JPH07224579A - キャビネット用連動引違戸の連係装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 連動引違戸の各引戸を、閉止時に前後に外れ
ないようにし、防盗性を高めるとともに、各引戸の反り
を防止し、また緩衝材を抜け外れにくくする。 【構成】 引違戸を閉じたとき、前方の引戸２の平面視
コ字状の後向係合部６と、この後向係合部６と反対方向
を向く、後方の引戸３の平面視コ字状の前向係合部１１
とが互いに側方より係合し、前後の引戸２、３の前後方
向の相対移動を互いに規制しあうので、両引戸２、３は
前後に外れにくくなるとともに、各引戸２、３に反りが
生じるのを防止することができ、また前後の係合部６、
１１の係合を引戸２、３の前方より故意に外そうとする
のを防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、キャビネットの前面開
口部を開閉する複数の引戸の相互連係装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】図７は従来の物品収納用の大型キャビネ
ット、図８〜図１１は、それに使用されている従来の連
動引違戸の連係装置を示すものである。

【０００３】図７において、キャビネット(１)の前面開
口部には、ほぼ等形等大の外引戸(２)と、中引戸(３)
と、内引戸(４)とが、左右方向の走行軌道を漸次前後に
ずらせて、左右走行自在に設けられている。

【０００４】各引戸(２)(３)(４)の後面の両側縁には、
後方に向かった後、互いに対向する方向に平面視コ字状
に屈曲する補強枠(５)が曲折されている。

【０００５】各補強枠(５)の縦枠杆の要部は、後述する
ように各引戸(２)(３)(４)が相互連係する際の係合部と
なるので、以下後向係合部(６)という。

【０００６】中引戸(３)と内引戸(４)の右方の後向係合
部(６)には、それぞれ前方に突出する板状の前向係合板
(７)が固着されている。

【０００７】上述のキャビネット(１)は、図７と、図８
に示すように、３枚の引戸(２)(３)(４)が展開してキャ
ビネット(１)の開口部を閉塞している時は、図８と図１
０に示すように、外引戸(２)の左方の後向係合部(６)
が、中引戸(３)の前向係合板(７)の左面に当接し、中引
戸(３)の左方の後向係合部(６)が、内引戸(４)の前向係
合板(７)の左面に当接している。

【０００８】この状態において、外引戸(２)の手掛(８)
に手を掛けて左方に引けば、外引戸(２)の後向係合部
(６)は中引戸(３)の前向係合板(７)より離間し、ついで
外引戸(２)の右方の後向係合部(６)が中引戸(３)の前向
係合板(７)の右面に当接して、中引戸(３)を左方に走行
させ、図９に示すように３枚の引戸(２)(３)(４)が前後
に重合して、キャビネット(１)の右部が開口する。

【０００９】同様に閉塞状態のキャビネット(１)は、内
引戸(４)の手掛(８)を右方に引くことにより、左部を開
口することができる。

【００１０】キャビネット(１)を開口した図９に示す状
態の各引戸(２)(３)(４)は、外引戸(２)の手掛(８)を右
方に引けば、右方に走行する外引戸(２)の左方の後向係
合部(６)が中引戸(３)の前向係合板(７)の左面に当接し
て、中引戸(３)も右方に走行し、キャビネット(１)は閉
塞される。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】しかし上述の連動引違
戸の連係装置は、各引戸(２)(３)(４)の相対的な左右位
置を規制するものであるため、各引戸(２)(３)(４)の反
りや、各引戸(２)(３)(４)の前後のクリヤランスの異常
により、連係装置が前後に外れることがあり、両端の引
戸(２)(４)をキャビネット(１)に施錠しても、中引戸
(３)はキャビネット(１)に施錠されていないので、中引
戸(３)両端の連係装置を故意に外して、キャビネット
(１)が開口される恐れがある。

【００１２】また連動引違戸を粗暴にして開閉すると、
各引戸(２)(３)(４)同士が激しく衝接して、騒音を発す
るとともに、このような騒音を防止するため、図８に示
す前向係合板(７)の前部に緩衝材を外嵌したとしても、
従来の前向係合板(７)は前方にまっすぐに突出している
だけであるので、緩衝材が抜け外れ易いという問題点が
ある。

【００１３】本発明は、従来の技術が有する上記のよう
な問題点に鑑み、連動引違戸の各引戸を、閉止時に前後
に外れないようにし、防盗性を高めるとともに、各引戸
の反りを防止し、また緩衝材を抜け外れにくいように改
良したキャビネット用連動引違戸の連係装置を提供する
ことを目的としている。

【００１４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、キャビネットの前面開口部を、複数の引
戸が連動して開閉するようにした連動引違戸において、
前方の引戸の一側端に、後方に向かった後他側方に向か
って平面視コ字状に屈曲する後向係合部を設けるととも
に、この引戸の直後の引戸他側端に、前方に向かった後
一側方に向かって平面視コ字状に屈曲して、後向係合部
に側方より係合しうる前向係合部を設けたことを特徴と
している。

【００１５】また、本発明は、次のような構成を採用し
たことを特徴としている。

【００１６】前向係合部の中間部に緩衡材を外嵌したこ
と。

【００１７】引違戸が、左右方向の走行軌道を漸次前後
にずらした外引戸と、中引戸と、内引戸とからなり、外
引戸と中引戸との左右のいずれか一方の側端に後向係合
部を、中引戸と内引戸との左右のいずれか他方の側端に
前向係合部をそれぞれ設けたこと。

【００１８】引違戸が、左右方向の走行軌道を漸次前後
にずらした左右１対の外引戸と、左右１対の中引戸と、
単一の内引戸とからなり、各外引戸の内方よりの側端に
後向係合部を、各中引戸の外方寄りの側端に前向係合部
と後向係合部を、各中引戸の内方寄りの側端に後向係合
部を、また内引戸の両側端に前向係合部をそれぞれ設け
たこと。

【００１９】

【作用】引違戸を閉じたとき、前方の引戸の平面視コ字
状の後向係合部と、この後向係合部と反対方向を向く、
後方の引戸の平面視コ字状の前向係合部とが互いに側方
より係合し、前後の引戸の前後方向の相対移動を互いに
規制しあうので、両引戸は前後に外れにくくなるととも
に、各引戸に反りが生じるのを防止することができ、ま
た前後の係合部の係合を引戸の前方より故意に外そうと
するのを防止することができる。また、平面視コ字状に
屈曲した前向係合部の中間部に緩衝材を外嵌すれば、緩
衝材が前向係合部から抜け外れにくくなるとともに、こ
の緩衝材により、引戸の開閉時の衝撃が緩和され、騒音
の発生が防止される(請求項２)。

【００２０】

【実施例】図１〜図４は、本発明の第１実施例を示すも
ので、本発明を適用したキャビネットと連動引違戸と補
強枠と後向係合部等は上述の従来のものと同様につき、
キャビネットは図示を省略し、他の部材には同一符号を
付して詳細な説明は省略する。

【００２１】本実施例においては、中引戸(３)と内引戸
(４)の補強枠(５)の右方の後向係合部(６)の前面の上部
と下部には、上記前向係合板(７)に代えて、左面開口す
る平面視コ字状の前向係合部(11)の後片(11a)が貫通し
て、後向係合部(６)の裏面に溶着され、前向係合部(11)
の中央片(11b)と前片(11c)が前方に突出して、その中央
片(11b)には緩衝ゴム(緩衝材)(12)が外嵌されている。

【００２２】本実施例においては、図１に略示するよう
に、３枚の引戸(２)(３)(４)が展開してキャビネット
(１)の開口部を閉塞している時は、図３に示すように、
外引戸(２)の左方の後向係合部(６)が、中引戸(３)の前
向係合部(11)に左方より係合し、中引戸(３)の左方の後
向係合部(６)が、内引戸(４)の前向係合部(11)に左方よ
り係合している。

【００２３】この状態において、外引戸(３)の手掛(８)
に手を掛けて左方に引けば、外引戸(２)の後向係合部
(６)は中引戸(３)の前向係合部(11)より離脱し、ついで
外引戸(２)の後向係合部(６)が中引戸(３)の前向係合部
(11)の右面に当接して、中引戸(３)を左方に走行させ、
図２に示すように、３枚の引戸(２)(３)(４)が前後に重
合して、キャビネット(１)の右部が開口する。

【００２４】同様に閉塞状態のキャビネット(１)は、内
引戸(４)の手掛(８)を右方に引くことにより、左部を開
口することができる。

【００２５】キャビネット(１)を開口した図２に示す状
態の各引戸(２)(３)(４)は、外引戸(２)の手掛(８)を右
方に引けば、右方に走行する外引戸(２)の左方の後向係
合部(６)が中引戸(３)の前向係合部(11)に係合して、中
引戸(３)も右方に走行し、キャビネット(１)は閉塞され
る。

【００２６】上述のように本実施例においては、キャビ
ネット(１)の開口部を閉塞した連動引違戸は、外引戸
(２)と中引戸(３)の左方の後向係合部(６)が、それぞれ
中引戸(３)と内引戸(４)の前向係合部(11)に側方より係
合しているので、連係装置が前後に外れる恐れはなく、
また粗暴に開閉しても緩衝ゴム(12)の作用により、騒音
の発生を抑えることができる。

【００２７】なお上述の実施例においては、キャビネッ
ト(１)の開口部を、前後に近接して並ぶ３枚の引戸(２)
(３)(４)により開閉する場合について記載したが、本発
明は、引戸の数を３枚に限定するものではない。

【００２８】例えば、図５及び図６に示す第２実施例の
ように、キャビネット(１)の前面開口部に、等形等大の
左右１対の外引戸(２)と、同じく等形等大の左右１対の
中引戸(３)と、それらの各引戸(２)(３)のほぼ２倍の幅
とした単一の内引戸(４)とを、左右方向の走行軌道を漸
次前後にずらせて左右走行自在に設け、かつ各外引戸
(２)の内方寄りの側端に後向係合部(６)を、各中引戸
(３)の外方寄りの側端に前向係合部(11)と後向係合部
(６)を、各中引戸(３)の内方寄りの側端に後向係合部
(６)を、また内引戸(４)の両側端に前向係合部(11)をそ
れぞれ設けて実施しても、第１実施例のものと同様の作
用及び効果を奏することができる。

【００２９】各外引戸(２)の外方寄りの側端の補強枠
(５')は、後方への折り返し部分の奥行きを、全引戸
(２)(３)(４)の全体の厚さより大とするのがよい。また
左右１対の外引戸(２)は、内引戸(４)に交差部を枢着し
たＸ字型リンクをもって互いに連係し、いずれかの外引
戸(２)を開閉させたとき、中引戸(３)がそれに連動し
て、２分の１の速度で同方向に移動するようにするのが
よい。その他の構成は第１実施例のものと同一である。

【００３０】

【発明の効果】本発明によると、引違戸を閉じたとき、
前方の引戸の平面視コ字状の後向係合部と、この後向係
合部と反対方向を向く、後方の引戸の平面視コ字状の前
向係合部とが互いに側方より係合し、前後の引戸の前後
方向の相対移動を互いに規制しあうので、両引戸は前後
に外れにくくなるとともに、各引戸に反りが生じるのを
防止することができ、また前後の係合部の係合を引戸の
前方より故意に外そうとするのを防止することができ、
盗難の防止を図ることができる(全請求項)。

【００３１】また、平面視コ字状に屈曲した前向係合部
の中間部に緩衝材を外嵌すれば、緩衝材が前向係合部か
ら抜け外れにくくなるとともに、この緩衝材により、引
戸の開閉時の衝撃が緩和され、また騒音の発生を防止す
ることができる(請求項２)。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例の閉止時の状態を略示する
横断平面図である。

【図２】同じく開いたときの状態を略示する横断平面図
である。

【図３】図１のＡ部拡大図である。

【図４】図３のＸ−Ｘ線断面図である。

【図５】本発明の第２実施例の閉止時の右半部の状態を
略示する横断平面図である。

【図６】同じく開いたときの状態を略示する横断平面図
である。

【図７】従来のキャビネットの一例の斜視図である。

【図８】従来の装置の閉止時の状態を略示する横断平面
図である。

【図９】同じく開いたときの状態を略示する横断平面図
である。

【図１０】図８のＢ部拡大図である。

【図１１】図１０のＹ−Ｙ線断面図である。

【符号の説明】

(１)キャビネット (２)外引戸 (３)中引戸 (４)内引戸 (５)(５')補強枠 (６)後向係合部 (７)前向係合板 (８)手掛 (11)前向係合部 (11a)後片 (11b)中央片 (11c)前片 (12)緩衝ゴム(緩衝材）

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 キャビネットの前面開口部を、複数の引
   戸が連動して開閉するようにした連動引違戸において、
   前方の引戸の一側端に、後方に向かった後他側方に向か
   って平面視コ字状に屈曲する後向係合部を設けるととも
   に、この引戸の直後の引戸他側端に、前方に向かった後
   一側方に向かって平面視コ字状に屈曲して、後向係合部
   に側方より係合しうる前向係合部を設けたことを特徴と
   するキャビネット用連動引違戸の連係装置。
2. 【請求項２】 前向係合部の中間部に緩衡材を外嵌した
   請求項１記載のキャビネット用連動用引違戸の連係装
   置。
3. 【請求項３】 引違戸が、左右方向の走行軌道を漸次前
   後にずらした外引戸と、中引戸と、内引戸とからなり、
   外引戸と中引戸との左右のいずれか一方の側端に後向係
   合部を、中引戸と内引戸との左右のいずれか他方の側端
   に前向係合部をそれぞれ設けた請求項１又は２記載のキ
   ャビネット用連動用引違戸の連係装置。
4. 【請求項４】 引違戸が、左右方向の走行軌道を漸次前
   後にずらした左右１対の外引戸と、左右１対の中引戸
   と、単一の内引戸とからなり、各外引戸の内方よりの側
   端に後向係合部を、各中引戸の外方寄りの側端に前向係
   合部と後向係合部を、各中引戸の内方寄りの側端に後向
   係合部を、また内引戸の両側端に前向係合部をそれぞれ
   設けた請求項１又は２記載のキャビネット用連動用引違
   戸の連係装置。