JP4098666B2 - 塗布具 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、修正液や化粧液など、顔料が溶媒内に分散した粘度の高い塗布液が充填された塗布具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
塗布体が球状の塗布具は、筆記具の軸筒に相当する塗布液タンク内に顔料が溶媒内に分散した粘度の高い塗布液が充填されており、この塗布液タンクの先端に直接あるいは先口を介してチップが取り付けられいる。そして、ボールペンと同様に、チップの先端からその一部が先端から臨出した状態で球状塗布体が回転自由に抱持されている。この球状塗布体をスプリングで弾発し、不使用時に、球状塗布体をチップの内向きの先端縁に密着させ、球状塗布体とチップの先端縁で弁構造を構成して塗布液が吐出しないようにしている。
【0003】
使用時において、球状塗布体を塗布面に押し付けると球状塗布体がスプリングの弾発力に抗して後退し、球状塗布体とチップの先端縁との間に隙間ができるので、球状塗布体のチップ内の部分に付着した塗布液が球状塗布体の回転に伴ってこの隙間を通ってチップの外側に出て塗布される。
【0004】
塗布液タンクに充填された造膜性の塗布液は、顔料が溶媒内に分散したものであるので、長時間放置しておくと、顔料が溶媒と分離して沈降する。このため、塗布液タンク内に球状や棒状の撹拌部材を配置し、使用に先だって、塗布具を振って上下動する撹拌部材で塗布液を撹拌し、分離した顔料を溶媒に分散させる必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
直径がφ1mm程度の球状塗布体を回転自由に抱持したチップは外径がφ3mm程度であり、このチップか軸筒や先口先端の中心孔の中腹部まで嵌着されている。従って、先口の中心孔の内径もφ3mm程度である。一方、塗布液タンクの内径はφ8mm程度であり、塗布液タンク内に配置された撹拌子の外径はφ6mm程度である。このため、塗布具を上下に振っても、撹拌子は先口の中心孔内に侵入しないので、先口の中心孔のチップが嵌着されていない部分に沈降した顔料を撹拌することができない。
【0006】
ところで、塗布具が製造されてからユーザーの手に渡るまでに長期間経過することがあり、この場合はチップ内において塗布液の顔料が沈降する可能性が高い。このように、チップ内において塗布液の顔料が沈降すると、ユーザーが最初に使用するとき(初筆時)に塗布液がチップ先端からスムーズに吐出しない不具合がある。
【0007】
そこで本発明は、簡単な構造で、初筆時に塗布液がチップ先端からスムーズに吐出する塗布具を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明は、球状塗布体を回転自由に抱持したチップが先端の中心孔に嵌着され、外周面に鍔部が形成されるとともに、該鍔部の尾端側に該中心孔に連通する押出し管を有する先口と、先端開口が詰め栓で封止され、内部に塗布液が充填された塗布液タンクと、内部に段部を有し、塗布液タンクの先端部に嵌着されるキャップとで構成し、初筆時において、塗布液タンクの先端開口に仮止めされた先口の鍔部にキャップの段部を当接させてキャップを押し込むと、押出し管によって塗布液タンクの詰め栓が後退して先端開口の封止が解除され、塗布液タンク内の塗布液がチップに供給されて塗布可能となるようにする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、図面に基づいて本発明の実施の形態を具体的に説明する。図1は塗布具が出荷される前の状態を示す断面図であるが、図1において、塗布液タンク10は、合成樹脂、例えばナイロンやPBTなどで成形されたものであり、尾端開口に尾栓15が嵌着されている。そして、先端部にはやや小径のキャップ嵌着部12が形成されている。塗布液タンクン10の先端開口には筒状の封止部11が形成され、金属球からなり、攪拌子を兼ねる詰め栓13が封止部11に圧入されている。つまり、塗布液タンク10の先端開口は詰め栓13によって封止されている。そして、塗布液タンク10内には、例えば粘度が30〜40cpsであって、溶媒に顔料が分散した造膜性の高い修正液である塗布液(図示せず)が充填されている。また、塗布液内には金属球からなる2個の攪拌子14が配置されている。
【0010】
先口20の中腹部には鍔部21が形成され、鍔部21の尾端側が押出し管22である。そして、先口20の中心孔にチップ30が嵌着されている。チップ30は、ステンレスにて砲弾型に形成されており、チップ30先端のボールハウスに、直径が例えばφ1.0mmの超硬ボールからなる球状塗布体31がその一部がチップ30の先端から臨出した状態で回転自由に抱持されたボールペンタイプである。なお、チップ30は金属パイプからなるものであってもよい。そして、チップ30内には、質量の小さなスプリング(図示せず)が配置されており、このスプリングが球状塗布体31を弾発してチップ30の内向きの先端縁に圧接している。つまり、球状塗布体31とチップ30の先端縁とで弁機構を構成し、不使用時に塗布液がチップ30の先端から吐出しないようになっている。
【0011】
かかる先口20が塗布液タンク10の先端開口に仮止めされている。すなわち、押出し管22が、その尾端面が詰め栓13に軽く接触する程度に封止部11に挿入されており、塗布液タンク10の先端面と鍔部21の尾端面は離間している。つまり、詰め栓13は封止部11に圧入された状態であり、塗布液タンク10は開封されておらず、チップ30内には、塗布液は存在しない。キャップ嵌着部12の外周面には、例えば軟質の合成樹脂からなり容易に剥離できるリング状のスペーサー50が嵌め込まれている。そして、キャップ嵌着部12にキャップ40が嵌着されているが、内部の段部41が先口20の鍔部21に当接するとともに、合い口側の端部がスペーサー50に接触している。したがって、この状態でキャップ40を不用意に押し込むことは不可能である。
【0012】
しかして、最初の使用に際してユーザーは、スペーサー50を剥離して除去し、図2に示すように、キャップ40を押し込むと、キャップ40内部の段部41が先口20の鍔部21に当接しているので先口20は前進し、押出し管22が封止部11に大きく入り込む。これにより、押出し管22の尾端面が詰め栓13を塗布液タンク10内に押しやり、塗布液タンク10の先端開口は開封される。従って、塗布液タンク10内の塗布液が先口20の中心孔を通ってチップ30内に供給され、初筆時において塗布液がチップ30先端からスムーズに吐出する。そして、塗布液タンク10内に押しやられた詰め栓13は攪拌子として働く。このように、軸筒を使用せず、塗布液タンク10が軸筒を兼ねているので構造が極めて簡単である。
【0013】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の塗布具は、球状塗布体を回転自由に抱持したチップが先端の中心孔に嵌着され、外周面に鍔部が形成されるとともに、該鍔部の尾端側に該中心孔に連通する押出し管を有する先口と、先端開口が詰め栓で封止され、内部に塗布液が充填された塗布液タンクと、内部に段部を有し、塗布液タンクの先端部に嵌着されるキャップとで構成し、初筆時において、塗布液タンクの先端開口に仮止めされた先口の鍔部にキャップの段部を当接させてキャップを押し込むと、押出し管によって該塗布液タンクの詰め栓が後退して先端開口の封止が解除され、塗布液タンク内の塗布液がチップに供給されて塗布可能となるので、簡単な構造で、初筆時に塗布液がチップ先端からスムーズに吐出する塗布具とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】出荷時の状態を示す断面図である。
【図2】使用可能時の状態を示す断面図である。
【符号の説明】
10 塗布液タンク
11 封止部
12 キャップ嵌着部
13 詰め栓
14 攪拌子
15 尾栓
20 先口
21 鍔部
22 押出し管
30 チップ
31 球状塗布体
40 キャップ
41 段部
50 スペーサー
Claims (1)
- 球状塗布体を回転自由に抱持したチップが先端の中心孔に嵌着され、外周面に鍔部が形成されるとともに、該鍔部の尾端側に該中心孔に連通する押出し管を有する先口と、先端開口が詰め栓で封止され、内部に塗布液が充填された塗布液タンクと、内部に段部を有し、塗布液タンクの先端部に嵌着されるキャップからなり、
初筆時において、塗布液タンクの先端開口に仮止めされた先口の鍔部に該キャップの段部を当接させてキャップを押し込むと、押出し管によって該塗布液タンクの詰め栓が後退して先端開口の封止が解除され、塗布液タンク内の塗布液がチップに供給されて塗布可能となることを特徴とする塗布具。
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2003
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