JPH0725048U - 作業機の連結構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 無給脂性のブッシュを備えたものにあって、
ブッシュおよびピンの摺動部分からの潤滑油の流出を防
止できる作業機の連結構造の提供。 【構成】 ピン４とブームの端部を形成するボス１との
間に介挿される含油ブッシュ１１と、この含油ブッシュ
１１の両端部のそれぞれに設けられるオイルシール１２
とを備え、上記の含油ブッシュ１１からこの含油ブッシ
ュ１１およびピン４の摺動部分に供給される油を上記の
オイルシール１２により含油ブッシュ１１の両端部で封
止し、外部への流出を阻止するようにした。 【効果】 無給脂性のブッシュを備えたものにあって、
当該無給脂性のブッシュおよびピンが潤滑不良により焼
き付く事故を防ぐことができ、ブッシュの寿命などを延
ばすことができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、油圧ショベルのブームとアームの連結構造などのようにブラケット とボスをピンによって連結した作業機の連結構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

この種の従来の技術は、実開平３−１３３５４号公報などにも示されているが 、一般的な作業機の連結構造は、図２に示されるような構造である。この従来技 術は例えば油圧ショベルの連結構造を示しており、例えばブームの端部を形成す るボス１の穴２にブッシュ３が嵌合され、このブッシュ３に挿入されたピン４が ブッシュ３の内周面を摺動することにより、ボス１とアームの端部を形成するブ ラケット５とが相対的に回動するようになっている。上記のピン４は、このピン ４の一端およびブラケット５を貫通する貫通穴６に挿入されるボルト（図示せず ）により回動などの動作が規制される。また、ボス１とブラケット５との相対す る端面間の隙間７に隙間調整手段、例えば軟鋼製のシム８が挿入され、このシム ８によってボス１とブラケット５とのピン４軸方向への相対的移動が規制される 。

【０００３】 さらに、上記の隙間７の外周にＯ−リング９を装着することにより外部から隙 間７に異物が侵入するのを阻止するとともに、上記のブッシュ３の両端部のそれ ぞれに設けられるダストシール１０によりブッシュ３およびピン４の摺動部分へ の異物侵入を阻止している。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところで上述した従来技術では、ブッシュ３およびピン４の摺動部分には外部 からの注油などにより給脂がおこなえるため、ブッシュ３およびピン４の摺動部 分からの油の流出はほとんど無視でき、このようなことから、もともと油流出を 防止する機能は備えられていない。しかしながら、例えばブッシュ３などに油を 含有させておき、その油で上記の摺動部分の潤滑を行ない、外部から給脂しない ことを考えると、上記の摺動部分から油が流出してブッシュ３およびピン４の摺 動部分の潤滑性が損なわれてしまい、ブッシュ３およびピン４が焼き付くという 問題が考えられる。

【０００５】 本考案はこのような従来技術における実情に鑑みてなされたもので、その目的 は、無給脂性のブッシュを備えたものにあって、ブッシュおよびピンの摺動部分 からの潤滑油の流出を防止することのできる作業機の連結構造を提供することに ある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

この目的を達成するために本考案は、ブラケットとボスとを相対的回動可能に 連結するピンと、このピンとボスとの間に介挿されるブッシュと、上記ブラケッ トとボスとの相対する端面間の隙間を調整する隙間調整手段と、上記隙間への異 物侵入を阻止するシール手段とを備えた作業機の連結構造において、上記ブッシ ュが無給脂性のブッシュから成るとともに、このブッシュの両端部のそれぞれに オイルシールを設けた構成にしてある。

【０００７】

【作用】

本考案は上記のように、ピンとボスとの間に介挿されるブッシュが無給脂性の ものから成るとともに、このブッシュの両端部のそれぞれにオイルシールを設け たので、上記のブッシュからこのブッシュおよびピンの摺動部分に供給される油 が上記のオイルシールによりブッシュの両端部で封止される。これによって、上 記の摺動部分からの潤滑油の流出を防止することができる。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案の作業機の連結構造の実施例を図に基づいて説明する。 図１は本考案の作業機の連結構造の一実施例を示す断面図である。この実施例 も例えば油圧ショベルの連結構造を示している。なお、図１において前述した図 ２に示すものと同等のものには同一符号を付してある。すなわち、１は例えばブ ームの端部を形成するボス、２はボス１の内部に設けた穴、４はピン、５はアー ムの端部に形成したブラケット、６は貫通穴、７はボス１とブラケット５との隙 間、８は隙間７に挿入したシム、９は隙間７を封止するＯ−リングである。

【０００９】 そして特に、図１に示す本実施例の連結構造は、ピン４とボス１との間に介挿 される無給脂性のブッシュ、例えば含油ブッシュ１１と、この含油ブッシュ１１ の両端部のそれぞれに設けられるオイルシール１２と、ブラケット５の内周に設 けられる溝１３と、この溝１３に装着され、内側がピン４に当接する弾性体、例 えばＯ−リング１４とを備えている。そして、ブラケット５とボス１との相対す る端面間の隙間７に挿入されるシム８がステンレス板などの耐腐食性材料から成 るとともに、ピン４にはリン酸亜鉛皮膜、すなわち防錆処理が施されている。

【００１０】 この実施例にあっては、ボス１の穴２に嵌合された含油ブッシュ１１の内周面 をピン４が摺動することにより、ボス１とブラケット５とが相対的に回動するよ うになっている。上記の含油ブッシュ１１の両端部のそれぞれにオイルシール１ ２が設けられるので、上記の含油ブッシュ１１からこの含油ブッシュ１１および ピン４の摺動部分に供給される油が上記のオイルシール１２により封止される。

【００１１】 また、ブラケット５の内周に設けられる溝１３にＯ−リング１４が装着され、 このＯ−リング１４の内側がピン４の外周面に当接することから、このピン４の 外周面と上記のブラケット５の内周面との隙間も上記のＯ−リング１４によって 封止され、同時に、他のＯ−リング９によって、ボス１とブラケット５との相対 向する端面間の隙間７も封止されている。

【００１２】 また、上述したようにピン４の外周面と上記のブラケット５の内周面との隙間 にＯ−リング１４が介在することから、ピン４とブラケット５とにラジアル方向 の弾性力が付与される。例えばピン４に負荷がかかり、ピン４の外周面とブラケ ット５の内周面との隙間が小さくなるとき、Ｏ−リング１４が弾性変形するとと もに、このＯ−リング１４の弾性力によりピン４とブラケット５との突き当たる 際の衝撃が軽減される。なお、上記のピン４とブラケット５との隙間は比較的少 ないことから、大きな荷重が上記のＯ−リング１４にかかる前にピン４とブラケ ット５とが接触し、Ｏ−リング１４が過度に弾性変形することがないので、この Ｏ−リング１４の破損が少なくて済む。

【００１３】 このように構成した実施例にあっては、含油ブッシュ１１およびピン４の摺動 部分からの潤滑油の流出を防止することができる。

【００１４】 また、Ｏ−リング１４によってピン４とブラケット５とのラジアル方向の相対 的な移動を少なくすることができる。

【００１５】 さらに、ブラケット５とボス１との相対する端面間の隙間７に挿入されるシム ８が耐腐食性材料から成ることから、軟鋼製のシムと比べて耐腐食性を向上でき 、ブラケット５やボス１の材質と異なることから、シム８のかじりや焼き付きを 防止できる。

【００１６】 さらに、ピン４に防錆処理を施してあることから、ピン４の発錆を防ぐことに より、ピン４の外見を良好なものに保つことができる。

【００１７】 なお、本実施例では、前述した図２に示すダストシール１０の装着が省略され ているが、Ｏ−リング９、１４によって外部の土砂等の異物が内部に入り込むこ とを阻止するようになっているので、これらの外部の異物によるシム８の摩耗、 ボス１の端面の摩耗、ブラケット５の端面の摩耗、およびブッシュ１１およびピ ン４の摺動部分の摩耗を抑えることができる。

【００１８】

【考案の効果】

本考案は以上のように構成したので、無給脂性のブッシュおよびピンの摺動部 分からの潤滑油の流出を確実に防ぐことができ、したがって、無給脂性のブッシ ュを設けたものにあって、当該ブッシュおよびピンが潤滑不良により焼き付く事 故を防止でき、すなわち、これらのブッシュおよびピンの寿命を延ばすことがで きる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の作業機の連結構造の一実施例を示す断
面図である。

【図２】従来の作業機の連結構造を示す断面図である。

【符号の説明】

１ ボス ２ 穴 ４ ピン ５ ブラケット ７ 隙間 ８ シム（隙間調整手段） ９ Ｏ−リング（シール手段） １１ 含油ブッシュ １２ オイルシール １３ 溝 １４ Ｏ−リング（弾性体）

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ブラケットとボスとを相対的回動可能に
   連結するピンと、このピンとボスとの間に介挿されるブ
   ッシュと、上記ブラケットとボスとの相対する端面間の
   隙間を調整する隙間調整手段と、上記隙間への異物侵入
   を阻止するシール手段とを備えた作業機の連結構造にお
   いて、上記ブッシュが無給脂性のブッシュから成るとと
   もに、このブッシュの両端部のそれぞれにオイルシール
   を設けたことを特徴とする作業機の連結構造。