JPH07251995A - 媒体搬送制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 媒体搬送制御装置に関し、速度精度を改善す
ることを目的とする。 【構成】 １つのモータ(33)で回転駆動される複数個の
搬送ローラ(31,32) が媒体(34)を順次噛み込んで搬送す
る媒体搬送装置において、該モータを制御して該媒体の
搬送制御を行う媒体搬送制御装置であって、媒体位置を
検出する媒体位置検出部(36)と、検出された媒体位置と
該搬送ローラの配置位置とに基づき、該媒体を噛み込ん
で搬送しているローラ数を判別し、該ローラ数に応じた
回転指令速度を該モータに出力する速度制御部(35)とを
備えるようににする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、印刷装置, イメージ読
取装置等の媒体搬送装置における媒体搬送制御装置の改
良に関する。

【０００２】媒体（以下用紙）を搬送しつつ印字するプ
リンタ、用紙を搬送しつつイメージデータを読み取るイ
メージ読取装置等における媒体搬送装置では、用紙を搬
送するローラは複数個設けられ、且つ、搬送方向に対し
て用紙が少なくとも１つ以上のローラに跨がるように各
ローラが配置されている。そして、これらのローラは、
コストダウン等の理由により、通常１つのモータで回転
駆動されている。

【０００３】このような媒体搬送装置では、用紙が搬送
されるに従い、用紙を噛み込むローラの数、つまり搬送
に関与するローラの数が変化するが、モータの駆動能力
が小さいと、噛み込むローラ数の変化がモータの負荷変
動として作用し、搬送速度が変化する。

【０００４】従って、印字精度，読取り精度が悪くなる
ので、このような原因による媒体の搬送速度の変化を防
止する簡易な媒体搬送制御装置が求められている。

【０００５】

【従来の技術】図５は従来例の説明図で、同一径のロー
ラ１，２により用紙４を搬送しつつ、ヘッド５をライン
方向（図に対して垂直方向）に走査して、印字またはイ
メージ読取りを行う装置における媒体搬送装置の断面図
を示したものである。

【０００６】図５に示すローラ１，ローラ２は、それぞ
れ搬送されてきた用紙４を噛み込むように、同一径の対
となる２組のローラを対峙させたもので、図５に示すよ
うに、ベルト６によってモータ３の回転軸にそれぞれ連
結されている。このため、モータ３を回転させると、ロ
ーラ１とローラ２とは同一径であるから同一回転速度で
回転し、それぞれ噛み込んだ用紙４を同一速度で搬送す
る。

【０００７】ローラ１に送り込まれ、且つ噛み込まれた
用紙４は、先ず、ローラ１のみによってヘッド方向に
搬送され、続いてローラ１とローラ２の両方によって
搬送された後、最後はローラ２のみによって搬送され
た後、排出される。そしてこの間にヘッド５によって走
査され印字（または読取り）される。

【０００８】なお、モータ３としてはパルスモータまた
は直流モータが使用され、指示された一定の回転指令速
度に基づいて駆動される。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】以上説明した媒体搬送
装置において、ローラ１（またはローラ２）のみに媒体
４を噛み込んで搬送しいる際の用紙速度Ｖ１と、ローラ
１とローラ２の両方に噛み込んで搬送している際の用紙
速度Ｖ２とには、一般に Ｖ１≧Ｖ２ の関係がある。これは噛み込んだローラ数が多くなると
モータ３の負荷が大きくなって、回転指令速度に応じた
回転速度が得られない等の理由によるもので、図６の従
来の搬送速度例を表す図に示すように、一定の回転速度
指令の下では、ローラ１，ローラ２，ローラ３のごとく
用紙がローラに噛み込むごとに速度が低下する。そし
て、このことは経験的にも実証されている。

【００１０】もし、Ｖ１＞Ｖ２となると、印字ピッチ，
読取りピッチが印字中，読取り中に変わることであり、
印字精度，読取り精度が低下する。この課題を解決する
方法として、例えばモータ３の駆動能力を大きくする方
法等があるが、コストアップを招くとともに、大きいモ
ータを使用すると騒音が大きくなるといった課題も発生
する。

【００１１】また、用紙速度（または位置）を連続的に
検出して一定速度に保つフィードバック制御を行うこと
も考えられるが、速度エンコーダ等が必要となり、元々
の装置が簡易なものではコストアップの要因となる。

【００１２】本発明は上記課題に鑑み、１つのモータで
複数個のローラを駆動して媒体を搬送する場合に、媒体
速度を一定に保つ簡易な媒体搬送制御装置を提供するこ
とを目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の媒体搬送制御装置は、図１の本発明の原理
図に示すように、１つのモータ33で回転駆動される複数
個の搬送ローラ31,32 が媒体34を順次噛み込んで搬送す
る媒体搬送装置において、モータ33を制御して媒体34の
搬送制御を行う媒体搬送制御装置であって、媒体位置を
検出する媒体位置検出部36と、検出された媒体位置と搬
送ローラ31,32 の配置位置とに基づき、該媒体34を噛み
込んで搬送しているローラ数を判別し、該ローラ数に応
じた回転指令速度をモータ33に出力する速度制御部35と
を備えるように構成する。

【００１４】

【作用】媒体位置検出部36は、搬送されている媒体34の
位置を検出し、速度制御部35は、この検出された媒体位
置とローラの配置位置とから、媒体34を噛み込んで搬送
しているローラ数を判別し、そのローラ数に対応した回
転指令速度をモータ33に出力する。なお、この回転指令
速度は、実際には媒体搬送装置に応じて実験的に定めら
れる。

【００１５】以上により、モータ33の負荷が増大して回
転速度が低下し、媒体速度が低下しても、その分回転指
令速度を上昇させて補償することができるため、フィー
ドバック制御等を施すことなく簡易な方法で媒体速度を
一定に保つことができる。

【００１６】

【実施例】以下、図を用いて本発明の実施例を詳細に示
す。なお、全図を通じて同一符号は同一対象物を表す。
図２は一実施例の構成図、図３は速度パターン例を表す
図、図４は制御フローチャート図である。

【００１７】図２は、３個のローラ11, 12, 13で用紙14
を搬送する媒体搬送装置およびその制御装置の一実施例
を示したものである。ここで、11, 12, 13は用紙14を搬
送する搬送ローラ（以下ローラ）で、同一直径を持ち、
且つベルト16により、図示のようにモータ18の回転軸に
連結されていて、モータ18の回転により、同じ回転速度
で回転する。

【００１８】18はモータで、例えば、パルスモータ等が
使用される。15は、印字用（または読取り用）のヘッド
で、ローラ12とローラ13との間に設けられて、用紙14の
ライン方向（図の垂直方向）に走査される。

【００１９】17はセンサで、用紙14の先端がＬＭ点（ロ
ーラ11の中心を基準位置"0" として搬送方向への距離)
に達したことを検出する。20はモータ駆動回路で、速度
制御部21から出力される回転指令速度に基づき、モータ
18の回転制御を行う。

【００２０】22は速度パターンメモリで、回転指令速度
の値が、センサ17による用紙検出からの単位の経過時間
（または単位の移動距離）に対応して記録されている。
なお、回転指令速度の読出しアドレスは、図示省略した
が、読出しごとに歩進するアドレスレジスタによる。

【００２１】23はタイマで、速度パターンメモリ22に格
納されている速度パターンの時間間隔のタイミング信号
を出力する。21は速度制御部で、センサ17による用紙検
出までは、回転指令速度として速度Ｖに対応する回転指
令速度Ｒ１をモータ駆動回路20に出力し、センサ17検出
後は、タイマ23から出力されるタイミング信号により、
速度パターンメモリ22を参照して、時間経過（移動距
離）に基づく回転速度指令速度をモータ駆動回路20に出
力する。

【００２２】図３は速度パターン例を表したもので、ロ
ーラ１〜３の設置位置に対応して用紙14の種類（主とし
て幅及び長さ) ごとに設けられるものである。そして、
それらの値は、それぞれの用紙14を一定速度Ｖで搬送す
るための速度指令がセンサ17を基準として格納されてい
る。つまり、用紙14の突入検出により最初は回転速度を
Ｒ１とし、用紙14の先頭がセンサ17を通過した後の移動
距離を経過時間（パターンの読み取り時間間隔による）
と速度Ｖから演算して次のローラに噛み込まれた時点で
回転速度をＲ１からＲ２に変える値等となっている。な
お、当然ながらこのＲ１，Ｒ２，Ｒ３・・との差は噛み
込まれるローラ数による減速を補償する値である。

【００２３】ここで、用紙14がローラ12に噛み込まれる
位置は、用紙14の厚さにより、また上下ローラの押圧程
度により異なるが、ローラ12の中心より手前の、搬送さ
れる用紙14がローラ12に接触する位置L2b と設定する。
この点については噛み込まれる対象ローラ数が増えても
同じ扱いとする。

【００２４】この速度パターンは、実際には実験的に決
定され、単位の経過時間ごとに分割されて速度パターン
メモリ22に格納され、時間経過に従い順次読み出され
る。この結果、図３によれば、ローラ11のみによる搬
送である移動距離L2b までは回転指令速度としてＲ１が
出力され、ローラ11とローラ12による搬送が開始され
るL2b からローラ12の中心位置のL2までの間は、回転指
令速度Ｒ１からＲ２まで直線的に加速する値が出力さ
れ、その後はローラ13に噛み込まれるまで回転指令速
度はＲ２が出力され、ローラ11,12,13による搬送であ
るローラ13に噛み込まれた後は、回転指令速度はＲ３が
出力される。

【００２５】なお、用紙14の送りが進むと噛み込むロー
ラ数は減少し、回転指令速度は低下するが、図３に示す
ように、演算した移動距離がL4となった時点でＲ２に減
速するような速度パターンが設定される。なお、このと
きも、距離L4b までは加減速するものとする。

【００２６】図４は、搬送速度制御動作のフローを示し
たもので、以下に説明する。 (1) 速度制御部21は、用紙14がセンサ17に達するまでは
回転指令速度Ｒ１をモータ駆動回路20に出力する。この
結果、用紙14は、少なくともローラ14に噛み込まれた後
は速度Ｖで搬送される。 (2) センサ17からの用紙検出信号により、速度制御部21
はタイマ23を起動する。 (3) そして、タイマ23からタイミング信号が出力される
ごとに速度パターンメモリ22を参照し、対応する回転指
令速度を出力する。 (4) このようにして速度パターンメモリ22の内容に従っ
てモータ18を駆動し、用紙14の移動が完了したとき（移
動距離と用紙長さにより判定するか、用紙検出センサを
別に設ける）、モータ18を停止する。

【００２７】以上の結果、用紙14は終始、速度Ｖで搬送
されることになり、ヘッド15による印字、または読取り
精度が改善される。以上のようにして、搬送に寄与する
ローラの数に応じた回転指令速度、即ち、用紙14を噛み
込んだローラ数が増加すれば回転指令速度を増大し、そ
のローラ数が減少すると回転指令速度を低下させること
により、比較的力の弱いモータを使用しても用紙14の搬
送速度を一定に保つことができる。

【００２８】なお、速度パターンは経過時間対応で記録
し、且つ読出しするようにしたが、速度Ｖが設定されて
いるので、移動距離を求めることができ、単位の移動距
離ごとに速度パターン制御を行うことができることは勿
論である。

【００２９】また、センサ17は１つのみ設けた例を示し
たが、ローラ間の任意の位置に設けると、演算による移
動距離が補正でき、より正確な制御が可能となる。ま
た、用紙の大きさは、幅, 長さを測定するセンサを設け
てもよく、その値を入力してもよいことは勿論である。

【００３０】

【発明の効果】以上のごとく、本発明は、1 つのモータ
で複数のローラを駆動して媒体を搬送する装置におい
て、搬送に寄与しているローラ数に応じてモータに与え
る回転指令速度を変えるようにしたもので、比較的力の
弱いモータを使用しても、媒体速度を一定に保つことが
できるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の原理図

【図２】 一実施例の構成図

【図３】 速度パターン例を表す図

【図４】 制御フローチャート図

【図５】 従来例の説明図

【図６】 従来例の搬送速度例を表す図

【符号の説明】

１，２ ローラ ３ モータ ４ 用紙 ５ ヘッド ６ ベルト 11, 12, 13
ローラ 14 用紙 15 ヘッド 16 ベルト 17 センサ 18 モータ 20 モータ駆
動回路 21 速度制御部 22 速度パタ
ーンメモリ 23 タイマ 31, 32 ロー
ラ 33 モータ 34 媒体 35 速度制御部 36 媒体位置
検出部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 １つのモータ(33)でそれぞれ回転駆動
   される複数個の搬送ローラ(31,32) が媒体(34)を順次噛
   み込んで搬送する媒体搬送装置において、該モータを制
   御して該媒体の搬送制御を行う媒体搬送制御装置であっ
   て、 媒体位置を検出する媒体位置検出部(36)と、 検出された媒体位置と該搬送ローラの配置位置とに基づ
   き、該媒体を噛み込んで搬送しているローラ数を判別
   し、該ローラ数に応じた回転指令速度を該モータに出力
   する速度制御部(35)とを備えることを特徴とする媒体搬
   送制御装置。