JP3564860B2 - 液晶性樹脂組成物および液晶性樹脂成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱時あるいは溶融時に発生する腐食性ガスを抑制した液晶性樹脂組成物および成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年プラスチックの高性能化に対する要求がますます高まり、種々の新規性能を有するポリマが数多く開発され、市場に供されているが、中でも分子鎖の平行な配列を特徴とする光学異方性の液晶ポリエステルが優れた成形性と機械的性質を有する点で注目され、機械部品、電気・電子部品などに用途が拡大されつつある。これらの液晶ポリエステルの製造は現在、芳香族フェノールを無水酢酸によりアセチル化させた後、あるいは芳香族フェノール類と酢酸とのエステル化合物を芳香族カルボン酸とエステル交換反応させ、生成する酢酸を除去しながら溶融重合する方法が一般的である(例えば特開昭63−118325公報)。しかしながら、これらの方法は分子鎖末端に必ず反応性基が残るため、加熱時あるいは溶融時に重合が進行し酢酸が発生するなどの問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
酢酸などの腐食性ガスが発生するという問題は電気・電子部品などに用いられる成形品では金属性接点を腐食する原因となる。よって本発明は、加熱時あるいは溶融時に発生する腐食性ガスを抑制した液晶性樹脂組成物および成形品を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は(A)下記構造単位 (I) 、 (II) 、 (III) および (IV) からなり、構造単位[ (I) + (II) ]が[ (I) + (II) + (III) ]の60〜95モル%、構造単位 (III) が[ (I) + (II) + (III) ]の40〜5モル%であり、構造単位 (I)/(II) のモル比が75/25〜95/5である液晶ポリエステル100重量部に対して、下記構造式(1)で表される(B)ハイドロタルサイト類化合物0.001〜10重量部、(C)充填剤0〜200重量部を含有することを特徴とする液晶性樹脂組成物、
【化4】
(ただし式中のR 1 は
【化5】
から選ばれた1種以上の基を示し、R 2 は
【化6】
から選ばれた1種以上の基を示す。ただし式中Xは水素原子または塩素原子を示す。また構造単位 (IV) は構造単位[ (II) + (III) ]と実質的に等モルである。)
[M2+ 1-xM3+ x (OH)2 ]x+[An- x/n ・mH2 O]x- (1)
(ここでM2+は2価の金属イオン、M3+は3価の金属イオン、An-はn価のアニオンを示し、xは、0<x≦0.33の範囲にあり、m≧0である。)
上記液晶性樹脂組成物を成形してなる液晶性樹脂組成物成形品、該液晶性樹脂成形品が、これを二次的に加工する時および/またはこれを使用する時に150℃以上の環境にさらされるものである上記液晶性樹脂成形品、液晶性樹脂成形品が、金属と接触させて用いられることを特徴とする上記液晶性樹脂成形品である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する液晶ポリエステルは、下記構造単位(I) 、(II)、(III) 、(IV)の構造単位からなるポリエステルである。
【0007】
【化7】
(ただし式中のR1 は
【化8】
から選ばれた1種以上の基を示し、R2は
【化9】
から選ばれた1種以上の基を示す。また式中Xは水素原子または塩素原子を示し、構造単位[(II)+(III) ]と構造単位(IV)は実質的に等モルである。)
上記構造単位(I) はp−ヒドロキシ安息香酸から生成したポリエステルの構造単位であり、構造単位(II)は4,4´−ジヒドロキシビフェニル、3,3´,5,5´−テトラメチル−4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位を、構造単位(III) はエチレングリコールから生成した構造単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸、イソフタル酸、4,4´−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボン酸およびジフェニルエーテルジカルボン酸から選ばれた芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位を各々示す。これらのうちR1が
【化10】
であり、R2が
【化11】
であるものが特に好ましい。
【0008】
本発明で使用する液晶ポリエステルは、上記構造単位(I) 、(II)、(III) 、(IV)からなる共重合体であり、上記構造単位(I) 、(II)、(III) および(IV)の共重合量は、流動性の点から次の共重合量である。
【0010】
すなわち上記構造単位(I) 、(II)、(III) 、(IV)からなる共重合体は、耐熱性、難燃性および機械的特性の点から上記構造単位[(I) +(II)]は[(I) +(II)+(III) ]の60〜95モル%であり、80〜92モル%が好ましい。また、構造単位(III) は[(I) +(II)+(III) ]の40〜5モル%であり、20〜8モル%が好ましい。また、構造単位(I) /(II)のモル比は耐熱性と流動性のバランスの点から75/25〜95/5であり、より好ましくは78/22〜93/7である。また、構造単位(IV)は構造単位[(II)+(III) ]と実質的に等モルである。
【0012】
上記液晶ポリエステルは上記構造単位(I) 〜(IV)を構成する成分以外に3,3´−ジフェニルジカルボン酸、2,2´−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロルハイドロキノン、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4´−ジヒドロキシベンゾフェノン等の芳香族ジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族、脂環式ジオールおよびm−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノ安息香酸などを本発明の目的を損なわない程度の少割合の範囲でさらに共重合せしめることができる。
【0013】
本発明において使用する上記液晶ポリエステルの製造方法は、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。
【0014】
例えば、上記好ましく用いられる液晶性ポリエステルの製造において、次の製造方法が好ましく挙げられる。
【0015】
(1)p−アセトキシ安息香酸、4,4´−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物とテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸およびポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルのポリマ、オリゴマまたはビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートなど芳香族ジカルボン酸のビス(β−ヒドロキシエチル)エステルから脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。
【0016】
(2)p−ヒドロキシ安息香酸、4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物、無水酢酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルのポリマ、オリゴマまたはビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートなど芳香族ジカルボン酸のビス(β−ヒドロキシエチル)エステルとを脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。
【0017】
(3)(1)または(2)の製造方法において出発原料の一部に特開平3−59024号公報のように1,2−ビス(4−ヒドロキシベンゾイル)エタンを用いる方法。
【0018】
重縮合反応に使用する触媒としては、液晶ポリエステルの重縮合触媒として公知のものを使用することができる。
【0019】
本発明に好ましく使用できる上記液晶ポリエステルは、ペンタフルオロフェノール中で対数粘度を測定することが可能であり、その際には0.1g/dlの濃度で60℃で測定した値で0.3以上が好ましく、構造単位(III) を含む場合は0.5〜3.0dl/g、構造単位(III) を含まない場合は1.0〜15.0dl/gが特に好ましい。
【0020】
また、本発明における液晶ポリエステルの溶融粘度は10〜20,000ポイズが好ましく、特に20〜10,000ポイズがより好ましい。
【0021】
本発明に(B)成分として用いられるハイドロタルサイト類化合物は下記構造式(1)で表される化合物である。
【0022】
[M2+ 1−x M3+ x (OH)2 ]x+[An− x/n ・mH2 O]x− (1)
(ここでM2+は2価の金属イオン、M3+は3価の金属イオン、An−はn価のアニオンを示し、xは、0<x≦0.33の範囲にあり、m≧0である。)
2価の金属イオンとしてはマグネシウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛などが挙げられ、マグネシウム、ニッケル、亜鉛が好ましく用いられ、マグネシウムがより好ましく用いられる。3価金属イオンとしてはアルミニウム、鉄、クロム、コバルト、インジウムなどが挙げられ、アルミニウム、鉄、クロムが好ましく用いられ、アルミニウムがより好ましく用いられる。アニオンとしては水酸化物イオン、炭酸イオン、硫酸イオン、サリチル酸イオン、シュウ酸イオン、クエン酸イオンなどが挙げられ、炭酸イオンが好ましく用いられる。また、xは0<x≦0.33の範囲にあり、0.2≦x≦0.33であることが好ましい。mはm≧0であり、0≦m≦1であることが好ましく、さらに好ましくは0≦m≦0.5であり、より好ましくは0≦m≦0.2である。
【0023】
また、(B)成分として用いられるハイドロタルサイト類化合物の量は液晶ポリエステル100重量部に対して0.001〜10重量部であり、好ましくは0.01〜5重量部、さらに好ましくは0.03〜3重量部である。ハイドロタルサイト類化合物の量が0.001重量部より少ないと腐食性ガスを抑制する効果が著しく小さくなり、10重量部より多いと機械物性が低下するので好ましくない。
【0024】
これらを添加する方法は溶融混練することが好ましく、溶融混練には公知の方法を用いることができる。たとえば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用い、200〜370℃の温度で溶融混練して組成物とすることができる。
【0025】
本発明に(C)成分として用いられる充填剤の量は、液晶ポリエステル100重量部に対して0〜200重量部であり、5〜150重量部が好ましく、ガラス繊維、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、チタン酸カリウム繊維、石膏繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維、セラミック繊維、ボロンウィスカー繊維、アスベスト繊維、グラファイト、マイカ、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、ワラステナイト、酸化チタン、二硫化モリブデン、等の繊維状、粉状、粒状あるいは板状の無機フィラーが挙げられる。又、これらの充填剤についてはシラン系、チタネート系などのカップリング剤、その他の表面処理剤で処理されたものを用いてもよい。 これらを添加する方法は溶融混練することが好ましく、溶融混練には公知の方法を用いることができる。たとえば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用い、200〜370℃の温度で溶融混練して組成物とすることができる。
【0026】
本発明においては難燃性を付与させる目的でさらに(D)有機臭素化合物を加えることができる。有機臭素化合物は、分子中に臭素原子を有するものであり、特に臭素含量20重量%以上のものが好ましい。具体的には、デカブロモジフェニルエーテル、エチレンビス−(テトラブロモフタルイミド)などの低分子量有機臭素化合物、臭素化ポリカーボネート(例えば臭素化ビスフェノールAを原料として製造されたポリカーボネートオリゴマーあるいはそのビスフェノールAとの共重合物)、臭素化エポキシ化合物(例えば臭素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジエポキシ化合物や臭素化フェノール類とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるモノエポキシ化合物)、ポリ(臭素化ベンジルアクリレート)、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ビスフェノールA、塩化シアヌルおよび臭素化フェノールの縮合物、臭素化ポリスチレン、架橋臭素化ポリスチレン、架橋臭素化ポリα−メチルスチレン等のハロゲン化されたポリマーやオリゴマーあるいは、これらの混合物が挙げられ、なかでもエチレンビス−(テトラブロモフタルイミド)、臭素化エポキシオリゴマーまたはポリマー、臭素化ポリスチレン、架橋臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテルおよび臭素化ポリカーボネートが好ましく、エチレンビス−(テトラブロモフタルイミド)、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネートが特に好ましく使用できる。上記の好ましい有機臭素化合物についてさらに詳しく述べると、臭素化エポキシポリマーとしては下記一般式(a)で表わされるものが好ましい。
【0027】
【化12】
上記一般式(a)中の重合度nは好ましくは15以上、さらに好ましくは50〜80である。また、臭素化ポリスチレンとしてはラジカル重合またはアニオン重合によって得られたポリスチレンを臭素化することによって製造された重量平均分子量1×103〜3×105の下記(b)式で表わされるもの、あるいは臭素化スチレンモノマをラジカル重合またはアニオン重合、好ましくはラジカル重合によって製造された(b)または(c)式で表わされる臭素化スチレン単位を有するポリ臭素化スチレンなどが挙げられるが、とりわけ臭素化スチレンモノマから製造した下記(c)式で示される構造単位を主要構成成分とする重量平均分子量1×103〜3×105のポリ臭素化スチレンが好ましい。
【0028】
【化13】
ここでいう臭素化スチレンモノマとはスチレンモノマ1個あたり、その芳香環に約2個の臭素原子が置換反応により導入されたものが好ましく、二臭素化スチレンの他に一臭素化スチレン、三臭素化スチレンなどを含んでいてもよい。上記ポリ臭素化スチレンは二臭素化スチレン単位を60重量%以上含有しているものが好ましく、70重量%以上含有しているものがより好ましい。二臭素化スチレン以外に一臭素化スチレンおよび/または三臭素化スチレンを40重量%以下、好ましくは30重量%以下共重合したポリ臭素化スチレンであってもよい。このポリ臭素化スチレンの重量平均分子量は1×104〜1.5×105がより好ましい。重量平均分子量が1×103未満では、成形時の機械的特性、ハンダ耐熱性の低下が大きく、3×105より大きい場合には、本願発明の組成物の流動性が不良となる傾向がある。なお、この重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフを用いて測定した値であり、ポリスチレン分子量基準の相対値である。臭素化ポリカーボネートとしては、下記一般式(d)で表わされるものが好ましい。
【0029】
【化14】
(R3、R4は置換あるいは無置換のアリール基を示し、p−t−フェニル基が最も好ましい。)
上記式(d)中の重合度nとしては4以上のものが好ましく、8以上のもの、とりわけ8〜25がより好ましく使用できる。これらの有機臭素化合物(D)の添加量は液晶ポリエステル100重量部当り、0.5〜30重量部、好ましくは1〜20重量部である。
【0030】
これらを添加する方法は溶融混練することが好ましく、溶融混練には公知の方法を用いることができる。たとえば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用い、200〜370℃の温度で溶融混練して組成物とすることができる。
【0031】
更に、本発明の液晶性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない程度の範囲で、酸化防止剤および熱安定剤(たとえばヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホスファイト類およびこれらの置換体など)、紫外線吸収剤(たとえばレゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなど)、滑剤および離型剤(モンタン酸およびその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、ポリエチレンおよびポリエチレンワックスなど)、染料(たとえばニトロシンなど)および顔料(たとえば硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラックなど)を含む着色剤、可塑剤、帯電防止剤などの通常の添加剤や他の熱可塑性樹脂を添加して、所定の特性を付与することができる。
【0032】
これらを添加する方法は溶融混練することが好ましく、溶融混練には公知の方法を用いることができる。たとえば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用い、200〜370℃の温度で溶融混練して組成物とすることができる。
【0033】
かくしてなる本発明の液晶性樹脂組成物は、例えば射出成形、押出成形、圧縮成形など通常の成形方法により成形することができ、それにより三次元成形品、シート、容器、パイプなどに加工することが可能である。なかでも射出成形することが好ましく、通常の射出成形、インサート成形、アウトサート成形などに供することにより各種成形品とすることができる。
【0034】
かくして得られる成形品は加熱時あるいは溶融時に発生する腐食性ガスが抑制され、優れた溶融流動性、成形性、光学異方性を有し、優れた耐熱性、耐薬品性、耐加水分解性、および機械的性質を有し、例えば、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケーススイッチコイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶ディスプレー部品、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、HDD部品、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受、などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンショメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキバット磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケースなどの自動車・車両関連部品、その他各種用途に有用である。
【0035】
中でも加熱時あるいは溶融時に発生する腐食性ガスが抑制されるという特徴をいかす点から成形品が加熱条件下にさらされるような場合や、金属腐食が問題となるような用途に適している。
【0036】
成形品が加熱条件下に晒されるような場合の例としては、成形品を半田付け、表面実装、別の素材を加熱融着する場合など高温条件下で二次的に加工する場合、あるいは成形品を例えば機械・機構部品、あるいは自動車等のエンジンまわり部品などの部品として、あるいは摺動することによる発熱を伴なうような部品、発熱体の近くで使用されるなど高温条件下で使用される場合などが挙げられ、特に成形品が150℃以上、特に200℃以上の環境にさらされるような場合にその効果を発揮する。
【0037】
また、金属腐食が問題となるような用途としては成形品が金属と接触して用いられる場合、あるいは金属製品がごく近くに存在するような場所で使用される場合が挙げられ、中でも金属製品をインサート成形、あるいはアウトサート成形した成形品、制振鋼板など金属板と積層した積層板など、成形品と金属からなる複合物品が挙げられる。また、液晶性樹脂成形品が絶縁部をなし、それに金属が導電部をなす複合物品にも有用である。
【0038】
特にこれらの複合物品が、液晶性樹脂成形品の2次的に加工により製造される場合、および/または使用される場合に高温条件下にさらされる場合に本願発明効果を発揮することができる。
【0039】
これらの例としてははんだ付けや赤外線、熱風による加熱などの二次的加工を施し製造される各種ケース、スイッチ、ボビン、コネクター、ソケット類や使用時に高温にさらされる耐熱容器、電子レンジ部品などが挙げられる。
【0040】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳述する。
【0041】
参考例1
p−ヒドロキシ安息香酸994重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸112重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト216重量部及び無水酢酸960重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、次の条件で脱酢酸重合を行った。
【0042】
まず、窒素ガス雰囲気下に100〜250℃で5時間、250〜300℃で1.5時間反応させた後、315℃、1時間で0.5mmHgに減圧し、更に1.25時間反応させ、重縮合を完結させたところ、ほぼ理論量の酢酸が留出し、下記の理論構造式を有する液晶ポリエステル樹脂を得た。
【0043】
【化12】
k/l/m/n=80/7.5/12.5/20
実施例1
参考例1の液晶ポリエステル100重量部に対して、ハイドロタルサイト(協和化学製 DHT−4A−2 化学式:[Mg2+ 0.68Al3+ 0.32(OH)2 ]0.32+ [CO32 −0 .16 ]0.32− x=0.32)0.5重量部、平均径10μm、平均長3000μmのガラス繊維45重量部をリボンブレンダーで混合後、30mmφの2軸押出機を用いて310℃で溶融混練後ペレット化した。このペレット50gと5×10mmの銀端子を200mlの広口ビンに入れ密封し、150℃で1000時間熱処理したときの銀端子の抵抗値を測定することで腐食テストを行った。その結果を表1に示す。
【0044】
実施例2
実施例1においてさらに二臭素化ポリスチレンモノマを重合したポリ二臭素化スチレン(臭素含量59%)10重量部を加えた以外は実施例1と同様に溶融混練後ペレット化し、同様に腐食テストを行った。その結果を表1に示す。
【0045】
比較例1
実施例1においてハイドロタルサイトを加えなかったこと以外は実施例1と同様に溶融混練後ペレット化し、同様に腐食テストを行った。その結果を表1に示す。
【0046】
比較例2
実施例2においてハイドロタルサイトを加えなかったこと以外は実施例2と同様に溶融混練後ペレット化し、同様に腐食テストを行った。その結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
実施例3
実施例2の液晶性樹脂組成物を熱風乾燥後、住友ネスタ−ル射出成形機プロマット40/25(住友重機械工業(株)製)に供し、シリンダ−温度320℃、金型温度90℃に設定し、5mm×30mm×10mmのコネクターを成形した。このコネクター20個と5×10mmの銀端子を200mlの広口ビンに入れ密封し、200℃で500時間熱処理処理し、実施例1と同様に腐食テストを行った。その結果を表2に示す。
【0049】
比較例3
比較例2の液晶性樹脂組成物を実施例3と同様に成形し、同様に腐食テストを行った。その結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
表1、2の結果から明らかなように、本発明の液晶性樹脂組成物および成形品は耐腐食試験が優れたものが得られることがわかる。
【0051】
【発明の効果】
本発明は、加熱時あるいは溶融時に発生する腐食性ガスを抑制した液晶性樹脂組成物および成形品を与えるものである。
Claims (4)
- (A)下記構造単位 (I) 、 (II) 、 (III) および (IV) からなり、構造単位[ (I) + (II) ]が[ (I) + (II) + (III) ]の60〜95モル%、構造単位 (III) が[ (I) + (II) + (III) ]の40〜5モル%であり、構造単位 (I)/(II) のモル比が75/25〜95/5である液晶ポリエステル100重量部に対して、下記構造式(1)で表される(B)ハイドロタルサイト類化合物0.001〜10重量部、(C)充填剤0〜200重量部を含有することを特徴とする液晶性樹脂組成物。
[M2+ 1-xM3+ x (OH)2 ]x+[An- x/n ・mH2 O]x- (1)
(ここでM2+は2価の金属イオン、M3+は3価の金属イオン、An-はn価のアニオンを示し、xは、0<x≦0.33の範囲にあり、m≧0である。) - (A)液晶ポリエステル100重量部に対して、上記構造式(1)で表される(B)ハイドロタルサイト類化合物0.001〜10重量部、(C)充填剤0〜200重量部さらに(D)有機臭素化合物0.5〜30重量部を含有することを特徴とする請求項1記載の液晶性樹脂組成物。
- 請求項1、2いずれか1項記載の液晶性樹脂組成物を成形してなる液晶性樹脂成形品であって、該液晶性樹脂成形品が、これを二次的に加工する時および/またはこれを使用する時に150℃以上の環境にさらされるものである液晶性樹脂成形品。
- 液晶性樹脂成形品が、金属と接触させて用いることを特徴とする請求項3記載の液晶性樹脂成形品。
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