JPH07242903A - 焼結用ステンレス鋼粉末 - Google Patents
焼結用ステンレス鋼粉末Info
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Abstract
マルテンサイト相を主相とする焼結用のステンレス鋼粉
末において、適量のNbを添加した鋼を材料とする。 【効果】 焼結性が改善されたステンレス鋼粉末が得ら
れ、より高い焼結密度が実現し、焼結部品の性能が向上
する。 または、従来と同じ焼結製品を得るのに焼結条
件を緩和することができる。
Description
末の改良に関し、改善された焼結性を有するステンレス
鋼粉末を提供する。
相+マルテンサイト相を主相とするステンレス鋼の粉末
が、焼結により各種の部品を製造するために使用されて
いる。
テンレス鋼粉末は、拡散速度が遅いため焼結性がよいと
はいえず、焼結密度を高くできない。 オーステナイト
相+マルテンサイト相を主相とするものは、焼結性はそ
れよりよいが、粉末の成形性が低いためにやはり焼結密
度が低い。 マルテンサイト相を主相とするステンレス
鋼は、焼結時の温度(1200℃以上)ではオーステナ
イト相になっていて、焼結性が良くない。
ステナイト相、オーステナイト相+マルテンサイト相ま
たはマルテンサイト相を主相とする焼結用ステンレス鋼
粉末において、焼結性を改善し、より高い焼結密度の製
品を与える鋼粉末を提供することにある。
た焼結用ステンレス鋼粉末は、オーステナイト相、オー
ステナイト相+マルテンサイト相またはマルテンサイト
相を主相とするステンレス鋼に対し、Nb:0.01〜
2.0%を添加して粉末化して成るものである。
ス鋼は、Cを含まない(または一部だけ含む)プレアロ
イ粉末に必要量のC粉末(黒鉛粉末など)を混合したも
のであってもよく、このような態様も本発明に含まれ
る。
合金組成の鋼が含まれる。
下、Mn:2.0%以下、Ni:9.5〜21.5%およ
びCr:11.5〜26.0%を含有し、残部が実質上
Feからなるもの。 具体例は、つぎのとおり:鋼 種 C Si Mn Ni Cr 304 L ≦0.03 ≦2.0 ≦2.0 9.5〜11.5 18.5〜20.0 308 L ≦0.03 ≦2.0 ≦2.0 9.5〜11.5 19.0〜21.0 309 L ≦0.03 ≦2.0 ≦2.0 12.0〜14.0 22.0〜24.0 310 L ≦0.03 ≦2.0 ≦2.0 19.5〜21.5 24.0〜26.0 310 Modify ≦0.5 ≦2.0 ≦2.0 19.5〜21.5 24.0〜26.0 S含有量を1.15%以上に高めた303Lもこのグル
ープに属する。
以下、Mn:2.0%以下、Ni:3.0〜22.0
%、Cr:16.0〜28.0%およびMo:1.0〜
3.0%を含有し、残部が実質上Feであるもの。 具
体例は、鋼 種 C Si Mn Ni Cr Mo 316 L ≦0.03 ≦2.0 ≦2.0 12.0〜14.0 16.0〜18.0 2.0〜3.0 329 J1 ≦0.03 ≦2.0 ≦2.0 3.0〜6.0 23.0〜28.0 1.0〜3.0 である。
以下、Mn:2.0%以下、Ni:3.0〜11.5
%、Cr:15.5〜20.0%およびCu:3.0〜
5.0%を含有し、残部が実質上Feであるもの。 具
体例は、 鋼 種 C Si Mn Ni Cr Cu 304 L Modify ≦0.03 ≦2.0 ≦2.0 9.5〜11.5 18.5〜20.0 3.0〜5.0 630 ≦0.03 ≦2.0 ≦2.0 3.0〜5.0 15.5〜17.5 3.0〜5.0 である。
以下、Mn:2.0%以下、Ni:9.5〜11.5
%、Cr:18.5〜20.0%およびSn:0.5〜
1.0%を含有し、残部が実質上Feであるもの。 具
体例は、304Lの変更鋼種がある。
以下、Mn:2.0%以下、Ni:12.0〜14.0
%、Cr:16.0〜18.0%、Sn:0.5〜1.
0%およびMo:2.0〜3.0%を含有し、残部が実
質上Feからなるもの。 具体例は、316L変更鋼種
である。
下、Mn:2.0%以下、Ni:2.0%以下、Cr:2
0.0%以下およびMo:1.0%以下を含有し、残部
が実質上Feからなるもの。 具体例は、 鋼 種 C Si Mn Ni Cr Mo SUS 420J1 0.16〜0.25 ≦2.0 ≦2.0 ≦2.0 12.0〜14.0 − SUS 420J2 0.26〜0.40 ≦2.0 ≦2.0 ≦2.0 12.0〜14.0 − SUS 440C 0.45〜1.20 ≦2.0 ≦2.0 ≦2.0 16.0〜18.0 ≦0.75 である。
末の製造時に結晶組織の微細なものが得られる。 結晶
粒内に存在する空孔には、粒径が小さければ粒界に移動
することが容易であって、焼結に際して消失しやすい。
また、オーステナイト相中での拡散速度は、1200
℃において、Fe,CrおよびNiがそれぞれ4.27×
10-15m2/秒、7.35×10-15m2/秒および2.
25×10-15m2/秒であるのに対し、Nbは4.04
×10-14m2/秒と、約10倍速い。
同じ焼結温度で焼結したときにはより高い焼結密度が得
られ、一方、同等の焼結密度で足りる場合は従来より低
温で焼結することができる。
で認められ、0.2〜1.5%程度で顕著になる。 1.
5%を超えると、添加量を増しても効果の増大が鈍り、
2.0%で飽和する。 Nbにはこのほか、Cを固定し
て粒界に析出するCを減らす作用もあり、高温強度の向
上にも寄与する。
噴霧法により製造できる。 成形性の観点からは、水噴
霧粉の方がよい。 使用は、圧粉成形、粉末射出成形な
ど、あるいはHIP法、CIP法など粉末鋼の加工技術
に従って行なえばよい。
じ)のステンレス鋼(オーステナイト相+マルテンサイ
ト相のSUS630鋼:17Cr−4Ni−4Cu−F
eをベース)を溶製し、水噴霧法により粉末化して、1
00メッシュ通過の粉末を集めた。
さ10mmの円柱状の圧粉成形体とした。 圧粉密度を測
定し、5Torrの窒素ガス雰囲気中、1200℃または1
250℃に1時間加熱した。 得られた焼結体の焼結密
度を、圧粉密度とともに、表2に示す。
レス鋼(25Cr−20Ni−Feをベース)を溶製
し、 表3No. 区分 C Si Mn Cr Ni Nb 7 実施例 0.31 0.91 0.24 24.0 20.5 0.51 8 実施例 0.30 1.02 0.22 24.6 20.2 1.33 9 実施例 0.30 1.08 0.86 24.5 20.3 1.26 10 比較例 0.31 0.87 0.25 24.5 20.3 − 水噴霧法により粉末化して、30メッシュ通過の粉末を
採取した。
4mm×幅12mm(平行部の幅7.5mm)の板状引張試験
片を成形し、成形体を脱脂後、真空中で1275℃また
は1310℃に3時間加熱する焼結を行なった。 焼結
体の密度を測定するとともに引張試験を行なって、表4
に示す結果を得た。
とくに、焼結温度を高めても比較例では焼結密度の向
上がほとんど望めないのに対し、実施例では向上してい
ることが明らかである。
レス鋼を溶製し、水噴霧法により粉末化した。
ない比較例である。
例1と同様にプレス成形して圧粉密度を測定したのち、
温度1250℃で焼結を行なって、焼結性を評価した。
焼結体の密度を、圧粉密度および焼結温度とともに、
表6に示す。
し、 表7 No. 区分 C Si Mn Cr Ni Mo Nb 18 実施例 0.017 0.73 0.49 17.4 12.8 2.20 0.41 19 実施例 0.021 1.32 1.21 17.5 12.3 2.21 0.53 20 比較例 0.019 0.74 0.46 17.5 12.7 2.17 − 水噴霧法により粉末化した。
により、実施例2と同様な板状引張試験片を成形し、成
形体を脱脂後、真空中で1350℃に2時間加熱して焼
結した。 焼結体の密度および引張特性は、表8に示す
とおりである。
ンサイト系ステンレス鋼(0.3C−13Cr−Fe)
を溶製して、 表9No. 区分 C Si Mn Cr Ni Nb 21 実施例 0.32 0.72 0.46 13.5 0.20 0.35 22 実施例 0.31 0.69 0.35 13.6 0.18 0.66 23 比較例 0.32 0.72 0.36 13.4 0.22 − 水噴霧法により粉末化(30μm以下)した。
により、実施例2と同様な板状引張試験片を成形し、成
形体を脱脂後、真空中で1325℃または1370℃に
2時間加熱して焼結した。 各焼結体の密度を測定して
から、950℃×30分→油冷の焼入れと、550℃×
1時間の焼戻し処理を行なって、引張試験に供した。そ
れらの結果を、まとめて表10に示す。
であるが、それらに代えて13Cr−Feの粉末に黒鉛
粉末を0.3%添加して使用した場合にも、同様な結果
が得られた。
オーステナイト相+マルテンサイト相を主相とするステ
ンレス鋼に適量のNbを添加した鋼の粉末は、改善され
た焼結性を示し、同じ焼結条件ならNb無添加のものよ
り高い焼結密度を達成することができる。 より高い焼
結密度が、焼結部品の性能の向上をもたらすことはもち
ろんである。
温度や短い加熱時間で足りる。 この緩和された焼結条
件で足りるということは、焼結のために消費エネルギー
の節減だけでなく、加熱炉の設備費にも影響が大きく、
全体として焼結部品の製造コストの低減に寄与する。
Claims (7)
- 【請求項1】 オーステナイト相、オーステナイト相+
マルテンサイト相またはマルテンサイト相を主相とする
ステンレス鋼に対してNb:0.01〜2.0%を添加し
て粉末化して成る、焼結性を改善した焼結用ステンレス
鋼粉末。 - 【請求項2】 ステンレス鋼が、C:0.5%以下、S
i:2.0%以下、Mn:2.0%以下、Ni:9.5
〜21.5%およびCr:11.5〜26.0%を含有
し、残部が実質上Feである請求項1の焼結用ステンレ
ス鋼粉末。 - 【請求項3】 ステンレス鋼が、C:0.03%以下、
Si:2.0%以下、Mn:2.0%以下、Ni:3.
0〜22.0%、Cr:16.0〜28.0%およびM
o:1.0〜3.0%を含有し、残部が実質上Feであ
る請求項1の焼結用ステンレス鋼粉末。 - 【請求項4】 ステンレス鋼が、C:0.03%以下、
Si:2.0%以下、Mn:2.0%以下、Ni:3.
0〜11.5%、Cr:15.5〜20.0%およびC
u:3.0〜5.0%を含有し、残部が実質上Feであ
る請求項1の焼結用ステンレス鋼粉末。 - 【請求項5】 ステンレス鋼が、C:0.03%以下、
Si:2.0%以下、Mn:2.0%以下、Ni:9.
5〜11.5%、Cr:18.5〜20.0%およびS
n:0.5〜1.0%を含有し、残部が実質上Feであ
る請求項1の焼結用ステンレス鋼粉末。 - 【請求項6】 ステンレス鋼が、C:0.03%以下、
Si:2.0%以下、Mn:2.0%以下、Ni:1
2.0〜14.0%、Cr:16.0〜18.0%、S
n:0.5〜1.0%およびMo:2.0〜3.0%を
含有し、残部が実質上Feである請求項1の焼結用ステ
ンレス鋼粉末。 - 【請求項7】 ステンレス鋼が、C:1.2%以下、S
i:2.0%以下、Mn:2.0%以下、Ni:2.0
%以下、Cr:20.0%以下およびMo:1.0%以
下を含有し、残部が実質上Feである請求項1の焼結用
ステンレス鋼粉末。
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