JP4008615B2 - キャビネットの扉装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャビネットの前面開口部を、前引戸、中間引戸及び後引戸の前後方向に重合する3枚の引戸を連動させて開閉するようにして、キャビネット本体内部の収納奥行きを大きくとれるようにしたキャビネットの扉装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特許第 2748087 号公報に記載のような3枚引きの引戸式キャビネットが、また、特開平4−343988号公報及び特開平8−193468号公報に記載のような5枚引きの引戸式キャビネットが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これら3枚引き、5枚引きの引戸式キャビネットは、前面開口部の開口寸法が広くとれるが、レールの本数または引戸全体の数が多くて、厚くなるので、キャビネット本体の奥行き寸法が小さくなるという問題点があった。
【0004】
本発明は、上述の問題点に鑑み、3枚引戸において、キャビネット本体の奥行き寸法を大きくとれるようにした、キャビネットの扉装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1) キャビネットの前面開口部を、前引戸、中間引戸及び後引戸の前後方向に重合する3枚の引戸を連動させて開閉するようにしたキャビネットの扉装置において、キャビネット本体の天板と底板とに左右方向を向く前後2条のレールを、上下に対向させて設けるとともに、前記前引戸の上下に設けた戸車を、前記レールの内の前側レールに沿って移動可能とし、前記中間引戸の上下に設けた戸車を、前記レールの内の後側レールに沿って移動可能とし、かつ、前記後引戸の遊端縁側の上下には、前記前側レールに沿って移動可能な戸車を設けるとともに、前記後引戸における前記中間引戸との重合部の上下には、該中間引戸の裏面側の上下に固設されたガイドレールに沿って移動可能なガイド戸車を設ける。
【0006】
(2) 上記(1)項において、前後2条のレールを凸条のレールとするとともに、後側レールにおける後方側に、天板側では底面が天板の下面より高くなり底板側では底面が底板の上面より低くなる凹入段部を上下それぞれに形成し、後引戸における表面板の上下を後方側に屈曲させ、該屈曲部を前記凹入段部内に嵌合させる。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1〜図3は、本発明のキャビネット(A)の扉装置を簡略に示す斜視図で、図1は、3枚の引戸を閉じた状態のキャビネット(A)を、図2は、分解状態の3枚の引戸を、図3は、引戸を開いた状態を示している。
【0008】
これらの図に示すように、キャビネット本体(1)の前面開口部には、前引戸(2)、中間引戸(3)及び後引戸(4)がはめ込まれている。前引戸(2)及び後引戸(4)には、ラッチ装置付きの引き手(5)が取り付けられている。また、キャビネット本体(1)の天板及び底板(6)の前側縁部には、引戸用のレール(7)(8)が取り付けられている。なお、天板の前縁中央には、ロック(1b)が設けられている。
【0009】
キャビネット本体(1)における天板及び底板(6)の前端縁は、左右両側板(1a)の前端縁よりも前方に突出して、突出部を形成しており、前引戸(2)の前面及び後引戸(4)の遊端縁(右端縁)側前面は、天板と底板(6)の突出部間の同一面上に接離自在に配置されている。
【0010】
図4及び図5は、前引戸(2)の正面及び平面をそれぞれ示す図であって、これらの図及び図2から判るように、前引戸(2)は、例えば鋼板のような1枚の表面板の両側縁を内方に折り曲げて形成したもので、その両端部の内方上下に、前側レール(7)に載る戸車(9)を取り付けてある。
左端の内方には、キャビネット本体(1)の側部への戸当たり(10)が取り付けられている。
【0011】
図6及び図7は、中間引戸(3)の正面及び平面をそれぞれ示す図であって、これらの図及び図2から判るように、中間引戸(3)も、1枚の表面板の両側縁を内方に折り曲げて形成したもので、その両端の内方上下に戸車(9)を取り付けてある。
【0012】
中間引戸(3)の左端、すなわち前引戸(2)側には、前方に突出して内側に折り返した複数(図示の例では3個)のストッパ爪(11)が形成されている。これらのストッパ爪(11)は、図2に示すように、前引戸(2)の右側の折り返し部分に嵌合して中間引戸(3)の移動を停止または連動させるものである。
また、上部の戸車(9)の下及び下部の戸車(9)の上には、水平方向に延びる断面L字状のガイドレール(12)が、表面板の裏面に上下内向きとして(上下外向きとすることもできる)固着されている。
【0013】
図8及び図9は、後引戸(4)の正面及び平面をそれぞれ示す図であって、これらの図及び図2から判るように、後引戸(4)も、1枚の表面板の両側縁を内方に折り曲げて形成したもので、その右端部側すなわち遊端部側は前方に折り曲げられ、前述の前引戸(2)の表面と面一になる位置で再び側方に折り曲げられて段部(13)を形成されており、この段部(13)の内方上下に、前側レール(7)に載る戸車(9)を取り付けてある。
【0014】
後引戸(4)の左端、すなわち中間引戸(3)側の前面の上下には、前述の中間引戸(3)のガイドレール(12)に整合する位置に、ガイド戸車(14)が固着されている。
【0015】
また、後引戸(4)の左端すなわち、中間引戸(3)側には、前方に突出して内側に折り返した複数個(図示の例では3個)のストッパ爪(15)が形成されている。これらのストッパ爪(15)は、図2に示すように中間引戸(3)の右側の折り返し部分に嵌合して後引戸(4)の移動を停止ないしは連動させるものである。
【0016】
後引戸(4)の上下端は、後方側、すなわち内側に2回折り曲げられ、フランジ(16)を形成している。このフランジ(16)の先端は、後述するキャビネット本体(1)の底板(6)及び天板(20)の前端部に設けたレール(7)(8)収容用の凹入段部(21)(図13〜図14)より飛び出さない長さのものである。
【0017】
後引戸(4)の右端部、すなわち段部(13)に設けた引き手(5)は、ラッチ装置を備えたもので(前述の前引戸(2)の引き手(5)も同様)、その詳細を図10に断面で示してある。
この図に明らかなように、引き手(5)に内蔵されたラッチ爪(17)は、引き手(5)の垂直軸(18)を中心として回動するもので、キャビネット本体(1)の側板(1a)に穿設されたラッチ孔(19)に係合できる。
【0018】
図11は、前面開口部を一杯に開いた時の3枚の引戸(2)(3)(4)の重合状態を示す引戸だけの平面図であり、図12は、前面開口部を閉じた時の3枚の引戸(2)(3)(4)の状態を示す平面図である。
【0019】
図13及び図14に示すように、キャビネット本体(1)の天板(20)側及び底板(6)側の前端部には、凹入段部(21)が形成されて一段低くなっており、ここに凸状の前側レール(7)及び後側レール(8)を有する成形部材(22)が、天板側では天板(20)の下面より高くなるように、底板側では底板(6)の上面より低くなるようにはめ込まれている。
【0020】
引戸の取り付けにあたっては、まず後引戸(4)を、その遊端の上下の戸車(9)が前側レール(7)に嵌合するようにして、キャビネット本体(1)に装着する。このとき、前述のように、フランジ(16)の先端は、この状態で凹入段部(21)から突出しない程度の折り返し長さとされている。
次いで、中間引戸(3)を、その上下の戸車(9)が後側レール(8)に嵌合するように配設し、この状態で後引戸(4)側に移動させて、その上下のガイドレール(12)に、後引戸(4)のガイド戸車(14)を嵌め込む。
最後に、前引戸(2)を、その上下の戸車(9)が前側レール(7)に嵌合するように配設する。
【0021】
図3及び図11に示すように、引戸を重合させた状態(開放状態)から後引戸(4)を引いて引き出すと、後引戸(4)の端が次の中間引戸(3)の端に係合して、これを引き出し、中間引戸(3)の端が前引戸(2)の端に係合した状態において図1及び図12に示すように全閉する。この状態において前引戸(2)及び後引戸(4)は、両側板(1a)の前端に被さり、ラッチ(17)が掛かる。
全閉状態から引戸を開く場合にも、引戸は次々に連動して開き、図11に示す状態に至る。
【0022】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、引戸を開いた時に開口寸法が大きくとれ、かつ3枚引戸でありながらレールは2本でよく、キャビネット内部の収容奥行きを、従来の3枚引戸キャビネットよりも大きくとることができる。
【0023】
請求項2記載の発明のようにすることにより、フランジにより後引戸の構造的な強度を高めるとともに、フランジを凹入段部内に収容させることにより、このフランジを底板面(或いは天板面)から出っ張らせず、キャビネット内部の収容奥行きを大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明扉装置を備えたキャビネットの概略斜視図である。
【図2】本発明扉装置の3枚の引戸を分解して示す概略斜視図である。
【図3】同じく、引戸を開いた状態のキャビネットの概略斜視図である。
【図4】前引戸の正面図である。
【図5】前引戸の平面図である。
【図6】中間引戸の正面図である。
【図7】中間引戸の平面図である。
【図8】後引戸の正面図である。
【図9】後引戸の平面図である。
【図10】ラッチ装置を内蔵する引き手の拡大横断面図である。
【図11】完全に開いた状態の引戸の拡大平面図である。
【図12】完全に閉じた状態の引戸の部分省略拡大平面図である。
【図13】キャビネット本体に取り付けた状態の引戸の部分省略拡大縦断面図である。
【図14】図13とは場所を異にする引戸の部分省略拡大縦断面図である。
【符号の説明】
(A)キャビネット
(1)キャビネット本体
(1a)側板
(1b)ロック
(2)前引戸
(3)中間引戸
(4)後引戸
(5)引き手
(6)底板
(7)前側レール
(8)後側レール
(9)戸車
(10)戸当たり
(11)ストッパ爪
(12)ガイドレール
(13)段部
(14)ガイド戸車
(15)ストッパ爪
(16)フランジ
(17)ラッチ爪
(18)垂直軸
(19)ラッチ孔
(20)天板
(21)凹入段部
(22)成形部材
Claims (2)
- キャビネットの前面開口部を、前引戸、中間引戸及び後引戸の前後方向に重合する3枚の引戸を連動させて開閉するようにしたキャビネットの扉装置において、
キャビネット本体の天板と底板とに左右方向を向く前後2条のレールを、上下に対向させて設けるとともに、前記前引戸の上下に設けた戸車を、前記レールの内の前側レールに沿って移動可能とし、前記中間引戸の上下に設けた戸車を、前記レールの内の後側レールに沿って移動可能とし、かつ、前記後引戸の遊端縁側の上下には、前記前側レールに沿って移動可能な戸車を設けるとともに、前記後引戸における前記中間引戸との重合部の上下には、該中間引戸の裏面側の上下に固設されたガイドレールに沿って移動可能なガイド戸車を設けたことを特徴とするキャビネットの扉装置。 - 前後2条のレールを凸条のレールとするとともに、後側レールにおける後方側に、天板側では底面が天板の下面より高くなり底板側では底面が底板の上面より低くなる凹入段部を上下それぞれに形成し、後引戸における表面板の上下を後方側に屈曲させ、該屈曲部を前記凹入段部内に嵌合させた請求項1記載のキャビネットの扉装置。
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- 1999-02-26 JP JP05004299A patent/JP4008615B2/ja not_active Expired - Fee Related
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