JPH07224210A - ポリフェニレンスルフィド樹脂成形品 - Google Patents

ポリフェニレンスルフィド樹脂成形品

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JPH07224210A
JPH07224210A JP6313872A JP31387294A JPH07224210A JP H07224210 A JPH07224210 A JP H07224210A JP 6313872 A JP6313872 A JP 6313872A JP 31387294 A JP31387294 A JP 31387294A JP H07224210 A JPH07224210 A JP H07224210A
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JP
Japan
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weld
polyphenylene sulfide
sulfide resin
molded product
liquid crystal
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JP6313872A
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Inventor
Noriaki Goto
典明 後藤
Fumio Akiyama
文男 秋山
Atsushi Ishio
敦 石王
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (A)数平均分子量が7000〜15000 の実質的に架
橋構造を有さないポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂
95〜5重量%と (B)液晶性ポリマ5〜95重量%からなる
樹脂組成物 100重量部に対して、 (C)特定の構造式で示
されるエポキシ化合物から選ばれた1種以上のエポキシ
化合物0.1〜5重量部および (D)充填剤0〜 400重量部
を配合してなり、かつ、該組成物を特定の設定条件で射
出成形したウェルド部を有するウェルド成形品とウェル
ド部を有さない非ウェルド成形品の引張強度から求めら
れるウェルド強度保持率が15%以上、かつ、特定の式を
満たすPPS樹脂組成物を溶融成形してなるウェルド部
を有する PPS樹脂成形品。 【効果】本発明により、成形時に発生するバリが少な
く、機械的物性のウェルド強度に優れ、特に射出成形に
よる小型精密部品などの用途に有用な PPS樹脂成形品が
得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はバリ特性とウェルド強度
に優れたポリフェニレンスルフィド樹脂成形品に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年プラスチックの高性能化に対する要
求が益々高まり、種々の新規性能を有するポリマーが数
多く開発されているが、中でも、分子鎖の平行な配列を
特徴とする光学異方性の液晶ポリマーが優れた流動性と
機械物性を有する点で注目されている。しかしながら、
流動方向に直角の方向の機械的強度が低く、また成形収
縮率が大きいなど、機械的異方性および寸法異方性が非
常に大きいこと。また、他のポリマーに比較してウェル
ド強度が非常に低く、さらに価格が高いなどの理由で用
途が制限されているのが現状である。
【0003】一方、ポリフェニレンスルフィド樹脂(以
下PPS樹脂と略す。)は優れた耐熱性、難燃性、剛性
および電気絶縁性などエンジニアリングプラスチックと
しては好適な性質を有していることから、射出成形用を
中心として各種電気部品、機械部品および自動車部品な
どの用途に使用されている。しかしながら、PPS樹脂
は成形時のバリ発生が比較的多く、とりわけ低バリが要
求される小型精密部品などの用途においては使用が制限
されている。
【0004】そこで、上記の両者の欠点を解決するため
に、液晶ポリマーとPPS樹脂をブレンドする方法(特
開昭57−51739号公報、特開平1−292058
号公報)や液晶ポリマーと熱可塑性樹脂にエポキシ化合
物を添加する方法(特開平5−86267号公報)が提
案されているが、前者では単純ブレンドであるため相溶
性が十分でないことから機械物性の大きな向上は得られ
ず特にウェルド強度の低下が著しい。また、成形品の外
観も十分であるとはいえない。一方、後者はエポキシ化
合物を添加することにより、機械物性である引張強度、
曲げ強度の向上はあるものの、本目的であるウェルド強
度とバリ特性がいずれも多少は改善されるものの未だ不
十分である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】よって本発明は、上述
の問題を解消し、バリ特性とウェルド強度が均衡して優
れたPPS樹脂成形品の開発を目的として鋭意検討した
結果、ベースポリマとして特定分子量の直鎖状PPS樹
脂と液晶性ポリマ、更に特定のエポキシ化合物を添加す
ることにより、上記目的とする諸性能の全てを満足した
高性能PPS樹脂組成物が得られることを見出し、本発
明に到達した。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、
(A)1−クロロナフタレンを溶媒とするゲル浸透クロ
マトグラフ法で求められた数平均分子量が7000〜1
5000の実質的に架橋構造を有さないポリフェニレン
スルフィド樹脂95〜5重量%と(B)溶融時異方性溶
融相を形成し得る液晶性ポリマ5〜95重量%からなる
樹脂組成物100重量部に対して、(C)下記構造式
(a)、(b)で示されるエポキシ化合物から選ばれた
1種以上のエポキシ化合物0.1〜5重量部および
(D)充填剤0〜400重量部を配合してなるポリフェ
ニレンスルフィド樹脂組成物であって、かつ、該組成物
を下記設定条件で射出成形したほぼ中央部にウェルド部
を有するウェルド成形品(X)およびウェルド部を有さ
ない非ウェルド成形品(Y)の引張強度を各々測定し、
これら成形品の引張強度から式(1)で求められるウェ
ルド強度保持率が10%以上、かつ、下記式(2)を満
たす組成物を溶融成形してなるウェルド部を有するポリ
フェニレンスルフィド樹脂成形品である。
【0007】
【化6】 (上式中Gは
【化7】 を示す。) ウェルド強度保持率(%)=(ウェルド部を有するウェ
ルド成形品(X)の引張強度/ウェルド部を有さない非
ウェルド成形品(Y)の引張強度)×100----(1) (設定条件 シリンダ温度:[ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
の成形可能下限温度+10]℃ 金型温度:90℃ 成形品:幅6.0mm×長さ127mm×厚み1mm) w≧α−0.7b ……(2) (上式中bは(A)成分と(B)成分の合計に対する
(B)成分の割合(%)を表わし、wはウェルド強度保
持率(%)を示す。αはα=−0.6g+55で算出さ
れる定数であり、gは全組成物中の(D)成分の割合
(%)を示す。)
【0008】以下、具体的に詳述する。
【0009】本発明で使用するPPS樹脂とは、下記構
造式で示される繰り返し単位を
【化8】 70モル%以上、より好ましくは90モル%以上を含む
重合体であり、上記繰り返し単位が70モル%未満で
は、耐熱性が損なわれるので好ましくない。またPPS
樹脂はその繰り返し単位の30モル%未満を、下記の構
造を有する繰り返し単位等で構成することが可能であ
る。
【0010】
【化9】
【0011】本発明において成分(A)として用いられ
るPPS樹脂は、1−クロロナフタレンを溶媒とするゲ
ル浸透クロマトグラフ法で求められた数平均分子量が7
000〜15000の直鎖状構造を有することが必要で
ある。上記、数平均分子量が7000未満の場合は、十
分なバリ低減効果と十分な機械的強度を同時に得ること
が困難であり、数平均分子量が15000より大きい場
合は、優れた流動性が得ることが困難である。
【0012】本発明で用いるPPS樹脂の製造方法につ
いては上記の必要条件を満たす限り特に限定されず、通
常公知の方法すなわち特公昭52−12240号公報に
記載される方法などによって製造できる。本発明におい
て上記のように得られたPPS樹脂を有機溶媒、熱水、
酸水溶液などによる洗浄、酸無水物基、エポキシ基、イ
ソシアネート基などの官能基含有化合物による活性化な
ど種々の処理を施した上で使用することも可能であり、
酸水溶液で洗浄することが、最も好ましい。
【0013】本発明で用いる液晶性ポリマとは、溶融時
に異方性を形成し得るポリマであり、液晶ポリエステ
ル、液晶ポリエステルアミド、液晶ポリエステルカーボ
ネート、液晶ポリエステルエラストマーなどがあり、液
晶ポリエステル、液晶ポリエステルアミドなどが好まし
い。例えば、液晶ポリエステルとしては芳香族オキシカ
ルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族ジカルボニ
ル単位、エチレンジオキシなどから選ばれた構造単位か
らなる溶融時に異方性溶融相を形成し得る液晶ポリエス
テルなどが挙げられる。液晶ポリエステルアミドとして
は上記構造単位と芳香族イミノカルボニル単位、芳香族
ジイミノ単位、芳香族ジイミノフェノキシ単位などから
選ばれた構造単位からなる溶融時に異方性溶融相を形成
し得る液晶ポリエステルアミドなどが挙げられる。なか
でも共重合成分として、エチレンジオキシ単位を含有す
る半芳香族液晶ポリエステルおよび半芳香族液晶ポリエ
ステルアミドなどを好ましく挙げることができる。
【0014】本発明で特に好ましく用いられる液晶性ポ
リマとしては、エチレンジオキシ単位を有する液晶性ポ
リエステルであり、好ましくは下記構造単位(I) 、(II
I) 、(IV)を主構成単位とする液晶ポリエステルまたは
(I) 、(II)、(III) 、(IV)を主構成単位とする液晶ポリ
エステルであり、より好ましくは、(I) 〜(IV)を主構成
単位とする液晶ポリエステルである。
【0015】
【化10】 (ただし式中R1は
【化11】 から選ばれた一種以上の基を示し、R2は
【化12】 から選ばれた一種以上の基を示す。また、式中Xは水素
原子または塩素原子を示し、構造単位[(II)+(III) ]
と構造単位(IV)は実質的に等モルである。)
【0016】上記構造単位(I) は、p−ヒドロキシ安息
香酸から生成したポリエステルの構造単位であり、構造
単位(II)は4,4´−ジヒドロキシビフェニル、3,3
´,5,5´−テトラメチル−4,4´−ジヒドロキシ
ビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノ
ン、フェニルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナ
フタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4
´−ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた芳香
族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位を、構造単
位(III) はエチレングリコールから生成した構造単位
を、構造単位(IV)はテレフタル酸、イソフタル酸、4,
4´−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジ
カルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,
4´−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロロフェノ
キシ)エタン−4,4´−ジカルボン酸およびジフェニ
ルエーテルジカルボン酸から選ばれた芳香族ジカルボン
酸から生成した構造単位を各々示す。中でも、(I) 、(I
I)、(III) 、(IV)を主構成単位とする液晶ポリエステル
の場合、R1が
【化13】 である構造単位が構造単位(II)の70モル%以上を、R
2が
【化14】 である構造単位が構造単位(IV)の70モル%以上を占め
るものが特に好ましく、また、構造単位(I) 、(III) 、
(IV)を主構成単位とする液晶ポリエステルの場合、R2
【化15】 である構造単位が構造単位(IV)の70モル%以上を占め
るものが特に好ましい。
【0017】上記構造単位(I) 、(II)、(III) および(I
V)の共重合量は任意であるが、諸特性のバランスの点か
ら次の共重合量であることが好ましい。すなわち、(I)
、(II)、(III) 、(IV)を主構成単位とする液晶性ポリ
エステルの場合、耐熱性および機械特性の点から上記構
造単位[(I) +(II)]は[(I) +(II)+(III) ]の60
〜95モル%が好ましく、70〜92モル%がより好ま
しい。また、構造単位(III) は[(I) +(II)+(III) ]
の40〜5モル%が好ましく、30〜8モル%がより好
ましい。また、構造単位(I) /(II)のモル比は流動性と
機械物性のバランスの点から好ましくは75/25〜9
5/5であり、より好ましくは78/22〜93/7で
ある。また、構造単位(IV)は構造単位[(II)+(III) ]
と実質的に等モルである。一方、(I) 、(III) 、(IV)を
主構成単位とする液晶ポリエステルの場合、構造単位(I
V)と(III) は実質的に等モルであり、上記構造単位(I)
は構造単位[(I) +(III) +(IV)]の55〜85モル%
が好ましく、60〜80モル%が特に好ましい。
【0018】好ましい液晶ポリエステルアミドとしては
上記構造単位(I) 、(III) 、(IV)あるいは(I) 、(II)、
(III) 、(IV)にさらに芳香族イミノカルボニル単位、芳
香族ジイミノ単位、芳香族ジイミノフェノキシ単位など
から選ばれた構造単位を共重合した半芳香族液晶ポリエ
ステルアミドが好ましい。
【0019】なお、上記好ましい半芳香族液晶ポリエス
テルおよび/または半芳香族液晶ポリエステルアミドを
縮重合する際には、上記構造単位(I) 〜(IV)を構成する
成分以外に3,3´−ジフェニルジカルボン酸、2,2
´−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン
酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン
ジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレ
フタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロロハイドロキ
ノン、メチルハイドロキノン、4,4´−ジヒドロキシ
ジフェニルスルホン、4,4´−ジヒドロキシジフェニ
ルスルフィド、4,4´−ジヒドロキシベンゾフェノン
等の芳香族ジオール、1,4−ブタンジオール、1,6
−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4
−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジ
メタノール等の脂肪族、脂環式ジオールおよびm−ヒド
ロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの
芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノフェノー
ル、p−アミノ安息香酸などを本発明の目的を損なわな
い程度の量を共重合してもよい。
【0020】なお、液晶性ポリマを製造する方法は特に
制限はなく、公知の製造方法を採用することができ、例
えば上記好ましい半芳香族液晶ポリエステルを縮重合す
る際には、(1)ポリエチレンテレフタレートなどのポ
リエステルのポリマー、オリゴマーまたはビス(β−ヒ
ドロキシエチル)テレフタレートなど芳香族ジカルボン
酸のビス(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在下
で、p−アセトキシ安息香酸および4,4´−ジアセト
キシビフェニルなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジア
シル化物とテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から
脱酢酸縮重合反応によって製造する方法あるいは(2)
ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルのポリ
マー、オリゴマーまたはビス(β−ヒドロキシエチル)
テレフタレートなど芳香族ジカルボン酸のビス(β−ヒ
ドロキシエチル)エステルの存在下で、p−ヒドロキシ
安息香酸および4,4´−ジヒドロキシビフェニルなど
の芳香族ジヒドロキシ化合物、テレフタル酸などの芳香
族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性
水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって製
造する方法、などが挙げられる。これらの重縮合は無触
媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネー
ト、酢酸カリウム、三酸化アンチモン、酢酸ナトリウム
などの金属化合物およびマグネシウムなどの触媒を添加
した方が好ましいときもある。
【0021】かかる液晶性ポリマは、ペンタフルオロフ
ェノール中で対数粘度を測定することが可能なものもあ
り、その際には0.1g/dlの濃度で60℃で測定し
た値が0.5dl/g以上であることが好ましく、上限
は通常20.0dl/gであり、1.0〜3.0dl/
gであることがより好ましい。
【0022】また、液晶性ポリマの溶融粘度は10〜2
0,000ポイズが好ましく、特に20〜10,000
ポイズがより好ましい。なお、この溶融粘度は融点(T
m)+10℃の条件で、せん断速度1,000/秒の条
件下で直径1mm、l≧5mmの毛管を用いた高圧式毛
管粘度計により測定した値である。ここで、融点(T
m)とは示差熱量測定において、重合を完了したポリマ
ーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観察
される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+2
0℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件
で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件
で測定した際に観察される吸熱ピーク温度(Tm2)を
指す。また、液晶開始温度(TN )は、偏光顕微鏡の試
料台に乗せて昇温加熱し、せん断応力下で乳白光を発す
る時の温度である。
【0023】本発明において、成分(A)からなるPP
S樹脂と(B)液晶性ポリマの混合割合は、PPS樹脂
95〜5重量%に対し(B)液晶性ポリマ5〜95重量
%の範囲であり、PPS樹脂90〜50重量%に対し
(B)液晶性ポリマ10〜50重量%の範囲がより好ま
しい。液晶性ポリマの割合がバリ低減効果や流動性の点
で10重量%以上が好ましく、難燃性や異方性の点で5
0重量%以下が好ましい。
【0024】本発明に用いるエポキシ化合物(C)とし
ては、構造式(a)、(b)で示されるエポキシ化合物
から選ばれた1種以上のエポキシ化合物であり、二種以
上を併用してもよい。
【0025】
【化16】 (上式中Gは
【化17】 を示す。)
【0026】好ましく使用できるエポキシ化合物(C)
としては、下記に示す構造式を有するものである。
【0027】
【化18】
【0028】本発明に用いられるこれらのエポキシ化合
物(C)の配合量は、(A)PPS樹脂と(B)液晶性
ポリマからなる樹脂組成物100重量部に対して0.1
〜5重量部であり、好ましくは0.3〜1.5重量部で
ある。添加量が0.1重量部未満では、機械的強度の向
上効果が十分に発現せず、また5重量部を越えると組成
物の機械的強度と流動性を大きく損なうため好ましくな
い。
【0029】本発明のPPS樹脂組成物には本発明の効
果を損なわない範囲において、下記アルコキシシラン化
合物を添加することも可能であり、バリ低減効果、流動
性改良効果を大きく損なうことなく、さらに強度を向上
させる上で有効な添加剤である。かかるアルコキシシラ
ン化合物とは分子中に一個以上のエポキシ基、アミノ
基、イソシアネート基、ウレイド基、水酸基あるいはメ
ルカプト基を有するアルコキシシラン化合物であって、
具体的には3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、
3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3
−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキ
シシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−
3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミ
ノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルト
リエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキ
シシラン、N−フェニルアミノメチルトリメトキシシラ
ン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、
γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイ
ドプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−ウレイドエ
チル)アミノプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシ
メチル−3−ピペラジノプロピルシラン、3−ピペラジ
ノプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロ
ピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルト
リエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルメチルジ
メトキシシラン、3−イソシアナトプロピルメチルジエ
トキシシラン、3−イソシアナトプロピルエチルジメト
キシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−
メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプ
トメチルジメトキシシランなどが挙げられる。
【0030】これらアルコキシシラン化合物は各々単独
または2種以上の混合物の形で用いることができ、また
上記アルコキシシラン化合物の内で特に好適なアルコキ
シシラン化合物としては、3−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピ
ルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリ
メトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシ
シランならびに3−メルカプトプロピルトリメトキシシ
ランなどを挙げることができる。
【0031】本発明に用いられるこれらアルコキシシラ
ン化合物の配合量は、(A)PPS樹脂と(B)液晶性
ポリマからなる樹脂組成物100重量部に対して0.1
〜5重量部であり、好ましくは0.3〜3重量部であ
る。
【0032】本発明で用いる組成物には、充填剤(D)
をさらに配合することができ、充填剤としては繊維状ま
たは粉状、板状あるいは粒状などの非繊維状の充填剤を
挙げることができる。これらの例としては、ガラス繊
維、アルミナ繊維、硼酸アルミニウム繊維、炭化珪素繊
維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、黄
銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維、金属繊維、チ
タン酸カリウムウィスカまたはその繊維、酸化亜鉛ウィ
スカ、ボロンウイスカ繊維などの無機繊維および炭素繊
維、芳香族ポリアミド繊維などの繊維状充填剤が挙げら
れる。また、非繊維状としては、ワラステナイト、セリ
サイト、カオリン、マイカ、クレー、ベントナイト、ア
スベスト、タルク、アルミナシリケート、パイロフィラ
イト、モンモリロナイトなどの珪酸塩、二硫化モリブデ
ン、アルミナ、塩化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジル
コニウム、酸化鉄、酸化チタンなどの金属化合物、炭酸
カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸
塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、ポリ
リン酸カルシウム、グラファイト、ガラスビーズ、ガラ
スマイクロバルーン、ガラスフレーク、窒化ホウ素、炭
化珪素およびシリカなどの粉状、板状、あるいは粒状の
充填剤などが挙げられ、これらは中空であっても良い。
【0033】これらの充填剤は2種以上併用することが
可能であり、必要によりシラン系ならびにチタン系カッ
プリング剤で予備処理して使用することが出来る。特に
好ましい充填剤は、繊維状充填剤ではガラス繊維ならび
に炭素繊維であり、非繊維状充填剤ではワラステナイ
ト、タルク、硫酸バリウムならびに炭酸カルシウムであ
る。
【0034】ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用
に用いられるものなら特に限定はなく、例えば長繊維タ
イプや単繊維タイプのチョップドストランド、ミルドフ
ァイバーなどから選択して用いることができる。
【0035】これら充填剤の配合量は、(A)PPS樹
脂と(B)液晶性ポリマからなる樹脂組成物100重量
部に対して0〜400重量部の範囲であるが、生成する
組成物の耐熱性、機械的強度とのバランスの上から、4
0〜150重量部の充填剤の配合量が好ましい。充填剤
の配合量は組成物の流動性の点で250重量%以下であ
ることが必要である。
【0036】本発明のPPS樹脂成形品には本発明の効
果を損なわない範囲において、ポリアルキレンオキサイ
ドオリゴマ系化合物、チオエーテル系化合物、有機リン
化合物などの可塑剤、タルク、カオリン、有機リン化合
物などの結晶核剤、ポリオレフィン系化合物、シリコー
ン系化合物、長鎖脂肪族エステルなどの離型剤、酸化防
止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃
剤、発泡剤などの通常の添加剤を含有せしめることがで
きる。また、本発明のPPS樹脂成形品は本発明の効果
を損なわない範囲で、ポリアミド、ポリフェニレンオキ
シド、ポリスルホン、四フッ化ポリエチレン、ポリエー
テルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリカー
ボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケト
ン、ポリチオエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケ
トン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン、
ポリスチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリアミ
ドエラストマ、ポリエステルエラストマ、ポリアルキレ
ンオキサイドあるいは酸無水物基、カルボキシル基、エ
ポキシ基等を含有するオレフィン系共重合体等の樹脂を
含んでも良い。
【0037】本発明で用いるPPS樹脂組成物の調製方
法は特に制限はないが、原料の混合物を単軸あるいは2
軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーおよびミキ
シングロールなど通常公知の溶融混合機に供給して28
0〜380℃の温度で混練する方法などを代表例として
挙げることができ、原料の混合順序にも特に制限はな
く、(A)PPS樹脂、(B)液晶性ポリマ、(C)エ
ポキシ化合物および必要に応じて(D)充填剤をドライ
ブレンドした後、上述の方法などで溶融混練する方法、
あるいは(A)〜(D)成分の内の一部をドライブレン
ドし、溶融混練した後、残りを溶融混練する方法なども
勿論可能である。また、少量添加剤成分については、他
の成分を上記の方法などで混練しペレット化した後、成
形前に添加することもできる。
【0038】本発明においては上述のようにして得られ
るPPS樹脂組成物の下記方法で測定されるウェルド強
度保持率が15%以上、かつ、下記式(2)を満たすも
のであることが必要である。
【0039】w≧α−0.7b ……(2) (上式中bは(A)成分と(B)成分の合計に対する
(B)成分の割合(%)を表わし、wはウェルド強度保
持率(%)を示す。αはα=−0.6g+55で算出さ
れる定数であり、gは全組成物中の(D)成分の割合
(%)を示す。) ウェルド強度保持率の下限は、10%以上であることが
必要であるが、15%以上であることが好ましく、特に
好ましくは20%以上である。ウェルド強度保持率が1
5%未満ではPPS樹脂成形品のウェルド部の強度が低
く実用的に使用することができない。さらに上式(2)
を満たすことが必要であり、 α=−0.6g+60 を満たすことが好ましい。
【0040】本発明におけるウェルド強度保持率は以下
に示す方法で求めることができる。
【0041】(1)テストピース(成形品)を下記の条
件下に作製する。
【0042】A:テストピース テストピースを射出成形する場合の設定条件は下記の通
りである。
【0043】シリンダ温度:[PPS樹脂組成物の成形
可能下限温度+10]℃ 金型温度:130℃ 成形品:厚み1mmのASTM4号ダンベル さらに詳しくは長さ方向の両端部から3mmの位置に幅
3mmのゲートをそれぞれ設けた金型を用い、射出成形
機のシリンダ温度[PPS樹脂組成物の成形可能下限温
度+10]℃、金型温度130℃の条件で射出成形し、
厚み1mmのASTM4号ダンベルのほぼ中央部にウェ
ルド部を有するウェルド成形品(X)を作成する。ま
た、上記において一方のゲートから射出成形されたウェ
ルド部を有さない非ウェルド成形品(Y)を上記と同条
件、すなわち、射出成形機のシリンダ温度を[PPS樹
脂組成物の成形可能下限温度+10]℃、金型温度を1
30℃の条件で射出成形して作製する。
【0044】なお、現実の射出成形には上記設定条件の
誤差として、通常下記範囲程度は許容される。
【0045】シリンダ温度:[PPS樹脂組成物の成形
可能下限温度+10]±8℃ 金型温度:130℃±10℃ (2)ウェルド強度保持率の測定方法 上記テストピースを室温23±2℃、相対湿度50±5
%下に15時間以上調整する。
【0046】次いで、ウェルド成形品(X)およびウェ
ルド部を有さない非ウェルド成形品(Y)をスパン間距
離64mm、歪み速度1mm/minの条件で引張強度
を測定する。
【0047】各テストピースの引張強度を式(1)に代
入してウェルド強度保持率を求める。
【0048】ウェルド強度保持率の測定方法としては、
上述したPPS樹脂組成物を下記設定条件で射出成形し
たほぼ中央部にウェルド部を有するウェルド成形品
(X)およびウェルド部を有さない非ウェルド成形品
(Y)の引張強度を各々測定し、これら成形品の引張強
度から式(1)により求める。
【0049】ウェルド強度保持率(%)=(ウェルド部
を有するウェルド成形品(X)の引張強度/ウェルド部
を有さない非ウェルド成形品(Y)の引張強度)×10
0----(1) 本発明のPPS樹脂成形品は上述のPPS樹脂組成物を
溶融成形することにより製造することができる。溶融成
形する方法としては射出成形、押出成形、ブロー成形な
ど制限はないが、射出成形で成形することが好ましい。
好ましい射出成形法としては、例えば、シリンダー温度
をPPS樹脂組成物の成形可能下限温度から成形可能下
限温度+60℃の範囲で設定された射出成形機に前記の
PPS樹脂組成物を供し、金型温度を約90℃から15
0℃の温度条件に設定し、望みの成形品の金型に射出成
形してウェルド部を有するPPS樹脂成形品を得るなど
の方法が推奨される。該成形品を射出成形する際のゲー
ト数は特に制限はなく、1点あるいは2点以上のゲート
を用いて成形することができる。
【0050】本発明のPPS樹脂成形品は、例えば上述
のように成形することができるが、その成形品は少なく
とも一か所以上のウェルド部を有することが必要であ
る。
【0051】本発明でいうウェルド部とは成形加工の過
程で少なくとも一方の樹脂が溶融した状態で他方の樹脂
と接触してできる部分をいう。樹脂どうしが同一であっ
てもよく、違っていてもよい。
【0052】本発明により得られたPPS樹脂成形品
は、バリ発生が少なく、ウェルド強度に優れ、機械的強
度に優れた樹脂成形品であり、センサー、LEDラン
プ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、ス
イッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケー
ス、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プ
ラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイク
ロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベ
ース、パワーモジュール、半導体、液晶、FDDキャリ
ッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、
パラボラアンテナ、コンピューター関連部品等に代表さ
れる電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロ
ン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、
音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクト
ディスク等の音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エ
アコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー
部品等に代表される家庭、事務電気製品部品;オフィス
コンピューター関連部品、電話器関連部品、ファクシミ
リ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部
品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関
連部品:顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計等に代表される
光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナ
ル、オルタネーターコネクター,ICレギュレーター、
ライトディヤー用ポテンシオメーターベース、排気ガス
バルブ等の各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種
パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテー
クマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイン
ト、キャブレターメインボディー、キャブレタースペー
サー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサ
ー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジ
ションセンサー、クランクシャフトポジションセンサ
ー、エアーフローメーター、ブレーキパッド摩耗センサ
ー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フロー
コントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシ
ュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベ
イン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュータ
ー、スタータースイッチ、スターターリレー、トランス
ミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャー
ノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気
弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナ
ル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ラン
プソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、
ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイル
フィルター、点火装置ケース等の自動車・車両関連部
品、その他各種用途に有用である。
【0053】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。
【0054】参考例、実施例および比較例の中で述べら
れる数平均分子量、ウェルド強度、ならびにバリ長さは
各々次の方法に従って評価測定した。
【0055】数平均分子量:Waters社製、ゲル浸
透クロマトグラフ装置を用い、高分子論文集 44巻
(1987)2月号139〜141頁に開示された方法
に準じて実施した。
【0056】ウェルド強度:1mm厚みのASTM4号
ダンベル金型でウェルドあり、なし品を型締力25トン
の射出成形機を用いてシリンダー温度(成形可能下限温
度+10)℃、金型温度130℃の条件で成形した。
【0057】バリ長さの測定:50のピン穴を有する8
0×7×10Hmmコネクターを型締力20トンの射出
成形機(日精PS20E2ASE)を用いてシリンダー
温度305℃、金型温度130℃の条件で成形し、その
コネクターのピンゲートから近い方から3、9、18、
28、38、48番目のピン穴6か所のバリ長さを測定
し平均した。バリ長さが短いほどバリ特性は優れてい
る。
【0058】参考例1 本実施例ならびに比較例で、成分(A)の主微粒PPS
樹脂として数平均分子量がそれぞれ9000(PPS−
1)、10000(PPS−2)である実質的に架橋構
造を有さないPPS樹脂を使用した。
【0059】参考例2(ポリフェニレンスルフィドの重
合) オートクレーブに硫化ナトリウム3.26Kg(25モ
ル、結晶水40%含む)、水酸化ナトリウム4g、およ
びN−メチルピロリドン(以下NMPと略す)7.9K
gを仕込み、撹拌しながら徐々に210℃まで昇温し、
水1.36Kgを含む留出水約1.5lを除去した。残
留混合物に1,4−ジクロロベンゼン3.75Kg(2
5.5モル)およびNMP2Kgを加え、265℃で3
時間加熱した。反応生成物を70℃の温水で5回洗浄
し、pH4.5の酢酸水溶液を用いて、70℃で2回洗
浄したのち80℃で24時間減圧乾燥して、数平均分子
量3700の粉末状PPS樹脂(PPS−3)を約2K
gを得た。
【0060】参考例3(ポリフェニレンスルフィドの重
合) オートクレーブに硫化ナトリウム3.26Kg(25モ
ル、結晶水40%含む、水酸化ナトリウム4g、酢酸ナ
トリウム三水和物1.22Kg(約9モル)およびN−
メチルピロリドン7.9Kgを仕込み、撹拌しながら徐
々に210℃まで昇温し、水1.36Kgを含む留出水
約1.5lを除去した。残留混合物に1,4−ジクロロ
ベンゼン3.72Kg(25.3モル)、1,2,4−
トリクロロベンゼン0.036Kg(0.2モル)およ
びNMP2Kgを加え、265℃で4時間加熱した。反
応生成物を70℃の温水で5回洗浄し、PH4.5の酢
酸水溶液を用いて、70℃で2回洗浄したのち80℃で
24時間減圧乾燥して数平均分子量19000の粉末状
PPS樹脂(PPS−4)を約2Kgを得た。
【0061】参考例4(液晶性ポリマの重合) p−ヒドロキシ安息香酸994.5g(7.2モル)、
4,4´−ジヒドロキシビフェニル125.7g(0.
675モル)、無水酢酸960.2g(9.4モル)、
テレフタル酸112.1g(0.675モル)および固
有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレー
ト216.2g(1.125モル)を攪拌翼、留出管を
備えた反応容器に仕込み、次の反応条件で脱酢酸重縮合
を行なった。
【0062】窒素ガス雰囲気化に100〜150℃で4
時間反応させた後、2.5時間かけて250℃まで昇温
し、さらに250℃で1.5時間反応を続けた。さらに
2時間かけて系内を320℃まで昇温させた後、1時間
で0.5mmHgに減圧し、さらに0.5時間反応さ
せ、重縮合を完結させたところ、ほぼ理論量の酢酸が留
出し、下記の理論構造式を有する半芳香族液晶ポリエス
テル(LCP−1)を得た。
【0063】
【化19】 k/l/m/n=80/7.5/12.5/20 得られたポリエステルの液晶開始温度は294℃、融点
は315℃となった。
【0064】実施例1〜8 PPS樹脂、液晶性ポリマ、特定のエポキシ化合物およ
びガラス繊維(GF)を表1に示す割合でドライブレン
ドした後、310℃の温度条件に設定した2軸式押出機
により溶融混練後ペレタイズした。得られたペレットを
用い、射出成形を行い、バリおよびウェルド強度評価試
験片を得た。得られた試験片について測定したウェルド
強度およびバリ長さを表1に示す。
【0065】比較例1〜3、6 エポキシ当量200以下でかつ特定のジグリシジル基を
有するエポキシ化合物を用いないこと以外は、実施例1
〜8と同様にして、表1に示す割合でドライブレンド、
溶融混練、ペレタイズ、成形、物性評価を行なった。そ
の結果を表1に併せて示す。
【0066】比較例4〜5 数平均分子量の7000〜15000のPPS樹脂を用
いないこと以外は、実施例1〜8と同様にして、表1に
示す割合でドライブレンド、溶融混練、ペレタイズ、成
形、物性評価を行なった。その結果を表1に併せて示
す。
【0067】PPS樹脂と液晶性ポリマに上記の特定の
エポキシ化合物を配合することにより、大きな強度低下
を伴うことなく、バリが大きく低減し、ウェルド強度も
高くかつ保持率も高い。しかし、上記特定のエポキシ化
合物を配合しないとバリは非常に多くまたウェルド強度
も低下することがわかる。
【0068】また、PPS樹脂の平均分子量が7000
〜15000の範囲内でないと機械的強度の低下とバリ
の低減効果が小さいことがわかる。
【0069】
【表1】
【0070】
【発明の効果】本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂
成形品は成形時に発生するバリが少なく、機械的強度特
にウェルド強度が優れており、特に射出成形による、ウ
ェルド部生成が避けられない形状の小型精密部品などの
用途に有用である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年3月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】
【化6】 (上式中Gは
【化7】 を示す。) ウェルド強度保持率(%)=(ウェルド部を有するウェ
ルド成形品(X)の引張強度/ウェルド部を有さない非
ウェルド成形品(Y)の引張強度)×100----(1) (設定条件 シリンダ温度:[ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
の成形可能下限温度+10]℃金型温度:130℃ 成形品:厚み1mmのASTM4号ダンベル ) w≧α−0.7b ……(2) (上式中bは(A)成分と(B)成分の合計に対する
(B)成分の割合(%)を表わし、wはウェルド強度保
持率(%)を示す。αはα=−0.6g+55で算出さ
れる定数であり、gは全組成物中の(D)成分の割合
(%)を示す。)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)1−クロロナフタレンを溶媒とする
    ゲル浸透クロマトグラフ法で求められた数平均分子量が
    7000〜15000の実質的に架橋構造を有さないポ
    リフェニレンスルフィド樹脂95〜5重量%と(B)溶
    融時異方性溶融相を形成し得る液晶性ポリマ5〜95重
    量%からなる樹脂組成物100重量部に対して、(C)
    下記構造式(a)、(b)で示されるエポキシ化合物か
    ら選ばれた1種以上のエポキシ化合物0.1〜5重量部
    および(D)充填剤0〜400重量部を配合してなるポ
    リフェニレンスルフィド樹脂組成物であって、かつ、該
    組成物を下記設定条件で射出成形したほぼ中央部にウェ
    ルド部を有するウェルド成形品(X)およびウェルド部
    を有さない非ウェルド成形品(Y)の引張強度を各々測
    定し、これら成形品の引張強度から式(1)で求められ
    るウェルド強度保持率が10%以上、かつ、下記式
    (2)を満たす組成物を溶融成形してなるウェルド部を
    有するポリフェニレンスルフィド樹脂成形品。 【化1】 (上記Gは 【化2】 を示す。) ウェルド強度保持率(%)=(ウェルド部を有するウェ
    ルド成形品(X)の引張強度/ウェルド部を有さない非
    ウェルド成形品(Y)の引張強度)×100----(1) (設定条件 シリンダ温度:[ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
    の成形可能下限温度+10]℃ 金型温度:130℃ 成形品:厚み1mmのASTM4号ダンベル) w≧α−0.7b ……(2) (上式中bは(A)成分と(B)成分の合計に対する
    (B)成分の割合(%)を表わし、wはウェルド強度保
    持率(%)を示す。αはα=−0.6g+55で算出さ
    れる定数であり、gは全組成物中の(D)成分の割合
    (%)を示す。)
  2. 【請求項2】ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が、
    ウェルド強度保持率が25%以上、かつ、式(2)を満
    たすものであるウェルド部を有するClaim 1記載の液晶
    性樹脂成形品。
  3. 【請求項3】溶融時に異方性溶融相を形成し得る液晶性
    ポリマが液晶ポリエステルおよび/また液晶ポリエステ
    ルアミドである請求項1記載のポリフェニレンスルフィ
    ド樹脂成形品。
  4. 【請求項4】液晶性ポリマが(B)エチレンジオキシ単
    位を共重合成分として含有する半芳香族液晶ポリエステ
    ルおよび/または半芳香族液晶ポリエステルアミドであ
    る請求項2記載のポリフェニレンスルフィド樹脂成形
    品。
  5. 【請求項5】半芳香族液晶ポリエステル(B)が下記構
    造単位(I) 、(III) 、(IV)または(I) 、(II)、(III) 、
    (IV)を主構造単位とする異方性溶融相を形成する半芳香
    族液晶ポリエステルである請求項1記載のポリフェニレ
    ンスルフィド樹脂成形品。 【化3】 (ただし、式中R1は 【化4】 から選ばれた一種以上の基を示し、R2は 【化5】 から選ばれた一種以上の基を示す。また、式中Xは水素
    原子または塩素原子を示し、構造単位(IV)は構造単位
    [(II)+(III) ]と実質的に等モルである。)
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003268241A (ja) * 2002-03-13 2003-09-25 Toray Ind Inc 成形品用液晶性樹脂組成物および成形回路基板
CN102532898A (zh) * 2010-12-27 2012-07-04 重庆工商大学 电池隔膜及废油处理用tlcp/pps塑料配方
WO2023276699A1 (ja) * 2021-06-30 2023-01-05 大塚化学株式会社 液晶ポリマー組成物および液晶ポリマー成形体

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