JPH07219563A - 車両用能動振動制御装置 - Google Patents

車両用能動振動制御装置

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JPH07219563A
JPH07219563A JP6023685A JP2368594A JPH07219563A JP H07219563 A JPH07219563 A JP H07219563A JP 6023685 A JP6023685 A JP 6023685A JP 2368594 A JP2368594 A JP 2368594A JP H07219563 A JPH07219563 A JP H07219563A
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canceling
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 消音性能を最大限に引き出しながら外乱に対
するタフネスを有することが可能な能動振動制御装置を
提供する。 【構成】 参照信号入力手段1にはサイン波である参照
信号が生成され、A/Dコンバータ5を介して、適応フ
ィルタ21に供給されるとともに、フィルタC^22に供
給される。フィルタC^22の出力は、LMSアルゴリ
ズムにより適応フィルタ21のフィルタ係数を更新する
LMS処理部23に供給されるとともに、比較演算回路
10に供給される。比較演算回路10には適応フィルタ
1からの出力も供給され、比較演算回路10では、フ
ィルタC^22の出力と適応フィルタ21の出力とに応じ
てLMS処理部23での係数更新幅が変更される。LM
S処理部23では、マイクロホン4からの誤差信号およ
びフィルタC^22の出力と比較演算回路10により算
出された係数更新幅とに応じて適応フィルタ21のフィ
ルタ係数が更新される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エンジンの回転による
振動に起因して車室内に生ずる騒音(以下、「こもり
音」という)を能動的に制御して低減させる能動振動制
御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】振動制御装置のうち、振動源(一次振動
源)から発生する振動を能動的に制御して振動および騒
音の低減化を図る能動振動制御装置と呼称されるものが
ある。
【0003】従来、この種の能動振動制御装置として
は、図8に示すように、一次振動源からの振動に関連す
る信号を検出し、その検出信号に基づいて参照信号を生
成する参照信号生成手段101と、該生成された参照信
号に基づいて、制御音場における制御対象振動と逆位相
の相殺信号を生成する適応制御回路102と、適応制御
回路102により生成された相殺信号に応じて相殺振動
を発生するスピーカ(二次振動源)103と、スピーカ
103により発生された相殺振動と制御対象振動との相
殺誤差を検出するマイクロホン104とを主要部として
構成されたものが知られている(例えば、特表平1−5
01344号公報)。
【0004】上記従来の能動振動制御装置においては、
参照信号生成手段101により生成された参照信号はA
/Dコンバータ105によってサンプリングされ、デジ
タルデータの参照信号x(n)として適応制御回路10
2に入力される。該適応制御回路102からは上述のよ
うに生成された相殺信号が出力されてD/Aコンバータ
106でアナログ信号に変換され、アンプ107により
増幅されてスピーカ103から相殺振動(二次振動)が
発せられる。
【0005】一方、マイクロホン104はスピーカ10
3からの相殺振動と振動源からの振動との相殺誤差を検
出し、該相殺誤差εはアンプ108により増幅され、A
/Dコンバータ109によりサンプリングされ、デジタ
ルデータの誤差信号e(n)として取り出され、適応制
御回路102にフィードバックされる。すなわち、誤差
信号は、一次振動と二次振動との相殺誤差を示すもので
あり、上記能動振動制御装置においては前記誤差信号が
最小値となるように相殺信号の伝達特性を変更すること
により振動の低減が図られている。
【0006】更に、適応制御回路102は、FIR型適
応デジタルフィルタ(以下、「ADF」という)102
1と、スピーカ103からマイクロホン104までの、
この制御系特有の伝達特性が同定されて設定されたフィ
ルタC^1022と、フィルタC^1022を介してフィ
ルタリングされた参照信号r(n)および前記誤差信号
e(n)に基づいて、例えば、以下に示すLMSアルゴ
リズム(LMS:Least Mean Square)によりADF1
021のフィルタ係数を更新するLMS処理部1023
により構成される。
【0007】即ち、LMSアルゴリズムは下記数式
(1)で示されるアルゴリズムであり、このLMSアル
ゴリズムを使用することにより、LMS処理部1023
は、前記フィルタC^1022からの信号r(n)およ
び前記誤差信号e(n)に基づいて、ADF1021
フィルタ係数Wnを更新する。
【0008】 Wn+1=Wn + μ・e(n)・r(n) ‥‥(1) ここで、μはステップサイズパラメータ(毎回の繰り返
しにおける補正量の大きさを制御するパラメータ)であ
る。
【0009】図9は、車両が荒れた路面を走行した場合
と平坦な路面を走行した場合における車室内騒音の周波
数スペクトルの変化を示す図であり、縦軸はレベル(d
B)を示し、横軸は周波数(1/3オクターブバンド毎
の周波数)を示している。同図中、実線で表される曲線
C101は荒れた路面での周波数スペクトルを示し、破
線で表される曲線C102は平坦な路面での周波数スペ
クトルを示している。
【0010】同図から分かるように、100Hz以下の
こもり音成分と一致する周波数領域では、両曲線間に1
0dB前後のレベル差が生じている。したがって、荒れ
た路面を走行するときに発生するロードノイズ等の制御
対象以外の騒音(外乱)が、こもり音の相殺誤差と共に
マイクロホンから混入してくるので、アルゴリズムの関
係上本来の相殺誤差以外の外乱をも含めたマイクロホン
からの信号を相殺誤差信号としてとらえるので、適応制
御においては、こもり音の周波数以外の外乱による別の
周波数のネガ音を出力してしまうことになる。この外乱
によるネガ音は参照信号との相関がなく、騒音消去とい
うよりは、騒音を増幅してしまう傾向にあるのでネガ音
と総称しているが、このネガ音をできるだけ出力しない
為の一つの方法としては、前記ステップサイズパラメー
タμの値を小さくすることが考えられる。すなわち、ス
テップサイズパラメータμの値を小さくすることで一回
に更新されるフィルタ係数の更新幅が小さくなり、外乱
が入っても、適応フィルタは不要に更新しすぎることが
なく、ネガ音の発生ができるだけ抑えられるからであ
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の能動振動制御装置では、ステップサイズパラメータ
μの値を小さくして外乱に対するネガ音発生を抑える
と、外乱の少ない場合、制御の追従性が悪くなり、消音
性能がμの大きい場合に比べて低下してしまうという問
題があった。以下、これらの問題を、図10〜図13を
参照して説明する。
【0012】図10および図11は、ステップサイズパ
ラメータμの値をそれぞれ0.035および0.01に
設定した場合のエンジン回転数と誤差信号との特性を示
す図であり、車両が平坦な路面を走行したときのロード
ノイズ(外乱)が入った場合の特性を示している。な
お、両図とも、縦軸は誤差信号のレベル(dB)を示
し、横軸はエンジンの回転数(rpm)を示している。
【0013】図10において、曲線C103および曲線
C104は、それぞれ消音前および消音後の全周波数帯
域に亘っての特性を示し、曲線C105および曲線C1
06は、それぞれ消音前および消音後のエンジンの回転
による振動の2次の高調波成分、即ち、こもり音の主要
成分の特性を示している。同図に依れば、2次の高調波
成分のレベルは、消音制御前後で15〜20dBの低下
を生じ、かなりの改善効果を示しているが、全周波数帯
域では、曲線C104が曲線C103より上にある部
分、即ち、消音制御により誤差信号レベルが制御前のレ
ベルより上昇した斜線部分(上述のネガの部分)が生じ
ている。即ち、図10は、前記問題点の前者を示してい
る。なお、車両が荒れた路面を走行したときにはネガの
部分の範囲およびレベルが拡大するものと考えられる。
【0014】同様に、図11において、曲線C107お
よび曲線C108は、それぞれ消音前および消音後の全
周波数帯域に亘っての特性を示し、曲線C109および
曲線C110は、それぞれ消音前および消音後のエンジ
ン回転による振動の2次の高調波成分を示している。同
図に依れば、曲線C108が曲線C107より下にあ
り、ネガの部分はほとんど無くなるが、2次の高調波の
レベルは、消音制御前後で10〜20dBの低下とな
り、改善効果が最大で約5dBだけ少なくなる。即ち、
図11は、前記問題点の後者を示している。
【0015】図12および図13は、エンジン回転数と
パワースペクトルの分布を示す図である。両図とも、2
次4次キャンセラー、即ち、エンジン回転に起因する振
動の2次および4次の高調波成分を消音制御するための
能動振動制御装置により消音制御を行ったときの結果を
示し、前記図8のD/Aコンバータ106から出力され
た信号のスペクトル解析を行ったものである。そして、
図12は、2次および4次の高調波成分を消音制御する
ためのステップサイズパラメータμとしてそれぞれ
“0.035”および“0.02”を採ったときの結果
を示し、図13は、2次および4次の高調波成分を消音
制御するためのステップサイズパラメータμとしてそれ
ぞれ“0.01”および“0.01”を採ったときの結
果を示している。
【0016】図13のパワースペクトルの分布は、2次
および4次の高調波、即ち、制御対象成分のスペクトル
の近傍に集中しているのに対して、図12のパワースペ
クトルの分布は、制御対象成分以外にも多数のスペクト
ルが存在している。したがって、ステップサイズパラメ
ータμの値を大きくすれば、制御対象成分以外の成分、
即ちネガが増加することがわかる。
【0017】上述のように、ロードノイズによる外乱
は、平坦路では小さく、荒れた路面では大きくなる特性
があり、また、ロードノイズ以外の外乱、即ち、ラジ
オ、空調等の外乱も常時発生するとは限らない。したが
って、外乱に対し、タフネスを有するようにステップサ
イズパラメータμを設定することは、非常に効率の悪い
システムとなる。
【0018】本発明は、上記問題に鑑みてなされたもの
で、消音性能を最大限に引き出しながら外乱に対するタ
フネスを有することが可能な能動振動制御装置を提供す
ることを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明は、エンジンの振動に関連する信号を検出し、該
検出信号に基づいて参照信号を生成する参照信号生成手
段と、該生成された参照信号に基づいて車室内のこもり
音を相殺する相殺信号を生成する適応フィルタ手段と、
該生成された相殺信号を相殺音に変換する変換手段と、
該変換された相殺音と前記車室内のこもり音との相殺誤
差である誤差信号を検出する検出手段と、前記変換手段
から前記検出手段までの振動伝達系に特有の伝達特性に
より前記参照信号をフィルタリングするフィルタリング
手段と、該フィルタリング手段によりフィルタリングさ
れた参照信号と前記検出手段により検出された誤差信号
とに基づいて、前記適応フィルタ手段のフィルタ係数を
更新するための演算処理を行う演算処理手段とを備えた
車両用能動振動制御装置において、前記適応フィルタ手
段により生成された相殺信号からこもり音以外の外乱成
分を検出し、該検出された外乱成分に応じて前記演算処
理手段のフィルタ係数の更新幅を変更する変更手段を有
することを特徴とする。
【0020】また、好ましくは、前記検出された外乱成
分は、前記フィルタ手段によりフィルタリングされた参
照信号と前記適応フィルタ手段により生成された相殺信
号との誤差結果であることを特徴とする。
【0021】さらに、好ましくは、前記外乱成分は、車
両のサスペンション振動、オーディオ出力、空調ファン
の出力の少なくとも1つであることを特徴とする。
【0022】
【作用】本発明の構成に依れば、エンジンの振動に関連
する参照信号が参照信号生成手段により生成されると、
その参照信号に基づいて適応フィルタ手段により相殺信
号が生成され、変換手段により相殺音に変換されて車室
内のこもり音と干渉され、検出手段により誤差信号が検
出されると、その誤差信号とフィルタ手段によりフィル
タリングされた参照信号とに基づいて、演算手段により
前記適応フィルタ手段のフィルタ係数が更新されるとと
もに、変更手段により、適応フィルタ手段から生成され
た相殺信号からこもり音以外の信号である外乱が検出さ
れ、その外乱に応じて演算処理手段のフィルタ係数の更
新幅が変更される。
【0023】また、好ましくは、前記検出された外乱成
分は、前記フィルタ手段によりフィルタリングされた参
照信号と前記適応フィルタ手段により生成された相殺信
号との誤差結果である。
【0024】さらに、好ましくは、前記外乱成分は、車
両のサスペンション振動、オーディオ出力、空調ファン
の出力の少なくとも1つである。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。
【0026】図1は、本発明の第1実施例に係る能動振
動制御装置の概略構成を示すブロック図であり、本実施
例は本発明を自動車の車室内のこもり音を低減化する装
置に適用したものである。
【0027】同図の能動振動制御装置は、前記図8の従
来の能動振動制御装置に対して、比較演算回路10を付
加した点が異なっているのみである。即ち、図1の構成
要素1〜9は、それぞれ図8の構成要素101〜109
と同様であるので、その詳細な説明を省略する。なお、
本実施例では、参照信号生成手段1は、エンジンの点火
パルス等からエンジン回転の2倍の周波数を有するサイ
ン波を生成するように構成しているが、これに限らず、
エンジンの振動をそのまま検出しするようにしてもよ
い。
【0028】図1において、フィルタC^22の出力側
は、比較演算回路10の一方の入力側にも接続され、比
較演算回路10の他方の入力側には適応フィルタ(AD
F)21の出力側が接続され、比較演算回路10の出力
側は、LMS処理部23の入力側に接続されている。そ
して、比較演算回路10は、フィルタC^22からの出
力信号r(n)とADF21からの出力信号(相殺信
号)y(n)とを比較し、その比較結果に基づいて前記
LMS処理部23で使用されるステップサイズパラメー
タμの値を変更する。
【0029】図2は、図1の比較演算回路10で行われ
る制御処理を説明するための図である。なお、比較演算
回路10での処理はデジタルデータで行われるが、分か
り易さのために図2に示す図はアナログデータで表示し
ている。
【0030】同図中、波形(a)は、図1の参照信号生
成手段1により生成された参照信号x(n)(アナログ
データでは“n”に代えて時間tとする。以下、同様)
を示し、波形(b)は、フィルタC^22を介してフィ
ルタリングされた参照信号r(n)を示している。ま
た、波形(c)は、ADF21により生成された相殺信
号y(n)を示し、波形(d)は、比較演算回路10に
より波形(b)と波形(c)とが加算された結果r
(n)+y(n)を示している。即ち、波形(d)は、
制御対象成分(こもり音)以外の成分を示している。な
お、波形(d)の縦軸には、閾値A,Bが設けられてい
るが、この閾値は、次に示すステップサイズパラメータ
μの値の算出のために設けられている。
【0031】図3は、図2の波形(d)のレベルとステ
ップサイズパラメータμとの関係を表す図であり、縦軸
は、係数更新ゲイン、即ちステップサイズパラメータμ
の値を示し、横軸は、制御範囲、即ち波形(d)におけ
る振幅を示している。なお、横軸のA,Bは、前記閾値
A,Bである。
【0032】即ち、比較演算回路10により前記波形
(b)および波形(c)が加算され、その加算結果であ
る波形(d)が生成されると、図3に示すように、その
加算結果(エラーレベル)が閾値Aより小さい場合には
係数更新ゲインとして一定値μ1が設定され、閾値Bよ
り大きい場合には一定値μ0が設定され、閾値Aと閾値
Bとの間にある場合にはその加算結果(エラーレベル)
が大きくなるにつれて、漸次小さくなるように、即ち、
加算結果に反比例するように設定される。
【0033】そして、このように設定されたステップサ
イズパラメータμを用いて、LMS処理部23は、前述
したLMSアルゴリズムに従ってADF21のフィルタ
係数Wを算出し、このフィルタ係数WによりADF21
は参照信号x(n)をフィルタリングして、相殺信号を
生成する。
【0034】以上のようにして、本実施例に依れば、制
御対象成分以外の信号のレベル、即ち、外乱が大きいと
きにはステップサイズパラメータμの値を小さくして外
乱に対するタフネスを向上させ、外乱が小さいときには
ステップサイズパラメータμの値を大きくして消音性能
を向上させるので、消音性能を最大限に引き出しながら
外乱に対するタフネスを向上させることができる。
【0035】なお、本実施例では、相殺信号のエラーレ
ベルの検知は、閾値と各時点のレベルとを比較すること
により行ったが、閾値とある一定時間の平均レベルとを
比較することにより行ってもよい。
【0036】図4は、本発明の第2実施例に係る能動振
動制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【0037】本実施例の能動振動制御装置は、前記第1
実施例の能動振動制御装置に対して、比較演算回路21
の構成および作用とバンドリジェクトフィルタ22を追
加した点とが異なっているのみであるので、図1と同一
の要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0038】図4において、D/Aコンバータ6の出力
側は、制御対象(こもり音)の周波数成分を除去するバ
ンドリジェクトフィルタ22を介して比較演算回路21
の入力側に接続され、比較演算回路21の出力側は、L
MS処理部23の入力側に接続されている。
【0039】図5は、相殺信号と比較演算回路21に入
力される信号を示す図である。
【0040】同図中、波形(a)は、図3のD/Aコン
バータ6から出力される信号(相殺信号)の一例を示
し、波形(b)は、バンドリジェクトフィルタ22を介
して波形(a)からこもり音成分以外の成分を抽出した
ものを示している。ここで、本実施例のバンドリジェク
トフィルタ22は、エンジン回転に応じて除去する帯域
が変化するトラッキングフィルタである。
【0041】比較演算回路21には、相殺信号の内、こ
もり音成分以外の成分が入力され、比較演算回路21
は、この成分と閾値A′,B′とを比較し、図3で説明
した方法と同様の方法で、LMS処理部23の係数更新
ゲイン(ステップサイズパラメータμ)を決定する。そ
して、前述したように、LMS処理部23は、このステ
ップサイズパラメータμを用いてLMSアルゴリズムに
よりADF21のフィルタ係数Wを算出し、このフィル
タ係数Wに基づいてADF21は相殺信号を生成する。
【0042】以上のように、本実施例に依れば、アナロ
グのバンドリジェクトフィルタ22を介してアナログの
相殺信号の内のこもり音成分以外の成分を抽出し、その
成分のレベルに応じてステップサイズパラメータμの値
を変更したので、速度が遅いDSP(Digital Signal P
rocessor)によって適応制御回路2を構成した場合に
は、DSPに掛かる負担が軽減される。即ち、前記実施
例1のように比較演算回路10の演算までもデジタルで
行うことにすると、それだけ高性能なDSPを使用する
必要があり、コストの増大を招くことになる。
【0043】図6は、本発明の第3実施例に係る能動振
動制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【0044】本実施例の能動振動制御装置は、前記第2
実施例の能動振動制御装置に対して、比較演算回路21
に入力される外乱の情報を追加した点とが異なっている
のみであるので、図1と同一の要素には同一符号を付
し、その説明を省略する。
【0045】図6において、ロードノイズを検出するた
めの振動ピックアップ31の出力側は、その出力を増幅
するための増幅器32に接続され、増幅器32の出力側
は、ロードノイズの高周波成分を除去するための低域通
過フィルタ(Low Pass Filter:LPF)33に接続さ
れ、LPF33の出力側は、時定数を設けるためのサン
プルホールド(Sample Hold :S/H)回路34に接続
され、S/H回路34の出力側は、比較演算回路21に
接続されている。
【0046】また、ラジオ等のオーディオ35の出力側
は、増幅器36、LPF37およびS/H回路38を介
して、比較演算回路21に接続され、さらに、風量スイ
ッチや内外気切替スイッチ等の空調装置39の出力側も
比較演算回路21に接続されている。
【0047】図7は、図6の振動ピックアップ31によ
り検出されたロードノイズ波形の推移を示す図である。
【0048】同図において、波形(a)は、振動ピック
アップ31により検出されたロードノイズ波形の一例を
示し、波形(b)は、波形(a)をLPF33によりフ
ィルタリングした結果を示し、波形(c)は、波形
(b)をS/H回路34によりサンプルホールドした結
果を示している。即ち、波形(a)には制御対象成分以
外の高周波成分が混入しているために、LPF33によ
りその高周波成分を除去して制御に影響を及ぼす成分の
みを抽出し(波形(b))、さらに、直接、比較演算回
路21に波形(b)を入力すると、比較演算回路21で
のステップサイズパラメータμの値が短時間に変化し、
制御がふらつくために、S/H回路34でそのふらつき
を防止している(波形(c))。
【0049】比較演算回路21は、バンドリジェクトフ
ィルタ22からの制御情報に加えて、振動ピックアップ
31からのロードノイズの情報、オーディオ35の出力
情報、および、空調装置39の動作情報に基づいて、ス
テップサイズパラメータμを変更する。具体的には、外
乱を総合した値、即ち、バンドリジェクトフィルタ22
からの出力、ロードノイズ、オーディオ出力、および空
調装置39のノイズ(主としてファンの回転によるも
の)を加算したものと閾値とを比較し、図3で説明した
方法と同様の方法により係数更新ゲイン(ステップサイ
ズパラメータμ)の値を決定する。これ以降の制御は、
前記実施例1および実施例2と同様であるので、その説
明を省略する。
【0050】以上説明したように、本実施例に依れば、
実施例2の制御情報に、他の外乱、即ち、ロードノイズ
情報、オーディオ出力情報、および空調装置のノイズ情
報を追加したので、ステップサイズパラメータμの値の
決定をより正確に行うことができる。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
エンジンの振動に関連する信号を検出し、該検出信号に
基づいて参照信号を生成する参照信号生成手段と、該生
成された参照信号に基づいて車室内のこもり音を相殺す
る相殺信号を生成する適応フィルタ手段と、該生成され
た相殺信号を相殺音に変換する変換手段と、該変換され
た相殺音と前記車室内のこもり音との相殺誤差である誤
差信号を検出する検出手段と、前記変換手段から前記検
出手段までの振動伝達系に特有の伝達特性により前記参
照信号をフィルタリングするフィルタリング手段と、該
フィルタリング手段によりフィルタリングされた参照信
号と前記検出手段により検出された誤差信号とに基づい
て、前記適応フィルタ手段のフィルタ係数を更新するた
めの演算処理を行う演算処理手段とを備えた車両用能動
振動制御装置において、前記適応フィルタ手段により生
成された相殺信号からこもり音以外の外乱成分を検出
し、該検出された外乱成分に応じて前記演算処理手段の
フィルタ係数の更新幅を変更する変更手段を有するの
で、消音性能を最大限に引き出しながら外乱に対するタ
フネスを有することが可能となる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る能動振動制御装置の
概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1の比較演算回路10で行われる制御処理を
説明するための図である。
【図3】図2の波形(d)のレベルとステップサイズパ
ラメータμとの関係を表す図である。
【図4】本発明の第2実施例に係る能動振動制御装置の
概略構成を示すブロック図である。
【図5】相殺信号と比較演算回路21に入力される信号
とを示す図である。
【図6】本発明の第3実施例に係る能動振動制御装置の
概略構成を示すブロック図である。
【図7】図6の振動ピックアップ31により検出された
ロードノイズ波形の推移を示す図である。
【図8】従来の能動振動制御装置の概略構成を示すブロ
ック図である。
【図9】車両が荒れた路面を走行した場合と平坦な路面
を走行した場合における車室内騒音の周波数スペクトル
の変化を示す図である。
【図10】ステップサイズパラメータμの値を0.03
5に設定した場合のエンジン回転数と誤差信号との特性
を示す図である。
【図11】ステップサイズパラメータμの値を0.01
に設定した場合のエンジン回転数と誤差信号との特性を
示す図である。
【図12】エンジン回転数とパワースペクトルの分布と
を示す図である。
【図13】エンジン回転数とパワースペクトルの分布と
を示す図である。
【符号の説明】
1 参照信号生成手段 21 適応フィルタ(適応フィルタ手段) 22 フィルタC^(フィルタリング手段) 23 LMS処理部(演算処理手段) 3 スピーカ(変換手段) 4 マイクロホン(検出手段) 10 比較演算回路(変更手段)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの振動に関連する信号を検出
    し、該検出信号に基づいて参照信号を生成する参照信号
    生成手段と、該生成された参照信号に基づいて車室内の
    こもり音を相殺する相殺信号を生成する適応フィルタ手
    段と、該生成された相殺信号を相殺音に変換する変換手
    段と、該変換された相殺音と前記車室内のこもり音との
    相殺誤差である誤差信号を検出する検出手段と、前記変
    換手段から前記検出手段までの振動伝達系に特有の伝達
    特性により前記参照信号をフィルタリングするフィルタ
    リング手段と、該フィルタリング手段によりフィルタリ
    ングされた参照信号と前記検出手段により検出された誤
    差信号とに基づいて、前記適応フィルタ手段のフィルタ
    係数を更新するための演算処理を行う演算処理手段とを
    備えた車両用能動振動制御装置において、 前記適応フィルタ手段により生成された相殺信号からこ
    もり音以外の外乱成分を検出し、該検出された外乱成分
    に応じて前記演算処理手段のフィルタ係数の更新幅を変
    更する変更手段を有することを特徴とする能動振動制御
    装置。
  2. 【請求項2】 前記検出された外乱成分は、前記フィル
    タ手段によりフィルタリングされた参照信号と前記適応
    フィルタ手段により生成された相殺信号との誤差結果で
    あることを特徴とする請求項1記載の能動振動制御装
    置。
  3. 【請求項3】 前記外乱成分は、車両のサスペンション
    振動、オーディオ出力、空調ファンの出力の少なくとも
    1つであることを特徴とする請求項1記載の能動振動制
    御装置。
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