JPH07233017A - 抗菌性および防汚性に優れたプラスチックス材料 - Google Patents

抗菌性および防汚性に優れたプラスチックス材料

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JPH07233017A
JPH07233017A JP2548994A JP2548994A JPH07233017A JP H07233017 A JPH07233017 A JP H07233017A JP 2548994 A JP2548994 A JP 2548994A JP 2548994 A JP2548994 A JP 2548994A JP H07233017 A JPH07233017 A JP H07233017A
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JP
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copper
zinc powder
silver
aqueous solution
antibacterial
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JP2548994A
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English (en)
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Haruichiro Eguchi
晴一郎 江口
Takao Washimi
隆男 鷲見
Yukihiro Chiyou
志宏 趙
Yoshio Okada
義夫 岡田
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Satosen Co Ltd
Original Assignee
Satosen Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】プラスチックス材料に高度の抗菌性と防汚性を
付与する技術を提供することを主な目的とする。さら
に、抗菌性に優れたプラスチックス製品を提供すること
をも目的とする。さらにまた、防汚性に優れた水中用繊
維製品を提供することをも目的とする。 【構成】1.銅および銀の少なくとも1種により置換し
た亜鉛粉末を配合したことを特徴とする抗菌性および防
汚性に優れたプラスチックス材料。2.上記項1のプラ
スチックス材料からなる抗菌性に優れたプラスチックス
製品。3.上記項1のプラスチックス材料からなる防汚
性に優れた水中用繊維製品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗菌性および防汚性に
優れたプラスチックス材料、プラスチックス製品および
水中用繊維製品に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌
(Methicillin-Resistant Staphylococcus Aureus、以
下MRSA菌という)による合併症の発生問題が契機と
なって、病院、老人養護施設、一般家庭、娯楽施設など
における天然および合成繊維製の衣料、寝具、座布団、
カーテン、カーペット、絨毯、壁装飾布などの繊維製品
類、プラスチックス製の器具類乃至装置類(掃除機、空
調機器、集塵機、洗濯機などの構成部材、ポリウレタン
フォームなどの発泡製品など)、有機物加工製品などに
細菌、かびなどの微生物に対する抗菌性乃至殺菌性を付
与する必要性が広く認識される様になってきた。
【0003】ところで、従来、衣料、寝具衣料、カーテ
ン、カーペット、絨毯などの繊維製品及び有機物加工品
の1種である紙、不織布、織物、ポリウレタンフォー
ム、合成樹脂成形品などにおける無機系の微生物発生及
び成育防止剤としては、銀ゼオライト(銀ケイ酸アルミ
ニウム塩)粉末が知られており、これ自体は、メチシリ
ン耐性のない黄色ブドウ球菌を含む細菌類に対しては、
比較的良好な抗菌性乃至殺菌性を示す。しかしながら、
この粉末は、上記の各製品に対して付着性を殆ど有して
いないので、製品完成前の段階で素材への混入などの前
加工処理を行わなければならない。例えば、合成繊維製
品の場合には、合成繊維の原料である合成高分子材料に
予め銀ゼオライト粉末を練り込んでおき、これを紡糸
し、紡織して、抗菌性乃至殺菌性を付与した繊維を得る
必要がある。また、天然繊維の場合には、バインダーを
使用して繊維への付着による抗菌性乃至殺菌性の付与を
はかるか、或いは銀ゼオライト粉末を練り混んだ合成繊
維糸との混紡により抗菌性乃至殺菌性の付与をはかる必
要がある。抗菌性乃至殺菌性の付与加工前後の繊維品の
化学的性質および物理的性質を考慮すると、素材および
形態の点で、銀ゼオライトを使用して、繊維品に抗菌性
乃至殺菌性を付与する技術には、大きな制約がある。合
成樹脂成型品についても、上記と同様のことがいえる。
【0004】さらに、銀ゼオライト中の銀含有量は、ゼ
オライト1g当たり約0.15g程度と低いため、充分
な抗菌性効果を得るためには、銀ゼオライトの使用量を
高める必要があり、その結果、繊維製品が嵩高となるこ
とも大きな問題点である。
【0005】さらにまた、合成繊維製品および合成樹脂
成型品に銀ゼオライトを配合する場合には、通常200
℃以上の温度で合成樹脂を溶融し、銀ゼオライト粉末を
均一に混合した後、紡糸乃至成形する必要がある。しか
しながら、この様な温度条件下では、銀化合物が抗菌作
用を殆ど有しない金属銀に還元され、抗菌効果が著しく
低下してしまうことも、大きな問題点である。
【0006】繊維品に抗菌性乃至殺菌性を付与しうる他
の材料として、有機化合物がある。有機化合物は、加工
処理性に優れているので、抗菌性乃至殺菌性を付与すべ
き対象としての繊維の素材および形態に対する制限は少
ないものの、処理された繊維品の洗濯、大気中での長時
間の放置などにより、抗菌性乃至殺菌性を急速に失うの
で、効果の持続性に劣るという欠点を有している。ま
た、仮に初期段階では良好な抗菌性を発揮したとして
も、耐性菌の出現により効果が短期間内に低下すること
が充分に予測される。
【0007】特に、MRSA菌に関しては、MRSA感
染症に対する有効な治療法が見出されていないために、
特定の研究機関外への菌の持ち出しが禁じられており、
その殺菌のための研究は、未だ広く行われるには至って
いない。従って、MRSA菌に対してどの様な物質或い
は材料などが抗菌性乃至殺菌性を有しているかは、殆ど
解明されていないのが現状である。
【0008】一方、海洋、河川、湖沼などで使用される
漁獲用および養殖用漁網、係留ロープ、定置網(以下に
おいては、下記に示すジオテキスタイルをも含めて水中
用繊維製品ということがある)には、各種の水棲生物
(牡蛎類、貝類、フジツボ、海草乃至藻類など)が付着
成育するので、一定期間ごとに生物を除去する必要があ
る。より具体的には、例えば、養殖用漁網に藻類が付着
して増殖すると、水の流れが弱くなって、魚が窒息した
り、或いは弱体化して菌に侵されやすくなったりする。
この様な藻類の除去には多大の労力を必要とするので、
当初から漁網への藻類の付着を防止する、いわゆる「防
汚性」を付与するための研究がなされている。
【0009】また、海洋、河川、湖沼などにおける護岸
工事において土の補強に使用されるジオテキスタイル
(土木用繊維素材)に貝類、藻類などが付着成育する
と、透水性、濾過性などが低下して、部分的に土が大量
にけずり取られて、堤防の劣化につながることがある。
従って、ジオテキスタイルについても、水棲生物の付着
成育を防止乃至抑制しうる防汚性材料の開発が強く望ま
れている。
【0010】水中用繊維製品の水棲生物付着防止につい
ては、有機錫を使用する方法が提案され、実施されてき
た(特公昭51−28888号公報、特公昭57−16
961号公報、特開昭52−139144号公報な
ど)。しかしながら、有機錫は、防汚効果には優れてい
るものの、魚介類に蓄積されやすく、人体に悪影響を及
ぼす危険性がある。
【0011】従って、銅、銀などの金属イオンによる生
物成育抑制をはかる技術が提案されている。例えば、
銀、銅などの金属粉末を繊維に直接混入する方法がある
(特開昭51−117775号公報、特開平5−140
369号公報など)。また、金属イオンを繊維に含有さ
せる方法もある(特開平1−213410号公報)。さ
らに、銅線を繊維製品などの糸条と交撚する方法も提案
されている(特開昭52−127899号公報)。さら
にまた、銅粉末を含む樹脂を繊維表面に付着させる方法
も提案されている(特開昭62−162074号公
報)。しかしながら、これらの方法は、前記の銀ゼオラ
イトと同様に製造が煩雑であったり、或いは効果の持続
性に欠けるなどの問題点を有していいる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、プ
ラスチックス材料に高度の抗菌性と防汚性を付与する技
術を提供することを主な目的とする。
【0013】本発明は、さらに、抗菌性に優れたプラス
チックス製品を提供することをも目的とする。
【0014】本発明は、さらにまた、防汚性に優れた水
中用繊維製品を提供することをも目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記のよう
な従来技術の現状に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、置換
メッキの手法により、亜鉛粉末表面に銅および銀の少な
くとも1種を付与した後、プラスチックスに添加混合す
る場合には、プラスチックス材料自体にMRSA菌を含
む各種の病原菌に対する優れた抗菌性ならびに水棲生物
に対する優れた防汚性を付与することできることを見出
した。
【0016】さらに、上記のプラスチックス材料を使用
して得られる各種の製品は、長期にわたり各種の病原菌
に対する優れた抗菌性を発揮することを見出した。
【0017】また、上記のプラスチックス材料を使用し
て得られる水中用繊維製品は、長期にわたり水棲生物に
対し優れた防汚性を発揮することを見出した。
【0018】即ち、本発明は、下記に示す「抗菌性およ
び防汚性に優れたプラスチックス材料、抗菌性に優れた
プラスチックス製品および防汚性に優れた水中用繊維製
品」を提供するものである; 1.銅および銀の少なくとも1種を被覆した亜鉛粉末を
配合したことを特徴とする抗菌性および防汚性に優れた
プラスチックス材料。
【0019】2.上記項1のプラスチックス材料からな
る抗菌性に優れたプラスチックス製品。
【0020】3.上記項1のプラスチックス材料からな
る防汚性に優れた水中用繊維製品。
【0021】本発明においては、亜鉛粉末を銅および/
または銀により被覆した状態で使用することを必須とす
る。銅および/または銀により被覆した亜鉛粉末に代え
て、亜鉛粉末と銅粉末および/または銀粉末とを併用す
る場合には、所望の顕著な効果は得られない。
【0022】以下に本発明において使用する銅および/
または銀により置換された亜鉛粉末の調製方法、プラス
チックス材料の調製方法などについて、詳細に説明す
る。
【0023】I.亜鉛粉末 亜鉛粉末の粒径は、樹脂に混入する際には、できるだけ
微細であることが好ましいが、あまり微細である場合に
は、濾過乃至水洗を行う際の作業性が低下するので、
0.1μm以上とすることが好ましい。一方、亜鉛粉末
が大きすぎる場合には、置換メッキを行う際に、粉末表
面の微小欠陥部で亜鉛が溶解して、銅および/または銀
以外に水素も析出する。その結果、これらの箇所では、
置換メッキ液はアルカリ性を呈するので、銅および/ま
たは銀が析出する際に、その一部は水酸化物として共析
することになり、体積が増加して、粉末は自然に崩壊し
て微細化する。従って、置換メッキ以前の亜鉛粉末の最
大粒径は、8μm程度までは許容される。また、置換メ
ッキ以前の亜鉛粉末の粒径が約8μm以下である場合
に、銅および/または銀で置換メッキした亜鉛粉末をプ
ラスチックス材料に配合したところ、プラスチックス材
料の加工性、機械的強度などに悪影響はほとんどなかっ
た。従って、置換メッキに供する亜鉛粉末の粒径は、
0.1〜8μmの範囲内とする。
【0024】銅により置換された亜鉛粉末におけるCu
/Zn比は、0.2〜2程度とすることが好ましく、
0.4〜1.4程度とすることがより好ましい。Cu/
Zn比が0.2未満であるか或いは2を上回る場合に
は、抗菌効果および防汚効果(水棲生物の付着防止効
果)が十分に達成され難い。
【0025】銀により置換された亜鉛粉末におけるAg
/Zn比は、0.1〜2程度とすることが好ましく、
0.2〜1.1程度とすることがより好ましい。Ag/
Zn比が0.1未満である場合には、抗菌効果および防
汚効果(水棲生物の付着防止効果)が十分に達成され難
い。一方、Ag/Zn比が2を上回っても、抗菌効果お
よび防汚効果のそれ以上の改善は認められないし、また
コスト高となるので、不利である。
【0026】銅および銀により置換された亜鉛粉末にお
ける(Cu+Ag)/Zn比は、0.15〜1.3程度
とすることが好ましく、0.2〜1.0程度とすること
がより好ましい。
【0027】II.銅による置換メッキ 亜鉛粉末を硫酸銅水溶液、ピロ燐酸銅水溶液、シアン化
銅水溶液などと接触させることにより、イオン化傾向の
より大きい亜鉛(標準電位=−0.76Volt)が溶
解し、イオン化傾向のより小さい銅(標準電位=+0.
337Volt)が亜鉛粉末表面に析出して、置換メッ
キが行われる。以下に、代表的な銅置換メッキ浴につい
て詳細に説明するが、これら以外にも、ほうふっ化銅水
溶液、塩化銅水溶液、酢酸銅水溶液などを使用しても良
い。
【0028】a)硫酸銅水溶液による銅置換メッキ法 接触手法としては、亜鉛粉末が硫酸銅水溶液と良好に接
触しうる限り、特に限定されない。例えば、亜鉛粉末を
分散含有している水中に撹拌しつつ硫酸銅水溶液を添加
し、混合する方法;硫酸銅水溶液中に撹拌しつつ亜鉛粉
末を直接添加し、混合する方法;硫酸銅水溶液中に撹拌
しつつ亜鉛粉末を分散含有している水を添加し、混合す
る方法;亜鉛粉末を網目状の袋に入れ、この袋を硫酸銅
水溶液中に浸漬して、袋の中の亜鉛粉末を撹拌する方法
などを採用することができる。
【0029】亜鉛イオンと銅イオンとの間には、上記の
様にイオン化傾向に大きな相違があり、銅イオンは亜鉛
粉末表面に極めて容易に析出するので、硫酸銅水溶液の
濃度、液温度などのメッキ条件には、あまり厳しい制約
はないし、またこれらの条件は、プラスチックス材料の
種類および形態、用途に応じて定められる亜鉛粉末に対
する銅の析出量などに応じて、適宜定めればよい。
【0030】但し、銅イオン濃度があまり高すぎる場合
には、銅が急激に析出して、亜鉛粉末に対する密着性が
低下し、置換析出した銅が剥落して、銅粉末が形成され
たりする。一般に、銅イオン濃度が低い場合には、偏析
(亜鉛粉末の特定部分に銅が偏って析出する現象)が起
こり難く、密着性に優れた銅析出物が得られる傾向があ
る。しかしながら、銅イオン濃度が低すぎる場合には、
多量の硫酸銅水溶液を使用して、長時間置換操作を行う
必要があり、実用上不利となる。この様な点を考慮し
て、硫酸銅水溶液を使用する場合には、銅イオン濃度を
10〜75g/l程度とすることが好ましい。
【0031】硫酸銅水溶液と亜鉛粉末との接触時の温度
(置換温度)は、10〜50℃程度とすることが好まし
い。置換による反応熱により、水溶液の温度が高くなり
すぎる場合には、冷却を行うことが好ましい。
【0032】置換反応は、銅イオン濃度、置換温度など
に応じて、亜鉛粉末表面に所望量の銅が析出するまで、
行えばよい。
【0033】b)ピロりん酸銅水溶液による銅置換メッ
キ法 亜鉛粉末とピロりん酸銅水溶液との接触は、上記a)の
場合と同様にして行えばよい。
【0034】ピロりん酸銅水溶液の組成も特に限定され
るものではないが、例えば、ピロりん酸銅25〜110
g/l、ピロりん酸カリウム93〜450g/lおよび
アンモニア水(比重約0.88)0.2〜15ml/l
で、P比(P27/Cu比)=5〜9のものが挙げられ
る。ピロりん酸銅水溶液としては、新規に調製した液に
代えて、通常のピロりん酸銅メッキ浴における使用済み
廃液を利用することもでき、この場合には、銅置換メッ
キのコストを低下させることができる。
【0035】ピロりん酸銅水溶液と亜鉛粉末との接触時
の温度(置換温度)は、15〜70℃程度とすることが
好ましい。この場合にも、必要ならば、水溶液の冷却を
行うことが好ましい。
【0036】置換反応は、やはり特に限定されるもので
はないが、硫酸銅水溶液を使用する場合に比して、銅の
析出速度がかなり遅いので、より長い時間を必要とす
る。このため、亜鉛粉末を液中にあまり長く浸漬するこ
となく、置換を適宜中止して、乾燥し、銅置換量/亜鉛
の重量比を算出することが好ましい。
【0037】c)シアン化銅水溶液による銅置換メッキ
法 亜鉛粉末とシアン化銅水溶液との接触は、やはり上記
a)の場合と同様にして行えばよい。
【0038】シアン化銅水溶液の組成も特に限定される
ものではないが、例えば、シアン化第一銅15〜120
g/l、シアン化ナトリウム22〜150g/lおよび
水酸化ナトリウム10〜100g/lのものが挙げられ
る。
【0039】シアン化第一銅水溶液と亜鉛粉末との接触
時の温度(置換温度)は、20〜70℃程度とすること
が好ましい。この場合にも、必要ならば、水溶液の冷却
を行うことが好ましい。
【0040】置換反応は、やはり特に限定されるもので
はないが、硫酸銅水溶液を使用する場合に比して、銅の
析出速度がかなり遅いので、やはりより長い時間を必要
とする。このため、亜鉛粉末を液中にあまり長く浸漬す
ることなく、置換を適宜中止して、乾燥し、銅置換量/
亜鉛の重量比を算出することが好ましい。
【0041】III.銀による置換メッキ 亜鉛粉末を硝酸銅水溶液、硝酸銀または硫酸銀とりん酸
アンモニウムとを含む水溶液、硝酸銀または硫酸銀とピ
ロりん酸カリウムまたはピロりん酸ナトリウムとを含む
水溶液、シアン化銀水溶液などと接触させることによ
り、イオン化傾向のより大きい亜鉛が溶解し、イオン化
傾向のより小さい銀が亜鉛粉末表面に析出して、置換が
行われる。以下に、代表的な銀置換メッキ浴について詳
細に説明する。
【0042】a)硝酸銀水溶液による銀置換メッキ法 亜鉛粉末と硝酸銀水溶液との接触は、上記の硫酸銅水溶
液を使用する場合と同様にして行えばよい。
【0043】亜鉛イオンと銀イオンとの間にも、上記の
様にイオン化傾向に大きな相違があり、銀イオンは亜鉛
粉末表面に極めて容易に析出するので、硝酸銀水溶液の
濃度、液温度などのメッキ条件には、あまり厳しい制約
はないし、またこれらの条件は、プラスチックス材料の
種類および形態、用途に応じて定められる亜鉛粉末に対
する銀の析出量などに応じて、適宜定めればよい。
【0044】硝酸銀水溶液を使用する場合には、例え
ば、銀イオン濃度を2〜35g/l程度とすることが好
ましい。
【0045】硝酸銀水溶液と亜鉛粉末との接触時の温度
(置換温度)は、10〜60℃程度とすることが好まし
い。置換による反応熱により、水溶液の温度が高くなり
すぎる場合には、冷却を行うことが好ましい。
【0046】置換反応は、銀イオン濃度、置換温度など
に応じて、亜鉛粉末表面に所望量の銀が析出するまで、
行えばよい。
【0047】b)硝酸銀とりん酸アンモニウムとを含む
水溶液による銀置換メッキ法 亜鉛粉末とこれらの銀水溶液との接触は、上記の硫酸銅
水溶液を使用する場合と同様にして行えばよい。
【0048】この形式の水溶液は、例えば、硝酸銀5〜
50g/l、りん酸アンモニウム15〜120g/lお
よびりん酸ナトリウム70〜500g/lを含み、pH
8.5以上のものである。必要ならば、水溶液のpH調
整は、アンモニア水を添加することにより行う。
【0049】水溶液と亜鉛粉末との接触時の温度(置換
温度)は、20〜95℃程度とすることが好ましい。置
換による反応熱により、水溶液の温度が高くなりすぎる
場合には、冷却を行うことが好ましい。
【0050】置換反応は、銀イオン濃度、置換温度など
に応じて、亜鉛粉末表面に所望量の銀が析出するまで、
行えばよい。
【0051】c)硝酸銀または硫酸銀とピロりん酸カリ
ウムまたはピロりん酸ナトリウムとを含む水溶液による
銀置換メッキ法 亜鉛粉末とこれらの銀水溶液との接触は、上記の硫酸銅
水溶液を使用する場合と同様にして行えばよい。
【0052】この形式の水溶液は、例えば、硝酸銀また
は硫酸銀5〜50g/l、硫酸アンモニウム25〜12
0g/lおよびピロりん酸ナトリウムまたはピロりん酸
カリウム25〜70g/lを含み、pH8.5〜10程
度のものである。必要ならば、水溶液のpH調整は、ア
ンモニア水を添加することにより行う。
【0053】水溶液と亜鉛粉末との接触時の温度(置換
温度)は、20〜50℃程度とすることが好ましい。置
換による反応熱により、水溶液の温度が高くなりすぎる
場合には、冷却を行うことが好ましい。
【0054】置換反応は、銀イオン濃度、置換温度など
に応じて、亜鉛粉末表面に所望量の銀が析出するまで、
適宜の時間行えばよい。
【0055】d)シアン化銀水溶液による銀置換メッキ
法 亜鉛粉末とシアン化銀水溶液との接触は、上記の硫酸銅
水溶液を使用する場合と同様にして行えばよい。
【0056】シアン化銀水溶液は、例えば、シアン化銀
2.5〜60g/l、シアン化カリウム20〜150g
/lを含むものである。
【0057】シアン化銀水溶液と亜鉛粉末との接触時の
温度(置換温度)は、20〜70℃程度とすることが好
ましい。置換による反応熱により、水溶液の温度が高く
なりすぎる場合には、冷却を行うことが好ましい。
【0058】置換反応は、銀イオン濃度、置換温度など
に応じて、亜鉛粉末表面に所望量の銀が析出するまで、
適宜の時間行えばよい。
【0059】IV.銅と銀による同時置換メッキ この場合には、上記の銅置換メッキ浴と銀置換メッキ浴
との混合浴を用いて実施することができる。
【0060】V.銅による置換メッキ後の銀による置換
メッキ 前記の様にして亜鉛粉末表面に形成された銅置換メッキ
には、多くのピット、クラックなどの欠陥があり、また
水酸化物、酸化物なども含まれている。従って、この様
な銅置換亜鉛粉末を上記のような銀水溶液に接触させる
場合には、銀イオンと亜鉛とが直接接触して、さらに銀
も析出する。銀置換メッキに供される銅置換亜鉛粉末に
おいては、Cu/Zn比は、0.2〜1程度であること
が好ましい。また、銅−銀置換亜鉛粉末のAg/Zn比
は、0.1〜0.6程度とすることが好ましい。さら
に、(Cu+Ag)/Zn比は、0.2〜1.0程度で
あることが好ましい。
【0061】VI.プラスチックス材料の調製 本発明が対象とするプラスチックス材料は、溶融乃至流
動状態で銅および/または銀で置換メッキされた亜鉛粉
末を混入しうる限り、特に限定されない。具体的には、
ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビ
ニル、アクリル樹脂などが例示される。
【0062】本発明においては、加熱により溶融乃至流
動状態となったプラスチックスに銅および/または銀置
換メッキを備えた亜鉛粉末を添加し、混合して、所定の
抗菌性乃至防汚性を備えたプラスチックス材料を得る。
銅および/または銀置換メッキを備えた亜鉛粉末の添加
量は、プラスチックス材料の用途に応じて適宜定めるこ
とができ、特に限定されるものではないが、通常プラス
チックス重量の1〜15%程度である。
【0063】なお、上記のプラスチックス材料は、各種
の物性改善のために通常使用されている公知の添加剤を
含んでいても良い。この様な添加剤としては、可塑剤、
酸化防止剤、熱安定剤、顔料、難燃剤、染料などが例示
される。
【0064】本発明によるプラスチックス材料は、成型
品、発泡体、繊維製品(糸条、織物、編み物、不織布、
養殖用漁網、定置網、ロープなど)の任意の形態で使用
可能である。
【0065】
【作用】本発明によるプラスチックス材料が顕著な抗菌
作用および防汚作用を発揮する理由は、未だ十分に解明
されていないが、主としてダニエル電池機構による異種
金属間での腐食現象によるものと推測される。
【0066】則ち、ミュラー ヒントン培地を使用して
培養した大腸菌、緑膿菌、黄色ぶどう球菌および3種の
MRSA菌について、亜鉛、黄銅、亜鉛−銅、亜鉛−白
金、亜鉛−金および硫酸亜鉛による抗菌作用を調べた。
【0067】各試料の抗菌作用については、図1に示す
様に、ミュラー ヒントン培地3上に試料1を配置し、
オリゴジナミー2(菌が全く増殖していない領域で、透
明となる;これに対し、菌が増殖している領域は、不透
明となる)が形成されたか否かを観察し、オリゴジナミ
ー2の幅が2mm以上の場合を抗菌効果ありとした。
【0068】亜鉛は、図1に示す様に、Zn2+イオンと
して溶出が継続している領域ではオリゴジナミー2が形
成されたが、金属の縁では水酸化亜鉛が形成されて、オ
リゴジミナー2が形成されない場合があった。ここに、
亜鉛の腐食に伴う溶解は、以下のように考えられる。
【0069】 アノード反応;Zn→Zn2++2e (1) カソード反応;2H+2e→2Hads→H2 (2) 上記において、抗菌効果は、Zn2+イオンによるものか
或いは2Hads→H2によるものかは、明確ではないが、
以下に示すように、硫酸亜鉛は抗菌作用を殆ど有してい
ないことから、Zn2+イオンの溶出に伴って起こる水素
発生反応が大きく効果に関係しているものと考えられ
る。
【0070】硫酸亜鉛については、ガラス管(内径0.
5cm×外径0.6cm×0.5cm)にその約0.3
gを入れ、ミュラー ヒントン培地を使用して培養した
大腸菌、緑膿菌および黄色ぶどう球菌に対する抗菌作用
を調べたところ、殆ど抗菌作用を示さなかった。
【0071】黄銅は、初期には表面の亜鉛イオンが溶出
して、明確な抗菌効果を示した。しかしながら、同一の
試料を用いて、再度同様の試験を行ったところ、表面か
らの亜鉛イオンの溶出が少なくなっているため、抗菌効
果は極めて低くなっていた。
【0072】また、銅、白金および金を使用した場合に
は、いずれの場合にも、図1において、オリゴジナミー
2は全く形成されなかった。
【0073】次いで、亜鉛−銅、亜鉛−白金および亜鉛
−金を使用して、ダニエル電池方式で抗菌試験を行っ
た。その結果、上記の亜鉛の単独使用の場合に比して、
亜鉛側のオリゴジナミーの幅は、大きくなっており、
銅、白金および金側にも、オリゴジナミーの形成が認め
られた。
【0074】本発明は、上記のような実験結果を基礎と
して、イオン化傾向に大きな差がある亜鉛−銅、亜鉛−
銀および亜鉛−銅−銀という組合せを選択することによ
り、上記のアノード反応(1)およびカソード反応
(2)を効果的に利用して、極めて高度の抗菌効果およ
び防汚効果を達成することに成功したものである。
【0075】
【発明の効果】本発明によるプラスチックス材料は、M
RSA菌を含む各種の病原菌ならびに水棲生物に対し、
長期にわたり優れた抗菌性乃至殺菌性を発揮する。
【0076】また、本発明においては、対象となるプラ
スチックス素材の種類、形態などに対する制限も、ほと
んどない。
【0077】従って、本発明による抗菌性のプラスチッ
クス材料は、現在緊急の課題とされている各種MRSA
菌に対する対策の一つとして、極めて有用である。
【0078】また、本発明によるプラスチックス材料
は、水棲生物の成育を著しく阻害するので、水中用繊維
製品として極めて有用である
【0079】
【実施例】以下に実施例および比較例を示し、本発明の
特徴とするところをより一層明らかにする。
【0080】なお、実施例および比較例における抗菌性
試験および防汚性試験は、以下の様にして行った。
【0081】I.抗菌性試験 I−1.供試菌と培地 大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌および3種のMRSA
菌(MRSA−1、MRSA−2およびMRSA−3)
をそれぞれ37℃で21時間振動培養して、各菌の濃度
を約106cfu/mlに調整した後、内径90mmのシャー
レ内のミュラーヒントン寒天培地15ml(厚さ約4m
m)に接種し、固化させた。
【0082】I−2.試験法 ハロー法(培地上に試料をおいて抗菌性を調べる方法)
を実施した。
【0083】I−3.試料の作成 成型品については、素材樹脂を加熱溶解させ、これに所
定の金属で置換メッキした亜鉛粉末を添加混合し、成型
し、2cm×2cmに切断し、上記の培地の中央部に軽
く密着させ、37℃で24〜48時間培養した。
【0084】繊維の場合には、素材樹脂を加熱溶解さ
せ、これに所定の金属で被覆した亜鉛粉末を添加混合
し、紡糸し、合撚した繊維を長さ約2cmに切断し、上
記の培地の中央部に幅約2cm(7〜9本)に軽く密着
させ、37℃で24〜48時間培養した。
【0085】I−4.抗菌効果の判定 抗菌効果の判定は、図1に示す様に、寒天培地3上の試
料1の周囲にオリゴジナミー2(菌が全く増殖していな
い領域で、透明となる;これに対し、菌が増殖している
領域は、不透明となる)が形成されたか否かにより行な
い、オリゴジナミーの幅が約2mm以上の場合を陽性
(抗菌効果あり)とした。
【0086】II.防汚性試験 素材樹脂を加熱溶解させ、これに所定の金属で被覆した
亜鉛粉末を添加混合し、紡糸し、合撚した繊維を用いて
網目構造を有する網を作成した後、生物成育が盛んな春
〜夏期の海水の水面下約1.5mの位置に設置して、5
カ月後の生物成育(生物付着)状態を調べた。効果の判
定は、下記の5段階評価により、肉眼で行った。
【0087】1…付着なし、2…僅かに付着あり、3…
付着がやや多い、4…付着が多い、5…付着が著しく多
い。
【0088】実施例1 亜鉛粉末(平均粒径5μm)65.4gを分散含有する
水1.2lに硫酸銅(CuSO4・5H2O)の水溶液
(Cu約125g/l)をCu/Zn=約1(重量比)
となるように添加し、液温18〜32℃で12分間撹拌
した後、この液に硫酸水溶液を加え、pHを約2とし、
2分間緩やかに撹拌し、形成された銅置換亜鉛粉末をろ
過し、水洗した。次いで、この銅置換亜鉛粉末を水に投
入し、撹拌下に炭酸ナトリウム水溶液を添加して、pH
を約6.5とした後、再度ろ過し、水洗し、乾燥した。
得られた銅置換亜鉛粉末におけるCu/Zn比は、約1
(重量比)であった。
【0089】上記のようにして得られた銅置換亜鉛粉末
を熱溶融しているポリアミド樹脂に5%の割合で添加
し、混合した後、シート状に射出成型した。
【0090】また、上記と同様な銅置換亜鉛粉末を熱溶
融しているポリアミド樹脂に5%の割合で混合し、マル
チフィラメント(1000d/48f)に紡糸し、20
本に合撚し、合撚単糸3本で網用糸を形成させた後、約
1.5cm×1.5cmの網目構造を持つ繊維網とし
た。
【0091】成型品および繊維網のいずれについても、
オリゴジナミーが形成され、抗菌性効果の発現が確認さ
れた。
【0092】また、繊維網については、防汚性は、2
(僅かに付着あり)であった。
【0093】比較例1 銅置換亜鉛粉末を使用しない以外は実施例1と同様にし
てポリアミド樹脂を用いて成型品および繊維網を製造し
た。
【0094】ハロー法による抗菌性試験においては、成
型品および繊維網のいずれについても、オリゴジナミー
の発現が認められず、抗菌性を有しないことが明らかで
あった。
【0095】また、繊維網については、防汚性は、4
(付着が多い)であった。
【0096】比較例2 亜鉛粉末(平均粒径5μm)そのものを使用する以外は
実施例1と同様にしてポリアミド樹脂を用いて成型品お
よび繊維網を製造した。
【0097】ハロー法による抗菌性試験においては、成
型品および繊維網のいずれについても、オリゴジナミー
の発現が認められず、抗菌性を有しないことが明らかで
あった。
【0098】また、繊維網については、防汚性は、4
(付着が多い)であった。
【0099】比較例3 銅粉末(平均粒径5μm)そのものを使用する以外は実
施例1と同様にしてポリアミド樹脂を用いて成型品およ
び繊維網を製造した。
【0100】ハロー法による抗菌性試験においては、成
型品および繊維網のいずれについても、オリゴジナミー
の発現が認められず、抗菌性を有しないことが明らかで
あった。
【0101】また、繊維網については、防汚性は、4
(付着が多い)であった。
【0102】比較例4 亜鉛粉末と銅粉末の等量混合物を使用する以外は実施例
1と同様にしてポリアミド樹脂を用いて成型品および繊
維網を製造した。
【0103】ハロー法による抗菌性試験においては、成
型品および繊維網のいずれについても、オリゴジナミー
の発現が認められず、抗菌性を有しないことが明らかで
あった。
【0104】また、繊維網については、防汚性は、4
(付着が多い)であった。
【0105】実施例1と本比較例との対比から明らかな
様に、亜鉛粉末と銅粉末とを単に混合しただけでは抗菌
性および防汚性は発揮されず、亜鉛粉末を予め銅により
置換メッキ処理しておくことが必要である。
【0106】実施例2 亜鉛粉末(平均粒径5μm)65.4gを分散含有する
水0.5lにほうふっ化銅(Cu約23g/l)の水溶
液をCu/Zn=約0.55(重量比)となるように添
加し、液温18〜32℃で25分間撹拌した後、得られ
た銅置換亜鉛粉末をろ過し、良く水洗し、再び水中で撹
拌して分散させた。この分散液に硫酸水溶液を加え、p
Hを約2とし、2分間緩やかに撹拌し、形成された銅置
換亜鉛粉末を再びろ過し、水洗した。次いで、この銅置
換亜鉛粉末を水に投入し、撹拌下に炭酸ナトリウム水溶
液を添加して、pHを約6.5とした後、再度ろ過し、
水洗し、乾燥した。得られた銅置換亜鉛粉末のCu/Z
n比は、約0.55(重量比)であった。
【0107】上記のようにして得られた銅置換亜鉛粉末
を熱溶融しているポリアミド樹脂に6%の割合で添加
し、混合した後、シート状に射出成型した。
【0108】また、上記と同様な銅置換亜鉛粉末を熱溶
融しているポリアミド樹脂に6%の割合で混合し、マル
チフィラメント(1000d/48f)に紡糸し、20
本に合撚し、合撚単糸3本で網用糸を形成させた後、約
1.5cm×1.5cmの網目構造を持つ繊維網とし
た。
【0109】成型品および繊維網のいずれについても、
オリゴジナミーが形成され、抗菌性効果の発現が確認さ
れた。
【0110】また、繊維網については、防汚性は、2
(僅かに付着あり)であった。
【0111】実施例3 ピロりん酸銅83g/l(Cu約22g/l)、ピロり
ん酸カリウム300g/lおよびアンモニア水6ml/
lを含む水溶液(pH9)に対し、Cu/Zn=約0.
5(重量比)となる割合で亜鉛粉末(平均粒径5μm)
65.4gを撹拌下に添加し、液温18〜55℃でさら
に60分間撹拌した後、形成された銅置換亜鉛粉末をろ
過し、水洗し、乾燥した。得られた銅置換亜鉛粉末のC
u/Zn比は、約0.5(重量比)であった。
【0112】上記のようにして得られた銅置換亜鉛粉末
を熱溶融しているポリエチレンに5%の割合で添加し、
混合した後、シート状に射出成型した。
【0113】また、上記と同様な銅置換亜鉛粉末を熱溶
融しているポリエチレンに混合し、マルチフィラメント
(1000d/48f)に紡糸し、20本に合撚し、合
撚単糸3本で網用糸を形成させた後、約1.5cm×
1.5cmの網目構造を持つ繊維網とした。
【0114】成型品および繊維網のいずれについても、
オリゴジナミーが形成され、抗菌性効果の発現が確認さ
れた。
【0115】また、繊維網については、防汚性は、2
(僅かに付着あり)であった。
【0116】実施例4 シアン化第一銅80g/l(Cu約56g/l)、シア
ン化ナトリウム100g/l、炭酸カリウム40g/l
および水酸化カリウム10g/lを含む水溶液に、Cu
/Zn=約0.3(重量比)となる割合で、ポリエステ
ル繊維袋に収容した亜鉛粉末(平均粒径5μm)65.
4gを浸漬し、液温40〜50℃でポリエステル繊維袋
内の亜鉛粉末を8分間撹拌した後、形成された銅置換亜
鉛粉末を取り出し、良く水洗し、乾燥した。得られた銅
置換亜鉛粉末のCu/Zn比は、約0.3(重量比)で
あった。
【0117】上記のようにして得られた銅置換亜鉛粉末
を熱溶融しているポリエチレンに6%の割合で添加し、
混合した後、シート状に射出成型した。
【0118】また、上記と同様な銅置換亜鉛粉末を熱溶
融しているポリエチレンに6%の割合で添加し、混合し
た後、マルチフィラメント(1000d/48f)に紡
糸し、これを20本に合撚し、合撚単糸3本で網用糸を
形成させた後、約1.5cm×1.5cmの網目構造を
持つ繊維網とした。
【0119】成型品および繊維網のいずれについても、
オリゴジナミーが形成され、抗菌性効果の発現が確認さ
れた。
【0120】また、繊維網については、防汚性は、2
(僅かに付着あり)であった。
【0121】実施例5 亜鉛粉末(平均粒径5μm)65.4gを分散させた水
0.6lに対し、撹拌下に硝酸銀水溶液(Ag22g/
l)をAg/Zn=約0.4(重量比)となるように添
加し、液温18〜38℃で25分間撹拌した後、銀置換
亜鉛粉末をろ過し、水洗した。次いで、この銀置換亜鉛
粉末を水に入れ、撹拌下に分散させた状態で、硫酸水溶
液を加えてpHを約2とし、さらに2分間緩やかに撹拌
した後、銀置換亜鉛粉末をろ過し、水洗した。次いで、
この銀置換亜鉛粉末を再度水に投入し、撹拌下に炭酸ナ
トリウム水溶液を添加して、pHを約6.5とした後、
再度ろ過し、水洗し、乾燥した。得られた銀被覆亜鉛粉
末のAg/Zn比は、約0.4(重量比)であった。
【0122】上記のようにして得られた銀置換亜鉛粉末
を熱溶融しているポリエステル樹脂に6%の割合で添加
し、混合した後、シート状に射出成型した。
【0123】また、上記と同様な銀置換亜鉛粉末を熱溶
融しているポリエステル樹脂に6%の割合で混合し、マ
ルチフィラメント(1000d/48f)に紡糸し、こ
れを20本に合撚し、合撚単糸3本で網用糸を形成させ
た後、約1.5cm×1.5cmの網目構造を持つ繊維
網とした。
【0124】成型品および繊維網のいずれについても、
オリゴジナミーが形成され、抗菌性効果の発現が確認さ
れた。
【0125】また、繊維網については、防汚性は、2
(僅かに付着あり)であった。
【0126】実施例6 硝酸銀50g/l(Ag32g/l)、りん酸アンモニ
ウム100g/lおよびりん酸ナトリウム500g/l
を含む水溶液(アンモニア水によりpH9に調整)に、
Ag/Zn=約0.3(重量比)となる割合で、亜鉛粉
末(平均粒径5μm)65.4gを添加し、液温18〜
32℃で撹拌することにより、銀置換亜鉛粉末を形成さ
せ、ろ過し、水洗し、乾燥させた。得られた銀置換亜鉛
粉末のAg/Zn比は、約0.3(重量比)であった。
【0127】上記のようにして得られた銀置換亜鉛粉末
を熱溶融しているポリエチレンに6%の割合で添加し、
混合した後、シート状に射出成型した。
【0128】また、上記と同様な銀置換亜鉛粉末を熱溶
融しているポリエチレンに6%の割合で混合し、マルチ
フィラメント(1000d/48f)に紡糸し、これを
20本に合撚し、合撚単糸3本で網用糸を形成させた
後、約1.5cm×1.5cmの網目構造を持つ繊維網
とした。
【0129】成型品および繊維網のいずれについても、
オリゴジナミーが形成され、抗菌性効果の発現が確認さ
れた。
【0130】また、繊維網については、防汚性は、2
(僅かに付着あり)であった。
【0131】実施例7 シアン銀100g/l、シアン化カリウム150g/
l、炭酸カリウム35g/lおよび水酸化カリウム6g
/lを含む水溶液に、Ag/Zn=約0.4(重量比)
となる割合で、亜鉛粉末(平均粒径5μm)65.4g
を撹拌下に液温40〜50℃で混合し、さらに15分間
撹拌した後、形成された銀置換亜鉛粉末を取り出し、良
く水洗し、乾燥した。得られた銀置換亜鉛粉末のAg/
Zn比は、約0.4(重量比)であった。
【0132】上記のようにして得られた銀置換亜鉛粉末
を熱溶融しているポリエステル樹脂に6%の割合で添加
し、混合した後、シート状に射出成型した。
【0133】また、上記と同様な銀置換亜鉛粉末を熱溶
融しているポリエステル樹脂に6%の割合で混合し、マ
ルチフィラメント(1000d/48f)に紡糸し、こ
れを20本に合撚し、合撚単糸3本で網用糸を形成させ
た後、約1.5cm×1.5cmの網目構造を持つ繊維
網とした。
【0134】成型品および繊維網のいずれについても、
オリゴジナミーが形成され、抗菌性効果の発現が確認さ
れた。
【0135】また、繊維網については、防汚性は、2
(僅かに付着あり)であった。
【0136】実施例8 亜鉛粉末(平均粒径5μm)65.4gを分散させた水
1.2lに対し、撹拌下に硫酸銅(CuSO4・5H2
O)75g/lおよび硫酸銀17g/lを含む水溶液を
(Cu+Ag)/Zn=約0.7(重量比)となるよう
に添加し、液温15〜42℃で15分間撹拌した後、銅
−銀置換亜鉛粉末をろ過し、水洗した。次いで、この銅
−銀置換亜鉛粉末を水に入れ、撹拌下に分散させた状態
で、硫酸水溶液を加えてpHを約2とし、さらに2分間
緩やかに撹拌した後、銅−銀被覆亜鉛粉末をろ過し、水
洗した。次いで、この銅−銀被覆亜鉛粉末を再度水に投
入し、撹拌下に炭酸ナトリウム水溶液を添加して、pH
を約6.5とした後、再度ろ過し、水洗し、乾燥した。
得られた銅−銀被覆亜鉛粉末の(Cu+Ag)/Zn比
は、約0.7(重量比)であった。
【0137】上記のようにして得られた銅−銀被覆亜鉛
粉末を熱溶融しているポリアミド樹脂に5%の割合で添
加し、混合した後、シート状に射出成型した。
【0138】また、上記と同様な銅−銀被覆亜鉛粉末を
熱溶融しているポリアミド樹脂に6%の割合で混合し、
マルチフィラメント(1000d/48f)に紡糸し、
これを20本に合撚し、合撚単糸3本で網用糸を形成さ
せた後、約1.5cm×1.5cmの網目構造を持つ繊
維網とした。
【0139】成型品および繊維網のいずれについても、
オリゴジナミーが形成され、抗菌性効果の発現が確認さ
れた。
【0140】また、繊維網については、防汚性は、2
(僅かに付着あり)であった。
【0141】実施例9 亜鉛粉末(平均粒径5μm)65.4gを分散させた水
1lに対し、撹拌下に硫酸銅(CuSO4・5H2O)1
25g/lを含む水溶液をCu/Zn=約1(重量比)
となるように添加し、液温18〜50℃で10分間撹拌
して、銅置換亜鉛粉末を形成させた。次いで、この銅置
換亜鉛粉末を含む液に硫酸水溶液を添加し、pHを2と
して2分間撹拌した後、銅置換亜鉛粉末をろ過し、水洗
した。次いで、得られた銅置換亜鉛粉末を水に入れ、撹
拌下に分散させた状態で、炭酸ナトリウム水溶液を加え
てpHを約6.5としたのち、銅置換亜鉛粉末をろ過
し、水洗し、乾燥した。得られた銅置換亜鉛粉末のCu
/Zn比は、約1(重量比)であった。
【0142】上記のようにして得られた銅置換亜鉛粉末
を熱溶融しているポリエチレンに6%の割合で添加し、
混合した後、マルチフィラメント(1000d/48
f)に紡糸し、得られた糸を用いて布に紡織した(繊
度:200d×250d、密度200×80本)。
【0143】得られた織布については、オリゴジナミー
が形成され、抗菌性効果の発現が確認された。
【0144】また、織布の防汚性は、2(僅かに付着あ
り)であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法により処理された材料の抗菌性を示
す模式図である。 1…抗菌処理した試料 2…オリゴジナミー(菌が発育していない透明部分) 3…不透明部分(菌が発育した結果、不透明となった部
分)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06M 11/42 11/44

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】銅および銀の少なくとも1種を被覆した亜
    鉛粉末を配合したことを特徴とする抗菌性および防汚性
    に優れたプラスチックス材料。
  2. 【請求項2】請求項1のプラスチックス材料からなる抗
    菌性に優れたプラスチックス製品。
  3. 【請求項3】請求項1のプラスチックス材料からなる防
    汚性に優れた水中用繊維製品。
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