JPH0721124Y2 - 防寒着等に装着するスライドフアスナーのスライダー - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、スキーウエア等の防寒着に装着するスライ
ドフアスナー用の冷感防止機能を具備するスライダーに
関する考案である。

（従来の技術） 本出願前、スライダーの冷感防止機能についての技術は
知られていない。唯、従来、カメラ用ケースに於て、ケ
ース内側に位置する表面及び側縁部をプラスチツク材料
等の軟質材料から成る被覆部材で被覆し、金属製のスラ
イダーによるカメラの損傷を防止する考案として、例え
ば実開昭48-30003号公開実用新案公報が知られている
が、本考案とはスライドフアスナーを装着する対象物
品、及び使用目的を、全く異にしている。

（考案が解決しようとする課題） スキーウエアやウインドヤツケ，ジヤンパーなどの防寒
着等に装着するスライドフアスナーのスライダーが金属
製の場合、気温の低下につれ、スライダーの温度も、気
温に比例して低下し、その金属部分が、直接、肌に触れ
ると、冷たい感触がして不快であり、継続的に接触した
場合には、凍傷等の障害の原因に成る事も有得る。特に
頭巾部分が、衣服部分と一体に縫製され、スライダーを
引上げた際、顎の下部や顔の鼻の部分に迄スライダーが
来る場合に、冷えた金属部分が直接夫等に触れると、冷
たい感触による不快感や障害が一層強まる。この考案の
目的は、防寒着等寒冷な温度条件で使用するスライドフ
アスナーの金属製スライダーの下翼に対し、金属と比較
して断熱性の高い合成樹脂製のカバーを被着させる事に
より、構造的に冷感防止機能を付与し、冷却した金属部
分に、直接皮膚等が触れた際に生ずる冷感を回避できる
スライダーを提供する事にある。

（課題を解決するための手段） 以下、本考案の構成を、図面に示した、本考案の実施例
を参照して説明する。第１図ａ及び第１図ｂに於て、Ａ
はZn（亜鉛）合金等の金属材料の鋳造体から成るスライ
ドフアスナーの金属スライダーの胴体、１はその上翼、
1aは上翼１の上面、1bはフランジ、２は下翼、2aはその
下面、2bはフランジ、2cは下翼２の後口（受入口）側の
後端縁、Ｐは下翼２の下面2aの外周の縁面ｍ、及び側面
ｎを含む下翼２の周縁部、３は上翼１及び下翼２を、ス
ライダーの胴体Ａの肩口に於て結合する連結柱（ダイヤ
モンド）、3aはその前端、４は肩口の上記連結柱３の両
側に設けたフアスナーストリンガーの案内溝、５は肩口
と反対側の胴体後部のフアスナーチエーンを受入れる後
口、６は上翼１の上面1aに固着した柱、７は柱６に嵌装
した引手である。そして第１図a,b及び第３図に於て、
８は連結柱３の前端3aに設けた凹溝又は突起等から成る
前端係止部、９は下翼２の後口側の後端縁2cに設けた横
長凹溝又は横長突条等から成る後端係止部である。次ぎ
に10は下翼２の下面2aに止着した、非金属製で断熱性の
カバー、10aはその上面、10bは下面で、このカバー10
は、前記金属製の胴体Ａと別体に、例えばPBT系又は登
録商標名ナイロン66で知られるポリアミド系等の合成樹
脂材をガラス繊維で強化した素材、半硬質のウレタン系
発泡合成樹脂材、ポリエチレン系等の合成樹脂材を、射
出成型等の成型加工により造るが、特注品等では、その
上面10a側に、模様織布地や染色布地、印刷した紙、薄
い木片、マーク，名前の頭文字等の金属フイルム等をモ
ールドして一体に成型し、意匠的効果を付加する事も有
る。10aはカバー10の下面10bに形成した、下翼２の周縁
部Ｐと同一輪郭の外周縁、又は内周縁を有する隆起縁、
11はカバー10の前側に突設した前側係止体で、スライダ
ーＡの連結柱３の前端3aの、係止用の凹溝又は突起から
成る前端係止部８に係止させる、係止用の突起又は凹溝
から成る前側係止部11aを具備する。12は仝じくカバー1
0の後側に隆設した横長突条又は横長凹溝等から成る後
側係止部12aを具備する後側係止体で、スライダーＡの
後口５側の下翼２の後端縁2cの、横長凹溝又は横長突条
等から成る後端係止部９に係止させる。13は前記隆起縁
10aに囲まれた下面10bの内側部と、下翼２の下面2aとの
間に、薄いレンズ状等の空間Ｑを形成する様に凹設した
凹面である。尚、第１図a,b乃至第３図に示す実施例
の、上記空間Ｑの構造部分に対し、第４図及び第５図に
示す実施例では、胴体Ａの下翼２の下面2aに、隆起縁2d
で囲まれた凹部15を配設し、上記隆起縁2dに密接し、下
翼２の下面2aに止着する、カバー10の下面10bを、平坦
面14として、両者の間に偏平な空間Ｑを形成させ、他の
部分構造は全て第１図a,b及び第２図a,bの実施例と共通
させてある。

（実施例の作用） 上記の部分構造から成る本考案の実施例の作用を説明す
ると、柱６に引手７を取付けた金属製の胴体Ａの、下翼
２の下面2aに対し、カバー10の隆起縁10aを宛行う様に
近付け、カバー10の後側係止体12の後側係止部12aの横
長凹溝又は横長突条を、胴体Ａの後口５側の、下翼２の
後端縁2cに設けた横長凹溝又は横長突起等から成る後端
係止部９に係止し、次いでカバー10の前側係止体11の、
前側係止部11aの突起又は凹溝若しくはピン穴を、胴体
Ａの連結柱３の前端3aの、凹溝又は突起若しくはピン等
から成る前端係止部８へ、スナツプ式に係止させる事に
より、カバー10の隆起縁10aを、夫と同一輪郭の、胴体
Ａの下翼２の周縁部Ｐの、縁面ｍに密着させ、両者の外
周縁を一致させるか、又は隆起縁10aの内周縁を、上記
周縁部Ｐの側縁ｎに嵌着させるので、運動等に伴う可成
りの摩擦力等の外力が作用しても、下翼２とカバー10と
が分離する事は無い。そして上記の状態では、下翼２の
下面2aとカバー10の凹面13との間、或は下面2aの凹部15
とカバー10の下面10bとの間には、空間Ｑが形成される
ので、そこに密封された、断熱性の高い空気層の存在に
より、寒気により冷却されて低下した、金属製の胴体Ａ
の低い温度を、直接、肌に伝える事を、効果的に防止で
きる。

（考案の効果） 上記の構成及び作用を具備する本考案によると、合成樹
脂材のカバー10自体及び空間Ｑによる空気層の断熱性
で、例えスライダーの胴体Ａの下翼２が、直接、首や顔
面に触れても、寒冷時にスライダーの金属部分が直接肌
に触れて、冷たい感触により生じた不快感や、継続的に
接触した場合に起きた凍傷等、従来、発生して問題とさ
れた障害を起こす事は無く、亦、胴体Ａとカバー10との
係止が、スライダーの前後２箇所で為されるので、下翼
２の下面2aに対するカバー10の止着が良好に保持でき、
使用中両者が分離する恐れは無い。

【図面の簡単な説明】

第１図ａは本考案の第１実施例を上側から見た分解斜視
図、第１図ｂは仝じく金属部分を下側から見た斜視図、
第２図ａはカバーの隆起縁を下翼の縁面に密着させた場
合の斜視図、第２図ｂは仝じく側縁に嵌着させた場合の
斜視図、第３図は第１実施例の第２図ａのIII-III位置
の断面図、第４図は本考案の第２実施例の分解斜視図、
第５図は第２実施例でカバーを胴体に止着した状態の、
第２図aIII-III位置と仝位置での断面図である。 図の主要な部分を表す符号の説明 Ａ……胴体、２……下翼、2a……下面、2c……後端縁、
Ｐ……周縁部、ｍ……縁面、ｎ……側縁、３……連結
柱、3a……前端、５……後口、８……前端係止部、９…
…後端係止部、10……カバー、10a……隆起縁、11……
前側係止体、11a……前側係止部、12……後側係止体、1
2a……後側係止部、13……凹面、14……平坦面、15……
凹部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】上翼１、下翼２、両者を肩口に於て結合す
   る連結柱３とから成る金属製の胴体Ａの、連結柱３の前
   端3a及び下翼２の後端縁2cへ、下翼２の周縁部Ｐと同一
   輪郭の、外周縁又は内周縁を有する、非金属製で断熱性
   を有するカバー10の、前側係止体11及び後側係止体12
   を、夫々係止する事により、上記、非金属製のカバー10
   を、前記金属製の胴体Ａの、下翼２の下面2aに止着する
   と共に、胴体Ａの、下翼２の下面2a又はカバー10の下面
   10bの、何れかの周縁に、隆起縁10a又は隆起縁2dを配設
   し、その内側部を凹面13又は凹部15とした、防寒着等に
   装着するスライドフアスナーのスライダー。