JPH07228939A - 塗装焼付硬化性に優れたアルミニウム合金板およびその製造法 - Google Patents
塗装焼付硬化性に優れたアルミニウム合金板およびその製造法Info
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- JPH07228939A JPH07228939A JP1908794A JP1908794A JPH07228939A JP H07228939 A JPH07228939 A JP H07228939A JP 1908794 A JP1908794 A JP 1908794A JP 1908794 A JP1908794 A JP 1908794A JP H07228939 A JPH07228939 A JP H07228939A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 塗装焼付硬化性に優れた、自動車ボディパネ
ル用として好適なアルミニウム合金板およびその製造法
を提供する。 【構成】 本発明は溶体化処理後に特定の条件で熱処理
を施し、アルミニウム中に安定なMg2 Siを形成させ
ることによって、高い塗装焼付効果を付与するものであ
る。また、この熱処理中に生じる降伏強度の増加を抑制
することでさらに塗装焼付硬化量を増加するために、M
gとSiの成分関係とMg2 Si量を限定し、塗装焼付
硬化性に著しく優れたアルミニウム合金板を提供するも
のである。 【効果】 本発明合金は95N/mm2 以上の塗装焼付
硬化量が得られる。したがって、塗装焼付硬化性が要求
される自動車ボディパネル用として好適である。
ル用として好適なアルミニウム合金板およびその製造法
を提供する。 【構成】 本発明は溶体化処理後に特定の条件で熱処理
を施し、アルミニウム中に安定なMg2 Siを形成させ
ることによって、高い塗装焼付効果を付与するものであ
る。また、この熱処理中に生じる降伏強度の増加を抑制
することでさらに塗装焼付硬化量を増加するために、M
gとSiの成分関係とMg2 Si量を限定し、塗装焼付
硬化性に著しく優れたアルミニウム合金板を提供するも
のである。 【効果】 本発明合金は95N/mm2 以上の塗装焼付
硬化量が得られる。したがって、塗装焼付硬化性が要求
される自動車ボディパネル用として好適である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアルミニウム合金板に関
し、特に塗装焼付硬化性に優れ、自動車ボディシート等
に好適なアルミニウム合金板およびその製造法に関す
る。
し、特に塗装焼付硬化性に優れ、自動車ボディシート等
に好適なアルミニウム合金板およびその製造法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年自動車の燃費向上のため車両軽量化
の要望が高まっており、軽量化手段の一つとして自動車
ボディシート等へアルミニウム合金板が使用されてい
る。現在使用されている自動車ボディシート用アルミニ
ウム合金としては、非熱処理型のAl−Mg系合金と、
熱処理型のAl−Mg−Si系とが挙げられる。非熱処
理型のAl−Mg系合金は、熱処理型のAl合金よりや
や成形性が優れているものの、塗装焼付工程による降伏
強度の上昇が得られない。また、現在使用されている熱
処理型Al−Mg−Si系合金6009,6010、6
011等では、省エネの観点から近年主流となっている
180℃以下の温度で30分間足らずの低温短時間焼付
処理では、降伏強度が殆ど上昇しない。
の要望が高まっており、軽量化手段の一つとして自動車
ボディシート等へアルミニウム合金板が使用されてい
る。現在使用されている自動車ボディシート用アルミニ
ウム合金としては、非熱処理型のAl−Mg系合金と、
熱処理型のAl−Mg−Si系とが挙げられる。非熱処
理型のAl−Mg系合金は、熱処理型のAl合金よりや
や成形性が優れているものの、塗装焼付工程による降伏
強度の上昇が得られない。また、現在使用されている熱
処理型Al−Mg−Si系合金6009,6010、6
011等では、省エネの観点から近年主流となっている
180℃以下の温度で30分間足らずの低温短時間焼付
処理では、降伏強度が殆ど上昇しない。
【0003】そのような状況に対して、塗装焼付硬化性
についてはAl−Mg−Si−Cu系合金に熱処理を加
えることによって、低温短時間の焼付処理で降伏強度を
上昇させる方法が開示されている(特公平5−7460
号公報等)。しかし、これらの方法で得られる焼付硬化
量は、50N/mm2 程度とそれほど大きくなく、また
Cuを添加することによって、耐食性も著しく低下す
る。プレス成形−塗装焼付後の自動車ボディパネルには
耐デント性の観点から高い降伏強度が要求されている
が、従来のアルミニウム合金板では、自動車ボディパネ
ルに要求される塗装焼付硬化性が十分に得られていない
のが現状である。
についてはAl−Mg−Si−Cu系合金に熱処理を加
えることによって、低温短時間の焼付処理で降伏強度を
上昇させる方法が開示されている(特公平5−7460
号公報等)。しかし、これらの方法で得られる焼付硬化
量は、50N/mm2 程度とそれほど大きくなく、また
Cuを添加することによって、耐食性も著しく低下す
る。プレス成形−塗装焼付後の自動車ボディパネルには
耐デント性の観点から高い降伏強度が要求されている
が、従来のアルミニウム合金板では、自動車ボディパネ
ルに要求される塗装焼付硬化性が十分に得られていない
のが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、現在50N
/mm2 程度の焼付硬化量しか得られていないという事
情に鑑みて、焼付処理において95N/mm2 以上の著
しい塗装焼付硬化性を有するアルミニウム合金板および
その製造法を提供することを目的とする。
/mm2 程度の焼付硬化量しか得られていないという事
情に鑑みて、焼付処理において95N/mm2 以上の著
しい塗装焼付硬化性を有するアルミニウム合金板および
その製造法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために、Al−Mg−Si系合金におい
て、高い塗装焼付硬化性を得るアルミニウム合金板およ
びその製造方法について鋭意研究した。その結果、高い
塗装焼付効果を付与するには、溶体化処理後に特定の条
件で熱処理を施せばよいことを見いだした。また、この
熱処理中に生じる降伏強度の増加を抑制することで塗装
焼付硬化量をさらに増加するためには、MgとSiの成
分関係とMg2 Si量を限定すればよいことを見いだし
た。
的を達成するために、Al−Mg−Si系合金におい
て、高い塗装焼付硬化性を得るアルミニウム合金板およ
びその製造方法について鋭意研究した。その結果、高い
塗装焼付効果を付与するには、溶体化処理後に特定の条
件で熱処理を施せばよいことを見いだした。また、この
熱処理中に生じる降伏強度の増加を抑制することで塗装
焼付硬化量をさらに増加するためには、MgとSiの成
分関係とMg2 Si量を限定すればよいことを見いだし
た。
【0006】本発明は上記の知見に基づいて得られたも
のであり、Mg:0.5〜1.0mass%、Si:
0.35〜0.6mass%、かつ−0.5<4Mg−
7Si<0.5、必要に応じて1.0mass%以下の
Cu、0.15mass%以下のTi、0.05mas
s%以下のB、0.4mass%以下のMn、0.3m
ass%以下のFe、1.0mass%以下のZnのう
ち1種以上を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物
からなる塗装焼付硬化性に優れたアルミニウム合金板で
ある。
のであり、Mg:0.5〜1.0mass%、Si:
0.35〜0.6mass%、かつ−0.5<4Mg−
7Si<0.5、必要に応じて1.0mass%以下の
Cu、0.15mass%以下のTi、0.05mas
s%以下のB、0.4mass%以下のMn、0.3m
ass%以下のFe、1.0mass%以下のZnのう
ち1種以上を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物
からなる塗装焼付硬化性に優れたアルミニウム合金板で
ある。
【0007】また、上記範囲のMg,Si、必要に応じ
てCu,Ti,B,Mn,Fe,Znのうち1種以上を
含有するアルミニウム合金板を溶体化処理した後、48
時間の経過時間以内において50〜200℃の範囲内で
1〜24時間の熱処理を施し、アルミニウム合金板中に
安定なMg2 Siを形成させることを特徴とする塗装焼
付硬化性に優れたアルミニウム合金板の製造方法も本発
明である。
てCu,Ti,B,Mn,Fe,Znのうち1種以上を
含有するアルミニウム合金板を溶体化処理した後、48
時間の経過時間以内において50〜200℃の範囲内で
1〜24時間の熱処理を施し、アルミニウム合金板中に
安定なMg2 Siを形成させることを特徴とする塗装焼
付硬化性に優れたアルミニウム合金板の製造方法も本発
明である。
【0008】
【作用】以下、本発明について詳細に説明する。まず、
本発明における成分組成の限定理由について説明する。
MgとSi:MgとSiは本発明の必須の基本成分であ
り、安定な化合物Mg 2 Siを形成して、高い塗装焼付
硬化性を得るためにMg2 Si量として0.8〜1.6
mass%に規定するとよい。Mg2 Si量が1.0m
ass%未満では十分な塗装焼付硬化性が得られず、
1.6mass%を超えて含有しても、その効果は増大
せず、むしろ減少するため、Mg2 Siの含有量は好ま
しくは1.2〜1.6mass%の範囲がよい。
本発明における成分組成の限定理由について説明する。
MgとSi:MgとSiは本発明の必須の基本成分であ
り、安定な化合物Mg 2 Siを形成して、高い塗装焼付
硬化性を得るためにMg2 Si量として0.8〜1.6
mass%に規定するとよい。Mg2 Si量が1.0m
ass%未満では十分な塗装焼付硬化性が得られず、
1.6mass%を超えて含有しても、その効果は増大
せず、むしろ減少するため、Mg2 Siの含有量は好ま
しくは1.2〜1.6mass%の範囲がよい。
【0009】MgおよびSiのそれぞれの含有量は、M
gが0.5〜1.0mass%、Siが0.35〜0.
6mass%の範囲とする。MgとSiの含有量の上下
限は、前述したMg2 Si量を得るために規定する。本
発明では、さらにMgとSiの成分関係を特定する。M
gとSiの量的関係において、若干の過剰なSiまたは
Mgの存在によってMg2 Siの析出が促進され、塗装
焼付硬化量が増加するが、過剰Siまたは過剰Mgが増
えすぎると後で述べる溶体化処理後の熱処理時に降伏強
度が大きく上昇し、それにともない塗装焼付硬化量も減
少する。
gが0.5〜1.0mass%、Siが0.35〜0.
6mass%の範囲とする。MgとSiの含有量の上下
限は、前述したMg2 Si量を得るために規定する。本
発明では、さらにMgとSiの成分関係を特定する。M
gとSiの量的関係において、若干の過剰なSiまたは
Mgの存在によってMg2 Siの析出が促進され、塗装
焼付硬化量が増加するが、過剰Siまたは過剰Mgが増
えすぎると後で述べる溶体化処理後の熱処理時に降伏強
度が大きく上昇し、それにともない塗装焼付硬化量も減
少する。
【0010】そこで、MgとSiの成分関係は、−0.
5<4Mg−7Si<0.5(Mg,Siは共に重量m
ass%)の関係式を満足する範囲とする。好ましく
は、−0.2<4Mg−7Si<0.2の範囲がよい。
本発明においては、必要に応じて、Cu,Ti,B,M
n,Fe,Znのうち1種以上を含有させる。
5<4Mg−7Si<0.5(Mg,Siは共に重量m
ass%)の関係式を満足する範囲とする。好ましく
は、−0.2<4Mg−7Si<0.2の範囲がよい。
本発明においては、必要に応じて、Cu,Ti,B,M
n,Fe,Znのうち1種以上を含有させる。
【0011】Cu:Cuは強度および成形性を向上さ
せ、さらに塗装焼付硬化性を向上させるために、1.0
mass%以下で含有させるとよい。その含有量が1.
0mass%を超えると析出が促進され、強度の経時変
化が大きくなるため成形性が劣化し、また、耐食性も劣
化するので1.0mass%を上限とする。
せ、さらに塗装焼付硬化性を向上させるために、1.0
mass%以下で含有させるとよい。その含有量が1.
0mass%を超えると析出が促進され、強度の経時変
化が大きくなるため成形性が劣化し、また、耐食性も劣
化するので1.0mass%を上限とする。
【0012】TiとB:TiとBは微量添加により鋳塊
の結晶粒を微細化して成形性等を改善する効果を有する
ので、Tiの含有量は0.15mass%以下、Bの含
有量は0.05mass%以下の範囲に規定する。それ
ぞれの含有量の上限は、Ti0.15mass%、B
0.05mass%を超えると粗大な晶出物を形成し、
成形性が劣化し、塗装焼付硬化量も低下することから規
定する。
の結晶粒を微細化して成形性等を改善する効果を有する
ので、Tiの含有量は0.15mass%以下、Bの含
有量は0.05mass%以下の範囲に規定する。それ
ぞれの含有量の上限は、Ti0.15mass%、B
0.05mass%を超えると粗大な晶出物を形成し、
成形性が劣化し、塗装焼付硬化量も低下することから規
定する。
【0013】Mn:Mnは強度を向上させるために、
0.4mass%以下で含有させるとよい。その含有量
が0.4mass%を超えると粗大晶出物が生成し、成
形性を低下させるので0.4mass%を上限とする。
Fe:Feは強度向上効果は小さく、その含有量が0.
3mass%を超えると晶出物が生成し、成形性を低下
させるので0.3mass%を上限とする。
0.4mass%以下で含有させるとよい。その含有量
が0.4mass%を超えると粗大晶出物が生成し、成
形性を低下させるので0.4mass%を上限とする。
Fe:Feは強度向上効果は小さく、その含有量が0.
3mass%を超えると晶出物が生成し、成形性を低下
させるので0.3mass%を上限とする。
【0014】Zn:Znは強度を向上させるため、1.
0mass%以下で含有させるとよい。その含有量が
1.0mass%を超えると成形性が劣化し、塗装焼付
硬化量も低下するので、1.0mass%を上限とす
る。上記元素の他、通常のアルミニウム合金と同様、不
可避的不純物が含有されるが、その量は本発明の効果を
損なわない範囲であれば許容される。
0mass%以下で含有させるとよい。その含有量が
1.0mass%を超えると成形性が劣化し、塗装焼付
硬化量も低下するので、1.0mass%を上限とす
る。上記元素の他、通常のアルミニウム合金と同様、不
可避的不純物が含有されるが、その量は本発明の効果を
損なわない範囲であれば許容される。
【0015】次に、本発明の合金板の製造条件について
説明する。上記範囲に成分・組成を規定したアルミニウ
ム合金を常法により冷延板とし、溶体化処理した後、4
8時間の経過時間以内に50〜180℃の温度範囲で1
〜24時間の熱処理を施す。この熱処理を施すことによ
って、塗装焼付時に再固溶しない安定な化合物Mg2 S
iが適量生成される。その結果、降伏強度の経時変化が
抑制され、焼付時の硬化が速やかで焼付硬化量の大きい
合金板が得られる。
説明する。上記範囲に成分・組成を規定したアルミニウ
ム合金を常法により冷延板とし、溶体化処理した後、4
8時間の経過時間以内に50〜180℃の温度範囲で1
〜24時間の熱処理を施す。この熱処理を施すことによ
って、塗装焼付時に再固溶しない安定な化合物Mg2 S
iが適量生成される。その結果、降伏強度の経時変化が
抑制され、焼付時の硬化が速やかで焼付硬化量の大きい
合金板が得られる。
【0016】溶体化処理後に48時間以上室温に放置し
ておくと室温放置中に生成した析出物が熱処理時に再固
溶するため、その後の経時変化による降伏強度の上昇が
大きく、高い塗装焼付硬化量が得られない。そこで、熱
処理は溶体化後、48時間以内とする。できれば、24
時間以内が好ましい。また、熱処理温度が50℃未満で
は、塗装焼付時に再固溶しない安定な析出物が生成され
ないため、塗装焼付後の降伏強度が上昇しない。一方、
熱処理温度が180℃超では、析出物Mg2 Siが粗大
化して、熱処理後の降伏強度が大きくなるため、焼付に
よって降伏強度が上昇しない。そこで熱処理温度は、5
0〜180℃の範囲内とする。好ましくは、100〜1
50℃の範囲がよい。
ておくと室温放置中に生成した析出物が熱処理時に再固
溶するため、その後の経時変化による降伏強度の上昇が
大きく、高い塗装焼付硬化量が得られない。そこで、熱
処理は溶体化後、48時間以内とする。できれば、24
時間以内が好ましい。また、熱処理温度が50℃未満で
は、塗装焼付時に再固溶しない安定な析出物が生成され
ないため、塗装焼付後の降伏強度が上昇しない。一方、
熱処理温度が180℃超では、析出物Mg2 Siが粗大
化して、熱処理後の降伏強度が大きくなるため、焼付に
よって降伏強度が上昇しない。そこで熱処理温度は、5
0〜180℃の範囲内とする。好ましくは、100〜1
50℃の範囲がよい。
【0017】熱処理の時間は1時間未満では、安定な析
出物が生成されず、焼付時に再固溶するため、降伏強度
が上昇しない。また、析出量が少ないため、熱処理後に
経時変化して、塗装焼付硬化量が低下する。一方、24
時間を超えると、析出量の増加によって低下し、降伏強
度は上昇しない。そこで、熱処理時間は、1〜24時間
の範囲内とする。好ましくは3〜18時間の範囲がよ
い。
出物が生成されず、焼付時に再固溶するため、降伏強度
が上昇しない。また、析出量が少ないため、熱処理後に
経時変化して、塗装焼付硬化量が低下する。一方、24
時間を超えると、析出量の増加によって低下し、降伏強
度は上昇しない。そこで、熱処理時間は、1〜24時間
の範囲内とする。好ましくは3〜18時間の範囲がよ
い。
【0018】
【実施例】以下、この発明を実施例で説明する。 実施例1 表1に示すような成分組成を有するアルミニウム合金を
通常の方法で、溶解、鋳造、圧延して板厚1mmの板に
した後に、550℃で10秒保持の溶体化処理後、室温
まで空冷し、溶体化処理後1時間以内に100℃で12
時間保持する熱処理を施した。その後、室温に30日放
置した後にアルミニウム合金板の機械的性質および塗装
焼付処理に相当する175℃で30分保持処理後の降伏
強度を調査した。それらの調査結果を表3に示す。
通常の方法で、溶解、鋳造、圧延して板厚1mmの板に
した後に、550℃で10秒保持の溶体化処理後、室温
まで空冷し、溶体化処理後1時間以内に100℃で12
時間保持する熱処理を施した。その後、室温に30日放
置した後にアルミニウム合金板の機械的性質および塗装
焼付処理に相当する175℃で30分保持処理後の降伏
強度を調査した。それらの調査結果を表3に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】表2から明らかなように本発明のアルミニ
ウム合金板No.1〜No.14は、塗装焼付硬化量が
95N/mm2 以上で大きいことがわかる。つまり、本
発明の合金板は塗装焼付硬化性を兼ね備えたバランスの
よい材料である。特にMg2Si量が1.2〜1.6m
ass%で、−0.2<4Mg−7Si<0.2の関係
式を満足している本発明例No.1,2,5,12は、
焼付硬化量が大きい。
ウム合金板No.1〜No.14は、塗装焼付硬化量が
95N/mm2 以上で大きいことがわかる。つまり、本
発明の合金板は塗装焼付硬化性を兼ね備えたバランスの
よい材料である。特にMg2Si量が1.2〜1.6m
ass%で、−0.2<4Mg−7Si<0.2の関係
式を満足している本発明例No.1,2,5,12は、
焼付硬化量が大きい。
【0022】実施例2 実施例1の表1に示した本発明のアルミニウム合金板N
o.2を、500℃で10秒保持の溶体化処理後、空冷
し、表3に示すような条件で、溶体化処理後から熱処理
までの時間を変化させ、種々の条件の熱処理を施した。
そして、熱処理後の機械的性質を調査するとともに、室
温で30日放置した後の機械的性質と、さらに、175
℃で30分処理後の降伏強度を調査した。表3から明ら
かなように、本発明による合金板A〜Hは、比較例I〜
Pに比べて塗装焼付硬化量が大きいことがわかる。ま
た、溶体化処理後24時間以内に100〜150℃の範
囲内の熱処理温度で、3〜18時間の熱処理を施した本
発明例A,B,Gは、特に塗装焼付硬化量が大きい。こ
のような本発明の特性は、溶体化処理後から熱処理まで
の時間と、熱処理の温度と時間が適正にあるため、化合
物Mg2 Siが安定化されていて、かつ生成量も適当で
あることによって得られる。
o.2を、500℃で10秒保持の溶体化処理後、空冷
し、表3に示すような条件で、溶体化処理後から熱処理
までの時間を変化させ、種々の条件の熱処理を施した。
そして、熱処理後の機械的性質を調査するとともに、室
温で30日放置した後の機械的性質と、さらに、175
℃で30分処理後の降伏強度を調査した。表3から明ら
かなように、本発明による合金板A〜Hは、比較例I〜
Pに比べて塗装焼付硬化量が大きいことがわかる。ま
た、溶体化処理後24時間以内に100〜150℃の範
囲内の熱処理温度で、3〜18時間の熱処理を施した本
発明例A,B,Gは、特に塗装焼付硬化量が大きい。こ
のような本発明の特性は、溶体化処理後から熱処理まで
の時間と、熱処理の温度と時間が適正にあるため、化合
物Mg2 Siが安定化されていて、かつ生成量も適当で
あることによって得られる。
【0023】
【表3】
【0024】
【発明の効果】この発明によれば、従来のアルミニウム
合金板よりも塗装焼付硬化性が格段に優れており、焼付
後の耐デント性が必要とされる自動車ボディパネル用等
として好適なアルミニウム合金板およびその製造法が提
供される。
合金板よりも塗装焼付硬化性が格段に優れており、焼付
後の耐デント性が必要とされる自動車ボディパネル用等
として好適なアルミニウム合金板およびその製造法が提
供される。
Claims (4)
- 【請求項1】 Mg:0.5〜1.0mass%、S
i:0.35〜0.6mass%、かつ−0.5<4M
g−7Si<0.5、残部がAlおよび不可避的不純物
からなる塗装焼付硬化性に優れたアルミニウム合金板。 - 【請求項2】 請求項1記載のアルミニウム合金板に、
さらに1.0mass%以下のCu、0.15mass
%以下のTi、0.05mass%以下のB、0.4m
ass%以下のMn、0.3mass%以下のFe、
1.0mass%以下のZnのうち1種以上を含有する
ことを特徴とする塗装焼付硬化性に優れたアルミニウム
合金板。 - 【請求項3】 Mg:0.5〜1.0mass%、S
i:0.35〜0.6mass%、かつ−0.5<4M
g−7Si<0.5、残部がAlおよび不可避的不純物
からなるアルミニウム合金板を、溶体化処理した後、4
8時間の経過時間以内において50〜180℃の温度範
囲で1〜24時間の熱処理を施し、アルミニウム合金板
中に安定なMg2 Siを形成させることを特徴とする塗
装焼付硬化性に優れたアルミニウム合金板の製造法。 - 【請求項4】 Mg:0.5〜1.0mass%、S
i:0.35〜0.6mass%、かつ−0.5<4M
g−7Si<0.5、残部がAlおよび不可避的不純物
からなるアルミニウム合金板に、さらに1.0mass
%以下のCu、0.15mass%以下のTi、0.0
5mass%以下のB、0.4mass%以下のMn、
0.3mass%以下のFe、1.0mass%以下の
Znのうち1種以上を含有する請求項3記載の処理をす
ることを特徴とする塗装焼付硬化性に優れたアルミニウ
ム合金板の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1908794A JPH07228939A (ja) | 1994-02-16 | 1994-02-16 | 塗装焼付硬化性に優れたアルミニウム合金板およびその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1908794A JPH07228939A (ja) | 1994-02-16 | 1994-02-16 | 塗装焼付硬化性に優れたアルミニウム合金板およびその製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07228939A true JPH07228939A (ja) | 1995-08-29 |
Family
ID=11989681
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1908794A Withdrawn JPH07228939A (ja) | 1994-02-16 | 1994-02-16 | 塗装焼付硬化性に優れたアルミニウム合金板およびその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07228939A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009007617A (ja) * | 2007-06-27 | 2009-01-15 | Kobe Steel Ltd | 温間成形用アルミニウム合金板およびその製造方法 |
CN108660345A (zh) * | 2018-05-18 | 2018-10-16 | 江苏江南创佳型材有限公司 | 一种低维氏硬度的铝合金型材及其制备方法 |
CN115011848A (zh) * | 2022-05-11 | 2022-09-06 | 北京理工大学 | 一种高纯铝合金导线及其制备方法 |
-
1994
- 1994-02-16 JP JP1908794A patent/JPH07228939A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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