JPH08606Y2 - 燃焼機器の過熱防止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、押し込み型強制燃焼式燃焼機器の燃焼室
又は熱交換器等に火災の危険のある異常過熱によるひび
割れ、穴あき等が生じたとき燃料の供給を直ちに停止し
て安全を期す燃焼機器の過熱防止装置に関する。

〔従来の技術〕

従来の給湯器等の燃焼機器における過熱防止装置とし
ては、たとえば、実開昭59-62439号公報及び本願の添付
図面中の第11図に示されている従来例１のように、燃焼
機器において、異常過熱を検知する温度ヒューズを備え
たものはある。すなわち、第11図に示されているよう
に、燃焼機器の燃焼室１′又は熱交換器２′の外部後面
に１個のガラス管又はセラミック管封入タイプの温度ヒ
ューズ３′を取付け、該温度ヒューズ３′の接続端子を
燃焼制御回路等に接続しているのが一般的であるが、複
数個の温度ヒューズを燃焼室及び熱交換器の外部に散在
的に配設したものも提案されている。

また、実公昭52-20369号公報に示されている従来例２
のように、燃焼機器等において、空だき等による過熱を
検知する封入型の熱応動開閉器を備えたものもある。

〔考案が解決しようとする課題〕

業務用給湯器等の燃焼機器のように使用頻度の高いも
のにあっては、長時間連続使用しているうちに燃焼室又
は熱交換器等が異常に過熱してひび割れ、穴あき等が生
じ、該ひび割れ、穴あき部分から燃焼高温ガスが噴出し
て外胴を損傷し壁面等の火災の原因となることがある
が、上記従来例１の温度ヒューズを燃焼室又は熱交換器
の外部後面等に取付けたものは、異常過熱によるひび割
れ、穴あきなどの個所が該温度ヒューズより離れている
と温度ヒューズが作動しないという問題点があり、ま
た、複数個の温度ヒューズを燃焼室及び熱交換器の外部
に散在的に配設したものにあって異常過熱によるひび割
れ、穴あき等が予測できない局所であることが多いこと
から温度ヒューズが必ずこれを感知して確実に作動する
とは限らず、不特定の個所のひび割れ、穴あき等に対処
し得ず、しかも、複数個の温度ヒューズを燃焼室又は熱
交換器の外部の複数個所に取付ける場合は配線、組立て
等の作業に多大の手間と技術を要するばかりでなく、コ
スト的にも高くなるなどの問題点があった。

また、従来例２の封入型熱応動開閉器を備えたものに
あっては、ボイラー、ガス器具自体の過熱防止を目的と
したもので、ひび割れ、穴あき等に対処するものではな
い。したがって、燃焼高温ガスの器外への噴出による壁
面等の火災防止は不可能である。

この考案は、従来の技術の有する斯かる問題点に鑑
み、押し込み型強制燃焼方式の燃焼機器において、異常
過熱によるひび割れ、穴あき等による燃焼高温ガスの器
外への噴出が原因する壁面等の火災防止を目的とする燃
焼機器の過熱防止装置を提供しようとするものである。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、この考案の燃焼機器の過
熱防止装置は、ファンにより強制的に燃焼空気を供給す
る燃焼機器の燃焼室と熱交換器等の燃焼加熱部と外胴と
の間に、熱膨脹率の大きい液体を封入した感温体を燃焼
加熱部の外部の後面、前面、側面のうちの少なくとも一
面の全範囲を覆った状態に挿入設置し、該感温体をセン
サーとして燃焼制御回路に組み込み、異常過熱時感温体
の封入液体の熱膨脹による変位もしくは蒸気圧の変化を
検知する検知手段で検知時燃料を遮断することを特徴と
する。

〔作用〕

上記構成としたこの考案による燃焼機器の過熱防止装
置は、熱膨脹率の大きい液体を封入した感温体を燃焼室
と熱交換器等の燃焼加熱部と外胴との間に、燃焼加熱部
の外部の後面、前面、側面のうちの少なくとも一面の全
範囲を覆った状態に挿入設置したから、異常過熱による
ひび割れ、穴あき等が燃焼室及び熱交換器等の燃焼加熱
部の予測できない何れの個所に発生しても感温体の封入
液体の熱膨脹による変位もしくは蒸気圧の変化で異常過
熱を検知する。また、該感温体は燃焼制御回路のセンサ
ーとして組み込まれているため感温体が異常過熱を検知
すると燃焼制御回路への通電が断たれ、燃料制御弁を閉
止し燃料の供給は停止される。

〔実施例〕

以下この考案の燃焼機器における過熱防止装置の実施
例について図面を参照して説明する。

実施例は押し込み型強制燃焼式ガス給湯器にこの考案
の過熱防止装置を適用した例である。

実施例１ 実施例１は感熱体を一連のパイプを屈曲して配した場
合であって、第１図ないし第６図において、１はガス給
湯器の燃焼室で、その外面に給水管5aを螺旋状に巻回し
て上部に備えた熱交換器２の吸熱管5bの入口側に接続
し、下部にはガスバーナ６を設置して該ガスバーナ６で
熱交換器２を加熱することにより熱交換器２の吸熱管５
を流過する冷水を加熱昇温して吸熱管5bの出口側に接続
した給湯管5cから流し台又は浴槽等へ給湯するようにな
っている。また、燃焼室１の下部に給気室７を密閉状に
接続し、該給気室７の底部に給気ファン８のダクト９を
接続開口し、かつ、給気室７の底部と前記ガスバーナ６
との間に多孔整流板10を設けて、給気ファン８からの空
気を多孔整流板10で整流してガスバーナ６の燃焼用空気
として強制給気する押し込み型強制燃焼式となしてい
る。

４は感温体で、任意の形状（たとえば、蛇行状）に屈
曲して燃焼加熱部の外部の後面、前面、側面のうちの少
なくとも一面の全範囲にわたって配した一連のパイプ4a
内にパラフイン等のように熱膨脹率の大きい液体を封入
して構成されている（たとえば、第３図参照）。第１図
及び第２図に示した実施例は、上記感温体４を前記燃焼
室１と熱交換器２等の燃焼加熱部と外胴13との間の後面
にだけ挿入設置して該感温体４で燃焼加熱部の外部後面
の全範囲を覆った状態となし、該感温体４を燃焼制御回
路に組み込んで燃焼室１又は熱交換器２等の燃焼加熱部
における外部後面の異常過熱を感温体４の封入液体３の
熱膨脹による変位もしくは蒸気圧の変化を検知センサー
15が検知したときスイッチをOFFするなどして燃焼制御
回路等への通電を断って燃料制御弁を閉止するようにな
している。なお、一連のパイプ4aからなる感温体４は第
３図に例示したように蛇行状に屈曲して燃焼室１及び熱
交換器２等の燃焼加熱部の外部後面の全範囲にわたって
まんべんなく配置され、該外部後面の全範囲を感温体４
で覆った状態とするほか、その他任意の形状に屈曲形成
して配するも実施上は自由である。図中、12は排気筒、
14は断熱材、16は給気取入口である。

前記構成において、火災の危険のある異常過熱による
燃焼室１及び熱交換器２等の燃焼加熱部の後部の予測で
きない何れの個所にひび割れ、穴あき等が発生しても、
感温体４が、たとえば、蛇行状に屈曲して燃焼室１及び
熱交換器２等の燃焼加熱部における後面の全範囲にわた
ってまんべんなく配置され、該外部後面の全範囲を覆っ
た状態となっているから、感温体４の該当部分が過熱さ
れることによる封入液体の熱膨脹による変位もしくは蒸
気圧の変化を検知センサー15で即座に検知する。したが
って、燃焼制御回路の通電が断たれ燃料制御弁は閉止し
燃料の供給は停止され安全を期すものである。

第４図に示した実施例は、上記感温体４を燃焼室１と
熱交換器２等の燃焼加熱部と外胴13との間の前面にだけ
挿入設置して該感温体４で燃焼加熱部の外部前面の全範
囲をを覆った状態となし、該感温体を燃焼制御回路に組
込んで火災の危険のある異常過熱によるひび割れ、穴あ
き等が燃焼室１及び熱交換器２等の燃焼加熱部の前部の
予測できない何れの位置に発生しても、これを、たとえ
ば、蛇行状に屈曲して燃焼室１及び熱交換器２等の燃焼
加熱部の前部の全範囲にわたってまんべんなく配置され
た感温体４の該当部分が過熱されることによる封入液体
３の熱膨脹による変位もしくは蒸気圧の変化を検知セン
サー15で即座に検知するようにしたものである。

第５図に示した実施例は、上記感温体４を燃焼室１と
熱交換器２等の燃焼加熱部と外胴13との間の後面及び両
側面に挿入設置して該感温体４で燃焼加熱部の外部後面
及び両側面の全範囲を覆った状態となし、該感温体４を
燃焼制御回路に組み込んで火災の危険のある異常過熱に
よるひび割れ、穴あき等が燃焼室１及び熱交換器２等の
燃焼加熱部の後部及び両側部の予測できない何れの個所
に発生しても、これを、たとえば、蛇行状に屈曲して燃
焼室１及び熱交換器２等の燃焼加熱部の後部及び両側部
の全範囲にわたってまんべんなく配設された感温体４の
該当部分が過熱されることによる封入液体３の熱膨脹に
よる変位もしくは蒸気圧の変化を検知センサー15で即座
に検知するようにしたものである。

第６図に示した実施例は、上記感温体４を燃焼室１と
熱交換器２等の燃焼加熱部と外胴13との間の全周面に挿
入設置して該感温体４で燃焼加熱部の外部全周面の全範
囲を覆った状態となし、該感温体４を燃焼制御回路に組
み込んで火災の危険のある異常過熱によるひび割れ、穴
あき等が燃焼室１及び熱交換器２等の燃焼加熱部の全周
部の予測できない何れの個所に発生しても、これを、た
とえば、燃焼室１及び熱交換器２等の燃焼加熱部の外周
に螺旋状に巻回してその全周部の全範囲にわたってまん
べんなく配置された感温体４の該当部分が過熱されるこ
とによる封入液体３の熱膨脹による変位もしくは蒸気圧
の変化を検知センサー15で即座に検知するようにしたも
のである。

実施例２ 第７図及び第８図は感温体４の異なる実施例を示した
もので、この実施例２の感温体４は角形基板4bに一連の
膨出溝4cを任意形状（たとえば、蛇行状）に形成した表
面板4dを固着し、該膨出溝4c内にパラフイン等のように
熱膨脹率の大きい液体３を封入してシート状に形成され
ており、該感温体４を燃焼室１と熱交換器２等の燃焼加
熱部と外胴13との間の後面又は前面だけ、後面及び両側
面、全周面に挿入設置し、該感温体４を燃焼制御回路に
組み込んで燃焼室１又は熱交換器２等の燃焼加熱部にお
ける異常過熱を感温体４の封入液体３の熱膨脹による変
位もしくは蒸気圧の変化を検知センサー15が検知したと
きスイッチをOFFするなどして燃焼制御回路等への通電
を断って燃料制御弁を閉止するようになしている。な
お、一連の膨出溝4cを有する感温体４は第７図に例示し
たように、蛇行状に屈曲して燃焼室１及び熱交換器２等
の燃焼加熱部の外部の全範囲にわたってまんべんなく配
設し、該外部の全面を感温体４で覆った状態とするほ
か、その他任意形状の膨出溝4cとするも実施上は自由で
ある。したがって、火災の危険のある異常過熱によるひ
び割れ、穴あき等が燃焼室１及び熱交換器２等の燃焼加
熱部の予測できない何れの個所に発生しても、蛇行状の
膨出溝4cを有するシート状に形成されて燃焼室１及び熱
交換器２等の燃焼加熱部の、たとえば、後部又は前部だ
け、後部及び両側部等の全範囲にわたってまんべんなく
配置された一連の膨出溝4cの該当部分が加熱されること
による封入液体３の熱膨脹による変位もしくは蒸気圧の
変化を検知センサー15でこれを即座に検知するようにし
たものである。

実施例３ 第９図及び第10図は感温体の異なる実施例を示したも
ので、この実施例３の感温体４は角形基板4bに膨出室4e
を形成した表面板4dを固着し、該膨出室4e内にパラフイ
ン等のように熱膨脹率の大きい液体３を封入してシート
状に形成されており、該感温体４を燃焼室１と熱交換器
２等の燃焼加熱部と外胴13との間の後面又は前面だけ、
後面及び両側面、全周面に挿入設置し、該感温体４を燃
焼制御回路等に組み込んで燃焼室１又は熱交換器２等の
燃焼加熱部における異常過熱を感温体４の封入液体３の
熱膨脹による変位もしくは蒸気圧の変化を検知センサー
15が検知したときスイッチをOFFするなどして燃焼制御
回路への通電を断って燃料制御弁を閉止するようになし
ている。したがって、火災の危険のある異常過熱による
ひび割れ、穴あき等が燃焼室１及び熱交換器２等の燃焼
加熱部の予測できない何れの個所に発生しても、全面が
膨出室4eで、しかも、シート状に形成されて燃焼室１及
び熱交換器２等の燃焼加熱部の、たとえば、後部又は前
部だけ、後部及び両側部等の全範囲にわたってまんべん
なく配置された膨出室4eの該当部分が加熱されることに
よる封入液体３の熱膨脹による変位もしくは蒸気圧の変
化を検知センサー15でこれを即座に検知するようにした
ものである。

〔考案の効果〕

この考案による燃焼機器の過熱防止装置は、押し込み
型強制燃焼式燃焼機器において、異常過熱によるひび割
れ、穴あき等が燃焼室及び熱交換器等の燃焼加熱部の予
測できない何れの個所（不特定の局部位置）に発生して
も燃焼加熱部の外部を覆った状態に設置された感温体の
該当部分が過熱されることによる封入液体の熱膨脹によ
る変位もしくは蒸気圧の変化で異常過熱を即座に検知し
て燃焼制御回路の通電を断って燃料制御弁を閉じ燃料の
供給を停止するから、火災の危険のある異常過熱による
ひび割れ、穴あき等が発生することによる燃焼高温ガス
の噴出が原因する壁面等の火災の発生を未然に防止す
る。したがって、使用頻度の高い業務用給湯器等の安全
使用ができる。

また、ヒューズ等と異なり作動後リセットするだけで
何度でも反復使用できるとともに、作動点が器具の特性
に応じて任意に選択できる利便がある。さらに、配線、
組立て等の作業も至って簡単であるから、作業性は向上
し、コスト的にも低廉となる。

なお、感温体を燃焼加熱部の外部の後面にだけ設置し
た場合は、壁掛型のように壁面に直接取付け設置する給
湯器等の燃焼機器に適用して効果的であり、また、感温
体を燃焼加熱部の外部の前面にだけ設置した場合は、床
据型の給湯器等の燃焼機器のようにその設置スペースが
狭いためにガス配管等の関係から燃焼機器の後側には比
較的広い空間が存するが前側が壁等に近接する場合等に
適用して効果的である。さらに、感温体を燃焼加熱部の
外部の後面及び両側面に設置した場合は、壁掛型の燃焼
機器は勿論、燃焼機器の両側が壁等に近接する場合に適
用して効果的であり、さらには、感温体を燃焼加熱部の
外部の全周面に設置した場合は、壁掛型、床据型等の各
種燃焼機器に適用して効果的なものである。

実施例２及び３のように、感温体をシート状に形成し
た場合は、その取付けに際し特別の取付け部材を必要と
しないから便利であり、組付け作業も容易である。

【図面の簡単な説明】

第１図は実施例１の感温体を後面にだけ設けた場合の縦
断側面図、第２図は第１図のＸ−Ｘ線における横断平面
図、第３図は感温体の正面図、第４図は感温体を前面に
だけ設けた場合の横断平面図、第５図は感温体を後面及
び両側面に設けた場合の横断平面図、第６図は感温体を
全周面に設けた場合の横断平面図、第７図及び第８図は
実施例２の感温体の一部切欠正面図及び第７図のＹ−Ｙ
断面図、第９図及び第10図は実施例３の感温体の一部切
欠正面図及び第９図のＺ−Ｚ断面図、第11図は従来例の
縦断側面図である。 １……燃焼室、２……熱交換器、３……液体、４……感
温体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ファンにより強制的に燃焼空気を供給する
   燃焼機器の燃焼室（１）と熱交換器（２）等の燃焼加熱
   部と外胴（13）との間に、熱膨脹率の大きい液体（３）
   を封入した感温体（４）を燃焼加熱部の外部の後面、前
   面、側面のうちの少なくとも一面の全範囲を覆った状態
   に挿入設置し、該感温体（４）をセンサーとして燃焼制
   御回路に組み込み、異常過熱時感温体（４）の封入液体
   の熱膨脹による変位もしくは蒸気圧の変化を検知する検
   知手段（15）で検知時燃料を遮断することを特徴とした
   燃焼機器の過熱防止装置。