JPH07242051A - 記録紙、その製造方法及びこれを用いたインクジェット記録方法 - Google Patents

記録紙、その製造方法及びこれを用いたインクジェット記録方法

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JPH07242051A
JPH07242051A JP6037005A JP3700594A JPH07242051A JP H07242051 A JPH07242051 A JP H07242051A JP 6037005 A JP6037005 A JP 6037005A JP 3700594 A JP3700594 A JP 3700594A JP H07242051 A JPH07242051 A JP H07242051A
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JP
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ink
recording
paper
pulp fibers
surface tension
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JP6037005A
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Mifune Hirose
みふね 広瀬
Eiichi Suzuki
鋭一 鈴木
Mamoru Sakaki
守 坂木
Masato Katayama
正人 片山
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Original Assignee
Canon Inc
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  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 画質、画像濃度、耐水性に優れ、ブリ−ディ
ングを生じない記録紙を提供する。 【構成】 パルプ繊維及び填料を主体とする原紙に、粒
子を含む塗工液を塗布して形成され、表面にパルプ繊維
が露出している部分とパルプ繊維が粒子で被覆されてい
る部分が共存してなる記録紙であって、25℃における
表面張力45〜50dyne/cmのインクを用いたブ
リストウ試験における接触時間4msec.以下の、原
紙の吸収係数Kaが10[ml/(m2 ・msec.
1/2 )]以上であることを特徴とする記録紙である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カラー記録、とりわけ
インクジェット記録方式を用いたカラー記録に有用な記
録紙、その製造方法及びそれを使用したインクジェット
記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、記録の高速
化、カラー化、高密度化が容易なことから注目されてお
り、インクジェット記録方式を用いた記録装置も普及し
ている。こうしたインクジェット記録方式には、例えば
特開昭59ー35977号公報や特開平1ー13568
2号公報に開示されるような、専用コート紙が用いられ
てきた。専用コート紙は、原紙の表面が完全に顔料で被
覆されたものであり、高精細で鮮明な画像を形成するの
には適しているが、以下のような問題点がある、 1)普通紙(PPC用紙や一般上質紙等)のような風合
いに欠ける。
【0003】2)鉛筆筆記性が悪い。
【0004】3)コート層の脱落による紙紛を発生す
る。
【0005】4)汎用性がない(他の記録方式に使用で
きない)。
【0006】5)普通紙に比べてコスト高である。
【0007】ここで普通紙とは、PPC用紙や一般上質
紙等を指し、普通紙の一例としては、特開昭51ー13
244号公報、特開昭59ー162561号公報、特開
昭59ー191068号公報等に記載されているような
現在オフィスに普及している電子写真記録用のトナー転
写紙(PPC用紙)が挙げられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】かかる転写紙に代表さ
れる普通紙のように、パルプ繊維が全て表面に露呈して
いる従来の記録紙には、以下のような問題がある。
【0009】1)インクの吸収性に乏しく、多量のイン
クが付与されると、インクの乾燥、定着が遅い。インク
が未定着、未乾燥の状態で記録面に物が触れると、画像
を損なう。
【0010】2)インクが紙層内に吸収される際に、紙
の繊維に沿って滲むため、ドットが過大に滲んだり、ド
ットの周辺がギザギザになったり、ボケたりするため
に、鮮明な文字、画像が得られない。
【0011】3)カラ−画像を得ようとした場合には、
複数の色のインクが紙に定着する以前に次々と重ねられ
ることから,異色の画像の境界部分では色が滲んだり,
不均一に混ざり合って(以下,この現象をブリ−ディン
グと呼ぶことにする)満足すべき画像が得られない。
【0012】4)水溶性の記録剤を用いるために記録画
像の耐水性が不十分である。
【0013】5)色剤の発色性が不十分である。
【0014】そこで本発明の目的は、とりわけフルカラ
ーインクジェット記録用紙や従来の専用コート紙の優れ
た特性(画質、画像濃度、耐水性等)を有し、且つ前述
の問題点を解決した記録紙、その製造方法、これを用い
たインクジェット記録方法を提供することにある。
【0015】又本発明の目的は、電子写真記録方式、感
熱転写方式、インパクト方式にも使用可能であり、且つ
鉛筆、サインペン、ボールペン等の筆記用紙としても使
用できる記録紙を提供することにある。
【0016】
【課題を達成するための手段及び作用】上記の目的は、
以下の本発明により達成される。
【0017】即ち本発明は、パルプ繊維及び填料を主体
とする原紙に、粒子を含む塗工液を塗布して形成され、
表面にパルプ繊維が露出している部分とパルプ繊維が粒
子で被覆されている部分が共存する記録紙であって、2
5℃における表面張力45〜50dyne/cmのイン
クを用いたブリストウ試験における接触時間4mse
c.以下の、原紙の吸収係数Kαが10[ml/(m2
・msec1/2 )]以上であることを特徴とする記録紙
である。
【0018】また本発明は、表面張力45〜50dyn
e/cmのインクを用いたブリストウ試験における異な
る色のインク滴の最小隣接ドット打ち込み時間間隔での
原紙のインク転移量が、使用する記録システムの単位面
積あたりの最大インク打ち込み量以上であることを特徴
とする記録紙である。
【0019】本発明は、上記記載の記録紙にイエロー、
マゼンタ、及びシアンの3色からなるインクを用いてカ
ラー記録を行い、インクジェット記録が、インクに熱エ
ネルギーを作用させて液滴を吐出させる方式であり、前
記インクに加えてブラックインクを使用し、ブラックイ
ンクの表面張力が、45〜60dyne/cmの範囲に
あり、イエロー、マゼンタ、シアンインクの表面張力が
25〜35dyne/cmの範囲にあることを含む。
【0020】更に本発明は、パルプ繊維及び填料を主体
とする原紙に、粒子を含む塗工液を塗布して形成され、
表面に繊維が露出する部分と粒子に被覆された部分が共
存する記録紙の製造方法であって、25℃における表面
張力45〜50dyne/cmのインクを用いたブリス
トウ試験における接触時間4msec.以下の吸収係数
Kαが10[ml/(m2 ・msec1/2 )]以上であ
る原紙を使用することを特徴とする記録紙の製造方法で
ある。
【0021】以下に、本発明を詳細に説明する。
【0022】本発明の記録紙の第1の特徴は、パルプ繊
維及び填料を主体とする原紙に、粒子を含む塗工液を付
与し、その表面にパルプ繊維が露出している部分とパル
プ繊維が粒子で覆われている部分が共存してなることで
ある。
【0023】より好ましくは紙の表面の1mm2 の範囲
の中に、100μm以上の長さの形状が繊維と認められ
るパルプの繊維が1本以上見えていて、且つ繊維が粒子
に覆われていて繊維と形状が認められない部分が存在す
ることである。
【0024】本発明の第2の特徴は、本発明の記録紙を
構成する原紙の、表面張力45〜50dyne/cmの
インクを用いたブリストウ試験の接触時間4msec.
以下の吸収係数Kα[(ml/(m2 ×msec.
1/2 )]が10以上であることである。
【0025】ブリストウ試験については、日本紙パルプ
技術協会(J’TAPPI)の定める試験方法であり、
J’TAPPI No.51、紙、板紙の液体吸収性試
験方法にその詳細が述べられている。
【0026】接触時間4msec.は、ブリストウ試験
の結果と記録紙のインクジェット記録適性との関係を比
較し、求めた値である。本ブリストウ試験に使用するイ
ンクは、通常のインクジェット記録用のインクの表面張
力が上限のものである。表面張力の高いインクを用いる
のは、表面張力の高いインクと低いインクでは、表面張
力の高いインクのほうが、紙に吸収されにくいため、ブ
リーディングが悪くなるからである。
【0027】上記の値を満たさない原紙を用いた場合、
原紙表面に塗工する物質を変えても、インクジェット適
性のある記録紙は得難い。
【0028】上記の値を満たす原紙を使用した記録紙
は、定着性が良く、特にフルカラーインクジェット記録
に用いた場合の異色インクのベタの隣接する境界でのブ
リーディングが良好である。更に、本発明の記録紙は、
表面張力の高いインクと低いインクを合わせて用いるシ
ステムに特に好ましい。ブラックインクに、表面張力の
高いインク(45〜60dyne/cm)を使用し、イ
エロー、マゼンタ、シアンインクに、表面張力の低いイ
ンク(25〜35dyne/cm)を用いて本発明の記
録紙に記録することによって、黒文字の品位が良く、カ
ラーインク間での境界滲みの良い画像が得られる。
【0029】本発明の第3の特徴は、異なる色のインク
滴の最小隣接ドット打ち込み時間間隔でのブリストウ試
験におけるインク転移量が、使用する記録システムの単
位面積あたりの最大インク打ち込み量以上であることで
ある。
【0030】ここで、上記最小隣接ドット打ち込み時間
間隔とは、使用する記録システムの印字モードの中で、
100%デューティの単位面積の印字時間が最も短いモ
ードを使用した時に、異なる色のインク滴を隣の画素に
付与する時間間隔のうちで最も短い時間間隔をさす。例
えば、ある記録システムでの100%デューティの単位
面積の印字時間が最も短いモードを使用して、隣の画素
にA色とB色を付与する時間間隔T1と、A色とC色を
付与する時間間隔T2(T2>T1)、A色とD色を付
与する時間間隔T3(T3>T2>T1)が異なる場
合、最も短い時間間隔T1をさす。
【0031】更に、上記最大インク打ち込み量とは、単
位面積当たりの最大インク打ち込み量をさす。例えば、
1画素のインク打ち込み量の最大値がMピコリットル
(pl)で、解像度がNdpiの場合、最大インク打ち
込み量はM×N2 pl/inch2 である。インクの色
によってインク打ち込み量が異なる場合は、最大量のイ
ンク打ち込み量を最大インク打ち込み量とする。
【0032】本発明者は、インクジェット記録適性と紙
のブリストウ試験による結果に相関があることを知見し
て本発明に至ったのである。
【0033】インク転移量が最大インク打ち込み量より
小さい場合、表面に付着したインクが吸収されないため
定着性が悪くなる。また、特に、フルカラーインクジェ
ット記録に用いた場合、ブリーディングを起こすため、
フルカラー記録には適さない。
【0034】図1、2及び3に、原紙のブリストウ試験
による測定結果を示している。測定は表面張力45〜5
0dyne/cmのインクで行なった。ブリストウ試験
は、液体の紙への接触時間の1/2乗(√t(sec.
1/2 ))に対する、単位面積あたりの液体の転移量
(v:ml/m2)を求めたものである。吸収係数Kα
は、グラフの傾きである。
【0035】図1に示すように、前述の表面形状を持つ
記録紙の吸収性は、原紙に比べて悪くなるので、原紙が
上記の条件を満たさないと表面に塗布する物質を変えて
もインクジェット適性は良くならない。
【0036】よって、図2の原紙A、Bのように、接触
時間4msec.以下の吸収係数Kαが10より小さい
原紙を用いた場合、インクジェット記録適性のある記録
紙は得られない。本発明の記録紙の原紙は、Cで示すよ
うに、接触時間4msec.以下の吸収係数Kα≧10
である必要がある。
【0037】更に、図3の原紙Dのように、最小隣接ド
ット打ち込み時間間隔T1で、使用する記録システムの
最大インク打ち込み量Xml/m2に達しない原紙Dを
用いた記録紙D’は、インク吸収性が悪く、定着性、ブ
リーディングが良くない。一方、最小隣接ドット打ち込
み時間間隔T1で最大インク量Xml/m2に達する原
紙を用いた記録紙E’は、インク吸収性が良く、定着
性、ブリーディングが良く、表面張力の高いインクと低
いインクを併せて用いる記録システムでも高精彩な画像
を得ることができる。
【0038】次に、本発明の好ましい具体例を示し、本
発明を詳しく説明する。
【0039】本発明に用いられる記録原紙は、LBK
P、NBKP等に代表される化学パルプ、サイズ剤、填
料を主体とし、その他の抄紙助剤を必要に応じて用い、
常法により抄紙される。使用されるパルプ材としては、
機械パルプや古紙再生パルプを併用しても良く、また、
これらを主体とするものであってもよい。
【0040】サイズ剤としては、ロジンサイズ、アルキ
ルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、石油樹脂
系サイズ、エピクロルヒドリン、アクリルアミド等が挙
げられ、填料としては、炭酸カルシウム、カオリン、タ
ルク、二酸化チタン等が挙げられるが、本発明ではこれ
らに限定されない。
【0041】表面コ−ト剤としては、カゼイン、でんぷ
ん、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセ
ルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ソーダ、ポ
リアクリルアミド等、インクに対して膨潤性のある親水
性樹脂、SBRラテックス、アクリルエマルジョン、ス
チレン/アクリル酸共重合体等の親水性部分と疎水性部
分を分子内に有する樹脂、シリコンオイル、パラフィ
ン、ワックス、フッ素化合物等、撥水性を有する物質及
び前記のサイズ剤などが挙げられる。
【0042】また、従来一般に使用されている無機顔料
や有機顔料を併用してもよい。無機顔料の例としては、
シリカ、アルミナ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネ
シウム、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム、酸化チ
タン、クレイ、タルク等が挙げることができるが、これ
らに限定されるわけではない。有機顔料の例としては、
尿素樹脂、尿素ホルマリン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポ
リスチレン樹脂等のプラスチックピグメントを代表例と
して挙げることができるが、これに限定されない。
【0043】これらの材料は、記録面中に0. 1〜5g
/m2 程度付与される。
【0044】本発明の記録紙を調製するに当たっては、
上記のごとき顔料、樹脂、その他の添加剤を含む水系塗
工液を、公知の方法、例えば、ロールコーター法、ブレ
ードコーター法、エアナイフコーター法、ゲートロール
コーター法、サイズプレス法、シムサイザー法等により
原紙表面に塗工する。その後。例えば、熱風乾燥炉、熱
ドラム等を用いて乾燥し本発明の記録紙が得られる。さ
らに、表面を平滑化するため、あるいは表面の強度を上
げるために、スーパーカレンダー処理を施してもよい。
【0045】以上のような材料を用いて、本発明に特有
の表面形状を有する記録紙を調製する。
【0046】本発明の記録紙は、水抽出pHが6以上、
より好ましくは7以上のものとして調整される。水抽出
pHとは、JIS−P−8133に規定された試験片約
1.0gを、蒸留水70mlに浸した際の抽出液のpH
をJIS−Z−8802に従って測定したものである。
pHが前記の範囲に満たない場合には、紙自体の長期保
存性の面で問題が生じやすく、紙面上で染料が十分な発
色性を示さない場合がある。
【0047】このようにして調製される記録紙のステキ
ヒト・サイズ度は、高すぎるとインクがいつまでたって
も紙層中に吸収されないため、付着したインクの定着
性、乾燥性が悪くなる傾向にある。このためステキヒト
・サイズ度が0〜40秒の範囲内であることが好まし
い。
【0048】以上説明した記録紙にインクジェット記録
を行う場合のインクそれ自体は、公知のものが何ら問題
なく使用可能である。また、インクとしては直接染料、
酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食用色素に代表さ
れる水溶性染料が使用可能であり、通常のインクジェッ
ト記録用のものであれば特に制限なく使用することがで
きる。
【0049】しかしながら、本発明のインクジェット記
録方法において、特に好ましい態様は、記録剤として直
接染料及び/または酸性染料を含有するインクを用いる
インクジェット記録方法である。このような水溶性染料
は、従来のインク中において一般には約0. 1〜20重
量%を占める割合で使用されており、本発明においても
この割合と同様でよい。
【0050】本発明に用いる水系インクに使用する溶媒
は、水または水と水溶性有機溶剤との混合溶媒であり、
特に好適なものは水と水溶性溶剤と混合溶媒であって、
水溶性有機溶剤としてインクの乾燥防止効果を有する多
価アルコールを含有するものである。
【0051】次に、インクジェット記録方式について、
以下に説明する。インクジェット記録方法は、インクの
小滴を種々の駆動原理を利用して、ノズルより吐出して
記録を行なわせる従来公知のインクジェット記録方式の
いずれのものにも、適用可能である。その代表例とし
て、特開昭54−59936号公報に記載されている方
法で、熱エネルギーの作用を受けたインクが急激な体積
変化を生じ、この状態変化による作用力によって、イン
クをノズルから吐出させるインクジェット方式をあげる
ことができる。本発明のインクジェット記録方法に好適
な一例のインジェット記録装置を以下に説明する。その
装置の主要部であるヘッド構成例を図5、図6及び図7
に示す。
【0052】ヘッド13はインクを通す溝14を有する
ガラス、セラミックス又はプラスチック板等を、感熱記
録に用いられる発熱ヘッド15(図ではヘッドが示され
ているが、これに限定されるものではない)とを接着し
て得られる。発熱ヘッド15は酸化シリコン等で形成さ
れる保護膜16、アルミニウム電極17−1、17−
2、ニクロム等で形成される発熱抵抗体層18、蓄熱層
19、アルミナ等の放熱性の良い基板20よりなってい
る。
【0053】インク21は吐出オリフィス(微細孔)2
2まで来ており、圧力Pによりメニスカス23を形成し
ている。
【0054】今、電極17−1、17−2に電気信号が
加わると、発熱ヘッド15のnで示される領域が急激に
発熱し、ここに接しているインク21に気泡が発生し、
その圧力でメニスカス23が突出し、インク21が吐出
し、オリフィス22より記録小滴24となり、記録シー
ト25に向かって飛翔する。図7には図5に示すヘッド
を多数並べたマルチヘッドの外観図を示す。該マルチヘ
ッドはマルチ溝26を有するガラス板27と、図4に説
明したものと同様な発熱ヘッド28を密着して製作され
ている。
【0055】尚、図5は、インク流路に沿ったヘッド1
3の断面図であり、図5は図1のA−B線での切断図で
ある。
【0056】図8に、かかるヘッドを組み込んだインク
ジェット記録装置の1例を示す。図8において、61は
ワイピング部材としてのブレードであり、その一端はブ
レード保持部材によって保持されて固定端となり、カン
チレバーの形態をなす。ブレード61は記録ヘッドによ
り記録領域に隣接した一に配設され、又、本例の場合、
記録ヘッドの移動経路中に突出した形態で保持される。
62はキャップであり、ブレード61に隣接するホーム
ポジションに配設され、記録ヘッドの移動方向と垂直な
方向に移動して吐出口面と当接し、キャッピングを行う
構成を備える。更に63はブレード61に隣接して設け
られるインク吸収体であり、ブレード61と同様、記録
ヘッドの移動経路中に突出した形態で保持される。上記
ブレード61、キャップ62、吸収体63によって吐出
回復部64が構成され、ブレード61及び吸収体 63
によってインク吐出口面に水分、塵埃等の除去が行われ
る。
【0057】65は吐出エネルギー発生手段を有し、吐
出口を配した吐出口面に対向する記録媒体にインクを吐
出して記録を行う記録ヘッド、66は記録ヘッド65を
搭載して記録ヘッド65の移動を行う為のキャリッジで
ある。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に係合
し、キャリッジ66の一部はモータ68によって駆動さ
れるベルト69と接続(不図示)している。これにより
キャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能とな
り、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接した領
域の移動が可能となる。
【0058】51は記録媒体を挿入する為の給紙部、5
2は不図示のモータにより駆動される紙送りローラであ
る。これらの構成によって記録ヘッドの吐出口面と対向
する位置へ記録媒体が給紙され、記録が進行するにつれ
て排紙ローラ53を配した排紙される。
【0059】上記構成において記録ヘッド65が記録終
了等でホームポジションに戻る際、ヘッド回復部64の
キャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避して
いるが、ブレード61は移動経路中に突出している。こ
の結果、記録ヘッド65の吐出口面がワイピングされ
る。尚、キャップ62が記録ヘッド65の突出面に当接
してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッ
ドの移動経路中に突出する様に移動する。記録ヘッド6
5がホームポジションから記録開始位置へ移動する場
合、キャップ62及びブレード61は上述したワイピン
グ時の位置と同一の位置にある。この結果、この移動に
おいても記録ヘッド65の吐出口面はワイピングされ
る。上述の記録ヘッドのホームポジションへの移動は、
記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッドが記
録の為の記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領域
に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴っ
て上記ワイピングが行われる。
【0060】カラー化する場合には、ブラック、シア
ン、マゼンタ、イエローのインクがそれぞれ入っている
記録ヘッドをキャリッジ66上に並列に4色並べる。ま
た、記録ヘッドを並列に並べずに、1個の記録ヘッドを
縦列に4つに分割してもよい。さらに、インクは4色で
なく、シアン、マゼンタ、イエローの3色でもよい。
【0061】
【実施例】以下に、実施例を用いて、本発明を更に詳し
く説明する。
【0062】(記録紙の調製)原料パルプとしてのC.
S.F420mlに叩解したLBKP80部及びNBK
P20部の混合物に、シリカ10部、カチオン化でんぷ
ん0. 4部、ポリアクリルアミド(ハリマ化成製)0.
2部、中性ロジンサイズ剤(サイズパインNT、荒川化
学製)0.25部を配合し、常法により坪量80g/m
2 の記録原紙1を抄造した。上記の原料組成物のシリカ
をアルミナ10部に代えて、常法により坪量81g/m
2 の記録原紙2を抄造した。上記記録原紙1の原料組成
物のシリカを擬ベーマイト10部に代えて、常法により
坪量82g/m2 の記録原紙3を抄造した。上記記録原
紙1の原料組成物のシリカをカオリン10部(土屋カオ
リン製)に代え、中性ロジンサイズ剤の配合量を0.4
部として、常法により坪量82g/m2 の記録原紙4を
抄造した。 上記のそれぞれの記録原紙1〜4に、下記
の塗工組成物をバーコーター法により、乾燥塗工量にて
2g/m2 となるように塗工し、記録紙1〜4を調製し
た。
【0063】 (塗工液組成) 微紛シリカ(ミズカシルP−78D、水沢化学製) 10部 ポリビニルアルコール(PVA105、クラレ製) 10部 水 80部
【0064】これらの記録紙の表面形状を走査型電子顕
微鏡で観察したところ、パルプ繊維が露呈している部分
と顔料で被覆された部分が共存していることが認められ
た。
【0065】以上の様にして調製した記録紙1〜4のブ
リストウ試験による結果を図4に示した。測定は、下記
のインクBで行なった。
【0066】 (インク組成) インクA(表面張力;34dyne/cm) 染料 x部 グリセリン 5部 チオジグリコール 10部 尿素 7部 アセチレングリコ−ル−EO付加物 1部 (アセチレノ−ルEH、川研ファインケミカル製) 水 残部 染料 ブラック;C.I.フードブラック2 3. 5部 イエロー;C.I.ダイレクトイエロー86 2部 マゼンタ;C.I.アシッドレッド289 2. 5部 シアン ;C.I.アシッドブルー199 2. 5部 インクB(表面張力;48dyne/cm) 染料 x部 グリセリン 5部 チオジグリコール 5部 イソプロピルアルコール 4部 尿素 5部 水 残部 染料 ブラック;C.I.フードブラック2 3. 5部 イエロー;C.I.ダイレクトイエロー86 2部 マゼンタ;C.I.アシッドレッド35 2. 5部 シアン; C.I.ダイレクトブルー199 2. 5部
【0067】(記録装置)前記の熱エネルギーをインク
の吐出源とするインクジェット方式の記録ヘッドを搭載
した記録装置により記録を行ない、記録適性を評価し
た。記録装置として次のものを使用した。
【0068】1mmあたりに、14. 2本の割合で記録
ノズルを有する記録ヘッドを搭載した記録装置。6KH
zの駆動周波数で、上記の記録ヘッドを駆動しインクを
吐出する。各色記録ヘッドの吐出するインク滴の体積の
平均値を実測したところ、ブラック;38pl、イエロ
ー;41pl、マゼンタ;39pl、シアン;39pl
であった。記録装置2を用いて、インクジェット記録を
行なった際に、1画素に付与される最大インク量は、レ
ッド(イエローとマゼンタの混合色)及びグリーン(イ
エローとシアンの混合色)を印字する場合の80plで
あり、この記録システムの最大インク量は、16nl/
mm2 である。
【0069】(評価項目) 1. 画像濃度 100%デューティのベタ画像をブラックインクで形成
し、12時間放置後の反射濃度を反射濃度計マクベスR
Dー918にて測定した。
【0070】2. ブリーディング ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン、ブルー、グリ
ーン、レッドのベタ部を隣接して印字し、各色の境界部
でのブリーディングの程度を目視により観察した。境界
が直線として判別可能なものを◎、境界は鮮明であるが
やや直線性にかけるものを○、インクが交じりあい境界
が判別できないものを×、○と×の中位のものを△とし
た。
【0071】3. 文字品位 ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン、ブルー、グリ
ーン、レッドの”電驚”の文字で評価した。ブラック、
イエロー、マゼンタ、シアン、ブルー、グリーン、レッ
ドの全てのエッヂが鮮明でシャープな文字が形成されて
いるものを◎、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン
のエッヂが鮮明でシャープな文字が形成されているが、
ブルー、グリーン、レッドは文字が鮮明でないものを
○、文字が潰れて判読できなかったり、著しく品位に劣
るものを×とした。
【0072】記録紙1〜4の評価結果を表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】(各具体例における本発明の作用効果の説
明)図4及び表1を用いて、本発明の作用効果をより具
体的に説明する。
【0075】本実施例で用いた記録装置の隣接ドットの
最小打ち込み時間間隔(T)は、すべて30msec.
(T=5.5msec1/2 ) である。図4に示したよう
に、隣接ドットの最小打ち込み時間間隔(T)における
記録紙1〜3に用いた原紙のインク転移量は、記録シス
テムの最大インク打ち込み量より多かった。
【0076】また、記録原紙1〜4の接触時間4mse
c.での吸収係数Kαの値が、Kα≧10を満たしてい
る原紙を用いた記録紙1〜3は、表1より、表面張力の
低いインクAでも、高いインクBでも、さらに、低いイ
ンクと高いインクを併せて使用する記録システムでも、
ブリーディングが良好で文字品位の良い高精細な画像が
得られた。
【0077】それに対して、Kα<10である原紙を使
用した記録紙4は、ブリーディング、文字品位共に悪
く、インクジェット適性がなかった。
【0078】
【発明の効果】以上のようにして調製された本発明の記
録紙及びそれを用いた記録方法によれば、特にフルカラ
ーインクジェット記録用紙として、鮮明で解像度が高く
耐水性のある、コート紙に近い画像を形成することが可
能である。
【0079】また、この記録紙はコート層の脱落による
紙紛を発生せず、普通紙のような風合いをもつ。
【0080】更に、この記録紙は、電子写真記録方式、
感熱転写記録や、インパクト方式の記録紙としても使用
可能であり、ボールペン、鉛筆等の筆記用紙としても使
用できる汎用性の高く、コスト的にもコート紙と比較し
て著しく安く提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るブリストウ試験の結果を示す図で
ある。
【図2】本発明に係るブリストウ試験の結果を示す図で
ある。
【図3】本発明に係るブリストウ試験の結果を示す図で
ある。
【図4】本発明に係るブリストウ試験の結果を示す図で
ある。
【図5】本発明方法で使用するインクジェット記録装置
のヘッド部の縦断面図である。
【図6】本発明方法で使用するインクジェット記録装置
のヘッド部の横断面図である。
【図7】図5及び図6に示したヘッドをマルチ化したヘ
ッドの外観斜視図である。
【図8】インクジェット記録装置の一例を示す斜視図で
ある。
【符号の説明】
61 ワイピング部材 62 キャップ 63 インク吸収体 64 吐出回復部 65 記録ヘッド 66 キャリッジ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片山 正人 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パルプ繊維及び填料を主体とする原紙
    に、粒子を含む塗工液を塗布して形成され、表面にパル
    プ繊維が露出している部分とパルプ繊維が粒子で被覆さ
    れている部分が共存する記録紙であって、25℃におけ
    る表面張力45〜50dyne/cmのインクを用いた
    ブリストウ試験における接触時間4msec.以下の、
    原紙の吸収係数Kαが10[ml/(m2 ・msec
    1/2 )]以上であることを特徴とする記録紙。
  2. 【請求項2】 表面張力45〜50dyne/cmのイ
    ンクを用いたブリストウ試験における異なる色のインク
    滴の最小隣接ドット打ち込み時間間隔での、原紙のイン
    ク転移量が、使用する記録システムの単位面積あたりの
    最大インク打ち込み量以上である請求項1に記載の記録
    紙。
  3. 【請求項3】 請求項1もしくは2に記載の記録紙にイ
    エロー、マゼンタ及びシアンの3色からなるインクを用
    いてカラー記録を行なうことを特徴とするインクジェッ
    ト記録方法。
  4. 【請求項4】 前記インクジェット記録が、インクに熱
    エネルギーを作用させて液滴を吐出させる方式である請
    求項3に記載のインクジェット記録方法。
  5. 【請求項5】 前記インクに加えてブラックインクを使
    用する請求項3に記載のインクジェット記録方法。
  6. 【請求項6】 ブラックインクの表面張力が、45〜6
    0dyne/cmの範囲にあり、イエロー、マゼンタ及
    びシアンインクの表面張力が25〜35dyne/cm
    の範囲にある請求項5に記載のインクジェット記録方
    法。
  7. 【請求項7】 パルプ繊維及び填料を主体とする原紙
    に、顔料を含む塗工液を塗布して形成され、表面にパル
    プ繊維が露出している部分とパルプ繊維が粒子で被覆さ
    れている部分が共存する記録紙の製造方法であって、2
    5℃における表面張力45〜50dyne/cmのイン
    クを用いたブリストウ試験における接触時間4mse
    c.以下の吸収係数Kαが10[ml/(m2 ・mse
    1/2 )]以上である原紙を使用することを特徴とする
    記録紙の製造方法。
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