JPH07329758A - 車両のアンチスキッド制御装置 - Google Patents

車両のアンチスキッド制御装置

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JPH07329758A
JPH07329758A JP6130690A JP13069094A JPH07329758A JP H07329758 A JPH07329758 A JP H07329758A JP 6130690 A JP6130690 A JP 6130690A JP 13069094 A JP13069094 A JP 13069094A JP H07329758 A JPH07329758 A JP H07329758A
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vehicle
skid
skid control
control device
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雅彦 谷口
Kazuya Maki
一哉 牧
Takashi Watanabe
多佳志 渡辺
Junji Mizutani
淳司 水谷
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    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60TVEHICLE BRAKE CONTROL SYSTEMS OR PARTS THEREOF; BRAKE CONTROL SYSTEMS OR PARTS THEREOF, IN GENERAL; ARRANGEMENT OF BRAKING ELEMENTS ON VEHICLES IN GENERAL; PORTABLE DEVICES FOR PREVENTING UNWANTED MOVEMENT OF VEHICLES; VEHICLE MODIFICATIONS TO FACILITATE COOLING OF BRAKES
    • B60T8/00Arrangements for adjusting wheel-braking force to meet varying vehicular or ground-surface conditions, e.g. limiting or varying distribution of braking force
    • B60T8/17Using electrical or electronic regulation means to control braking
    • B60T8/176Brake regulation specially adapted to prevent excessive wheel slip during vehicle deceleration, e.g. ABS
    • B60T8/1763Brake regulation specially adapted to prevent excessive wheel slip during vehicle deceleration, e.g. ABS responsive to the coefficient of friction between the wheels and the ground surface
    • B60T8/17636Microprocessor-based systems

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  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Transportation (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Regulating Braking Force (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 冬期市街地によく見られる氷部分とアスファ
ルト部分とが混在した「まだら路面」での減速に対する
運転者の期待感を十分に満足させつつ、操縦安定性能の
確保と制動距離の短縮を両立させる。 【構成】 車輪速度が目標車輪速度を下回った減圧モー
ドでは、まず、推定車体速度VBと基準速度Voとを比較
し、VB≧Voなら通常の減圧出力を行う(ステッフ゜300〜320
)。VB<Voなら、減圧モードの実行回数を表すNRをイ
ンクリメントし、油圧急増の出力要求時間TLを算出する
(ステッフ゜330〜350 )。油圧急増出力は、通常の増圧出力
よりもデューティ比の大きいパルス出力である。また、
TLはNRの関数として与えられ、NR=N1まではTL=0 とさ
れている。次に、制御対象車輪が前輪であって他方の前
輪が油圧急増制御中でないことを確認し、TLに渡って油
圧急増信号を出力する(ステッフ゜390)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両のアンチスキッド
制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、車両制動時に各車輪のスリップ率
が目標スリップ率(約20%)を越えたことを条件とし
てブレーキ圧の調整を開始し、各車輪のスリップ率を目
標スリップ率に維持しつつ車両を停止させることで制動
距離を短くするアンチスキッド制御装置が知られてい
る。
【0003】こうした装置の中で、例えば、特開平5−
16782号公報では、摩擦係数が低い低μ路では、低
速時における車輪のブレーキ圧に対する制御特性を、中
速以上のときに比べて車輪のロック傾向が小さくなるよ
うに設定している。これは、低μ路では車両停止までに
要する時間が長くなるので、その間ハンドル操作で車両
姿勢や進路を有効に制御できるように車輪のロックを確
実に防止するためである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、最近のタイ
ヤのスタッドレス化に伴い、特に市街地の交差点付近に
おいては、氷とドライアスファルトが交互に現れる「ま
だら路面」が多く見られるようになっている。このよう
な「まだら路面」の走行中にアンチスキッド制御を実行
すると、図10に示すように、タイヤが氷部分を通過す
るときにスリップ率が大きくなるので減圧が実行されて
一気に車輪の減速度が低下される。そして、ドライアス
ファルト部分を通過する間に徐々に増圧が実行され、次
第に減速度が上昇されていく。しかし、減圧は一気にな
されるのに対し、増圧は徐々にしかなされないので、十
分に減速度が上がらない内に次の氷部分に至って再び急
減圧がなされることになる。従って、アンチスキッド制
御を行わずに車輪をロックさせた場合よりもかえって制
動距離が長くなるとも言われている。特に、上述の公報
記載の技術では、低μ路かつ低速の場合にはロック傾向
を小さくするので、減速度が一層低くなり、制動距離が
相当に長くなってしまうという問題がある。
【0005】また、運転者から見たとき、道路にはドラ
イアスファルトの部分もあることから、そこでの減速が
期待されている。そのため、「まだら路面」ではブレー
キを強めに踏み込む傾向がある。ところが、上述の様
に、従来のアンチスキッド制御では、氷部分において大
きく減圧されるために運転者の期待を満足する様な減速
感が味わえず、違和感を与えることとなる。
【0006】このように、市街地では、低μ路といって
も上述の様な「まだら路面」がほとんどであり、従来の
アンチスキッド制御では運転者の減速に対する期待感を
満足させることができず、制動距離も十分に短くできな
いという問題がある。そこで、本発明は、こうした「ま
だら路面」での減速に対する運転者の期待感を十分に満
足させつつ、制動距離を短くすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】請求項1
記載の車両のアンチスキッド制御装置は、車両制動時に
各車輪がアンチスキッド制御条件になったか否かを判定
するアンチスキッド条件判定手段と、アンチスキッド制
御条件になったと判定された車輪のブレーキ圧を調整し
て当該車輪の減速の状態を制御するアンチスキッド制御
手段とを備えた車両のアンチスキッド制御装置におい
て、車両の走行路面が低摩擦路か否かを判断する判断手
段と、該判断手段によって低摩擦路と判断されたときに
は、少なくとも1の車輪に対しては、前記アンチスキッ
ド制御手段による制御モードを車輪のロック傾向を強く
するモードへと変更する制御モード変更手段とを備える
ことを特徴とする。
【0008】このアンチスキッド制御装置によれば、低
摩擦路の走行中には、少なくとも1輪に対してロック傾
向を強くする様にアンチスキッド制御が実行される。市
街地での低摩擦路の多くは、「発明が解決しようとする
課題」の項で説明した様に、氷部分とアスファルト部分
とによる「まだら路面」となっている。従って、少なく
とも1輪に対してロック傾向を強くすることで、当該車
輪についてはアスファルト部分で十分に減速度を稼ぐこ
とができる。従って、運転者にとっても、目に見えてい
るアスファルト部分で期待される減速感が与えられ、違
和感なく運転することができる。しかも、ロック傾向が
強くなっただけでアンチスキッド制御自体は実行されて
いるので、低摩擦路での操縦安定性が損なわれることも
ない。
【0009】この結果、本発明のアンチスキッド制御装
置によれば、市街地に多くある「まだら路面」において
運転者に違和感を与えることなく操縦安定性を確保し、
しかも制動距離を短くすることができる。また、請求項
2記載の車両のアンチスキッド制御装置は、車両制動時
に各車輪がアンチスキッド制御条件になったか否かを判
定するアンチスキッド条件判定手段と、アンチスキッド
制御条件になったと判定された車輪のブレーキ圧を調整
して当該車輪の減速の状態を制御するアンチスキッド制
御手段とを備えた車両のアンチスキッド制御装置におい
て、前記アンチスキッド制御手段によるブレーキ圧の調
整が所定期間実行された後は、少なくとも1の車輪に対
しては、該アンチスキッド制御手段による制御モードを
車輪のロック傾向を強くするモードに変更する制御モー
ド変更手段を備えることを特徴とする。
【0010】この請求項2記載のアンチスキッド制御装
置によれば、アンチスキッド制御が所定期間行われてか
ら少なくとも1輪のロック傾向が強められる。アンチス
キッド制御が所定期間実行されるということは、車両が
なかなか停車しないことを意味し、路面摩擦係数が低い
ことが推定できる。従って、この請求項2記載の装置に
よれば、車両の走行路は低摩擦路と推定されるとき、よ
り具体的には「まだら路面」において、少なくとも1輪
のロック傾向が強くされるのである。これによって、上
述の請求項1記載の装置と同様に、「まだら路面」にお
いて運転者に違和感を与えることなく操縦安定性も確保
した状態で制動距離を短くすることができる。
【0011】また、請求項3記載の車両のアンチスキッ
ド制御装置は、車両制動時に各車輪がアンチスキッド制
御条件になったか否かを判定するアンチスキッド条件判
定手段と、アンチスキッド制御条件になったと判定され
た車輪のブレーキ圧を調整して当該車輪の減速の状態を
制御するアンチスキッド制御手段とを備えた車両のアン
チスキッド制御装置において、前記アンチスキッド制御
手段によるブレーキ圧の増圧と減圧とからなる制御サイ
クルが所定回数実行された後は、少なくとも1の車輪に
対しては、該アンチスキッド制御手段による制御モード
を車輪のロック傾向を強くするモードに変更する制御モ
ード変更手段を備えることを特徴とする。
【0012】この請求項3記載のアンチスキッド制御装
置によれば、アンチスキッド制御によるブレーキ圧の増
圧と減圧とからなる制御サイクルが所定回数実行された
後は、少なくとも1輪のロック傾向が強くされる。ここ
で、増圧・減圧の制御サイクルが所定回数実行されると
いうことは、なかなか停車しない状況を意味する。即
ち、低摩擦路と推定できる。また、特に、「まだら路
面」では、「発明が解決しようとする課題」の項で説明
した様に、氷部分を通過する際の減圧とアスファルト部
分を通過する際の増圧とが繰り返される。従って、特
に、この制御サイクルの実行回数を基準にすると「まだ
ら路面」の走行中か否かを的確に推定できるといえる。
【0013】以上の結果、この請求項3記載のアンチス
キッド制御装置においても、「まだら路面」での運転者
の期待感に沿った減速を実現することができ、しかもア
ンチスキッド制御特有の操縦安定性も確保することがで
き、かつ、制動距離を短くすることを可能にする。
【0014】ところで、「まだら路面」で、アンチスキ
ッド制御モードの変更ではなく、アンチスキッド制御を
取りやめることによっても制動距離は短くできる。しか
し、これでは車輪がロックしてしまい、アンチスキッド
制御本来の操縦安定性能が確保できないおそれがある。
この点、請求項1〜請求項3記載の各装置は、制御の取
りやめではなく、制御モードの変更で対処しているの
で、こうした操縦安定性能を損なう事態には陥らない。
【0015】この様に、請求項1〜請求項3の各アンチ
スキッド制御装置は、「まだら路面」が、「 低摩擦
路であること」、「 通常のアンチスキッド制御では
なかなか停車しないこと」、「 増圧・減圧が繰り返
されること」に着目し、路面摩擦の観点から、あるいは
制御期間の観点から、又は制御サイクルの繰り返し数の
観点から、「まだら路面」であるか否かを推定し、「ま
だら路面」であるならばそのアスファルト部分の減速度
を十分に引き出して制動距離の低減と良好な減速感の付
与とを実現しつつアンチスキッド制御による操縦安定性
能をも両立させているのである。
【0016】また、請求項4記載の車両のアンチスキッ
ド制御装置は、これら請求項1〜請求項3のいずれか記
載の車両のアンチスキッド制御装置において、さらに、
車両の速度が所定値以下でのみ前記制御モード変更手段
を作動させる作動速度制限手段をも備えることを特徴と
する。
【0017】この装置によれば、低摩擦路であったり、
なかなか停車できなかったり、制御サイクルが相当数繰
り返されたとしても、所定速度以下でなければロック傾
向を強くする制御モードに変更されない。従って、走行
速度の速い段階で車輪をロック気味にし過ぎることがな
く、高速時に特に問題となる操縦安定性能が最優先され
る。一方、車両の速度が十分に落ちて来ると、少なくと
も1輪についてはロック傾向を強くされる。この結果、
「まだら路面」におけるアスファルト部分を有効に活か
した制動をかけることができる。
【0018】この様に、請求項4記載のアンチスキッド
制御装置によれば、操縦安定性能の確保が最も必要とな
る高速〜中速領域では通常のアンチスキッド制御が実行
されて車輪のロックを回避し、操縦安定性能の点ではそ
れほど問題とならない低速域では、「まだら路面」の特
性を活かした効果的な制動をかけることができ、アンチ
スキッド制御による操縦安定性能を犠牲にすることな
く、上述の請求項1〜請求項3記載の各装置の奏する効
果を実現することができるのである。
【0019】また、請求項5に記載の車両のアンチスキ
ッド制御装置は、これら請求項1〜請求項4のいずれか
記載の車両のアンチスキッド制御装置において、前記制
御モード変更手段は、前輪に対してのみ前記制御モード
の変更をすることを特徴とする。
【0020】この請求項5記載の装置によれば、「まだ
ら路面」であっても、後輪については通常のアンチスキ
ッド制御が実行され、前輪についてだけロック傾向を強
くしたアンチスキッド制御が実行される。後輪がロック
し難いことから、特に車両の横滑りの様な現象を抑える
ことができる。従って、この請求項5記載の装置によれ
ば、車両のスピンは的確に抑えつつ、「まだら路面」の
特性を活かした制動をかけることができる。
【0021】また、請求項6記載の車両のアンチスキッ
ド制御装置は、請求項5記載の車両のアンチスキッド制
御装置において、前記制御モード変更手段は、左右一方
の前輪を前記ロック傾向を強くした制御モードにすると
き、他方の前輪に対してはロック傾向を強くしない制御
モードで制御することを特徴とする。
【0022】この装置によれば、車両の左右前輪の内の
一方だけがロック傾向を強くされるだけなので、他方の
ロック傾向の小さい車輪の作用・効果によって、ハンド
ル操作に対する操縦性能は維持したまま、ロック傾向の
強い車輪の作用・効果によって制動距離を短くすること
が可能である。
【0023】また、請求項7記載の車両のアンチスキッ
ド制御装置は、請求項1〜請求項6のいずれか記載の車
両のアンチスキッド制御装置において、前記制御モード
変更手段は、通常の制御モードでブレーキ圧を減圧すべ
き時期に増圧を行うことで前記ロック傾向を強くした制
御モードを実現することを特徴とする。
【0024】この装置によれば、通常の制御で減圧をす
べきとき、例えば「まだら路面」の氷部分を通過すると
きに、増圧をする。これによって、氷部分を通過する際
の車輪速度の上昇がなくなるかあるいは上昇が抑制され
ることになり、アスファルト部分へ抜けた時の車輪速度
は十分に低くなる。この様に、請求項7記載の装置で
は、まだら路における氷部分を無視することができ、ア
スファルト部分での減速効果が有効に発揮されるように
なる。
【0025】また、請求項8記載の車両のアンチスキッ
ド制御装置は、請求項7記載の車両のアンチスキッド制
御装置において、前記増圧はパルス的に実行されること
を特徴とする。これによって、本来減圧されるべき条件
のときに一気に増圧されてしまうことがなく、車輪を完
全にロックする事態にはなり難い。従って、仮に「まだ
ら路面」ではなく、完全なアイスバーンであったとして
も、車輪の急なロックによる操縦の不安定化を招くとい
うことがない。
【0026】また、請求項9記載の車両のアンチスキッ
ド制御装置は、請求項1〜請求項8のいずれか記載の車
両のアンチスキッド制御装置において、前記制御モード
変更手段は、徐々にロック傾向を強くすることを特徴と
する。この請求項9記載の装置によれば、車速の低下と
共に車輪のロック傾向が強くなる。ところで、車速が低
下すればするほど、操縦安定性能はそれほど問題になら
なくなる。即ち、この請求項9記載の装置では、操縦安
定性能の必要性が小さくなるに連れて制動性能を強く
し、アンチスキッド制御本来の目的である操縦安定性能
の確保に影響を与えないように配慮しつつ最大限に制動
を効かすことができるのである。
【0027】また、請求項10記載の車両のアンチスキ
ッド制御装置は、請求項9記載の車両のアンチスキッド
制御装置において、前記制御モード変更手段が、通常の
制御モードでブレーキを減圧すべき時期に増圧を行うこ
とで前記ロック傾向を強くした制御モードを実現する場
合には、徐々にその増圧時間を長くすることによりロッ
ク傾向を徐々に強くすることを特徴とする。
【0028】この請求項10記載の装置によれば、ブレ
ーキ圧の増圧時間が徐々に長くして徐々にロック傾向を
強くすることで、請求項9記載の装置と同じく、車速が
低下して操縦安定性能の必要性が小さくなるに連れて制
動性能を強くし、アンチスキッド制御本来の目的である
操縦安定性能の確保に影響を与えないように配慮しつつ
最大限に制動を効かすことができる。
【0029】また、請求項11記載の車両のアンチスキ
ッド制御装置は、請求項1〜請求項6のいずれか記載の
車両のアンチスキッド制御装置において、前記制御モー
ド変更手段は、アンチスキッド制御の目標スリップ率を
大きくすることで前記ロック傾向を強くした制御モード
を実現することを特徴とする。
【0030】この装置によれば、目標スリップ率が大き
くなることによって自然に車輪のロック傾向が進むよう
にされるのである。目標スリップ率の変更によって制動
性能を高める構成であるので、車輪のスリップ率を目標
スリップ率に合わせるという制御事態を崩すことがな
く、アンチスキッド制御の通常の手法に則って「まだら
路面」での制動性能の確保を図ることができる。特に、
ロック傾向が予想に反して進みすぎるといったことを回
避し易い。
【0031】また、請求項12記載の車両のアンチスキ
ッド制御装置は、請求項11記載の車両のアンチスキッ
ド制御装置において、前記制御モード変更手段は、徐々
に目標スリップ率を大きくすることを特徴とする。この
場合、請求項9,10記載の装置と同様に、操縦安定性
能の必要性が小さくなるに連れて制動性能を強くし、ア
ンチスキッド制御本来の目的である操縦安定性能の確保
に影響を与えないように配慮しつつ最大限に制動を効か
すことができる。
【0032】また、請求項13記載の車両のアンチスキ
ッド制御装置は、請求項1〜請求項6のいずれか記載の
車両のアンチスキッド制御装置において、前記制御モー
ド変更手段は、ロック傾向の小さい車輪に対するブレー
キ圧と同じになるように当該車輪よりもロック傾向の大
きい車輪のブレーキ圧を調整することで前記制御モード
の変更を実現する。即ち、いわゆるハイセレクト制御を
実行するのである。
【0033】ハイセレクト制御によると、車両は最もロ
ック傾向の小さい車輪のブレーキ圧に合わされるので、
ロック傾向の強い方の車輪のブレーキ圧はさらに増圧方
向へと調整され易くなる。この結果、車両全体として見
たときにロック傾向が強くなり、「まだら路面」でのア
スファルト部分の活用が図られることになる。
【0034】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面に基づき説明す
る。まず図1は本発明が適用された実施例のアンチスキ
ッド制御装置全体の構成を表わす概略構成図である。な
お、本実施例はフロントエンジン・リアドライブの四輪
車に本発明を適用した例である。
【0035】図1に示す如く、車両の右前輪1,左前輪
2,右後輪3及び左後輪4の各々には、各車輪1〜4の
回転に応じたパルス信号(回転速度信号)を発生する回
転速度センサ5,6,7,8が配設されている。これら
回転速度センサ5〜8としては、例えば、電磁式、磁気
抵抗式等のものが用いられる。
【0036】また各車輪1〜4には、それぞれ、ホイー
ルシリンダ11,12,13,14が配設されている。
これら各ホイールシリンダ11〜14は、マスターシリ
ンダ16からの油圧を受けて油圧ブレーキ装置を作動さ
せる。このマスターシリンダ16からの油圧は、アクチ
ュエータ21,22,23,24を介して各ホイールシ
リンダ11〜14に送られる。マスターシリンダ16の
油圧は、運転者によるブレーキペダル25の踏み込み具
合いに対応して増減する。このブレーキペダル25に
は、その踏込状態を検出して、制動時にはオン信号を、
非制動時にはオフ信号を出力するストップスイッチ26
が設けられている。
【0037】ここで、上記各アクチュエータ21〜24
は、電磁式の三位置弁からなり、非通電時にはそれぞれ
図示の状態(A位置)に制御される。一方、通電時に
は、その電流レベルに応じて、B位置又はC位置に切り
換えられる。各アクチュエータ21〜24がA位置にあ
るとき、マスターシリンダ16と各ホイールシリンダ1
1〜14とが連通し、ホイールシリンダ11〜14のブ
レーキ油圧はマスターシリンダ16の油圧の増減に一対
一で対応した状態となる。制動時であればマスターシリ
ンダ16の油圧に対応してブレーキ油圧を増圧する増圧
モードが実行される。
【0038】一方、各アクチュエータ21〜24がB位
置に切り換えられるとホイールシリンダ11〜14には
ブレーキ油が出入りできなくなり、ブレーキ油圧を保持
する保持モードが実行される。また、各アクチュエータ
21〜24がC位置に切り換えられると、ホイールシリ
ンダ11〜14からリザーバ28a,28bへとブレー
キ油が逃げ出し、ブレーキ油圧を減圧する減圧モードが
実行される。
【0039】なお、減圧モードに切り換えられてリザー
バ28a,28bに逃されたブレーキ油は、油圧ポンプ
27a,27bによってマスターシリンダ16側へと戻
される様になっている。これは、減圧モードから増圧モ
ードへ切り換えられたときに直ちにブレーキ油圧の増圧
を開始できるように油圧回路内のブレーキ油の量を確保
しておくためである。
【0040】各アクチュエータ21〜24を増圧モー
ド、減圧モード、保持モードの何れかに制御するモード
切換は、電子制御回路40により実施されている。電子
制御回路40は、CPU、ROM、RAM、入出力イン
ターフェース等からなるマイクロコンピュータから構成
されており、イグニッションスイッチ41のオン時に電
源供給を受けて動作する。電子制御回路40には、各車
輪の回転速度センサ5〜8及びストップスイッチ26か
らの信号も入力されている。そして、電子制御回路40
は、これら回転速度センサ5〜8及びストップスイッチ
26からの信号を受け、これら各信号に基づき制動力制
御のための演算処理を行い、上記各アクチュエータ21
〜24の弁位置(モード)を切り換えている。
【0041】以下に、この電子制御回路40にて実行さ
れる演算処理について図2及び図3のフローチャートに
沿って説明する。まず図2は電子制御回路40にて実行
されるメインルーチンの処理内容を表すフローチャート
である。
【0042】図2に示す如く、イグニッションスイッチ
41がオンされると、まず、メモリクリア、フラグリセ
ット等の初期化処理を行う(ステップ100)。次に、
各回転速度センサ5〜8からの回転速度信号を読み込み
(ステップ110)、この読み込んだ回転速度信号に基
づき、各車輪1〜4の回転速度(以下、車輪速度とい
う。)VWFR ,VWFL,VWRR,VWRL 及びこれを微分し
た各車輪1〜4の回転加速度(以下、車輪加速度とい
う。)DVWFR ,DVWFL,DVWRR,DVWRL を演算す
る(ステップ120)。なお、上記車輪速度VW 及び車
輪加速度DVW に付した添え字、FR,FL,RR,RLは、そ
れぞれ、その値が右前輪1,左前輪2,右後輪3,左後
輪4の値であることを表わし、以下の説明においても、
各車輪毎に求められる値には、この添え字を付して表わ
す。
【0043】次に、各車輪1〜4の車輪速度VWFR〜WRL
の内の最大速度VWmaxに基づき、推定車体速度VB を演
算する(ステップ130)。なお、この処理は、例え
ば、各車輪1〜4の車輪速度VWFR〜VWRLの内の最大速
度VWmaxが、前回求めた推定車体速度VB(n-1)に所定値
を加えた加速限界値Vαから、推定車体速度VB(n-1)か
ら所定値を減じた減速限界値Vβまでの範囲内にあるか
否かを判断し、最大速度VWmaxが加速限界値Vαから減
速限界値Vβまでの範囲内にあれば、最大速度VWmaxを
そのまま推定車体速度VB として設定し、最大速度VWm
axが上記加速限界値Vαを越えていれば、この加速限界
値Vαを推定車体速度VB として設定し、最大速度VWm
axが減速限界値Vβを下回っていれば、その減速限界値
Vβを推定車体速度VB として設定する、といった従来
より周知の手順で実行される。
【0044】こうして推定車体速度VB が求められる
と、今度は各車輪1〜4毎にスリップ率判定用の制御基
準値を設定するのに使用する旋回補正値△VWOFR,△V
WOFL,△VWORR,△VWORLを演算する(ステップ14
0)。この旋回補正値△VWOFR〜△VWORLは、車両の旋
回時に各車輪1〜4の取付け位置での車体速度が上記ス
テップ130で求めた推定車体速度VB からずれるため
に設定される値であり、本実施例では、非制動時である
ストップスイッチ26のオフ時に、左・右後輪3,4の
車輪速度VWRL,VWRRの内の大きい方の値VWRmax と各
車輪1〜4の車輪速度VWFR〜VWRLとの差を求めること
によって設定される。
【0045】つまり非制動時には、各車輪1〜4の車輪
速度VWFR〜VWRLがその取付け位置の車体速度と一致
し、しかも車両の旋回時には旋回内側車輪の車輪速度が
旋回外側車輪の車輪速度よりも小さくなるため、ステッ
プ140において、車両の非制動時に、左・右後輪3,
4の車輪速度VWRL,VWRRの内の大きい方の値VWRmax
を基準に、各車輪1〜4の車輪速度VWFR〜VWRLとのず
れを求めることによって、制動開始直前の車両の旋回角
度に応じた各車輪位置での車体速度のずれを求め、これ
を各車輪1〜4の旋回補正値△VWOFR〜△VWORLとして
設定するのである。
【0046】またこうして各車輪1〜4の旋回補正値△
VWOFR〜△VWORLが求められると、今度は、推定車体速
度VB から旋回補正値△VWOFR〜△VWORLを減じること
により、各車輪1〜4の取付け位置での車体速度に対応
した制御基準値VWOFR,VWOFL,VWORR,VWORRを演算
する(ステップ150)。
【0047】続いて、この各車輪1〜4の制御基準値V
WOFR〜VWORL、各車輪1〜4の車輪速度VWFR〜VWRL及
び車輪加速度DVWFR〜DVWRLに基づき、各車輪1〜4
毎に、車両制動時のスリップ状態を判定し、ブレーキ油
圧を制御する油圧制御処理を実行し、再度ステップ11
0に移行する(ステップ160)。
【0048】次に、上記ステップ160にて各車輪1〜
4毎に実行される油圧制御処理を図3に示すフローチャ
ートに沿って説明する。なお、ステップ160では、車
両の各車輪1〜4毎に油圧制御処理を実行するが、この
処理は各車輪1〜4毎に全く同様に行われるため、以下
の説明では一つの車輪に対して実行される油圧制御処理
のみを説明する。また、以下の説明において取り扱う値
については、現在制御対象となっている車輪の値である
ため、車輪を表す添え字FR〜RLは省略する。
【0049】この油圧制御処理は、ストップスイッチ2
6がオン状態であるとき、つまり車両制動時に実行され
るものであり、処理が開始されると、まず、現在制御対
象となっている車輪に対して車輪速度VW が目標スリッ
プ率に対応する速度VS より小さいか否かを判定する
(ステップ200)。VW ≧VS のときには、車輪が目
標スリップ率よりも小さいスリップ率で回転していると
いえるので、ブレーキ圧の増圧モードが実行される(ス
テップ210)。この増圧モードでは、ストップスイッ
チ26がオン状態になってから初めてVW <VS となる
までは単純な増圧が出力され、ブレーキ踏圧に応じて上
昇し、2回目以降、即ちアンチスキッド制御が開始され
た後は、図5(A)に示すように、周期a,デューティ
比a/bの増圧パルスが出力され、ブレーキ圧が徐々に
上昇する。
【0050】一方、VW <VS のときには、さらに車輪
加速度DVW が所定の基準減速度KDVより小さいか否
か、即ち車輪が基準減速度KDVより大きな減速度で減
速しているか否かを判断する(ステップ220)。この
ステップ220にて「NO」と判定されたとき、即ちD
VW ≧KDVであるときには、車輪は路面にしっかりと
接地しておりスリップが発生する虞はないと判断するこ
とができるので、ブレーキ圧をそのままに保持する保持
モードが実行される(ステップ230)。
【0051】一方、ステップ220にて「YES」と判
定されたとき、即ちDVW <KDVであるときには、減
圧モードが実行される(ステップ240)。この減圧モ
ードでは、図4に示すような処理が実施される。減圧モ
ードでは、まず、推定車体速度VB が所定の基準速度V
o よりも小さくなっているか否かが判定される(ステッ
プ300)。VB ≧Vo ならば、減圧モード回数NR を
0にクリアし(ステップ310)、所定の減圧出力を行
う(ステップ320)。
【0052】一方、VB <Vo ならば、前回に減圧モー
ドであったか否かが判定される(ステップ330)。そ
して、前回減圧モードでなかったときにだけ減圧モード
回数NR がインクリメントされる(ステップ340)。
即ち、増圧若しくは保持モードから、減圧モードに切り
換ったときにNR がインクリメントされる。前回減圧モ
ードであったときには、ステップ340はパスされる。
ステップ330,340を実施するのは、VB <Vo と
なってから何回の制御サイクルが実行されたかを検知す
るためのステップである。
【0053】こうしてステップ330,340を経た後
は、油圧急増の出力要求時間TL を算出する(ステップ
350)。ここで、油圧急増出力は、図5(B)に示す
様に、周期がd,デューティ比がc/dのパルス出力と
して与えられる。同図(A)の通常の増圧パルスよりも
デューティ比が大きくなっている(c/d>a/b)。
そして、TL は、この油圧急増出力を続ける時間であ
り、図6に記載のマップから求めることができる。この
マップでは、減圧モードがN1 回実行されるまではTL
=0に設定されており、その後のN1 〜N2 回の間はN
R に比例してTLが長くなり、N2 以上ではTL =(一
定)とされる。
【0054】こうしてTL が算出できたら、今度は、制
御対象車輪が前輪か否かを判定する(ステップ36
0)。前輪でないときには、減圧出力が実行される(ス
テップ320)。しかし、前輪であるときには、他方の
前輪が油圧急増出力中であるか否かが判定される(ステ
ップ370)。この判定では、他方の前輪が油圧急増出
力中ならば減圧出力(ステップ320)へ進むようにな
っている。他方の前輪が油圧急増制御のときには、油圧
急増制御へと移行することなく減圧出力が実行される。
一方、他方の前輪が油圧急増制御ではないという場合に
は、さらに、TL が経過したか否かが判定される(ステ
ップ380)。そして、未だTL になっていないときに
は、デューティ比c/dの油圧急増信号を出力する油圧
急増出力が実行される(ステップ390)。
【0055】こうして、VB <Vo であり、かつ前輪で
あって他方の前輪には油圧急増制御が実施されていない
ときに初めて、時間TL に渡って油圧急増制御によるロ
ック傾向の強化が行われる。次に、本実施例による作用
・効果をタイムチャートを用いて説明する。図7がその
タイムチャートである。
【0056】図の様に、車両に制動がかけられてアンチ
スキッド制御が開始されると、前輪の車輪速度VWFR ,
VWFL は推定車体速度VB に対して目標スリップ率20
%に相当する目標車輪速度VS に収束させるべく油圧の
増減が繰り返される。この油圧の増減は、減圧を素早
く、増圧はゆっくりと実行するように制御される。
【0057】そして、推定車体速度VB が基準速度Vo
より小さくなると、NR のカウントアップを開始する。
図7の例は、図6のマップでのN1 を5回とした場合を
示しており、NR =1〜5の間は、Vo よりも車速が大
きいときの制御と同様の制御が繰り返される。
【0058】一方、NR =6になると、油圧の急増制御
が開始される。この例では、左右前輪の内の右前輪の方
の車輪速度VWFR の落込みが早く、まず右前輪について
油圧急増制御が行われる。ステップ370によって前輪
の片方だけについてしか油圧急増制御を行わないように
構成されているので、NR =6であっても左前輪につい
てはそれまでと同様の減圧出力が実施される。
【0059】このNR =6での油圧急増制御は、図6の
マップから得られるTL =f(6)に渡って実施され、
右前輪の車輪速度VWFR は大きく減速されることにな
る。そして、TL が経過すると、今度はブレーキ油圧の
減圧出力(ステップ320)の方が実行され、車輪の減
速度が基準減速度KDV以上になると保持モード(ステ
ップ230)に移行する。その後、車輪速度VWFR が目
標車輪速度VS を越えた時点から増圧モード(ステップ
210)となり、ブレーキ油圧がゆっくりと上昇されて
いく。
【0060】この間に、左前輪の車輪速度VWFL が再び
目標車輪速度VS を切るようになる。これによってNR
が7となると共に、今度は左前輪の方に油圧急増制御が
開始される。今回の油圧急増の出力要求時間TL はNR
=7に対応した時間f(7)となるので、先ほどの右前
輪に対するときよりも長時間に渡ってブレーキ油圧が増
大される。この結果、図の例では左前輪は一旦ロックさ
れている。
【0061】右前輪では、この左前輪からやや遅れてN
R =7のタイミングとなり、減圧モードへ移行する。そ
して、TL =f(7)に対応した期間の油圧急増制御が
行われる。以下、左前輪、右前輪と油圧急増制御が片方
の車輪ずつ繰り返し実行されることになる。
【0062】以上の結果、本実施例によれば、左右前輪
のいずれかのロック傾向が強くなり、氷部分とアスファ
ルト部分とが混在する「まだら路面」では、その氷部分
でスリップが大きくなっても油圧急増制御によって左右
前輪の1輪はロック傾向の強い状態にされるので、アス
ファルト部分での減速を十分に獲得することができる。
また、このとき、他方の前輪は油圧急増制御が行われて
いないので、左右前輪が同時にロックすることはない。
従って、常に前輪のいずれかはハンドル操作に対する追
従性を確保でき、操縦の安定性を損なうことがない。
【0063】なお、「まだら路面」ではない完全なドラ
イアスファルト道路の場合には、氷部分の様なスリップ
原因がないので、車体速度VB が基準速度Vo を切って
から6回も減圧タイミングが到来する前に停車すること
が多い。従って、ドライアスファルト路面では、上述の
様な油圧急増制御とは無関係に通常のアンチスキッド制
御だけで車両を良好に停車させることができる。この様
に、実施例で図6のマップを設定するに当り、NR =6
から実質的に油圧の急増制御を開始するようにしている
のは、こうした油圧急増制御が必要でありかつ有効に作
用する低μ路(特に「まだら路」)を走行しているのか
否かを区別する意味もある。
【0064】次に、第2実施例について説明する。第2
実施例は、油圧制御ルーチンの内容を上述の実施例(以
下、第1実施例という)と変えたものである。第2実施
例では、VW ≧VS のときに増圧モードを実行し(ステ
ップ400→410)、VW <VS かつDVW <KDV
のときに減圧モードを実行し(ステップ400→420
→430)、それ以外のときには保持モードを実行する
(ステップ400→420→440)。ここまでは、従
来のアンチスキッド制御と変わりがない。
【0065】しかし、第2実施例の油圧制御ルーチンで
は、さらに、路面摩擦係数が低い低μ路であるか否かを
判定し(ステップ450)、低μ路でなければ前輪の制
御を独立とし(ステップ460)、低μ路であるなら前
輪の制御をハイセレクトモードに変更する(ステップ4
70)。ここで、フロントハイセレクトモードとは、左
右前輪の内、ロック傾向の小さい方の前輪の制御状態に
合わせて他方の前輪も同じモードで制御をすることを内
容としている。従って、例えば左前輪は本来減圧モード
にあっても、右前輪が増圧モードにあるときには左前輪
が強制的に増圧モードに制御されることになる。この結
果、前輪は一方は通常の制御状態にあっても、他方は通
常よりもロック傾向の強い制御状態となり、特に、「ま
だら路面」で片輪のロック傾向が強くなったとき、当該
車輪は他方の車輪の影響によってよりロック傾向を強め
られる。従って、このロック傾向が通常よりも強められ
た車輪がアスファルト部分に来ると、アスファルトによ
る減速をしっかりと受けることができ、「まだら路面」
における車両の制動性能を増大させることができる。
【0066】この様に、各実施例によれば、氷部分とア
スファルト部分とが混在する冬期の市街地路面状況にお
いて、アスファルト部分による減速性能を十分に活かし
て、運転者が目でみた道路状況にマッチした感覚で車両
を制動することができる。この結果、運転者は違和感な
くしっかりとブレーキを踏むことができ、また、制動距
離も短くなる。しかも、前輪だけに油圧急増制御やハイ
セレクト制御を行うので、後輪は従来通りにロックを確
実に防止され、スピンなどの発生もない。さらに、ロッ
ク傾向を強めるのは前輪の片方だけにしているので、左
右前輪が同時にロックされることはなく、停車までの操
縦安定性能も損なうことがない。
【0067】以上実施例について説明したが、本発明は
これに限定されるものではなく、種々なる態様を採用し
得る。例えば、油圧制御条件を変えるのではなく、図9
に示した様に、VB <Vo となっても何度も減速モード
が到来する低μ路(まだら路面)では、徐々に目標スリ
ップ率を大きくしてVS のラインを変化させるようにし
てもよい。この場合、車輪のスリップ率を目標スリップ
率に合わせるという制御事態を崩すことなく、「まだら
路面」での制動性能の確保を図ることができる。特に、
ロック傾向が予想に反して進みすぎるといったことを回
避し易い。加えて、徐々に目標スリップ率を大きくする
構成なので、操縦安定性能の必要性が小さくなるに連れ
て制動性能を強くし、アンチスキッド制御本来の目的で
ある操縦安定性能の確保に悪影響を与えないように配慮
しつつ最大限に制動を効かすことができる。なお、この
場合、車輪速度の制御基準VS の変更に対応して車輪加
速度の制御基準も同様にスリップ率が大きくなるように
変更してもよいことはいうまでもない。
【0068】また、実施例では、減圧モードの実行回数
が5回を越えたときに油圧急増制御を実行するようにし
たが、推定車体速度VB が基準速度Vo を切ってから所
定時間経過するのを待って油圧急増制御を実行するよう
にしてもよいし、油圧急増制御の対象を両前輪同時にし
ても構わないし、4輪全てを対象にしても構わない。
「まだら路面」での制動性能の点では、4輪全てがロッ
クした方がより効果が高くなり、低速になっていること
からスピンの虞や操縦の不安定化といった虞はほとんど
ないから、こうした変形をしても構わないのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例のアンチスキッド制御装置全体の構成
を表わす概略構成図である。
【図2】 電子制御回路にて実行されるメインルーチン
の処理内容を表すフローチャートである。
【図3】 図2のステップ160にて実行される油圧制
御処理を表わすフローチャートである。
【図4】 図3のステップ240にて実行される減圧モ
ード処理を表わすフローチャートである。
【図5】 通常の増圧出力と油圧急増制御での増圧出力
とを示す説明図である。
【図6】 油圧急増制御に用いる減圧モード回数と増圧
出力の要求時間との関係を示すマップである。
【図7】 実施例の制御結果を表わすタイムチャートで
ある。
【図8】 第2実施例の油圧制御処理を表わすフローチ
ャートである。4輪全てがスリップしてしまう様な条件
下での制御結果を表わすタイムチャートである。
【図9】 変形例の制御状態を示すタイムチャートであ
る。
【図10】 従来の問題点を示す説明図である。
【符号の説明】
1〜4・・・車輪、5〜8・・・回転速度センサ、11
〜14・・・ホイールシリンダ、16・・・マスターシ
リンダ、21〜24・・・アクチュエータ、25・・・
ブレーキペダル、26・・・ストップスイッチ、27
a,27b・・・油圧ポンプ、28a,28b・・・リ
ザーバ、40・・・電子制御回路、41・・・イグニッ
ションスイッチ。
フロントページの続き (72)発明者 水谷 淳司 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両制動時に各車輪がアンチスキッド制
    御条件になったか否かを判定するアンチスキッド条件判
    定手段と、 アンチスキッド制御条件になったと判定された車輪のブ
    レーキ圧を調整して当該車輪の減速の状態を制御するア
    ンチスキッド制御手段とを備えた車両のアンチスキッド
    制御装置において、 車両の走行路面が低摩擦路か否かを判断する判断手段
    と、 該判断手段によって低摩擦路と判断されたときには、少
    なくとも1の車輪に対しては、前記アンチスキッド制御
    手段による制御モードを車輪のロック傾向を強くするモ
    ードへと変更する制御モード変更手段とを備えることを
    特徴とする車両のアンチスキッド制御装置。
  2. 【請求項2】 車両制動時に各車輪がアンチスキッド制
    御条件になったか否かを判定するアンチスキッド条件判
    定手段と、 アンチスキッド制御条件になったと判定された車輪のブ
    レーキ圧を調整して当該車輪の減速の状態を制御するア
    ンチスキッド制御手段とを備えた車両のアンチスキッド
    制御装置において、 前記アンチスキッド制御手段によるブレーキ圧の調整が
    所定期間実行された後は、少なくとも1の車輪に対して
    は、該アンチスキッド制御手段による制御モードを車輪
    のロック傾向を強くするモードに変更する制御モード変
    更手段を備えることを特徴とする車両のアンチスキッド
    制御装置。
  3. 【請求項3】 車両制動時に各車輪がアンチスキッド制
    御条件になったか否かを判定するアンチスキッド条件判
    定手段と、 アンチスキッド制御条件になったと判定された車輪のブ
    レーキ圧を調整して当該車輪の減速の状態を制御するア
    ンチスキッド制御手段とを備えた車両のアンチスキッド
    制御装置において、 前記アンチスキッド制御手段によるブレーキ圧の増圧と
    減圧とからなる制御サイクルが所定回数実行された後
    は、少なくとも1の車輪に対しては、該アンチスキッド
    制御手段による制御モードを車輪のロック傾向を強くす
    るモードに変更する制御モード変更手段を備えることを
    特徴とする車両のアンチスキッド制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜請求項3のいずれか記載の車
    両のアンチスキッド制御装置において、さらに、車両の
    速度が所定値以下でのみ前記制御モード変更手段を作動
    させる作動速度制限手段をも備えることを特徴とする車
    両のアンチスキッド制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜請求項4のいずれか記載の車
    両のアンチスキッド制御装置において、前記制御モード
    変更手段は、前輪に対してのみ前記制御モードの変更を
    することを特徴とする車両のアンチスキッド制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の車両のアンチスキッド制
    御装置において、前記制御モード変更手段は、左右一方
    の前輪を前記ロック傾向を強くした制御モードにすると
    き、他方の前輪に対してはロック傾向を強くしない制御
    モードで制御することを特徴とする車両のアンチスキッ
    ド制御装置。
  7. 【請求項7】 請求項1〜請求項6のいずれか記載の車
    両のアンチスキッド制御装置において、前記制御モード
    変更手段は、通常の制御モードでブレーキ圧を減圧すべ
    き時期に増圧を行うことで前記ロック傾向を強くした制
    御モードを実現することを特徴とする車両のアンチスキ
    ッド制御装置。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の車両のアンチスキッド制
    御装置において、前記増圧はパルス的に実行されること
    を特徴とする車両のアンチスキッド制御装置。
  9. 【請求項9】 請求項1〜請求項8のいずれか記載の車
    両のアンチスキッド制御装置において、前記制御モード
    変更手段は、徐々にロック傾向を強くすることを特徴と
    する車両のアンチスキッド制御装置。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の車両のアンチスキッド
    制御装置において、前記制御モード変更手段が、通常の
    制御モードでブレーキを減圧すべき時期に増圧を行うこ
    とで前記ロック傾向を強くした制御モードを実現する場
    合には、徐々にその増圧時間を長くすることによりロッ
    ク傾向を徐々に強くすることを特徴とする車両のアンチ
    スキッド制御装置。
  11. 【請求項11】 請求項1〜請求項6のいずれか記載の
    車両のアンチスキッド制御装置において、前記制御モー
    ド変更手段は、アンチスキッド制御の目標スリップ率を
    大きくすることで前記ロック傾向を強くした制御モード
    を実現することを特徴とする車両のアンチスキッド制御
    装置。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の車両のアンチスキッ
    ド制御装置において、前記制御モード変更手段は、徐々
    に目標スリップ率を大きくすることを特徴とする車両の
    アンチスキッド制御装置。
  13. 【請求項13】 請求項1〜請求項6のいずれか記載の
    車両のアンチスキッド制御装置において、前記制御モー
    ド変更手段は、ロック傾向の小さい車輪に対するブレー
    キ圧と同じになるように当該車輪よりもロック傾向の大
    きい車輪のブレーキ圧を調整することで前記制御モード
    の変更を実現することを特徴とする車両のアンチスキッ
    ド制御装置。
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