JPH07207137A - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物

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JPH07207137A
JPH07207137A JP6019794A JP1979494A JPH07207137A JP H07207137 A JPH07207137 A JP H07207137A JP 6019794 A JP6019794 A JP 6019794A JP 1979494 A JP1979494 A JP 1979494A JP H07207137 A JPH07207137 A JP H07207137A
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JP
Japan
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polyorganosiloxane
acrylate
polycarbonate resin
rubber
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Application number
JP6019794A
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English (en)
Inventor
Akira Yanagase
昭 柳ケ瀬
Akira Nakada
章 中田
Atsunori Koshirai
厚典 小白井
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐衝撃性および湿熱特性に優れたポリカーボ
ネート樹脂組成物を提供することを目的とする。 【構成】 (A)ポリカーボネート樹脂60〜99重量
部と、(B)ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリア
ルキル(メタ)アクリレードゴム成分とが相互に分離で
きないように一体化した構造を有するポリオルガノシロ
キサン系複合ゴムに少なくともエポキシ基含有ビニル単
量体を含む1種以上のビニル単量体をグラフト重合して
なるポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体40〜
1重量部とを必須成分として含む、樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリカーボネート樹脂
の強度、剛性などの機械的性質を保持しつつ耐衝撃性を
改善し、かつ優れた湿熱特性を有するポリカーボネート
樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】ポリ
カーボネート樹脂は、耐熱性、耐衝撃性に優れた熱可塑
性樹脂として広くしられている。しかしながらポリカー
ボネート樹脂はそのポリマー構造から0℃以下での耐衝
撃性が低いこと、成形品の肉厚によって耐衝撃性に大幅
に差があること、湿熱特性が不良であること等の欠点を
も有し、その使用には制限があった。
【0003】このため従来からこれらの欠点を改良する
方法が種々提案されているが、これらの中でも、特開昭
64−79257号公報にて本発明者らが提案したポリ
カーボネート樹脂にポリオルガノシロキサン系グラフト
共重合体を配合する方法は、耐衝撃性を向上させる上で
極めて優れた方法である。しかしながら、この方法で
は、ポリカーボネート樹脂の湿熱特性は改善されず、耐
衝撃性を発現した上で、優れた湿熱特性を示すポリカー
ボネート樹脂組成物の開発が強く要望されている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
ような状況に鑑み、ポリカーボネート樹脂の湿熱特性
を、さらに改善するべく鋭意検討した結果、ポリカーボ
ネート樹脂に、特定のグラフト構造を有するポリオルガ
ノシロキサン系グラフト共重合体を配合することによ
り、耐衝撃性と湿熱特性が共に向上することを見いだし
本発明に到達した。すなわち、本発明は、(A)ポリカ
ーボネート樹脂60〜99重量部、および(B)ポリオ
ルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アク
リレートゴム成分とが相互に分離できないように一体化
した構造を有するポリオルガノシロキサン系複合ゴムに
少なくともエポキシ基含有ビニル単量体を含む1種以上
のビニル単量体をグラフト重合してなるポリオルガノシ
ロキサン系グラフト共重合体40〜1重量部を必須成分
として含んで成る、ポリカーボネート樹脂組成物にあ
る。
【0005】本発明において用いられる(A)ポリカー
ボネート樹脂とは、ジヒドロキシジアリールアルカンか
ら得られ、任意に枝分かれしていても良い。これらポリ
カーボネート樹脂は公知の方法により製造されるもので
あり、一般にジヒドロキシおよび/またはポリヒドロキ
シ化合物をホスゲンまたは炭酸のジエステルと反応させ
ることにより製造される。適当なジヒドロキシジアリー
ルアルカンは、ヒドロキシ基に関しオルトの位置にアル
キル基、塩素原子または臭素原子等の置換基を有するも
のも含む。ジヒドロキシジアリールアルカンの好ましい
具体例としては、4,4′−ジヒドロキシ−2,2−ジ
フェニルプロパン(ビスフェノールA)、テトラメチル
ビスフェノールAおよびビス−(4−ヒドロキシフェニ
ル)−p−ジイソプロピルベンゼン等が挙げられる。ま
た分岐したポリカーボネート樹脂は、例えばヒドロキシ
化合物の一部、例えば0.2〜2モル%をポリヒドロキ
シ化合物で置換することにより製造される。上記ポリカ
ーボネート樹脂は単独で、または2種以上混合して用い
ることができる。
【0006】本発明で用いるポリオルガノシロキサンゴ
ムは、オルガノシロキサンとポリオルガノシロキサンゴ
ム用架橋剤、あるいはこれに、さらにポリオルガノシロ
キサンゴム用グラフト交叉剤を加えて重合することによ
り微小粒子として得られるものを用いることができる。
【0007】オルガノシロキサンとしては、3員環以上
の環状オルガノシロキサンを挙げることができ、3〜6
員環のものが好ましく用いられる。好ましい環状オルガ
ノシロキサンの具体例として、ヘキサメチルシクロトリ
シロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デ
カメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロ
ヘキサシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリ
シロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラ
シロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン等
を挙げることができ、これらは単独で、または2種以上
混合して用いられている。環状オルガノシロキサンの使
用量は、ポリオルガノシロキサンゴム中60重量%以上
である事が好ましく、70重量%以上であることがより
好ましい。
【0008】ポリオルガノシロキサンゴム用架橋剤とし
ては、3官能性または4官能性のシラン系架橋剤、すな
わち3つまたは4つのアルコキシ基を有するシラン化合
物が用いられ、この具体例として、トリメトキシメチル
シラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシ
シラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシ
シラン、テトラブトキシシラン等を挙げることができ
る。ポリオルガノシロキサンゴム用架橋剤としては、4
官能性のものが好ましく、4官能性の架橋剤の中では、
テトラエトキシシランが特に好ましい。ポリオルガノシ
ロキサンゴム用架橋剤の使用量は、ポリオルガノシロキ
サンゴム中0.1〜30重量%であることが好ましく、
0.5〜10重量%であることがより好ましい。ポリオ
ルガノシロキサンゴム用架橋剤の使用量が0.1重量%
未満であると組成物からの成形品の衝撃強度が低いもの
となり、成形品の外観も悪くなる傾向にある。また、3
0重量%を超える量使用してもそれ以上の架橋構造の形
成には寄与しない。
【0009】ポリオルガノシロキサンゴム用グラフト交
叉剤とは、そのシキロサン部分は重合に関与してポリオ
ルガノシロキサンゴム中に組み込まれるが、この時反応
しないでその後の複合ゴム調製のためのポリオルガノシ
ロキサンゴム存在下での、ポリ(メタ)アクリレートゴ
ムの重合の際に反応する官能基を有するシロキサンであ
り、その具体例として、次式(I)〜(IV)で表わされ
る単位を形成し得る化合物を挙げることができる。
【0010】
【化1】
【0011】
【化2】
【0012】
【化3】
【0013】
【化4】
【0014】これらの中では、式(I)の単位を形成し
得る(メタ)アクリロイルオキシシランはグラフト効率
が高いため有効なグラフト鎖を形成することが可能であ
り、耐衝撃性発現の面で有利である。なお式(I)の単
位を形成し得るものとしてメタクリロイルオキシシラン
が特に好ましい。
【0015】式(II)の単位を形成し得るものとして
は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキ
シシラン等を挙げることができ、式(III)の単位を形成
し得るものとしては、4−ビニルフェニルジメトキシメ
チルシラン、4−ビニルフェニルトリメトキシシラン等
を挙げることができ、式(IV)の単位を形成し得るもの
としては、γ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシ
ラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ
−メルカプトプロピルジエトキシエチルシラン等を挙げ
ることができる。
【0016】メタクリロイルオキシシロキサンの具体例
としては、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシ
メチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメト
キシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピ
ルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシ
プロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキ
シプロピルジエトキシメチルシラン、γ−メタクリロイ
ルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、δ−メタク
リロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等が挙げ
られる。これらの中では、γ−メタクリロイルオキシプ
ロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオ
キシプロピルトリメトキシシランがより好ましいものと
して挙げることができる。ポリオルガノシロキサンゴム
用グラフト交叉剤の使用量は、ポリオルガノシロキサン
ゴム中の0〜10重量%であり、好ましくは0〜5重量
%である。
【0017】ポリオルガノシロキサンゴムは、例えば米
国特許第2891920号明細書、同第3294725
号明細書等に記載された方法によりラテックスとして得
ることができる。本発明においては、例えば、オルガノ
シロキサンとポリオルガノシロキサンゴム用架橋剤とポ
リオルガノシロキサンゴム用グラフト交叉剤を加えた混
合液を、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホ
ン酸等のスルホン酸系乳化剤の存在下で、例えばホモジ
ナイザー等を用いて水と剪断混合する方法によりポリオ
ルガノシロキサンゴムを製造するのが好ましい。
【0018】アルキルベンゼンスルホン酸は、オルガノ
シロキサンの乳化剤として作用すると同時に重合開始剤
ともなるので好適である。この際、アルキルベンゼンス
ルホン酸とアルキルベンゼンスルホン酸金属塩、アルキ
ルスルホン酸金属塩等を併用するとグラフト重合を行う
際にポリマーを安定に維持するのに効果があるので好ま
しい。
【0019】重合の停止は、ラテックスを水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ水
溶液により中和することにより行うことができる。
【0020】本発明において用いる複合ゴムは、上記ポ
リオルガノシロキサンゴムラテックスに、アルキル(メ
タ)アクリレート、ポリアルキル(メタ)アクリレート
ゴム用架橋剤およびポリアルキル(メタ)アクリレート
ゴム用グラフト交叉剤を添加してポリオルガノシロキサ
ンゴム粒子中にこれらの成分を含浸させてから重合する
ことにより合成することができる。
【0021】複合ゴムの調製に用いられるアルキル(メ
タ)アクリレートとしては、アルキル基の炭素数が1〜
8である直鎖または分岐鎖のアクリレートおよびアルキ
ル基の炭素数が6〜12であるアルキルメタクリレート
を示すことができ、これらの具体例として、メチルアク
リレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレ
ート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレ
ート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリ
レート、2−メチルブチルアクリレート、3−メチルブ
チルアクリレート、3−ペンチルアクリレート、ヘキシ
ルアクリレート、n−ヘプチルアクリレート、2−ヘプ
チルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−オ
クチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレー
ト、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレー
ト、デシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレー
ト、2−エチルヘキシルメタクリレート等を挙げること
ができ、これらの中では、n−ブチルアクリレートが好
ましい。
【0022】ポリアルキル(メタ)アクリレートゴム用
架橋剤としては、重合性不飽和結合を2つ以上有する
(メタ)アクリレートが用いられ、具体例としては、エ
チレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコ
ールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジ
メタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタク
リレート等が挙げられる。
【0023】ポリアルキル(メタ)アクリレートゴム用
グラフト交叉剤は、ポリアルキル(メタ)アクリレート
ゴム製造のための重合時に他の成分と共に重合してゴム
中に組み込まれるが、その際に少なくとも一部の重合性
不飽和基が反応せずに残存し、その後のグラフト重合時
にその残存した不飽和基がグラフト枝成分と共に重合で
きるような互いに反応性の異なる重合性不飽和結合を2
つ以上有するモノマーであり、具体例として、アリルメ
タクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイ
ソシアヌレート等を挙げることができる。アリルメタク
リレートは、ポリアルキル(メタ)アクリレートゴム重
合時に、その一部が両方の不飽和基が反応して架橋構造
を形成し、かつ残りは不飽和基の一方のみが反応して、
他方の不飽和結合はポリアルキル(メタ)アクリレート
ゴム重合後も残存して、その後のグラフト重合時にこの
残った不飽和結合が反応してグラフト結合を形成するの
で、架橋剤とグラフト交叉剤の両方の機能を果たす。
【0024】ポリアルキル(メタ)アクリレートゴム用
架橋剤およびポリアルキル(メタ)アクリレートゴム用
グラフト交叉剤は各々単一成分のものを用いてもよく、
2種以上の成分を併用してもよい。これら架橋剤および
グラフト交叉剤の使用量は、各々ポリアルキル(メタ)
アクリレートゴム成分中0.1〜10重量%であり、ア
リルメタクリレートのみで架橋剤とグラフト交叉剤を兼
ねさせる場合は0.2〜20重量%用いればよい。
【0025】ポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成
分の重合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸
ナトリウム等のアルカリの水溶液の添加により中和され
たポリオルガノシロキサンゴムのラテックス中へ上記ア
ルキル(メタ)アクリレート、ポリアルキル(メタ)ア
クリレートゴム用架橋剤およびポリアルキル(メタ)ア
クリレートゴム用グラフト交叉剤を添加し、ポリオルガ
ノシロキサンゴム粒子中に含浸させた後、通常のラジカ
ル重合開始剤を作用させて行えばよい。
【0026】重合の進行とともにポリオルガノシロキサ
ンゴムの架橋網目に相互に絡んだポリアルキル(メタ)
アクリレートゴムの架橋網目が形成され、実質上分離で
きないポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル
(メタ)アクリレートゴム成分とからなる複合ゴムのラ
テックスが得られる。この複合ゴムとしては、トルエン
で90℃で4時間抽出して測定したときのゲル含量が8
0%以上のものであることが好ましい。
【0027】複合ゴムとしては、ポリオルガノシロキサ
ンゴム成分の主骨格がジメチルシロキサンの繰り返し単
位を有し、ポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分
の主骨格がn−ブチルアクリレートに由来する繰り返し
単位を有するものであるものが好ましい。
【0028】複合ゴム中のポリオルガノシロキサンゴム
成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分の比
率は、前者が1〜99重量%、後者が99〜1重量%で
あるものが好ましく、前者が5〜95重量%、後者が9
5〜5重量%であることがより好ましい。
【0029】本発明で用いるポリオルガノシロキサン系
グラフト共重合体は、このようにして得た複合ゴムに、
少なくともエポキシ基含有ビニル単量体を含む1種以上
のビニル単量体をグラフト重合してなるものであるが、
ここでいうエポキシ基含有ビニル単量体を含む1種以上
のビニル単量体とは、エポキシ基含有ビニル単量体のみ
からなるものであってもよく、エポキシ基含有ビニル単
量体と共重合可能な他のビニル単量体の混合物であって
もよいことを意味する。
【0030】エポキシ基含有ビニル単量体としては、グ
リシジル(メタ)アクリレート、ビニルグリシジルエー
テル、アリルグリシジルエーテル、ヒドロキシアルキル
(メタ)アクリレートのグリシジルエーテル、ポリアル
キレングリコール(メタ)アクリレートのグリシジルエ
ーテル、ジグリシジルイタコネート等を例示でき、これ
らの中では、グリシジル(メタ)アクリレート、ジグリ
シジルイタコネートからなる群より選ばれる1種以上が
好ましい。
【0031】エポキシ基含有ビニル単量体と共重合可能
なビニル単量体としては、メチルメチクリレート、2−
エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸エステ
ル類;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチ
ルアクリレート等のアクリル酸エステル類;スチレン、
α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族アルケ
ニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等
のシアン化ビニル化合物等の各種ビニル単量体を挙げる
ことができ、これらは1種以上をエポキシ基含有ビニル
単量体と組み合わせて用いることができる。これらのビ
ニル単量体の中では、メチルメタクリレート、ブチルア
クリレートおよびスチレンが好ましく用いられる。
【0032】本発明で用いられるポリオルガノシロキサ
ン系グラフト共重合体は、エポキシ基を有しているた
め、これとポリカーボネート樹脂とを溶融混合、好まし
くは押出機等を用いて溶融混練すると、このエポキシ基
とポリカーボネート樹脂中の残存官能基とが反応して一
部該グラフト共重合体とポリカーボネート樹脂との間に
結合が生じ、これがポリオルガノシロキサン系グラフト
共重合体とポリカーボネート樹脂との相溶化剤として働
き、両者の相溶性が向上し、このため、本発明の組成物
は高い衝撃強度を発現できるようになる。
【0033】本発明において、グラフト重合に用いる少
なくともエポキシ基含有ビニル単量体を含む1種以上の
ビニル単量体中に占めるエポキシ基含有ビニル単量体の
量は、10重量%以上であることが好ましく、20重量
%以上であることがより好ましい。また、ポリオルガノ
シロキサン系グラフト共重合体に占めるエポキシ基含有
ビニル単量体に由来する成分の量は、1〜30重量%で
あることが好ましく、2〜20重量%であることがより
好ましい。ポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体
に占めるエポキシ基含有ビニル単量体に由来する成分の
量が、1重量%未満であると衝撃強度の発現が不十分と
なり、30重量%を超える量用いてもそれ以上の衝撃強
度改善効果は得られない。
【0034】また、ポリオルガノシロキサン系グラフト
共重合体における少なくともエポキシ基含有ビニル単量
体を含む1種以上のビニル単量体に由来する成分の量
は、ポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体の2〜
50重量%であることが好ましく、5〜30重量%であ
ることがより好ましい。該成分の量が2重量%未満であ
るとポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体とマト
リックス樹脂との相溶性が悪くなり、耐衝撃性の発現が
不十分となる。また、50重量%を超えるとゴムの含有
量が少なくなるのでこの場合も耐衝撃性の発現が不十分
となる。
【0035】本発明で用いるポリオルガノシロキサン系
グラフト共重合体は、上記ビニル単量体を複合ゴムのラ
テックスに加え、ラジカル重合技術によって一段である
いは多段で重合させ、こうして得たポリオルガノシロキ
サン系グラフト共重合体ラテックスを塩化カルシウムや
硫酸マグネシウム等の金属塩を溶解した熱水中に投入
し、塩析、凝固することにより分離、回収することがで
きる。
【0036】本発明で用いるグラフト共重合体の平均粒
子径が0.08μm未満になると得られる熱可塑性樹脂
組成物の耐衝撃性が不充分となる傾向にあり、0.6μ
mより大きくなってもやはり耐衝撃性が不充分となる傾
向にあると共に該樹脂組成物からの成形物の表面外観が
悪化する傾向にあるので、この平均粒子径は0.08〜
0.6μmの範囲にあることが好ましい。このような平
均粒子径のグラフト共重合体とするためには用いるポリ
オルガノシロキサンゴムや複合ゴムは乳化重合で製造す
るのが好適である。
【0037】ポリオルガノシロキサン系グラフト共重合
体の平均粒子径は、ラテックスを水で希釈したものを試
料液として用い、準弾性光散乱法で測定することができ
る。
【0038】グラフト重合においては、グラフト共重合
体の枝にあたる成分が幹成分にグラフトせずに枝成分だ
けで重合して得られる、所謂フリーポリマーも一部副生
し、グラフト共重合体とフリーポリマーの混合物として
得られるが、本発明ではこれらを合わせてグラフト共重
合体という。
【0039】本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、
(A)ポリカーボネート樹脂60〜99重量部に対して
(B)ポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体を4
0〜1重量部(両成分の合計量は100重量部であ
る。)配合してなるものであり、(B)成分が1重量部
未満では、衝撃強度の発現性が不充分となり、一方、4
0重量部を超えると組成物からの成形物の強度、剛性、
耐熱性が損なわれる傾向にあるので好ましくない。
【0040】本発明の組成物においては、必要に応じて
組成物の耐熱性、機械的強度等をより向上させるため
に、充填剤を配合することができる。充填剤としては、
繊維状、粒子状、粉体状等種々の形状のものを用いるこ
とができ、そのような充填剤としてガラス繊維、炭素繊
維、チタン酸カリウム、アスベスト、炭化珪素、セラミ
ック繊維、金属繊維、窒化珪素、アラミド繊維、硫酸バ
リウム、硫酸カルシウム、珪酸カルシウム、炭酸カルシ
ウム、炭酸マグネシウム、三酸化アンチモン、酸化亜
鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化鉄、二硫化モ
リブデン、マイカ、タルク、カオリン、パイロフィライ
ト、ベントナイト、セリサイト、ゼオライト、ウオラス
トナイト、フェライト、黒鉛、石膏、ガラスビーズ、ガ
ラスバルーン、石英等を挙げることができる。
【0041】充填剤を配合する場合は、樹脂成分100
重量部に対して充填剤を10〜300重量部とすること
が好ましい。10重量部未満では、充填剤の配合による
耐熱性、機械的強度の向上等の効果が小さく、300重
量部を超えると組成物の溶融流動性が低下するので好ま
しくない。
【0042】本発明の樹脂組成物には、さらに必要に応
じて可塑剤、難燃剤、滑剤、顔料等を配合することもで
きる。
【0043】本発明の組成物は、少なくともポリカーボ
ネート樹脂とポリオルガノシロキサン系グラフト共重合
体とを溶融混合して得ることができ、その調製方法につ
いては特に限定されないが、乾燥状態のポリオルガノシ
ロキサン系グラフト共重合体とポリカーボネート樹脂、
および必要に応じて充填剤等を添加して押出機内で溶融
混練、ペレット化するのが好ましい。
【0044】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明を具
体的に説明するが、例中の部は重量部を示す。なお、実
施例および比較例における物性の測定は、絶乾条件にお
いて下記の方法により測定した。
【0045】(1)平均粒子径;準弾性光散乱法(MA
LVERN SYSTEM 4600、測定温度25
℃、散乱角90°)によりラテックスを水で希釈したも
のを試料液として測定した。
【0046】(2)アイゾット衝撃強度;ASTM D
256の方法に従って測定した。(1/8″、ノッチ付
き)
【0047】(3)湿熱特性;130℃、100%湿度
の条件でプレッシャークッカーテストを行い、100時
間後のアイゾット衝撃強度を初期値と比較して評価し
た。
【0048】参考例1 ポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体(S−1)
の製造;テトラエトキシシラン2部、γ−メタクリロイ
ロキシプロピルジメトキシメチルシラン0.5部および
オクタメチルシクロテトラシロキサン97.5部を混合
し、シロキサン混合物100部を得た。ドデシルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウムおよびドデシルベンゼンスルホ
ン酸をそれぞれ0.67部溶解した蒸留水200部を調
製し、これを上記シロキサン混合物100部に加え、ホ
モミキサーにて10,000rpmで予備攪拌した後、
ホモジナイザーにより200kg/cm2の圧力で乳化
させ、オルガノシロキサンラテックスを得た。このラテ
ックスを、コンデンサーおよび攪拌翼を備えたセパラブ
ルフラスコに移し、攪拌混合しながら80℃で5時間加
熱し、次いで48時間20℃で放置した後、水酸化ナト
リウム水溶液でこのラテックスのpHを7.0に中和
し、ポリオルガノシロキサンゴムラテックス(以下、こ
のラテックスをPDMS−1と称する。)を得た。得ら
れたポリオルガノシロキサンゴムへの転化率は89.1
%であり、ポリオルガノシロキサンゴムの数平均粒子径
は0.19μmであった。
【0049】このPDMS−1を35部採取し、攪拌機
を備えたセパラブルフラスコに入れ、蒸留水175部を
加え、窒素置換してから50℃に昇温し、n−ブチルア
クリレート78.4部、アリルメタクリレート1.6部
およびtert−ブチルヒドロパーオキサイド0.3部
の混合液を仕込み30分間攪拌し、この混合液をポリオ
ルガノシロキサンゴム粒子に浸透させた。次いで硫酸第
一鉄0.002部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウ
ム塩0.006部、ロンガリット0.3部および蒸留水
10部の混合液を仕込みラジカル重合を開始させ、その
後内温70℃で2時間保持し複合ゴムラテックスを得
た。このラテックスを一部採取、乾燥して固形物を得、
トルエンで90℃、4時間抽出し、ゲル含量を測定した
ところ95重量%であった。
【0050】この複合ゴムラテックスに、グリシジルメ
タクリレート10部とtert−ブチルヒドロパーオキ
サイド0.024部との混合液を15分かけて滴下し、
内温60℃で2時間保持し、複合ゴムへのグラフト重合
を行った。グリシジルメタクリレートの重合率は98.
5%であり、グラフト重合体ラテックスの平均粒径は
0.24μmであった。得られたグラフト共重合体ラテ
ックスを40℃で濃度5重量%の塩化カルシウム水溶液
中にラテックスと水溶液の比率が1:2となるように添
加し、その後、90℃まで昇温して凝固し、水により洗
浄を繰り返した後固形分を分離し、80℃で24時間乾
燥し、ポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体(S
−1)の乾粉を得た。
【0051】参考例2 ポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体(S−2)
の製造;グリシジルメタクリレート10部の代わりにメ
チルメタクリレート10部を用いた以外は参考例1と同
様にしてグラフト共重合体(S−2)のラテックスを得
た。メチルメタクリレレートの重合率は97.1%、グ
ラフト共重合体ラテックスの平均粒子径は0.23μm
であった。これを参考例1と同様の操作で凝固、乾燥し
て乾粉を得た。
【0052】実施例1、比較例1 ポリカーボネート樹脂としてノバックス7025A(三
菱化成(株)製)を用い、これと各参考例で得たグラフ
ト共重合体S−1〜S−2とを表1に示す割合で配合し
二軸押出機(東芝機械(株)製、TEM−35B)を用
いてシリンダー温度260℃にて溶融混練、ペレット化
し、得られたペレットを乾燥後、射出成型機(住友重機
械工業(株)製、プロマット射出成形機)でシリンダー
温度260℃、金型温度60℃で試験片を成形して耐衝
撃性、湿熱特性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【発明の効果】以上述べた如き構成からなる本発明のポ
リカーボネート樹脂組成物は、耐衝撃性が良好な上に優
れた湿熱特性をも有するため、従来より過酷な条件で使
用でき、より広い用途展開が可能になる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリカーボネート樹脂60〜99
    重量部、および(B)ポリオルガノシロキサンゴム成分
    とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分とが相互
    に分離できないように一体化した構造を有するポリオル
    ガノシロキサン系複合ゴムに少なくともエポキシ基含有
    ビニル単量体を含む1種以上のビニル単量体をグラフト
    重合してなるポリオルガノシロキサン系グラフト共重合
    体40〜1重量部を必須成分として含有して成る、ポリ
    カーボネート樹脂組成物。
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