JP4160442B2 - 塗布具 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、修正液や化粧液など、顔料が溶媒内に分散した粘度の高い塗布液が充填された塗布具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
塗布体が球状の塗布具は、筆記具の軸筒に相当する塗布液タンク内に顔料が溶媒内に分散した粘度の高い塗布液が充填されており、この塗布液タンクの先端に直接あるいは先口を介してチップが取り付けられいる。そして、ボールペンと同様に、チップの先端からその一部が先端から臨出した状態で球状塗布体が回転自由に抱持されている。この球状塗布体をスプリングで弾発し、不使用時に、球状塗布体をチップの内向きの先端縁に密着させ、球状塗布体とチップの先端縁で弁構造を構成して塗布液が吐出しないようにしている。
【0003】
使用時において、球状塗布体を塗布面に押し付けると球状塗布体がスプリングの弾発力に抗して後退し、球状塗布体とチップの先端縁との間に隙間ができるので、球状塗布体のチップ内の部分に付着した塗布液が球状塗布体の回転に伴ってこの隙間を通ってチップの外側に出て塗布される。
【0004】
塗布液タンクに充填された造膜性の塗布液は、顔料が溶媒内に分散したものであるので、長時間放置しておくと、顔料が溶媒と分離して沈降する。このため、塗布液タンク内に球状や棒状の撹拌部材を配置し、使用に先だって、塗布具を振って上下動する撹拌部材で塗布液を撹拌し、分離した顔料を溶媒に分散させる必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
直径がφ1mm程度の球状塗布体を回転自由に抱持したチップは外径がφ3mm程度であり、このチップか軸筒や先口先端の中心孔の中腹部まで嵌着されている。従って、先口の中心孔の内径もφ3mm程度である。一方、塗布液タンクの内径はφ8mm程度であり、塗布液タンク内に配置された撹拌子の外径はφ6mm程度である。このため、塗布具を上下に振っても、撹拌子は先口の中心孔内に侵入しないので、先口の中心孔のチップが嵌着されていない部分に沈降した顔料を撹拌することができない。
【0006】
ところで、塗布具が製造されてからユーザーの手に渡るまでに長期間経過することがあり、この場合はチップ内において塗布液の顔料が沈降する可能性が高い。このように、チップ内において塗布液の顔料が沈降すると、ユーザーが最初に使用するとき(初筆時)に塗布液がチップ先端からスムーズに吐出しない不具合がある。
【0007】
そこで本発明は、初筆時に塗布液がチップ先端からスムーズに吐出する塗布具を提供することを目的とし、更には、塗布可能状態において塗布液が不意に漏れ出すことのない塗布具を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、請求項1の発明は、先口先端の中心孔に球状塗布体を回転自由に抱持したチップを嵌着し、この中心孔に連通する押出し管を有する先口を軸筒の先端開口に取り付け、先端開口が詰め栓で封止され、内部に塗布液が充填された塗布液タンクを軸筒内に収容し、初筆時において、キャップを軸筒尾端のキャップ嵌着部に嵌着してキャップを押し込むことにより軸筒の尾端開口から突出する塗布液タンクの尾端部を押し込むと、押出し管によって塗布液タンクの詰め栓が後退して先端開口の封止が解除され、塗布液タンク内の塗布液がチップに供給されて塗布可能とし、塗布可能状態において、塗布液タンクの尾端部が軸筒の尾端開口から突出する部分の長さを5mm以下にして指先で掴むのが困難な程度の長さにする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、図面に基づいて本発明の実施の形態を具体的に説明する。図1は塗布具が出荷される前の状態を示す断面図であるが、図1において、軸筒10は、合成樹脂、例えばナイロンやPBTなどで成形されたものであり、肉厚は0.5〜1.0mmの範囲の薄肉なものであり、例えば0.6mmである。軸筒10の尾端部はやや小径のキャップ嵌着部11が形成されており、使用時には、図3に示すように、キャップ50を嵌着できるようになっている。そして、軸筒10とキャップ嵌着部11の境界の内面に内段12が形成されている。軸筒10の先端開口には先口20が取り付けられている。なお、軸筒10と先口20を一体に成形したものであってもよい。先口20の中心孔21にチップ30が嵌着されている。また、先口20内部には筒状の押出し管22が形成されており、押出し管22の内面は中心孔21に連通している。また、不使用時には、先口20にキャップ50が嵌着される。
【0011】
チップ30は、ステンレスにて砲弾型に形成されており、チップ30先端のボールハウスに、直径が例えばφ1.0mmの超硬ボールからなる球状塗布体31がその一部がチップ30の先端から臨出した状態で回転自由に抱持されたボールペンタイプである。なお、チップ30は金属パイプからなるものであってもよい。そして、チップ30内には、質量の小さなスプリング32が配置されており、このスプリング32が球状塗布体31を弾発してチップ30の内向きの先端縁に圧接している。つまり、球状塗布体31とチップ30の先端縁とで弁機構を構成し、不使用時に塗布液がチップ30の先端から吐出しないようになっている。
【0012】
塗布液タンク40は、軸筒10と同じく、合成樹脂、例えばナイロンやPBTなどで有底筒状に成形されたものであり、肉厚は0.5〜1.0mmの範囲の薄肉なものであり、例えば0.6mmである。塗布液タンク40の先端部には先端開口部材41が嵌着されており、金属球からなり、攪拌子を兼ねる詰め栓42が先端開口部材41先端の封止部41aに圧入されている。つまり、塗布液タンク40の先端開口は詰め栓42によって封止されている。そして、塗布液タンク40内には、例えば粘度が30〜40cpsであって、溶媒に顔料が分散した造膜性の高い修正液である塗布液(図示せず)が充填されている。また、塗布液内には金属球からなる2個の攪拌子43が配置されている。また、塗布液タンク40の尾端部には外段49が形成されている。
【0013】
かかる塗布液タンク40が軸筒10内に配置されており、外段49が軸筒10の内段12に当接して塗布液タンク40が軸筒10から抜け落ちないようになっている。そして、出荷時においては、押出し管22の尾端部は塗布液タンク40の封止部41a内に少し入り込んではいるが、詰め栓42は封止部41aに圧入された状態であり、塗布液タンク40は開封されていない。つまり、チップ30内には、塗布液は存在しない。
【0014】
しかして、最初の使用に際してユーザーは、図2に示すように、キャップ50をキャップ嵌着部11に嵌着してキャップ50を押し込む。このとき、図3に示すように、キャップ50内部の段部51が塗布液タンク40の尾端面に当接しているので塗布液タンク40は前進し、押出し管22が封止部41aに大きく入り込む。これにより、押出し管22のの尾端面が詰め栓42を塗布液タンク40内に押しやり、塗布液タンク40の先端開口は開封される。従って、塗布液タンク40内の塗布液が押出し管22の内面に連通した中心孔21を通ってチップ30内に供給され、初筆時において塗布液がチップ30先端からスムーズに吐出する。そして、塗布液タンク40内に押しやられた詰め栓42は攪拌子として働く。
【0015】
非使用時は、図4に示すように、キャップ50を軸筒10先端に嵌着するので、塗布液タンク40の軸筒10の尾端開口から突出した部分40aが露出しているが、もしも不用意に尾端開口から突出した部分40aを指先で引っ張ると塗布液タンク40は後退し、押出し管22は封止部41aからほとんど離間し、図1示す状態になる。このとき、詰め栓42は塗布液タンク40内に押しやられて封止が開放されているので、塗布液は封止部41aらか洩れ、その塗布液が軸筒10の尾端開口から外部に漏れ出すことになる。
【0016】
しかしここで、軸筒10の尾端開口から突出した部分40aの長さLは5mm以下であり、突出部分40aを指先で摘むことはほとんど不可能な長さになっている。したがって、不用意に突出部分40aを指先で引っ張ることはなく、前述の塗布液が軸筒10の尾端開口から外部に漏れ出す不具合を解消することができる。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の塗布具は、先口先端の中心孔に球状塗布体を回転自由に抱持したチップを嵌着し、この中心孔に連通する押出し管を有する先口を軸筒の先端開口に取り付け、先端開口が詰め栓で封止され、内部に塗布液が充填された塗布液タンクを軸筒内に収容し、初筆時において軸筒の尾端開口から突出する塗布液タンクの尾端部をキャップによって押し込むと、押出し管によって塗布液タンクの詰め栓が後退して先端開口の封止が解除され、塗布液タンク内の塗布液がチップに供給されて塗布可能となるようにするので、初筆時に塗布液がチップ先端からスムーズに吐出する塗布具とすることができる。
また、塗布可能状態において、塗布液タンクの尾端部が軸筒の尾端開口から突出する部分の長さを5mm以下にして指先で掴むのが困難な程度の長さにするので、塗布液が不意に漏れ出すことのない塗布具とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】出荷時の状態を示す断面図である。
【図2】使用開始時の状態を示す正面図である。
【図3】使用時の状態を示す断面図である。
【図4】不使用時の正面図である。
【符号の説明】
10 軸筒
11 キャップ嵌着部
12 内段
20 先口
21 先口の中心孔
22 押出し管
30 チップ
31 球状塗布体
32 スプリング
40 塗布液タンク
40a 突出部分
41 先端開口部材
41a 封止部
42 詰め栓
43 攪拌子
49 外段
50 キャップ
51 段部
Claims (1)
- 先端の中心孔に球状塗布体を回転自由に抱持したチップが嵌着され、該中心孔に連通する押出し管を有する先口が軸筒の先端開口に取り付けられ、先端開口が詰め栓で封止され、内部に塗布液が充填された塗布液タンクが軸筒内に収容されてなり、
初筆時において、キャップを軸筒尾端のキャップ嵌着部に嵌着してキャップを押し込むことにより軸筒の尾端開口から突出する塗布液タンクの尾端部を押し込むと、押出し管によって該塗布液タンクの詰め栓が後退して先端開口の封止が解除され、塗布液タンク内の塗布液がチップに供給されて塗布可能となり、塗布可能状態において、塗布液タンクの尾端部が軸筒の尾端開口から突出する部分の長さが5mm以下であって指先で掴むのが困難な程度の長さであることを特徴とする塗布具。
Priority Applications (1)
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2003
- 2003-05-12 JP JP2003132485A patent/JP4160442B2/ja not_active Expired - Fee Related
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