JPH07196026A - アンチロック制動装置 - Google Patents
アンチロック制動装置Info
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- JPH07196026A JPH07196026A JP32625194A JP32625194A JPH07196026A JP H07196026 A JPH07196026 A JP H07196026A JP 32625194 A JP32625194 A JP 32625194A JP 32625194 A JP32625194 A JP 32625194A JP H07196026 A JPH07196026 A JP H07196026A
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- vaw
- braking
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 アンチロック制御のための油圧制御回路を備
える車両において、滑り易い路面での急発進や急加速時
のホイルスピン中またはその直後の制動時に制御手段が
油圧制御回路を不必要にアンチロック制御するのを回避
する。 【構成】 車輪のスピン状態を検知するスピン検知手段
25が車両速度推定のための演算回路49に接続され、
その演算回路49は、車輪のスピン発生時に車輪がロッ
クしそうであると制御手段32が判断するのを回避すべ
く、スピン検知手段25によりスピン状態が検知されて
いる間車輪速度信号Vwの増加に拘わらず推定車両速度
Vvの増加を抑制する推定車両速度増加抑制手段48を
備える。
える車両において、滑り易い路面での急発進や急加速時
のホイルスピン中またはその直後の制動時に制御手段が
油圧制御回路を不必要にアンチロック制御するのを回避
する。 【構成】 車輪のスピン状態を検知するスピン検知手段
25が車両速度推定のための演算回路49に接続され、
その演算回路49は、車輪のスピン発生時に車輪がロッ
クしそうであると制御手段32が判断するのを回避すべ
く、スピン検知手段25によりスピン状態が検知されて
いる間車輪速度信号Vwの増加に拘わらず推定車両速度
Vvの増加を抑制する推定車両速度増加抑制手段48を
備える。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車輪ブレーキと;この
車輪ブレーキへの制動油圧の供給を制御する油圧制御回
路と;車輪速度検出器と;この車輪速度検出器から出力
される車輪速度信号に基づいて車両速度を推定する演算
回路を含み、その推定車両速度に基づいて設定される基
準車輪速度と、前記車輪速度信号との比較により車輪が
ロックしそうな状態にあるかどうかを判断し車輪がロッ
クしそうであるときに前記車輪ブレーキへの制動油圧を
減少させるべく前記油圧制御回路を制御する制御手段
と;を備えるアンチロック制動装置に関する。
車輪ブレーキへの制動油圧の供給を制御する油圧制御回
路と;車輪速度検出器と;この車輪速度検出器から出力
される車輪速度信号に基づいて車両速度を推定する演算
回路を含み、その推定車両速度に基づいて設定される基
準車輪速度と、前記車輪速度信号との比較により車輪が
ロックしそうな状態にあるかどうかを判断し車輪がロッ
クしそうであるときに前記車輪ブレーキへの制動油圧を
減少させるべく前記油圧制御回路を制御する制御手段
と;を備えるアンチロック制動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、斯かるアンチロック制動装置で
は、車輪速度検出器から出力された車輪速度信号Vwか
ら車輪加速度VAwおよび推定車両速度Vvを算出する
とともに、基準車輪加速度および推定車両速度Vvに適
正スリップ率を加味した基準車輪速度Vrを設定し、車
輪速度信号Vwと基準車輪速度Vrとの比較ならびに車
輪加速度VAwと基準車輪加速度との比較を行ない、そ
の結果を総合的に判断して車輪がロックしそうであるか
どうかを判断し、各車輪ブレーキの制動油圧を制御して
いる。しかも、車輪速度信号Vwから車両速度Vvの推
定にあたっては、図7に示すように、理想ダイオード4
4、記憶用コンデンサ45および定電流放電回路46か
ら成る演算回路を用いており、図8に示すように車輪速
度信号Vwの谷を一定の下り勾配で接続することによ
り、仮の車両速度Vvを推定している。
は、車輪速度検出器から出力された車輪速度信号Vwか
ら車輪加速度VAwおよび推定車両速度Vvを算出する
とともに、基準車輪加速度および推定車両速度Vvに適
正スリップ率を加味した基準車輪速度Vrを設定し、車
輪速度信号Vwと基準車輪速度Vrとの比較ならびに車
輪加速度VAwと基準車輪加速度との比較を行ない、そ
の結果を総合的に判断して車輪がロックしそうであるか
どうかを判断し、各車輪ブレーキの制動油圧を制御して
いる。しかも、車輪速度信号Vwから車両速度Vvの推
定にあたっては、図7に示すように、理想ダイオード4
4、記憶用コンデンサ45および定電流放電回路46か
ら成る演算回路を用いており、図8に示すように車輪速
度信号Vwの谷を一定の下り勾配で接続することによ
り、仮の車両速度Vvを推定している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のアンチロッ
ク制動装置では、駆動輪に適用する場合に次のような問
題が生じる。すなわち雪路や凍結路等の滑り易い路面で
の急発進時には、図9で示すように、駆動輪の車輪速度
信号Vwが実車両速度Vv*より大幅に大となる現象す
なわちホイルスピンが発生する。このため推定車両速度
Vvが実車両速度Vv*よりも大幅に大となるとともに
ホイルスピンがなくなってからも同様の状態が暫時継続
し、ホイルスピンが収まる直前には大きな車輪減速度も
発生する。したがってホイルスピン発生中およびその直
後(図9の期間A)に制動操作をした場合には、車輪速
度信号Vwが基準車輪速度Vrよりも低く且つ車輪加速
度VAwが基準車輪加速度よりも低くなる状態が一時的
に生じ、その状態では上記制御手段が、車輪がロックし
そうになったものと判断して油圧制御回路をアンチロッ
ク制御しようとするが、上記のような状態は、実際には
車輪がロックする虞れのある状態(即ち制御手段が油圧
制御回路をアンチロック制御すべき状態)ではないの
で、油圧制御回路のアンチロック制御により制動油圧を
低下させてしまうばかりか、その制御系の作動音が不必
要に発生したり耐久性が低下するといった問題を生じさ
せる虞れがある。また以上の問題は、滑り易い路面を走
行中の急加速時にも同様であり、ホイルスピン発生中お
よびその直後(図10の期間A)に制動操作をした場合
には、上記と同様に油圧制御回路が不必要にアンチロッ
ク制御される虞れがある。
ク制動装置では、駆動輪に適用する場合に次のような問
題が生じる。すなわち雪路や凍結路等の滑り易い路面で
の急発進時には、図9で示すように、駆動輪の車輪速度
信号Vwが実車両速度Vv*より大幅に大となる現象す
なわちホイルスピンが発生する。このため推定車両速度
Vvが実車両速度Vv*よりも大幅に大となるとともに
ホイルスピンがなくなってからも同様の状態が暫時継続
し、ホイルスピンが収まる直前には大きな車輪減速度も
発生する。したがってホイルスピン発生中およびその直
後(図9の期間A)に制動操作をした場合には、車輪速
度信号Vwが基準車輪速度Vrよりも低く且つ車輪加速
度VAwが基準車輪加速度よりも低くなる状態が一時的
に生じ、その状態では上記制御手段が、車輪がロックし
そうになったものと判断して油圧制御回路をアンチロッ
ク制御しようとするが、上記のような状態は、実際には
車輪がロックする虞れのある状態(即ち制御手段が油圧
制御回路をアンチロック制御すべき状態)ではないの
で、油圧制御回路のアンチロック制御により制動油圧を
低下させてしまうばかりか、その制御系の作動音が不必
要に発生したり耐久性が低下するといった問題を生じさ
せる虞れがある。また以上の問題は、滑り易い路面を走
行中の急加速時にも同様であり、ホイルスピン発生中お
よびその直後(図10の期間A)に制動操作をした場合
には、上記と同様に油圧制御回路が不必要にアンチロッ
ク制御される虞れがある。
【0004】本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたも
のであり、滑り易い路面での急発進や急加速時のホイル
スピン中またはその直後の制動時に制御手段が油圧制御
回路を不必要にアンチロック制御するのを回避すること
ができるアンチロック制動装置を提供することを目的と
する。
のであり、滑り易い路面での急発進や急加速時のホイル
スピン中またはその直後の制動時に制御手段が油圧制御
回路を不必要にアンチロック制御するのを回避すること
ができるアンチロック制動装置を提供することを目的と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明によれば、車輪ブレーキと;この車輪ブレーキ
への制動油圧の供給を制御する油圧制御回路と;車輪速
度検出器と;この車輪速度検出器から出力される車輪速
度信号に基づいて車両速度を推定する演算回路を含み、
その推定車両速度に基づいて設定される基準車輪速度
と、前記車輪速度信号との比較により車輪がロックしそ
うな状態にあるかどうかを判断し車輪がロックしそうで
あるときに前記車輪ブレーキへの制動油圧を減少させる
べく前記油圧制御回路を制御する制御手段と;を備える
アンチロック制動装置において、車輪のスピン状態を検
知するスピン検知手段が前記演算回路に接続され、その
演算回路は、車輪のスピン発生時に前記車輪がロックし
そうであると前記制御手段が判断するのを回避すべく、
前記スピン検知手段によりスピン状態が検知されている
間前記車輪速度信号の増加に拘わらず前記推定車両速度
の増加を抑制する推定車両速度増加抑制手段を備える。
に本発明によれば、車輪ブレーキと;この車輪ブレーキ
への制動油圧の供給を制御する油圧制御回路と;車輪速
度検出器と;この車輪速度検出器から出力される車輪速
度信号に基づいて車両速度を推定する演算回路を含み、
その推定車両速度に基づいて設定される基準車輪速度
と、前記車輪速度信号との比較により車輪がロックしそ
うな状態にあるかどうかを判断し車輪がロックしそうで
あるときに前記車輪ブレーキへの制動油圧を減少させる
べく前記油圧制御回路を制御する制御手段と;を備える
アンチロック制動装置において、車輪のスピン状態を検
知するスピン検知手段が前記演算回路に接続され、その
演算回路は、車輪のスピン発生時に前記車輪がロックし
そうであると前記制御手段が判断するのを回避すべく、
前記スピン検知手段によりスピン状態が検知されている
間前記車輪速度信号の増加に拘わらず前記推定車両速度
の増加を抑制する推定車両速度増加抑制手段を備える。
【0006】
【作 用】雪路や凍結路等の滑り易い路面での急発進や
急加速時にホイルスピンが生じて車輪速度が急増して
も、そのスピン状態の間は、演算回路により求められる
推定車両速度の増加が、上記スピン検知手段に応動する
推定車両速度増加抑制手段によって抑えられるから、そ
のホイルスピン時に推定車両速度の過度の増加に因り車
輪がロックしそうだとアンチロック制御手段が判断する
のを未然に防止でき、その結果、該ホイルスピン中ない
しはその直後に制動操作した場合でも、油圧制御回路は
不必要にアンチロック制御されないから、制動油圧は制
動操作に応じて迅速に上昇し、これに伴いブレーキは速
やかに作動状態に移行する。
急加速時にホイルスピンが生じて車輪速度が急増して
も、そのスピン状態の間は、演算回路により求められる
推定車両速度の増加が、上記スピン検知手段に応動する
推定車両速度増加抑制手段によって抑えられるから、そ
のホイルスピン時に推定車両速度の過度の増加に因り車
輪がロックしそうだとアンチロック制御手段が判断する
のを未然に防止でき、その結果、該ホイルスピン中ない
しはその直後に制動操作した場合でも、油圧制御回路は
不必要にアンチロック制御されないから、制動油圧は制
動操作に応じて迅速に上昇し、これに伴いブレーキは速
やかに作動状態に移行する。
【0007】
【実施例】以下、図面により本発明の一実施例について
説明すると、先ず図1においてブレーキペダル1はマス
タシリンダMに対して作動的に連結されており、運転者
がブレーキペダル1を踏むと、マスタシリンダMは油路
2に油圧を発生する。この油路2は油圧制御回路3に連
結されており、前記油圧に応じた制動油圧が油圧制御回
路3から出力される。
説明すると、先ず図1においてブレーキペダル1はマス
タシリンダMに対して作動的に連結されており、運転者
がブレーキペダル1を踏むと、マスタシリンダMは油路
2に油圧を発生する。この油路2は油圧制御回路3に連
結されており、前記油圧に応じた制動油圧が油圧制御回
路3から出力される。
【0008】車両の左右駆動輪および左右被動輪には車
輪ブレーキがそれぞれ装着されており、それらの車輪ブ
レーキに油圧制御回路3から制動油圧が供給さる。たと
えば前輪駆動車両において、駆動輪としての左右前輪に
は左前輪用ブレーキBlfおよび右前輪用ブレーキBr
fが装着されており、被動輪としての左右後輪には左後
輪用ブレーキBlrおよび右後輪用ブレーキBrrが装
着される。各ブレーキBlf,Brf,Blr,Brr
はたとえばドラムブレーキであり、左前輪用および右前
輪用ブレーキBlf,Brfの制動油室4には油圧制御
回路3からの油路5が連通され、左後輪用および右後輪
用ブレーキBlr,Brrの制動油室4には油圧制御回
路3からの油路5′が連通される。
輪ブレーキがそれぞれ装着されており、それらの車輪ブ
レーキに油圧制御回路3から制動油圧が供給さる。たと
えば前輪駆動車両において、駆動輪としての左右前輪に
は左前輪用ブレーキBlfおよび右前輪用ブレーキBr
fが装着されており、被動輪としての左右後輪には左後
輪用ブレーキBlrおよび右後輪用ブレーキBrrが装
着される。各ブレーキBlf,Brf,Blr,Brr
はたとえばドラムブレーキであり、左前輪用および右前
輪用ブレーキBlf,Brfの制動油室4には油圧制御
回路3からの油路5が連通され、左後輪用および右後輪
用ブレーキBlr,Brrの制動油室4には油圧制御回
路3からの油路5′が連通される。
【0009】各ブレーキBlf,Brf,Blr,Br
rにおいて、各制動油室4に制動油圧が供給されると、
ピストン7,8が相互に離反する方向に作動して、ブレ
ーキシュー9,10がそれぞれブレーキドラム(図示せ
ず)に接触して制動トルクが発生する。また各制動油室
4内の制動油圧が大き過ぎると、各ブレーキシュー9,
10とブレーキドラムとの間に発生する制動トルクが大
きくなり過ぎ、その結果、車輪がロック状態となる。こ
のため、車輪がロック状態に入りそうになると、油圧制
御回路3により制動油圧が減圧され、これにより車輪が
ロック状態となることが回避される。
rにおいて、各制動油室4に制動油圧が供給されると、
ピストン7,8が相互に離反する方向に作動して、ブレ
ーキシュー9,10がそれぞれブレーキドラム(図示せ
ず)に接触して制動トルクが発生する。また各制動油室
4内の制動油圧が大き過ぎると、各ブレーキシュー9,
10とブレーキドラムとの間に発生する制動トルクが大
きくなり過ぎ、その結果、車輪がロック状態となる。こ
のため、車輪がロック状態に入りそうになると、油圧制
御回路3により制動油圧が減圧され、これにより車輪が
ロック状態となることが回避される。
【0010】油圧制御回路3は、左右前輪用ブレーキB
lf,Brfに対応したモジュレータ11と、左右後輪
用ブレーキBlr,Brrに対応したモジュレータ1
1′とを備えており、両モジュレータ11,11′は基
本的に同一の構成を有するので、一方のモジュレータ1
1についてのみその構造を詳述する。
lf,Brfに対応したモジュレータ11と、左右後輪
用ブレーキBlr,Brrに対応したモジュレータ1
1′とを備えており、両モジュレータ11,11′は基
本的に同一の構成を有するので、一方のモジュレータ1
1についてのみその構造を詳述する。
【0011】すなわち、モジュレータ11は両端が閉塞
されかつその途中が隔壁13で仕切られたシリンダ部1
4と、両端部にそれぞれ一対のピストン15,16を有
して各ピストン15,16間の部分で隔壁13を軸方向
に滑接自在に貫通するロッド17とを備える。隔壁13
と一方のピストン15との間のシリンダ室は1次制動油
圧室18として、油路2を介してマスタシリンダMに連
通される。また前記隔壁13と他方のピストン16との
間のシリンダ室は2次制動油圧室19として、油路5を
介して左右前輪用ブレーキBlf,Brfの制動油室4
に連通される。シリンダ部14の一方の端壁と一方のピ
ストン15との間にはアンチロック制御油圧室20が画
成され、シリンダ部14の他方の端壁と他方のピストン
16との間には、解放油室21が画成され、解放油室2
1はマスタシリンダMのリザーバRに連通される。また
2次制動油圧室19にはピストン16を隔壁13から離
反する方向に付勢するばね22が収納され、アンチロッ
ク制御油圧室20にはピストン15を隔壁13側に向け
て付勢するばね23が収納される。
されかつその途中が隔壁13で仕切られたシリンダ部1
4と、両端部にそれぞれ一対のピストン15,16を有
して各ピストン15,16間の部分で隔壁13を軸方向
に滑接自在に貫通するロッド17とを備える。隔壁13
と一方のピストン15との間のシリンダ室は1次制動油
圧室18として、油路2を介してマスタシリンダMに連
通される。また前記隔壁13と他方のピストン16との
間のシリンダ室は2次制動油圧室19として、油路5を
介して左右前輪用ブレーキBlf,Brfの制動油室4
に連通される。シリンダ部14の一方の端壁と一方のピ
ストン15との間にはアンチロック制御油圧室20が画
成され、シリンダ部14の他方の端壁と他方のピストン
16との間には、解放油室21が画成され、解放油室2
1はマスタシリンダMのリザーバRに連通される。また
2次制動油圧室19にはピストン16を隔壁13から離
反する方向に付勢するばね22が収納され、アンチロッ
ク制御油圧室20にはピストン15を隔壁13側に向け
て付勢するばね23が収納される。
【0012】アンチロック制御油圧室20には油路24
が接続されており、この油路24は常時閉のインレット
バルブViを介して油圧ポンプPに接続されるととも
に、常時開のアウトレットバルブVoを介して油タンク
Tに接続される。またインレットバルブViおよび油圧
ポンプP間にはアキュムレータAcが接続される。
が接続されており、この油路24は常時閉のインレット
バルブViを介して油圧ポンプPに接続されるととも
に、常時開のアウトレットバルブVoを介して油タンク
Tに接続される。またインレットバルブViおよび油圧
ポンプP間にはアキュムレータAcが接続される。
【0013】他方のモジュレータ11′においても、1
次制動油圧室18′はマスタシリンダMに連通され、2
次制動油圧室19′は油路5′を介して左右後輪用ブレ
ーキBlr,Brrの制動油室4に連通され、解放油室
21′はリザーバRに連通される。さらにアンチロック
制御油圧室20′は、常時閉のインレットバルブVi′
を介して油圧ポンプPに接続されるとともに、常時開の
アウトレットバルブVo′を介して油タンクTに接続さ
れる。
次制動油圧室18′はマスタシリンダMに連通され、2
次制動油圧室19′は油路5′を介して左右後輪用ブレ
ーキBlr,Brrの制動油室4に連通され、解放油室
21′はリザーバRに連通される。さらにアンチロック
制御油圧室20′は、常時閉のインレットバルブVi′
を介して油圧ポンプPに接続されるとともに、常時開の
アウトレットバルブVo′を介して油タンクTに接続さ
れる。
【0014】前記両インレットバルブVi,Vi′およ
び両アウトレットバルブVo,Vo′はソレノイド弁で
あり、制御手段32によってその開閉作動を制御され
る。
び両アウトレットバルブVo,Vo′はソレノイド弁で
あり、制御手段32によってその開閉作動を制御され
る。
【0015】インレットバルブVi,Vi′が閉弁し且
つアウトレットバルブVo,Vo′が開弁している状態
では、アンチロック制御油圧室20,20′は油タンク
Tに解放されており、ブレーキペダル1を踏んで1次制
動油圧室18,18′にマスタシリンダMからの油圧を
供給すると、2次制動油圧室19,19′の容積は減少
し、各車輪ブレーキBlf,Brf,Blr,Brrの
制動油室4には、マスタシリンダMからの油圧に応じた
制動油圧が供給される。したがって、制動時のトルクは
運転者の制動操作に応じて自由に増大する。
つアウトレットバルブVo,Vo′が開弁している状態
では、アンチロック制御油圧室20,20′は油タンク
Tに解放されており、ブレーキペダル1を踏んで1次制
動油圧室18,18′にマスタシリンダMからの油圧を
供給すると、2次制動油圧室19,19′の容積は減少
し、各車輪ブレーキBlf,Brf,Blr,Brrの
制動油室4には、マスタシリンダMからの油圧に応じた
制動油圧が供給される。したがって、制動時のトルクは
運転者の制動操作に応じて自由に増大する。
【0016】インレットバルブVi,Vi′が閉弁した
状態でアウトレットバルブVo,Vo′を閉弁すると、
アンチロック制御油圧室20,20′の制御油はロック
された状態となるので、各モジュレータ11,11′の
2次制動油圧室19,19′は1次制動油圧室18,1
8′に供給される油圧の増減に拘らず、その容積は不変
であり、したがって制動時のトルクは運転者の制動操作
と無関係に一定の大きさに保持される。このような作動
状態は車輪のロックの可能性が生じたときに適合する。
状態でアウトレットバルブVo,Vo′を閉弁すると、
アンチロック制御油圧室20,20′の制御油はロック
された状態となるので、各モジュレータ11,11′の
2次制動油圧室19,19′は1次制動油圧室18,1
8′に供給される油圧の増減に拘らず、その容積は不変
であり、したがって制動時のトルクは運転者の制動操作
と無関係に一定の大きさに保持される。このような作動
状態は車輪のロックの可能性が生じたときに適合する。
【0017】またインレットバルブVi,Vi′を開弁
し、かつアウトレットバルブVo,Vo′を閉弁する
と、アンチロック制御油圧室20,20′にアンチロッ
ク制御油圧が供給されるので、マスタシリンダMからの
油圧が1次制動油圧室18,18′に作用しているにも
拘らず、2次制動油圧室19,19′の容積が増大し、
各車輪ブレーキBlf,Brf,Blr,Brrの制動
油室4の油圧が減少し、制動トルクが弱められる。した
がって、車輪がロック状態に入ろうとするときに、イン
レットバルブVi,Vi′を開弁し、アウトレットバル
ブVo,Vo′を閉弁することにより、車輪がロック状
態に入ることを回避できる。
し、かつアウトレットバルブVo,Vo′を閉弁する
と、アンチロック制御油圧室20,20′にアンチロッ
ク制御油圧が供給されるので、マスタシリンダMからの
油圧が1次制動油圧室18,18′に作用しているにも
拘らず、2次制動油圧室19,19′の容積が増大し、
各車輪ブレーキBlf,Brf,Blr,Brrの制動
油室4の油圧が減少し、制動トルクが弱められる。した
がって、車輪がロック状態に入ろうとするときに、イン
レットバルブVi,Vi′を開弁し、アウトレットバル
ブVo,Vo′を閉弁することにより、車輪がロック状
態に入ることを回避できる。
【0018】図2において、制御手段32の構成を説明
するが、一方の組の車輪ブレーキBlf,Brfに対応
するインレットバルブViおよびアウトレットバルブV
oを制御するための構成と、他方の組の車輪ブレーキB
lr,Brrに対応するインレットバルブVi′および
アウトレットバルブVo′を制御するための構成とは基
本的に同一であるので、ここでは一方のインレットバル
ブViおよびアウトレットバルブVoを制御するための
構成についてのみ述べることにする。
するが、一方の組の車輪ブレーキBlf,Brfに対応
するインレットバルブViおよびアウトレットバルブV
oを制御するための構成と、他方の組の車輪ブレーキB
lr,Brrに対応するインレットバルブVi′および
アウトレットバルブVo′を制御するための構成とは基
本的に同一であるので、ここでは一方のインレットバル
ブViおよびアウトレットバルブVoを制御するための
構成についてのみ述べることにする。
【0019】制御手段32は、マイクロコンピュータな
どの判断回路33を備え、この判断回路33は車輪がロ
ック状態にあるかどうかを判断し、その判断結果に基づ
いて、インレットバルブViおよびアウトレットバルブ
Voを開閉作動させるための信号を出力する。
どの判断回路33を備え、この判断回路33は車輪がロ
ック状態にあるかどうかを判断し、その判断結果に基づ
いて、インレットバルブViおよびアウトレットバルブ
Voを開閉作動させるための信号を出力する。
【0020】ここで、どのような条件が成立したときに
アンチロック制御のための信号を出力するかを決定する
判断基準について考えてみると、一般的には次の(a) 〜
(d)の4通りの方式が提案されている。 (a) 車輪加速度VAw<基準車輪減速度−VAw0 が
成立するときに信号βを出力して、制動圧力を緩める方
式。 (b) 車輪速度Vw<第1基準車輪速度Vr1 が成立し
たときに信号S1 を出力して、制動油圧を緩める方式。
ただし、この場合車両速度をVv、車輪のスリップ率を
λ1 としたときにVr1 =Vv・(1−λ1 )であるの
で、車輪のスリップ率をλとしたときに、Vw<Vr1
はλ>λ1 と同意であり、Vw<Vr1 またはλ>λ1
が成立するときに信号S1 が出力される。 (c) 前記(a) ,(b) のいずれか一方が成立したときに
制動油圧を緩める方式。 (d) 前記(a) ,(b) が同時に成立したときに制動油圧
を緩める方式。
アンチロック制御のための信号を出力するかを決定する
判断基準について考えてみると、一般的には次の(a) 〜
(d)の4通りの方式が提案されている。 (a) 車輪加速度VAw<基準車輪減速度−VAw0 が
成立するときに信号βを出力して、制動圧力を緩める方
式。 (b) 車輪速度Vw<第1基準車輪速度Vr1 が成立し
たときに信号S1 を出力して、制動油圧を緩める方式。
ただし、この場合車両速度をVv、車輪のスリップ率を
λ1 としたときにVr1 =Vv・(1−λ1 )であるの
で、車輪のスリップ率をλとしたときに、Vw<Vr1
はλ>λ1 と同意であり、Vw<Vr1 またはλ>λ1
が成立するときに信号S1 が出力される。 (c) 前記(a) ,(b) のいずれか一方が成立したときに
制動油圧を緩める方式。 (d) 前記(a) ,(b) が同時に成立したときに制動油圧
を緩める方式。
【0021】前記(a) の方式では、基準車輪減速度−V
Aw0 を、通常の走行路面での制動時に車輪がロックに
向かう際に発生する値、たとえば通常−2.0〜−1.
2Gに設定している。ところが雪路やアイスバーン等の
低μの路面で行なわれる制動操作においては、僅か−
1.0〜−0.5G程度の車輪減速度で車輪がロックに
向かうことがあるため、上記方式によると、制動時の後
半に車輪速度が車両速度Vvとかけ離れて車輪ロックが
実際に生じているにも拘らず制動油圧を緩めるための信
号が出力されないことがある。また、悪路走行時には、
通常制動時にも車輪加速度VAwが細かく脈動し、車輪
ロックの心配のないときにも、信号βが出力されて、制
動効率が低下する。
Aw0 を、通常の走行路面での制動時に車輪がロックに
向かう際に発生する値、たとえば通常−2.0〜−1.
2Gに設定している。ところが雪路やアイスバーン等の
低μの路面で行なわれる制動操作においては、僅か−
1.0〜−0.5G程度の車輪減速度で車輪がロックに
向かうことがあるため、上記方式によると、制動時の後
半に車輪速度が車両速度Vvとかけ離れて車輪ロックが
実際に生じているにも拘らず制動油圧を緩めるための信
号が出力されないことがある。また、悪路走行時には、
通常制動時にも車輪加速度VAwが細かく脈動し、車輪
ロックの心配のないときにも、信号βが出力されて、制
動効率が低下する。
【0022】また前記(b) の方式では、スリップ率λが
高くなっていても、すなわち、信号S1 が出力されてい
ても、車輪速度Vwが増加中であれば、制動油圧は充分
緩められていると判断されるが、この期間内でも制動油
圧を緩めることになり、制動効率が低下する。
高くなっていても、すなわち、信号S1 が出力されてい
ても、車輪速度Vwが増加中であれば、制動油圧は充分
緩められていると判断されるが、この期間内でも制動油
圧を緩めることになり、制動効率が低下する。
【0023】前記(c) の方式では、前記(a) の欠点およ
び(b) の欠点があることは明白である。
び(b) の欠点があることは明白である。
【0024】最後に前記(d) の方式では、悪路走行時の
制動効率の低下の問題や、車輪速度Vwが増加中に制動
油圧を緩めて制動効率を低下させると言った問題が解消
される。さらに基準車輪減速度−VAw0 を、通常路面
走行状態で制動時に発生する車輪減速度の範囲内でたと
えば−0.3〜−0.6Gに設定すると、雪路やアイス
バーン等の低μの路面で行なわれる制動操作において
は、上記設定値未満で且つ−1.0G以上の程度の車輪
減速度で車輪がロックしそうになるような場合でもその
状態を的確に検出して制動油圧を緩めることができる。
制動効率の低下の問題や、車輪速度Vwが増加中に制動
油圧を緩めて制動効率を低下させると言った問題が解消
される。さらに基準車輪減速度−VAw0 を、通常路面
走行状態で制動時に発生する車輪減速度の範囲内でたと
えば−0.3〜−0.6Gに設定すると、雪路やアイス
バーン等の低μの路面で行なわれる制動操作において
は、上記設定値未満で且つ−1.0G以上の程度の車輪
減速度で車輪がロックしそうになるような場合でもその
状態を的確に検出して制動油圧を緩めることができる。
【0025】そこで本実施例においては、判断回路33
には、駆動輪に装着された車輪速度検出器34から車輪
速度に対応した信号Vw(以下、車輪速度信号Vwとい
う)が入力され、その車輪速度信号Vwと、その車輪速
度信号Vwに基づいて演算される車輪加速度VAwと
が、前述のように第1基準車輪速度Vr1 、基準車輪減
速度−VAw0 とにそれぞれ比較され、 VAw<−VAw0 Vw<Vr1 がそれぞれ成立したときに、判断回路33からハイレベ
ルの信号β、S1 がそれぞれ出力される。これらの信号
β、S1 はANDゲート35に入力され、両信号がハイ
レベルであるときにトランジスタ36が導通し、ソレノ
ド38が励磁され、インレットバルブViが開弁され
る。またハイレベルの信号S1 が出力されたときに、ト
ランジスタ37が導通し、ソレノイド39が励磁され、
アウトレットバルブVoが閉弁される。
には、駆動輪に装着された車輪速度検出器34から車輪
速度に対応した信号Vw(以下、車輪速度信号Vwとい
う)が入力され、その車輪速度信号Vwと、その車輪速
度信号Vwに基づいて演算される車輪加速度VAwと
が、前述のように第1基準車輪速度Vr1 、基準車輪減
速度−VAw0 とにそれぞれ比較され、 VAw<−VAw0 Vw<Vr1 がそれぞれ成立したときに、判断回路33からハイレベ
ルの信号β、S1 がそれぞれ出力される。これらの信号
β、S1 はANDゲート35に入力され、両信号がハイ
レベルであるときにトランジスタ36が導通し、ソレノ
ド38が励磁され、インレットバルブViが開弁され
る。またハイレベルの信号S1 が出力されたときに、ト
ランジスタ37が導通し、ソレノイド39が励磁され、
アウトレットバルブVoが閉弁される。
【0026】ところで、上述のように信号β,S1 で制
動トルクを弱めるようにしたときに、車輪速度はまだ減
速中であり、これは制動トルクが路面の駆動トルクより
もまだ大きい状態であり、この時点で車輪ロックの心配
が完全に解消された訳ではない。ただし、一般的にはシ
ステムに10ms程度の作動遅れがあるために、緩め信号
が消滅してからもさらに制動油圧が緩められるので、高
μの通常路面での制動時においてはこの方式で良好な制
動結果が得られ、車輪ロックの虞れはない。しかしなが
ら低μの路面での制動時においては上記方式では制動油
圧の緩め方が不充分で、車輪がそのままロックに向かう
こともある。そこでこのような問題を解決するために、
λ>λ1 のときには車輪速度信号Vwが確実に増速に転
じるまで(即ち車輪加速度が正に転じるまで)緩め信号
を発生させるようにすればよいが、そのようにすると、
上記高μの通常路面での制動時においては前述の如くV
Aw>−VAwで緩め信号を停止しても良好な制動結果
が得られるにも拘らず、VAw>0になるまで緩め信号
を持続することになるので、制動トルクの緩め過ぎ、延
いては制動効率の低下が問題となる。ただしこれは制動
荷重配分の小さい方の車輪については実用上問題のない
ものである。
動トルクを弱めるようにしたときに、車輪速度はまだ減
速中であり、これは制動トルクが路面の駆動トルクより
もまだ大きい状態であり、この時点で車輪ロックの心配
が完全に解消された訳ではない。ただし、一般的にはシ
ステムに10ms程度の作動遅れがあるために、緩め信号
が消滅してからもさらに制動油圧が緩められるので、高
μの通常路面での制動時においてはこの方式で良好な制
動結果が得られ、車輪ロックの虞れはない。しかしなが
ら低μの路面での制動時においては上記方式では制動油
圧の緩め方が不充分で、車輪がそのままロックに向かう
こともある。そこでこのような問題を解決するために、
λ>λ1 のときには車輪速度信号Vwが確実に増速に転
じるまで(即ち車輪加速度が正に転じるまで)緩め信号
を発生させるようにすればよいが、そのようにすると、
上記高μの通常路面での制動時においては前述の如くV
Aw>−VAwで緩め信号を停止しても良好な制動結果
が得られるにも拘らず、VAw>0になるまで緩め信号
を持続することになるので、制動トルクの緩め過ぎ、延
いては制動効率の低下が問題となる。ただしこれは制動
荷重配分の小さい方の車輪については実用上問題のない
ものである。
【0027】そこで、λ2 >λ1 となる第2基準スリッ
プ率λ2 に相当する第2基準車輪速度Vr2 を設定し、
Vw<Vr2 すなわちλ>λ2 となってロックの可能性
が大きくなったときだけ、車輪速度信号Vwが増速に転
ずるまで、緩め信号を持続させるようにする。すなわち
判断回路33では、Vw<Vr2 またはλ>λ2 である
か否かを判断し、その条件が成立したときに信号S2 を
出力する。また車輪速度信号Vwが増速中であることを
判断するために、増速度基準値+VAw0 を設定し、V
w>+VAw0 であるときに信号αを出力する。
プ率λ2 に相当する第2基準車輪速度Vr2 を設定し、
Vw<Vr2 すなわちλ>λ2 となってロックの可能性
が大きくなったときだけ、車輪速度信号Vwが増速に転
ずるまで、緩め信号を持続させるようにする。すなわち
判断回路33では、Vw<Vr2 またはλ>λ2 である
か否かを判断し、その条件が成立したときに信号S2 を
出力する。また車輪速度信号Vwが増速中であることを
判断するために、増速度基準値+VAw0 を設定し、V
w>+VAw0 であるときに信号αを出力する。
【0028】信号S2 はANDゲート40の一方の入力
端に入力されるとともにORゲート41に入力され、信
号αはORゲート41に入力されるとともに反転してA
NDゲート40に入力される。さらに前記信号S1 もO
Rゲート41に入力され、ORゲート41の出力はトラ
ンジスタ37のベースに与えられる。また両ANDゲー
ト35,40の出力はORゲート42に入力され、OR
ゲート42の出力はトランジスタ36のベースに与えら
れる。
端に入力されるとともにORゲート41に入力され、信
号αはORゲート41に入力されるとともに反転してA
NDゲート40に入力される。さらに前記信号S1 もO
Rゲート41に入力され、ORゲート41の出力はトラ
ンジスタ37のベースに与えられる。また両ANDゲー
ト35,40の出力はORゲート42に入力され、OR
ゲート42の出力はトランジスタ36のベースに与えら
れる。
【0029】このような制御手段32によれば、信号S
1 ,α,S2 のいずれかがハイレベルとなればトランジ
スタ37が導通してアウトレットバルブVoが閉弁し、
信号β,S1 がともにハイレベルであるか、信号S2 が
ハイレベルであって信号αがローレベルであるときにイ
ンレットバルブViが開弁する。
1 ,α,S2 のいずれかがハイレベルとなればトランジ
スタ37が導通してアウトレットバルブVoが閉弁し、
信号β,S1 がともにハイレベルであるか、信号S2 が
ハイレベルであって信号αがローレベルであるときにイ
ンレットバルブViが開弁する。
【0030】次に、第1および第2基準車輪速度V
r1 ,Vr2 の設定方法について説明すると、これら
は、車両速度Vを検出し、これに適正な基準スリップ率
λ1 ,λ2を加味して次式のように決定するのが理想で
ある。 Vr1 =V(1−λ1 ) Vr2 =V(1−λ2 ) ところが、車両速度Vを検出する実用的な手段は今のと
ころ見当たらない。そこで、車輪速度信号Vwの変化状
況から仮の車両速度Vvを推定する方式が一般的であ
り、その演算回路を図3に示す。
r1 ,Vr2 の設定方法について説明すると、これら
は、車両速度Vを検出し、これに適正な基準スリップ率
λ1 ,λ2を加味して次式のように決定するのが理想で
ある。 Vr1 =V(1−λ1 ) Vr2 =V(1−λ2 ) ところが、車両速度Vを検出する実用的な手段は今のと
ころ見当たらない。そこで、車輪速度信号Vwの変化状
況から仮の車両速度Vvを推定する方式が一般的であ
り、その演算回路を図3に示す。
【0031】図3において、演算回路49は制御手段3
2に含まれており、理想ダイオード44、記憶用コンデ
ンサ45および定電流放電回路46を備える。理想ダイ
オード44は車輪速度信号Vwを入力するための入力端
43に接続され、理想ダイオード44及び記憶用コンデ
ンサ45間には常閉のリレースイッチ48が介装され、
記憶用コンデンサ45および定電流放電回路46は仮の
車両速度Vvを出力するための出力端47に接続され
る。
2に含まれており、理想ダイオード44、記憶用コンデ
ンサ45および定電流放電回路46を備える。理想ダイ
オード44は車輪速度信号Vwを入力するための入力端
43に接続され、理想ダイオード44及び記憶用コンデ
ンサ45間には常閉のリレースイッチ48が介装され、
記憶用コンデンサ45および定電流放電回路46は仮の
車両速度Vvを出力するための出力端47に接続され
る。
【0032】このような演算回路49によれば、リレー
スイッチ48が導通しているときには、図8で示したよ
うに、アンチロック作動中の車輪速度信号Vwのピーク
値を実際の車両速度Vv*に近いものとし、車輪速度信
号Vwの谷を一定の下り勾配で接続して仮の車両速度V
vが出力される。
スイッチ48が導通しているときには、図8で示したよ
うに、アンチロック作動中の車輪速度信号Vwのピーク
値を実際の車両速度Vv*に近いものとし、車輪速度信
号Vwの谷を一定の下り勾配で接続して仮の車両速度V
vが出力される。
【0033】雪路や凍結路等の滑り易い路面での急発進
あるいは急加速時のホイルスピンを検出して、車輪速度
信号Vwの増加に拘らず推定車両速度Vvの増加を抑制
すべく、前記演算回路49にはスピン検知手段25が接
続される。
あるいは急加速時のホイルスピンを検出して、車輪速度
信号Vwの増加に拘らず推定車両速度Vvの増加を抑制
すべく、前記演算回路49にはスピン検知手段25が接
続される。
【0034】ここで、ホイルスピンを如何にして検知す
るかについて検討すると、先ず非制動中には車両増加速
度が1.0Gを超えることはないので、ホイルスピンが
発生しない限り車輪増速度VAwも1.0G以下であ
る。このため、車輪増速度VAwに対して一定の比較基
準値+VAw1 を設定し、非制動時にVAw>+VAw
1 となったときに、ホイルスピンが発生したと判断する
ことができる。またホイルスピン終了時には車輪速度信
号Vwが実際の車両速度Vv*を大きく超える(Vw>
Vv*)値となっていたのが、急速に実際の車両速度V
v*に近付くために、大きな車輪減速度が発生し、この
車輪減速度は車輪速度信号Vwが実際の車両速度Vv*
にほぼ等しくなったときに消滅する。したがって、車輪
減速度に対して一定の基準値−VAw1 を設定しておけ
ば、車輪減速度が一旦VAw<−VAw1 となってから
再びVAw>−VAwとなる時点をホイルスピンの終了
時期と判断することもできるが、システムには若干の作
動遅れがあるため、図示例では、車輪減速度がVAw>
+VAw1 を超えた後、最初にVAw<−VAwとなる
時点をホイルスピンの終了時期と判断する。
るかについて検討すると、先ず非制動中には車両増加速
度が1.0Gを超えることはないので、ホイルスピンが
発生しない限り車輪増速度VAwも1.0G以下であ
る。このため、車輪増速度VAwに対して一定の比較基
準値+VAw1 を設定し、非制動時にVAw>+VAw
1 となったときに、ホイルスピンが発生したと判断する
ことができる。またホイルスピン終了時には車輪速度信
号Vwが実際の車両速度Vv*を大きく超える(Vw>
Vv*)値となっていたのが、急速に実際の車両速度V
v*に近付くために、大きな車輪減速度が発生し、この
車輪減速度は車輪速度信号Vwが実際の車両速度Vv*
にほぼ等しくなったときに消滅する。したがって、車輪
減速度に対して一定の基準値−VAw1 を設定しておけ
ば、車輪減速度が一旦VAw<−VAw1 となってから
再びVAw>−VAwとなる時点をホイルスピンの終了
時期と判断することもできるが、システムには若干の作
動遅れがあるため、図示例では、車輪減速度がVAw>
+VAw1 を超えた後、最初にVAw<−VAwとなる
時点をホイルスピンの終了時期と判断する。
【0035】スピン検知手段25は、上述の観点に基づ
いて構成されたものであり、車輪速度信号Vwを微分し
て車輪増速度あるいは車輪減速度を算出する微分回路2
6と、車輪増速度と基準値+VAw1 との比較をする第
1比較器27と、車輪減速度と基準値−VAw1 との比
較をする第2比較器28と、両比較器27,28からの
入力信号の切換りに応じて出力信号を切換えるフリップ
フロップ29と、フリップフロップ29のセット出力端
Qに接続され前記演算回路49のリレースイッチ48と
ともにリレーを構成するリレーコイル30とを備える。
いて構成されたものであり、車輪速度信号Vwを微分し
て車輪増速度あるいは車輪減速度を算出する微分回路2
6と、車輪増速度と基準値+VAw1 との比較をする第
1比較器27と、車輪減速度と基準値−VAw1 との比
較をする第2比較器28と、両比較器27,28からの
入力信号の切換りに応じて出力信号を切換えるフリップ
フロップ29と、フリップフロップ29のセット出力端
Qに接続され前記演算回路49のリレースイッチ48と
ともにリレーを構成するリレーコイル30とを備える。
【0036】微分回路26は入力端43に接続されお
り、該微分回路26の出力端は第1比較器27の非反転
入力端に接続されるとともに、第2比較器28の反転入
力端に接続される。また第1比較器27の反転入力端に
は基準値+VAw1 を示す信号が入力され、第2比較器
28の非反転入力端には基準値−VAw1 を示す信号が
入力される。さらに第1比較器27の出力端はフリップ
フロップ29のセット入力端Sに接続され、第2比較器
28の出力端はフリップフロップ29のリセット入力端
Rに接続される。
り、該微分回路26の出力端は第1比較器27の非反転
入力端に接続されるとともに、第2比較器28の反転入
力端に接続される。また第1比較器27の反転入力端に
は基準値+VAw1 を示す信号が入力され、第2比較器
28の非反転入力端には基準値−VAw1 を示す信号が
入力される。さらに第1比較器27の出力端はフリップ
フロップ29のセット入力端Sに接続され、第2比較器
28の出力端はフリップフロップ29のリセット入力端
Rに接続される。
【0037】このようなスピン検知手段25によれば、
VAw>+VAw1 となるのに応じて第1比較器27か
らハイレベルの信号がフリップフロップ29のセット入
力端Sに入力され、リレーコイル30が励磁されること
により演算回路49のリレースイッチ48が遮断する。
この状態は、第2比較器28の出力がハイレベルとなる
まで、すなわちVAw<−VAw1 となるまで持続す
る。したがって、演算回路49のリレースイッチ48
は、VAw>+VAw1 となってからVAw<−VAw
1 となるまでの間、遮断する。これにより、スピン検知
手段25は車輪加速度VAwがVAw>VAw1 となっ
てからVAw<−VAw1 となるまでをホイルスピンの
発生期間と判断する。而して前記リレースイッチ48
は、後述するようにスピン検知手段25によりスピン状
態が検知されている間、車輪速度信号Vwの増加に拘わ
らず推定車両速度VV の増加を抑制する、本発明の推定
車両速度増加抑制手段を構成する。
VAw>+VAw1 となるのに応じて第1比較器27か
らハイレベルの信号がフリップフロップ29のセット入
力端Sに入力され、リレーコイル30が励磁されること
により演算回路49のリレースイッチ48が遮断する。
この状態は、第2比較器28の出力がハイレベルとなる
まで、すなわちVAw<−VAw1 となるまで持続す
る。したがって、演算回路49のリレースイッチ48
は、VAw>+VAw1 となってからVAw<−VAw
1 となるまでの間、遮断する。これにより、スピン検知
手段25は車輪加速度VAwがVAw>VAw1 となっ
てからVAw<−VAw1 となるまでをホイルスピンの
発生期間と判断する。而して前記リレースイッチ48
は、後述するようにスピン検知手段25によりスピン状
態が検知されている間、車輪速度信号Vwの増加に拘わ
らず推定車両速度VV の増加を抑制する、本発明の推定
車両速度増加抑制手段を構成する。
【0038】次に図4を参照しながらこの実施例の作用
について説明する。この図4はアンチロック制動装置の
作動態様の一例を示すものであり、横軸は制動開始後の
時間経過を示し、縦軸には、その最上部に実際の車両速
度Vv*、車輪速度信号Vw、第1基準車輪速度Vr1
および第2基準車輪速度Vr2 が示され、その下方位置
には車輪加速度VAw、増速度基準値+VAw0 および
基準車輪減速度−VAw0 が示され、さらにその下方に
信号α,β,S1 ,S2 およびソレノイド38,39の
作動状態が示され、最下部に制動油圧Pbが示されてい
る。
について説明する。この図4はアンチロック制動装置の
作動態様の一例を示すものであり、横軸は制動開始後の
時間経過を示し、縦軸には、その最上部に実際の車両速
度Vv*、車輪速度信号Vw、第1基準車輪速度Vr1
および第2基準車輪速度Vr2 が示され、その下方位置
には車輪加速度VAw、増速度基準値+VAw0 および
基準車輪減速度−VAw0 が示され、さらにその下方に
信号α,β,S1 ,S2 およびソレノイド38,39の
作動状態が示され、最下部に制動油圧Pbが示されてい
る。
【0039】先ず時刻t=0において、制動を開始した
直後には各信号α,β,S1 ,S2の出力はローレベル
であり、制動油圧Pbは次第に増大し、これに伴って車
輪速度信号Vwおよび車輪加速度VAwは共に次第に減
少する。
直後には各信号α,β,S1 ,S2の出力はローレベル
であり、制動油圧Pbは次第に増大し、これに伴って車
輪速度信号Vwおよび車輪加速度VAwは共に次第に減
少する。
【0040】時刻t1 において車輪加速度VAwが基準
車輪減速度−VAw0 よりも小さくなる(VAw<−V
Aw0 )と、信号βがハイレベルとなるが、このとき車
輪速度信号Vwは第1基準車輪速度Vr1 よりも大きい
ので信号S1 はローレベルのままである。したがって、
制動油圧Pbは増大し続け、車輪速度信号Vwおよび車
輪加速度VAwも低下し続ける。
車輪減速度−VAw0 よりも小さくなる(VAw<−V
Aw0 )と、信号βがハイレベルとなるが、このとき車
輪速度信号Vwは第1基準車輪速度Vr1 よりも大きい
ので信号S1 はローレベルのままである。したがって、
制動油圧Pbは増大し続け、車輪速度信号Vwおよび車
輪加速度VAwも低下し続ける。
【0041】時刻t2 において、車輪速度信号Vwが第
1基準車輪速度Vr1 よりも低下すると、信号S1 がハ
イレベルとなり、ANDゲート35の出力がハイレベル
となるのに応じてORゲート42の出力がハイレベルと
なるとともにORゲート41の出力がハイレベルとな
る。これによりソレノイド38,39が励磁され、イン
レットバルブViが開弁されるとともにアウトレットバ
ルブVoが閉弁される。これにより、制動油圧Pbが低
下し始め、車輪加速度VAwが増速側に転じる。このと
き車輪速度信号Vwは低下し続ける。
1基準車輪速度Vr1 よりも低下すると、信号S1 がハ
イレベルとなり、ANDゲート35の出力がハイレベル
となるのに応じてORゲート42の出力がハイレベルと
なるとともにORゲート41の出力がハイレベルとな
る。これによりソレノイド38,39が励磁され、イン
レットバルブViが開弁されるとともにアウトレットバ
ルブVoが閉弁される。これにより、制動油圧Pbが低
下し始め、車輪加速度VAwが増速側に転じる。このと
き車輪速度信号Vwは低下し続ける。
【0042】時刻t3 において、車輪加速度VAwが基
準車輪減速度−VAwよりも大(VAw>−VAw0 )
となると、信号βがローレベルとなり、これに応じてA
NDゲート35の出力がローレベルとなる。このためイ
ンレットバルブViのソレノイド38が消磁され、イン
レットバルブViが閉弁され、制動油圧Pbが一定に保
たれるようになる。すなわち制動トルクが略一定に保た
れる。この後、車輪速度信号Vwは増大し始める。
準車輪減速度−VAwよりも大(VAw>−VAw0 )
となると、信号βがローレベルとなり、これに応じてA
NDゲート35の出力がローレベルとなる。このためイ
ンレットバルブViのソレノイド38が消磁され、イン
レットバルブViが閉弁され、制動油圧Pbが一定に保
たれるようになる。すなわち制動トルクが略一定に保た
れる。この後、車輪速度信号Vwは増大し始める。
【0043】時刻t4 において、車輪加速度VAwが増
速度基準値+VAw0 より大(VAw>+VAw0 )と
なると、信号αがハイレベルとなる。また時刻t5 にお
いて、車輪速度信号Vwが第1基準車輪速度Vr1 を超
えると、信号S1 がローレベルとなる。さらに時刻t6
において、車輪加速度VAwが増速度基準値+VAw 0
より低下すると、信号αがローレベルとなり、アウトレ
ットバルブVoが開弁する。これに応じて制動油圧Pb
が増大する。
速度基準値+VAw0 より大(VAw>+VAw0 )と
なると、信号αがハイレベルとなる。また時刻t5 にお
いて、車輪速度信号Vwが第1基準車輪速度Vr1 を超
えると、信号S1 がローレベルとなる。さらに時刻t6
において、車輪加速度VAwが増速度基準値+VAw 0
より低下すると、信号αがローレベルとなり、アウトレ
ットバルブVoが開弁する。これに応じて制動油圧Pb
が増大する。
【0044】時刻t7 において、車輪加速度VAwが基
準車輪減速度−VAw0 よりも小(VAw<−VA
w0 )となると、信号βがハイレベルとなり、時刻t8
において、車輪速度信号Vwが第1基準車輪速度Vr1
よりも低下(Vw<Vr1 )すると、信号S1 がハイレ
ベルとなり、これに応じてANDゲート35の出力がハ
イレベルとなってインレットバルブViが閉弁するとと
もに、アウトレットバルブVoが開弁し、制動油圧Pb
が低下し始める。次いで時刻t9 で車輪速度信号Vwが
第2基準車輪速度Vr2 よりも低下(Vw<Vr2 )し
て車輪ロックの可能性が大きくなると、信号S2 がハイ
レベルとなる。
準車輪減速度−VAw0 よりも小(VAw<−VA
w0 )となると、信号βがハイレベルとなり、時刻t8
において、車輪速度信号Vwが第1基準車輪速度Vr1
よりも低下(Vw<Vr1 )すると、信号S1 がハイレ
ベルとなり、これに応じてANDゲート35の出力がハ
イレベルとなってインレットバルブViが閉弁するとと
もに、アウトレットバルブVoが開弁し、制動油圧Pb
が低下し始める。次いで時刻t9 で車輪速度信号Vwが
第2基準車輪速度Vr2 よりも低下(Vw<Vr2 )し
て車輪ロックの可能性が大きくなると、信号S2 がハイ
レベルとなる。
【0045】時刻t10で車輪加速度VAwが基準車輪減
速度−VAwよりも大となると、信号βがローレベルと
なるが、制動油圧Pbはさらに低下し、車輪速度信号V
wは増速に転じる。時刻t11で車輪加速度VAwが増速
度基準値+VAw0 を超えると、信号αがハイレベルと
なり、ANDゲート40の出力がローレベルとなる。こ
の際、ANDゲート35の出力はローレベルであるの
で、ORゲート42の出力はローレベルであり、したが
ってソレノイド38は消磁され、インレットバルブVi
は閉弁する。この結果、制動油圧Pbは一定に維持され
るようになる。
速度−VAwよりも大となると、信号βがローレベルと
なるが、制動油圧Pbはさらに低下し、車輪速度信号V
wは増速に転じる。時刻t11で車輪加速度VAwが増速
度基準値+VAw0 を超えると、信号αがハイレベルと
なり、ANDゲート40の出力がローレベルとなる。こ
の際、ANDゲート35の出力はローレベルであるの
で、ORゲート42の出力はローレベルであり、したが
ってソレノイド38は消磁され、インレットバルブVi
は閉弁する。この結果、制動油圧Pbは一定に維持され
るようになる。
【0046】時刻t12において、車輪速度信号Vwが第
2基準車輪速度Vr2 を超えると、信号S2 がローレベ
ルとなり、時刻t13で車輪速度信号Vwが第1基準車輪
速度Vr1 を超えると、信号S1 がローレベルとなるが
制動油圧Pbはほぼ一定に保たれており、ロック状態が
回避される。また時刻t14において車輪加速度VAwが
増速度基準値+VAw0 よりも低下すると、信号αがロ
ーレベルとなり、これに応じてアウトレットバルブVo
が開弁する。このため制動油圧Pbは増加し始める。
2基準車輪速度Vr2 を超えると、信号S2 がローレベ
ルとなり、時刻t13で車輪速度信号Vwが第1基準車輪
速度Vr1 を超えると、信号S1 がローレベルとなるが
制動油圧Pbはほぼ一定に保たれており、ロック状態が
回避される。また時刻t14において車輪加速度VAwが
増速度基準値+VAw0 よりも低下すると、信号αがロ
ーレベルとなり、これに応じてアウトレットバルブVo
が開弁する。このため制動油圧Pbは増加し始める。
【0047】時刻t15で車輪加速度VAwが基準車輪減
速度−VAw0 よりも小さくなると、信号βがハイレベ
ルとなり、次の時刻t16で車輪速度信号Vwが第1基準
車輪速度Vr1 よりも低下して信号S1 がハイレベルと
なるのに応じてインレットバルブViが開弁するととも
に、アウトレットバルブVoが閉弁する。したがって、
制動油圧Pbが低下し始める。さらに時刻t17で車輪加
速度VAwが基準車輪減速度−VAw0 を超えると、信
号βがローレベルとなるのに応じてアウトレットバルブ
Voが開弁し、制動油圧Pbが一定に維持される。
速度−VAw0 よりも小さくなると、信号βがハイレベ
ルとなり、次の時刻t16で車輪速度信号Vwが第1基準
車輪速度Vr1 よりも低下して信号S1 がハイレベルと
なるのに応じてインレットバルブViが開弁するととも
に、アウトレットバルブVoが閉弁する。したがって、
制動油圧Pbが低下し始める。さらに時刻t17で車輪加
速度VAwが基準車輪減速度−VAw0 を超えると、信
号βがローレベルとなるのに応じてアウトレットバルブ
Voが開弁し、制動油圧Pbが一定に維持される。
【0048】時刻t18で車輪加速度VAwが増速度基準
値+VAw0 を超えると、信号αがハイレベルとなり、
時刻19で車輪速度信号Vwが第1基準車輪速度Vr1 を
超えると、信号S1 がローレベルとなる。さらに時刻t
20で車輪加速度VAwが増速度基準値+VAw0 よりも
低下すると、信号αがローレベルとなり、それに応じて
アウトレットバルブVoが開弁し制動油圧Pbが低下し
始める。
値+VAw0 を超えると、信号αがハイレベルとなり、
時刻19で車輪速度信号Vwが第1基準車輪速度Vr1 を
超えると、信号S1 がローレベルとなる。さらに時刻t
20で車輪加速度VAwが増速度基準値+VAw0 よりも
低下すると、信号αがローレベルとなり、それに応じて
アウトレットバルブVoが開弁し制動油圧Pbが低下し
始める。
【0049】以後は、以上のような過程が同様に繰返さ
れながら車輪がロックすることなく車両速度が低下して
いく。
れながら車輪がロックすることなく車両速度が低下して
いく。
【0050】次に雪路や凍結路等の滑り易い路面で急発
進操作をしたときを想定する。この急発進時にホイルス
ピンが生じると、図5で示すように車輪速度信号Vwは
実際の車両速度Vv*よりも大幅に大となる。しかるに
その車輪加速度VAwが基準値+Vw1 を超えると、リ
レーコイル30が励磁され、リレースイッチ48が遮断
する。したがって、演算回路49では、記憶用コンデン
サ45への充電が停止して放電による出力が出力端47
から出力されることになり、推定車両速度Vvが減少し
始める。これは、車輪加速度VAwが基準値−VAw1
よりも低下するまで持続し、その後リレーコイル30が
消磁されるのに応じて、リレースイッチ48が導通す
る。これにより、演算回路49では記憶用コンデンサ4
5への充電が再び始まり、その充電特性に対応した比較
的大きな勾配で推定車両速度Vvが、減少途中の車輪速
度信号Vwと合致するまで立ち上がり、その後はその車
輪速度信号の谷を埋めるように一定の下り勾配で減少す
るので、図9に示す従来例と比べホイルスピン後半及び
直後における推定車両速度Vvと車輪速度信号Vwとの
ギャップが小さくなり、これに伴い、車輪速度信号Vw
が第1基準車輪速度Vr1 よりも大きくなる(即ちスリ
ップ信号S1 が出力されなくなる)ので、判断回路33
において車輪がロックしそうであると判断することが避
けられる。かくして、滑り易い路面での急発進によりホ
イルスピンが生じた場合において、そのホイルスピン後
半ないしはその直後に制動操作がなされた時には、前記
従来例(図9参照)のものと比べ推定車両速度Vvが低
下するので、判断回路33において車輪がロックしそう
であると判断することが避けられ、制動圧が低下するこ
とを防止することができる。
進操作をしたときを想定する。この急発進時にホイルス
ピンが生じると、図5で示すように車輪速度信号Vwは
実際の車両速度Vv*よりも大幅に大となる。しかるに
その車輪加速度VAwが基準値+Vw1 を超えると、リ
レーコイル30が励磁され、リレースイッチ48が遮断
する。したがって、演算回路49では、記憶用コンデン
サ45への充電が停止して放電による出力が出力端47
から出力されることになり、推定車両速度Vvが減少し
始める。これは、車輪加速度VAwが基準値−VAw1
よりも低下するまで持続し、その後リレーコイル30が
消磁されるのに応じて、リレースイッチ48が導通す
る。これにより、演算回路49では記憶用コンデンサ4
5への充電が再び始まり、その充電特性に対応した比較
的大きな勾配で推定車両速度Vvが、減少途中の車輪速
度信号Vwと合致するまで立ち上がり、その後はその車
輪速度信号の谷を埋めるように一定の下り勾配で減少す
るので、図9に示す従来例と比べホイルスピン後半及び
直後における推定車両速度Vvと車輪速度信号Vwとの
ギャップが小さくなり、これに伴い、車輪速度信号Vw
が第1基準車輪速度Vr1 よりも大きくなる(即ちスリ
ップ信号S1 が出力されなくなる)ので、判断回路33
において車輪がロックしそうであると判断することが避
けられる。かくして、滑り易い路面での急発進によりホ
イルスピンが生じた場合において、そのホイルスピン後
半ないしはその直後に制動操作がなされた時には、前記
従来例(図9参照)のものと比べ推定車両速度Vvが低
下するので、判断回路33において車輪がロックしそう
であると判断することが避けられ、制動圧が低下するこ
とを防止することができる。
【0051】また雪路やアイスバーン等の滑り易い路面
を走行中に急加速操作を行なった場合にホイルスピンが
生じたときの動作は図6に示すようになり、上述の急発
進時と同様に、ホイルスピン後半ないしはその直後にお
いては従来例(図10参照)のものと比べ推定車輪速度
Vvが低下されるので、判断回路33が車輪がロックし
そうであると判断することが回避される。
を走行中に急加速操作を行なった場合にホイルスピンが
生じたときの動作は図6に示すようになり、上述の急発
進時と同様に、ホイルスピン後半ないしはその直後にお
いては従来例(図10参照)のものと比べ推定車輪速度
Vvが低下されるので、判断回路33が車輪がロックし
そうであると判断することが回避される。
【0052】なお、前記実施例では、スピン検知手段2
5においてホイルスピンにより車輪減速度がVAw>+
VAw1 を超えた後、最初にVAw<−VAwとなる時
点をホイルスピンの終了時期と判断したものを示した
が、システムの作動遅れを無視すれば、車輪減速度が一
旦VAw<−VAw1 となってから再びVAw>−VA
wとなる時点をホイルスピンの終了時期と判断すること
も可能である。
5においてホイルスピンにより車輪減速度がVAw>+
VAw1 を超えた後、最初にVAw<−VAwとなる時
点をホイルスピンの終了時期と判断したものを示した
が、システムの作動遅れを無視すれば、車輪減速度が一
旦VAw<−VAw1 となってから再びVAw>−VA
wとなる時点をホイルスピンの終了時期と判断すること
も可能である。
【0053】なおまた、車両速度Vvの推定精度向上の
ために、駆動輪および被動輪の車輪速度を用いることも
あるが、この場合も駆動輪側の車輪加速度によりホイル
スピンを検知し、駆動輪側の車輪速度推定のための演算
回路におけるコンデンサへの充電回路を遮断すればよ
い。
ために、駆動輪および被動輪の車輪速度を用いることも
あるが、この場合も駆動輪側の車輪加速度によりホイル
スピンを検知し、駆動輪側の車輪速度推定のための演算
回路におけるコンデンサへの充電回路を遮断すればよ
い。
【0054】また本発明においてスピン検知手段は、前
記実施例のものに限定されず、従来公知の他のスピン検
知手段、例えば被動輪速度に対する駆動輪速度の比が所
定値を超えたときにスピンが生じたものとしてスピン検
知信号を出力する構造のものを使用することも可能であ
る。
記実施例のものに限定されず、従来公知の他のスピン検
知手段、例えば被動輪速度に対する駆動輪速度の比が所
定値を超えたときにスピンが生じたものとしてスピン検
知信号を出力する構造のものを使用することも可能であ
る。
【0055】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、雪路や凍
結路等の滑り易い路面での急発進や急加速時にホイルス
ピンが生じて車輪速度が急増しても、そのスピン状態の
間は、演算回路により求められる推定車両速度の増加
を、スピン検知手段に応動する推定車両速度増加抑制手
段によって抑えることができるので、そのホイルスピン
時に推定車両速度の過度の増加に因り車輪がロックしそ
うだとアンチロック制御手段が判断するのを未然に防止
することができ、従ってホイルスピン中ないしはその直
後に制動操作した場合でも油圧制御回路が不必要にアン
チロック制御されないから、その制動操作に応じて制動
油圧を迅速に上昇させることができて、車輪を的確に制
動することができる。しかも上記のように不必要なアン
チロック制御が回避されることで、それだけアンチロッ
ク制御系の作動音の発生を抑えることができると共にそ
の耐久性向上にも寄与することができる。
結路等の滑り易い路面での急発進や急加速時にホイルス
ピンが生じて車輪速度が急増しても、そのスピン状態の
間は、演算回路により求められる推定車両速度の増加
を、スピン検知手段に応動する推定車両速度増加抑制手
段によって抑えることができるので、そのホイルスピン
時に推定車両速度の過度の増加に因り車輪がロックしそ
うだとアンチロック制御手段が判断するのを未然に防止
することができ、従ってホイルスピン中ないしはその直
後に制動操作した場合でも油圧制御回路が不必要にアン
チロック制御されないから、その制動操作に応じて制動
油圧を迅速に上昇させることができて、車輪を的確に制
動することができる。しかも上記のように不必要なアン
チロック制御が回避されることで、それだけアンチロッ
ク制御系の作動音の発生を抑えることができると共にそ
の耐久性向上にも寄与することができる。
【図1】本発明の一実施例を示す油圧制御回路図
【図2】前記実施例の制御手段の構成を示す簡略化した
回路図
回路図
【図3】前記実施例の演算回路およびスピン検知手段の
構成を示す回路図
構成を示す回路図
【図4】前記実施例のアンチロック作動状態を示す特性
図
図
【図5】前記実施例において急発進時にホイルスピンが
生じたときの特性図
生じたときの特性図
【図6】前記実施例において急加速度にホイルスピンが
生じたときの特性図
生じたときの特性図
【図7】従来技術の演算回路を示す回路図
【図8】従来技術の演算回路による特性図
【図9】従来技術において急発進時にホイルスピンが生
じたときの特性図
じたときの特性図
【図10】従来技術において急加速時にホイルスピンが
生じたときの特性図
生じたときの特性図
3 油圧制御回路 25 スピン検知手段 32 制御回路 34 車輪速度検出器 49 演算回路 Blf,Brf,Blr,Brr 車輪ブレーキ Vr1 ,Vr2 基準車輪速度 Vv 推定車輪速度 Vw 車輪速度
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年1月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 アンチロック制動装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車輪ブレーキと;この
車輪ブレーキへの制動油圧の供給を制御する油圧制御回
路と;車輪速度検出器と;この車輪速度検出器から出力
される車輪速度信号に基づいて車両速度を推定する演算
回路を含み、その推定車両速度に基づいて設定される基
準車輪速度と、前記車輪速度信号との比較により車輪が
ロックしそうな状態にあるかどうかを判断し車輪がロッ
クしそうであるときに前記車輪ブレーキへの制動油圧を
減少させるべく前記油圧制御回路を制御する制御手段
と;を備えるアンチロック制動装置に関する。
車輪ブレーキへの制動油圧の供給を制御する油圧制御回
路と;車輪速度検出器と;この車輪速度検出器から出力
される車輪速度信号に基づいて車両速度を推定する演算
回路を含み、その推定車両速度に基づいて設定される基
準車輪速度と、前記車輪速度信号との比較により車輪が
ロックしそうな状態にあるかどうかを判断し車輪がロッ
クしそうであるときに前記車輪ブレーキへの制動油圧を
減少させるべく前記油圧制御回路を制御する制御手段
と;を備えるアンチロック制動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、斯かるアンチロック制動装置で
は、車輪速度検出器から出力された車輪速度信号Vwか
ら車輪加速度VAwおよび推定車両速度Vvを算出する
とともに、基準車輪加速度および推定車両速度Vvに適
正スリップ率を加味した基準車輪速度Vrを設定し、車
輪速度信号Vwと基準車輪速度Vrとの比較ならびに車
輪加速度VAwと基準車輪加速度との比較を行ない、そ
の結果を総合的に判断して車輪がロックしそうであるか
どうかを判断し、各車輪ブレーキの制動油圧を制御して
いる。しかも、車輪速度信号Vwから車両速度Vvの推
定にあたっては、図7に示すように、理想ダイオード4
4、記憶用コンデンサ45および定電流放電回路46か
ら成る演算回路を用いており、図8に示すように車輪速
度信号Vwの谷を一定の下り勾配で接続することによ
り、仮の車両速度Vvを推定している。
は、車輪速度検出器から出力された車輪速度信号Vwか
ら車輪加速度VAwおよび推定車両速度Vvを算出する
とともに、基準車輪加速度および推定車両速度Vvに適
正スリップ率を加味した基準車輪速度Vrを設定し、車
輪速度信号Vwと基準車輪速度Vrとの比較ならびに車
輪加速度VAwと基準車輪加速度との比較を行ない、そ
の結果を総合的に判断して車輪がロックしそうであるか
どうかを判断し、各車輪ブレーキの制動油圧を制御して
いる。しかも、車輪速度信号Vwから車両速度Vvの推
定にあたっては、図7に示すように、理想ダイオード4
4、記憶用コンデンサ45および定電流放電回路46か
ら成る演算回路を用いており、図8に示すように車輪速
度信号Vwの谷を一定の下り勾配で接続することによ
り、仮の車両速度Vvを推定している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のアンチロッ
ク制動装置では、駆動輪に適用する場合に次のような問
題が生じる。すなわち雪路や凍結路等の滑り易い路面で
の急発進時には、図9で示すように、駆動輪の車輪速度
信号Vwが実車両速度Vv*より大幅に大となる現象す
なわちホイルスピンが発生する。このため推定車両速度
Vvが実車両速度Vv*よりも大幅に大となるとともに
ホイルスピンがなくなってからも同様の状態が暫時継続
し、ホイルスピンが収まる直前には大きな車輪減速度も
発生する。したがってホイルスピン発生中およびその直
後(図9の期間A)に制動操作をした場合には、車輪速
度信号Vwが基準車輪速度Vrよりも低く且つ車輪加速
度VAwが基準車輪加速度よりも低くなる状態が一時的
に生じ、その状態では上記制御手段が、車輪がロックし
そうになったものと判断して油圧制御回路をアンチロッ
ク制御しようとするが、上記のような状態は、実際には
車輪がロックする虞れのある状態(即ち制御手段が油圧
制御回路をアンチロック制御すべき状態)ではないの
で、油圧制御回路のアンチロック制御により制動油圧を
低下させてしまうばかりか、その制御系の作動音が不必
要に発生したり耐久性が低下するといった問題を生じさ
せる虞れがある。また以上の問題は、滑り易い路面を走
行中の急加速時にも同様であり、ホイルスピン発生中お
よびその直後(図10の期間A)に制動操作をした場合
には、上記と同様に油圧制御回路が不必要にアンチロッ
ク制御される虞れがある。
ク制動装置では、駆動輪に適用する場合に次のような問
題が生じる。すなわち雪路や凍結路等の滑り易い路面で
の急発進時には、図9で示すように、駆動輪の車輪速度
信号Vwが実車両速度Vv*より大幅に大となる現象す
なわちホイルスピンが発生する。このため推定車両速度
Vvが実車両速度Vv*よりも大幅に大となるとともに
ホイルスピンがなくなってからも同様の状態が暫時継続
し、ホイルスピンが収まる直前には大きな車輪減速度も
発生する。したがってホイルスピン発生中およびその直
後(図9の期間A)に制動操作をした場合には、車輪速
度信号Vwが基準車輪速度Vrよりも低く且つ車輪加速
度VAwが基準車輪加速度よりも低くなる状態が一時的
に生じ、その状態では上記制御手段が、車輪がロックし
そうになったものと判断して油圧制御回路をアンチロッ
ク制御しようとするが、上記のような状態は、実際には
車輪がロックする虞れのある状態(即ち制御手段が油圧
制御回路をアンチロック制御すべき状態)ではないの
で、油圧制御回路のアンチロック制御により制動油圧を
低下させてしまうばかりか、その制御系の作動音が不必
要に発生したり耐久性が低下するといった問題を生じさ
せる虞れがある。また以上の問題は、滑り易い路面を走
行中の急加速時にも同様であり、ホイルスピン発生中お
よびその直後(図10の期間A)に制動操作をした場合
には、上記と同様に油圧制御回路が不必要にアンチロッ
ク制御される虞れがある。
【0004】本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたも
のであり、滑り易い路面での急発進や急加速時のホイル
スピン中またはその直後の制動時に制御手段が油圧制御
回路を不必要にアンチロック制御するのを回避すること
ができるアンチロック制動装置を提供することを目的と
する。
のであり、滑り易い路面での急発進や急加速時のホイル
スピン中またはその直後の制動時に制御手段が油圧制御
回路を不必要にアンチロック制御するのを回避すること
ができるアンチロック制動装置を提供することを目的と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明によれば、車輪ブレーキと;この車輪ブレーキ
への制動油圧の供給を制御する油圧制御回路と;車輪速
度検出器と;この車輪速度検出器から出力される車輪速
度信号に基づいて車両速度を推定する演算回路を含み、
その推定車両速度に基づいて設定される基準車輪速度
と、前記車輪速度信号との比較により車輪がロックしそ
うな状態にあるかどうかを判断し車輪がロックしそうで
あるときに前記車輪ブレーキへの制動油圧を減少させる
べく前記油圧制御回路を制御する制御手段と;を備える
アンチロック制動装置において、車輪速度信号に基づい
て得られる値と、設定された基準値との比較に基づいて
車輪のスピン状態を検知するスピン検知手段が前記演算
回路に接続され、その演算回路は、車輪のスピン発生時
に前記車輪がロックしそうであると前記制御手段が判断
するのを回避すべく、前記スピン検知手段によるスピン
状態検知時には車輪速度信号の増加に対する前記推定車
両速度の増加率を非スピン状態検知時の前記増加率より
も低減させる推定車両速度増加率低減手段を備える。
に本発明によれば、車輪ブレーキと;この車輪ブレーキ
への制動油圧の供給を制御する油圧制御回路と;車輪速
度検出器と;この車輪速度検出器から出力される車輪速
度信号に基づいて車両速度を推定する演算回路を含み、
その推定車両速度に基づいて設定される基準車輪速度
と、前記車輪速度信号との比較により車輪がロックしそ
うな状態にあるかどうかを判断し車輪がロックしそうで
あるときに前記車輪ブレーキへの制動油圧を減少させる
べく前記油圧制御回路を制御する制御手段と;を備える
アンチロック制動装置において、車輪速度信号に基づい
て得られる値と、設定された基準値との比較に基づいて
車輪のスピン状態を検知するスピン検知手段が前記演算
回路に接続され、その演算回路は、車輪のスピン発生時
に前記車輪がロックしそうであると前記制御手段が判断
するのを回避すべく、前記スピン検知手段によるスピン
状態検知時には車輪速度信号の増加に対する前記推定車
両速度の増加率を非スピン状態検知時の前記増加率より
も低減させる推定車両速度増加率低減手段を備える。
【0006】
【作 用】雪路や凍結路等の滑り易い路面での急発進や
急加速時にホイルスピンが生じて車輪速度が急増して
も、そのスピン状態の間は、演算回路により求められる
推定車両速度の車輪速度信号に対する増加率が、上記ス
ピン検知手段に応動する推定車両速度増加率低減手段に
よって非スピン状態よりも低減されるから、そのホイル
スピン時に推定車両速度の過度の増加に因り車輪がロッ
クしそうだとアンチロック制御手段が判断するのを未然
に防止でき、その結果、該ホイルスピン中ないしはその
直後に制動操作した場合でも、油圧制御回路は不必要に
アンチロック制御されないから、制動油圧は制動操作に
応じて迅速に上昇し、これに伴いブレーキは速やかに作
動状態に移行する。しかもスピン検知手段によるスピン
状態の検知と、演算回路による車両速度の推定とが、当
該車輪の車輪速度に基づいてなされることにより、車輪
速度の入力から当該車輪に属する車輪ブレーキまでの系
統内で自己処理をすることができ、他の車輪の系統との
複雑な情報の授受が不要である。
急加速時にホイルスピンが生じて車輪速度が急増して
も、そのスピン状態の間は、演算回路により求められる
推定車両速度の車輪速度信号に対する増加率が、上記ス
ピン検知手段に応動する推定車両速度増加率低減手段に
よって非スピン状態よりも低減されるから、そのホイル
スピン時に推定車両速度の過度の増加に因り車輪がロッ
クしそうだとアンチロック制御手段が判断するのを未然
に防止でき、その結果、該ホイルスピン中ないしはその
直後に制動操作した場合でも、油圧制御回路は不必要に
アンチロック制御されないから、制動油圧は制動操作に
応じて迅速に上昇し、これに伴いブレーキは速やかに作
動状態に移行する。しかもスピン検知手段によるスピン
状態の検知と、演算回路による車両速度の推定とが、当
該車輪の車輪速度に基づいてなされることにより、車輪
速度の入力から当該車輪に属する車輪ブレーキまでの系
統内で自己処理をすることができ、他の車輪の系統との
複雑な情報の授受が不要である。
【0007】
【実施例】以下、図面により本発明の一実施例について
説明すると、先ず図1においてブレーキペダル1はマス
タシリンダMに対して作動的に連結されており、運転者
がブレーキペダル1を踏むと、マスタシリンダMは油路
2に油圧を発生する。この油路2は油圧制御回路3に連
結されており、前記油圧に応じた制動油圧が油圧制御回
路3から出力される。
説明すると、先ず図1においてブレーキペダル1はマス
タシリンダMに対して作動的に連結されており、運転者
がブレーキペダル1を踏むと、マスタシリンダMは油路
2に油圧を発生する。この油路2は油圧制御回路3に連
結されており、前記油圧に応じた制動油圧が油圧制御回
路3から出力される。
【0008】車両の左右駆動輪および左右被動輪には車
輪ブレーキがそれぞれ装着されており、それらの車輪ブ
レーキに油圧制御回路3から制動油圧が供給される。た
とえば前輪駆動車両において、駆動輪としての左右前輪
には左前輪用ブレーキBlfおよび右前輪用ブレーキB
rfが装着されており、被動輪としての左右後輪には左
後輪用ブレーキBlrおよび右後輪用ブレーキBrrが
装着される。各ブレーキBlf,Brf,Blr,Br
rはたとえばドラムブレーキであり、左前輪用および右
前輪用ブレーキBlf,Brfの制動油室4には油圧制
御回路3からの油路5が連通され、左後輪用および右後
輪用ブレーキBlr,Brrの制動油室4には油圧制御
回路3からの油路5´が連通される。
輪ブレーキがそれぞれ装着されており、それらの車輪ブ
レーキに油圧制御回路3から制動油圧が供給される。た
とえば前輪駆動車両において、駆動輪としての左右前輪
には左前輪用ブレーキBlfおよび右前輪用ブレーキB
rfが装着されており、被動輪としての左右後輪には左
後輪用ブレーキBlrおよび右後輪用ブレーキBrrが
装着される。各ブレーキBlf,Brf,Blr,Br
rはたとえばドラムブレーキであり、左前輪用および右
前輪用ブレーキBlf,Brfの制動油室4には油圧制
御回路3からの油路5が連通され、左後輪用および右後
輪用ブレーキBlr,Brrの制動油室4には油圧制御
回路3からの油路5´が連通される。
【0009】各ブレーキBlf,Brf,Blr,Br
rにおいて、各制動油室4に制動油圧が供給されると、
ピストン7,8が相互に離反する方向に作動して、ブレ
ーキシュー9,10がそれぞれブレーキドラム(図示せ
ず)に接触して制動トルクが発生する。また各制動油室
4内の制動油圧が大き過ぎると、各ブレーキシュー9,
10とブレーキドラムとの間に発生する制動トルクが大
きくなり過ぎ、その結果、車輪がロック状態となる。こ
のため、車輪がロック状態に入りそうになると、油圧制
御回路3により制動油圧が減圧され、これにより車輪が
ロック状態となることが回避される。
rにおいて、各制動油室4に制動油圧が供給されると、
ピストン7,8が相互に離反する方向に作動して、ブレ
ーキシュー9,10がそれぞれブレーキドラム(図示せ
ず)に接触して制動トルクが発生する。また各制動油室
4内の制動油圧が大き過ぎると、各ブレーキシュー9,
10とブレーキドラムとの間に発生する制動トルクが大
きくなり過ぎ、その結果、車輪がロック状態となる。こ
のため、車輪がロック状態に入りそうになると、油圧制
御回路3により制動油圧が減圧され、これにより車輪が
ロック状態となることが回避される。
【0010】油圧制御回路3は、左右前輪用ブレーキB
lf,Brfに対応したモジュレータ11と、左右後輪
用ブレーキBlr,Brrに対応したモジュレータ11
´とを備えており、両モジュレータ11,11´は基本
的に同一の構成を有するので、一方のモジュレータ11
についてのみその構造を詳述する。
lf,Brfに対応したモジュレータ11と、左右後輪
用ブレーキBlr,Brrに対応したモジュレータ11
´とを備えており、両モジュレータ11,11´は基本
的に同一の構成を有するので、一方のモジュレータ11
についてのみその構造を詳述する。
【0011】すなわち、モジュレータ11は両端が閉塞
されかつその途中が隔壁13で仕切られたシリンダ部1
4と、両端部にそれぞれ一対のピストン15,16を有
して各ピストン15,16間の部分で隔壁13を軸方向
に滑接自在に貫通するロッド17とを備える。隔壁13
と一方のピストン15との間のシリンダ室は1次制動油
圧室18として、油路2を介してマスタシリンダMに連
通される。また前記隔壁13と他方のピストン16との
間のシリンダ室は2次制動油圧室19として、油路5を
介して左右前輪用ブレーキBlf,Brfの制動油室4
に連通される。シリンダ部14の一方の端壁と一方のピ
ストン15との間にはアンチロック制御油圧室20が画
成され、シリンダ部14の他方の端壁と他方のピストン
16との間には、解放油室21が画成され、解放油室2
1はマスタシリンダMのリザーバRに連通される。また
2次制動油圧室19にはピストン16を隔壁13から離
反する方向に付勢するばね22が収納され、アンチロッ
ク制御油圧室20にはピストン15を隔壁13側に向け
て付勢するばね23が収納される。
されかつその途中が隔壁13で仕切られたシリンダ部1
4と、両端部にそれぞれ一対のピストン15,16を有
して各ピストン15,16間の部分で隔壁13を軸方向
に滑接自在に貫通するロッド17とを備える。隔壁13
と一方のピストン15との間のシリンダ室は1次制動油
圧室18として、油路2を介してマスタシリンダMに連
通される。また前記隔壁13と他方のピストン16との
間のシリンダ室は2次制動油圧室19として、油路5を
介して左右前輪用ブレーキBlf,Brfの制動油室4
に連通される。シリンダ部14の一方の端壁と一方のピ
ストン15との間にはアンチロック制御油圧室20が画
成され、シリンダ部14の他方の端壁と他方のピストン
16との間には、解放油室21が画成され、解放油室2
1はマスタシリンダMのリザーバRに連通される。また
2次制動油圧室19にはピストン16を隔壁13から離
反する方向に付勢するばね22が収納され、アンチロッ
ク制御油圧室20にはピストン15を隔壁13側に向け
て付勢するばね23が収納される。
【0012】アンチロック制御油圧室20には油路24
が接続されており、この油路24は常時閉のインレット
バルブViを介して油圧ポンプPに接続されるととも
に、常時開のアウトレットバルブVoを介して油タンク
Tに接続される。またインレットバルブViおよび油圧
ポンプP間にはアキュムレータAcが接続される。
が接続されており、この油路24は常時閉のインレット
バルブViを介して油圧ポンプPに接続されるととも
に、常時開のアウトレットバルブVoを介して油タンク
Tに接続される。またインレットバルブViおよび油圧
ポンプP間にはアキュムレータAcが接続される。
【0013】他方のモジュレータ11′においても、1
次制動油圧室18′はマスタシリンダMに連通され、2
次制動油圧室19′は油路5′を介して左右後輪用ブレ
ーキBlr,Brrの制動油室4に連通され、解放油室
21′はリザーバRに連通される。さらにアンチロック
制御油圧室20′は、常時閉のインレットバルブVi′
を介して油圧ポンプPに接続されるとともに、常時開の
アウトレットバルブVo′を介して油タンクTに接続さ
れる。
次制動油圧室18′はマスタシリンダMに連通され、2
次制動油圧室19′は油路5′を介して左右後輪用ブレ
ーキBlr,Brrの制動油室4に連通され、解放油室
21′はリザーバRに連通される。さらにアンチロック
制御油圧室20′は、常時閉のインレットバルブVi′
を介して油圧ポンプPに接続されるとともに、常時開の
アウトレットバルブVo′を介して油タンクTに接続さ
れる。
【0014】前記両インレットバルブVi,Vi′およ
び両アウトレットバルブVo,Vo′はソレノイド弁で
あり、制御手段32によってその開閉作動を制御され
る。
び両アウトレットバルブVo,Vo′はソレノイド弁で
あり、制御手段32によってその開閉作動を制御され
る。
【0015】インレットバルブVi,Vi′が閉弁し且
つアウトレットバルブVo,Vo′が開弁している状態
では、アンチロック制御油圧室20,20′は油タンク
Tに解放されており、ブレーキペダル1を踏んで1次制
動油圧室18,18′にマスタシリンダMからの油圧を
供給すると、2次制動油圧室19,19′の容積は減少
し、各車輪ブレーキBlf,Brf,Blr,Brrの
制動油室4には、マスタシリンダMからの油圧に応じた
制動油圧が供給される。したがって、制動時のトルクは
運転者の制動操作に応じて自由に増大する。
つアウトレットバルブVo,Vo′が開弁している状態
では、アンチロック制御油圧室20,20′は油タンク
Tに解放されており、ブレーキペダル1を踏んで1次制
動油圧室18,18′にマスタシリンダMからの油圧を
供給すると、2次制動油圧室19,19′の容積は減少
し、各車輪ブレーキBlf,Brf,Blr,Brrの
制動油室4には、マスタシリンダMからの油圧に応じた
制動油圧が供給される。したがって、制動時のトルクは
運転者の制動操作に応じて自由に増大する。
【0016】インレットバルブVi,Vi′が閉弁した
状態でアウトレットバルブVo,Vo′を閉弁すると、
アンチロック制御油圧室20,20′の制御油はロック
された状態となるので、各モジュレータ11,11′の
2次制動油圧室19,19′は1次制動油圧室18,1
8′に供給される油圧の増減に拘らず、その容積は不変
であり、したがって制動時のトルクは運転者の制動操作
と無関係に一定の大きさに保持される。このような作動
状態は車輪のロックの可能性が生じたときに適合する。
状態でアウトレットバルブVo,Vo′を閉弁すると、
アンチロック制御油圧室20,20′の制御油はロック
された状態となるので、各モジュレータ11,11′の
2次制動油圧室19,19′は1次制動油圧室18,1
8′に供給される油圧の増減に拘らず、その容積は不変
であり、したがって制動時のトルクは運転者の制動操作
と無関係に一定の大きさに保持される。このような作動
状態は車輪のロックの可能性が生じたときに適合する。
【0017】またインレットバルブVi,Vi′を開弁
し、かつアウトレットバルブVo,Vo′を閉弁する
と、アンチロック制御油圧室20,20′にアンチロッ
ク制御油圧が供給されるので、マスタシリンダMからの
油圧が1次制動油圧室18,18′に作用しているにも
拘らず、2次制動油圧室19,19′の容積が増大し、
各車輪ブレーキBlf,Brf,Blr,Brrの制動
油室4の油圧が減少し、制動トルクが弱められる。した
がって、車輪がロック状態に入ろうとするときに、イン
レットバルブVi,Vi′を開弁し、アウトレットバル
ブVo,Vo′を閉弁することにより、車輪がロック状
態に入ることを回避できる。
し、かつアウトレットバルブVo,Vo′を閉弁する
と、アンチロック制御油圧室20,20′にアンチロッ
ク制御油圧が供給されるので、マスタシリンダMからの
油圧が1次制動油圧室18,18′に作用しているにも
拘らず、2次制動油圧室19,19′の容積が増大し、
各車輪ブレーキBlf,Brf,Blr,Brrの制動
油室4の油圧が減少し、制動トルクが弱められる。した
がって、車輪がロック状態に入ろうとするときに、イン
レットバルブVi,Vi′を開弁し、アウトレットバル
ブVo,Vo′を閉弁することにより、車輪がロック状
態に入ることを回避できる。
【0018】図2において、制御手段32の構成を説明
するが、一方の組の車輪ブレーキBlf,Brfに対応
するインレットバルブViおよびアウトレットバルブV
oを制御するための構成と、他方の組の車輪ブレーキB
lr,Brrに対応するインレットバルブVi′および
アウトレットバルブVo′を制御するための構成とは基
本的に同一であるので、ここでは一方のインレットバル
ブViおよびアウトレットバルブVoを制御するための
構成についてのみ述べることにする。
するが、一方の組の車輪ブレーキBlf,Brfに対応
するインレットバルブViおよびアウトレットバルブV
oを制御するための構成と、他方の組の車輪ブレーキB
lr,Brrに対応するインレットバルブVi′および
アウトレットバルブVo′を制御するための構成とは基
本的に同一であるので、ここでは一方のインレットバル
ブViおよびアウトレットバルブVoを制御するための
構成についてのみ述べることにする。
【0019】制御手段32は、マイクロコンピュータな
どの判断回路33を備え、この判断回路33は車輪がロ
ック状態にあるかどうかを判断し、その判断結果に基づ
いて、インレットバルブViおよびアウトレットバルブ
Voを開閉作動させるための信号を出力する。
どの判断回路33を備え、この判断回路33は車輪がロ
ック状態にあるかどうかを判断し、その判断結果に基づ
いて、インレットバルブViおよびアウトレットバルブ
Voを開閉作動させるための信号を出力する。
【0020】ここで、どのような条件が成立したときに
アンチロック制御のための信号を出力するかを決定する
判断基準について考えてみると、一般的には次の(a) 〜
(d)の4通りの方式が提案されている。 (a) 車輪加速度VAw<基準車輪減速度−VAw0 が
成立するときに信号βを出力して、制動圧力を緩める方
式。 (b) 車輪速度Vw<第1基準車輪速度Vr1 が成立し
たときに信号S1 を出力して、制動油圧を緩める方式。
ただし、この場合車両速度をVv、車輪のスリップ率を
λ1 としたときにVr1 =Vv・(1−λ1 )であるの
で、車輪のスリップ率をλとしたときに、Vw<Vr1
はλ>λ1 と同意であり、Vw<Vr1 またはλ>λ1
が成立するときに信号S1 が出力される。 (c) 前記(a) ,(b) のいずれか一方が成立したときに
制動油圧を緩める方式。 (d) 前記(a) ,(b) が同時に成立したときに制動油圧
を緩める方式。
アンチロック制御のための信号を出力するかを決定する
判断基準について考えてみると、一般的には次の(a) 〜
(d)の4通りの方式が提案されている。 (a) 車輪加速度VAw<基準車輪減速度−VAw0 が
成立するときに信号βを出力して、制動圧力を緩める方
式。 (b) 車輪速度Vw<第1基準車輪速度Vr1 が成立し
たときに信号S1 を出力して、制動油圧を緩める方式。
ただし、この場合車両速度をVv、車輪のスリップ率を
λ1 としたときにVr1 =Vv・(1−λ1 )であるの
で、車輪のスリップ率をλとしたときに、Vw<Vr1
はλ>λ1 と同意であり、Vw<Vr1 またはλ>λ1
が成立するときに信号S1 が出力される。 (c) 前記(a) ,(b) のいずれか一方が成立したときに
制動油圧を緩める方式。 (d) 前記(a) ,(b) が同時に成立したときに制動油圧
を緩める方式。
【0021】前記(a) の方式では、基準車輪減速度−V
Aw0 を、通常の走行路面での制動時に車輪がロックに
向かう際に発生する値、たとえば通常−2.0〜−1.
2Gに設定している。ところが雪路やアイスバーン等の
低μの路面で行なわれる制動操作においては、僅か−
1.0〜−0.5G程度の車輪減速度で車輪がロックに
向かうことがあるため、上記方式によると、制動時の後
半に車輪速度が車両速度Vvとかけ離れて車輪ロックが
実際に生じているにも拘らず制動油圧を緩めるための信
号が出力されないことがある。また、悪路走行時には、
通常制動時にも車輪加速度VAwが細かく脈動し、車輪
ロックの心配のないときにも、信号βが出力されて、制
動効率が低下する。
Aw0 を、通常の走行路面での制動時に車輪がロックに
向かう際に発生する値、たとえば通常−2.0〜−1.
2Gに設定している。ところが雪路やアイスバーン等の
低μの路面で行なわれる制動操作においては、僅か−
1.0〜−0.5G程度の車輪減速度で車輪がロックに
向かうことがあるため、上記方式によると、制動時の後
半に車輪速度が車両速度Vvとかけ離れて車輪ロックが
実際に生じているにも拘らず制動油圧を緩めるための信
号が出力されないことがある。また、悪路走行時には、
通常制動時にも車輪加速度VAwが細かく脈動し、車輪
ロックの心配のないときにも、信号βが出力されて、制
動効率が低下する。
【0022】また前記(b) の方式では、スリップ率λが
高くなっていても、すなわち、信号S1 が出力されてい
ても、車輪速度Vwが増加中であれば、制動油圧は充分
緩められていると判断されるが、この期間内でも制動油
圧を緩めることになり、制動効率が低下する。
高くなっていても、すなわち、信号S1 が出力されてい
ても、車輪速度Vwが増加中であれば、制動油圧は充分
緩められていると判断されるが、この期間内でも制動油
圧を緩めることになり、制動効率が低下する。
【0023】前記(c) の方式では、前記(a) の欠点およ
び(b) の欠点があることは明白である。
び(b) の欠点があることは明白である。
【0024】最後に前記(d) の方式では、悪路走行時の
制動効率の低下の問題や、車輪速度Vwが増加中に制動
油圧を緩めて制動効率を低下させると言った問題が解消
される。さらに基準車輪減速度−VAw0 を、通常路面
走行状態で制動時に発生する車輪減速度の範囲内でたと
えば−0.3〜−0.6Gに設定すると、雪路やアイス
バーン等の低μの路面で行なわれる制動操作において
は、上記設定値未満で且つ−1.0G以上の程度の車輪
減速度で車輪がロックしそうになるような場合でもその
状態を的確に検出して制動油圧を緩めることができる。
制動効率の低下の問題や、車輪速度Vwが増加中に制動
油圧を緩めて制動効率を低下させると言った問題が解消
される。さらに基準車輪減速度−VAw0 を、通常路面
走行状態で制動時に発生する車輪減速度の範囲内でたと
えば−0.3〜−0.6Gに設定すると、雪路やアイス
バーン等の低μの路面で行なわれる制動操作において
は、上記設定値未満で且つ−1.0G以上の程度の車輪
減速度で車輪がロックしそうになるような場合でもその
状態を的確に検出して制動油圧を緩めることができる。
【0025】そこで本実施例においては、判断回路33
には、駆動輪に装着された車輪速度検出器34から車輪
速度に対応した信号Vw(以下、車輪速度信号Vwとい
う)が入力され、その車輪速度信号Vwと、その車輪速
度信号Vwに基づいて演算される車輪加速度VAwと
が、前述のように第1基準車輪速度Vr1 、基準車輪減
速度−VAw0 とにそれぞれ比較され、 VAw<−VAw0 Vw<Vr1 がそれぞれ成立したときに、判断回路33からハイレベ
ルの信号β、S1 がそれぞれ出力される。これらの信号
β、S1 はANDゲート35に入力され、両信号がハイ
レベルであるときにトランジスタ36が導通し、ソレノ
ド38が励磁され、インレットバルブViが開弁され
る。またハイレベルの信号S1 が出力されたときに、ト
ランジスタ37が導通し、ソレノイド39が励磁され、
アウトレットバルブVoが閉弁される。
には、駆動輪に装着された車輪速度検出器34から車輪
速度に対応した信号Vw(以下、車輪速度信号Vwとい
う)が入力され、その車輪速度信号Vwと、その車輪速
度信号Vwに基づいて演算される車輪加速度VAwと
が、前述のように第1基準車輪速度Vr1 、基準車輪減
速度−VAw0 とにそれぞれ比較され、 VAw<−VAw0 Vw<Vr1 がそれぞれ成立したときに、判断回路33からハイレベ
ルの信号β、S1 がそれぞれ出力される。これらの信号
β、S1 はANDゲート35に入力され、両信号がハイ
レベルであるときにトランジスタ36が導通し、ソレノ
ド38が励磁され、インレットバルブViが開弁され
る。またハイレベルの信号S1 が出力されたときに、ト
ランジスタ37が導通し、ソレノイド39が励磁され、
アウトレットバルブVoが閉弁される。
【0026】ところで、上述のように信号β,S1 で制
動トルクを弱めるようにしたときに、車輪速度はまだ減
速中であり、これは制動トルクが路面の駆動トルクより
もまだ大きい状態であり、この時点で車輪ロックの心配
が完全に解消された訳ではない。ただし、一般的にはシ
ステムに10ms程度の作動遅れがあるために、緩め信号
が消滅してからもさらに制動油圧が緩められるので、高
μの通常路面での制動時においてはこの方式で良好な制
動結果が得られ、車輪ロックの虞れはない。しかしなが
ら低μの路面での制動時においては上記方式では制動油
圧の緩め方が不充分で、車輪がそのままロックに向かう
こともある。そこでこのような問題を解決するために、
λ>λ1 のときには車輪速度信号Vwが確実に増速に転
じるまで(即ち車輪加速度が正に転じるまで)緩め信号
を発生させるようにすればよいが、そのようにすると、
上記高μの通常路面での制動時においては前述の如くV
Aw>−VAw 0 で緩め信号を停止しても良好な制動結
果が得られるにも拘らず、VAw>0になるまで緩め信
号を持続することになるので、制動トルクの緩め過ぎ、
延いては制動効率の低下が問題となる。ただしこれは制
動荷重配分の小さい方の車輪については実用上問題のな
いものである。
動トルクを弱めるようにしたときに、車輪速度はまだ減
速中であり、これは制動トルクが路面の駆動トルクより
もまだ大きい状態であり、この時点で車輪ロックの心配
が完全に解消された訳ではない。ただし、一般的にはシ
ステムに10ms程度の作動遅れがあるために、緩め信号
が消滅してからもさらに制動油圧が緩められるので、高
μの通常路面での制動時においてはこの方式で良好な制
動結果が得られ、車輪ロックの虞れはない。しかしなが
ら低μの路面での制動時においては上記方式では制動油
圧の緩め方が不充分で、車輪がそのままロックに向かう
こともある。そこでこのような問題を解決するために、
λ>λ1 のときには車輪速度信号Vwが確実に増速に転
じるまで(即ち車輪加速度が正に転じるまで)緩め信号
を発生させるようにすればよいが、そのようにすると、
上記高μの通常路面での制動時においては前述の如くV
Aw>−VAw 0 で緩め信号を停止しても良好な制動結
果が得られるにも拘らず、VAw>0になるまで緩め信
号を持続することになるので、制動トルクの緩め過ぎ、
延いては制動効率の低下が問題となる。ただしこれは制
動荷重配分の小さい方の車輪については実用上問題のな
いものである。
【0027】そこで、λ2 >λ1 となる第2基準スリッ
プ率λ2 に相当する第2基準車輪速度Vr2 を設定し、
Vw<Vr2 すなわちλ>λ2 となってロックの可能性
が大きくなったときだけ、車輪速度信号Vwが増速に転
ずるまで、緩め信号を持続させるようにする。すなわち
判断回路33では、Vw<Vr2 またはλ>λ2 である
か否かを判断し、その条件が成立したときに信号S2 を
出力する。また車輪速度信号Vwが増速中であることを
判断するために、増速度基準値+VAw0 を設定し、V
w>+VAw0 であるときに信号αを出力する。
プ率λ2 に相当する第2基準車輪速度Vr2 を設定し、
Vw<Vr2 すなわちλ>λ2 となってロックの可能性
が大きくなったときだけ、車輪速度信号Vwが増速に転
ずるまで、緩め信号を持続させるようにする。すなわち
判断回路33では、Vw<Vr2 またはλ>λ2 である
か否かを判断し、その条件が成立したときに信号S2 を
出力する。また車輪速度信号Vwが増速中であることを
判断するために、増速度基準値+VAw0 を設定し、V
w>+VAw0 であるときに信号αを出力する。
【0028】信号S2 はANDゲート40の一方の入力
端に入力されるとともにORゲート41に入力され、信
号αはORゲート41に入力されるとともに反転してA
NDゲート40に入力される。さらに前記信号S1 もO
Rゲート41に入力され、ORゲート41の出力はトラ
ンジスタ37のベースに与えられる。また両ANDゲー
ト35,40の出力はORゲート42に入力され、OR
ゲート42の出力はトランジスタ36のベースに与えら
れる。
端に入力されるとともにORゲート41に入力され、信
号αはORゲート41に入力されるとともに反転してA
NDゲート40に入力される。さらに前記信号S1 もO
Rゲート41に入力され、ORゲート41の出力はトラ
ンジスタ37のベースに与えられる。また両ANDゲー
ト35,40の出力はORゲート42に入力され、OR
ゲート42の出力はトランジスタ36のベースに与えら
れる。
【0029】このような制御手段32によれば、信号S
1 ,α,S2 のいずれかがハイレベルとなればトランジ
スタ37が導通してアウトレットバルブVoが閉弁し、
信号β,S1 がともにハイレベルであるか、信号S2 が
ハイレベルであって信号αがローレベルであるときにイ
ンレットバルブViが開弁する。
1 ,α,S2 のいずれかがハイレベルとなればトランジ
スタ37が導通してアウトレットバルブVoが閉弁し、
信号β,S1 がともにハイレベルであるか、信号S2 が
ハイレベルであって信号αがローレベルであるときにイ
ンレットバルブViが開弁する。
【0030】次に、第1および第2基準車輪速度V
r1 ,Vr2 の設定方法について説明すると、これら
は、車両速度Vを検出し、これに適正な基準スリップ率
λ1 ,λ2を加味して次式のように決定するのが理想で
ある。
r1 ,Vr2 の設定方法について説明すると、これら
は、車両速度Vを検出し、これに適正な基準スリップ率
λ1 ,λ2を加味して次式のように決定するのが理想で
ある。
【0031】Vr1 =V(1−λ1 ) Vr2 =V(1−λ2 ) ところが、車両速度Vを検出する実用的な手段は今のと
ころ見当たらない。そこで、車輪速度信号Vwの変化状
況から仮の車両速度Vvを推定する方式が一般的であ
り、その演算回路を図3に示す。
ころ見当たらない。そこで、車輪速度信号Vwの変化状
況から仮の車両速度Vvを推定する方式が一般的であ
り、その演算回路を図3に示す。
【0032】図3において、演算回路49は制御手段3
2に含まれており、理想ダイオード44、記憶用コンデ
ンサ45および定電流放電回路46を備える。理想ダイ
オード44は車輪速度信号Vwを入力するための入力端
43に接続され、理想ダイオード44及び記憶用コンデ
ンサ45間には常閉のリレースイッチ48が介装され、
記憶用コンデンサ45および定電流放電回路46は仮の
車両速度Vvを出力するための出力端47に接続され
る。
2に含まれており、理想ダイオード44、記憶用コンデ
ンサ45および定電流放電回路46を備える。理想ダイ
オード44は車輪速度信号Vwを入力するための入力端
43に接続され、理想ダイオード44及び記憶用コンデ
ンサ45間には常閉のリレースイッチ48が介装され、
記憶用コンデンサ45および定電流放電回路46は仮の
車両速度Vvを出力するための出力端47に接続され
る。
【0033】このような演算回路49によれば、リレー
スイッチ48が導通しているときには、図8で示したよ
うに、アンチロック作動中の車輪速度信号Vwのピーク
値を実際の車両速度Vv*に近いものとし、車輪速度信
号Vwの谷を一定の下り勾配で接続して仮の車両速度V
vが出力される。
スイッチ48が導通しているときには、図8で示したよ
うに、アンチロック作動中の車輪速度信号Vwのピーク
値を実際の車両速度Vv*に近いものとし、車輪速度信
号Vwの谷を一定の下り勾配で接続して仮の車両速度V
vが出力される。
【0034】雪路や凍結路等の滑り易い路面での急発進
あるいは急加速時のホイルスピンを検出して、車輪速度
信号Vwの増加に拘らず推定車両速度Vvの増加を抑制
すべく、前記演算回路49にはスピン検知手段25が接
続される。
あるいは急加速時のホイルスピンを検出して、車輪速度
信号Vwの増加に拘らず推定車両速度Vvの増加を抑制
すべく、前記演算回路49にはスピン検知手段25が接
続される。
【0035】ここで、ホイルスピンを如何にして検知す
るかについて検討すると、先ず非制動中には車両増加速
度が1.0Gを超えることはないので、ホイルスピンが
発生しない限り車輪増速度VAwも1.0G以下であ
る。このため、車輪増速度VAwに対して一定の比較基
準値+VAw1 を設定し、非制動時にVAw>+VAw
1 となったときに、ホイルスピンが発生したと判断する
ことができる。またホイルスピン終了時には車輪速度信
号Vwが実際の車両速度Vv*を大きく超える(Vw>
Vv*)値となっていたのが、急速に実際の車両速度V
v*に近付くために、大きな車輪減速度が発生し、この
車輪減速度は車輪速度信号Vwが実際の車両速度Vv*
にほぼ等しくなったときに消滅する。したがって、車輪
減速度に対して一定の基準値−VAw1 を設定しておけ
ば、車輪減速度が一旦VAw<−VAw1 となってから
再びVAw>−VAw 1 となる時点をホイルスピンの終
了時期と判断することもできるが、システムには若干の
作動遅れがあるため、図示例では、車輪減速度がVAw
>+VAw1 を超えた後、最初にVAw<−VAw 1 と
なる時点をホイルスピンの終了時期と判断する。
るかについて検討すると、先ず非制動中には車両増加速
度が1.0Gを超えることはないので、ホイルスピンが
発生しない限り車輪増速度VAwも1.0G以下であ
る。このため、車輪増速度VAwに対して一定の比較基
準値+VAw1 を設定し、非制動時にVAw>+VAw
1 となったときに、ホイルスピンが発生したと判断する
ことができる。またホイルスピン終了時には車輪速度信
号Vwが実際の車両速度Vv*を大きく超える(Vw>
Vv*)値となっていたのが、急速に実際の車両速度V
v*に近付くために、大きな車輪減速度が発生し、この
車輪減速度は車輪速度信号Vwが実際の車両速度Vv*
にほぼ等しくなったときに消滅する。したがって、車輪
減速度に対して一定の基準値−VAw1 を設定しておけ
ば、車輪減速度が一旦VAw<−VAw1 となってから
再びVAw>−VAw 1 となる時点をホイルスピンの終
了時期と判断することもできるが、システムには若干の
作動遅れがあるため、図示例では、車輪減速度がVAw
>+VAw1 を超えた後、最初にVAw<−VAw 1 と
なる時点をホイルスピンの終了時期と判断する。
【0036】スピン検知手段25は、上述の観点に基づ
いて構成されたものであり、車輪速度信号Vwを微分し
て車輪増速度あるいは車輪減速度を算出する微分回路2
6と、車輪増速度と基準値+VAw1 との比較をする第
1比較器27と、車輪減速度と基準値−VAw1 との比
較をする第2比較器28と、両比較器27,28からの
入力信号の切換りに応じて出力信号を切換えるフリップ
フロップ29と、フリップフロップ29のセット出力端
Qに接続され前記演算回路49のリレースイッチ48と
ともにリレーを構成するリレーコイル30とを備える。
いて構成されたものであり、車輪速度信号Vwを微分し
て車輪増速度あるいは車輪減速度を算出する微分回路2
6と、車輪増速度と基準値+VAw1 との比較をする第
1比較器27と、車輪減速度と基準値−VAw1 との比
較をする第2比較器28と、両比較器27,28からの
入力信号の切換りに応じて出力信号を切換えるフリップ
フロップ29と、フリップフロップ29のセット出力端
Qに接続され前記演算回路49のリレースイッチ48と
ともにリレーを構成するリレーコイル30とを備える。
【0037】微分回路26は入力端43に接続されお
り、該微分回路26の出力端は第1比較器27の非反転
入力端に接続されるとともに、第2比較器28の反転入
力端に接続される。また第1比較器27の反転入力端に
は基準値+VAw1 を示す信号が入力され、第2比較器
28の非反転入力端には基準値−VAw1 を示す信号が
入力される。さらに第1比較器27の出力端はフリップ
フロップ29のセット入力端Sに接続され、第2比較器
28の出力端はフリップフロップ29のリセット入力端
Rに接続される。
り、該微分回路26の出力端は第1比較器27の非反転
入力端に接続されるとともに、第2比較器28の反転入
力端に接続される。また第1比較器27の反転入力端に
は基準値+VAw1 を示す信号が入力され、第2比較器
28の非反転入力端には基準値−VAw1 を示す信号が
入力される。さらに第1比較器27の出力端はフリップ
フロップ29のセット入力端Sに接続され、第2比較器
28の出力端はフリップフロップ29のリセット入力端
Rに接続される。
【0038】このようなスピン検知手段25によれば、
VAw>+VAw1 となるのに応じて第1比較器27か
らハイレベルの信号がフリップフロップ29のセット入
力端Sに入力され、リレーコイル30が励磁されること
により演算回路49のリレースイッチ48が遮断する。
この状態は、第2比較器28の出力がハイレベルとなる
まで、すなわちVAw<−VAw1 となるまで持続す
る。したがって、演算回路49のリレースイッチ48
は、VAw>+VAw1 となってからVAw<−VAw
1 となるまでの間、遮断する。これにより、スピン検知
手段25は車輪加速度VAwがVAw>VAw1 となっ
てからVAw<−VAw1 となるまでをホイルスピンの
発生期間と判断する。而して前記リレースイッチ48
は、後述するようにスピン検知手段25によりスピン状
態が検知されている間、車輪速度信号V W の増加に対す
る推定車両速度VV の増加率を非スピン状態検知時の前
記増加率よりも低減させるようにした、本発明の推定車
両速度増加率低減手段を構成する。
VAw>+VAw1 となるのに応じて第1比較器27か
らハイレベルの信号がフリップフロップ29のセット入
力端Sに入力され、リレーコイル30が励磁されること
により演算回路49のリレースイッチ48が遮断する。
この状態は、第2比較器28の出力がハイレベルとなる
まで、すなわちVAw<−VAw1 となるまで持続す
る。したがって、演算回路49のリレースイッチ48
は、VAw>+VAw1 となってからVAw<−VAw
1 となるまでの間、遮断する。これにより、スピン検知
手段25は車輪加速度VAwがVAw>VAw1 となっ
てからVAw<−VAw1 となるまでをホイルスピンの
発生期間と判断する。而して前記リレースイッチ48
は、後述するようにスピン検知手段25によりスピン状
態が検知されている間、車輪速度信号V W の増加に対す
る推定車両速度VV の増加率を非スピン状態検知時の前
記増加率よりも低減させるようにした、本発明の推定車
両速度増加率低減手段を構成する。
【0039】次に図4を参照しながらこの実施例の作用
について説明する。この図4はアンチロック制動装置の
作動態様の一例を示すものであり、横軸は制動開始後の
時間経過を示し、縦軸には、その最上部に実際の車両速
度Vv*、車輪速度信号Vw、第1基準車輪速度Vr1
および第2基準車輪速度Vr2 が示され、その下方位置
には車輪加速度VAw、増速度基準値+VAw0 および
基準車輪減速度−VAw0 が示され、さらにその下方に
信号α,β,S1 ,S2 およびソレノイド38,39の
作動状態が示され、最下部に制動油圧Pbが示されてい
る。
について説明する。この図4はアンチロック制動装置の
作動態様の一例を示すものであり、横軸は制動開始後の
時間経過を示し、縦軸には、その最上部に実際の車両速
度Vv*、車輪速度信号Vw、第1基準車輪速度Vr1
および第2基準車輪速度Vr2 が示され、その下方位置
には車輪加速度VAw、増速度基準値+VAw0 および
基準車輪減速度−VAw0 が示され、さらにその下方に
信号α,β,S1 ,S2 およびソレノイド38,39の
作動状態が示され、最下部に制動油圧Pbが示されてい
る。
【0040】先ず時刻t=0において、制動を開始した
直後には各信号α,β,S1 ,S2の出力はローレベル
であり、制動油圧Pbは次第に増大し、これに伴って車
輪速度信号Vwおよび車輪加速度VAwは共に次第に減
少する。
直後には各信号α,β,S1 ,S2の出力はローレベル
であり、制動油圧Pbは次第に増大し、これに伴って車
輪速度信号Vwおよび車輪加速度VAwは共に次第に減
少する。
【0041】時刻t1 において車輪加速度VAwが基準
車輪減速度−VAw0 よりも小さくなる(VAw<−V
Aw0 )と、信号βがハイレベルとなるが、このとき車
輪速度信号Vwは第1基準車輪速度Vr1 よりも大きい
ので信号S1 はローレベルのままである。したがって、
制動油圧Pbは増大し続け、車輪速度信号Vwおよび車
輪加速度VAwも低下し続ける。
車輪減速度−VAw0 よりも小さくなる(VAw<−V
Aw0 )と、信号βがハイレベルとなるが、このとき車
輪速度信号Vwは第1基準車輪速度Vr1 よりも大きい
ので信号S1 はローレベルのままである。したがって、
制動油圧Pbは増大し続け、車輪速度信号Vwおよび車
輪加速度VAwも低下し続ける。
【0042】時刻t2 において、車輪速度信号Vwが第
1基準車輪速度Vr1 よりも低下すると、信号S1 がハ
イレベルとなり、ANDゲート35の出力がハイレベル
となるのに応じてORゲート42の出力がハイレベルと
なるとともにORゲート41の出力がハイレベルとな
る。これによりソレノイド38,39が励磁され、イン
レットバルブViが開弁されるとともにアウトレットバ
ルブVoが閉弁される。これにより、制動油圧Pbが低
下し始め、車輪加速度VAwが増速側に転じる。このと
き車輪速度信号Vwは低下し続ける。
1基準車輪速度Vr1 よりも低下すると、信号S1 がハ
イレベルとなり、ANDゲート35の出力がハイレベル
となるのに応じてORゲート42の出力がハイレベルと
なるとともにORゲート41の出力がハイレベルとな
る。これによりソレノイド38,39が励磁され、イン
レットバルブViが開弁されるとともにアウトレットバ
ルブVoが閉弁される。これにより、制動油圧Pbが低
下し始め、車輪加速度VAwが増速側に転じる。このと
き車輪速度信号Vwは低下し続ける。
【0043】時刻t3 において、車輪加速度VAwが基
準車輪減速度−VAw 0 よりも大(VAw>−VA
w0 )となると、信号βがローレベルとなり、これに応
じてANDゲート35の出力がローレベルとなる。この
ためインレットバルブViのソレノイド38が消磁さ
れ、インレットバルブViが閉弁され、制動油圧Pbが
一定に保たれるようになる。すなわち制動トルクが略一
定に保たれる。この後、車輪速度信号Vwは増大し始め
る。
準車輪減速度−VAw 0 よりも大(VAw>−VA
w0 )となると、信号βがローレベルとなり、これに応
じてANDゲート35の出力がローレベルとなる。この
ためインレットバルブViのソレノイド38が消磁さ
れ、インレットバルブViが閉弁され、制動油圧Pbが
一定に保たれるようになる。すなわち制動トルクが略一
定に保たれる。この後、車輪速度信号Vwは増大し始め
る。
【0044】時刻t4 において、車輪加速度VAwが増
速度基準値+VAw0 より大(VAw>+VAw0 )と
なると、信号αがハイレベルとなる。また時刻t5 にお
いて、車輪速度信号Vwが第1基準車輪速度Vr1 を超
えると、信号S1 がローレベルとなる。さらに時刻t6
において、車輪加速度VAwが増速度基準値+VAw 0
より低下すると、信号αがローレベルとなり、アウトレ
ットバルブVoが開弁する。これに応じて制動油圧Pb
が増大する。
速度基準値+VAw0 より大(VAw>+VAw0 )と
なると、信号αがハイレベルとなる。また時刻t5 にお
いて、車輪速度信号Vwが第1基準車輪速度Vr1 を超
えると、信号S1 がローレベルとなる。さらに時刻t6
において、車輪加速度VAwが増速度基準値+VAw 0
より低下すると、信号αがローレベルとなり、アウトレ
ットバルブVoが開弁する。これに応じて制動油圧Pb
が増大する。
【0045】時刻t7 において、車輪加速度VAwが基
準車輪減速度−VAw0 よりも小(VAw<−VA
w0 )となると、信号βがハイレベルとなり、時刻t8
において、車輪速度信号Vwが第1基準車輪速度Vr1
よりも低下(Vw<Vr1 )すると、信号S1 がハイレ
ベルとなり、これに応じてANDゲート35の出力がハ
イレベルとなってインレットバルブViが閉弁するとと
もに、アウトレットバルブVoが開弁し、制動油圧Pb
が低下し始める。次いで時刻t9 で車輪速度信号Vwが
第2基準車輪速度Vr2 よりも低下(Vw<Vr2 )し
て車輪ロックの可能性が大きくなると、信号S2 がハイ
レベルとなる。
準車輪減速度−VAw0 よりも小(VAw<−VA
w0 )となると、信号βがハイレベルとなり、時刻t8
において、車輪速度信号Vwが第1基準車輪速度Vr1
よりも低下(Vw<Vr1 )すると、信号S1 がハイレ
ベルとなり、これに応じてANDゲート35の出力がハ
イレベルとなってインレットバルブViが閉弁するとと
もに、アウトレットバルブVoが開弁し、制動油圧Pb
が低下し始める。次いで時刻t9 で車輪速度信号Vwが
第2基準車輪速度Vr2 よりも低下(Vw<Vr2 )し
て車輪ロックの可能性が大きくなると、信号S2 がハイ
レベルとなる。
【0046】時刻t10で車輪加速度VAwが基準車輪減
速度−VAw 0 よりも大となると、信号βがローレベル
となるが、制動油圧Pbはさらに低下し、車輪速度信号
Vwは増速に転じる。時刻t11で車輪加速度VAwが増
速度基準値+VAw0 を超えると、信号αがハイレベル
となり、ANDゲート40の出力がローレベルとなる。
この際、ANDゲート35の出力はローレベルであるの
で、ORゲート42の出力はローレベルであり、したが
ってソレノイド38は消磁され、インレットバルブVi
は閉弁する。この結果、制動油圧Pbは一定に維持され
るようになる。
速度−VAw 0 よりも大となると、信号βがローレベル
となるが、制動油圧Pbはさらに低下し、車輪速度信号
Vwは増速に転じる。時刻t11で車輪加速度VAwが増
速度基準値+VAw0 を超えると、信号αがハイレベル
となり、ANDゲート40の出力がローレベルとなる。
この際、ANDゲート35の出力はローレベルであるの
で、ORゲート42の出力はローレベルであり、したが
ってソレノイド38は消磁され、インレットバルブVi
は閉弁する。この結果、制動油圧Pbは一定に維持され
るようになる。
【0047】時刻t12において、車輪速度信号Vwが第
2基準車輪速度Vr2 を超えると、信号S2 がローレベ
ルとなり、時刻t13で車輪速度信号Vwが第1基準車輪
速度Vr1 を超えると、信号S1 がローレベルとなるが
制動油圧Pbはほぼ一定に保たれており、ロック状態が
回避される。また時刻t14において車輪加速度VAwが
増速度基準値+VAw0 よりも低下すると、信号αがロ
ーレベルとなり、これに応じてアウトレットバルブVo
が開弁する。このため制動油圧Pbは増加し始める。
2基準車輪速度Vr2 を超えると、信号S2 がローレベ
ルとなり、時刻t13で車輪速度信号Vwが第1基準車輪
速度Vr1 を超えると、信号S1 がローレベルとなるが
制動油圧Pbはほぼ一定に保たれており、ロック状態が
回避される。また時刻t14において車輪加速度VAwが
増速度基準値+VAw0 よりも低下すると、信号αがロ
ーレベルとなり、これに応じてアウトレットバルブVo
が開弁する。このため制動油圧Pbは増加し始める。
【0048】時刻t15で車輪加速度VAwが基準車輪減
速度−VAw0 よりも小さくなると、信号βがハイレベ
ルとなり、次の時刻t16で車輪速度信号Vwが第1基準
車輪速度Vr1 よりも低下して信号S1 がハイレベルと
なるのに応じてインレットバルブViが開弁するととも
に、アウトレットバルブVoが閉弁する。したがって、
制動油圧Pbが低下し始める。さらに時刻t17で車輪加
速度VAwが基準車輪減速度−VAw0 を超えると、信
号βがローレベルとなるのに応じてアウトレットバルブ
Voが開弁し、制動油圧Pbが一定に維持される。
速度−VAw0 よりも小さくなると、信号βがハイレベ
ルとなり、次の時刻t16で車輪速度信号Vwが第1基準
車輪速度Vr1 よりも低下して信号S1 がハイレベルと
なるのに応じてインレットバルブViが開弁するととも
に、アウトレットバルブVoが閉弁する。したがって、
制動油圧Pbが低下し始める。さらに時刻t17で車輪加
速度VAwが基準車輪減速度−VAw0 を超えると、信
号βがローレベルとなるのに応じてアウトレットバルブ
Voが開弁し、制動油圧Pbが一定に維持される。
【0049】時刻t18で車輪加速度VAwが増速度基準
値+VAw0 を超えると、信号αがハイレベルとなり、
時刻19で車輪速度信号Vwが第1基準車輪速度Vr1 を
超えると、信号S1 がローレベルとなる。さらに時刻t
20で車輪加速度VAwが増速度基準値+VAw0 よりも
低下すると、信号αがローレベルとなり、それに応じて
アウトレットバルブVoが開弁し制動油圧Pbが低下し
始める。
値+VAw0 を超えると、信号αがハイレベルとなり、
時刻19で車輪速度信号Vwが第1基準車輪速度Vr1 を
超えると、信号S1 がローレベルとなる。さらに時刻t
20で車輪加速度VAwが増速度基準値+VAw0 よりも
低下すると、信号αがローレベルとなり、それに応じて
アウトレットバルブVoが開弁し制動油圧Pbが低下し
始める。
【0050】以後は、以上のような過程が同様に繰返さ
れながら車輪がロックすることなく車両速度が低下して
いく。
れながら車輪がロックすることなく車両速度が低下して
いく。
【0051】次に雪路や凍結路等の滑り易い路面で急発
進操作をしたときを想定する。この急発進時にホイルス
ピンが生じると、図5で示すように車輪速度信号Vwは
実際の車両速度Vv*よりも大幅に大となる。しかるに
その車輪加速度VAwが基準値+Vw1 を超えると、リ
レーコイル30が励磁され、リレースイッチ48が遮断
する。したがって、演算回路49では、記憶用コンデン
サ45への充電が停止して放電による出力が出力端47
から出力されることになり、推定車両速度Vvが減少し
始める。これは、車輪加速度VAwが基準値−VAw1
よりも低下するまで持続し、その後リレーコイル30が
消磁されるのに応じて、リレースイッチ48が導通す
る。これにより、演算回路49では記憶用コンデンサ4
5への充電が再び始まり、その充電特性に対応した比較
的大きな勾配で推定車両速度Vvが、減少途中の車輪速
度信号Vwと合致するまで立ち上がり、その後はその車
輪速度信号の谷を埋めるように一定の下り勾配で減少す
るので、図9に示す従来例と比べホイルスピン後半及び
直後における推定車両速度Vvと車輪速度信号Vwとの
ギャップが小さくなり、これに伴い、車輪速度信号Vw
が第1基準車輪速度Vr1 よりも大きくなる(即ちスリ
ップ信号S1 が出力されなくなる)ので、判断回路33
において車輪がロックしそうであると判断することが避
けられる。かくして、滑り易い路面での急発進によりホ
イルスピンが生じた場合において、そのホイルスピン後
半ないしはその直後に制動操作がなされた時には、前記
従来例(図9参照)のものと比べ推定車両速度Vvが低
下するので、判断回路33において車輪がロックしそう
であると判断することが避けられ、制動圧が低下するこ
とを防止することができる。
進操作をしたときを想定する。この急発進時にホイルス
ピンが生じると、図5で示すように車輪速度信号Vwは
実際の車両速度Vv*よりも大幅に大となる。しかるに
その車輪加速度VAwが基準値+Vw1 を超えると、リ
レーコイル30が励磁され、リレースイッチ48が遮断
する。したがって、演算回路49では、記憶用コンデン
サ45への充電が停止して放電による出力が出力端47
から出力されることになり、推定車両速度Vvが減少し
始める。これは、車輪加速度VAwが基準値−VAw1
よりも低下するまで持続し、その後リレーコイル30が
消磁されるのに応じて、リレースイッチ48が導通す
る。これにより、演算回路49では記憶用コンデンサ4
5への充電が再び始まり、その充電特性に対応した比較
的大きな勾配で推定車両速度Vvが、減少途中の車輪速
度信号Vwと合致するまで立ち上がり、その後はその車
輪速度信号の谷を埋めるように一定の下り勾配で減少す
るので、図9に示す従来例と比べホイルスピン後半及び
直後における推定車両速度Vvと車輪速度信号Vwとの
ギャップが小さくなり、これに伴い、車輪速度信号Vw
が第1基準車輪速度Vr1 よりも大きくなる(即ちスリ
ップ信号S1 が出力されなくなる)ので、判断回路33
において車輪がロックしそうであると判断することが避
けられる。かくして、滑り易い路面での急発進によりホ
イルスピンが生じた場合において、そのホイルスピン後
半ないしはその直後に制動操作がなされた時には、前記
従来例(図9参照)のものと比べ推定車両速度Vvが低
下するので、判断回路33において車輪がロックしそう
であると判断することが避けられ、制動圧が低下するこ
とを防止することができる。
【0052】また雪路やアイスバーン等の滑り易い路面
を走行中に急加速操作を行なった場合にホイルスピンが
生じたときの動作は図6に示すようになり、上述の急発
進時と同様に、ホイルスピン後半ないしはその直後にお
いては従来例(図10参照)のものと比べ推定車輪速度
Vvが低下されるので、判断回路33が車輪がロックし
そうであると判断することが回避される。
を走行中に急加速操作を行なった場合にホイルスピンが
生じたときの動作は図6に示すようになり、上述の急発
進時と同様に、ホイルスピン後半ないしはその直後にお
いては従来例(図10参照)のものと比べ推定車輪速度
Vvが低下されるので、判断回路33が車輪がロックし
そうであると判断することが回避される。
【0053】このようにスピン検知手段25によるスピ
ン状態の検知と、演算回路49による車両速度VV の推
定とが、当該車輪の車輪速度信号VW に基づいてなされ
ることにより、車輪速度の入力から当該車輪に属する車
輪ブレーキまでの系統内で自己処理をすることができ、
他の車輪の系統との複雑な情報の授受が不要である。こ
れは、四輪駆動車などで、ベースとなる車輪速度の切換
が不可能である場合(切換える先がない場合)に特に有
利である。
ン状態の検知と、演算回路49による車両速度VV の推
定とが、当該車輪の車輪速度信号VW に基づいてなされ
ることにより、車輪速度の入力から当該車輪に属する車
輪ブレーキまでの系統内で自己処理をすることができ、
他の車輪の系統との複雑な情報の授受が不要である。こ
れは、四輪駆動車などで、ベースとなる車輪速度の切換
が不可能である場合(切換える先がない場合)に特に有
利である。
【0054】なお、前記実施例では、スピン検知手段2
5においてホイルスピンにより車輪減速度がVAw>+
VAw1 を超えた後、最初にVAw<−VAwとなる時
点をホイルスピンの終了時期と判断したものを示した
が、システムの作動遅れを無視すれば、車輪減速度が一
旦VAw<−VAw1 となってから再びVAw>−VA
w 1 となる時点をホイルスピンの終了時期と判断するこ
とも可能である。
5においてホイルスピンにより車輪減速度がVAw>+
VAw1 を超えた後、最初にVAw<−VAwとなる時
点をホイルスピンの終了時期と判断したものを示した
が、システムの作動遅れを無視すれば、車輪減速度が一
旦VAw<−VAw1 となってから再びVAw>−VA
w 1 となる時点をホイルスピンの終了時期と判断するこ
とも可能である。
【0055】なおまた、車両速度Vvの推定精度向上の
ために、駆動輪および被動輪の車輪速度を用いることも
あるが、この場合も駆動輪側の車輪加速度によりホイル
スピンを検知し、駆動輪側の車輪速度推定のための演算
回路におけるコンデンサへの充電回路を遮断すればよ
い。
ために、駆動輪および被動輪の車輪速度を用いることも
あるが、この場合も駆動輪側の車輪加速度によりホイル
スピンを検知し、駆動輪側の車輪速度推定のための演算
回路におけるコンデンサへの充電回路を遮断すればよ
い。
【0056】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、雪路や凍
結路等の滑り易い路面での急発進や急加速時にホイルス
ピンが生じて車輪速度が急増しても、そのスピン状態の
間は、演算回路により求められる推定車両速度の車輪速
度信号に対する増加率が、スピン検知手段に応動する推
定車両速度増加率低減手段によって非スピン状態よりも
低減されるので、そのホイルスピン時に推定車両速度の
過度の増加に因り車輪がロックしそうだとアンチロック
制御手段が判断するのを未然に防止することができ、従
ってホイルスピン中ないしはその直後に制動操作した場
合でも油圧制御回路が不必要にアンチロック制御されな
いから、その制動操作に応じて制動油圧を迅速に上昇さ
せることができて、車輪を的確に制動することができ
る。しかも上記のように不必要なアンチロック制御が回
避されることで、それだけアンチロック制御系の作動音
の発生を抑えることができると共にその耐久性向上にも
寄与することができる。またスピン検知手段によるスピ
ン状態の検知と、演算回路による車両速度の推定とが、
当該車輪の車輪速度に基づいてなされることにより、車
輪速度の入力から当該車輪に属する車輪ブレーキまでの
系統内で自己処理をすることができ、他の車輪の系統と
の複雑な情報の授受が不要となり、特に、四輪駆動車な
どで、ベースとなる車輪速度の切換が不可能である場合
に有利となる。
結路等の滑り易い路面での急発進や急加速時にホイルス
ピンが生じて車輪速度が急増しても、そのスピン状態の
間は、演算回路により求められる推定車両速度の車輪速
度信号に対する増加率が、スピン検知手段に応動する推
定車両速度増加率低減手段によって非スピン状態よりも
低減されるので、そのホイルスピン時に推定車両速度の
過度の増加に因り車輪がロックしそうだとアンチロック
制御手段が判断するのを未然に防止することができ、従
ってホイルスピン中ないしはその直後に制動操作した場
合でも油圧制御回路が不必要にアンチロック制御されな
いから、その制動操作に応じて制動油圧を迅速に上昇さ
せることができて、車輪を的確に制動することができ
る。しかも上記のように不必要なアンチロック制御が回
避されることで、それだけアンチロック制御系の作動音
の発生を抑えることができると共にその耐久性向上にも
寄与することができる。またスピン検知手段によるスピ
ン状態の検知と、演算回路による車両速度の推定とが、
当該車輪の車輪速度に基づいてなされることにより、車
輪速度の入力から当該車輪に属する車輪ブレーキまでの
系統内で自己処理をすることができ、他の車輪の系統と
の複雑な情報の授受が不要となり、特に、四輪駆動車な
どで、ベースとなる車輪速度の切換が不可能である場合
に有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す油圧制御回路図
【図2】前記実施例の制御手段の構成を示す簡略化した
回路図
回路図
【図3】前記実施例の演算回路およびスピン検知手段の
構成を示す回路図
構成を示す回路図
【図4】前記実施例のアンチロック作動状態を示す特性
図
図
【図5】前記実施例において急発進時にホイルスピンが
生じたときの特性図
生じたときの特性図
【図6】前記実施例において急加速度にホイルスピンが
生じたときの特性図
生じたときの特性図
【図7】従来技術の演算回路を示す回路図
【図8】従来技術の演算回路による特性図
【図9】従来技術において急発進時にホイルスピンが生
じたときの特性図
じたときの特性図
【図10】従来技術において急加速時にホイルスピンが
生じたときの特性図
生じたときの特性図
【符号の説明】 3 油圧制御回路 25 スピン検知手段 32 制御回路 34 車輪速度検出器48 推定車両速度増加率低減手段としてのリレー
スイッチ 49 演算回路 Blf,Brf,Blr,Brr 車輪ブレーキVAW 車輪速度信号に基づいて得られる値とし
ての車輪加速度 +VAW1,−VAW1 基準値 Vr1 ,Vr2 基準車輪速度 Vv 推定車両速度 Vw 車輪速度信号
スイッチ 49 演算回路 Blf,Brf,Blr,Brr 車輪ブレーキVAW 車輪速度信号に基づいて得られる値とし
ての車輪加速度 +VAW1,−VAW1 基準値 Vr1 ,Vr2 基準車輪速度 Vv 推定車両速度 Vw 車輪速度信号
Claims (1)
- 【請求項1】 車輪ブレーキ(Blf,Brf,Bl
r,Brr)と;この車輪ブレーキ(Blf,Brf,
Blr,Brr)への制動油圧の供給を制御する油圧制
御回路(3)と;車輪速度検出器(34)と;この車輪
速度検出器(34)から出力される車輪速度信号(V
w)に基づいて車両速度(Vv)を推定する演算回路
(49)を含み、その推定車両速度(Vv)に基づいて
設定される基準車輪速度(Vr1 ,Vr2 )と、前記車
輪速度信号(Vw)との比較により車輪がロックしそう
な状態にあるかどうかを判断し車輪がロックしそうであ
るときに前記車輪ブレーキ(Blf,Brf,Blr,
Brr)への制動油圧を減少させるべく前記油圧制御回
路(3)を制御する制御手段(32)と;を備えるアン
チロック制動装置において、車輪のスピン状態を検知す
るスピン検知手段(25)が前記演算回路(49)に接
続され、その演算回路(49)は、車輪のスピン発生時
に前記車輪がロックしそうであると前記制御手段(3
2)が判断するのを回避すべく、前記スピン検知手段
(25)によりスピン状態が検知されている間前記車輪
速度信号(Vw)の増加に拘わらず前記推定車両速度
(Vv)の増加を抑制する推定車両速度増加抑制手段
(48)を備えることを特徴とするアンチロック制動装
置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32625194A JP2599699B2 (ja) | 1994-12-27 | 1994-12-27 | アンチロック制動装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32625194A JP2599699B2 (ja) | 1994-12-27 | 1994-12-27 | アンチロック制動装置 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP60012127A Division JPH064411B2 (ja) | 1985-01-25 | 1985-01-25 | アンチロック制動装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07196026A true JPH07196026A (ja) | 1995-08-01 |
JP2599699B2 JP2599699B2 (ja) | 1997-04-09 |
Family
ID=18185689
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32625194A Expired - Fee Related JP2599699B2 (ja) | 1994-12-27 | 1994-12-27 | アンチロック制動装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2599699B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013154729A (ja) * | 2012-01-30 | 2013-08-15 | Toyota Motor Corp | 車両用制駆動力制御装置 |
-
1994
- 1994-12-27 JP JP32625194A patent/JP2599699B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013154729A (ja) * | 2012-01-30 | 2013-08-15 | Toyota Motor Corp | 車両用制駆動力制御装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2599699B2 (ja) | 1997-04-09 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |