すように、メッシュ状に編ん
だ樹脂６を溶融金属線２の表面に被覆するようにして、
取付を容易にしたものであっても良い。これによれば、
樹脂６の両端を矢印ａ方向に縮めて開口径を広げること
で溶融金属線２を簡単に挿通でき、その後矢印ｂ方向に
引っ張れば樹脂６を溶融金属線２に密着取付できるので
ある。更に、本実施例では燃焼室１３および熱交換器１
５の背面に温度ヒューズ線１を配設したが、側面や前面
にも設けて一層安全性を増した構成であっても良い。
尚、溶融金属線の融点と樹脂の融点との温度差は、±３
０％以内が好ましい。

【００１２】

【考案の効果】以上詳述したように本考案の燃焼機器の
安全装置は、予め設定された温度で溶融する金属からな
る線状体を燃焼室および熱交換器の外側に配設し、更
に、この線状体に絶縁性樹脂を覆って、樹脂の溶融によ
り線状体の溶断を補助するため、広範囲にわたって異常
過熱を検出できるとともに、線状体を確実に溶断するこ
とができ非常に信頼性が高くなるという極めて優れた効
果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】一実施例としてのガス湯沸器の縦断側面図であ
る。

【図２】図１のＸ−Ｘ線矢視図である。

【図３】温度ヒューズ線の概略斜視図である。

【図４】温度ヒューズ線の溶断状態を表す説明図であ
る。

【図５】他の実施例を表す説明図である。

【図６】従来の溶融状態を表す説明図である。

【符号の説明】

１…温度ヒューズ線，２…溶融金属線，３…樹脂，１３
…燃焼室，１５…熱交換器

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 導電性を有し予め設定された温度で溶融
   する金属からなる一連の線状体を、燃焼機器の燃焼室お
   よび熱交換器の外側に配設し、上記線状体が異常過熱に
   より溶断したときに燃焼機器の燃焼を停止させる安全装
   置において、上記線状体に、予め設定された温度で溶融
   する絶縁性の樹脂を覆い、上記線状体が異常過熱により
   溶融したとき上記樹脂の溶融により上記線状体の分断を
   補助する溶断補助手段としたことを特徴とする燃焼機器
   の安全装置。