JPH0721967Y2 - メタルガスケット - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案に係るメタルガスケットは、自動車用エンジン
の排気系或は吸気系の継手部の気密を保持したり、シリ
ンダヘッドガスケットとしてシリンダブロック上面とシ
リンダヘッド下面との間の気密及び液密を保持する場合
等に利用出来る。

（従来の技術） エンジンの排気系は、排気管の途中に排気浄化器や消音
器等を装着する事で構成されるが、排気管の端部と排気
浄化器や消音器を構成するケーシングの端部とは、排気
が外部に漏洩しない様に、気密に接続する必要がある。

この為従来から、第３図に示す様に、排気浄化器等のケ
ーシング１の端部にフランジ２を溶接固定している。ケ
ーシング１と排気管３とを気密に接続するには、第４図
に示す様に、このフランジ２と排気管３の端部に溶接固
定したフランジ４とをガスケット５を介して重ね合わせ
ると共に、両フランジ２、４同士をボルト・ナット（図
示省略）により接合する。

上記ガスケット５は従前は、金属製の芯材の両面にアス
ベストを主体とするシール材の層を形成する事で造られ
ていた。ところが、近年アスベストの使用が制限されて
いる事、アスベストが耐熱性の面で必ずしも十分な性能
を発揮しない事から、金属製のメタルガスケットを使用
する場合が多くなっている。

このメタルガスケットは、例えば第５図に示す様に構成
されている。ステンレス鋼板（例えばJIS SUS304）等の
弾性を有する金属板６の中央部には、排気を通す為の通
孔７を、この通孔７の周囲の複数個所には、フランジ
２、４（第４図参照）同士を結合する為のボルトを挿通
する円孔８、８を、それぞれ穿設している。

この様なメタルガスケットには、上記通孔７の周囲に突
条９を、この通孔７の全周に亙って形成する。この様な
突条９は、フランジ２、４同士を結合した際にこの突条
形成部分の押圧力を高くして、通孔７の内側を流れる排
気の漏洩を確実に防止する。

突条９の形状としては、第６図に示す様な隆条型のもの
や、第７図に示す様なダイヤフラム型のものが、用途や
要求されるシール性能等に応じ、選択使用される。

（考案が解決しようとする課題） ところが、上述の様に構成され、１対のフランジ同士の
間に挟持した状態で使用される従来のメタルガスケット
に於いては、次に述べる様な不都合を生じる。

即ち、従来のメタルガスケットに於いては、突条９を通
孔７の全周に亙って切目なく形成しており、この突条９
の一部を、通孔７と円孔８、８との間を通過させてい
た。この為、円孔８、８と通孔７との距離をあまり近付
ける事が出来ない。従って、フランジ２、４が必要以上
に大きくなる事が避けられず、排気管３とケーシング１
との接合部の製作費や重量が嵩んでしまう。

本考案のメタルガスケットは、上述の様な不都合を解消
するものである。

（課題を解決するための手段） 本考案のメタルガスケットは、前述した従来のメタルガ
スケットと同様、第４図に示す様に、互いに結合される
２枚のフランジ２、４の間に挟持して使用される。この
メタルガスケットは、第１図に示す様に、金属板６の中
央部に排気等の流体を通す為の通孔７を、この通孔７の
周囲の複数個所（図示の例では２個所）に、上記２枚の
フランジ２、４同士を結合する為のボルトを挿通する為
の円孔８、８を、それぞれ穿設し、上記通孔７の周囲に
突条９を形成している。

更に、本考案のメタルガスケットに於いては、上記複数
の円孔８、８を上記突条９の頂部の延長線上に設け、こ
れら各円孔８、８により上記突条９の頂部を、これら複
数の円孔８、８部分でのみ不連続としている。

即ち、第１図に示した例に於いては、通孔７の周囲を囲
む様にして形成された突条９の途中に、この突条９を切
断する如く円孔８、８を形成する事により、この円孔
８、８部分のみ、突条９の頂部を不連続としている。

又、突条９は、第２図に示す様に、円孔８の近くまで形
成し、この円孔８には完全に達しない様にしても良い。
要は、突条９の頂部を、円孔８部分に於いてのみ不連続
として、円孔８から離れた部分は連続させた状態で形成
している。

（作用） 上述の様に構成される本考案のメタルガスケットは、従
来のメタルガスケットと同様に、ボルト・ナットにより
互いに接合される１対のフランジ２、４の間に挟持し、
両フランジ２、４の間の気密保持を図る。

特に、本考案のメタルガスケットの場合、通孔７の周囲
に形成した突条９を、複数の円孔８、８の近傍に於いて
のみ、不連続としている為、通孔７と各円孔８、８との
距離を、従来のメタルガスケットの場合に比べて近付け
る事が可能となる。この為、フランジ２、４の小型化に
より、排気管３とケーシング１との接合部等の製作費や
重量の低減を図れる。

気密保持の為の突条９が各円孔８、８の近傍に於いて不
連続となっているが、各円孔８、８には１対のフランジ
２、４同士を接合する為のボルトが挿通される。そし
て、これらフランジ２、４同士の接合時には、これらボ
ルトとナットとの螺合、緊締により、上記各円孔８、８
の近傍に於いて１対のフランジ２、４がメタルガスケッ
トを押圧する力が、円孔８、８から離れた部分に比べて
十分に強くなる。

この為、円孔８、８の近傍部分の気密性は、突条９がな
くても十分に保たれ、突条９が各円孔８、８の近傍に於
いて不連続となる事で、この近傍部分の気密性が悪化す
る事はない。この点に就いて、以下に詳しく説明する。

上記ボルトとナットとの螺合、緊締に基づいて上記１対
のフランジ２、４同士の間に挟持されたメタルガスケッ
トが、これら両フランジ２、４同士の間で強く押し付け
られ、これら両フランジ２、４同士の間の気密保持を図
る。この際、上記両フランジ２、４の弾性変形に基づい
て上記通孔７の周囲部分の押圧力が、上記各円孔８、８
の近傍部分では大きく、これら各円孔８、８から遠ざか
るに従って小さくなる。そこで、これら各円孔８、８か
ら離れた部分では、上記突条９が上記両フランジ２、４
同士の間で突っ張り、当該部分をシールする。

一方、上記ボルトが挿通される、上記各円孔８、８部分
の押圧力は、これら各円孔８、８から離れた部分に比べ
て各段に大きくなる。この為、上記突条９の一部でこれ
ら円孔８、８の周縁部に位置する部分は、完全に押し潰
される。例えば、第６図に示す様な隆条型の突条９を図
２に示す様に、円孔８にまで完全に達しない状態で形成
した場合、この突条９の不連続部の剛性が若干高くなる
が、この場合でも、上記各段に大きい押圧力に基づき、
この突条９の端部は完全に押し潰される。従って、上記
各円孔８、８部分で突条９の頂部が不連続であっても、
当該部分でメタルガスケットの両面と上記両フランジ
２、４の側面とが完全に密着する。従って、当該部分に
シール性悪化に結び付く隙間が生じる事はない。

尚、メタルガスケットの平面形状は、図示の形状に限定
されず、装着すべき継手部の形状に応じて、任意に選択
出来る事は勿論である。又、通孔７の形状も、円に限ら
ず、矩形等、流体通路の断面形状に合わせて選択出来
る。

（考案の効果） 本考案のメタルガスケットは以上に述べた通り構成され
作用する為、十分なシール性を確保したまま、１対のフ
ランジ同士を接合する事で構成される継手部分の軽量化
と製作費の低廉化とを図る事が出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のメタルガスケットの平面図、第２図は
突条の形状の別例を示す第１図のＡ部に相当する図、第
３図は本考案のメタルガスケットを用いて排気管と接続
される排気浄化器の端部斜視図、第４図は１対のフラン
ジとガスケットとにより構成された継手部の断面図、第
５図は従来のメタルガスケットの平面図、第６〜７図は
突条の形状の２例を示す断面図である。 1:ケーシング、2:フランジ、3:排気管、4:フランジ、5:
ガスケット、6:金属板、7:通孔、8:円孔、9:突条。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】互いに結合される２枚のフランジの間に挟
   持して使用され、金属板の中央部に流体を通す為の通孔
   を、この通孔の周囲の複数個所に、上記２枚のフランジ
   同士を結合する為のボルトを挿通する円孔を、それぞれ
   穿設し、上記通孔の周囲に突条を形成したメタルガスケ
   ットに於いて、上記複数の円孔を上記突条の頂部の延長
   線上に設け、これら各円孔により上記突条の頂部を、上
   記複数の円孔部分でのみ不連続とした事を特徴とする、
   メタルガスケット。