JPH07196894A - 液晶性樹脂組成物および成形品 - Google Patents

液晶性樹脂組成物および成形品

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JPH07196894A
JPH07196894A JP5338238A JP33823893A JPH07196894A JP H07196894 A JPH07196894 A JP H07196894A JP 5338238 A JP5338238 A JP 5338238A JP 33823893 A JP33823893 A JP 33823893A JP H07196894 A JPH07196894 A JP H07196894A
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crystalline resin
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清一 中村
Norio Kitajima
教雄 北島
Shunei Inoue
俊英 井上
Nobuo Kuriki
伸男 栗木
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Abstract

(57)【要約】 【構成】異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステルお
よび/または液晶性ポリエステルアミドから選ばれた一
種以上の液晶性樹脂100重量部に対して、PHが3.
5〜10のカーボンブラック0.01〜10重量部を含
有せしめてなる液晶性樹脂組成物および成形品。 【効果】本発明の液晶性樹脂組成物はおよび成形品は黒
色に着色され、耐熱性、流動性、機械特性、寸法精度に
優れ、とりわけ成形加工性が均衡して優れるためエンジ
ニアリングプラスチックとして有用な材料である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐熱性、機械的特性およ
び成形性が優れ熱的、化学的に安定で分解ガスなどの発
生がなく、黒着色された液晶性樹脂組成物および成形品
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年プラスチックの高性能化に対する要
求がますます高まり、種々の新規性能を有するポリマが
数多く開発され、市場に供されているが、中でも分子鎖
の平行な配列を特徴とする光学異方性の液晶性ポリマが
優れた流動性、耐熱性、機械的性質を有する点で注目さ
れている。
【0003】異方性溶融相を形成するポリマとしては、
例えばp−ヒドロキシ安息香酸にポリエチレンテレフタ
レートを共重合した液晶性ポリマ(特開昭49−723
93号公報)、p−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキ
シ−2−ナフトエ酸を共重合した液晶性ポリマ(特開昭
54−77691号公報)、また、p−ヒドロキシ安息
香酸に4,4’−ジヒドロキシビフェニルとテレフタル
酸、イソフタル酸を共重合した液晶性ポリマ(特公昭5
7−24407号公報)、6−ヒドロキシ−2−ナフト
エ酸、p−アミノフェノールとテレフタル酸から生成し
た液晶性ポリマ(特開昭57−172921号公報)、
p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフ
ェニルとテレフタル酸、p−アミノ安息香酸およびポリ
エチレンテレフタレートから生成した液晶性ポリマ(特
開昭64−33123号公報)などが開示されている。
【0004】これらの液晶性ポリマは機械的異方性およ
び寸法異方性が大きいという欠点を有するが、例えば液
晶性ポリマにガラス繊維を添加する方法(ラバーダイジ
ェスト27巻、8号、7〜14頁、(1975))、液
晶性ポリマにマイカ、タルク、グラファイトに代表され
る板状粉体を配合する方法(特開昭63−146959
号公報)などにより、異方性を緩和すると同時に機械的
強度、耐熱性、成形性および寸法安定性などが更に向上
し、エンジニアリングプラスチックとして自動車、電気
・電子、精密機械、事務機など各種部品に広範な用途に
使用されている。
【0005】特に、液晶性樹脂製の成形品はその耐熱性
が優れることから高温雰囲気下で使用されることが多
く、このとき変色を防止する目的で黒色に着色される。
【0006】液晶性樹脂を黒色に着色する方法は他の樹
脂と同様にカーボンブラックを添加する手法が一般的で
あるが液晶性樹脂はその配向しやすいなどの特性のため
着色されにくく、他の樹脂に比較して多くのカーボンブ
ラックを添加する必要があり、また、成形が高温で行な
われるため機械的特性が低下し、特に、ウェルド強度が
低下したり、分解ガスなどが発生しやすくなって耐ハン
ダ性が低下するなど、機能的な用途に使用できないなど
の問題が指摘されるようになってきている。この問題
は、エチレンジオキシ単位を含有する液晶性ポリマを使
用する場合において特に顕著である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】よって本発明は、上述
の問題を解消し、分解ガスなどの発生がなく、耐熱性、
機械的特性および成形性が均衡して優れた黒色に着色さ
れた液晶性樹脂組成物および成形品の取得を課題とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
【0009】すなわち、本発明は(A)異方性溶融相を
形成する液晶性ポリエステルおよび液晶性ポリエステル
アミドから選ばれた1種以上の液晶性樹脂100重量部
に対して、PHが3.5〜10のカーボンブラック0.
01〜10重量部を含有せしめてなる液晶性樹脂組成
物、上記液晶性樹脂が下記(I)、(II)および(I
V)、または、(I)、(II)、(III) および(IV)ま
た、(I)、(III) および(IV)の構造単位からなる液
晶ポリエステルである上記液晶性樹脂組成物、
【化5】 (ただし式中のR1 は、
【化6】 から選ばれた一種以上の基を示し、R2 は、
【化7】 から選ばれた一種以上の基を示す。また、式中Xは水素
原子または塩素原子を示し、構造単位[(II)+(III)
]と構造単位(IV)は実質的に等モルである。)上記
液晶性樹脂100重量部に対して、さらに充填剤300
重量部以下を含有せしめてなる上記の液晶性樹脂組成
物、上記液晶性樹脂100重量部に対して、さらに有機
臭素化物05〜60重量部を配合してなる上記の液晶性
樹脂組成物および有機臭素化物が臭素化スチレンモノマ
から製造した下記構造単位の1種以上を主要構成成分と
する重量平均分子量が1×103 〜120×104 のポ
リ臭素化スチレンである上記の液晶性樹脂組成物および
成形品を提供するものである。
【0010】
【化8】 本発明で用いる(A)液晶性樹脂における異方性溶融相
を形成する液晶性ポリエステルおよび液晶性ポリエステ
ルアミドとは、芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジ
オキシ単位、芳香族ジカルボニル単位、エチレンジオキ
シ単位などから選ばれた構造単位からなる異方性溶融相
を形成する液晶性ポリエステルであり、また、上記構造
単位と芳香族イミノカルボニル単位、芳香族ジイミノ単
位、芳香族イミノオキシ単位などから選ばれた構造単位
からなる異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステルア
ミドである。
【0011】異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステ
ルの例としては、好ましくは上記の(I)、(II)およ
び(IV)、または、(I)、(II)、(III) および(I
V)、または、(I)、(III) および(IV)の構造単位
からなる異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステルな
どが挙げられる。
【0012】上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息
香酸から生成したポリエステルの構造単位であり、構造
単位(II)は4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,
3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキ
シビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキ
ノン、フェニルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシ
ナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,
4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた芳
香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位を、構造
単位(III )はエチレングリコールから生成した構造単
位を、構造単位(IV)はテレフタル酸、イソフタル酸、
4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−
4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロルフ
ェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸および4,
4’ジフェニルエーテルジカルボン酸から選ばれた芳香
族ジカルボン酸から生成した構造単位を各々示す。
【0013】また、液晶性ポリエステルアミドの例とし
ては、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、p−アミノフ
ェノールとテレフタル酸から生成した液晶性ポリエステ
ルアミド、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒド
ロキシビフェニルとテレフタル酸、p−アミノ安息香酸
およびポリエチレンテレフタレートから生成した液晶性
ポリエステルアミド(特開昭64−33123号公報)
などが挙げられる。
【0014】本発明に好ましく使用できる液晶性ポリエ
ステルは、上記構造単位(I)、(II)および(IV)、
または、(I)、(II)、(III) および(IV)からなる
共重合体であり、上記構造単位(I)、(II)、(III)
および(IV)の共重合量は任意である。しかし、流動性
の点から次の共重合量であることが好ましい。
【0015】すなわち、上記構造単位(III) を含む場合
は、耐熱性、難燃性および機械的特性の点から上記構造
単位[(I)+(II)]は[(I)+(II)+(III) ]
の60〜95モル%が好ましく、75〜93モル%がよ
り好ましい。また、構造単位(III) は[(I)+(II)
+(III) ]の40〜5モル%が好ましく、25〜7モル
%がより好ましい。また、構造単位(I)/(II)のモ
ル比は耐熱性と流動性のバランスの点から好ましくは7
5/25〜95/5であり、より好ましくは78/22
〜93/7である。また、構造単位(IV)は構造単位
[(II)+(III)]と実質的に等モルである。
【0016】一方、上記構造単位(III) を含まない場合
は流動性の点から上記構造単位(I)は[(I)+(I
I)]の40〜90モル%であることが好ましく、60
〜88モル%であることが特に好ましく、構造単位(I
V)は構造単位(II)と実質的に等モルである。
【0017】なお、本発明で好ましく使用できる上記液
晶性ポリエステルを重縮合する際には上記構造単位
(I)〜(IV)を構成する成分以外に3,3’−ジフェ
ニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸
などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン
酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカル
ボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカル
ボン酸、クロルハイドロキノン、メチルハイドロキノ
ン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,
4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−
ジヒドロキシベンゾフェノン等の芳香族ジオール、1,
4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオ
ペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族、
脂環式ジオールおよびm−ヒドロキシ安息香酸、2,6
−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボ
ン酸およびp−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸
などを本発明の目的を損なわない程度の少割合の範囲で
さらに共重合せしめることができる。
【0018】本発明における(A)液晶性樹脂の製造方
法は、特に制限がなく、公知のポリエステルの重縮合法
に準じて製造できる。
【0019】例えば、上記の好ましく用いられる液晶性
ポリエステルの製造において、上記構造単位(III) を含
まない場合は(1)および(2)、構造単位(III) を含
む場合は(3)の製造方法が好ましく挙げられる。
【0020】(1)p−アセトキシ安息香酸および4,
4’−ジアセトキシビフェニル、4,4´−ジアセトキ
シベンゼンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル
化物とテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から脱酢
酸重縮合反応によって製造する方法。 (2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒド
ロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒド
ロキシ化合物、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸
に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル
化した後、脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。 (3)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル
のポリマ、オリゴマまたはビス(β−ヒドロキシエチ
ル)テレフタレートなど芳香族ジカルボン酸のビス(β
−ヒドロキシエチル)エステルの存在下で(1)または
(2)の方法により製造する方法。
【0021】これらの重縮合反応は無触媒でも進行する
が、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウ
ムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグ
ネシウムなどの金属化合物を添加した方が好ましいとき
もある。
【0022】本発明における(A)液晶性樹脂は、ペン
タフルオロフェノール中で対数粘度を測定することが可
能なものもあり、その際には0.1g/dlの濃度で6
0℃で測定した値で0.5dl/g以上が好ましく、特
に上記構造単位(III) を含む場合は1.0〜3.0dl
/gが好ましく、上記構造単位(III) を含まない場合は
2.0〜10.0dl/gが好ましい。
【0023】また、本発明における(A)液晶性樹脂の
溶融粘度は10〜20,000ポイズが好ましく、特に
20〜10,000ポイズがより好ましい。
【0024】なお、上記の溶融粘度は融点(Tm)+1
0℃の条件で、ずり速度1,000(1/秒)の条件下
で高化式フローテスターによって測定した値である。
【0025】ここで、融点(Tm)とは示差熱量測定に
よりポリマを室温から20℃/分の昇温条件で測定した
際に観測される吸熱ピーク温度Tm1 の観測後、Tm1
+20℃の温度でまで昇温し、同温度で5分間保持した
後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、
再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸
熱ピーク温度を指す。
【0026】本発明で用いるカーボンブラックはチャネ
ルブラック系、ハーネスブラック系、ランプブラック系
などが挙げられ、このらのうち特にランプブラック系の
ものが好ましく使用できる。
【0027】カーボンブラックのPHは3.5〜10、
好ましくは5〜9、特に好ましくは6〜8、更に好まし
くは6.5〜7.8の範囲であり、PHが3.5未満で
は、耐衝撃性に代表される機械的特性およびウエルド強
度が大きく低下し好ましくない。また、PHが10を越
えると、耐衝撃性やウエルド強度が低下するばかりでな
く、成形時の滞留安定性が不良となり、物性低下や分解
ガスが発生して成形品の外観が不良となり好ましくな
い。なかでもエチレンジオキシ単位を有する液晶性ポリ
マを用いる場合は特にこれらの物性低下が大きい。
【0028】上記のPHはカーボンブラック1gを蒸留
水20mlに分散せしめた水性懸濁液を作成し、該懸濁
液のPHを測定した値である。
【0029】本発明において用いることができる充填剤
としては、ガラス繊維、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊
維、チタン酸カリウム繊維、石膏繊維、黄銅繊維、ステ
ンレス繊維、スチール繊維、セラミック繊維、ボロンウ
ィスカー繊維、アスベスト繊維、マイカ、タルク、シリ
カ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、
ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、
ワラステナイト、酸化チタン、ポリリン酸カルシウム、
グラファイトなどの繊維状、粉状、粒状あるいは板状の
フィラーが挙げられる。上記充填剤中、ガラス繊維が好
ましく使用される。
【0030】ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用
に用いるものなら特に限定はなく、例えば長繊維タイプ
や短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイ
バーなどから選択して用いることができる。
【0031】上記の充填剤の添加量は液晶性樹脂100
重量部に対し400重量部以下であり、好ましくは50
〜250重量部、より好ましくは70〜200重量部で
ある。 なお、本発明に使用する上記の充填剤はその表
面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリ
ング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の
表面処理剤で処理して用いることもできる。
【0032】また、ガラス繊維はエチレン/酢酸ビニル
共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬
化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
【0033】本発明において使用される有機臭素化合物
は、通常難燃剤として使用されている公知の有機臭素化
合物を含み、特に臭素含有量20重量%以上のものが好
ましい。具体的にはヘキサブロモベンゼン、ペンタブロ
モトルエン、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモビフ
ェニル、ヘキサブロモシクロデカン、デカブロモジフェ
ニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ヘキ
サブロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロモフェ
ノキシ)エタン、エチレン−ビス(テトラブロモフタル
イミド)、テトラブロモビスフェノールAなどの低分子
量有機臭素化合物、臭素化ポリカーボネート(例えば臭
素化ビスフェノールAを原料として製造されたポリカー
ボネートオリゴマーあるいはそのビスフェノールAとの
共重合物)、臭素化エポキシ化合物(例えば臭素化ビス
フェノールAとエピクロルヒドリンとの反応によって製
造されるジエポキシ化合物や臭素化フェノール類とエピ
クロルヒドリンとの反応によって得られるものエポキシ
化合物)、ポリ(臭素化ベンジルアクリレート)、臭素
化ポリフェニレンエーテル、臭素化ビスフェノールA、
塩化シアヌルおよび臭素化フェノールの縮合物、臭素化
ポリスチレン、架橋臭素化ポリスチレン、架橋臭素化ポ
リα−メチルスチレンなどのハロゲン化されたポリマー
やオリゴマーあるいは、これらの混合物が挙げられ、な
かでもエチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、臭
素化エポキシオリゴマーまたはポリマー、臭素化ポリス
チレン、架橋臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレ
ンエーテルおよび臭素化ポリカーボネートが好ましく、
臭素化ポリスチレンが最も好ましく使用できる。
【0034】上記の好ましい有機臭素化物についてさら
に詳しく述べると、臭素化エポキシポリマーとしては下
記一般式(i)で表わされるものが好ましい。
【0035】
【化9】
【0036】上記一般式(i)中の重合度nは好ましく
は15以上、さらに好ましくは50〜80である。
【0037】本発明に用いる臭素化ポリスチレンとして
はラジカル重合またはアニオン重合によって得られたポ
リスチレンを臭素化することによって製造された臭素化
ポリスチレンおよび架橋臭素化ポリスチレン、あるいは
臭素化スチレンモノマをラジカル重合またはアニオン重
合、好ましくはラジカル重合によって製造された(ii)お
よび/又は(iii)式で表わされる臭素化スチレン単位を
有するポリ臭素化スチレンなどが挙げられるが、とりわ
け臭素化スチレンモノマから製造した下記(ii)および/
又は(iii)式で示される構造単位を主要構成成分とする
重量平均分子量が1×103 〜120×104 のポリ臭
素化スチレンが好ましい。
【0038】
【化10】
【0039】ここでいう臭素化スチレンモノマとはスチ
レンモノマ1個あたり、その芳香環に2〜3個の臭素原
子が置換反応により導入されたものが好ましく、二臭素
化スチレンおよび/又は三臭素化スチレンの他に一臭素
化スチレンなどを含んでいてもよい。
【0040】上記ポリ臭素化スチレンは二臭素化スチレ
ンおよび/又は三臭素化スチレン単位を60重量%以上
含有しているものが好ましく、70重量%以上含有して
いるものがより好ましい。二臭素化スチレンおよび/又
三臭素化スチレン以外に一臭素化スチレンを40重量%
以下、好ましくは30重量%以下共重合したポリ臭素化
スチレンであってもよい。このポリ臭素化スチレンの重
量平均分子量は1×104 〜15×104 がより好まし
い。なお、この重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラ
フを用いて測定した値であり、ポリスチレン分子量基準
の相対値である。
【0041】架橋臭素化ポリスチレンとしては、ジビニ
ルベンゼンで架橋された多孔質ポリスチレンを臭素化し
たポリスチレンが好ましい。
【0042】臭素化ポリカーボネートとしては、下記一
般式(iv)で表わされるものが好ましい。
【0043】
【化11】 (R1 、R2 は置換あるいは無置換のアリール基を示
し、p−t−ブチルフェニル基が最も好ましい。)
【0044】上記一般式(iv)中の重合度nとしては4
以上のものが好ましく、8以上のもの、とりわけ8〜2
5がより好ましく使用できる。
【0045】これらの有機臭素化物の配合量は、液晶性
樹脂100重量部当り、0.5〜60重量部、特に1〜
30重量部が好適である。
【0046】また、本発明の液晶性樹脂組成物において
有機臭素化物は組成物中に平均径25μm以下で分散し
ていることが好ましく、2.0μm以下で分散している
ことがより好ましい。
【0047】本発明の液晶性樹脂組成物には、酸化防止
剤および熱安定剤(たとえばヒンダードフェノール、ヒ
ドロキノン、ホスファイト類およびこれらの置換体な
ど)、紫外線吸収剤(たとえばレゾルシノール、サリシ
レート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなど)、
滑剤および離型剤(モンタン酸およびその塩、そのエス
テル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ス
テアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、染料
(たとえばニグロシンなど)および顔料(たとえば硫化
カドミウム、フタロシアニンなど)を含む着色剤、可塑
剤、難燃助剤、帯電防止剤などの通常の添加剤や他の熱
可塑性樹脂(フッ素樹脂など)を添加して、所定の特性
を付与することができる。
【0048】本発明の液晶性樹脂組成物および成形品の
製造方法は特に限定されるものではないが、溶融混練に
より製造することが好ましく、溶融混練には公知の方法
を用いることができる。例えば、バンバリーミキサー、
ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機など
を用い、200〜400℃の温度で溶融混練して組成物
とし、かくして得られた本発明の液晶性樹脂組成物を射
出成形、押出成形、ブロー成形などの通常の成形方法に
より成形品とする方法などが挙げられる。
【0049】また、本発明に用いるカーボンブラックを
高濃度に配合したマスターペレットを作成し、これを成
形加工時に無着色ペレットに混合してから成形する方法
なども好ましく使用できる。かくして得られた組成物お
よび成形品は優れた耐熱性、成形性、機械的特性、表面
外観を有する三次元成形品、シート、容器パイプなどに
加工することが可能であり、例えば、各種ギヤー、各種
ケース、センサー、LEPランプ、コネクター、ソケッ
ト、抵抗器、リレーケーススイッチコイルボビン、コン
デンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、
各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チュー
ナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小
型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハ
ウジング、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシ
ャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテ
ナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電
子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアード
ライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オ
ーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなど
の音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部
品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品など
に代表される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピ
ューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連
部品複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船
尾軸受、水中軸受、などの各種軸受、モーター部品、ラ
イター、タイプライターなどに代表される機械関連部
品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光
学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナ
ル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、
ライトディヤー用ポテンショメーターベース、排気ガス
バルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各
種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテ
ークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイ
ント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペ
ーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温セン
サー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポ
ジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサ
ー、エアーフローメーター、ブレーキバット磨耗センサ
ー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フロー
コントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシ
ュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべ
イン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュタ
ー、スタータースィッチ、スターターリレー、トランス
ミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャー
ノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気
弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナ
ル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ラン
プソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、
ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイル
フィルター、点火装置ケースなどの自動車・車両関連部
品、その他各種用途に有用である。
【0050】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳述す
る。
【0051】参考例1 p−ヒドロキシ安息香酸994重量部、4,4’−ジヒ
ドロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸112
重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテ
レフタレート216重量部及び無水酢酸960重量部を
撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、重縮合を行
い、重縮合を完結させ樹脂(A)を得たこの樹脂の融点
(Tm)は314℃であり、324℃、ずり速度100
0/秒での溶融粘度は400ポイズであった。
【0052】参考例2 p−ヒドロキシ安息香酸994重量部、4,4’−ジヒ
ドロキシビフェニル222重量部、2,6−ジアセトキ
シナフタレン147重量部、無水酢酸1078重量部お
よびテレフタル酸299重量部を撹拌翼、留出管を備え
た反応容器に仕込み、重縮合を行い、重縮合を完結させ
樹脂(B)を得た。この樹脂の融点(Tm)は336℃
であり、346℃、ずり速度1000/秒での溶融粘度
は520ポイズであった。
【0053】参考例3 特開昭49−72393号公報記載の製造方法に従っ
て、p−アセトキシ安息香酸1296重量部と固有粘度
が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレート34
6重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、
重縮合を行い、樹脂(C)を得たこの樹脂の融点(T
m)は283℃であり、293℃ずり速度1000/秒
での溶融粘度は1,200ポイズであった。
【0054】参考例4 特開昭54−77691号公報記載の製造方法に従っ
て、p−アセトキシ安息香酸921重量部と6−アセト
キシーナフトエ酸435重量部を撹拌翼、留出管を備え
た反応容器に仕込み、重縮合を行い、樹脂(D)を得
た。この樹脂の融点(Tm)は283℃であり、293
℃、ずり速度1000/秒での溶融粘度2,000ポイ
ズであった。
【0055】参考例5 本発明に用いた有機臭素化物の構造を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】実施例1〜5、比較例1〜3 参考例1〜4で得た液晶性樹脂に表2に示したカーボン
ブラックを表2に示した割合でドライブレンドした後、
シリンダ温度を各々の液晶性樹脂の融点に設定した30
mmφの2軸押出機を用いて溶融混練してペレットとし
た。
【0058】このペレットを住友ネスタールプロマット
40/25射出成形機(住友重機械工業(株)製)に供
し、シリンダー温度を融点+10℃、金型温度90℃の
条件で、両端にゲートを有し、試験片中央部にウエルド
ラインを形成する厚み1mmの曲げ試験片を成形し、ウ
エルド強度を測定した。これらの結果を表2に示した。
【0059】
【表2】
【0060】実施例6〜17,比較例4〜9 参考例1〜4で得た液晶性樹脂に表3に示した充填剤、
カーボンブラック、その他の添加物を表3に示した割合
でドライブレンドした後、シリンダ温度を各々の液晶性
樹脂の融点に設定した30mmφの2軸押出機を用いて
溶融混練してペレットとした。
【0061】このペレットを住友ネスタールプロマット
40/25射出成形機(住友重機械工業(株)製)に供
し、シリンダー温度を融点+10℃、金型温度90℃の
条件で2・1/2”(幅)×1/2”×(長さ)×1/
4”(厚み)の衝撃試験片および両端にゲートを有し、
試験片中央部にウエルドラインを形成する厚み1mmの
曲げ試験片を成形し、衝撃強度およびウエルド強度を測
定した。また、このペレットを東芝IS55EPN射出
成形機(東芝機械プラスチックエンジニアリング(株)
製)に供し、シリンダー温度を融点+15℃、金型温度
90℃において、成形滞留時間を4分間と20分間に変
えた2条件でASTM1号ダンベル試験片を成形し、引
張強度を測定して、成形滞留時間20分間の時の引張強
度/成形滞留時間4分間の時の引張強度×100を引張
強度保持率として求めた。
【0062】90℃の条件で、成形滞留時間を変えてA
STM1号ダンベル試験片を成形し、引張強度を測定し
た。これらの成形品についてその黒色度および外観につ
いて目視観察した。これらの結果を表3に示した。
【0063】
【表3】
【0064】実施例18〜23 実施例6において更に表1に示した有機臭素化物を液晶
性樹脂100重量部に対し表4に示した割合に配合した
以外は実施例6と同様にして組成物のペレットを製造し
た。このペレットを住友ネスタール射出成形機プロマッ
ト40/25(住友重機械工業(株)製)に供し、シリ
ンダー温度を融点+10℃、金型温度を90℃の条件に
て0.5mm(厚み)×12.7mm×127mmの燃
焼試験片を成形し、該燃焼試験片を用いてUL94規格
に従い垂直型燃焼テストを実施し、難燃性を評価した以
外は実施例6と同様に行った。
【0065】これらの結果を表4に示した。
【0066】
【表4】
【0067】
【発明の効果】本発明の液晶性樹脂組成物および成形品
は黒色に着色され、優れた耐熱性、機械特性を有するの
で電気・電子関連機器、精密機械関連機器、事務用機
器、自動車・車両関連部品など、その他各種用途に好適
である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09K 19/54 Z 9279−4H G02F 1/13 500 // C08G 63/181 NNC (72)発明者 栗木 伸男 愛知県名古屋市港区大江町9番地の1 東 レ株式会社名古屋事業場内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)異方性溶融相を形成する液晶性ポリ
    エステルおよび液晶性ポリエステルアミドから選ばれた
    1種以上の液晶性樹脂100重量部に対して、PHが
    3.5〜10のカーボンブラック0.01〜10重量部
    を含有せしめてなる液晶性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】(A)液晶性樹脂が下記(I)、(II)お
    よび(IV)、または、(I)、(II)、(III) および
    (IV)、また、(I)、(III) および(IV)の構造単位
    からなる液晶性ポリエステルである請求項1記載の液晶
    性樹脂組成物。 【化1】 (ただし式中のR1 は、 【化2】 から選ばれた一種以上の基を示し、R2 は、 【化3】 から選ばれた一種以上の基を示す。また、式中Xは水素
    原子または塩素原子を示し、構造単位[(II)+(III)
    ]と構造単位(IV)は実質的に等モルである。)
  3. 【請求項3】(A)液晶性樹脂100重量部に対して、
    さらに充填剤400重量部以下を含有せしめてなる請求
    項1または2のいずれか記載の液晶性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】(A)液晶性樹脂100重量部に対して、
    さらに有機臭素化物0.5〜60重量部を含有せしめて
    なる請求項1〜3のいずれか記載の液晶性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】有機臭素化物が臭素化スチレンモノマから
    製造した下記構造単位の1種以上を主要構成成分とする
    重量平均分子量が1×103 〜120×104 のポリ臭
    素化スチレンである請求項4記載の液晶性樹脂組成物。 【化4】
  6. 【請求項6】(A)異方性溶融相を形成する液晶性ポリ
    エステルおよび液晶性ポリエステルアミドから選ばれた
    1種以上の液晶性樹脂100重量部に対して、PHが
    3.5〜10のカーボンブラック0.01〜10重量部
    を含有せしめてなる液晶性樹脂成形品。
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