JPH07228796A - カーボンブラックとその製法及び用途 - Google Patents

カーボンブラックとその製法及び用途

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JPH07228796A
JPH07228796A JP2405794A JP2405794A JPH07228796A JP H07228796 A JPH07228796 A JP H07228796A JP 2405794 A JP2405794 A JP 2405794A JP 2405794 A JP2405794 A JP 2405794A JP H07228796 A JPH07228796 A JP H07228796A
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black
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Susumu Mizutani
晋 水谷
Yoshiki Ishizuka
芳己 石塚
Kazuyoshi Tsuruta
和義 鶴田
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Denki Kagaku Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 導電性付与能力の大なカーボンブラック及び
柔軟性と加工性を損なわせることなく導電性を著しく高
めたコンパウンド。 【構成】 BET比表面積が90〜20m2/g、シーラ
法で測定される黒鉛結晶層の厚み(Lc)が19〜25
Åであることを特徴とするカーボンブラックであり、竪
型熱分解炉の頭頂部に設けられたアセチレンガス供給口
から、アセチレンガスに必要に応じて不活性ガス、水素
ガス、不飽和炭化水素が混合されてなる原料を供給する
と共に、該原料の熱分解領域部に設けられた下方へ向か
って噴射する上部冷却ガス送入用スリット管と更にその
下部に設けられた上方へ向かって噴射する下部冷却ガス
送入用スリット管とから、アセチレンガス1モル対して
合計0.8〜1.1モルの水素ガスを互いに衝突するよ
うに送入し、原料の熱分解領域を部分的に冷却しながら
熱分解させる。樹脂及び/又はゴムにカーボンブラック
を含有させた導電性組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹脂・ゴム・塗料等に
優れた導電性を付与することができるカーボンブラック
とその製法及びこのカーボンブラックを樹脂及び/又は
ゴムに含有させてなる導電性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】アセチレンブラックは、高吸液性能を有
するのでマンガン乾電池用電解液吸収剤に用いられてい
る。また、アセチレンブラックはファーネスブラックに
比べて金属不純物が少ない、グリット分が少ないという
特徴があるので高純度が必要となる導電性コンパウンド
分野、例えば電子材料部品、CVケーブルの内部半導電
層用等の分野で使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、アセチレンブ
ラック等のカーボンブラックを樹脂及び/又はゴムに配
合してそのコンパウンドの導電性を高める場合、アセチ
レンブラックはファーネスブラックよりも体積固有抵抗
が大きいので目標の導電性を付与するには多くの充填量
を必要としていた。また、アセチレンブラックはその発
達した鎖状構造によりコンパウンドの粘度を増大させ柔
軟性や混練時の作業性を大きく損なわせる問題があっ
た。
【0004】アセチレンブラックの導電性付与能力を向
上させる方法として、アセチレンガスを600℃に予熱
された空気で不完全燃焼させて得られた平均粒子径25
0〜300Åのアセチレンブラック(特公昭62-32227号
公報)や、アセチレンガスを酸素含有気体と水蒸気の混
合ガス流で不完全燃焼させて得られた比表面積130〜
400m2 /gのアセチレンブラック(特公平 4-71109
号公報)がある。これらのアセチレンブラックの比表面
積は100m2 /g以上と高いので、それを用いて製造
されたコンパウンドの体積固有抵抗は一般のアセチレン
ブラックを用いた場合に比べて向上するが、コンパウン
ドの粘度が飛躍的に増大してしまい柔軟性と混練時の作
業性を大きく損なわせていた。
【0005】一般に高導電性ファーネスブラックと呼ば
れるものは、比表面積が少なくとも200m2 /gであ
るのでコンパウンドとした場合にはその柔軟性を損ねて
しまっていた。また、導電性ファーネスブラックの中に
は比表面積100m2 /g未満のものもあるが、これら
のカーボンブラックの導電性付与能力はアセチレンブラ
ックよりも高いが充分ではなかった。また、ファーネス
ブラックは原料油の不完全燃焼により得られるものであ
るので、原料油の不純物やグリットが混入し適用分野は
アセチレンブラックよりも限られていた。
【0006】本発明は、上記問題を解消したものであ
り、導電性付与能力の大なるカーボンブラックとその製
法及びそのカーボンブラックを含有させてなる導電性組
成物を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、B
ET比表面積が90〜20m2/g、シーラ法で測定され
る黒鉛結晶層の厚み(Lc)が19〜25Åであること
を特徴とするカーボンブラック、竪型熱分解炉の頭頂部
に設けられたアセチレンガス供給口1から、アセチレン
ガスに必要に応じて不活性ガス、水素ガス、不飽和炭化
水素が混合されてなる原料を供給すると共に、該原料の
熱分解領域部に設けられた下方へ向かって噴射する上部
冷却ガス送入用スリット管2と該スリット管2の更に下
部に設けられた上方へ向かって噴射する下部冷却ガス送
入用スリット管3とから、アセチレンガス1モル対して
合計0.8〜1.1モルの水素ガスを互いに衝突するよ
うに送入し、原料の熱分解領域を部分的に冷却しながら
熱分解させることを特徴とするカーボンブラックの製造
方法、及び樹脂及び/又はゴムに上記カーボンブラック
を含有させてなることを特徴とする導電性組成物であ
る。
【0008】以下、更に詳しく本発明を説明する。
【0009】本発明のカーボンブラックは、その黒鉛結
晶層を小さくすることによって導電性付与能力を高めた
ものである。カーボンブラックの黒鉛結晶層と導電性付
与能力には深い関係があり、コンパウンドの導電機構
は、カーボンブラックの黒鉛結晶層のπ電子が離れた粒
子間を移動することにより行われる。
【0010】アセチレンブラックには黒鉛結晶層が大き
いという特徴がある。一般的には、黒鉛結晶層が大きい
ほど導電性付与能力は高まるといわれていたが、必ずし
も正確ではなく、黒鉛結晶層の大きいカーボンブラック
に電流を流すとπ電子は粒子内に補足されて粒子間の移
動が行われ難くなり、事実、黒鉛結晶層の大きいアセチ
レンブラックよりも黒鉛結晶層の小さいファーネスブラ
ックでも優れた導電性を示すものが存在していたことか
らも明らかである。
【0011】カーボンブラックの比表面積が高いほどコ
ンパウンドへの導電性付与能力は高くなるが、この場
合、コンパウンドの粘度が飛躍的に増大してしまい柔軟
性や混練時の作業性を大きく損なわせるので、その問題
をなくして高導電性付与能力を有するカーボンブラック
とするには、低い比表面積でしかも黒鉛結晶層の厚み
(Lc)を小さくする必要がある。
【0012】そこで、種々検討の結果、本発明ではBE
T比表面積が90〜20m2 /g、シ−ラ法で測定され
る黒鉛結晶層の厚み(Lc)が19〜25Åのカーボン
ブラックとしたものである。従来の導電性ファーネスブ
ラックはLcが全て18Å以下と黒鉛結晶層の厚みが小
さいために低い比表面積のものでは導電性付与能力が著
しく小さかった。また、導電性ファーネスブラックやサ
ーマルブラックを高温加熱処理して黒鉛結晶層を向上さ
せる方法はあるが、このような手段ではLcは直ちに3
0Å以上となり、本発明が目的とするLcの範囲になる
ことは決してなかった。
【0013】本発明において、カーボンブラックのLc
が25Åをこえると粒子間のπ電子の移動がうまく行わ
れず、また19Å未満の場合にはカーボンブラック粒子
の抵抗が高くなり、いずれの場合においても導電性付与
能力が低下する。なお、本発明における黒鉛結晶層の厚
み(Lc)は後記のシーラ法で測定された値である。一
方、カーボンブラックの比表面積が90m2 /gをこえ
るとコンパウンドの粘度が増大して柔軟性や作業性を大
きく損なわせる。比表面積の下限を20m2 /gとした
のは製造面からの理由であり、そのようなものはアセチ
レンガスの分解反応を持続させることが困難となるまで
に熱分解温度を極端に低下させないと製造することがで
きず、このようなことは現実的に不可能である。
【0014】本発明のカーボンブラックは、例えば以下
のようにして製造することができる。すなわち、アセチ
レンブラックの生成過程は、第一段階として粒子核の形
成、第二段階として粒子核衝突による鎖状構造の形成、
第三段階として結晶層の形成に分けられる。アセチレン
ブラックは、アセチレンガスの分解温度が高いために黒
鉛結晶層が著しく発達する。アセチレンガスの全体の分
解温度を低下させるとアセチレンブラックの黒鉛結晶層
の低下と共に極端な比表面積の低下を招き、更には分解
反応を持続させることが困難となってくる。アセチレン
ブラックの分解反応を維持したまま黒鉛結晶層を低下さ
せるためには第三段階の反応が行われる部分のみの温度
を低下させる必要がある。
【0015】アセチレンガスの分解温度を制御する方法
として、特公昭57−29498号公報がある。この方
法は、熱分解領域に冷却ガスを供給することにより、炉
内温度を1900〜2400℃に制御されて高構造のア
セチレンブラックが製造されるものである。特公昭57
−29498号公報の方法は、アセチレンガスの分解温
度を均一に低下させるのが目的であって、この方法を用
いて黒鉛結晶層を小さくするためには多量のガスを送入
する必要があり、全体の反応温度が低下することになる
のでアセチレンブラックの極端な低比表面積化や未分解
化を招き、本発明が目的としているカーボンブラックを
製造することができない。
【0016】本発明者らは、アセチレンガスの熱分解に
おける冷却ガスの送入方法について更に検討を重ねた結
果、冷却ガスを熱分解領域に上部と下部の2カ所からし
かも下部からは上方へ、上部からは下方へと流れるよう
に送入することによってそれらを互に衝突させ、冷却ガ
スを分散させることなく熱分解領域の一部分を効率的に
冷却すれば、本発明のカーボンブラックが製造されるこ
とを見いだしたものである。また、この場合において、
アセチレンガス供給口から600mm程度離れた付近を
部分的に冷却することによって極端な比表面積の低下を
招くことなくアセチレンブラックの黒鉛結晶層を小さく
できることを見いだしたものである。
【0017】本発明で使用される冷却ガスは、窒素、ア
ルゴン等の不活性ガスでも効果があるが、熱分解炉中の
高温水素雰囲気を効率的に冷却するには水素ガスが最適
である。冷却ガスの送入位置は熱分解領域であるが、具
体的にはアセチレンガス供給口1から450〜550m
m離れた位置と、700〜800mm離れた位置である
ことが望ましい。この場合において、上部冷却ガス送入
用スリット管2の送入口は下方に向かって40〜50度
特に45度程度の傾斜がつけられ、また下部冷却ガス送
入用スリット管3の送入口は上方に向かって40〜50
度特に45度程度の傾斜がつけられている。この角度以
外では、上部と下部の冷却ガスが充分に衝突しないので
部分的な冷却を効率的に行うことができない。また、上
部と下部の冷却ガスの送入位置を上記以外の範囲に設け
ても同様である。
【0018】冷却ガスの送入量は、上部送入量と下部送
入量を合わせてアセチレンガス1モルに対して0.8〜
1.1モルとするのが適当である。全体の冷却ガス送入
量が少ない場合には黒鉛結晶層の低下が充分でなく、ま
た全体の冷却ガス送入量が多い場合には黒鉛結晶層が低
下しすぎてしまい導電性付与能力が低下する。上部冷却
ガスと下部冷却ガスの送入量の割合については、上部冷
却ガス:下部冷却ガス=0.9:1.1〜1.1:0.
9とするのが好ましく、この比率が大幅に外れると冷却
ガスの衝突効果が薄れ熱分解領域全体の温度低下を招
く。
【0019】アセチレンブラックの比表面積は、上部冷
却ガスと下部冷却ガスの水素ガス送入量により若干の調
整を行うことができるが、反応温度制御用の窒素、アル
ゴン等の不活性ガスや水素ガスをアセチレンガスに混合
して行うことが好ましい。また、アセチレンガスにはベ
ンゼン、エチレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素を混
合することもできる。
【0020】本発明のカーボンブラックを樹脂及び/又
はゴムに配合することによって本発明の導電性組成物が
得られる。本発明のカーボンブラックは、比表面積が低
く導電性付与能力に優れているので多量の充填が可能と
なり、コンパウンドの柔軟性と作業性を損なわせない高
導電性組成物となる。比表面積の高い導電性ファーネス
ブラックでは導電性付与能力に優れるがコンパウンドの
粘度が増大して高配合が困難となり、また比表面積の低
い導電性ファーネスブラックやアセチレンブラックでは
高充填を行ってもコンパウンドの導電性はそれほど向上
しない。
【0021】本発明のカーボンブラックの配合割合は、
目標とする導電性付与によって様々であるが、樹脂及び
/又はゴム100重量部に対し5〜100重量部が一般
的である。5重量部未満ではコンパウンドの抵抗値にバ
ラツキが生じやすくなり、また100重量部をこえると
コンパウンドの柔軟性と作業性が損なわれる。
【0022】本発明の導電性組成物は、ケーブル半導電
体、導電ゴム、面状発熱体、導電接着剤、導電塗料用バ
インダー、静電防止用シート等に適用することができ
る。
【0023】本発明で用いられる樹脂としては、ビスフ
ェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポ
キシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹
脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルア
ミン型エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂などのエ
ポキシ樹脂、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズオキ
サゾール、ポリベンズチアゾール、ポリオキサジアゾー
ル、ポリピラゾール、ポリキノキサリン、ポリキナゾリ
ンジオン、ポリベンズオキサジノン、ポリインドロン、
ポリキナゾロン、ポリインドキシル、シリコン樹脂、シ
リコン−エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹
脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル、ポリアミノビス
マレイミド、ジアリルフタレート樹脂、フッ素樹脂、T
PX樹脂(メチルペンテンポリマー「三井石油化学社製
商品名」)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエー
テルイミド、66−ナイロン及びMXD−ナイロン、ア
モルファスナイロン等のポリアミド、ポリブチレンテレ
フタレート及びポリエチレンテレフタレート等のポリエ
ステル、ポリフェニレンスルフィド、変性ポリフェニレ
ンエーテル、ポリアリレート、全芳香族ポリエステル、
ポリスルホン、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケ
トン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、マレ
イミド変性樹脂、ABS樹脂、AAS(アクリロニトリ
ル・アクリルゴム・スチレン)樹脂、AES(アクリロ
ニトリル−エチレン・プロピレン・ジエンゴム−スチレ
ン)樹脂等である。
【0024】本発明で用いられるゴムとしては、天然ゴ
ム、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレンプロピレンゴ
ム、シリコーンゴム、ポリエステルエラストマー、ポリ
ブタジエン等のゴムである。
【0025】本発明の導電性組成物には、更に必要に応
じて、ベンゾグアナミン、2,4−ジヒドラジノ−6−
メチルアミノ−S−トリアジン、2−メチルイミダゾー
ル、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノ
エチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミ
ダゾール誘導体、弗化ホウ素の各種アミン錯体、トリス
ジメチルアミノメチルフェノール、1,8−ジアザ・ビ
シクロ(5,4,0)−ウンデセン−7,ベンジルジメ
チルアミン等の第3級アミン化合物、ジシアンジアミ
ド、ビスフェノール型エポキシ樹脂もしくはクレゾール
ノボラック型エポキシ樹脂とアンモニアとの反応により
得られるアミノアルコール化合物、アジピン酸ヒドラジ
ド等の含窒素硬化(促進)剤、フェノールノボラック、
クレゾールノボラック等のフェノール系硬化剤、無水テ
トラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水
メチルヘキサヒドロフタル酸等の酸無水物系硬化剤、ト
リフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィ
ン、メチルジフェニルホスフィン、トリトリルホスフィ
ン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、ビ
ス(ジフェニルホスフィノ)メタン等の有機ホスフィン
系硬化(促進)剤を含有させることもできる。
【0026】更に、本発明の導電性組成物には、必要に
応じて、触媒、滑剤・離型剤、安定剤、光安定剤、着色
剤、難燃剤、カップリング剤等を含有させることもでき
る。
【0027】触媒としては、ビス−(トリブチル錫)オ
キシド、ジオクテン酸錫、オクタン酸アンチモン、酪酸
錫、一酸化鉛、硫化鉛、炭酸鉛等の硬化触媒、白金化合
物等の重合触媒、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペ
ルオキシド等の加硫剤が用いられる。
【0028】滑剤・離型剤としては、カルナバワック
ス、モンタナワックス、ポリエステルオリゴマー、シリ
コン油、低分子量ポリエチレン、パラフィン、直鎖脂肪
酸の金属塩、酸アミド、エステル等が用いられる。
【0029】安定剤としては、2,6−ジ−t−ブチル
−4−メチルフェノール、1,3,5−トリス(2−メ
チル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブ
タン、ジステアリルチオジプロピオネート、トリノニル
フェニルホスファイト、トリデシルホスファイト等が用
いられる。
【0030】光安定剤としては、2,2′−ジヒドロキ
シ−4−メトキシベンゾフェノン、2(2′−ヒドロキ
シ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−t
−ブチルフェニルサリチレート、エチル−2−シアノ−
3,3−ジフェニルアクリレート等が用いられる。
【0031】着色剤としては、ベンガラ、カーボンブラ
ック等が用いられる。
【0032】難燃剤としては、三酸化アンチモン、四酸
化アンチモン、トリフェニルスチビン、水和アルミナ、
フェロセン、ホスファゼン、ヘキサブロモベンゼン、テ
トラブロモフタル酸無水物、トリクレジルホスフェー
ト、テトラブロモビスフェノールA、臭素化エポキシ誘
導体等が用いられる。
【0033】カップリング剤としては、ビニルトリメト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−
β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキ
シシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、
イソプロピルトリインステアロイルチタネート、ジクミ
ルフェニルオキシアセテートチタネート、ビス(ジオク
チルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネー
ト、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネ
ート等のチタン系カップリング剤、アセトアルコキシア
ルミニウムジイソプロピレート等のアルミ系カップリン
グ剤等が用いられる。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例と比較例をあげて更に
詳しく説明する。なお、カーボンブラックの物性は以下
に準じて測定した。 (1)比表面積(m2 /g):窒素吸着によるBET1
点法 (2)黒鉛結晶層の厚み(Lc)(Å):Cu−Kα線
を用いたX線回折法における(002)回折線より、次
に示すシ−ラの公式に従って計算した。 Lc=(180・K・λ)/(π・β・COS θ) K:形状因子(0.9を用いた) λ:X線の波長(1.54Å) θ:(002)回折線吸収バンドにおける極大値を示す
角度 β:(002)回折線吸収バンドにおける半価幅を角度
で示したもの
【0035】(3)コンパウンドの作製方法:アセチレ
ンブラック30重量部とEVA樹脂(日本ユニカ社)製
商品名「NUC−3145」)100重量部とを内容積
60ミリリットルの混練試験機(東洋精機製作所製商品
名「ラボプラストグラフR−60」)でブレード回転数
60rpm、温度120℃で10分間混練した。この混
練物を180℃の加熱下にてブレス成形し、厚さ2mm
の供試体を作製した。
【0036】(4)体積固有抵抗(Ω−cm):供試体
を2×20×70mmの直方体に切断し、電気抵抗をデ
ジタルマルチメーター(タケダ理研社製商品名「TR−
6856」)により測定した。 (5)メルトフローインデックス(g/10分):供試
体を2×5×5mmの大きさに切断し、メルトフローイ
ンデクサー(タカラ工業社製商品名「メルトインデクサ
ー」)で200℃の加熱下、5kgの加重下にて内径2
mmのノズルから流れる10分間当たりのコンパウンド
重量を測定した。
【0037】実施例1 使用したアセチレンガスの熱分解炉は、全長4.4m、
内径0.4mの竪型炉であり、ケーシング5の内面を耐
火煉瓦4で内張りされたものである。この熱分解炉の頭
頂部にアセチレン供給口1として、内径23mmのスリ
ット管を設け、アセチレン供給口1から450mm離れ
た位置に、下方へ向かって45度の傾斜をつけた内径1
7mmの冷却ガス送入用スリット管2を2本設置し、更
にアセチレン供給口1から750mm離れた位置に、上
方へ向かって45度の傾斜をつけた内径17mmの冷却
ガス送入用スリット管3を2本設置した。
【0038】熱分解炉のアセチレン供給口1からアセチ
レンガスを22m3 /h供給してアセチレンガスの熱分
解を開始させ、上部冷却ガス送入用スリット管2と下部
冷却ガス送入用スリット管3のそれぞれから水素ガスを
12m3 /h送入しながら熱分解を継続させ、生成した
カーボンブラックを常法に従って捕集した。そのカーボ
ンブラックの物性を表1に示す。
【0039】実施例2 上部冷却ガス送入用スリット管2と下部冷却ガス送入用
スリット管3のそれぞれから水素ガスを9m3 /h送入
したこと以外は、実施例1と同様にしてカーボンブラッ
クを製造した。
【0040】実施例3 アセチレンガス22m3 /hに水素ガス13m3 /hを
混合したこと以外は、実施例1と同様にしてカーボンブ
ラックを製造した。
【0041】実施例4 アセチレンガス22m3 /hにベンゼン2リットル/h
を混合したこと以外は、実施例1と同様にしてカーボン
ブラックを製造した。
【0042】比較例1 上部冷却ガス送入用スリット管2をアセチレンガス供給
口1から400mmの位置に設けたこと以外は、実施例
1と同様にしてカーボンブラックを製造した。
【0043】比較例2 下部冷却ガス送入用スリット管3をアセチレンガス供給
口1から850mmの位置に設けたこと以外は、実施例
1と同様にしてカーボンブラックを製造した。
【0044】比較例3 上部冷却ガス送入用スリット管2の送入角度を下方へ向
けて30度とし、下部冷却ガス送入用スリット管3の送
入角度を上方へ向けて30度としたこと以外は、実施例
1と同様にしてカーボンブラックを製造した。
【0045】比較例4 上部冷却ガス送入用スリット管2の送入角度を下方へ向
けて60度とし、下部冷却ガス送入用スリット管3の送
入角度を上方へ向けて60度としたこと以外は、実施例
1と同様にしてカーボンブラックを製造した。
【0046】比較例5 上部冷却ガス送入用スリット管2と下部冷却ガス送入用
スリット管3からの水素ガス送入量をそれぞれ8m3
hとしたこと以外は、実施例1と同様にしてカーボンブ
ラックを製造した。
【0047】比較例6 上部冷却ガス送入用スリット管2と下部冷却ガス送入用
スリット管3からの水素ガス送入量をそれぞれ14m3
/hとしたこと以外は、実施例1と同様にしてカーボン
ブラックを製造した。
【0048】比較例7〜8 市販のアセチレンブラック〔電気化学工業社製商品名
「デンカブラック50%プレス」(比較例7)、CHE
VRON CHEMICAL COMPANY製商品名
「シャウイニガンブラック50%プレス」(比較例
8)〕の物性を表1に示す。
【0049】比較例9〜10 市販の導電性ファーネスブラック〔Cabot Cor
plation製商品名「バルカンXC−72」(比較
例9)、三菱化成工業社製商品名「#3050」(比較
例10)〕の物性を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】表1から、実施例1〜4で得られた本発明
のカーボンブラックは、Lcが小さいのでコンパウンド
の体積固有抵抗は低く導電性付与能力において優れてお
り、しかもメルトフローインデックスが高く、コンパウ
ンドの柔軟性、流動性においても優れていることがわか
る。
【0052】これに対し、比較例1〜6の方法で得られ
たカーボンブラックは、Lcが大きいのでコンパウンド
の体積固有抵抗が高く、実施例に比べて導電性付与能力
が劣っている。
【0053】比較例7〜8の市販のアセチレンブラック
は、Lcが大きいのでコンパウンドの体積固有抵抗が高
く、実施例に比べて導電性付与能力が劣っている。
【0054】比較例9の導電性ファーネスブラックは、
Lcは小さいが比表面積が高いのでコンパウンドの体積
固有抵抗は優れているが、メルトフローインデックスが
低く、実施例に比べてコンパウンドの柔軟性、流動性に
劣っている。
【0055】比較例10の導電性ファーネスブラック
は、Lcが小さいのでコンパウンドの体積固有抵抗が高
く、実施例に比べて導電性付与能力が劣っている。
【0056】
【発明の効果】本発明のカーボンブラックは導電性付与
能力に優れ、それを樹脂及び/又はゴムに配合すること
によってコンパウンドの柔軟性と作業性を損なわせるこ
となく導電性を著しく高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱分解炉の概略平面図である。
【図2】図1の部分概略断面図である。
【符号の説明】
1 アセチレンガス供給口 2 上部冷却ガス送入用スリット管 3 下部冷却ガス送入用スリット管 4 耐火煉瓦 5 ケーシング

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 BET比表面積が90〜20m2/g、シ
    ーラ法で測定される黒鉛結晶層の厚み(Lc)が19〜
    25Åであることを特徴とするカーボンブラック。
  2. 【請求項2】 竪型熱分解炉の頭頂部に設けられたアセ
    チレンガス供給口(1)から、アセチレンガスに必要に
    応じて不活性ガス、水素ガス、不飽和炭化水素が混合さ
    れてなる原料を供給すると共に、該原料の熱分解領域部
    に設けられた下方へ向かって噴射する上部冷却ガス送入
    用スリット管(2)と該スリット管(2)の更に下部に
    設けられた上方へ向かって噴射する下部冷却ガス送入用
    スリット管(3)とから、アセチレンガス1モル対して
    合計0.8〜1.1モルの水素ガスを互いに衝突するよ
    うに送入し、原料の熱分解領域を部分的に冷却しながら
    熱分解させることを特徴とするカーボンブラックの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 樹脂及び/又はゴムに請求項1記載のカ
    ーボンブラックを含有させてなることを特徴とする導電
    性組成物。
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