JP4292294B2 - ピロリン−5−カルボン酸レダクターゼ活性を有する新規耐熱性タンパク質 - Google Patents

ピロリン−5−カルボン酸レダクターゼ活性を有する新規耐熱性タンパク質 Download PDF

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Description

本発明は、ピロリン−5−カルボン酸レダクターゼ活性を有する新規耐熱性タンパク質に関する。本出願は、国の委託に係る成果の出願である。
ピロリン−5−カルボン酸レダクターゼ(EC1.5.1.2)は、NAD(P)の存在下に1−ピロリン−5−カルボン酸を還元してL−プロリンを生成する酵素であり、また、1−ピロリン−3−ヒドロキシ−5−カルボン酸に作用して、L−ヒドロキシプロリンを生成する酵素でもある。この酵素は植物、微生物および動物において、L−プロリンの生合成に関与している。このような酵素としては、ザレリオン・アーボリコーラ(Zalerionarboricola)由来のもの(非特許文献1、特許文献1参照)、ホウレン草(Spinacia oleracea L.) の葉由来のもの(非特許文献2参照)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)由来のもの(非特許文献3参照)、ラットレンズ由来のもの(非特許文献4参照)、ウシレチナ由来のもの(非特許文献5参照)、ヒト由来のもの(非特許文献6参照)などが知られている。このような酵素は、工業的に有用なヒドロキシプロリンの酵素合成に使用されている(非特許文献7参照)。しかしながら、これらの酵素は、耐熱性が無く、熱で失活してしまい、その工業的用途は限定されていた。
他方、超好熱性古細菌(非特許文献8参照)についての研究があり、スルホロブス属細菌の1種であるスルホロブス・トコダイイ(Sulfolobus tokodaii)(JCM10545)(非特許文献9参照)は、その遺伝子が既に解析されている(非特許文献10参照)。したがって、この超好熱古細菌が、ピロリン−5−カルボン酸レダクターゼを産生するとすれば、それは優れた耐熱性を有すると予想される。
Gene, 1996 June 12;172(1):149-53 米国特許第5,789,222号 Plant Cell Physiol. 2001 July ;42(7):742-50 Plant Physiol. 1997 Aug;114(4):1215-24 Biochim. Biophys.Acta, 1986 Mar 19;881(1):72-8 Biochim. Biophys. Acta, 1982 Aug 6;717(2):215-9 J. Biol. Chem., 1996 Apr 19;271(16):9795-800 J.Biol.Chem.235(1960),3499-3503 Advances in Protetin Chemistry, Volume 48, Enzymes and Proteins from Hyperthermophilic Microorganisms (M.Adams ed.), Academic Press (1996) Suzuki, T. et al., Extremophiles, 2002 Feb;6(1):39-44 Kawarabayashi,Y. et al., "Complete genome sequence of an aerobic thermoacidophilic crenarchaeon, Sulfolobus tokodaii strain7", DNA Res. 8 (4), 123-140 (2001)
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、ピロリン−5−カルボン酸レダクターゼ活性を持つ新規耐熱性タンパク質の提供を、その目的とする。
前記目的を達成するために、超好熱性古細菌であるスルホロブス・トコダイイ(Sulfolobus tokodaii)(JCM10545)のゲノム情報について調べたところ、この細菌が、ピロリン−5−カルボン酸レダクターゼを産生する可能性があることを突き止めた。この知見に基づき、さらに研究を重ねたところ、この細菌の遺伝子から、耐熱性ピロリン−5−カルボン酸レダクターゼ活性を持つ新規タンパク質を発現させることに成功し、本発明に到達した。なお、スルホロブス・トコダイイ(Sulfolobus tokodaii)(JCM10545)は、理化学研究所生物基盤研究部微生物系統保存施設に保存されており、第三者の要求により分譲可能である。スルホロブス・トコダイイ(Sulfolobus tokodaii)(JCM10545)の生育温度は80℃であり、生育限界温度が87℃であるから、本発明のタンパク質は、80〜87℃の高温でもあっても活性がある。
すなわち、本発明の耐熱性タンパク質は、下記の(a)または(b)のタンパク質である。
(a)配列番号1に示すアミノ酸配列からなる耐熱性タンパク質
(b)配列番号1に示すアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列からなり、かつピロリン−5−カルボン酸レダクターゼ活性を有する耐熱性タンパク質。
本発明により、ピロリン−5−カルボン酸レダクターゼ活性を有する新規耐熱性タンパク質が提供できる。
前記タンパク質のピロリン−5−カルボン酸レダクターゼ活性は、NAD(P)の存在下に1−ピロリン−5−カルボン酸を還元してL−プロリンを生成するというものである。なお、本発明のタンパク質は、前記反応の逆反応を触媒してもよい。
前述のように、本発明の新規タンパク質は、超好熱性古細菌由来であり、具体的には、スルホロブス・トコダイイ(Sulfolobus tokodaii) (JCM10545)由来である。但し、本発明のタンパク質は、この菌が産生するものに限定されず、遺伝子工学的手法により、他の生物が産生するものであってもよい。
つぎに、本発明の発現ベクターは、前記本発明のタンパク質をコードするDNAまたは配列番号2に記載のDNAを含むベクターである。
つぎに、本発明の形質転換体は、前記本発明のベクターにより形質転換された形質転換体である。なお、宿主は特に制限されず、例えば、大腸菌等がある。
つぎに、本発明のタンパク質の製造方法は、前記本発明の形質転換体を培養する工程と、前記培養工程において発現した前記タンパク質を回収する工程とを含む製造方法である。
つぎに、本発明の第1の製造方法は、酵素反応により、NAD(P)Hの存在下に1−ピロリン−5−カルボン酸を還元してL−プロリンおよびNAD(P)(+)を生成するL−プロリンおよびNAD(P)(+)の製造方法であって、前記酵素として請求項1から4のいずれかに記載のタンパク質を用い、温度80℃の条件で前記酵素反応を行う製造方法である。
また、本発明の第2の製造方法は、酵素反応により、NAD(P)(+)の存在下、L−プロリンから1−ピロリン−5−カルボン酸およびNAD(P)Hを製造する方法であって、前記酵素として請求項1から4のいずれかに記載のタンパク質を用い、温度80℃の条件で前記酵素反応を行う製造方法である。
このように、前記本発明のタンパク質を用いれば、温度80℃の高温領域で酵素反応を実施でき、この結果、ピロリン−5−カルボン酸レダクターゼの工業的な用途が広がる。また、本発明の製造方法は、L−プロリン若しくは1−ピロリン−5−カルボン酸の工業的製造に利用できる方法である。なお、本発明の製造方法において、前記酵素反応のpHは、pH8.5〜10の範囲が好ましい。また、本発明の製造方法において、温度80℃で酵素反応を行った後、温度を95℃以上にして酵素反応を簡単に停止することもできる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、海洋底から採取された超好熱性古細菌であって、好気性thermoacidophilic crenarchaeonの1種であるスルホロブス・トコダイイ(Sulfolobus tokodaii)種7(JCM10545)の遺伝子配列から耐熱性ピロリン−5−カルボン酸レダクターゼ活性を示すと推定される遺伝子(配列番号2)をクローニングし、これを大腸菌を用いて発現させることにより、本発明の新規耐熱性タンパク質を得るに至った。遺伝子のクローニング方法は、後記した実施例1に記載した通り実施した。クローニングされた遺伝子の塩基配列は配列番号2に示す通りであり、また、その推定アミノ酸配列は配列番号1に示す通りである。なお、本発明のタンパク質は、耐熱性ピロリン−5−カルボン酸レダクターゼ活性を有していれば、配列番号1のアミノ酸配列において、一つ以上若しくは数個のアミノ酸残基が、欠質、置換、付加若しくは挿入されていてもよい。このアミノ酸配列における「アミノ酸の欠失、置換、付加若しくは挿入」は、当業者に公知の方法(例えば、突然変異誘発法)に従って実施することができる。
本発明のタンパク質は、前述の本発明のタンパク質の製造方法により製造可能であるが、これに限定されず、他の製造方法で製造されてもよい。例えば配列番号1に示すように、そのアミノ酸配列が決定されているタンパク質については、その配列を元に当業者に公知の手法、例えば、個々のアミノ酸を化学的に重合してタンパク質を合成する方法に従って調製することができる。
本発明のタンパク質をコードする遺伝子の一例としては、配列番号2に示す遺伝子がある。前記遺伝子は、例えば、後記する実施例2に示すように超好熱性古細菌スルホロブス・トコダイイ(Sulfolobus tokodaii)(JCM10545)のゲノムから、例えば配列番号2で示される塩基配列の一部をプライマーとして用いるPCR法あるいは該DNA断片をプローブとして用いるハイブリダイゼーション法により調製することができる。また、その塩基配列をもとに、当業者に公知である核酸化学合成法等に従って前記遺伝子を得ることもできるが、これらに限定されない。
本発明の発現ベクターは、前記遺伝子もしくは配列番号2のDNAを適当なベクターに挿入することによって得ることができる。本発明の遺伝子を挿入するためのベクターは、宿主中で複製可能なものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、プラスミドDNA、ファージDNA、AcMNPVなどのバキュロウイルスなどが挙げられる。プラスミドDNAは、大腸菌やアグロバクテリウムからアルカリ抽出法またはその変法などにより調製することができる。また、市販プラスミドとして、例えばpET-11a(Novagen社製)あるいはバチルス属の宿主を用いて分泌型のプラスミドなどを用いてもよい。これらのプラスミドは、アンピシリン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子などが含まれていてもよい。
ベクターへの遺伝子等の挿入は、例えば、精製された遺伝子の塩基配列を適当な制限酵素で切断し、適当なベクターDNAの制限酵素部位またはマルチクローニングサイトに挿入してベクターに連結する方法などを用いることができるが、これらに限定されない。また、本発明の遺伝子の機能が発揮されるように、本発明の発現ベクターには本発明の遺伝子のほか、プロモーター、ターミネーター、リボソーム結合配列などを組み込んでいてもよい。さらに、本発明の遺伝子も他のタンパク質のコードする配列を融合したものを挿入してもよい。
前記発現ベクターで宿主生物を形質転換すれば、本発明の形質転換体が得られる。宿主生物としては、本発明の遺伝子を発現できるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、大腸菌などの原核生物細胞などが挙げられるが、これらに限定されない。形質転換法としては、既に公知である塩化カルシウム法などを使用することができるが、これらの方法に限定されない。
本発明のタンパク質の製造方法は、前記形質転換体を培養する工程と、前記培養工程において発現した前記タンパク質を回収する工程とを含む製造方法である。前記培養する方法は、宿主細胞の培養に用いられる通常の方法に従って行われる。大腸菌等の微生物を宿主とした形質転換体を培養する培地としては、微生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類などを含有し、形質転換体の培養を効率的に行えるものであれば、天然培地、合成培地などのいずれを用いてもよい。本発明のタンパク質の回収は、特に制限されない。前記タンパク質が菌体内または細胞内に生産される場合には、菌体または細胞を破砕することによって前記タンパク質を回収する。また、本発明の前記タンパク質が菌体外または細胞外に生産される場合には、培養液をそのまま使用するか、遠心分離などにより菌体または細胞を除去した後、タンパク質の単離精製に用いられる一般的な生化学的方法、例えば、硫酸アンモニウム沈殿、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどを単独でまたは適宜組み合わせて用いることにより、培養物中から本発明のタンパク質を単離精製することができる。なお、培養液をそのまま使用する場合、熱処理をすることにより、本発明のタンパク質以外のタンパク質が失活するので、実質上、本発明のタンパク質のみの酵素液として使用できる。
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されない。
染色体DNAの調製
スルフォロブス・トコダイイ(Sulfolobus tokodaii(JCM10545))をL培地中で37℃にて一晩培養して集菌したものに、SSC溶液 (0.15M NaCl, 0.015M クエン酸ナトリウム)10mL、0.5M EDTA、100mg/ml ニワトリ卵白リゾチーム 0.1mLおよび10%非イオン性界面活性剤Brij-58を0.5mL加え、0℃で30分間放置した後、プロテイナーゼK(Merck社製)5mgを10%SDS 0.2mLに溶かした溶液を加え、37℃で2、3日間放置した。この溶液に水飽和フェノール、クロロホルム、イソアミルアルコールの混合溶液を加えて、37℃で1時間放置した後、水層を分取し、そこへエタノールを加えてDNAを沈殿濃縮した。このDNAの沈殿をTE溶液(10mM Tris-HCl(pH7.5)、1mM EDTA(pH8.0))10mLに溶解し、リボヌクレアーゼ0.25mL(最終濃度0.25mg/mL)を加えて、37℃で一晩放置した後、エタノールで沈殿させた。次いで、DNAをTE溶液5mLに溶解した後、260nmの吸光度より、DNA濃度を決定した(Clarke,L.& Carbon,J.(1979) Methods Enzymol.68,396-408参照)。
発現プラスミドの構築と遺伝子発現
1.発現プラスミドの構築
耐熱性ピロリン−5−カルボン酸レダクターゼ遺伝子の翻訳領域の前後に制限酵素NdeIおよびBamHI、NotIサイトを含むDNAを構築する目的で下記のDNAプライマーを合成し、このプライマーを用いたPCRで耐熱性ピロリン−5−カルボン酸レダクターゼ遺伝子の翻訳領域の前後に制限酵素サイトを導入した。用いたDNAポリメラーゼはKOD Dash(東洋紡社製)であった。
Forward primer(配列番号3):5'-ATATCATATGCGTGTAAGCATCATCGGAGTAGGTAAGATA -3'
Reverse primer(配列番号4):5'-ATATGGATCCGCGGCCGCTTATTAATACATTTTATCGATCTC -3'
PCR反応後、Ex Taq(宝酒造社製)を用いて増幅断片の3’末端側にデオキシアデノシンを付加した後、pGEM-T Easy Vector(Promega社製)と、T4リガーゼで15℃、30分間反応させ連結した。連結したDNAを大腸菌DH5αのコンピテントセルに導入し,形質転換体のコロニーを得た。得られた形質転換体をアンピシリンを含むLB培地(18mL)で24時間培養し、その培養液からプラスミドを改変アルカリSDS法で精製した。プラスミド中に期待される大きさのインサートが存在することを、図1に示すように、アガロース電気泳動で確認した。精製プラスミドのインサートの塩基配列は、BigDye Terminator kit(登録商標:Applied Biosystems社製)とABI PRISM 3700 DNA Analyzer(登録商標:Applied Biosystems社製)を用いて決定し、インサートの塩基配列が、耐熱性ピロリン−5−カルボン酸レダクターゼ遺伝子の正しい配列であることを確認した。正しい配列を有するプラスミドの一部を制限酵素NdeIとBamHIで完全分解(37℃で2時間)した後、アガロース電気泳動により、耐熱性ピロリン−5−カルボン酸レダクターゼ遺伝子を精製した。pET-11a(Novagen社製)を制限酵素NdeIとBamHIで切断・精製した後、上記の構造遺伝子とT4リガーゼで反応させ連結した。連結したDNAの一部を大腸菌DH5αのコンピテントセルに導入し、アンピシリンを含むLB寒天プレートに適量まき、37℃で一晩培養し、形質転換体のコロニーを得た。得られた形質転換体をアンピシリンを含むLB培地(18mL)で24時間培養し、その培養液から発現プラスミドを改変アルカリSDS法で精製した。
2.組換え遺伝子の発現
大腸菌 Rosetta-gami(DE3)(Novagen社製)のコンピテントセルを融解して、ファルコンチューブに0.1mL移した。その中に上記1.の精製発現プラスミドの溶液0.002mLを加え氷中に20分間放置した後、42℃でヒートショックを90秒間行い、氷中に1分間放置した後、クロラムフェニコールとアンピシリンを含むLB寒天プレートに適量まき、37℃で一晩培養し、形質転換体を得た。得られた形質転換体をアンピシリンを含むLB培地(5mL)で18時間培養し、耐熱性ピロリン−5−カルボン酸レダクターゼ遺伝子を発現した。培養後、遠心分離(13,000G、10分)で集菌した。集菌した菌体に,破砕液(20mM Tris-HCl、100mM KCl、pH7.5)を0.2mL加え,超音波発生器で細胞を破砕し,その懸濁液を0.1mLずつ2本のサンプルチューブに分けた。一方のサンプルチューブは遠心分離(13,000G、10分)して上清と沈殿に分け,沈殿は破砕液 0.1mLで懸濁した。もう一方のサンプルチューブは,熱処理(70℃,10分)を施した後,遠心分離(13,000G、10分)して上清と沈殿に分け,沈殿は破砕液0.1mLで懸濁した。これらの試料の一部をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)で分析し,発現を確認できた。この結果を、図2のSDS−PAGE写真に示す。
耐熱性ピロリン−5−カルボン酸レダクターゼの発現が見られた試料についてSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った後,エレクトロブロッティングによりPVDF膜に転写し,染色によって可視化された目的組換えタンパク質である耐熱性ピロリン−5−カルボン酸レダクターゼのバンドを切り出し,プロテインシーケンサーModel492Procise(Applied Biosystems社製)を用いて,アミノ末端配列を解析した結果、配列番号5に示すように7残基のアミノ末端配列が決定できた。この配列により,発現タンパク質が耐熱性ピロリン−5−カルボン酸レダクターゼであることを確認できた。このタンパク質は、259アミノ酸残基より構成されており、その推定分子量は28.5kDであり、図2の結果とほぼ一致した。
組換え大腸菌の大量培養
実施例2と同様にして調製したプラスミドDNA(pET−11aベクター) を用いて、大腸菌DH5α株を常法に従い形質転換した。形質転換された大腸菌DH5αからアルカリSDS法を用いてプラスミドDNAを抽出した。このプラスミドDNAを用いて、大腸菌ロゼッタ・ガミ(Rosetta-Gami)(DE3)株を形質転換した。プレート上に生えてきたコロニーを3白金耳量とり、5mLのLBL培地(1%ペプトン、0.5%酵母抽出液、0.5%NaCl、0.1%ラクトース、50μg/mLアンピシリン、40μg/mLクロラムフェニコール)に植菌して、培養開始直前まで約6時間、37℃で前培養した。この前培養液を全量、3Lの4×LBL培地(4%ペプトン、2%酵母抽出液、 2%NaCl、50μg/mLアンピシリン)に加え、高密度培養槽(ABLE社製)にて37℃、pH7.2、圧力0.02Paでコンピュータプログラム制御し、培養した。pHは、オートクレーブ済みの2M HCl(和光純薬社製)および2M NaOH(和光純薬社製)で調整した。集菌約20時間前にオートクレーブ済みの300mL発現誘導液(10%ラクトース、20%グリセロール)を加えた。大腸菌の生育度が定常期に入ったところ(培養開始46時間後)で大型遠心分離機(Beckman社製AvantiHP-30I)を用い集菌した。回収した菌体は、−30℃で保存した。この時、菌体を少量、別に取り、150mM NaCl、20mM Tris−HCl(pH8)、5mM β-メルカプトエタノール(和光純薬社製)に溶解・懸濁し、超音波破砕装置(TOMY社製UD-201)で破砕した。この溶液を2等分し、一方を9100G 、4℃で10分間、遠心分離し、上清と沈殿に分け、他方を75℃に設定した恒温槽(TAITEC社製DryThermounit DTU-1C)で10分間、加熱した後、9100G 、4℃で10分間、遠心分離し、上清と沈殿に分けた。これら4種の上清および沈殿(沈殿は、菌体破砕液にて再縣濁)に変性剤(62.5mM Tris−HCl(pH6.8)、10%グリセロール、2%SDS、2.4%β−メルカプトエタノール、0.005% ブロムフェノールブルー(和光純薬社製))を加え、95℃で5分間加熱し、変性させた。これらの変性させたタンパク質溶液を12.5%または15%(発現させるタンパク質の分子量により異なる)ポリアクリルアミドゲルに加え、SDS−PAGEにて電気泳動を行った。染色液(Quick-CBB、和光純薬社製)を用い、電気泳動後のゲルを染色・脱色し、目的タンパク質の発現を確認した。
組換えタンパク質の精製
実施例3において、−30℃で保存してあった菌体を、150mM NaCl、20mM Tris−HCl(pH8)、5mM β−メルカプトエタノールに溶解・懸濁し、超音波破砕装置(TOMY社製UD-201)で破砕し、75℃に設定した恒温槽(TAITEC社製、DryThermoUnit DTU-1C)で、10分間、加熱した後、すばやく冷却した。次に、この破砕菌体液を大型遠心分離機(Beckman社製Avanti HP-30I)を用いて、100,000Gで1時間、遠心分離し、上清を回収した。
次に、この上清をタンパク質精製装置(Amersham Biosciences社製、AKTA explorer)を用いて、20mM MES(2-Morpholinoethanesulfonic acid)pH6.0、5mM β−メルカプトエタノールの緩衝溶液に置換した後、陽イオン交換カラム(東ソー社製TSK-GEL Bioassist S)に通した。塩化ナトリウムで溶出を行い、溶出してきた各画分をSDS−PAGE電気泳動にて確認し、目的タンパク質の画分を回収した。
次に、回収した画分を10mM Tris−HCl、pH8.0、5mM β−メルカプトエタノールの緩衝溶液に置換した後、遠心濃縮チューブ(ミリポア社製VIVASPIN10000)を用いて遠心分離して濃縮し、活性測定に供した。
活性測定
1.測定方法
つぎに、前記実施例4で精製したタンパク質について、下記の種々条件下で、その活性を測定した。この活性測定は、つぎの通りである。すなわち、100mMのKClと、20mMのNAD(オリエンタル酵母社製)と、20mMのL−プロリン (ナカライケミカルズ社製)と、500nMの実施例4の精製タンパク質とを含む100mMの グリシン−NaOH緩衝溶液(pH10.0)を60秒間反応させたときの、NAD(+)の NADHへの変換による吸光度(340nm)の増加を、HITACHI社製U-3000分光光度計によりモニターすることで測定した。
2.至適温度
25、50、70、80、90、95℃の各温度において、前記測定を行い、相対活性を求めた。各温度での相対活性は、活性が最大であった80℃での測定値を基準(100%)として計算した。測定結果を、図3のグラフに示す。図示のとおり、至適温度が80℃であることが分かった。
3.至適pH
pH4.28、4.95、5.36、6.04、6.56、7.41、8.52、9.76、10.16の各条件で、前記測定を行い、相対活性を求めた。反応温度は、80℃とした。各pHでの相対活性は、活性が最大であったpH9.76での測定値を基準(100%)として計算した。測定結果を、図4のグラフに示す。図示のとおり、pH8.5〜10で最大活性を示し、pH8以下では、ほとんど活性を示さなかった。
4.熱安定性
前記測定に先立ち、5μMの実施例4において精製したタンパク質溶液を、80℃および95℃で、0.5、1、1.5、2、2.5、3時間前処理した。前記前処理物を、遠心分離し、その上清を濾過したものを用いて前記測定を行い、相対活性を求めた。反応温度は、80℃とした。なお、前処理時間0時間は、前処理を行っていないものであり、これを基準(100%)として各前処理時間での相対活性を求めた。測定結果を、図5のグラフに示す。図示のとおり、80℃で前処理したものは、3時間処理したものでも活性を保持していたが、95℃で前処理したものでは、急速に活性を失っていくことが分かった。
5.ATPによる活性阻害
0.4、1、2、4、5mMの各ATP濃度において、前記測定を行い、相対活性を求めた。反応温度は、80℃とした。なお、ATP濃度0mMは、ATPを加えていないものであり、これを基準(100%)として各ATP濃度での相対活性を求めた。測定結果を、図6のグラフに示す。図示のとおり、1mMのATPで、約50%活性が阻害されることが分かった。
本発明により、ピロリン−5−カルボン酸レダクターゼ活性を有する新規耐熱性タンパク質が提供できる。本発明のタンパク質は、高温下で使用することが可能であり、工業的用途が広がると共に、基質濃度の増加、反応効率の向上、混入微生物の除去、保存期間および耐用期間の延長などの多くの利点がもたらされる。
図1は、本発明の一実施例における精製プラスミドのインサートDNAのPAGE写真である。 図2は、本発明の一実施例における組換えタンパク質のSDS-PAGE写真である。 図3は、本発明の一実施例における温度−相対活性の関係を示すグラフである。 図4は、本発明の一実施例におけるpH−相対活性の関係を示すグラフである。 図5は、本発明の一実施例における80℃および95℃での前処理時間−相対活性の関係を示すグラフである。 図6は、本発明の一実施例におけるATP濃度−相対活性の関係を示すグラフである。
配列番号1:耐熱性ピロリン−5−カルボン酸レダクターゼのアミノ酸配列
配列番号2:耐熱性ピロリン−5−カルボン酸レダクターゼの塩基配列
配列番号3:耐熱性ピロリン−5−カルボン酸レダクターゼの構造遺伝子の末端に制限酵素部位NdeIおよびBamHI、NotIを導入するための順方向プライマーを示す。
配列番号4:耐熱性ピロリン−5−カルボン酸レダクターゼの構造遺伝子の末端に制限酵素部位NdeIおよびBamHI、NotIを導入するための逆方向プライマーを示す。
配列番号5:N末端アミノ酸配列

Claims (3)

  1. 酵素反応により、NAD(P)Hの存在下に1−ピロリン−5−カルボン酸を還元してL−プロリンおよびNAD(P)(+)を生成するL−プロリンおよびNAD(P)(+)の製造方法であって、超好熱性古細菌スルホロブス・トコダイイ(Sulfolobus tokodaii)(JCM10545)由来の下記(a)又は(b)の耐熱性タンパク質を用い、温度70〜90℃、pH8.5〜10の条件で前記酵素反応を行うことを含む、製造方法。
    (a)配列番号1のアミノ酸配列からなる耐熱性タンパク質。
    (b)配列番号1のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸残基が、欠失、置換、付加若しくは挿入されたアミノ酸配列からなり、かつピロリン−5−カルボン酸レダクターゼ活性を有する耐熱性タンパク質。
  2. 酵素反応により、NAD(P)(+)の存在下、L−プロリンから1−ピロリン−5−カルボン酸およびNAD(P)Hを製造する方法であって、超好熱性古細菌スルホロブス・トコダイイ(Sulfolobus tokodaii)(JCM10545)由来の下記(a)又は(b)の耐熱性タンパク質を用い、温度70〜90℃、pH8.5〜10の条件で前記酵素反応を行うことを含む、製造方法。
    (a)配列番号1のアミノ酸配列からなる耐熱性タンパク質。
    (b)配列番号1のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸残基が、欠失、置換、付加若しくは挿入されたアミノ酸配列からなり、かつピロリン−5−カルボン酸レダクターゼ活性を有する耐熱性タンパク質。
  3. 温度70〜90℃で酵素反応を行った後、温度を95℃以上にして酵素反応を停止することをさらに含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
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