JP4318485B2 - 塗布具 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、修正液や化粧液など、顔料が溶媒内に分散した粘度の高い塗布液が充填された塗布具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
塗布体が球状の塗布具は、筆記具の軸筒に相当する塗布液タンク内に顔料が溶媒内に分散した粘度の高い塗布液が充填されており、この塗布液タンクの先端に直接あるいは継手を介してチップが取り付けられいる。そして、ボールペンと同様に、チップの先端からその一部が先端から臨出した状態で球状塗布体が回転自由に抱持されている。この球状塗布体をコイルスプリングで弾発し、不使用時に、球状塗布体をチップの内向きの先端縁に密着させ、球状塗布体とチップの先端縁で弁構造を構成して塗布液が吐出しないようにしている。
【0003】
使用時において、球状塗布体を塗布面に押し付けると球状塗布体がコイルスプリングの弾発力に抗して後退し、球状塗布体とチップの先端縁との間に隙間ができるので、球状塗布体のチップ内の部分に付着した塗布液が球状塗布体の回転に伴ってこの隙間を通ってチップの外側に出て塗布される。
【0004】
塗布液タンクに充填された造膜性の塗布液は、顔料が溶媒内に分散したものであるので、長時間放置しておくと、顔料が溶媒と分離して沈降する。このため、塗布液タンク内に球状や棒状の撹拌部材を配置し、使用に先だって、塗布具を振って上下動する撹拌部材で塗布液を撹拌し、分離した顔料を溶媒に分散させる必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
直径がφ1mm程度の球状塗布体を回転自由に抱持したチップは外径がφ3mm程度であり、このチップか軸筒や継手先端の中心孔の中腹部まで嵌着されている。従って、継手の中心孔の内径もφ3mm程度である。一方、塗布液タンクの内径はφ8mm程度であり、塗布液タンク内に配置された撹拌子の外径はφ6mm程度である。このため、塗布具を上下に振っても、撹拌子は継手の中心孔内に侵入しないので、継手の中心孔のチップが嵌着されていない部分に沈降した顔料を撹拌することができない。
【0006】
ところで、塗布具が製造されてからユーザーの手に渡るまでに長期間経過することがあり、この場合はチップ内において塗布液の顔料が沈降する可能性が高い。このように、チップ内において塗布液の顔料が沈降すると、ユーザーが最初に使用するとき(初筆時)に塗布液がチップ先端からスムーズに吐出しない不具合がある。
【0007】
そこで本発明は、初筆時に塗布液がチップ先端からスムーズに吐出する塗布具を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、請求項1の発明は、コイルスプリングで前方に弾発された球状塗布体を回転自由に抱持したチップが先端の中心孔に嵌着され、内部に小径攪拌子が配置された押出し管が尾端側に取り付けられた継手が軸筒の先端開口に取り付けられ、先端の封止部が詰め栓で封止され、内部に塗布液が充填された塗布液タンクが軸筒内に収容されてなり、初筆時において、軸筒の尾端開口から突出する塗布液タンクの尾端部を押し込むと、押出し管によって該塗布液タンクの詰め栓が後退して封止が解除され、塗布液タンク内の塗布液がチップに供給されて塗布可能となるようにする。
また、請求項2の発明のように、コイルスプリングをチップの尾端開口から突出させ、塗布具を上下に振ると、押出し管内の小径攪拌子がコイルスプリングの尾端縁に衝合してコイルスプリングが振動するようにするのが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、図面に基づいて本発明の実施の形態を具体的に説明する。図1は塗布具が出荷される前の状態を示す断面図であるが、図1において、軸筒10は、合成樹脂、例えばナイロンやPBTなどで成形されたものであり、先端部にやや小径のキャップ嵌着部11が形成され、キャップ嵌着部11の先端はテーパー部12になっている。なお、別部品の先口を軸筒10の先端部に取り付けてテーパー部12としてもよい。軸筒10の先端開口には継手20が取り付けられており、継手20の中心孔にチップ30が嵌着されている。また、継手20の尾端側には円筒状の押出し管21が取り付けられており、押出し管21内には、球形の小径攪拌子22が上下動可能に配置されている。また、不使用時には、キャップ嵌着部11にキャップ50が嵌着される。
【0010】
チップ30は、ステンレスにて砲弾型に形成されており、チップ30先端のボールハウスに、直径が例えばφ1.0mmの超硬ボールからなる球状塗布体31がその一部がチップ30の先端から臨出した状態で回転自由に抱持されたボールペンタイプである。なお、チップ30は金属パイプからなるものであってもよい。そして、チップ30内には、質量の小さなコイルスプリング32が配置されており、コイルスプリング32の尾端部はチップ30の尾端開口から突出している。コイルスプリング32は球状塗布体31を弾発してチップ30の内向きの先端縁に圧接している。つまり、球状塗布体31とチップ30の先端縁とで弁機構を構成し、不使用時に塗布液がチップ30の先端から吐出しないようになっている。
【0011】
塗布液タンク40は、軸筒10と同じく、合成樹脂、例えばナイロンやPBTなどで有底筒状に成形されたものであり、塗布液タンク40の先端が圧入部42である。そして、圧入部42の尾端側内部には、円筒体である封止部41が一体に形成されている。また、塗布液タンク40の尾端開口には、鍔部46を有する尾栓45が嵌着されている。そして、金属球からなり、攪拌子を兼ねる詰め栓43が封止部41に圧入されている。つまり、塗布液タンク40の先端開口は詰め栓43によって封止されている。そして、塗布液タンク40内には、例えば粘度が30〜40cpsであって、溶媒に顔料が分散した造膜性の高い修正液である塗布液(図示せず)が充填されている。また、塗布液内には金属球からなる大径攪拌子44が配置されている。
【0012】
かかる塗布液タンク40が軸筒10内に配置されており、継手20の押出し管21が塗布液タンク40の圧入部42に少し進入し、出荷時においては、押出し管21の尾端部は封止部41に当接した状態であり、塗布液タンク40は開封されていない。つまり、チップ30内には、塗布液は存在しない。
【0013】
しかして、最初の使用に際してユーザーは、図2に示すように、軸筒10の尾端開口から突出した尾栓45の尾端面45aを指先で押し込み、鍔部46を軸筒10の尾端縁に当接させる。これにより、塗布液タンク40の圧入部42が軸筒10の内面に圧入されて前進する。押出し管21は継手20に連接されており軸筒10に対して移動しないが、この圧入操作により、押出し管21は塗布液タンク40の圧入部42に対して相対的に移動し、封止部41に入り込んで詰め栓43を塗布液タンク40内に押しやり、塗布液タンク40は開封される。従って、塗布液タンク40内の塗布液が押出し管21を通ってチップ30内に供給され、初筆時において塗布液がチップ30先端からスムーズに吐出される。
【0014】
そして、塗布具を上下に振ると、大径攪拌子44および詰め栓43が塗布液タンク40に充填された塗布液内を上下動して塗布液を攪拌するが、小径攪拌子22も継手20の押出し管21内で上下動するので、内径の小さな押出し管21内の塗布液も攪拌される。また、小径攪拌子22が下方に移動したときにチップ30の尾端開口から突出したコイルスプリング32に衝合して振動させるので、このコイルスプリング32の振動により内径の極めて小さなチップ30内の塗布液も攪拌することかできる。したがって、初筆の後においても、塗布液がチップ30先端からスムーズに吐出する。
【0015】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の塗布具は、コイルスプリングで前方に弾発された球状塗布体を回転自由に抱持したチップが先端の中心孔に嵌着され、内部に小径攪拌子が配置された押出し管が尾端側に取り付けられた継手が軸筒の先端開口に取り付けられ、先端の封止部が詰め栓で封止され、内部に塗布液が充填された塗布液タンクが軸筒内に収容されてなり、初筆時において、軸筒の尾端開口から突出する塗布液タンクの尾端部を押し込むと、押出し管によって塗布液タンクの詰め栓が後退して封止が解除され、塗布液タンク内の塗布液がチップに供給されて塗布可能となるようにし、また、コイルスプリングをチップの尾端開口から突出させ、塗布具を上下に振ると、押出し管内の小径攪拌子がコイルスプリングの尾端縁に衝合してコイルスプリングが振動するようにするので、初筆時に塗布液がチップ先端からスムーズに吐出する塗布具とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】出荷時の状態を示す断面図である。
【図2】使用開始時の状態を示す断面図である。
【符号の説明】
10 軸筒
11 キャップ嵌着部
12 テーパー部
20 継手
21 押出し管
22 小径攪拌子
30 チップ
31 球状塗布体
32 コイルスプリング
40 塗布液タンク
41 封止部
42 圧入部
43 詰め栓
44 大径攪拌子
45 尾栓
46 鍔部
50 キャップ
Claims (2)
- コイルスプリングで前方に弾発された球状塗布体を回転自由に抱持したチップが先端の中心孔に嵌着され、内部に小径攪拌子が配置された押出し管が尾端側に取り付けられた継手が軸筒の先端開口に取り付けられ、先端の封止部が詰め栓で封止され、内部に塗布液が充填された塗布液タンクが軸筒内に収容されてなり、
初筆時において、軸筒の尾端開口から突出する塗布液タンクの尾端部を押し込むと、塗布液タンクに対して相対的に移動する押出し管によって該塗布液タンクの詰め栓が後退して封止が解除され、塗布液タンク内の塗布液がチップに供給されて塗布可能となることを特徴とする塗布具。 - 前記コイルスプリングがチップの尾端開口から突出し、塗布具を上下に振ると、該小径攪拌子がコイルスプリングの尾端縁に衝合してコイルスプリングを振動させることを特徴とする請求項1記載の塗布具。
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