JPH0724469U - インキ等の塗布液の塗布具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 粒子径の大きな顔料やマイクロカプセルを含
有している塗布液を円滑に転写、塗布し得る塗布具を提
供する。 【構成】 塗布液２の貯蔵タンク軸１の下端に、ボール
５を回転並びに上下微動自在に保持したチップ部材４を
装着すると共にボール５をコイルバネ10によって常時、
チップ部材４の開口端に押し付けて塗布液の漏出を防止
し、使用時には被塗布面に対するボール５の押付力で該
ボール５をコイルバネ10の弾発力に抗して押し上げてチ
ップ部材４の開口下端の隙間を大きくすることにより塗
布液２を円滑に塗布、転写させるように構成している。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ペイントマーカや修正液筆記具、或いは化粧品、薬品等を塗布する 塗布具であって、下端に装着したボールの回転によって粒子径の大きな顔料又は マイクロカプセル等を含有した塗布液を転写、塗布するのに適した塗布具に関す るものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来から、中空内部にインキ等の塗布液を充填している軸体の下端にチップ部 材を装着し、このチップ部材の開口端にボールを回転自在に掴持させて該ボール を被転写面に押し付けながら移動させることによりボールに付着している塗布液 を被転写面に転写、塗布するように構成した筆記具が広く知られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、このような筆記具においてはチップ部の開口端とボールとの隙 間が極めて小さいために、粒子径の大きな顔料又はマイクロカプセル等を含有し た塗布液では流動抵抗が生じて目詰まりを起こしたり被転写面に円滑に転写する ことができず、カスレ等が生じて実用化を図ることができないものである。

【０００４】 このため、上記チップ部の開口端とボールとの隙間を上記塗布液が流通可能な 大きさに形成することも考えられるが、そうすると、不使用時においてもその大 きな隙間から塗布液のボタ落ちや漏れが生じ、また、チップ部からボールが脱落 する虞れも生じて上記同様に実用性に乏しいという問題点があった。本考案はこ のような問題点を全面的に解消し得る塗布具の提供を目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案の請求項１に記載した塗布具は、塗布液貯 蔵タンク軸の下端にチップ部材を装着し、このチップ部材の下端開口部に該開口 部から一部を露出しているボールを回転自在に且つ上下微動可能に保持させると 共に上記塗布液貯蔵タンク軸内にバネ受部材を配設してこのバネ受部材に受止さ れたコイルバネのバネ圧によって上記ボールを下方に向かって押圧させている構 造としている。

【０００６】 このように構成した塗布具において、請求項２に記載した考案は、塗布液貯蔵 タンク軸の下端内部に、上面中央部に通孔を穿設してなる下端が開口した筒状ホ ルダーを固定し、この筒状ホルダーに上記バネ受部材を上下動自在に内装すると 共に該バネ受部材の上端小径短軸部を上記通孔を挿通して上方に突出させ、この 短軸部の上端面に、塗布液貯蔵タンク軸内に上下動自在に配設した攪拌重り部材 の下面を当接させるように構成している。

【０００７】

【作用】

不使用時においては、ボールがコイルバネの弾発力により押し下げられてチッ プ部材の開口端に押接し、ボールとチップ部材との隙間を閉止又は最小限度にし てタンク軸内の塗布液のボタ落ちや漏れ等を防止する。また、使用時には被塗布 面にボールを押し付けると、その押付力によってボールがコイルバネの弾発力に 抗して押し上げられ、該ボールとチップ部材との隙間が大きくなって粒子径の大 きい顔料又はマイクロカプセル等を含む塗布液でも、ボールを介して被塗布面に 円滑に転写する。

【０００８】 さらに、請求項２に記載した考案によれば、タンク軸を上下方向に振ると、攪 拌重り部材が塗布液中で上下移動して塗布液を攪拌すると共に、下動した際にバ ネ受部材の突出短軸部を衝撃的に叩打してコイルバネを伸縮振動させ、その振動 によってチップ部材内に滞留している塗布液を攪拌し、沈澱或いはゲル状に滞留 している塗布液を再生して円滑な塗布、転写を可能にするものである。

【０００９】

【実施例】

本考案の実施例を図面について説明すると、図１において、１は内部に塗布液 ２を封入してなる細長筒状の塗布液貯蔵タンク軸で、握力によって弾性変形可能 な軟質合成樹脂材料より形成されてあり、その下端開口部に先軸３の上端部を螺 締等によって一体的に固着してある。この先軸３の上半部は貯蔵タンク軸１に連 通する一定径を有する筒軸部3aに形成されていると共に下半部は該筒軸部3aから 下端開口部3cに向かって徐々に小径となったテーパ筒軸部3bに形成されている。

【００１０】 ４はその上端部を先軸３の下端開口部3c内に圧入、嵌着した小径筒状のチップ 部材で、図２、図３に示すように、その下端部内周面の数箇所（図においては４ 箇所）から内方に向かってボール座片4aを突設していると共に開口下端縁を内方 向に向かって湾曲させてカシメ部4bに形成してあり、このカシメ部4bと上記ボー ル座片4aとの間の開口部内にボール５を該ボール５の下周部がカシメ部4bから突 出した状態にして回転自在に且つ上下微動自在に収納保持させ、ボール５が上動 してボール座片4aに近接、或いは当接、受止された状態においては、ボール５と カシメ部4bとの間に上記塗布液２が円滑に流通可能な隙間を形成するように構成 してある。６は上記隣接するボール座片4a、4a間に形成された溝状通路である。

【００１１】 ７はその外筒部7aを先軸３の筒軸部3aからテーパ筒軸部3bの上端部に至る内面 に固着した筒状ホルダーで、該外筒部7aと一体的に形成した内筒部7bの下端を下 方に向けて全面的に開口させていると共に内筒部7bの上端に、中央に通孔８を設 けた天壁部7cを一体に形成してある。９はこの筒状ホルダー７の内筒部7b内に上 下動自在に収納したバネ受部材で、その上端部を通孔８の開口下端に当接、受止 される円錐形状のテーパ部9bを介して通孔８に挿通した小径の短軸部9aに形成し てあり、さらに、内筒部7bの適所にタンク軸１側に連通する塗布液流通孔7dを穿 設してなる。なお、このような塗布液流通孔7dを設けることなく、上記通孔８の 一部に溝状の塗布液通過空隙部を形成しておいてもよい。

【００１２】 10はバネ受部材９の下端面とボール５との間に圧入したコイルバネで、その上 端をバネ受部材９の下端面中央に突設しているバネ支持突軸部9cに保持された状 態でバネ受部材９の下端面に押接して該バネ受部材９を常時上方に付勢し、その テーパ部9b通孔８の開口下端に圧接、受止させていると共に下端でボール５を下 方に押圧してチップ部材４のカシメ部4bに押し付けてある。11は貯蔵タンク１内 の液中に移動自在に収納している棒状の攪拌重り部材である。なお、塗布液には 使用目的に応じた粒子径の大きい顔料、或いはマイクロカプセルが組成物の一部 として配合、混入している。

【００１３】 このように構成した塗布具の使用態様を述べると、不使用時においてはコイル バネ10の弾発力によってバネ受部材９がそのテーパ部9bを筒状ホルダー７の通孔 ８に圧接、受止させた状態となっていると共にバネ10を介してボール５を下方に 押圧してチップ部材４の開口端のカシメ部4bに押し付け、ボール５とカシメ部4b との隙間を閉止又は最小限度にしてタンク軸１内の塗布液のボタ落ちや漏出等を 防止している。

【００１４】 使用に際して貯蔵タンク軸１を把持して上下に振ると、攪拌重り部材11が塗布 液２中で上下動して塗布液２を均一に攪拌すると共に、下動した際に該攪拌重り 部材11の下端面が筒状ホルダー７の通孔８から上方に突出しているバネ受部材９ の短軸部9aに当接して該バネ受部材９がコイルバネ10を圧縮しながら衝撃的に押 し下げられる。

【００１５】 また、攪拌重り部材11が上動してバネ受部材９の短軸部9aから離れると、コイ ルバネ10の復元力によってバネ受部材９が押し上げられ、通孔８の開口端に受止 されて停止することになる。このように、攪拌重り部材11の衝突、離脱によるバ ネ受部材９の上下動によってコイルバネ10が伸縮振動を行い、筒状ホルダー７と チップ部材４内に沈澱或いはゲル状に滞留している塗布液２を均一に攪拌、再生 して円滑な流動性を付与する。

【００１６】 この状態にして被塗布面にボール５を押し付けると、その押付力によってボー ル５がコイルバネ10の弾発力に抗してボール座片4aに近接、ないしは当接する位 置まで押し上げられ、該ボール５とチップ部材４のカシメ部4bとの間の隙間が最 大となり、粒子径の大きい顔料又はマイクロカプセル等を含む塗布液がその隙間 を通じて円滑に流出してボール５の転動により被塗布面に転写、塗布することが でき、又、被塗布面からボール５を離間させると、コイルバネ10の弾発力によっ てボール５が元位置まで下動し、上記隙間を最小或いは閉止して塗布液の漏出を 阻止するものである。

【００１７】 図５は本考案の別な実施例を示すもので、上記実施例においてはコイルバネ10 の下端を直接、ボール５に押し付けているが、この実施例においてはチップ部材 ４内に下端面をボール５に押し付けたボール押し棒12を挿入し、該ボール押し棒 12の大径上端部の上端に突設している小径軸部12a と上記バネ受部材９のバネ支 持突軸部9cとにコイルバネ10a の上下端部を介在させ、バネ受部材９の下面とボ ール押し棒12の上端面間に圧入してなるもので、コイルバネ10a の弾発力をボー ル押し棒12を介して間接的にボール５に伝達するように構成している。

【００１８】 図６は本考案の更に別な実施例を示すもので、バネ受部材９の突軸部9cにコイ ルバネ10b の上端部を挿着し、このコイルバネ10b の下半部を延伸して垂直棒状 部10c に形成し、該垂直棒状部10c の下端面をボール５に押し付けた構造として いるものである。その他の実施例は上記実施例と同様である。

【００１９】

【考案の効果】

以上のように本考案の塗布具によれば、塗布液貯蔵タンク軸の下端にチップ部 材を装着し、このチップ部材の下端開口部に該開口部から一部を露出しているボ ールを回転自在に且つ上下微動可能に保持させると共に上記塗布液貯蔵タンク軸 内にバネ受部材を配設してこのバネ受部材に受止されたコイルバネのバネ圧によ って上記ボールを下方に向かって押圧させているので、不使用時においては、ボ ールをコイルバネの弾発力により押し下げてボールとチップ部材との隙間を閉止 又は最小限度にしておくことができ、従って、タンク軸内の塗布液のボタ落ちや 漏れ等を確実に防止し得るものである。又、使用時には被塗布面にボールを押し 付けると、ボールがコイルバネの弾発力に抗して押し上げられて該ボールとチッ プ部材との隙間を大きくすることができ、従って、粒子径の大きい顔料又はマイ クロカプセル等を含む塗布液であっても、ボールを介して被塗布面に円滑に転写 することができるものである。

【００２０】 さらに、本考案の請求項２に記載した塗布具の構造によれば、タンク軸を上下 方向に振ることによって、タンク軸に内装している攪拌重り部材が塗布液中で上 下動するので、タンク軸内の塗布液を均一に攪拌し得ると共に、該攪拌重り部材 が下動した際に、筒状ホルダー内に上下動自在に配設している上記バネ受部材の 上端突出短軸部に当接して該バネ受部材を衝撃的に押し下げ、筒状ホルダーの通 孔を開放して塗布液をチップ部材側に供給することができる。

【００２１】 また、攪拌重り部材がバネ受部材の突出短軸部から離れると、コイルバネの復 元力によって該バネ受部材が押し上げられ、バネ受部材の上端短軸部を上記通孔 の開口端に当接させると共に、このようなバネ受部材の上下動によってコイルバ ネが伸縮振動してチップ部材内に沈澱或いはゲル状に滞留している塗布液を攪拌 し、流動性のよい均一な塗布液にして円滑な塗布、転写を可能にし得るものであ る。

【図面の簡単な説明】

【図１】一部切欠縦断正面図、

【図２】チップ部材部分の拡大縦断正面図、

【図３】そのボール座片部分の横断面図、

【図４】ボールを被塗布面に押し付けた状態の縦断正面
図、

【図５】本考案の別な実施例を示す要部の縦断正面図、

【図６】本考案の更に別な実施例を示す要部の縦断正面
図。

【符号の説明】

１ 貯蔵タンク軸 ２ 塗布液 ３ 先軸 ４ チップ部材 4a ボール座片 ５ ボール ７ 筒状ホルダー ８ 通孔 ９ バネ受部材 10 コイルバネ 11 攪拌重り部材

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 塗布液貯蔵タンク軸の下端にチップ部材
   を装着し、このチップ部材の下端開口部に該開口部から
   一部を露出しているボールを回転自在に且つ上下微動可
   能に保持させると共に上記塗布液貯蔵タンク軸内にバネ
   受部材を配設してこのバネ受部材に受止されたコイルバ
   ネのバネ圧によって上記ボールを下方に向かって押圧さ
   せていることを特徴とするインキ等の塗布液の塗布具。
2. 【請求項２】 上記塗布液貯蔵タンク軸の下端内部に、
   上面中央部に通孔を穿設してなる下端が開口した筒状ホ
   ルダーを固定し、この筒状ホルダーに上記バネ受部材を
   上下動自在に内装すると共に該バネ受部材の上端小径短
   軸部を上記通孔を挿通して上方に突出させ、この短軸部
   の上端面に、塗布液貯蔵タンク軸内に上下動自在に配設
   した攪拌重り部材の下面を当接させるように構成した請
   求項１記載のインキ等の塗布液の塗布具。