JPH072209B2 - 固体の水不溶性有機化合物の均一な寸法の粒子を製造する方法 - Google Patents

固体の水不溶性有機化合物の均一な寸法の粒子を製造する方法

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JPH072209B2
JPH072209B2 JP60160414A JP16041485A JPH072209B2 JP H072209 B2 JPH072209 B2 JP H072209B2 JP 60160414 A JP60160414 A JP 60160414A JP 16041485 A JP16041485 A JP 16041485A JP H072209 B2 JPH072209 B2 JP H072209B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、固体の水不溶性有機化合物の均一な寸法の粒
子を製造する方法に関する。
従来の技術 低い水溶性を有する化合物の粒子は、セラミツク、ペイ
ント、インキ、染料、潤滑剤、殺虫剤、殺菌剤、肥料、
クロマトグラフイーカラム、化粧品、ローシヨン、軟膏
及び洗浄剤を含む、広範囲の多種多様な適用形で一般に
使用される。粒子の分散液は大抵の場合有機溶剤と関連
した可燃性及び毒性のような障害を回避するために使用
される。このような分散液は典型的には広範囲の粒子寸
法を有する。
大抵の場合、製品は粒子寸法分布を制御することにより
改良される。一般に、化合物の小さい粒子は同じ化合物
の大きい粒子よりも急速に溶解する。従つて、粒子寸法
の制御は、溶解速度を制御することが重要である。
多くの薬剤は経口投与又は皮下注入後の解放を制御する
ためには粒子として製剤された。粒子寸法は、このよう
な薬剤の解放速度を左右する1つの重要なフアクタであ
る。当業者は前記の物質の製品を制御するために粒子寸
法を使用するための別の実施例を想到することができ
る。
水中に不溶である薬剤は、直径3ミクロン未満の粒子の
安定な懸濁液として製剤した場合に重要な利点を有す
る。この特殊な形態では、薬剤は静脈内注入し、血液内
を循環させることができ、かつ有利に例えば細網内皮系
に蓄積し、そこで解毒のような正常な細網内皮機能を促
進することができる。選択的に、薬剤を細網内皮細胞内
に蓄積し、そこで活性形に溶解又は物質代謝されるまで
貯蔵し、そこから作用させるために血液内を別の組織に
循環する。この有効物質の緩慢な解放は、数時間、数日
間、数週間又は数ケ月の期間にわたつて血漿内のより一
定の有効物質濃度を提供することができ、改良された治
療効果をもたらす。放射線不透過性であるか又は放射性
同位体で標示された生物分解可能な粒子は、固定された
細網内皮機能の高濃縮で肝臓及び脾臓のような器官の診
断造像のために有用である。
例えばハリー・W・フイツシヤー(Harry W・Fischer)
著、“ジヤーナル・オブ・テオレチカル・バイオロジー
(Journal of Theoretical Biology)67、653〜670頁
(1977年)著の”インプルーブメント・イン・ラジオグ
ラフイツク・コントラスト・メデイア・スロー・ザ・デ
ベロツプメント・オブ・コロイダル・オア・パーチキユ
レート・メデア:アン・アナリシス(Improvement in R
adiographic Contrast Media Through the Development
of Colloidal or Particulate Media:an Analysis)に
説明されているように、不溶性粒子放射線不透過性造影
剤に関しては、多くの利点が既に確認されている。この
技術に関するより最近の文献としては、バイオランテ
(M.R.Violante)、フイツシヤー(H.W.Fischer)、及
びマホニー(J.A.Mahoney)著、“パチキユレート・コ
ントラスト・メデイア(Particulate Contrast Medi
a)、”Invest.Radiol.15:329頁、1980年11〜12月及び
バイオランテ(M.R.Violante)、デイーン(P.B.Dea
n)、フイツシヤー(H.W.Fischer)及びマホニー(J.A.
Mahoney)著、“パチキユレート・コントラスト・メデ
ア・フオア・コンピユーター・トモグラフイツク・スキ
ヤニング・オブ・ザ・リバー(Particulate Contrast M
edia for Computer Tomographic Scanning of the Live
r)”、Invest.Radio l.15:171頁、1980年11〜12月が挙
げられる。
食細胞によつて蓄積させかつ別の器官及び組織への循環
のために血漿の持続的解放のために徐々に溶解させるこ
とができる、直径3ミクロン以下の粒子の懸濁液として
製剤された薬剤の静脈内投与のためには著しい医療的意
義がある。粒子懸濁液として製剤するために適当な明ら
かな医療部類には、抗新生物質、抗菌物質、抗ウイルス
物質、抗凝固剤、血圧降下剤、抗ヒスタミン薬、抗マラ
リア薬、男性及び女性用避妊薬、抗癲癇薬、抑制剤、抗
抑制剤、副腎皮質ステロイド、ホルモン、ホルモン拮抗
剤、心臓グリコシド、免疫学的抑制剤、ベータ遮断剤、
水不溶性ビタミン、交感神経興奮剤、低血糖症剤、過血
糖症剤、鎮痛剤、精神安定剤及び情調変化剤及びその他
を包含する。アルコール中毒、薬物中毒及びその他の多
くのものの治療も、適当な薬物の粒子懸濁液の静脈内投
与により改良することができる。微粒子状薬剤懸濁液の
別の医療適用形は、当業者にとつては自明なことであ
る。
粒子寸法の正確な制御は、このような製剤の安全性及び
有効性にとつて重要である。粒子は閉塞を起すことなく
毛細管を安全に通過させるために直径が3ミクロン未満
であるべきである。このことは静脈内投与のためには重
要である、それというのも該粒子は肝臓及び脾臓の固定
された細網下皮細胞に達する前に肺の毛細管を通過せざ
るを得ないからである。粒子直径0.01〜0.1ミクロンに
対する制限は、特定の組織、例えば毛細管が正常な組織
の毛細管よりも幾分か大きい新生物内への該粒子の選択
的蓄積を惹起する。10ミクロンよりも大きい直径を有す
る粒子の懸濁液は、新生物ような異常な組織を供給する
管を故意に閉塞するための選択的動脈内投与のために有
用である。粒子直径の正確かつ厳密な制御は、これらの
適用の夫々において逆効果を最少にするか又は回避する
と同時に有効性にとつて重要なことである。
水不溶性化合物を製造する通常の方法によれば、多種多
様な寸法を有する粒子が得られ、該粒子の多数のものは
当該目的のためには不適当である。種々の寸法の混合物
から所望の粒子寸法を機械的に選別又は分類は困難かつ
不満足である。遠心分離及び過は、全てが正確に同じ
所望の寸法ある粒子の高い収率をもたらさない。
水不溶性放射線不透過性造影剤の研究によれば、常法で
得るのが極めて困難である特殊な寸法の一様な粒子が所
望された。従つて、予め決定した寸法の粒子を直接的に
形成する1つの方法で沈殿法が研究された。この場合に
は、“インベスチゲーチブ・ラジオロジー(Investigat
ive Radiology)”15、329頁、1980年11〜12月の“パチ
キユレート・コントラスト・メデア(Particulate Cont
rast Media)”に報告された1つの材料及び方法で一部
分成功しているが、但しこの方法は別の材料では操作さ
れ得ずかつ製造される粒子の正確な変更及び制御を行な
うことができない。
発明が解決しようとする問題点 従つて、本発明の課題は、水性分散液中で使用される水
不溶性薬剤又はその他の化合物の予め決定された粒子を
得るために有利には1/10000部未満の水不溶性を有する
任意の薬剤又はその他の化合物でも有効である方法を提
供することであつた。
問題点を解決するための手段 前記課題は、固体の水不溶性有機化合物の均一な寸法の
粒子を製造する方法において、 (a)化合物のための水と混和可能な有機溶剤中の固体
の有機化合物の溶液を製造し、この際固体の有機化合物
は実質的にほとんど水溶性を有していない、 (b)約10ミクロンまでの粒子直径範囲から選択される
均一な寸法の実質的に凝結していない粒子の形の沈殿し
た、無定形の非結晶質固体の有機化合物の懸濁液が形成
されるように、約−10℃〜約100℃の温度でかつ溶液50m
l単位容量当り約0.01ml/分〜約1000ml/分の注入速度で
有機溶液に水性沈殿液を注入し、この場合粒子寸法は直
接的に沈殿中の溶液温度に比例しかつ注入速度に逆比例
する、 (c)上記粒子を有機液から分離しかつ水性洗浄液中で
洗浄する ことにより解決される。
沈殿液を注入した溶液はかきまぜるのが有利である。こ
のかきまぜは攪拌、ふりまぜ、液体の2つの流れの合
流、液体自体の噴入、及び当業者に公知の別の技術によ
つて実施することができる。
本発明の有利な実施例では、粒子を有機溶剤から分離す
る以前に、懸濁液に付加的に水性沈殿液を加える。分離
は例えば遠心分離、膜過、逆浸透又はその他の方法で
実施することができる。
水性洗浄液は水性沈殿液と同じであつてよく、かつ患者
に注入するために製薬学的に認容可能であつてもよい。
水性沈殿液は水、鉱物塩の溶液、又は表面活性剤溶液で
あつてよい。適当な表面活性剤水溶液は、ポリビニルピ
ロリドンC−30 5%、ポリビニルピロリドンC−15
0.1%、ヒトの血清蛋白0.1%、フルロニックF−68〔ポ
リロキサマー(poloxamer)188〕0.1%及びゼラチン0.3
3%、又はヘタスターチ0.6%と合したゼラチン0.33%、
プロピレングリコール0.02%、又は蔗糖2%から成る。
水性沈殿液は標準ゲージの針を通して注入することがで
きる。
粒子の平均直径は約10ミクロンまで、有利には0.01〜約
5ミクロンの範囲にあつてよい。
本発明に基づいて製造された粒子は、典型的には50%の
最大相対標準分布を伴う粒子寸法分布を有し、この場合
例えば1.0ミクロンの平均寸法を有する粒子の95%は0.5
〜1.5ミクロンの寸法範囲内にある。
固体の有機化合物は、有利には約1/10000部未満の水溶
性を有し、かつ該化合物は有機金属であつてよい。一般
に、本発明の別の要求に相応する、多数の薬剤を包含す
る任意の化合物が適当である。ヘパリン錯体を使用する
場合には、表面活性剤は不必要である。
有機溶剤はジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミ
ド、N,N′−ジメチルアセトアミド、フエノール、イソ
プロパノール、又はその他の溶剤であつてよい。
有利な1実施態様では、本発明方法は、有機溶剤を製造
した後かつ注入工程前に、非溶剤と溶剤との比が約100:
1〜約1:100であるように有機溶液を非溶剤液で希釈する
工程を付加的に含む、従つて粒子寸法は直接非溶剤対溶
剤の比に関係する。
もう1つの有利な実施例では、非溶剤は有機化合物が水
中におけるよりも僅かに良好に可溶であるものである。
特に有利な実施態様では、ヨージパミドエチルエステ
ル、三沃化安息香酸のエチルエステルをジメチルスルホ
キシド中に溶解しかつエタノールで希釈する;エタノー
ル対ジメチルスルホキシドの比が2よりも大きい場合に
は、平均粒子直径は約1ミクロンよりも大きくなり、か
つエタノール対ジメチルスルホキシドの比が2よりも小
さければ、平均粒子直径は約1ミクロンよりも小さくな
る。
次に添付図面を参照して本発明を詳細に説明する。
記述のように、本発明は水分溶性化合物を予め規定され
た寸法を有する均一な粒子として製造することに関す
る。該粒子は化合物が可溶である有機溶剤から水相内へ
の化合物の沈殿を慎重に制御することにより形成され
る。
第1図及び第2図には、本発明に包含されると見なされ
る物理化学的原理が示されている。第1図は、系の自由
エネルギーは化合物が有機溶剤中に溶解されている場合
が、化合物が微粒子状又は結晶状態で存在する場合より
も高いことを示す。沈殿中に化合物はその自由エネルギ
ーが溶液と結晶相間の中間にある状態である準安定な微
粒子形にトラツプしない限り、最も低いエネルギー状態
である結晶形に転化する。至当に実施されると、本発明
は化合物の準安定な状態へのトラツピングを可能にし、
結晶状態への変遷を阻止する。
沈殿中に形成される粒子の寸法分布は、沈殿の開始と終
了時との間の時間間隔と相関させることができる。第2
図に示されているように、極めて短い時間間隔は不均等
な寸法の粒子(A)の形成をもたらすが、一方極めて長
い時間間隔は広幅の粒子寸法分布(B)を惹起する。中
間的条件は中間的粒子寸法分布をもたらす。
本発明を利用するための重要なパラメータは、化合物の
水溶性である。本発明では実質的に水不溶性を有する固
体の有機化合物を使用することが必要である。1/10000
部未満の水溶性を有する化合物が本発明の技術のために
は理想的に好適であることが判明した。より水溶性であ
る化合物を本発明で使用することもできるが、但し溶解
性が高くなる程に、化合物の幾分かが水相内に溶解しか
つより安定な結晶状態へ遷移する可能性が増大する。ま
た、水相への再溶解が粒子寸法分布を拡大する場合があ
る。これらの目的のためには1/10000部未満の水溶性を
有する化合物が有利である。
1/10000部未満の溶解度を有する均等なかつ予め決定さ
れた寸法の粒子を作るためには、適当な有機溶剤中の固
体の有機化合物の溶液が有利である。該溶液は薬剤又は
その他の化合物を沈殿させない非溶剤で希釈することが
できる。水性沈殿液は、有利には表面活性剤を用いて、
薬剤又はその他の化合物の両者を沈殿させかつ得られた
化合物の粒子の懸濁液を凝結しないように安定化するた
めに十分な量で調製することもできる。凝結しない化合
物を使用する場合には、沈殿液として水だけを使用する
こともできる。該水溶液は、有機溶液の攪拌速度、水溶
液の注入速度、有機溶液の容量及び溶液及び懸濁液の温
度を包含する条件を慎重に制御しながら有機溶液に注入
すべきである。
粒子寸法を調整するためにパラメータを変更させる研究
過程で、以下の3つの有用な関係が判明した。
1)溶液をより多くの非溶剤で希釈すると、大きな粒子
が生成し、かつより少ない非溶剤で希釈すると小さな粒
子が生成する。
2)沈殿中の溶液の温度を高くすると、大きな粒子が生
成し、かつ沈殿中の溶液の温度を低くすると、小さい粒
子が生成する。
3)有機溶液の所定の攪拌速度で、水溶液の注入速度を
高めると、小さい粒子が生成し、一方注入速度を遅くす
ると大きな粒子が生成する。
沈殿が完了すると、均等な寸法の粒子を液体から分離し
かつ有機溶剤を除去するために洗浄する。大抵の場合、
粒子は結晶形に転化するのを阻止するために迅速に液体
から分離すべきである。
本発明で使用される化合物は、有利には1/10000部未満
の水溶性を有する、有機金属化合物を含む、固体の有機
材料である。その他の点では、本発明方法を実施するに
当つては、特殊な化合物及びその目的はあまり重要でな
い。
第1工程は、上記のような化合物のために適当である有
機溶剤中の当該化合物の溶液を製造することである。こ
のことは化合物を溶解した固体として合成するか、又は
選択した溶剤中に化合物を簡単に溶解させることにより
実施することができる。
溶剤は化合物に適するように選択すべきである。例えば
ジメチルホルムアミド(DMF)はイオタラメートエチル
エステル(IEE)及びイオセクアメートエチルエステル
(IFE)用の溶剤であり、かつジメチルスルホキシド(D
MSO)はヨージパミドエチルエステル(IDE)及びIEE用
の溶剤である。水と混和可能である化合物のためには任
意の十分な溶剤を使用することができる。
次の工程は、化合物を沈殿させない非溶剤で希釈するこ
とである。この非溶剤は液相内の化合物の溶解した分子
を一層分散させる。溶液を非溶剤で一層希釈すると、よ
り大きな粒子が生成し、かつ非溶剤での溶液の希釈度が
低ければ小さな粒子が生成する。
非溶剤はそれを溶液に加えた際に化合物を沈殿させるべ
きでない。化合物が水中にけるよりも僅かにより可溶性
である非溶剤が有利である。低級脂肪族アルコール、例
えばエタノールは、DMSO中のIDE及びIEEの溶液のための
有効な非溶剤である。三沃化安息香酸のエチルエステル
に関しては、非溶剤対溶剤の割合が2以上の比で1〜3
ミクロンの寸法の粒子を別のパラメータに基いて形成す
ることができかつ2未満の比は、少なくともエタノール
で希釈したDMSO溶液に適用されるような極微粒子を製造
することができる。
溶液から所望の粒子寸法で化合物を沈殿させるために
は、化合物を完全に沈殿させかつ化合物の粒子の得られ
た懸濁液を凝結に対して安定化するために十分な量の表
面活性剤の水溶液を製造する。該表面活性剤は凝結に対
して安定化し、かつ水は沈殿剤となる。超表面活性剤が
存在することは、液体内に懸濁された前沈殿した粒子が
凝結せず、不当に大きな寸法の粒子を形成しないように
確実に安定化するために望ましい。大抵の場合には表面
活性剤が使用されるが、若干の化合物は表面活性剤を使
用しなくても安定な、実質的に凝結してない粒子を形成
すると見なされる。このような非凝結化合物の例は特定
のヘパリン錯体である。
比較的高い表面電荷を有する粒子は水性沈殿溶液内にあ
まり界面活性剤を必要としないと見なされる。粒子の表
面電荷は、屡々距離と共に降下する電荷の測定値である
ジータ電位として示される。それを上回ると界面活性剤
が不必要であるが、それ以下では沈殿した粒子を凝結し
ないようにするために公知で限界ジータ電位が存在しう
る。ジータ電位は直接的に有機化合物の極性又は正味電
価と相関する。従つて、水性沈殿溶液内の界面活性剤の
必要性は、本発明方法で使用される有機化合物の範囲か
ら決定することができる。例えばヘパリン錯体は高荷電
されており、かつ水で沈殿させると安定な凝結しない粒
子を形成する。
一般に、このような理論にもかかわらず、経験的に以の
方法で十分で満足される、すなわち沈殿をまず水で実施
し、かつ凝結が生じる際には、次いで界面活性剤の存在
での沈殿を行なう。界面活性剤は化合物と相溶性であり
かつ化合物粒子の懸濁液を安定化する能力を有するよう
に選択すべきである。IEE及びIDE薬剤で作業するために
は、ポリビニルピロリドン(C−30)5%、ポリビニル
ピロリドン(C−15)0.1%又はヒトの血清蛋白0.1%の
溶液が有利である。また、フルロニックF−68〕ポロキ
サマー188、ポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピ
レン)ポリマー〕0.1%、ゼラチン0.33%、ゼラチン0.3
3%+ヘタスターチ0.6%、ゼラチン0.33%+プロピレン
グリコール0.002%、及びゼラチン0.33%+蔗糖2%、
又は当業者に公知の別の界面活性剤を使用することがで
きる。
所望の寸法の化合物粒子を沈殿させるためには、温度、
攪拌速度に対する注入速度の割合及び分散溶液中の溶剤
に対する非溶剤の割合から成る条件を制御して、水溶液
と有機溶液を合わせることができる。
化合物の沈殿は発熱反応的に起る、従つて有機溶液及び
得られた懸濁液を加熱する。所望される沈殿物の粒子寸
法を達成するためには、溶液及び得られた懸濁液の温度
を制御すべきである。沈殿中の高い溶液温度は大きな粒
子を形成し、かつ沈殿中の低い溶液温度は小さい粒子を
形成する。
また、有機溶液の一定の攪拌速度で注入速度を高めると
小さい粒子が生成し、かつ注入速度を遅くすると、大き
な粒子が生成する。
第3〜5図は、異なつた注入速度及び温度でリビニルピ
ロリドンの5%の水溶液を使用してエタノール2部に対
して溶液1部で希釈したDMSO溶液からIDEを沈殿させる
際にパラメータを変更した場合の粒子寸法に対する効果
を示す。
第3図は、有機化合物のヨージパミドエチルエステル及
びジメチルスルホキシド/エタノール溶剤の容量及び攪
拌速度を増大させる場合、4℃で直径1ミクロンの粒子
を製造するためには、界面活性剤水溶液の注入速度を、
注入速度(ml/分)=23+0.14〔容量(l)×攪拌速度
(r.p.m)〕で規定されるように比例的に増加させるべ
きことを示す。
第4図は、注入速度と〔攪拌速度×容量〕との比が一定
であれば、沈殿温度を高めると大きな粒子が生成するこ
とを示す。
第5図は、有機溶液中への沈殿液の注入速度に関する第
3図の20℃温度線からほぼ大きな粒子を遅い注入速度か
ら形成する曲線までプロツトしたものであり、温度と
〔攪拌速度×容量〕への比が一定であれば、粒子寸法は
沈殿液の注入速度に逆比例することを示す。
第3〜5図をまとめて考慮すれば、これらは温度を高く
しかつ混合速度を遅くすると大きな粒子が生成し、かつ
温度を低くしかつ混合速度を速めると小さな粒子が生成
することを示す。粒子寸法に影響を及ぼしうるもう1つ
のパラメータは、沈殿が開始する前の希釈剤の量であ
る。
沈殿が完了したら、エキストラ界面活性剤水溶液を、懸
濁された粒子が凝結しないように更に安定化するために
加えることができる。エキストラ溶液は迅速に加えるこ
とができる、それというのも実質的に全ての化合物が今
や一様な寸法の粒子として沈殿しているからである。沈
殿した粒子はそれが好ましくない寸法に再溶解又は再沈
殿するのを阻止するために有機溶解から迅速に分離すべ
きである。分離を実施するためには、遠心分離法が有利
である。その他の方法、例えば膜過、逆浸透、及び当
業者に公知の別の方法を好ましからぬ物質を除去するた
めに使用することもできる。有機液から粒子を分離した
直後に、溶剤及び過剰の界面活を除去するために標準的
食塩溶液で洗浄又はすすぐ。
実施例 次に、実施例により本発明方法を説明するが、しかしな
がら以下の実施例は特許請求の範囲に記載した本発明を
限定するものではない。
実施例1〜19は第I表に示す。この際には、固体の有機
化合物を有機溶液に溶解しかつ次いで特にことわりの無
い限り非溶剤で希釈した。次いで、水性沈殿液を注入針
を通して所定の速度、所定の温度でかつ所定の攪拌速度
で攪拌しながら溶液に注入した。夫々の実施例で得られ
た粒子の寸法を表に示す。
実施例1〜19は、低い水溶性を有する多種多様な化合物
を製造するためにはいかなる方法を使用することができ
かつどのような粒子寸法に対して実質的な精度及び予測
をもつて制御するかを示す。結果を至適化するために、
本発明によれば化合物毎に条件を変更させることができ
る。
前記実施例の範囲に基づき、当業者にとつては、別の多
数の化合物が同様な形式で処理しうることは自明であ
る。
また、実施例20は第I表に示されている。この実施例は
実施例1〜19と同じ形で実施すべきであり、かつ本発明
の範囲内で列記した化合物の粒子を形成することができ
る。
実施例21〜28は第II表に示す。この場合の夫々の実施例
では、所定の容量のヨージパミドエチルエステルを所定
容量のジメチルスルホキシドに溶解し、次いで所定の容
量で希釈した。水性沈殿液をポリビニルピロリドンから
製造し、次いで所定の注入速度で所定のゲージを有する
針を通して、溶液を所定の攪拌速度で攪拌しながら溶液
に注入した。沈殿は所定の温度で所定容器内で実施し
た。沈殿後、更に分散液を安定化するために所定量の食
塩液を加えた。夫々の実施例で、平均粒子直径は約1.0
ミクロンでありかつ実質的に均一であつた。
例29 患者に投与するためのヨージパミドエチルエステル粒子
の製法 患者に投与するためには、約1ミクロンの寸法を有する
ヨージパミドエチルエステル(IDE)の粒子を製造する
ことができる。IDEは胆嚢の放射線試験のために医療で
使用される水溶性放射線不透過性化合物である、ヨージ
パミドの水不溶性エチルエステルである。ヨージパミド
エチルエステルの合成は当業者に公知である(例えばア
ルコール及び酸によるエステル化又はシヨツテン−バウ
マン反応による)。
IDEは水中に極く僅かに可溶性(10-5M)でありかつジ
メチルスルホキシド(DMSO)/エタノール溶剤混合物が
容易に沈殿させることができる。しかしながら、この溶
液に水を簡単に添加すると、極端に粗い輪郭を有するID
E粒子をもたらし、これらの粒子は寸法が直径1ミクロ
ン未満から300ミクロン以上まで変動する。粗い輪郭は
導管の内皮細胞を損傷しかつ凝結を促進し、かつ大きな
粒子は肺動脈塞栓を引越すという問題点を照らして、本
発明方法は粒子寸法及び形状を制御するために極めて優
れた手段を提供する。
粒子沈殿法 ボールミリング、グラインデング又は超音波分離のよう
な粒子寸法を変性及び制御するための物理的方法は、極
めて広い範囲の粒子直径を有する製剤を生じる。これら
の方法は一般に肺臓毛細管床で塞栓しうる大きな粒子
(4〜5ミクロン以上)を排除するために使用される
が、一般にまた若干の極微粒子寸法の粒子を形成し、こ
のような極めて小さい粒子は、恐らく小さな直径の粒子
固有の極めて大きな表面積から惹起される蛋白質結合が
増大することに基づき、又は骨髄細胞による過剰の吸収
に基づき、1〜2ミクロンの粒子よりも毒性が高いこと
が判明した。
これらの問題を回避するために、所定の寸法の粒子を製
造するための化学的沈殿法が開発された。ポリビニルピ
ロリドンの水溶液を制御した速度及び温度で、ジメチル
スルホキシド/エタノール溶剤中に渡河したIDEに加え
ることにより、極めて狭い寸法分布で明らかに球状の無
定形粒子を製造することができる。1ミクロンの平均直
径を有する粒子を製造した場合には、顕微鏡測定によれ
ば粒子直径の全範囲は0.4〜2.0ミクロンであり、その場
合粒子の90%は0.5〜1.5ミクロンの範囲にある。
沈殿パラメータを慎重に制御することにより、異なつた
平均直径を示し、但し直径の一様に小さい範囲を有する
粒子沈殿物を製造することができる。
この方法を使用して製造したIDE粒子は、ほとんど明ら
かな凝結傾向を有しない全血液中で安定である。全血液
中に懸濁されると、1ミクロンIDE粒子に関しては自体
で又は血液の構成分と凝結する傾向を実質的に示さな
い。IDE粒子は滑らかな輪郭を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明で使用される化合物の種々の相の自由エ
ネルギー曲線を示す図、第2図は粒子の寸法分布と、沈
殿の開始時と終了時の間の時間間隔との相関関係を示す
図、第3図は一定の温度での攪拌速度(rpm)と有機溶
液の全容量(l)との積の関数として注入速度(水性沈
殿液)(ml/分)を示す図、第4図は水性沈殿液の注入
速度と〔攪拌速度(rpm)×有機溶液の容量〕との比が
一定で温度の関数としてヨージパミドエチルエステル粒
子寸法を示す図、第5図はヨージパミドエチルエステル
溶液の温度及び攪拌速度が一定で水性沈殿液の注入速度
を変更した際に粒子寸法に対する効果を示す図、及び第
6図は発明方法の有利な略示工程図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09B 67/00 Z 7306−4H

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固体の水不溶性有機化合物の均一な寸法の
    粒子を製造する方法において、 (a)化合物のための水と混和可能な有機溶剤中の固体
    の有機化合物の溶液を製造し、この際固体の有機化合物
    は実質的にほとんど水溶性を有していない、 (b)約10ミクロンまでの粒子直径範囲から選択される
    均一な寸法の実質的に凝結していない粒子の形の沈殿し
    た無定形の、非結晶質固体の有機化合物の懸濁液が形成
    されるように、約−10℃〜約100℃の温度でかつ溶液50m
    l単位容量当り約0.01ml/分〜約1000ml/分の注入速度で
    有機溶液に水性沈殿液を注入し、この場合粒子寸法は直
    接的に沈殿中の溶液温度に比例しかつ注入速度に逆比例
    する、 (c)上記粒子を有機液から分離しかつ水性洗浄液中で
    洗浄する ことを特徴とする、固体の水溶性有機化合物の均一な寸
    法の粒子を製造する方法。
  2. 【請求項2】粒子を分離する前に、懸濁液に水性沈殿液
    を付加的に加える、特許請求の範囲第1項記載の方法。
  3. 【請求項3】粒子を遠心分離、膜濾過又は逆浸透により
    分離する、特許請求の範囲第1項記載の方法。
  4. 【請求項4】水性洗浄液が水性沈殿液と同じである、特
    許請求の範囲第1項記載の方法。
  5. 【請求項5】水性洗浄液が患者に注入するために製薬学
    的に認容される、特許請求の範囲第1項記載の方法。
  6. 【請求項6】水性沈殿液が水及び鉱物塩の水溶液から成
    る群から選択される、特許請求の範囲第1項記載の方
    法。
  7. 【請求項7】水性沈殿液が表面活性溶液である、特許請
    求の範囲第1項記載の方法。
  8. 【請求項8】沈殿液がポリビニルピロリドン5%、ポリ
    ビニルピロリドン0.1%、ヒトの血清蛋白0.1%、プルロ
    ニックF−68 0.1%、ゼラチン0.33%及びヘタスター
    チ0.6%、ゼラチン0.33%及びプロピレングリコール0.0
    2%、及びゼラチン0.33%及び蔗糖2%の水溶液から成
    る群から選択される表面活性剤溶液である、特許請求の
    範囲第1項記載の方法。
  9. 【請求項9】水性沈殿液を標準ゲージの針を用いて注入
    する、特許請求の範囲第1項記載の方法。
  10. 【請求項10】平均粒子直径が約0.01ミクロン〜約0.1
    ミクロンの範囲から選択される、特許請求の範囲第1項
    記載の方法。
  11. 【請求項11】平均粒子直径が約1ミクロン〜約4ミク
    ロンの範囲から選択される、特許請求の範囲第1項記載
    の方法。
  12. 【請求項12】平均粒子直径が約1ミクロン〜約10ミク
    ロンである、特許請求の範囲第1項記載の方法。
  13. 【請求項13】固体の有機化合物が環境温度で約1/1000
    0部未満の水溶性を有する、特許請求の範囲第1項記載
    の方法。
  14. 【請求項14】固体の有機化合物が有機金属化合物であ
    る、特許請求の範囲第1項記載の方法。
  15. 【請求項15】固体の有機化合物が抗新生物質、抗菌物
    質、抗ウイルス物質、抗凝固剤、血圧降下剤、抗ヒスタ
    ミン剤、抗マラリア剤、避妊薬、抗癲癇薬、抑制剤、抗
    抑制剤、副腎皮質ステロイド、ホルモン、ホルモン拮抗
    剤、心臓グリコシド、免疫学的抑制剤、ベータ遮断剤、
    水不溶性ビタミン、交感神経興奮剤、低血 糖症剤、過
    血糖症剤、鎮痛剤、精神安定剤及び情調変化剤から成る
    群から選択されたものである、特許請求の範囲第1項記
    載の方法。
  16. 【請求項16】固体の有機化合物が三沃化安息香酸誘導
    体のエチルエステルである、特許請求の範囲第1項記載
    の方法。
  17. 【請求項17】固体の有機化合物がヨージパミドエチル
    エステル、ヨータラメートエチルエステル、イオセフア
    メートエチルエステル、2,2′,4,4′−テトラヒドロキ
    シベンゾフエノン、RSニトロセルロース、プロゲステト
    ン、ベータ−2,4,6−トリヨード−3−ジメチルホルム
    アミジノフエニルプロピオン酸エチルエステル、イソプ
    ロピルピロリジン誘導体(NSC−278214)、N-(トリフ
    ルオロアセチル)アドリアマイシ14バレエート及び1,2
    −ジアミノシクロヘキサンマリネート白金(II)から成
    る群から選択されたものである、特許請求の範囲第1項
    記載の方法。
  18. 【請求項18】固体の有機化合物がノレチステロン、ア
    セチルサリシン酸、ワフアリン、ヘパリントリドデジル
    メチルアンモニウムクロリド錯体、スルフアメトキサゾ
    ール、セフアレキシン、プレドニソロンアセテート、ジ
    アゼパム、クロンアゼパム、メチドン、ナロキソン、ジ
    スルフイラム、メルカプトプリン、ジギトキシン、プリ
    マギン、メフロキン、アトロピン、スコポラミン、チア
    ジド、フロセミド、プロパネロール、メチルメタクリレ
    ート、ポリメチルメタクリレート、5−フルオロデオキ
    シウジン、キトシンアラビノシド、アシクロビル、レボ
    ノルゲストレルから成る群から選択されたものである、
    特許請求の範囲第1項記載の方法。
  19. 【請求項19】有機溶剤がジメチルスルホキシド、ジメ
    チルホルムアミド、N,N′−ジメチルアセトアミド、フ
    エノール、及びイソプロパノールから成る群から選択さ
    れる、特許請求の範囲第1項記載の方法。
  20. 【請求項20】固体の有機化合物がヘパリン錯体であ
    り、有機溶剤がイソプロパノールであり、かつ水性沈殿
    液が水又は鉱物塩水溶液である、特許請求の範囲第1項
    記載の方法。
  21. 【請求項21】溶液の製造後かつ注入工程の前に、非溶
    剤と溶剤との比が約100:1〜1:100であるように有機溶液
    を非溶剤液で希釈する工程を含み、この場合粒子寸法が
    直接的に非溶剤と溶剤との比に関係する、特許請求の範
    囲第1項記載の方法。
  22. 【請求項22】非溶剤液が、固体の有機化合物を水より
    も僅かに良好に溶解するものである、特許請求の範囲第
    21項記載の方法。
  23. 【請求項23】非溶剤が低級脂肪族アルコールである、
    特許請求の範囲第21項記載の方法。
  24. 【請求項24】固体の有機化合物が、ヨージパミドエチ
    ルエステル及びイオセフアメートエチルエステルから選
    択され、有機溶剤がジメチルスルホキシド、非溶剤液が
    エタノールであり、エタノール対有機溶液の比が約2.0
    よりも大きく、かつ平均粒子直径が1ミクロンよりも大
    きい、特許請求の範囲第21項記載の方法。
  25. 【請求項25】固体の有機化合物がヨージパミドエチル
    エステル及びイオセフアメートエチルエステルから成る
    群から選択され、有機溶剤がジメチルスルホキシド、非
    溶剤液がエタノールであり、エタノール対有機溶液の比
    が約2.0よりも小さく、かつ平均粒子直径が1ミクロン
    よりも小さい、特許請求の範囲第21項記載の方法。
  26. 【請求項26】固体の有機化合物がヨージパミドエチル
    エステル、有機溶剤がジメチルスルホキシド、非溶剤が
    エタノール、水性沈殿液がポリビニルピロリドンの5%
    の水溶液、温度が4℃であり、かつ注入速度(ml/分)
    が23+0.14〔攪拌速度(r.p.m)〕×〔有機溶剤容量
    (l)〕でありかつ平均粒子直径が約1ミクロンであ
    る、特許請求の範囲第21項記載の方法。
  27. 【請求項27】平均粒子直径が約0.01ミクロン〜約10ミ
    クロンの範囲から選択される、特許請求の範囲第1項記
    載の方法。
  28. 【請求項28】平均粒子直径が約0.01ミクロン〜約5ミ
    クロンの範囲から選択される、特許請求の範囲第1項記
    載の方法。
  29. 【請求項29】粒子寸法分布が50%の最大相対標準偏差
    を有する、特許請求の範囲第1項記載の方法。
  30. 【請求項30】沈殿液を注入する間中、有機溶液を攪拌
    する、特許請求の範囲第1項記載の方法。
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