JP2000041683A - ヘキシュロースリン酸シンターゼおよびヘキシュロースリン酸イソメラーゼの製造法 - Google Patents
ヘキシュロースリン酸シンターゼおよびヘキシュロースリン酸イソメラーゼの製造法Info
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Abstract
ュロースリン酸イソメラーゼをともに効率良く発現しう
る微生物およびその利用方法を提供する。 【解決手段】 バチラス ズブチリスのヘキシュロース
リン酸シンターゼ遺伝子及びヘキシュロースリン酸イソ
メラーゼ遺伝子を含む配列表の配列番号9に示す塩基配
列を有するDNA断片が導入されて形質転換された微生
物を培地で培養し、ヘキシュロースリン酸シンターゼお
よびヘキシュロースリン酸イソメラーゼを培養物中に生
成蓄積させる。
Description
ン酸シンターゼ遺伝子、ヘキシュロースリン酸シンター
ゼおよびヘキシュロースリン酸イソメラーゼの酵素活性
が共に増強された細菌、及びヘキシュロースリン酸シン
ターゼおよびヘキシュロースリン酸イソメラーゼを製造
する方法に関する。
ブロースモノリン酸経路が知られている。この経路は、
リブロース 5−リン酸によるホルムアルデヒドの固定
に始まり、フルクトース 6−リン酸の開裂、リブロー
ス 5−リン酸の再生の3つの段階により構成されてい
る。リブロースモノリン酸経路は、いくつかの代謝系と
共役した経路であり、この経路に関与する各酵素の遺伝
子構造に興味が持たれていたが、本経路に関する報告は
少なく、遺伝子的な解析も殆どなされていない。
媒するヘキシュロースリン酸シンターゼ(3−ヘキシュ
ロース−6−リン酸シンターゼ、3-hexulose-6-phospha
te synthase、以下「HPS」ともいう。)については、グ
ラム陰性の偏性メタノール資化菌であるメチロモナス
アミノファシエンス(Methylomonas aminofaciens)に
おいて既に精製され、これをコードする遺伝子がクロー
ニングされ、一次構造が報告されている(Yanase, H. e
t al., FEMS Microbiol. Lett., 135, 201-205(199
6))。また最近、グラム陽性の通性メタノール資化細菌
であるマイコバクテリウム ガストリ(Mycobacterium
gastri)においてもHPSが精製され、この遺伝子構造が
報告された(1997年度 日本農芸化学会大会講演要
旨集第83頁)。
HPSの触媒反応の次の反応を触媒する酵素であるヘキシ
ュロースリン酸イソメラーゼ(hexulose-phosphate iso
meraseあるいはphosphohexuloisomerase、以下「HPI」
ともいう。)についてもHPSの解析に引き続き行われ、
上記両メタノール資化細菌のHPS遺伝子(hps)及びHPI
遺伝子(hpi)の遺伝子構造が明らかになっている(1
997年度 日本農芸化学会大会講演要旨集第83
頁)。
コバクテリウム ガストリMB19株では、hpiの下流にhps
が位置しており、メチロモナス アミノファシエンス77
a株では、hpsとhpiの間にIS10Rというトランスポゾンが
挿入された遺伝子配置になっている。しかしながら、現
在まで、両酵素HPS、HPIの遺伝子構造が明らかになって
いるのは上述の二つのメタノール資化細菌のみである。
置が、安定同位元素炭素13(13C)で標識されている生
化学物質は、生物代謝経路の研究に役立つ。更に近年、
代謝産物の生体内での様子を、炭素13-NMRの技術を用い
て調べることは、いろいろな病気の診断や日々の健康診
断において、大変重要な手法になってきている。そのよ
うな新しい技術には、分子のある目的の位置を炭素13で
標識した化合物が、安価に提供できることが必要であ
り、また望まれていた。
ルデヒド固定経路を利用し、炭素13標識のメタノールか
ら、[1-13C]D−グルコース 6−リン酸の調製方法を確
立していたが、目的化合物の合成収率はあまり高くなか
った(Biosci. Biotech. Biochem. 57, 308-312 (199
3))。
る系が望まれていた。そのような系のひとつとして、標
識ホルムアルデヒドとリブロース 5−リン酸を用い、
標識D−フルクトース 6−リン酸を合成する一連の各
酵素を調製し、これらを用いた反応系で、効率よい目的
標識化合物の調製を行うという方法が考えられる。その
反応の重要な酵素であるHPSとHPIは、上述したようにメ
チロモナス アミノファシエンスやマイコバクテリウム
ガストリといったメタノール資化菌では、それら両酵
素の遺伝子構造は知られているものの、両遺伝子を一度
に、同一細胞内で発現増強させ、両酵素を取得できる方
法については報告されていない。更に、これら両酵素の
遺伝子は、既にメタノール資化菌について知られている
のみで、メタノールを資化しない細菌での、両酵素の存
在については、全く知られていないし、予期もされてい
ない。
で、効率よい目的標識化合物の調製系を確立するには、
HPS及びHPIが共に、一度に効率よく発現しうる酵素生産
系を提供することが有効であると本発明者は考えた。本
発明は、かかる観点からなされたものであり、HPS、HPI
をともに効率良く発現しうる細菌およびその利用方法を
提供することを課題とする。
ル資化菌ではないバチラス ズブチリス(Bacillus sub
tilis)のゲノム上の各種遺伝子配列について研究して
いたところ、偶然にもこの株がHPS及びHPIをコードしう
る遺伝子(各々yckG, yckFと命名されている)を持って
いること、そして、その遺伝子のゲノム上での配置が、
今まで全く知られていなかったhps(yckG)の下流にhpi(y
ckF)が位置する(hps(yckG)-hpi(yckF))という遺伝子
の並び方であり、これをエシェリヒア コリ(Escheric
hia coli)内で強制発現させたところ、両酵素活性が共
に検出できることを発見し、本発明に至った。
示すタンパク質であるヘキシュロースリン酸シンターゼ
をコードするDNA断片(以下、「第一の本発明のDN
A」ともいう。)である。 (A)配列表の配列番号10に記載のアミノ酸配列を有
するタンパク質。 (B)配列表の配列番号10に記載のアミノ酸配列にお
いて、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、
付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、ヘ
キシュロースリン酸シンターゼ活性を有するタンパク
質。
又は(D)に示すタンパク質であるヘキシュロースリン
酸イソメラーゼをコードするDNAとを含むDNA断片
(以下、「第二の本発明のDNA」ともいう。)を提供
する。 (C)配列表の配列番号11に記載のアミノ酸配列を有
するタンパク質。 (D)配列表の配列番号11に記載のアミノ酸配列にお
いて、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、
付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、ヘ
キシュロースリン酸イソメラーゼ活性を有するタンパク
質。
Aが導入されて形質転換された微生物(以下、「第一の
本発明の微生物」ともいう。)を提供する。また本発明
は、ヘキシュロースリン酸シンターゼ活性およびヘキシ
ュロースリン酸イソメラーゼ活性が増強された微生物
(以下、「第二の本発明の微生物」ともいう。)を提供
する。
培地で培養し、ヘキシュロースリン酸シンターゼを培養
物中に生成蓄積させることを特徴とするヘキシュロース
リン酸シンターゼの製造法を提供する。
地で培養し、ヘキシュロースリン酸シンターゼおよびヘ
キシュロースリン酸イソメラーゼを培養物中に生成蓄積
させることを特徴とするヘキシュロースリン酸シンター
ゼおよびヘキシュロースリン酸イソメラーゼの製造法を
提供する。
ン酸シンターゼ活性」とはホルムアルデヒドとD−リブ
ロース 5−リン酸とを縮合し、D−アラビノ−3−ヘ
キシュロース 6−リン酸(以下、ヘキシュロース 6−
リン酸ともいう。)を形成する反応を触媒する活性をい
う。また、「ヘキシュロースリン酸イソメラーゼ活性」
とは、3−ヘキシュロース−6−リン酸とフルクトース
−6−リン酸との間の異性化反応を触媒する活性をい
う。
が決定され、発表されている。そこで、本発明者らは、
既知であるマイコバクテリウム ガストリMB19由来HPS
のアミノ酸配列情報を基に、構造既知の遺伝子について
コードするアミノ酸レベルで相同性のあるものを検索し
たところ、その中の一つに、バチラス ズブチリスでの
機能未知遺伝子yckGが高い相同性を有していることが判
明した。
プロジェクトが発表した論文にも、このyckGがメチロモ
ナス アミノファシエンス77a由来のHPS(あるいは、
「D−アラビノ−3−ヘキシュロース 6−リン酸ホル
ムアルデヒドリアーゼ」ともいう。)とアミノ酸配列が
似ているとの記載がある(Nature, 390, p249 (199
7))。本発明者らは、更に、この遺伝子yckGの下流に存
在する遺伝子yckFのコードするアミノ酸配列を調べたと
ころ、これは、マイコバクテリウム ガストリMB19株の
HPIのアミノ酸配列(1997年度 日本農芸化学会大会
講演要旨集第83頁)と相同性があることを見い出し
た。
チラス ズブチリスが、ヘキシュロースリン酸シンター
ゼやヘキシュロースリン酸イソメラーゼのようなメタノ
ール資化の代謝に関与する酵素の遺伝子を、かつ、そこ
から活性をもつ酵素を発現し得る形でゲノム上に保持
し、現在まで進化してきているとは、当初、全く考えら
れなかった。
知遺伝子yckGおよびyckFが、実際に酵素活性を発揮しう
るHPSおよびHPIをコードしているか否かを敢えて検証す
る目的で、この両オープンリーディングフレーム(以
下、「ORF」ともいう。)領域をクローニングし、エシ
ェリヒア コリを宿主とする強制発現系にて発現させ
た。その後、その菌体破砕物中の酵素活性を測定したと
ころ、なんと、HPS, HPIの両酵素活性が検出できたので
ある。
本来関係のないバチラス ズブチリスに、メタノール資
化菌の多くに見られるメタノール資化経路であるリブロ
ースモノリン酸経路が存在していることを示した。この
ことは、全く予想だにしなかったことである。
(hps)-yckF(hpi)の順となっており、この配列構造は全
く新規であった。マイコバクテリウム ガストリMB19株
では、hpi-hpsであり、メチロモナス アミノファシエ
ンス77a株では、hpsとhpiの間にIS10Rというトランスポ
ゾンが挿入された遺伝子配置になっている(1997年
度 日本農芸化学会大会講演要旨集第83頁)ことが知
られている。
遺伝子発現系へマイコバクテリウムガストリMB19株のhp
i-hps領域を組み込み、同様に強制発現を行っても、こ
の場合、上流に位置するhpiのみが発現産生され、下流
に位置するhpsの同時発現生産は認められなかった。
のhps(yckG)-hpi(yckF)遺伝子構造が、両遺伝子産物の
組換え技術による量産化にとって大変有利な構造を有し
ていることを示している。
おいても、HPSとアミノ酸配列の相同性を有する蛋白質
として、エシュリヒア コリのYiaQ、YjfV等が知られて
いる。そこで、これらの遺伝子についても強制発現を行
い、これら遺伝子産物の酵素活性を測定したが、これら
からは全くHPS活性は認められなかった(後記実施例参
照)。この結果は、アミノ酸の相同性からだけで、その
遺伝子産物の酵素活性は必ずしも特定できないことを示
している。
明する。本発明のDNAの第一の形態は、下記(A)又
は(B)に示すタンパク質であるHPSをコードするDN
A断片(以下、「第一の本発明のDNA」ともいう。)
である。 (A)配列表の配列番号10に記載のアミノ酸配列を有
するタンパク質。 (B)配列表の配列番号10に記載のアミノ酸配列にお
いて、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、
付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、HP
S活性を有するタンパク質。
又は(b)に示すDNA断片が挙げられる。 (a)配列表の配列番号9に示す塩基配列のうち、少な
くとも塩基番号1〜630からなる塩基配列を有するD
NA。 (b)配列表の配列番号9に示す塩基配列のうち、少な
くとも塩基番号1〜630からなる塩基配列とストリン
ジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、HPS活性
を有するタンパク質をコードするバチルス属細菌由来の
DNA。
菌、例えばバチラス ズブチリスの染色体DNAから、
PCR法又はハイブリダイゼーション法によって単離す
ることができる。ハイブリダイゼーションに用いるプロ
ーブとしては、配列表の配列番号9に示す塩基配列のう
ち、塩基番号1〜630からなる塩基配列もしくはその
一部を用いることができる。また、PCRに用いるプラ
イマーとしては、該塩基配列の上流または下流の領域の
塩基配列を有するオリゴヌクレオチドが、具体的には配
列表の配列番号1及び配列番号2に示す塩基配列を有す
るオリゴヌクレオチドが挙げられる。
ち、塩基番号1〜630からなる塩基配列は、バチラス
ズブチリスの機能未知遺伝子yckGとして知られていた
が、本発明によりHPSをコードしていることが初めて明
らかにされた。
損なわれない限り、1若しくは複数の位置での1若しく
は数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位
を含むHPSをコードするものであってもよい。ここで、
「数個」とは、アミノ酸残基のタンパク質の立体構造に
おける位置や種類によっても異なる。それは、イソロイ
シンとバリンのように、アミノ酸によっては、類縁性の
高いアミノ酸が存在し、そのようなアミノ酸の違いが、
蛋白質の立体構造に大きな影響を与えないことに由来す
る。
ク質をコードするDNAは、例えば部位特異的変異法に
よって、特定の部位のアミノ酸残基が置換、欠失、挿
入、付加、又は逆位を含むように塩基配列を改変するこ
とによって得られる。また、上記のような改変されたD
NAは、従来知られている変異処理によっても取得され
得る。変異処理としては、HPSをコードするDNAをヒ
ドロキシルアミン等でインビトロ処理する方法、及びHP
SをコードするDNAを保持する微生物、例えばエシェ
リヒア属細菌を、紫外線照射またはN−メチル−N'−ニ
トロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)もしくは亜硝酸等
の通常変異処理に用いられている変異剤によって処理す
る方法が挙げられる。
入、付加、又は逆位等には、バチルス属細菌の菌株や種
の違いに基づく場合などの天然に生じる変異(mutant又
はvariant)も含まれる。
な細胞で発現させ、発現産物のHPS活性を調べることに
より、HPSと実質的に同一のタンパク質をコードするD
NAが得られる。また、変異を有するHPSをコードする
DNAまたはこれを保持する細胞から、例えば配列表の
配列番号9に記載の塩基配列のうち、塩基番号1〜63
0からなる塩基配列を有するDNAとストリンジェント
な条件下でハイブリダイズし、かつ、HPS活性を有する
タンパク質をコードするDNAを単離することによって
も、HPSと実質的に同一のタンパク質をコードするDN
Aが得られる。ここでいう「ストリンジェントな条件」
とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特
異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。この条
件を明確に数値化することは困難であるが、一例を示せ
ば、相同性が高いDNA同士、例えば50%以上の相同
性を有するDNA同士がハイブリダイズし、それより相
同性が低いDNA同士がハイブリダイズしない条件、あ
るいは通常のサザンハイブリダイゼーションの洗いの条
件である60℃、1×SSC、0.1%SDS、好まし
くは、0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃
度でハイブリダイズする条件が挙げられる。
子の中には途中にストップコドンが発生したものや、活
性中心の変異により活性を失ったものも含まれるが、そ
れらについては、市販の活性発現ベクターにつなぎHPS
活性を前記の方法で測定することによって容易に取り除
くことができる。
の本発明のDNAと、下記(C)又は(D)に示すタン
パク質であるHPIをコードするDNAとを含むDNA断
片である。 (C)配列表の配列番号11に記載のアミノ酸配列を有
するタンパク質。 (D)配列表の配列番号11に記載のアミノ酸配列にお
いて、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、
付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、ヘ
キシュロースリン酸イソメラーゼ活性を有するタンパク
質。
又は(d)に示すDNAが挙げられる。 (c)配列表の配列番号9に記載の塩基配列に示す塩基
配列のうち、少なくとも塩基番号639〜1193から
なる塩基配列を含むDNA。 (d)配列表の配列番号9に記載の塩基配列に示す塩基
配列のうち、少なくとも塩基番号639〜1193から
なる塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダ
イズし、かつ、ヘキシュロースリン酸イソメラーゼ活性
を有するタンパク質をコードするバチルス属細菌由来の
DNA。
属細菌、例えばバチラス ズブチリスの染色体DNAか
ら、PCR法又はハイブリダイゼーション法によって単
離することができる。ハイブリダイゼーションに用いる
プローブとしては、配列表の配列番号9に示す塩基配列
のうち、塩基番号639〜1193からなる塩基配列も
しくはその一部を用いることができる。また、PCRに
用いるプライマーとしては、該塩基配列の上流または下
流の領域の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドが、具
体的には配列表の配列番号3及び配列番号4に示す塩基
配列を有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。
ち、塩基番号639〜1193からなる塩基配列は、バ
チラス ズブチリスの機能未知遺伝子yckFとして知られ
ていたが、本発明者らにより、HPIをコードしているこ
とが明らかにされた。
損なわれない限り、1若しくは複数の位置での1若しく
は数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位
を含むHPIをコードするものであってもよい。ここで、
「数個」とは、アミノ酸残基のタンパク質の立体構造に
おける位置や種類によっても異なる。それは、イソロイ
シンとバリンのように、アミノ酸によっては、類縁性の
高いアミノ酸が存在し、そのようなアミノ酸の違いが、
蛋白質の立体構造に大きな影響を与えないことに由来す
る。
ク質をコードするDNAは、例えば部位特異的変異法に
よって、特定の部位のアミノ酸残基が置換、欠失、挿
入、付加、又は逆位を含むように塩基配列を改変するこ
とによって得られる。また、上記のような改変されたD
NAは、従来知られている変異処理によっても取得され
得る。変異処理としては、HPIをコードするDNAをヒ
ドロキシルアミン等でインビトロ処理する方法、及びHP
IをコードするDNAを保持する微生物、例えばエシェ
リヒア属細菌を、紫外線照射またはN−メチル−N'−ニ
トロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)もしくは亜硝酸等
の通常変異処理に用いられている変異剤によって処理す
る方法が挙げられる。
入、付加、又は逆位等には、バチルス属細菌の菌株や種
の違いに基づく場合などの天然に生じる変異(mutant又
はvariant)も含まれる。
な細胞で発現させ、発現産物のHPI活性を調べることに
より、HPIと実質的に同一のタンパク質をコードするD
NAが得られる。また、変異を有するHPIをコードする
DNAまたはこれを保持する細胞から、例えば配列表の
配列番号9に記載の塩基配列のうち、塩基番号639〜
1193からなる塩基配列を有するDNAとストリンジ
ェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、HPI活性を
有するタンパク質をコードするDNAを単離することに
よっても、HPIと実質的に同一のタンパク質をコードす
るDNAが得られる。ここでいう「ストリンジェントな
条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成さ
れ、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をい
う。この条件を明確に数値化することは困難であるが、
一例を示せば、相同性が高いDNA同士、例えば50%
以上の相同性を有するDNA同士がハイブリダイズし、
それより相同性が低いDNA同士がハイブリダイズしな
い条件、あるいは通常のサザンハイブリダイゼーション
の洗いの条件である60℃、1×SSC、0.1%SD
S、好ましくは、0.1×SSC、0.1%SDSに相
当する塩濃度でハイブリダイズする条件が挙げられる。
子の中には途中にストップコドンが発生したものや、活
性中心の変異により活性を失ったものも含まれるが、そ
れらについては、市販の活性発現ベクターにつなぎHPI
活性を前記の方法で測定することによって容易に取り除
くことができる。
明のDNA(HPSをコードするDNA断片:HPS遺伝子)
と、HPIをコードするDNA断片(HPI遺伝子)とを連結
することによって得られる。また、第二の本発明のDN
Aは、バチラス属細菌、例えばバチラス ズブチリスの
染色体DNAから、PCR法又はハイブリダイゼーショ
ン法によって単離することができる。PCRに用いるプ
ライマーとしては、配列表の配列番号9に示す塩基配列
のうち、塩基番号1〜1193からなる塩基配列の上流
又は下流の領域の塩基配列を有するオリゴヌクレオチド
が、具体的には配列表の配列番号1及び配列番号4に示
す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。
このようにして得られる第二の本発明のDNAとして具
体的には、配列表の配列番号9に示す塩基配列を有する
DNA断片が挙げられる。
微生物に導入し、得られる形質転換体を培地で培養し、
該DNAを発現させることによって、HPSを培養物中に
生成蓄積させることができる。また、HPS活性およびHPI
活性が増強された微生物を培地で培養することによっ
て、HPSおよびHPIを培養物中に生成蓄積させることがで
きる。ここで、HPS活性およびHPI活性の増強とは、HPS
活性またはHPI活性を持たない微生物にこれらの酵素活
性を持たせること、及びもともとHPS活性またはHPI活性
を持つ微生物のこれらの酵素活性を上昇させることのい
ずれをも含む。
及びHPI遺伝子を、それぞれ発現可能な形態で微生物に
導入することによって行うことができる。これは、各々
の酵素をコードする各々の遺伝子を別々のプロモーター
により強制発現させる手法でも、あるいは、一つのプロ
モーターの制御下で両該遺伝子を強制発現させることで
も可能である。また、これらの遺伝子がプラスミド上に
ある場合でも、あるいは、染色体上に存在する場合であ
っても、これらの遺伝子のプロモーター等の発現調節配
列を強化することによって、又は翻訳効率を改善するこ
とによって、発現を強化してもよい。あるいは、染色体
上の遺伝子数を増幅することによっても酵素活性を増強
することができる。更に、比活性を上昇させた改変酵素
をコードするように変化させたHPS又はHPIをコードする
遺伝子を用いることによって、これらの酵素活性の増強
は達成される。
ては、エシェリヒア コリ等のエシェリヒア属細菌をは
じめとする種々の原核細胞、サッカロマイセス セレビ
シエ(Saccharomyces cerevisiae)をはじめとする種々
の真核細胞、動物細胞、植物細胞が挙げられるが、これ
らの中では原核細胞、特にエシェリヒア コリが好まし
い。
めのベクターとしては、例えばpUC19、pUC18、pBR322、
pHSG299、pHSG298、pHSG399、pHSG398、RSF1010、pMW11
9、pMW118、pMW219、pMW218等が挙げられる。他にもフ
ァージDNAのベクターも利用できる。これらのベクタ
ーに本発明のDNAを連結して得られる組換えベクター
で上記宿主を形質転換することによって、本発明のDN
Aを導入することができる。また、本発明のDNAを、
トランスダクション、トランスポゾン(Berg,D.E. and
Berg,C.M.,Bio/Technol.,1,417(1983))、Muファージ
(特開平2−109985号)または相同性組換え(Ex
periments in Molecular Genetics, Cold Spring Harbo
r Lab.(1972))を用いた方法で宿主のゲノムに組み込ん
でもよい。
に、HPS遺伝子又はHPI遺伝子の上流に、宿主細胞内で働
くlac、trp、PL等のプロモーターを連結しても
よい。ベクターとして、プロモーターを含むベクターを
用いると、本発明のDNAと、ベクター及びプロモータ
ーとの連結を一度に行うことができる。このようなベク
ターとしては、trpプロモーターを含むpT13sNco(J.
Biochem. 104, 30-34(1988)に記載)が挙げられる。
K-12について報告されているような、受容菌細胞を塩
化カルシウムで処理してDNAの透過性を増す方法( M
andel,M.and Higa,A.,J.Mol.,Biol.,53,159(1970) )
や、バチルス ズブチリスについて報告されているよう
な、増殖段階の細胞からコンピテントセルを調製してD
NAを導入する方法( Duncan,C.H.,Wilson,G.A.and Yo
ung,F.E.,Gene,1,153(1977) )を用いることができる。
あるいは、バチルス ズブチリス、放線菌類および酵母
について知られているような、DNA受容菌の細胞を、
組換えDNAを容易に取り込むプロトプラストまたはス
フェロプラストの状態にして組換えDNAをDNA受容
菌に導入する方法( Chang,S.and Choen,S.N.,Molec.Ge
n.,Genet.,168.111(1979);Bibb,M.J.,Ward,J.M.and Hop
wood,O.A.,Nature,274,398(1978);Hinnen,A.,Hicks,J.
B.and Fink,G.R.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,75 1929(197
8))も応用できる。これらの方法は、宿主として用いる
細胞に応じて適宜選択すればよい。
適宜選択すればよい。宿主としてエシェリヒア コリを
用い、HPS遺伝子、又はHPS遺伝子及びHPI遺伝子をtr
pプロモーターで発現させる場合には、M9−カザミノ酸
−グルコース培地が好ましい。培養は、37℃で行い、培
養開始後数時間後に、trpプロモーターの誘導剤であ
るインドールアクリル酸(IAA)を終濃度25μg/mlにな
るよう添加し、更に培養を続けると、菌体内にHPS、又
はHPS及びHPIが蓄積する。また、適当な分泌系を用いて
これらの酵素を細胞外に分泌生産させる場合には、これ
らの酵素は培地中に蓄積する。
配列番号4に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド
をプライマーとして、バチラス ズブチリスの染色体D
NAを鋳型としてPCRにより増幅されたDNA断片
は、エシェリヒア コリで強制発現させたときに、該エ
シェリヒア コリの細胞抽出液は、HPI活性およびHPS活
性のいずれをも示した。
及びHPIは、必要に応じて、菌体抽出液又は培地からイ
オン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフ
ィー、吸着クロマトグラフィー、溶媒沈殿等、通常の酵
素の精製法を用いて精製することができる。
Iは、炭素13標識のメタノールから、[1-13C]D−グル
コース 6−リン酸を調製するのに利用することができ
る。この[1-13C]D−グルコース 6−リン酸の調製
は、例えば次のようにして行うことができる。メタノー
ル資化酵母キャンジダ ボイジニーより調製したアルコ
ールオキシダーゼを用いてメタノールをホルムアルデヒ
ドに酸化する。得られたホルムアルデヒドはHPSの作用
で、リブロース 5−リン酸とアルドール縮合してアラ
ビノ−3−ヘキシュロース 6−リン酸を生成させる。
この場合、リブロース 5−リン酸は不安定であるの
で、同じ反応系内でリボース 5−リン酸よりホスホリ
ボイソメラーゼの作用でリブロース 5−リン酸に異性
化し、HPS反応に供する。上記反応で生成したアラビノ
−3−ヘキシュロース 6−リン酸はHPIの作用で、フル
クトース 6−リン酸に変換され、更に、これはグルコ
ース 6−リン酸イソメラーゼの作用で、グルコース 6
−リン酸に変換される。
明する。
9株でのヘキシュロースリン酸シンターゼ遺伝子(hps)と
アミノ酸配列の相同性を有する遺伝子の検索 マイコバクテリウム ガストリ MB19株のHPSのアミノ酸
配列は既に公知である(1997年度日本農芸化学大会
講演要旨集第83頁)。このアミノ酸配列を基に、蛋白
質データベースであるSWISS-PROT (European Bioinform
atics Institute (EBI)) Release 34.0 に対して、Gene
tyx-Macシステム(ソフトウエア開発株式会社)を用い
て、アミノ酸配列の相同性検索を行ったところ、バチラ
ス ズブチリスの機能未知遺伝子yckGやエシェリヒア
コリの機能未知遺伝子yjfV, yiaQが高いスコアーで、相
同性があるものとして呈示された。そこで、これらの遺
伝子を、エシェリヒア コリを宿主にして強制発現さ
せ、本当にこれらの遺伝子がHPSとして機能を有する酵
素を産生できるのかどうかを検証することとした。
ローニングとエシェリヒア コリでのyjfV, yiaQの強制
発現 既に報告されているエシェリヒア コリのゲノム塩基配
列の情報を基に、yjfVあるいはyiaQのオープンリーディ
ングフレーム(ORF)を含む領域を、PCR法にて増幅した。
用いたDNAプライマーはyjfVに対してはEc-yjfV-1(配列
表の配列番号5)及びEc-yjfW-2(配列表の配列番号
6)であった。また、yiaQに対してはEc-yiaQ-1(配列
表の配列番号7)およびEc-yiaQ-2(配列表の配列番号
8)であった。なお、Ec-yjfV-1及び Ec-yiaQ-1 はその
5’端近くに制限酵素ClaIの認識配列を組み込んでい
る。またEc-yjfW-2及び Ec-yiaQ-2はその5’端近くに
制限酵素BamHIの認識配列を組み込んでいる。
cta, 72, 619-629 (1963))により、エシェリヒア・コ
リW3110株より調製した。PCR反応は、ポリメラーゼとし
てLA-Taq(宝酒造(株)製)を用いて行い、またPCR条件
は94℃、90秒の熱処理の後、98℃-10秒、58℃-20秒、70
℃-2分10秒を28サイクル行い、その後72℃で3分間保温
するというものであった。この反応により目的の大きさ
のDNA断片を、各々取得した。そしてこれらyiaQ遺伝子
あるいは YjfV遺伝子を含むDNA断片を精製後、制限酵素
ClaI及びBamHIにて処理し、各々、それらの切断端を両
端に持つDNA断片を得た。
現用プラスミドとして、トリプトファンプロモーター(P
trp)を有するプラスミドpT13sNco(J. Biochem., 104,
30-34 (1988)に記載)を用いた。pT13sNcoを制限酵素Cl
aI及びBamHIにて切断し、得られる大きいDNA断片(ベク
ター部分)を調製した。これに、上記yiaQ断片あるいは
yjfV断片をT4-DNAリガーゼにて連結することで、yiaQの
発現プラスミドpT-Ec-yiaQ1、及び、yjfVの発現プラス
ミドpT-Ec-yjfV1をそれぞれ構築した。
いてエシェリヒア コリ JM109株を常法により形質転換
し、形質転換体JM109/pT-Ec-yiaQ1あるいはJM109/pT-Ec
-yjfV1を得た。一方、DNA断片yckGを含まないプラスミ
ドで形質転換した対照株としては、pT13sNcoのベクター
部分であるpTTNcoを保持するエシェリヒア コリ JM109
株(JM109/pTTNco) を用いた。
ルコース培地(M9-CA-Glc培地)で、37℃にて培養し、約
2時間後に、Ptrpからの転写の誘導剤であるインドール
アクリル酸(IAA)を終濃度25μg/mlになるように添加
し、更に培養を6時間続け、その後、培養液4mlを集菌
した。この菌体へ、懸濁用の緩衝液(50mMリン酸カリウ
ム(pH7.6)、 3mM塩化マグネシウム、1mMジチオスレイト
ール)を1ml添加して菌体を懸濁した。次に、菌体を超
音波破砕後、遠心分離(15000rpm、30分)し、可溶性画
分を酵素標品とした。
た。活性測定法はホルムアルデヒドの同化を、最終的に
グルコース−6−リン酸脱水素酵素による酸化型ニコチ
ンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP+)の還
元化を測定するという方法を用いた(Methods in Enzym
ology, vol.188, p391に記載の方法に基づく)。
(pH7.6)、3mM塩化マグネシウム、3mM リボース 5−リ
ン酸、2.5mM NADP+、3U/ml ホスホリボイソメラーゼ
(シグマ社製)、3.5U/ml ホスホグルコイソメラーゼ
(ベーリンガー社製)、3.5U/ml グルコース−6−リン
酸脱水素酵素(ベーリンガー社製)、3U/ml HPI〕を、
0.9mlずつ分光光度計用のキュベット(標品用と対照
用)に入れ、37℃で5分間保温した。その後、標品用の
キュベットに菌体可溶性画分を0.05ml添加、混合し、吸
光度の上昇が、この成分のみでは起こらないことを確認
した。つづいて、対照用のキュベットに水0.1mlを、標
品用のキュベットには0.1Mホルムアルデヒドを0.05ml加
えることで反応を開始し、NADP+の還元に伴う340nm波長
光の吸光度上昇を指標にHPS活性を測定した。
チロモナス アミノファシエンス77a株からDEAE-セファ
セルのイオン交換クロマトグラフィーの精製法によっ
て、部分精製が可能である(文献Appl. Microbiol. Bio
technol., 37巻, 301-304頁, (1992年))。
から得られた細胞抽出液を用いた場合も、対照株JM109/
pTTNcoの場合と比較して、有意なHPS活性を検出できな
かった。なお、両遺伝子産物YiaQ及びYjfVはともに菌体
内で高発現し、可溶性画分に存在したことを、測定に供
した酵素標品中のタンパク質をSDS-PAGEで展開し、各遺
伝子産物がそこにあることによって確認した。このこと
は、アミノ酸配列の相同性のみで、活性も予測するとい
う方法には限界があることを示している。
域のクローニングとエシェリヒア コリでのyckG-yckF
の強制発現 マイコバクテリウム ガストリMB19株のHPSのアミノ酸
配列と相同性があるYckGに関連し、更に、この遺伝子yc
kGの下流に存在する遺伝子yckFのコードするアミノ酸配
列を調べたところ、これは、マイコバクテリウム ガス
トリMB19株のHPIのアミノ酸配列(1997年度 日本農
芸化学会大会講演要旨集第83頁)と相同性があること
を見い出した。そこで、このyckFについても、yckGと同
時に強制発現を行い、これらが活性のあるHPI、HPSをコ
ードしているものかどうかについての検討を行った。
のゲノムDNAに対してDNAプライマーBsYck-G1(配列番号
1)及びBsYck-F2(配列番号4)を用いて、Long-PCRを
行った。なお、プライマーBsYck-G1は、yckG遺伝子の開
始コドンから下流の領域に結合するように、また、プラ
イマーBsYckF-F2は、yckF遺伝子下流域の非翻訳領域に
結合するよう設計した。なおBsYck-G1はその5’端近く
に制限酵素ClaIの認識配列を、またBsYck-F2はその5’
端近くに制限酵素BamHIの認識配列を組み込んだ。PCR反
応に使用したポリメラーゼはLA-Taq(宝酒造(株)製)
で、反応条件は94℃、90秒の熱処理の後、98℃-10秒、5
8℃-20秒、70℃-1分50秒を28サイクル行い、その後73℃
で5分間保温するというものであった。この反応により
目的の大きさ(約1200bp)のDNA断片を取得した。このDNA
断片を精製後、制限酵素ClaI及びBamHIにて処理し、そ
れらの切断端を両端にもつDNA断片(A)を得た。
記のyjfV及びyiaQの発現に用いたのと同じ高発現用プラ
スミドpT13sNco (J. Biochem., 104, 30-34 (1988)に記
載)を用いた。pT13sNcoを制限酵素ClaI及びBamHIにて
切断し、得られる大きいDNA断片を調製した。これに上
記DNA断片(A)をT4-DNAリガーゼにて連結することで、yc
kG及びyckF用の発現プラスミドpT-Bsb-yckGF1を構築し
た。
コリ JM109株を常法により形質転換し、形質転換体JM
109/pT-Bsb-yckGF1を得た。この形質転換体JM109/pT-Bs
b-yckGF1はプライベートナンバーAJ13469が付与され、
平成10年7年6日より、通商産業省工業技術院生命工学
工業技術研究所(郵便番号305-8566 日本国茨城県つく
ば市東一丁目1番3号)に寄託されており、受託番号FE
RM P-16873が付与されている。一方、対照株としては、
pT13sNcoのベクター部分であるpTTNcoを保持するエシェ
リヒア コリ JM109株(JM109/pTTNco)を用いた。
カザミノ酸-グルコース培地(M9-CA-Glc培地)で、37℃
にて培養し、約2時間後に、Ptrpからの転写の誘導剤で
あるインドールアクリル酸(IAA)を終濃度25μg/mlにな
るように添加し、更に培養を6時間続け、その後、培養
液4mlを集菌した。この菌体へ、懸濁用の緩衝液(50mM
リン酸カリウム(pH7.6)、 3mM塩化マグネシウム、1mMジ
チオスレイトール)を1ml添加し菌体を懸濁した。次
に、菌体を超音波破砕後、遠心分離(15000rpm、30分)
し、可溶性画分を酵素標品とした。
活性を測定した。その結果、JM109/pT-Bsb-yckGF1から
得られた細胞抽出液を用いた場合、対照株JM109/pTTNco
の場合と比較して、有意なHPS活性を検出できた。この
ことから、バチラス ズブチリスのyckGは活性あるHPS
をコードする遺伝子であることが初めて示された。
-yckGF1から得られた細胞抽出液中には、HPSのみならず
HPIの活性も存在することを、偶然にも発見した。上記
の酵素活性測定の反応液からHPIを除いた反応緩衝液を
用いて、JM109/pT-Bsb-yckGF1の細胞抽出液を添加した
ところ、340nmの吸光度の上昇がみられ、この粗抽出液
中にはHPS並びにHPIが同時に存在していることが判明し
た。このことから、バチラス ズブチリスのyckG及びyc
kFを用いることで、リブロースモノリン酸経路上の主要
酵素HPS及びHPIが同時に生産できることが判明した。
の配列番号1)及びBsYck-G6(配列表の配列番号2)を
用いたPCR法にて増幅したDNA断片を制限酵素ClaI及びBa
mHIにて処理し、それらの切断端を両端にもつyckG断片
を得た。次に、これをAccI及びBamHIで処理したpUC19ベ
クターへ常法に従って組み入れた。これをエシェリヒア
コリJM109株へ形質転換し、JM109/pUC19-yckG1を得
た。
定されているため(Nature, Vol.390, pp249, 1997)、
その塩基配列情報を基に、yckFを含むDNA断片をPCRにて
増幅した。上記と同様に、DNAプライマーとしてBsYck-F
1(配列番号3)、及びBsYck-F2(配列番号4) を用
いたPCR法にて増幅したDNA断片を制限酵素ClaI及びBamH
Iにて処理し、それらの切断端を両端にもつyckF断片を
得た。pT13sNcoを制限酵素ClaI及びBamHIにて切断し、
得られる大きいDNA断片を調製した。これに上記yckF断
片をT4-DNAリガーゼにて連結することで、プラスミドpT
-Bsb-yckF1を構築した。
コリ JM109株を常法により形質転換し、形質転換体JM
109/ pT-Bsb-yckF1を得た。尚、JM109/ pT-Bsb-yckF1
は、プライベートナンバーAJ13441が付与され、平成1
0年5月8日より、通商産業省工業技術院生命工学工業
技術研究所(郵便番号305−8566 日本国茨城県
つくば市東一丁目1番3号)に寄託されており、受託番
号FERM BP−6345が付与されている。
ン酸シンターゼ活性、又はヘキシュロースリン酸シンタ
ーゼ及びヘキシュロースリン酸イソメラーゼの両酵素活
性が増強された微生物が得られ、これらの酵素を効率よ
く生産することが可能となる。特に、両酵素活性が増強
された微生物を用いると、これらの酵素を同時に生産す
ることが可能となる。このことから、ひいては医療や生
化学的基礎研究に重要で必要となる標識化合物を大量に
安価に提供できることになる。
Claims (10)
- 【請求項1】 下記(A)又は(B)に示すタンパク質
であるヘキシュロースリン酸シンターゼをコードするD
NA断片。 (A)配列表の配列番号10に記載のアミノ酸配列を有
するタンパク質。 (B)配列表の配列番号10に記載のアミノ酸配列にお
いて、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、
付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、ヘ
キシュロースリン酸シンターゼ活性を有するタンパク
質。 - 【請求項2】 下記(a)又は(b)に示すDNAであ
る請求項1記載のDNA断片。 (a)配列表の配列番号9に示す塩基配列のうち、少な
くとも塩基番号1〜630からなる塩基配列を有するD
NA。 (b)配列表の配列番号9に示す塩基配列のうち、少な
くとも塩基番号1〜630からなる塩基配列とストリン
ジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、ヘキシュ
ロースリン酸シンターゼ活性を有するタンパク質をコー
ドするバチルス属細菌由来のDNA。 - 【請求項3】 請求項1記載のDNAと、下記(C)又
は(D)に示すタンパク質であるヘキシュロースリン酸
イソメラーゼをコードするDNAとを含むDNA断片。 (C)配列表の配列番号11に記載のアミノ酸配列を有
するタンパク質。 (D)配列表の配列番号11に記載のアミノ酸配列にお
いて、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、
付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、ヘ
キシュロースリン酸イソメラーゼ活性を有するタンパク
質。 - 【請求項4】 前記ヘキシュロースリン酸イソメラーゼ
をコードするDNAが、下記(c)又は(d)に示すD
NAである請求項3記載のDNA断片。 (c)配列表の配列番号9に記載の塩基配列に示す塩基
配列のうち、少なくとも塩基番号639〜1193から
なる塩基配列を含むDNA。 (d)配列表の配列番号9に記載の塩基配列に示す塩基
配列のうち、少なくとも塩基番号639〜1193から
なる塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダ
イズし、かつ、ヘキシュロースリン酸イソメラーゼ活性
を有するタンパク質をコードするバチルス属細菌由来の
DNA。 - 【請求項5】 配列表の配列番号9に示す塩基配列を有
する請求項3記載のDNA断片。 - 【請求項6】 請求項1記載のDNAが導入されて形質
転換された微生物。 - 【請求項7】 ヘキシュロースリン酸シンターゼ活性お
よびヘキシュロースリン酸イソメラーゼ活性が増強され
た微生物。 - 【請求項8】 請求項3記載のDNAが導入されたこと
によりヘキシュロースリン酸シンターゼ活性およびヘキ
シュロースリン酸イソメラーゼ活性が増強されたことを
特徴とする請求項7記載の微生物。 - 【請求項9】 請求項6記載の微生物を培地で培養し、
ヘキシュロースリン酸シンターゼを培養物中に生成蓄積
させることを特徴とするヘキシュロースリン酸シンター
ゼの製造法。 - 【請求項10】 請求項7記載の細胞を培地で培養し、
ヘキシュロースリン酸シンターゼおよびヘキシュロース
リン酸イソメラーゼを培養物中に生成蓄積させることを
特徴とするヘキシュロースリン酸シンターゼおよびヘキ
シュロースリン酸イソメラーゼの製造法。
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FR2826021A1 (fr) * | 2001-06-13 | 2002-12-20 | Centre Nat Rech Scient | Procede de detection et d'identification de la presence de matieres biologiques provenant de poissons, et oligonucleotides pour sa mise en oeuvre |
FR2858631A1 (fr) * | 2004-09-24 | 2005-02-11 | Centre Nat Rech Scient | Procede de detection et d'identification de la presence de matieres biologiques provenant de poissons, et oligonucleotides pour sa mise en oeuvre |
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- 1998-08-04 JP JP22088198A patent/JP3945031B2/ja not_active Expired - Fee Related
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