JPH07213287A - 耐熱性ブランチングエンザイム遺伝子、それを含有する組換えプラスミド並びに耐熱性ブランチングエンザイム。 - Google Patents

耐熱性ブランチングエンザイム遺伝子、それを含有する組換えプラスミド並びに耐熱性ブランチングエンザイム。

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JPH07213287A
JPH07213287A JP5311004A JP31100493A JPH07213287A JP H07213287 A JPH07213287 A JP H07213287A JP 5311004 A JP5311004 A JP 5311004A JP 31100493 A JP31100493 A JP 31100493A JP H07213287 A JPH07213287 A JP H07213287A
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JP
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enzyme
gene
dna
heat
branching enzyme
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JP5311004A
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English (en)
Inventor
Shigetaka Okada
茂孝 岡田
Hiroki Takada
洋樹 高田
Takeshi Takaba
武史 鷹羽
Takashi Kuriki
隆 栗木
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Ezaki Glico Co Ltd
Original Assignee
Ezaki Glico Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】耐熱性ブランチングエンザイム遺伝子、それを
含有する組換えプラスミド並びに耐熱性ブランチングエ
ンザイムを得る。 【構成】配列表の配列番号1に示された塩基配列、また
はそれと実質的に同等な配列を有する耐熱性ブランチン
グエンザイム遺伝子。配列表の配列番号1に示された耐
熱性ブランチングエンザイム遺伝子、またはそれと実質
的に同等な遺伝子を含有する組換えプラスミド。配列表
の配列番号1に示されたアミノ酸配列、またはそれと実
質的に同等な配列を有する耐熱性ブランチングエンザイ
ム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はバチルス ステアロサー
モフィラス(Bacillus stearother
mophilus)TRBE14株由来の耐熱性ブラン
チングエンザイム(以下、本酵素という)をコードする
本酵素遺伝子、それを含有する組換えプラスミド並びに
本酵素に関する。
【0002】
【従来の技術】ブランチングエンザイムはα−1,4グ
ルカンに作用し、その結合を切断しグルカン鎖を同一分
子内または他の分子にα−1,6−グルコシド結合で転
移させる反応を触媒する酵素である。すなわち例えばア
ミロース様多糖をアミロペクチン様あるいはグリコーゲ
ン様多糖に変える作用を持った酵素である。でん粉を含
む物質の加工においてでん粉の老化は大きな問題となっ
ている。例えば食品中のでん粉の老化は保存性の低下や
消化率の減少をもたらすことが知られている。この老化
の原因の大半はでん粉中に含まれるアミロース分子の会
合、それにつづく不溶化に起因している。一方、でん粉
溶液中にブランチングエンザイムを作用させると、でん
粉中のアミロースおよびアミロペクチン分子にα−1,
6−グルコシド結合による枝分かれ構造を増加させるこ
とができ、このことによってでん粉の老化を抑制するこ
とができる(澱粉化学、第30巻、第2号、第223
頁)。従来ブランチングエンザイムを生産させ得る遺伝
子として動物、植物及び微生物由来のものが知られてい
るが、いずれも酵素生産量は少なく、さらに50℃以上
で有効な活性を有するものはなかった。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】でん粉の溶液にブラ
ンチングエンザイムを作用させるときは、50℃以上の
高温で行なうのが望まれていた。これは高温下作用させ
ることによりでん粉溶液が雑菌に汚染されにくいからで
あり、基質となるα化でん粉の量が多くなるからであ
る。また、でん粉の老化を抑制するためにその溶液中に
ブランチングエンザイムを作用させたとき、その中にで
ん粉分解酵素(特にα−アミラーゼ)が含まれている
と、でん粉中のα−1,4−結合の一部が分解され、分
子量の小さいでん粉となる。従って耐熱性のあるブラン
チングエンザイムの獲得が望まれていた。また高純度の
耐熱性のブランチングエンザイムを工業的に生産するた
めに、その遺伝子の獲得が望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
課題を解決すべくバチルス ステアロサーモフィラス
Bacillus stearothermophi
lus)TRBE14株由来の本酵素を獲得した。さら
にそれを生産する遺伝子を単離し、これを遺伝子組換え
技術を用いて微生物に導入し、本酵素遺伝子を発現させ
た。さらにバチルス ステアロサーモフィラスTRBE
14株由来の本酵素遺伝子の構造が配列番号1における
DNA塩基配列402〜2,357として示されること
を確認した。以下に、本発明の本酵素遺伝子の単離及び
塩基配列決定の方法、ならびにそれら塩基配列の特徴等
について詳細に説明する。
【0005】1.本酵素遺伝子の単離 本酵素を多量に生成する好熱菌であるバチルス ステア
ロサーモフィラスTRBE14株(寄託番号P−139
16)を培養してその菌体を回収し、その染色体DNA
を常法により調製する。これを制限酵素、例えばSau
3AIで部分分解し密度勾配超遠心法により処理して1
0kbから20kbの大きさのDNA断片を得る。この
断片をストラタジーン社製BamHI処理済みλEMB
L3ベクターにT4DNAリガーゼを用いて連結する。
この反応物を用いて常用されるインビトロパッケージン
グ法によりファージ粒子とし、大腸菌P2392株(ス
トラタジーン社製)と接触させ適当量をNZY寒天培地
上に重層法によりひろげ37℃で一夜保温することでλ
ファージによるプラークが点在するプレートを得る。こ
のプレートよりプラークをナイロンメンブレンに通常の
アルカリブロッティング法によりうつしとってブロット
を準備する。一方、先に調製した染色体DNAと図1に
示す2種の合成DNAプライマー、すなわちプライマー
1とプライマー4とを混合し、例えばTthDNAポリ
メラーゼ(東洋紡(株)製)を用いて常法によりDNA
断片増幅反応を行なうと約560bpのDNA断片が得
られる。このDNA断片をプローブとし、先のブロット
を用いて常用されるプラークハイブリダイゼーションを
行なうことにより、本酵素遺伝子を含むDNA断片のク
ローン化されたλ−ファージを選別することができる。
以上の手法により、図2に示す制限酵素地図を有する組
換えλ−ファージが得られ、λ−TBE102と名付け
た。
【0006】2.λ−TBE102中の本酵素遺伝子の
位置の特定 一般にブランチングエンザイムの分子量は7万から8万
程度であることから、その構造遺伝子の大きさは2kb
p程度と予想される。通常λEMBL3ベクターには1
0kb以上の大きさのDNA断片がクローン化されるた
め、塩基配列決定のためには本酵素遺伝子の位置を特定
することが必要となる。これは得られた組換えλ−ファ
ージを制限酵素、例えばSalIで処理しアガロースゲ
ル電気泳動に供した後先にプラークハイブリダイゼーシ
ョンに用いた約560bpのDNA断片をプローブとし
て常法によりサザンハイブリダイゼーションを行なうこ
とにより特定することができる。このようにして特定さ
れたDNA断片およびその周辺のDNA断片中に存在す
る本酵素遺伝子を以下に示す塩基配列決定に用いる。
【0007】3.本酵素遺伝子の塩基配列の決定 組換えλ−ファージλ−TBE102上の本酵素遺伝子
の塩基配列は、サンガー (Sanger)のジデオキ
シチェーンターミネーション法(J.Mol.Bio
l.,94,441(1975);Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA,74,5463(19
77)に従って決定することができる。即ち、例えば、
大腸菌MV1184株とpUC118及びpUC119
0宿主ベクター系(宝酒造(株)製)を用いて本酵素遺
伝子のサブクローニングを行なう。次いでヘルパーファ
ージM13KO7(宝酒造(株)製)を各サブクローン
に感染させることにより、対象とするDNA断片を含有
する一本鎖DNAがファージ粒子に包み込まれ、該ファ
ージ粒子がサブクローンの菌体外に放出される。このフ
ァージ粒子をフェノール処理し、常法により塩基配列決
定に必要な高純度の一本鎖DNAが得られる。このDN
Aを用いて、サンガーのジデオキシチェーンターミネー
ション法に基いて塩基配列の決定を行なうことができ
る。
【0008】4.塩基配列の特徴 上記の塩基配列決定法により、配列表の配列番号1に示
すDNA塩基配列が得られた。開始コドンTTGで始ま
り、終止コドンTAAで終る、1,956bpからなる
オープンリーディングフレームが見出された。このオー
プンリーディングフレームに対応するアミノ酸配列を配
列番号1に示した。
【0009】以下に本遺伝子、プラスミド並びに本酵素
の製法の一例を記す。
【実施例】
1.使用菌株及びファージ並びにプラスミド バチルス ステアロサーモフィラスTRBE14株(寄
託番号P−13916)を本酵素遺伝子の供与体として
用いた。クローニングの為の宿主としては大腸菌P23
92株を用い、ベクターはλ−EMBL3を使用した。
また得られた本酵素遺伝子の発現の為の宿主としては大
腸菌TG−1株を用い、ベクターはプラスミドpUC1
18を使用した。
【0010】2.培地および培養条件 バチルス ステアロサーモフィラスTRBE14株はL
培地(1%バクトトリプトン、0.5%イーストエキ
ス、0.5%NaCl、pH7.3)を用いて50から
60℃で10から15時間振とう培養した。大腸菌P2
392株の培養にはNZY培地(1%NZアミン、0.
5%イーストエキス、0.5%NaCl)を用いた。大
腸菌TG−1株の培養にはL培地を用い、プラスミドを
保持する菌の場合にはアンピシリンを100μg/ml
になるように添加した。
【0011】3.染色体DNAのλEMBL3への挿入 まずバチルス ステアロサーモフィラスTRBE14株
を100mlL培地を含む500ml容フラスコ中で一
夜、50℃で培養した。これを遠心集菌し、染色体DN
Aをフェノール法(斎藤、三浦、Biochimica
et Biophysica Acta、72、61
9 (1963))により調製した。これの約100μ
gを制限酵素Sau3AI,0.6Uにて37℃で1時
間部分分解した後、NaCl密度勾配遠心(NaCl濃
度:5−25%、37,000rpm、4.5時間)に
かけ10kb以上のDNA断片からなる画分を得た。こ
のDNA断片画分0.6μgとBamHI処理済みλE
MBL3ベクター(ストラタジーン社製)とをT4DN
Aリガーゼを用いて連結した。この反応液をインビトロ
パッケージングキット(ストラタジーン社製)を用いて
処理し組換えλ−ファージ粒子溶液を得た。
【0012】4.組換えλ−ファージの大腸菌P239
2への導入 大腸菌P2392を一白金耳とり100ml容フラスコ
に入れた20mlNZY倍地(10mM MgCl
含む)に添加し、37℃で650nmの濁度が0.5前
後になるまで振とう培養した。菌体を遠心分離により集
め10mlの10mM MgClに懸濁した。この菌
体溶液と3で調製した組換えλ−ファージ粒子溶液0.
5μlとを混合し、37℃で20分間保温した後、NZ
Y寒天培地に重層法によりひろげ、37℃で一晩保温す
ることによりλ−ファージによる溶菌斑が点在するプレ
ートを得た。
【0013】5.本酵素遺伝子単離のためのプローブの
作製 数種の起源の異なるブランチングエンザイムを比較する
ことにより、ブランチングエンザイムのアミノ酸配列中
にはα−アミラーゼ等に見出されている4つの保存領域
(保存領域1、2、3、および4)が存在する(J.B
iol.Chem.,267、18447)。これらの
領域、およびその周辺に含まれるアミノ酸残基はブラン
チングエンザイムの機能上重要な役割を果たしていると
考えられることから、対応するDNA配列も保存性が高
いと考えられた。そこで図1に示す保存領域1および4
付近の配列に対応する2種のDNAプライマー(それぞ
れプライマー1および4)を合成した。この2種の合成
DNAプライマー、各1nmolと3で調製した染色体
DNA0.2μgとを用いてDNA断片増幅反応を行な
った。すなわち、これらDNA混合物に各20μmol
のデオキシアデニン3リン酸、デオキシグアニン3リン
酸、デオキシシチジン3リン酸、及びデオキシチミジン
3リン酸、を加えさらに2UのTthDNAポリメラー
ゼ(東洋紡(株)製)と10μlTthDNAポリメラ
ーゼ用10倍濃度緩衝液を加えて最終100μlとし、
これを94℃、1分;45℃、1分;72℃、1分を1
サイクルとして30サイクル繰り返した。この反応によ
り本酵素の保存領域1と4付近の配列にはさまれる約5
60bpのDNA断片が増幅された。このDNA断片を
アガロ ースゲル電気泳動により単離し、制限酵素Sm
aIで処理したpUC19(宝酒造(株)製)と混合し
T4DNAリガーゼを用いて連結し組換えプラスミドp
TBE3を得た。これを用いて、マルチプライム法DN
Aラベリングキット(ファルマシア社製)を利用して放
射能ラベルされた本酵素遺伝子単離のためのプローブを
作製した。
【0014】6.本酵素遺伝子を含む組換えλ−ファー
ジの選択 4で作製したプレートにナイロンフィルター(アマーシ
ャム社製)を密着させ、その後フィルターをアルカリ処
理することにより、溶菌斑中の組換えλ−ファージDN
Aを変性させ、フィルターに固定した。このフィルター
を5で作製したプローブの溶液に浸し、65℃で16時
間ハイブリダイゼーションを行なった。プローブの溶液
から取り出したフィルターをよく洗浄した後、X線フィ
ルムに密着させこれを感光させることによって本酵素遺
伝子を含む組換えλ−ファージを選択した。得られた組
換えλ−ファージは約17kbpの染色体由来のDNA
断片を含んでおり、λ−TBE102と命名された。そ
の制限酵素切断点地図は図2に示した。
【0015】7.λ−TBE102中の本酵素遺伝子を
含む領域の特定 ブランチングエンザイムの分子量は約7万であるのでそ
の遺伝子は約2kbpと予想される。λ−TBE102
には約17kbPのDNA断片が挿入されており、本酵
素遺伝子の塩基配列決定、および発現のためには本酵素
遺伝子を含む領域を特定する必要があった。そこでλ−
TBE102を制限酵素SalIで分解し、アガロース
ゲル電気泳動を行なった。電気泳動後アルカリ処理によ
って、ゲル中のDNAを変成させ、ナイロンフィルター
に移し固定した。このフィルターを5で作製したプロー
ブの溶液に浸し、65℃で16時間ハイブリダイゼーシ
ョンを行なった。プローブの溶液から取り出したフィル
ターをよく洗浄した後、X線フィルムに密着させこれを
感光させることによって図2に示す4kbpのDNA断
片中に本酵素の保存領域1と4付近の配列にはさまれる
約560bpのDNA配列が含まれることが判った。こ
の領域の塩基配列を予備的に決定することにより、図2
に示すAor51HIとEcoRIで切り出される約
2.4kbpのDNA断片中に本酵素遺伝子の全体が存
在していることが予想された。
【0016】8.本酵素遺伝子の全体を含むプラスミド
の作製 本酵素遺伝子の全体を含むプラスミドの作製を図3に示
す方法で行なった。すなわちまず図2に示す4kbpの
SalI−DNA断片をSalIで切断したプラスミド
pBR322(宝酒造(株)製)と連結し、pTBE3
1を作製した。次にpTBE31より1.4kbpのS
alI−EcoRI−DNA断片を単離し、SalI−
EcoRI処理したプラスミドpUC118と連結し、
pUC118SEを作製し、さらにそれをEcoRIで
切断後T4DNAポリメラーゼを用いて切断部分を平滑
化した後、HindIIIリンカー(宝酒造(株)製)
を連結してpUC118SEHを作製した。一方、前述
の4kbpSalI−DNA断片と重複して存在する約
5kbpのXhoI−DNA断片をSalIで切断した
プラスミドpBR322と連結し、pTBE51を作製
した。これより約1kbpのAor51HI−SalI
−DNA断片を、SmaI−SalI処理したpUC1
18と連結し、pUC118ASを作製した。pUC1
18ASより約1kbpのBamHI−SalI−DN
A断片を単離してBamHI−SalI処理したpUC
118SEHと連結し、本酵素遺伝子の全体を含むプラ
スミドpTBE821を作製した。
【0017】9.大腸菌による本酵素の生産 8で作製したプラスミドpTBE821を大腸菌TG−
1株に導入し、21容のサカグチフラスコに入った50
0mlのL培地で培養後、菌体を遠心分離により集め
た。この菌体を5mMの2−メルカプトエタノールを含
む50mM トリス塩酸緩衝液(pH7.5)、約50
mlで洗浄し、10mlの同緩衝液に懸濁した。この菌
体溶液をクボタ製インソネーターモデル200Mを用い
て4℃で10分間超音波処理した後、15,000rp
mで30分間遠心分離して沈殿を除き菌体抽出液を得
た。この菌体抽出液を60℃で15分間加熱した後、遠
心分離により沈殿を除き粗酵素液とした。この加熱処理
により大腸菌細胞由来の不純物の大部分を簡単に除くこ
とができた。このようにして得られた粗酵素液50μl
を0.1%アミロース(シグマ製)50μlと混合し、
50℃で30分保温した後、2mlのヨウ素溶液(0.
1%KI、0.01%I、及び3.85mM HCl
を含む)を添加して660nmの吸光度を測定すると、
酵素液を加えない場合に比較して減少した。この反応に
伴う還元糖量の増加は認められず、本酵素の作用により
アミロース分子に分岐が生じた結果、660nmの吸光
度が減少したと考えられた。さらに粗酵素液を以下の手
順により精製した。50mMFトリス−塩酸(pH7.
5、5mM2−メルカプトエタノールを含む)により平
衡化したQ−セファロース(ファルマシア社製)に吸着
させ、0.2MNaClを含む同緩衝液で洗浄した後、
0.4MNaClを含む同緩衝液で溶出される両分を回
収し、同緩衝液に対して透析した。終濃度0.34Mに
なるように(NHSOを添加し、同じく0.3
4Mを(NHSO含む緩衝液により平衡化した
フェニルトヨパール(東ソー(株)製)に吸着させ50
mMトリス−塩酸(pH7.5、5mM2−メルカプト
エタノールを含む)により溶出される画分を回収し、同
緩衝液に対して透析した。得られた精製酵素をSDS−
ポリアクリルアミド電気泳動し、クマシープリリアント
ブルーにより染色すると単一バンドが検出された(図
4)。精製酵素を終濃度0.5%のアミロースに作用さ
せた後、イソアミラーゼ(林原生物化学研究所(株)
製)で処理し、薄層クロマトグラフィーで展開すると生
じた分岐に由来するオリゴ糖が検出された(図5)。一
方、イソアミラーーゼで処理しない場合にはそのような
オリゴ糖は検出されず、精製酵素がα−1,6−グルコ
シド結合の合成を触媒していることが証明された。以上
のようにプラスミドpTBE821にクローン化された
約2.4kbpのAor51HI−EcoRI−DNA
断片中に本酵素遺伝子がコードされることが証明され
た。
【0018】10.本酵素の耐熱性の確認 9で精製した本酵素を種々の温度で基質に作用させ、本
酵素の耐熱性の確認を行なった。基質として、合成アミ
ロースAS−70(中埜酢店(株)製)を常法により還
元したものを終濃度0.5%にして用いた。活性測定は
最も定量性が高い方法とされるブランチリンケージ法
(Carbohydr.Res.240、253,(1
993))を一部改変して以下のように行なった。10
μlの本酵素溶液と90μlの還元したアミロース溶液
を基質終濃度0.5%になるように混合し、適当温度で
30分間保温した。100℃で2分間加熱して反応を停
止し、10μlの1M酢酸緩衝液(pH3.5)と5μ
lの100倍希釈したイソアミラーゼ(林原生物化学研
究所(株)製)を添加して45℃、45分間加熱するこ
とにより生じたα−1,6−結合を加水分解した。これ
に460μlのエタノールを添加し遠心分離により多糖
を回収した。これを8μlの1M水酸タトリウムと39
2μlの蒸留水をこの順に加えて溶解させ、改変パーク
ジョンソン法(Carbohydr.Res.240
253,(1993))により還元糖量を測定した。対
照としてイソアミラーゼの代わりに等量の水を加えたも
のを同様に処理した。1分間に1μmolのグルコース
に相当する還元糖を生ずる酵素量を一単位とした。上の
方法を用い30〜70℃で活性を測定したところ、反応
温度50℃のときが最も活性が高かった。50℃のとき
の活性を100%としたときの各温度での相対的な活性
を図6に示した。50℃が反応最適温度であったが65
℃までその80%以上の活性を示した。
【0019】11.本酵素遺伝子の塩基配列の決定 組換えプラスミドpTBE821上の本酵素遺伝子の塩
基配列をサンガーのジデオキシチェーンターミネーショ
ン法により決定した。まず大腸菌MV1184株とpU
C118、119の宿主ベクター系を用いて本酵素遺伝
子のサブクローニングを行なった。続いてヘルパーファ
ージM13KO7を用いて一本鎖DNAを調製した。す
なわち、サブクローニングしたプラスミドを保持する大
腸菌MV1184株をL培地4mlを用いて37℃、約
10時間培養した。その培養液20μlに20μlのM
13KO7、ファージ液を加え、37℃で20分間保持
し、感染を行なった。次に2mlの2XYT培地(1.
6%バクトトリプトン、1%イーストエキス、0.5%
NaCl)を加え、37℃で一夜培養した。1mlの培
養液をとり、遠心分離にて菌体を除いた上清に200μ
lのPEG溶液(20%ポリエチレングリコール、15
%NaCl)を加え、ファージ粒子を沈殿させた。沈殿
をTE緩衝液(10mMトリス・塩酸、1mMEDT
A、pH8)に懸濁後フェノール処理にてタンパク質を
除き、エタノールにて沈殿濃縮し、一本鎖DNAを得
た。こうして調製した本酵素遺伝子の部分断片について
その塩基配列をシーケナーゼキット(東洋紡(株)製)
を用い、サンガーのジデオキシチェーンターミネーショ
ン法により決定した。結果は配列番号1の通りである。
【0020】12.塩基配列の特徴 開始コドンTTG(402番目の塩基)で始まり、終止
コドンTAA(2,358番目の塩基)で終る1,95
6bpからなるオープンリーディングフレームが見出さ
れたまた。開始コドンの9塩基上流にはリボソーム結合
部位と思われる配列(AAAGGATG)が認められ
た。オープンリーディングフレームから予想されるアミ
ノ酸配列は652残基からなり、大腸菌由来(J.Bi
ol.Chem.261,8738,(1986)、お
よびバチルス ステアロサーモフィラス1503R.v
ar.4由来(Mol.Gen.Gene.,230
136,(1991))のブランチングエンザイムとの
相同性はそれぞれ約40%、80%であった。
【0021】
【発明の効果】本発明により新規な本酵素遺伝子、それ
を含有する組換えプラスミド並びに本酵素を得た。本酵
素が得られたため50℃以上のでん粉溶液中で反応を行
なうことができるようになった。50℃以上のでん粉溶
液は雑菌の汚染が起こりにくく、常温より基質となるα
化でん粉の量が多い。本酵素遺伝子を含有する組換えプ
ラスミドが得られたため、本酵素は大腸菌をはじめとす
る常温菌中で生産することができる。本酵素が耐熱性を
有することと、常温菌中で生産することができることに
より、粗酵素液(耐熱性のないでん粉分解酵素を含む)
を熱処理することで本酵素の純度を高めることができ
る。たとえば常温菌を破砕して得た粗酵素液を60℃で
15分間熱処理し、沈殿を除くくことにより常温菌由来
の不純物、特にアミラーゼ活性を簡単に除くことができ
る。本発明で明らかにされた本酵素遺伝子の塩基配列に
基づき、他の発現効率の高い本酵素遺伝子を開発するこ
ともできる。
【0022】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】本酵素遺伝子を単離するためのプローブ調製に
用いる2種のプライマーの設計過程を示した。すなわち
設計に利用した種々のブランチングエンザイムとα−ア
ミラーゼにおける保存領域、およびそのうちの領域1と
4に対応する2種のプライマーの構造を示す。
【図2】組換えλ−ファージ、λ−TBE102の構造
を、太線は染色体由来DNA断片、細線はベクター由来
DNA断片として示す。aは4kbpのSalI−DN
A断片を、bは5kbpのXhoI−DNA断片を示
す。
【図3】プラスミドpTBE31、pTBE51、pU
C118SE、pUC118SEH、pUC118A
S、およびpTBE821の作製ルートを示す摸式図を
示す。
【図4】精製された本酵素のSDS−ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動し、クマシーブリリアントブルー染色を
行なった写真の写しである。
【図5】精製された本酵素をアミロースに作用させた
後、半分量は無処理で他の半分量はイソアミラーゼ処理
して、薄層クロマトグラフィーを行なった結果である。
【図6】精製された本酵素の各温度における活性を50
℃のときを100%として示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:07) (C12N 9/26 Z C12R 1:19) C12R 1:07)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】配列表の配列番号1に示された塩基配列、
    またはそれと実質的に同等な配列を有する耐熱性ブラン
    チングエンザイム遺伝子。
  2. 【請求項2】配列表の配列番号1に示された耐熱性ブラ
    ンチングエンザイム遺伝子、またはそれと実質的に同等
    な遺伝子を含有する組換えプラスミド。
  3. 【請求項3】配列表の配列番号1に示されたアミノ酸配
    列、またはそれと実質的に同等な配列を有する耐熱性ブ
    ランチングエンザイム。
JP5311004A 1993-11-04 1993-11-04 耐熱性ブランチングエンザイム遺伝子、それを含有する組換えプラスミド並びに耐熱性ブランチングエンザイム。 Pending JPH07213287A (ja)

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