JPH07240542A - 超電導薄膜用マスク材 - Google Patents

超電導薄膜用マスク材

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JPH07240542A
JPH07240542A JP6032140A JP3214094A JPH07240542A JP H07240542 A JPH07240542 A JP H07240542A JP 6032140 A JP6032140 A JP 6032140A JP 3214094 A JP3214094 A JP 3214094A JP H07240542 A JPH07240542 A JP H07240542A
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film
thin film
superconducting
mask material
oxide
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JP6032140A
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English (en)
Inventor
Yoshinobu Taruya
良信 樽谷
Akira Tsukamoto
塚本  晃
Tokumi Fukazawa
徳海 深沢
Takanori Kabasawa
宇紀 樺沢
Kazumasa Takagi
一正 高木
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 サブミクロン、さらにはナノメートルの寸法
を有する酸化物超電導素子、デバイス、あるいは回路を
得ることにより、これら素子、デバイス等の高性能化を
図る。 【構成】 酸化物系の超電導薄膜のパターン形成工程に
用いる酸化物系超電導薄膜用マスク材は、有機レジス
ト、Cr、Co、Ni、SiまたはAl膜からなる金属
膜を第1、第2の有機レジスト膜に挾まれた構造とす
る。 【効果】 100nmあるいはこれ以下の幅を有する微
細なライン、および溝パターンの形成を可能にする。さ
らにこれら超電導配線および超電導接合を用いた低温素
子、超電導回路、および超電導デバイスの形成を可能に
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は超電導スイッチング素子
等、超電導エレクトロニクスの分野を始めとして、酸化
物系の超電導薄膜を用いた低温エレクトロニクス素子の
分野にかかわり、とくに高速ディジタル回路、高周波ア
ナログ回路の分野に適用される超電導薄膜の微細な加工
を実現するために選ばれた超電導薄膜用マスク材に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】超電導エレクトロニクス素子あるいは超
電導配線に用いる酸化物系の超電導薄膜のパターン形成
は以下の方法により行われていた。すなわち有機レジス
ト膜をマスク材として超電導膜の表面にコーティング
し、電子線あるいは可視光の露光によって所望のパター
ンを形成する。つぎに化学的なエッチング法あるいは物
理的なエッチング法により、酸化物超電導膜の露出して
いる部分を加工し、除去する。
【0003】具体的には、Y−Ba−Cu酸化物薄膜の
場合、希硝酸によって化学的にエッチングすることがで
きる。化学的なエッチング法はサイドエッチング等の問
題点があり、微細なパターンを形成することが困難であ
る。従ってこれに代わる方法として、有機レジスト膜1
層を同じくマスク材として用い、不活性ガスであるAr
等のイオンビームあるいはフッ素化合物、塩素化合物等
のイオンビームによって、スパッタリング作用、あるい
はスパッタリング作用と化学反応性との併用によりエッ
チングを行う方法が採用されている。
【0004】超電導弱結合素子、超電導配線あるいは超
電導回路等の製造にはこのようなパターン形成、および
加工方法が採用されてきた。このようなパターンの形成
方法に関してはアイ・イー・イー・イー、トランザクシ
ョンズ、マグネティックス、27巻、3098頁、19
91年に述べられている。(M.G.Forreste
r et al., IEEE Tran. Mag
n. Vol.27,3098(1991))
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記従来のマスク材を
用いて酸化物系超電導薄膜のパターン形成を行おうとす
る場合、とくにサブミクロンさらにはナノメートルの微
細なパターンを形成する場合には以下の問題点および障
害が発生した。
【0006】第1の問題点は微細パターンを得るために
電子線レジストを用いて電子線描画を行う場合、電子線
の後方散乱により、パターンの幅が拡がり、描画精度が
低下することである。このような後方散乱は酸化物超電
導デバイスの下地基板として用いる酸化物単結晶基板に
よってとくに強調される。酸化物単結晶基板からレジス
トに向けて電子が後方散乱され、電子線の照射領域以上
に電子線による電荷分布が拡がる。
【0007】電子線自体のビーム径を数nmに絞ること
ができても、100nm以下の寸法のパターンを得るこ
とを困難にしているのは主としてこの単結晶基板からの
後方散乱によるものである。後方散乱を低減するために
電子線レジストの膜厚を1ミクロン前後に厚くした場
合、前方散乱による電荷分布の拡がりにより、やはり電
子線の照射領域以上にパターン幅が拡がる。
【0008】第2の問題点は加工に付随した工程にあ
る。すなわちイオンビームエッチング法によって酸化物
超電導薄膜の加工を行う場合、酸化物超電導薄膜のエッ
チング速度が相対的に低いことである。例えばフッ化硫
黄ガスを用いてイオンビームエッチング法によりY−B
a−Cu酸化物薄膜の加工を行う場合、加速エネルギー
500eV、電流密度0.5mAでのエッチング割合は
5−10nm/min程度である。同一の条件で有機レ
ジスト材のエッチング割合は50−200nm/min
となる。
【0009】このようにマスク材と酸化物超電導薄膜の
エッチング割合の比が大きい場合、微細なパターンを得
ることが極めて困難となる。すなわち膜厚200nmの
酸化物超電導薄膜のパターン形成を行う場合、エッチン
グ割合から必要なレジスト材の膜厚は2μm以上とな
る。このような厚いレジストマスクを用いてサブミクロ
ンの微細パターンを得ることはできない。とくに100
nmあるいはこれ以下の微細なパターンを形成すること
は不可能である。
【0010】たとえば酸化物超電導薄膜に対して、10
0nm幅のパターンを得ようとする場合、幅が100n
mで、高さが2μmのレジストパターンを形成する必要
がある。このようなレジストパターンを得ること自体が
困難であるし、またたとえ作製できたとしても、このよ
うなレジストパターンに忠実なパターンを酸化物超電導
薄膜に転写することはきわめて困難である。この理由は
レジスト膜に対するサイドエッチング等の影響により、
酸化物超電導薄膜のエッチング終了までレジストパター
ンの平面形状を一定に保つことができないからである。
【0011】逆にこのようなエッチング割合のもとで、
100nm程度の微細なパターンを得ようとすれば、有
機レジスト材の膜厚を100−200nmとして、酸化
物超電導薄膜の膜厚は10nm程度に限定されてしま
う。すなわち超電導エレクトロニクス素子に用いるため
に必要な超電導酸化物薄膜の膜厚50nm以上に対し
て、十分に対処できない。
【0012】本発明の目的はサブミクロン、さらにはナ
ノメートルの寸法を有する酸化物超電導素子、デバイ
ス、あるいは回路を得ることにより、素子、デバイス等
の高性能化を図ることにある。このために酸化物系超電
導薄膜のパターン形成において、サブミクロン寸法のパ
ターンが得られ、電子線描画法によって所望のパターン
を刻印したマスク材を提供する。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
に、本願発明は、酸化物超電導薄膜のマスク材および酸
化物超電導素子の製造方法を以下のごとくにした。
【0014】すなわち、酸化物系の超電導薄膜のパター
ン形成工程に用いる酸化物系超電導薄膜用マスク材とし
て、Cr,Co,Ni,SiあるいはAl膜と電子線用
有機レジスト膜から成る金属膜を第1、第2の有機レジ
スト膜で挾むことにより構成する。
【0015】このような酸化物系超電導薄膜用マスク材
に関して、金属膜の下層に配された第1の電子線用有機
レジスト膜の膜厚が上層に配された第2の電子線用有機
レジスト膜の膜厚より厚くなるようにする。上記酸化物
系超電導薄膜用マスク材を用いることにより、超電導素
子、あるいは低温素子中の、酸化物系超電導薄膜のパタ
ーン形成を行い、サブミクロンのパターンを有するマイ
クロブリッジ、平面型の超電導−常伝導−超電導接合、
およびこれら超電導弱結合素子の製造を行う。
【0016】さらに、酸化物系超電導薄膜用マスク材を
用いることにより、サブミクロンパターンを有する酸化
物系の超電導配線を形成し、これにより酸化物系の超電
導デバイス、あるいは超電導回路を構成する。
【0017】すなわち酸化物超電導薄膜用のマスク材と
して、有機系のレジスト材にSiあるいはAl膜の二層
積層膜、または有機系のレジスト材にSiあるいはAl
膜およびAu膜の三層積層膜を用いる。
【0018】とくに、酸化物系超電導薄膜用マスク材に
よるパターン形成は以下の方法によって行う。
【0019】すなわち、Y−Ba−Cu酸化物のごとき
酸化物超電導薄膜の表面層に電子線有機レジストを塗布
する。有機系レジスト材はスピン塗布法によってコーテ
ィングし、ベーキング処理を施して溶媒を蒸発させるこ
とにより成形する。つぎにSi等の金属薄膜を形成す
る。Si膜等は真空蒸着等の方法により成膜できる。さ
らにこれら表面層に電子線有機レジスト膜を形成する。
電子線による描画、および現像工程を経て上層レジスト
膜に対して所望のパターンを得る。
【0020】つぎにArやSF6等のガスを用いてイオ
ンビームエッチング法によりSi膜層等のエッチングを
行い、レジスト膜のパターンをSi膜等に転写する。つ
ぎにArやSF6等、あるいはこれらのガス種と酸素ガ
スの混合ガスを用いてイオンビームエッチング法により
下層レジスト層のエッチングを行い、Si膜等のパター
ンを下層レジスト膜に転写する。この段階で上層のレジ
スト膜は除去される。Si膜と下層レジストの2層膜を
マスクとして、パターンを酸化物超電導薄膜に転写す
る。マスクとして残されたSi膜と下層レジストの2層
膜は再度Ar、SF6ガス、あるいはこれらのガス種と
酸素との混合ガスを用いたイオンビームエッチング法に
より除去する。以上の工程を経ることにより、酸化物超
電導薄膜のサブミクロンパターンあるいはナノメートル
パターンを得る。
【0021】
【作用】本発明にかかる電子線描画用マスク材は、描画
に必要な領域をマスクの表面層に限定し、この領域と基
板との距離を保つことにより、後方散乱を低減する。す
なわち、有機レジスト膜、Cr,Co,Ni,Siある
いはAl等の金属膜、および有機レジスト膜から成る電
子線描画用3層マスクでは、各層に対して電子線感光に
よるパターン形成領域、耐エッチング領域、後方散乱を
防止するためのスペーシング領域としての機能を持たせ
る。また、本発明のマスク材は、有機レジストマスクよ
り十分にエッチング速度が遅く、酸化物薄膜とほぼ同等
のエッチング割合を有するCr,Co,Ni,Siある
いはAl等の金属膜層にエッチングマスクとしての役割
を付与させることができる。上層の有機レジスト膜は電
子線による描画パターン形成機能を有するマスク領域で
ある。このレジスト膜は酸化物薄膜に対するエッチング
マスクとしての役割を持たないのであるから、膜厚は可
能な限り十分に薄く、100nmあるいはこれ以下で十
分である。したがって、前方散乱の影響を抑え、描画精
度を保つことができる。Cr,Co,Ni,Siあるい
はAl等の金属膜層はArあるいはフッ化硫黄ガス等を
用いたイオンビームエッチング法を採用した場合、酸化
物薄膜とほぼ同等のエッチング割合を有する。したがっ
て、これら金属膜層は酸化物薄膜に対するエッチングマ
スクとしての役割を持たせることができる。通常室温で
有機レジスト膜上に成膜したこれら金属膜は非晶質ある
いは多結晶質であるので、電子線の後方散乱が増大する
ことはない。さらにこれら金属膜層の膜厚はパターン形
成を施すべき酸化物薄膜とほぼ同等の膜厚で十分である
から、電子線の拡がりおよび散乱に対して重大な影響を
与えない。
【0022】下層の有機レジスト膜は電子線の後方散乱
を防止する役割を有する。すなわち上層の有機レジスト
膜と、酸化物単結晶基板との間のスペーサの役割を果た
す。下層の有機レジスト膜の膜厚が上層の有機レジスト
膜の膜厚より厚いことはスペーサとしての役割上必要な
ことである。下層の有機レジスト膜の膜厚を厚くするこ
とによって、電子線が基板に達するまでに十分に減衰さ
せることができる。逆に下層の有機レジスト膜は電子線
による描画パターン形成の役割を持たないので、膜厚が
厚いことによるパターン形成上の問題はとくに有さな
い。エッチング工程におけるパターンの転写精度に関し
ても、コリメートされたイオンビームを用いれば、下層
の有機レジスト膜の膜厚が100nm以上であっても、
金属膜層のパターンを20nmから30nmあるいはこ
れ以上の精度で、酸化物薄膜に転写することができる。
【0023】酸化物系の超電導薄膜を用いたマイクロブ
リッジ、平面型の超電導−常伝導−超電導接合等の超電
導弱結合素子では弱結合動作を得るために、接合部分に
関してサブミクロン、とくに100nm以下の寸法を必
要とする。これは酸化物中における超電導波動関数の減
衰距離に対応した寸法として、接合形状に要求される仕
様である。上記の理由により本発明にかかる電子線描画
マスク、および酸化物薄膜の微細パターン形成法を適用
することにより、これら超電導弱結合素子が得られる。
【0024】さらに、本発明に基づいて、超電導デバイ
スの高性能化に必須である100nmあるいはこれ以下
の線幅を有する超電導配線、およびこれら超電導素子、
超電導配線等を要素として含む超電導回路、超電導デバ
イス、低温素子等を製造することができる。
【0025】
【実施例】本発明の実施例を以下に述べる。
【0026】(実施例1)図1に示すごとく、SrTi
3の(100)面方位単結晶を超電導薄膜配線用の基
板20として用いる。基板上にY−Ba−Cu酸化物薄
膜21を形成する。成膜はKrFのエキシマレーザを用
いたレーザ蒸着法によって行う。雰囲気ガスは酸素ガス
とし、全圧力は20Paとする。ターゲット材はY−B
a−Cu酸化物の円板状焼結体とする。膜形成時の基板
温度は600℃−800℃の範囲とする。このような成
膜条件によって、膜厚50nmで、臨界温度約90Kの
Y−Ba−Cu酸化物薄膜を得る。
【0027】電子線用下層有機レジスト膜22をスピン
塗布およびベーキング処理を施すことにより形成する。
膜厚は200nmとする。真空蒸着法によってSi薄膜
23の形成を行う。SiはWボートを用いた抵抗加熱
法、あるいは電子ビーム加熱法によって蒸発を行う。S
i膜の膜厚は50nmとする。さらに電子線用上層有機
レジスト膜24をスピン塗布およびベーキング処理を施
すことにより形成する。有機レジスト膜の膜厚は100
nmとする。このようにして形成したSiおよび有機レ
ジストの三層膜をマスクとする。このようにして図2
(a)に示すごときマスクを得る。
【0028】パターン形成工程は図2(b)以降に示す
とおりである。図2(b)のように上層有機レジスト2
4に対して電子ビーム露光法により超電導薄膜配線パタ
ーンの形成を行う。現像工程を経て、有機レジスト膜に
超電導配線パターンが得られる。つぎに図2(c)のよ
うに、SrTiO3基板をイオンビームエッチング装置
に置き、イオンビームエッチングによってパターンの転
写を行う。すなわちArイオンビームを基板に照射し、
露出したSi膜部分のエッチングを行う。Arイオンビ
ームの加速電圧は500Vとし、基板に対する入射電流
は80mAとする。この条件下では有機レジスト膜のエ
ッチング割合は20nm/minであり、Si膜のエッ
チング割合は10nm/minである。有機レジスト膜
のエッチングが終了するまでに露出したSi膜部分のエ
ッチングは完了し、有機レジスト膜のパターンはSi膜
に転写される。
【0029】つぎに図2(d)のように、Arと濃度5
0%の酸素を含む混合ガスを用いて、イオンビームエッ
チングを行い、Si膜パターンにしたがって、下層有機
レジスト膜22を加工した。エッチングの条件は同じく
加速電圧500V,電流80mAとする。この場合のエ
ッチング割合はSi膜が3nm/minであり、下層有
機レジスト膜に対するエッチング割合は50nm/mi
nである。
【0030】図2(e)のように、下層有機レジスト膜
22に対するエッチングが完了した段階で、Arガスを
用いてイオンビームエッチングを行い、Si膜のパター
ンをY−Ba−Cu酸化物薄膜21に転写する。Y−B
a−Cu酸化物薄膜のエッチング割合は10nm/mi
nである。したがって、Si膜層のエッチング終了直後
に、Y−Ba−Cu酸化物薄膜のエッチングが完了す
る。図2(f)のように、残された下層レジスト膜22
は酸素ガスを用いたイオンビームエッチングにより除去
する。酸素イオンによるY−Ba−Cu酸化物薄膜のエ
ッチングはほとんど無視できる。場合によっては、下層
レジスト膜を有機溶剤により除去する。
【0031】以上の工程によりY−Ba−Cu酸化物薄
膜21の配線パターンを得る。この工程で、超電導特性
や臨界電流密度等も含めて、Y−Ba−Cu酸化物薄膜
の超電導特性の劣化はほとんど認められない。本酸化物
薄膜に対して、最小50nmまでの線幅、および溝幅を
得ることができた。幅200nmの配線でも10mA以
上の超電導電流を通じることが可能であった。このよう
なパターン形成工程はY−Ba−Cu酸化物薄膜のみで
なく、Bi−Sr−Ca−Cu酸化物薄膜、Tl−Ba
−Ca−Cu酸化物薄膜等、他の超電導酸化物薄膜に対
しても適用することができた。さらにSi膜に代えてC
r,Co,NiあるいはAl等の金属膜をマスクの金属
層として用いても、同様の精度でY−Ba−Cu酸化物
薄膜にパターン形成を施すことができた。このような酸
化物薄膜のパターン形成方法は超電導回路、あるいは超
電導デバイス中の超電導配線の形成に適用することがで
きた。
【0032】(実施例2)図3に示すごとく、SrTi
3の(100)面方位単結晶を超電導素子用の基板3
2として用いる。基板上にY−Ba−Cu酸化物薄膜3
1を形成する。成膜はKrFのエキシマレーザを用いた
レーザ蒸着法によって行い、膜厚50nmで、臨界温度
約90KのY−Ba−Cu酸化物薄膜31を得る。
【0033】図2のように、膜厚200nmの電子線用
下層有機レジスト膜22をスピン塗布およびベーキング
処理を施すことにより形成する。真空蒸着法によってS
i薄膜23の形成を行う。Si膜の膜厚は50nmとす
る。さらに電子線用上層有機レジスト膜24を形成す
る。有機レジスト膜の膜厚は100nmとする。このよ
うにして形成したSiおよび有機レジストの三層膜をマ
スクとする。
【0034】上層有機レジストに対して電子ビーム露光
法により超電導薄膜配線パターンの形成を行う。現像工
程を経て、上層有機レジスト膜に超電導マイクロブリッ
ジ33のパターンが得られる。つぎにSrTiO3基板
をイオンビームエッチング装置に置き、イオンビームエ
ッチングによってパターンの転写を行う。すなわちAr
イオンビームを基板に照射し、露出したSi膜部分のエ
ッチングを行う。有機レジスト膜のエッチングが終了す
るまでに露出したSi膜部分のエッチングは完了し、有
機レジスト膜のパターンはSi膜に転写される。つぎに
Arと濃度50%の酸素を含む混合ガスを用いて、イオ
ンビームエッチングを行い、Si膜パターンにしたがっ
て、下層有機レジスト膜を加工した。下層有機レジスト
膜に対するエッチングが完了した段階で、Arガスを用
いてイオンビームエッチングを行い、Si膜のパターン
をY−Ba−Cu酸化物薄膜に転写する。残された下層
レジスト膜は酸素ガスを用いたイオンビームエッチング
により除去する。
【0035】このようなマイクロブリッジパターン形成
工程はY−Ba−Cu酸化物薄膜のみでなく、Bi−S
r−Ca−Cu酸化物薄膜、Tl−Ba−Ca−Cu酸
化物薄膜等、他の超電導酸化物薄膜を用いたマイクロブ
リッジ等に対しても適用することができた。
【0036】以上の工程によりY−Ba−Cu酸化物薄
膜のマイクロブリッジパターンを得る。ブリッジ部の長
さは50nmであり、幅は200nmである。このマイ
クロブリッジは図4および図5に示されるごとく、超電
導電流の磁場依存性や、マイクロ波照射特性等の点で、
超電導弱結合特性を示した。このような製造方法による
マイクロブリッジは特性が均一であり、基板上に配列す
ることにより、論理演算を行える超電導回路を構成する
ことができる。また、マイクロブリッジを要素として、
スクイドを基本とする微小磁場検出デバイス等を作製す
ることもできる。
【0037】このような微細パターンの形成方法は平面
型の超電導−常伝導−超電導接合等、間隔100nm以
下の電極間隔を必要とする、マイクロブリッジ以外の超
電導弱結合素子の製造方法にも適用できた。Y−Ba−
Cu酸化物薄膜等の酸化物薄膜に加工を施して幅50n
mの溝を形成し、この上にPr−Ba−Cu酸化物薄膜
を積層することにより、超電導−常伝導−超電導接合が
得られた。
【0038】
【発明の効果】実施例の項において述べたごとく、本発
明にかかるマスク材を用いた超電導素子の製造方法は以
下の効果を有する。
【0039】(1)Y−Ba−Cu酸化物薄膜をはじめ
とする酸化物系超電導薄膜の配線パターンおよび超電導
素子の電極膜に対して、超電導特性を劣化させることな
く、パターンの形成を行うことを可能にする。
【0040】(2)Y−Ba−Cu酸化物薄膜をはじめ
とする酸化物薄膜に対して、超電導配線および超電導接
合用の、100nmあるいはこれ以下の幅を有する微細
なラインおよび溝パターンの形成を可能にする。
【0041】(3)以上の性能を有する超電導配線およ
び超電導接合のパターン形成方法はこれらを用いた低温
素子、超電導回路、および超電導デバイスの形成を可能
にする。
【0042】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる超電導薄膜のパターン形成用マ
スクの構造図である。
【図2】本発明にかかる超電導薄膜のパターン形成工程
図である。
【図3】本発明にかかるマイクロブリッジの構造図であ
る。
【図4】本発明にかかるマイクロブリッジの印加磁場−
臨界電流特性である。
【図5】本発明にかかるマイクロブリッジのマイクロ波
照射時の電圧−電流特性である。
【符号の説明】
20…基板、21…酸化物超電導薄膜、22…電子線用
下層有機レジスト膜、23…Si膜、24…電子線用上
層有機レジスト膜、31…Y−Ba−Cu酸化物薄膜、
32…SrTiO3基板、33…マイクロブリッジ部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 樺沢 宇紀 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 高木 一正 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化物系の超電導薄膜のパタン形成工程に
    用いるマスク材おいて、上記マスク材は、金属膜を第
    1、第2の有機レジスト膜で挟むことにより構成されて
    いることを特徴とする超電導薄膜用マスク材。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の超電導薄膜用マスク材に
    おいて、上記金属膜は、有機レジスト、Cr、Co、N
    i、SiあるいはAl等より形成されることを特徴とす
    る超電導薄膜用マスク材。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の超電導薄膜用マスク材に
    おいて、上記金属膜の下層に配された第1の有機レジス
    ト膜の膜厚が上記金属膜の上層に配された第2の有機レ
    ジスト膜の膜厚より厚いことを特徴とする超電導薄膜用
    マスク材。
  4. 【請求項4】請求項3に記載の超電導薄膜用マスク材に
    おいて、上記第2の有機レジスト膜の膜厚は、100n
    m以下であることを特徴とする超電導薄膜用マスク材。
  5. 【請求項5】請求項1、3または4に記載の超電導薄膜
    用マスク材において、上記第2の有機レジスト膜は、マ
    イクロブリッジ形状を有していることを特徴とする超電
    導薄膜用マスク材。
JP6032140A 1994-03-02 1994-03-02 超電導薄膜用マスク材 Pending JPH07240542A (ja)

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JP (1) JPH07240542A (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5679428A (en) * 1979-12-03 1981-06-30 Hitachi Ltd Working of ultra-fine article
JPS58105140A (ja) * 1981-12-17 1983-06-22 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 多層レジスト
JPH01208878A (ja) * 1988-02-17 1989-08-22 Hitachi Ltd 超電導デバイス及び超電導配線の製造方法
JPH0396286A (ja) * 1989-09-08 1991-04-22 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> パターン化酸化物超伝導膜形成法
JPH04287382A (ja) * 1991-03-18 1992-10-12 Hitachi Ltd 超電導薄膜パタンの形成方法

Patent Citations (5)

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