JPH07237280A - 積層体及びその製造方法 - Google Patents

積層体及びその製造方法

Info

Publication number
JPH07237280A
JPH07237280A JP2952494A JP2952494A JPH07237280A JP H07237280 A JPH07237280 A JP H07237280A JP 2952494 A JP2952494 A JP 2952494A JP 2952494 A JP2952494 A JP 2952494A JP H07237280 A JPH07237280 A JP H07237280A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
primer
layer
sintered
silane
organic titanate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2952494A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshiyuki Takematsu
敏行 竹松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP2952494A priority Critical patent/JPH07237280A/ja
Publication of JPH07237280A publication Critical patent/JPH07237280A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 初期接着性、接着耐久性、耐薬品性及び耐蝕
性に優れた、金属体とポリオレフィンとの積層体、及び
その製造方法を提供する。 【構成】 鋼板表面に各々の厚さ1〜200μmの複数
の有機チタネートプライマー焼結層と、シラングラフト
ポリオレフィン被覆層がこの順に積層されてなり、前記
シラングラフトポリオレフィン被覆層に隣接している有
機チタネートプライマー焼結層に、金属体表面に達しな
いクラックが形成されており、そのクラックの表面積が
前記シラングラフトポリオレフィン被覆層に対して15
%以下である積層体、及び、鋼板表面に濃度が2〜10
重量%である有機チタネートプライマーを塗布・加熱す
る工程を複数回繰り返して、各々の厚さ1μm以上の複
数の有機チタネートプライマー焼結層を形成した後、シ
ラングラフトポリオレフィン被覆層をこの表面に積層す
る、積層体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、初期接着性、接着耐久
性、耐薬品性及び耐蝕性に優れた、金属体とシラングラ
フトポリオレフィンとの積層体、及びその製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、金属の耐蝕性を改善するため金属
体の表面に合成樹脂層を形成した積層体が知られてい
る。このような積層体は、屋根材や壁材、自動車用部
材、樹脂被覆金属管等に使用されている。これらの積層
体は、金属と合成樹脂との初期接着強度は概して強く、
短期間の使用に対してはほぼ良好な使用結果が得られて
いる。
【0003】しかし、接水環境下で長期間にわたって使
用すると、合成樹脂の劣化と共に水が合成樹脂層内を拡
散して金属体との界面に達し、これにより金属体と合成
樹脂との接着強度の低下・金属体の発錆を招来し、やが
て合成樹脂層が金属体から剥離するという問題点があっ
た。そこでこの問題を解決することを目的として、例え
ば特開平5−169585号公報には有機チタネートを
プライマーとして金属表面に塗布焼付し、その表面に合
成樹脂層を設ける技術が開示されている。
【0004】しかしながら、上記公報に記載されたプラ
イマー層を設けた積層体においても、熱水の流動、熱水
−冷水の繰り返し等と言った過酷な条件下においては、
合成樹脂層と金属との接着耐久性が充分満足できるもの
ではなかった。この原因の詳細は未だ明らかではない
が、合成樹脂層を設ける前段階の有機チタネートプライ
マー焼結層表面を観察したところ、微細な多数のクラッ
クが発生していた。従って、金属表面を有機チタネート
プライマー層により完全に被覆出来ていないことが、合
成樹脂層の接着耐久性向上を妨げる要因であると推察さ
れる。
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の如き
知見を基に完成されたものであり、その目的は、初期接
着性、接着耐久性、更には耐薬品性及び耐蝕性に優れ
た、金属体とシラングラフトポリオレフィンとの積層体
を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の積層体は、金属
体表面に複数の有機チタネートプライマー焼結層と、シ
ラングラフトポリオレフィン被覆層が積層されており、
各プライマー焼結層にはクラックが形成されているもの
のプライマー焼結層が複数設けられているので有機チタ
ネートプライマー焼結層の表面に、表面積の割合がシラ
ングラフトポリオレフィン被覆層に対して15%以下の
金属体表面に達しないクラックが形成されていることを
骨子とするものであり、又、その製造方法は、濃度を2
〜10重量%とした有機チタネートプライマーを金属体
表面に塗布・加熱する工程を複数回繰り返して、各々の
厚さ1〜200μmの複数の有機チタネートプライマー
焼結層を形成した後、シラングラフトポリオレフィン被
覆層を積層することを骨子とするものである。
【0006】本発明において使用される金属体として
は、鉄、鋼、アルミニウム、銅等が挙げられ、用途にも
よるが、強度及びコストの点から鉄又は鋼が特に好まし
く用いられる。これらの金属体表面は例えば脱脂、ブラ
スト、酸洗等によりポリオレフィンとの接着性に適した
状態にすることが好ましい。又、必要に応じて金属体表
面にメッキ、被膜処理、プラズマ処理などの表面処理を
行っても良い。
【0007】本発明におけるシラングラフトポリオレフ
ィン被覆層は、好適には、ポリオレフィンにシランカッ
プリング剤と有機過酸化物とを配合し加熱溶融して得ら
れたシラングラフト変性ポリオレフィンからなる。ポリ
オレフィンとしては高密度ポリエチレン、中密度ポリエ
チレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン
等のポリエチレンが、特に線状低密度ポリエチレンが、
好ましい例として挙げられ、その他、ポリプロピレン、
ポリブテン等も使用可能である。
【0008】シランカップリング剤にはビニルトリメト
キシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリア
セトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメト
キシシラン等があり、特に反応性が高く安価な点で好ま
しい例としては、ビニルトリメトキシシランが挙げられ
る。
【0009】有機過酸化物にはジメチルパーオキサイ
ド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキ
サイド、ジプロピオニルパーオキサイド、ベンゾイルパ
ーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメ
ンヒドロパーオキサイド等があり、特に好ましい例とし
ては、ジ−t−ブチルパーオキサイドが挙げられる。
【0010】本発明における有機チタネートプライマー
焼結層とは、分子中に無機物と結合する有機基(例えば
イソプロピル基のような加水分解基)と、有機物に親和
する有機基(例えばステアロイル基、N−アミノエチル
−アミノエチル基、ドデシルべンゼンスルホニル基のよ
うな有機基)を有する有機チタネートプライマーを、加
熱により焼結して得られるものである。
【0011】このような有機チタネートプライマーの例
としては、イソプロピル(N−アミノエチル−アミノエ
チル)チタネート、エチルトリ(N−アミノエチル−ア
ミノエチル)チタネート、ジイソプロピルジ(N−アミ
ノエチル−アミノエチル)チタネート、ブチルトリ(N
−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、ジブチル
ジ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート等が
ある。 その他にも、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセ
チルアセトナト)チタン、テトラ−n−ブトキシチタ
ン、テトラ(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、テト
ラ−i−プロポキシチタン等が代表的な例として挙げら
れる。市販品としては、例えば、味の素社製「プレンア
クト」及び、日本曹達社製の「チタコート」等が挙げら
れる。
【0012】以上のような有機チタネートプライマーを
金属体表面に塗布し焼結する際の温度は、通常250℃
〜450℃であり、金属体との密着性に優れたプライマ
ー焼結層を得ることが出来る点で、350℃〜420℃
が好ましい。加熱・焼き付け方法としては、例えば、高
温の熱風を吹き付ける方法、バーナーを用いる方法、更
には誘導加熱を利用する方法等、公知の加熱方法を採用
することができる。
【0013】このとき、有機チタネートプライマー焼結
層の各層の厚さは1μm以上が必要であり、好ましくは
5μm以上とする。又、各層の厚さの上限は200μm
であり、好ましくは100μmとする。更にプライマー
焼結層各層の合計(全体)の厚さは、要求性能にもよる
が、水分の浸入・金属体表面への到達を防いで発錆を防
止する為に通常7μm以上、好ましくは10μm以上で
ある。また、全体の厚さが厚すぎても積層体の曲げ加工
の際にプライマー焼結層自体が破壊されやすくなるの
で、通常500μm以下、好ましくは300μm以下で
ある。
【0014】プライマー焼結層の各層の厚さが1μm未
満では、焼結層全体の厚さを確保する為に多数の焼結層
を形成・積層しなければならないので生産性が極めて悪
く、コスト高につながる。各層の厚さが200μmを越
えると、焼結層全体も厚くなって曲げ加工時に破壊され
やすくなる。
【0015】また、各々の有機チタネートプライマー焼
結層はミクロに見るとクラックの発生が避けられず、シ
ラングラフトポリオレフィン被覆層に隣接している有機
チタネートプライマー焼結層に形成されるクラックは、
他のプライマー焼結層に阻まれて直接には金属体表面に
達しないものであって、シラングラフトポリオレフィン
被覆層に接触しているプライマー焼結層における個々の
クラックの表面積の合計は、シラングラフトポリオレフ
ィン被覆層の表面積(即ち、有機チタネートプライマー
焼結層の、金属体表面に垂直な方向への全投影面積)に
対して15%以下であることが必要であり、好ましくは
10%以下である。
【0016】その理由は、上記クラックの表面積の割合
が15%を越えると、熱水や冷熱水繰り返しなどの使用
により、シラングラフトポリオレフィン被覆層に浸透し
た水が更に各プライマー焼結層に形成されているクラッ
クを伝って金属体表面に達して発錆し易くなるからであ
る。
【0017】尚、上記クラックの表面積の割合は、0%
であることを妨げるものではないが、実際上0%のもの
を得るのは困難である。
【0018】本発明におけるシラングラフトポリオレフ
ィン被覆層は、好適には、ポリオレフィンにシランカッ
プリング剤と有機過酸化物とを配合し加熱溶融して得ら
れたシラングラフトポリオレフィンからなる。ポリオレ
フィンとしては高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレ
ン、低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン等の
ポリエチレンが、特に線形低密度ポリエチレンが、好ま
しい例として挙げられ、その他、ポリプロピレン、ポリ
ブテン等も使用可能である。
【0019】積層体の製造方法に係る本発明は、上述の
有機チタネートプライマー焼結層を得るに当たり、濃度
を10重量%以下とした有機チタネートプライマーを金
属体表面に塗布、乾燥し加熱する工程を複数回繰り返し
て、各々の厚さ1〜200μmの複数の有機チタネート
プライマー焼結層を形成するものである。この塗布、乾
燥し加熱する工程の回数としては、通常3回〜7回、好
ましくは3回〜5回である。
【0020】塗布時の有機チタネートプライマーの濃度
を10重量%以下にする理由は、10重量%を越える
と、塗布後の、加熱焼結時にクラックが生じ易くなるた
め上述のクラックの割合が15%を越えるからである。
有機チタネートプライマーの濃度は、クラックの発生を
防止する為には薄い方が好ましいが、薄すぎると1回の
塗布・焼き付けで形成されるプライマー焼結層の厚さが
確保出来ず、幾度も塗布・焼き付けする必要が生じて作
業性が悪い。従って、濃度は2重量%以上とする。
【0021】濃度を10重量%以下とする際に用いる稀
釈剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチ
ルケトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、イ
ソプロピルアルコールなどのアルコール類、ベンゼン、
トルエン、キシレンなどの芳香族化合物、テトラヒドロ
フラン、水などが挙げられる。これらの稀釈剤の種類は
通常、有機チタネートプライマーの種類によって使い分
ける。例えば、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルア
セトナト)チタンを稀釈する際には、通常イソプロピル
アルコール、トルエン等を用い、テトラ−i−プロポキ
シチタンを稀釈する際には、通常i−プロパノール、n
−ヘキサン、トルエン、クロロベンゼン等を用いる。
【0022】また、クラックの割合の測定方法として
は、例えば、シラングラフトポリオレフィン被覆層を設
ける前に、複数の有機チタネートプライマー焼結層が形
成された金属体の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)に
より写真撮影し、その写真に示されたクラックの部分を
着色して画像処理装置にかけ、露出しているプライマー
焼結層に形成されているクラックのシラングラフトポリ
オレフィンにより被覆される全表面積に対する割合を算
出する方法がある。
【0023】また、クラックが金属体表面に達している
か否かを検出する方法としては、例えば、硫酸銅溶液を
有機チタネートプライマー表面に滴下して調べる方法が
ある。通常、硫酸銅溶液には5重量%〜10重量%の濃
度の水溶液を用いる。クラックが金属体表面に達してい
れば硫酸銅溶液は金属体表面に達しイオン化傾向のちが
いにより例えば鉄がイオンになり、代わりに硫酸銅溶液
中の硫酸イオンが還元され金属銅となるため茶変する。
クラックが金属体表面に達していなければ硫酸銅溶液は
変色しない。
【0024】上述の如く有機チタネートプライマー焼結
層を積層した後にシラングラフトポリオレフィン被覆層
を積層するが、シラングラフトポリオレフィン被覆層を
積層する方法としては、溶融したシラングラフトポリオ
レフィンを押出被覆する溶融押出被覆法、プレス、シー
ト圧着などの一般的な方法を用いることができる。尚、
本発明において線膨脹係数の低減、成形収縮の抑制を目
的としてシラングラフトポリオレフィン内にガラス繊
維、タルク、シリカ、マイカ、チタン酸カリウムホイス
カなどの公知の充填材を添加しても良く、本発明の効果
を損なわない範囲で酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤
などの配合剤を用いても良い。
【0025】
【作用】本発明積層体は、金属体表面に厚さ1〜200
μmの有機チタネートプライマー焼結層が複数積層され
ていて、更にプライマー焼結層にはシラングラフトポリ
オレフィン被覆層が積層されていると共に、前記シラン
グラフトポリオレフィン被覆層に接触している有機チタ
ネートプライマー焼結層に、金属体表面に達しないクラ
ックが形成されており、そのクラックの表面積が前記シ
ラングラフトポリオレフィン被覆層に対して15%以下
であるので、熱水や冷熱水繰り返しなどの使用によって
も、シラングラフトポリオレフィン被覆層に浸透した水
が更に各プライマー焼結層に形成されているクラックを
伝って金属体表面に達して発錆し易くなることが防止さ
れる。
【0026】本発明積層体の製造方法は、金属体表面に
濃度が2〜10重量%である有機チタネートプライマー
を塗布・加熱する工程を複数回繰り返して、各々の厚さ
1〜200μmの複数の有機チタネートプライマー焼結
層を形成した後、シラングラフトポリオレフィン被覆層
をこの表面に積層するので、前記プライマーを乾燥、加
熱する際に縮合反応、即ち収縮を生じても、従来の如く
高濃度のプライマーを用いた時のように急な縮合反応に
よる収縮が起こらない為に、各プライマー焼結層の積層
により、クラックが金属体表面に達しないプライマー焼
結層を表面に形成することが出来、且つ、その表面のプ
ライマー焼結層、即ちシラングラフトポリオレフィン被
覆層に隣接することとなるプライマー焼結層に形成され
るクラック面積の割合を、シラングラフトポリオレフィ
ン被覆層の表面積(即ち、有機チタネートプライマー焼
結層の、金属体表面に垂直な方向への全投影面積)に対
して15%以下とすることが出来るのである。
【0027】
【実施例】以下に本発明の実施例および比較例をあげて
本発明を具体的に説明する。 (実施例1)線状低密度ポリエチレン(LLDPE、密
度: 0.935g/cm3 、MI:5.0g/10分)100重量部に
対しビニルトリメトキシシラン1重量部及びジ−t−ブ
チルcmオキサイド0.04重量部を混合し、190℃
で混練・溶融押出することによりシラングラフト線状低
密度ポリエチレン(以下G−LLDPE)を得た。次
に、150mm×150mm×厚み1.5mm、の冷延
鋼板(SPCC)をリン酸ソーダー系脱脂剤で脱脂した
後、10%硝酸溶液に浸漬しエッチングを行った。
【0028】この後、有機チタネート系プライマーであ
るジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チ
タン(日本曹達株式会社製、T−50、化学式:Ti
[OCH(CH3 )2 ]2 [OC(CH3 )CHCOC
H3 ]2 )の5重量%イソプロパノール溶液を冷延鋼板
の両面に均一に塗布し、400℃のオーブン中で5分間
加熱した。得られたプライマー層の膜厚は17μmであ
った。更にこの塗布・加熱からなる工程をこの後2回繰
り返し、合計膜厚が51μmのプライマー焼結層が形成
された積層体を得た。
【0029】又、SEMで最外層のプライマー層表面の
写真を撮り、そのクラックが形成部分を赤いマジックイ
ンキで塗ったものを画像処理装置にかけ、赤い部分の全
体に対する面積比率を調べたところ、全表面に対して
3.6%のクラックが形成されていた。 そしてこの表
面に5重量%硫酸銅水溶液を滴下し、5分間放置したが
変色はなかった。さらにこの表面に上述のG−LLDP
Eを温度190℃、圧力100kg/cm2 にて平板プ
レスで積層した。このとき、G−LLDPEの厚さは、
3.0mmであった。
【0030】この積層体に対し90℃の熱水に5分間、
その後20℃の水に5分間浸漬する冷熱繰り返しテスト
を20000サイクル行ったところ冷延鋼板とG−LL
DPE間の剥離、冷延鋼板の発錆等の異常は見られなか
った。また、この冷熱繰り返しテスト前後の接着強度
を、JIS K-6854「接着剤の剥離接着強さ試験方法」に準
じて(但し幅2cmの「T型剥離試験片」で実施)測定し
たところ、冷熱繰り返しこれらの結果を表1に示す。テ
スト前は、35.5kgf/2cm、テスト後は31.5kgf/
2cmであった。
【0031】(実施例2)実施例1と同じ方法で実施例
1と同じG−LLDPEを製造し、次いで、外径114
mm、内径110mm、長さ5mの鋼管を、実施例1と
同様に、脱脂し、硝酸溶液でエッチングした。この後、
実施例1と同じプライマーの5重量%イソプロパノール
溶液を鋼管の内面に均一に塗布し、400℃のオーブン
中で5分間加熱した。得られたプライマー層の膜厚は1
7μmであった。更にこの塗布・加熱からなる工程をこ
の後2回繰り返し、合計膜厚が51μmのプライマー焼
結層が形成された積層管を得た。
【0032】また、有機チタネートプライマー焼結層の
表面に、面積の割合が全表面に対して4.1%のクラッ
クが形成されていた。実施例1と同様、5重量%硫酸銅
水溶液による変色は無かった。そしてこの内面に実施例
1と同じG−LLDPEを、温度190℃、圧力50k
g/cm2 で押し出し被覆して、厚さ3.0mmのG−
LLDPE被覆層を形成した。
【0033】この鋼管に対し90℃の熱水を5分間通湯
し、その後20℃の水を5分間通水する冷熱繰り返しテ
ストを20000サイクル行ったところ、鋼管内面にお
ける金属体−樹脂間の剥離、金属体層の発錆等の異常は
見られなかった。また、この冷熱繰り返しテスト前後の
接着強度を、JIS K-6854「接着剤の剥離接着強さ試験方
法」に準じて(但し幅2cmの「T型剥離試験片」で実
施)測定したところ、冷熱繰り返しテスト前は、35.
3kgf/2cm、テスト後は31.6kgf/2cmであった。
尚、試験片は、積層管を10cm間隔で切断した後、周方
向に2cm間隔で切り出したものを用いた。これらの結果
を表1に示す。
【0034】(実施例3)実施例1において、プライマ
ーの濃度を3重量%としてプライマー焼結層の合計膜厚
を30μmとした(各層10μm、最外層のクラックの
面積の割合、3.5%)以外は全て実施例1と同様にし
て、冷延鋼板/プライマー焼結層/G−LLDPE被覆
層、からなる積層体を得た。G−LLDPE被覆層の厚
さは3.0mmであった。実施例1と同様にして冷熱繰
り返しテストを行い、この前後の接着強度等を測定した
結果は表1に示す通りであった。
【0035】(実施例4)実施例1において、プライマ
ーの濃度を7重量%とし、プライマーの焼き付けを35
0℃にて5分間とし、プライマー焼結層の合計膜厚を2
70μmとした(各層90μm、最外層のクラックの面
積の割合、9.6%)以外は全て実施例1と同様にし
て、冷延鋼板/プライマー焼結層/G−LLDPE被覆
層、からなる積層体を得た。G−LLDPE被覆層の厚
さは3.0mmであった。実施例1と同様にして冷熱繰
り返しテストを行い、この前後の接着強度等を測定した
結果は表1に示す通りであった。
【0036】(実施例5)実施例1において、プライマ
ーの希釈剤をトルエンとし、プライマーの濃度を5重量
%としてプライマー焼結層の合計膜厚を51μmとした
(各層27μm、最外層のクラックの面積の割合、4.
0%)以外は全て実施例1と同様にして、冷延鋼板/プ
ライマー焼結層/G−LLDPE被覆層、からなる積層
体を得た。G−LLDPE被覆層の厚さは3.0mmで
あった。実施例1と同様にして冷熱繰り返しテストを行
い、この前後の接着強度等を測定した結果は表1に示す
通りであった。
【0037】(実施例6)有機チタネート系プライマー
としてテトラ−i−プロポキシチタン(TPT)の5重
量%イソプロパノール溶液を用いた以外は、全て実施例
1と同様にして、冷延鋼板/プライマー焼結層/G−L
LDPE被覆層、からなる積層体を得た。G−LLDP
E被覆層の厚さは3.0mmであった。実施例1と同様
にして冷熱繰り返しテストを行い、この前後の接着強度
等を測定した結果は表1に示す通りであった。
【0038】
【表1】
【0039】(比較例1)150mm×150mm×厚
み1.5mm、の冷延鋼板に有機チタネート系プライマ
ーを用いなかったこと以外は、全て実施例1と同様にし
て冷延鋼板/G−LLDPE被覆層、からなる積層体を
得た。この積層体に対し実施例1と同様に冷熱繰り返し
テストを行ったところ、2000サイクルで樹脂層が金
属体表面から完全に剥離した。また、金属体層の表面は
全面に亘って黒錆が生成していた。また、この冷熱繰り
返しテスト前後の接着強度をT型剥離試験にて実施した
ところ、表2に示す如く、特に繰り返しテスト後は、低
い値であった。
【0040】(比較例2〜8)有機チタネート系プライ
マー及びその希釈剤はは実施例1と同じものを用い、プ
ライマー焼き付け温度・時間は実施例1と同じとし、プ
ライマーの濃度及び焼結層の層数を表2に記載の通りと
した以外は実施例1と同様に冷延鋼板/プライマー焼結
層/G−LLDPE被覆層、からなる積層体を得た。G
−LLDPE被覆層の厚さは3.0mmであった。この
とき、G−PEの厚みは、3.0mmであった。 実施
例1と同様にして冷熱繰り返しテストを行い、この前後
の接着強度等を測定した結果は表2に示す通りであっ
た。
【0041】
【表2】
【0042】
【発明の効果】本発明の積層体は、金属体表面とシラン
グラフトポリオレフィン被覆層との間に、各々の厚さ1
μm〜200μmの複数の有機チタネートプライマー焼
結層が設けられており、前記シラングラフトポリオレフ
ィン被覆層に隣接している有機チタネートプライマー焼
結層に、金属体表面に達しないクラックが形成されてい
るが、そのクラックの表面積は前記シラングラフトポリ
オレフィン被覆層に対して15%以下であるので、初期
接着性、接着耐久性、耐薬品性及び耐蝕性に優れてい
る。本発明の積層体の製造方法は、金属体表面に濃度が
2〜10重量%である有機チタネートプライマーを塗布
・加熱する工程を複数回繰り返して、各々の厚さ1μm
〜200μmの複数の有機チタネートプライマー焼結層
を形成した後、シラングラフトポリオレフィン被覆層を
この表面に積層するので、シラングラフトポリオレフィ
ン被覆層に隣接している有機チタネートプライマー焼結
層に形成されるクラックの割合が15%以下である前記
本発明の積層体を容易に得ることが出来るのである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属体表面に各々の厚さ1〜200μmの
    複数の有機チタネートプライマー焼結層と、シラングラ
    フトポリオレフィン被覆層がこの順に積層されてなる積
    層体であって、前記シラングラフトポリオレフィン被覆
    層に隣接している有機チタネートプライマー焼結層に、
    金属体表面に達しないクラックが形成されており、その
    クラックの表面積が前記シラングラフトポリオレフィン
    被覆層に対して15%以下であることを特徴とする積層
    体。
  2. 【請求項2】金属体表面に濃度が2〜10重量%である
    有機チタネートプライマーを塗布・加熱する工程を複数
    回繰り返して、各々の厚さ1〜200μmの複数の有機
    チタネートプライマー焼結層を形成した後、シラングラ
    フトポリオレフィン被覆層をこの表面に積層することを
    特徴とする特許請求の範囲第1項記載の積層体の製造方
    法。
JP2952494A 1994-02-28 1994-02-28 積層体及びその製造方法 Pending JPH07237280A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2952494A JPH07237280A (ja) 1994-02-28 1994-02-28 積層体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2952494A JPH07237280A (ja) 1994-02-28 1994-02-28 積層体及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07237280A true JPH07237280A (ja) 1995-09-12

Family

ID=12278502

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2952494A Pending JPH07237280A (ja) 1994-02-28 1994-02-28 積層体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07237280A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2015133445A1 (ja) 電池用包装材料
EP0078174A2 (en) Process for producing metal/thermoplastic resin/metal sandwich laminate
JP2012203984A (ja) 電池用外装材及び二次電池
JPH07237280A (ja) 積層体及びその製造方法
JP6673394B2 (ja) 電池用包装材料
JP4132687B2 (ja) 加工性、スポット溶接性に優れた耐熱プレコート鋼鈑
JPH0866986A (ja) 積層体の製造方法
JPH08127101A (ja) 複合管
EP3251758B1 (en) Method for producing coated metal strip
JPH11138690A (ja) 屋外用途向けプレコート金属板
JP3046050B2 (ja) 着色フイルム被覆金属板及びその製造方法
JP2000143899A (ja) 接着性樹脂組成物
JPH07232402A (ja) 積層体及びその製造方法
JP3257870B2 (ja) 積層体の製造方法
JPH0890716A (ja) 複合管
JP3094311B2 (ja) 弗素系樹脂被覆金属積層体
JPH08224831A (ja) 複合管
JPS6244439A (ja) ポリオレフイン被覆金属管
JPH07290637A (ja) フッ素樹脂フィルム被覆金属板及びその製造方法
JPH06159557A (ja) 複合管
JPH06316030A (ja) 積層体の製造方法
JP4656499B2 (ja) 自動車用モールディングおよびその製造方法
JPH0780991A (ja) 積層体の製造方法
JPH09262903A (ja) ポリアミド樹脂被覆アルミニウム管材およびその製造方法
WO2017195805A1 (ja) アルミニウム合金材、接着樹脂層付きアルミニウム合金材、接合体、及びアルミニウム合金材の製造方法