JP2704770B2 - 車両のトラクション制御方法 - Google Patents

車両のトラクション制御方法

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【発明の詳細な説明】 A.発明の目的 (1) 産業上の利用分野 本発明は、駆動状態で駆動輪がスリップ傾向にあると
判断したときに駆動輪用ブレーキ装置にブレーキ力を発
生させる車両のトラクション制御方法に関する。
(2) 従来の技術 従来、かかるトラクション制御方法は、たとえば米国
特許3893535号公報、特開昭64−44369号公報等により公
知である。
(3) 発明が解決しようとする課題 上記従来のものでは、左、右駆動輪用ブレーキの制動
油圧を独立制御するモードと、左、右駆動輪用ブレーキ
装置の制動油圧を一括制御するモードとを制御手段を用
いて選択的に切換制御するようにしている。
ところで、左、右駆動輪用ブレーキ装置を独立制御す
ると、両駆動輪間の差動制限効果により充分な駆動力を
確保することができるが、左、右駆動輪のトルク変動が
左、右無関係に生じて車体振動が生じるおそれがある。
一方、左、右駆動輪用ブレーキ装置を一括制御すると、
前記車体振動が生じる心配はないが、駆動力の確保が不
充分となる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、
駆動力および安定性の調和を確保しつつ、左、右駆動輪
用ブレーキ装置を制御するようにした車両のトラクショ
ン制御方法を提供することを目的とする。
B.発明の構成 (1) 課題を解決するための手段 上記目的を達成するために本発明方法は、駆動状態で
の駆動輪がスリップ傾向にあると判断したときに左、右
駆動輪用ブレーキ装置にブレーキ力を発生させ、その
左、右駆動輪用ブレーキ装置のブレーキ力を個別に制御
する独立制御モードと、左、右駆動輪用ブレーキ装置の
ブレーキ力を一括制御する一括制御モードと制御手段を
用いて選択的に切換制御するようにした、車両のトラク
ション制御方法において、トラクション制御開始時から
一定時間が経過するまでは、前記独立制御モードを選定
保持することを第1の特徴とし、また、駆動状態での駆
動輪がスリップ傾向にあると判断したときに左、右駆動
輪用ブレーキ装置にブレーキ力を発生させ、その際に
左、右駆動輪用ブレーキ装置のブレーキ力を個別に制御
する独立制御モードと、左、右駆動輪用ブレーキ装置の
ブレーキ力を一括制御する一括制御モードとを左、右駆
動輪のスリップ状態に応じて選択的に切換える、車両の
トラクション制御方法において、トラクション制御開始
時から一定時間が経過するまでは、前記スリップ状態に
関係なく前記独立制御モードとすることを第2の特徴と
する。
(2) 作用 トラクション制御開始時には駆動輪の過剰スリップ状
態を解消して駆動力を充分に確保することがより重要で
ある一方、車体振動の原因となる左、右駆動輪の回転速
度変化の位相ずれは生じにくいので、このようなトラク
ション制御開始時に特に独立制御モードを選定保持した
ことで、車体振動を効果的に回避しつつ左,右駆動輪の
駆動力を充分に確保することができる。
(3) 実施例 以下、図面により本発明をフロントエンジン・フロン
トドライブ車両に適用したときの一実施例について説明
すると、先ず第1図において、車両の左前輪および右前
輪には左駆動輪用ブレーキ装置BFLおよび右駆動輪用ブ
レーキ装置BFRがそれぞれ装着され、左後輪および右後
輪には左従動輪用ブレーキ装置BRLおよび右従動輪用ブ
レーキ装置BRRがそれぞれ装着される。一方、ブレーキ
ペダル1には、該ブレーキペダル1の踏込み量に応じて
油圧供給源2からの油圧を制御して出力可能な制動油圧
発生手段3が連結されており、通常制動時には、該制動
油圧発生手段3の出力油圧が各ブレーキ装置BFL,BFR,B
RL,BRRに与えられる。また両駆動輪用ブレーキ装置BFL,
BFRに個別に対応して設けられる流入電磁弁4FL,4FRおよ
び流出電磁弁5FL,5FR、ならびに両従動輪用ブレーキ装
置BRL,BRRに共通に設けられる流入電磁弁4Rおよび流出
電磁弁5Rにより、各ブレーキ装置BFL,BFR,BRL,BRRの制
動油圧を保持あるいは減圧してアンチロック制御を行な
うことができ、またトラクション制御用常開型電磁弁6
および常閉型電磁弁7ならびに前記流入電磁弁4FL,4FR
および流出電磁弁5FL,5FRにより両駆動輪用ブレーキ装
置BFL,BFRの制動油圧を増大してトラクション制御を行
なうことができる。
油圧供給源2は、リザーバRから作動油を汲上げる油
圧ポンプPと、その油圧ポンプPに接続されるアキュム
レータAと、油圧ポンプPの作動を制御するための圧力
スイッチSとを備える。
制動油圧発生手段3は、油圧供給源2に通じる入力ポ
ート3aと、出力ポート3bと、リザーバRに通じる解放ポ
ート3cとを有し、出力ポート3bおよび入力ポート3a間の
連通と出力ポート3bおよび解放ポート3c間の連通とをブ
レーキペダル1の踏込みに応じて切換えることにより、
ブレーキペダル1の踏込み量に応じた油圧を出力ポート
3bから出力すべく構成される。
一方、各ブレーキ装置BFL,BFR,BRL,BRRは、シリンダ
体8と該シリンダ体8内に摺動可能に嵌合される制動ピ
ストン9とをそれぞれ備え、シリンダ体8および制動ピ
ストン9間に画成された制動油圧室10に作用する油圧に
応じて制動ピストン9の移動により制動力を発揮すべく
構成される。
両駆動輪用ブレーキ装置BFL,BFRの制動油圧室10に
は、流入電磁弁4FL,4FRおよび流出電磁弁5FL,5FRが並列
してそれぞれ接続され、両従動輪用ブレーキ装置BRL,B
RRには流入電磁弁4Rおよび流出電磁弁5Rが並列して接続
される。而して流入電磁弁4FL,4FR,4Rはソレノイド
4FLS,4FRS,4RSの励磁時に遮断する常開型電磁弁であ
り、また流出電磁弁5FL,5FR,5Rはソレノイド5FLS,5FRS,
5RSの励磁時に連通する常閉型電磁弁である。しかも流
入電磁弁4FL,4FRは駆動輪用ブレーキ装置BFL,BFRの制動
油圧室10および油路11間に介設され、流出電磁弁5FL,5
FRは駆動輪用ブレーキ装置BFL,BFRの制動油圧室10およ
びリザーバR間に介設され、流入電磁弁4Rは両従動輪用
ブレーキ装置BRL,BRRの制動油圧室10および制動油圧発
生手段3の出力ポート3b間に介設され、流出電磁弁5R
両従動輪用ブレーキ装置BRL,BRRの制動油圧室10および
リザーバR間に介設される。
前記油路11および制動油圧発生制動油圧室3の出力ポ
ート3b間にはトラクション制御用常開型電磁弁6が介設
され、油路11および油圧供給源2間にはトラクション制
御用常閉型電磁弁7が介設される。
各電磁弁4FL,4FR,4R,5FL,5FR,5R,6,7におけるソレノ
イド4FLS,4FRS,4RS,5FLS,5FRS,5RS,6S,7Sの励磁および
消磁は制御手段12により制御されるものであり、通常の
状態では各ソレノイド4FLS,4FRS,4RS,5FLS,5FRS,5RS,
6S,7Sは消磁状態にある。而して制動操作時のアンチロ
ックブレーキ制御にあたっては、ロックしそうになって
いる車輪に対応する流入電磁弁4FL,4FR,4R,が遮断状態
となり、これにより車輪がロック状態になることを回避
すべく制動力の増大が抑えられるが、これでも車輪がロ
ック状態に入りそうであるときには対応する流出電磁弁
5FL,5FR,5Rが連通状態となることによりブレーキ力が低
下され、それにより車輪のロック傾向を解消することが
できる。
駆動輪が過剰スリップを生じそうになったときには、
トラクション制御用常開型電磁弁6および常閉型電磁弁
7のソレノイド6S,7S、ならびに流入電磁弁4FL,4FRにお
けるソレノイド4FLS,4FRSおよび流出電磁弁5FL,5FRにお
けるソレノイド5FLS,5FRSの励磁および消磁状態が制御
手段12により切換制御され、それにより左、右前輪用ブ
レーキ装置BFL,BFRのブレーキ力が増・減制御される。
すなわちソレレノイド4FLS,4FRS,FLS,5FRSを消磁状態
としたままソレノイド6S,7Sを励磁して常開型電磁弁6
を閉弁するとともに常閉型電磁弁7を開弁すると、油圧
供給源2からの油圧が駆動輪用ブレーキ装置BFL,BFR
制動油圧室10に作用してブレーキ力が急激に増大する。
また常開型電磁弁6を閉弁するとともに常閉電磁弁7を
開弁した状態で、ソレノイド5FLS,5FRSを消磁状態とし
て流出電磁弁5FL,5FRを閉じたままソレノイド4FLS,4FRS
を断続的に励磁して流入電磁弁4FL,4FRを断続的に開弁
すると制動油圧室10の油圧が緩やかに増大して各ブレー
キ装置BFL,BFRによるブレーキ力が緩やかに増大し、常
開型電磁弁6を閉弁するとともに常閉型電磁弁7を開弁
した状態で、ソレノイド4FLS,4FRSを励磁し、ソレノイ
ド5FLS,5FRSを消磁状態として流入電磁弁4FL,4FRおよび
流出電磁弁5FL,5FRを閉じると制動油圧室10の油圧が保
持されて各ブレーキ装置BFL,BFRによるブレーキ力が保
持される。さらに、常開型電磁弁6を閉弁するとともに
常閉型電磁弁7を開弁した状態で、ソレノイド4FLS,4
FRSを励磁状態として流入電磁弁4FL,4FRを閉じるととも
にソレノイド5FLS,5FRSを励磁状態として流出電磁弁
5FL,5FRを開弁すると制動油圧室10の油圧を急激に解放
して各ブレーキ装置BFL,BFRによるブレーキ力を急激に
低下させることができ、常開型電磁弁6を閉弁するとと
もに常閉型電磁弁を開弁した状態で、ソレノイド4FLS,4
FRSを励磁状態として流入電磁弁4FL,4FRを閉じたままソ
レノイド5FLS,5FRSを断続的に励磁状態として流出電磁
弁5FL,5FRを断続的に開弁すると制動油圧室10の油圧を
緩やかに解放して各ブレーキ装置BFL,BFRによるブレー
キ力を緩やかに減少することができる。
すなわち、この油圧制御回路では、トラクション制御
時に各ソレノイド4FLS,4FRS,5FLS,5FRS,6S,7Sの励磁お
よび消磁状態を第1表で示すように切換制御することに
より、ブレーキ力を急激に増加させる急増加モードと、
ブレーキ力を緩やかに増加させる緩増加モードと、ブレ
ーキ力を保持する保持モードと、ブレーキ力を急激に減
少させる急減少モードと、ブレーキ力を緩やかに減少さ
せる緩減少モードとを切換えてブレーキ力の増・減制御
を行なうことができる。
制御手段12のトラクション制御に対応する部分の構成
を示す第2図において、制御手段12には、左、右駆動輪
すなわち左、右前輪の車輪速度を検出する車輪速度検出
器13FL,13FRと、左、右従動輪すなわち左、右後輪の車
輪速度を検出する車輪速度検出器13RL,13RRとが接続さ
れており、制御手段12は、それらの車輪速度検出器1
3FL,13FR,13RL,13RRの検出値により、左、右駆動輪用ブ
レーキ装置BFL,BFRに対応する流入電磁弁4FL,4FRのソレ
ノイド4FLS,4FRSおよび流出電磁弁5FL,5FRのソレノイド
5FLS,5FRS、ならびにトラクション制御用常開型電磁弁
6のソレノイド6Sおよびトラクション制御用常閉型電磁
弁7のソレノイド7Sの励磁・消磁を切換制御する。
制御手段12は、各車輪速度検出器13FL,13FR,13RL,13
RRにそれぞれ個別に接続されるフィルタ14FL,14FR,1
4RL,14RRと、フィルタ14RL,14RRに接続されるハイセレ
クト回路15と、ハイセレクト回路15に接続される低速側
基準速度設定回路16および高速側基準速度設定回路17
と、左、右駆動輪用ブレーキ装置BFL,BFRのブレーキ力
を個別に制御する独立制御モードならびに左、右駆動輪
用ブレーキ装置BFL,BFRのブレーキ力を一括制御する一
括制御モードを切換えるべくフィルタ14FL,14FRに接続
される切換回路18と、ソレノイド4FLS,5FLSに対応して
切換回路18ならびに低速側基準速度設定回路16および高
速側基準速度設定回路17に接続される左前輪ブレーキ力
制御部20Lとソレノイド4FRS,5FRSに対応して切換回路18
ならびに低速側基準速度設定回路16および高速側基準速
度設定回路17に接続される右前輪ブレーキ力制御部20R
と、左、右前輪ブレーキ力制御部20L,20Rに共通に接続
されるとともにソレノイド6S,7Sに接続される共通制御
部21とを備える。
左、右従動輪速度検出器13RL,13RRで検出される左、
右従動輪速度VWRL,VWRRはフィルタ14RL,14RRでノイズを
除去されてハイセレクト回路15に入力される。このハイ
セレクト回路15は、前記左、右従動輪速度VWRL,VWRR
うちいずれかの高い方を車体速度VRとして選択するもの
であり、このハイセレクト回路15で得られた車体速度VR
が低速側基準速度設定回路16および高速側基準速度設定
回路17に入力される。而して低速側基準速度設定回路16
は、許容し得る駆動輪のスリップ率に応じて車体速度VR
から低速側基準速度VRLを第4図(a)で示すように設
定するものであり、また高速側基準速度設定回路17は、
駆動輪が過剰スリップを生じている状態であるとして車
体速度VRから高速側基準速度VRHを第4図(a)で示す
ように設定するものである。
左、右駆動輪速度検出器13FL,13FRで検出される左、
右駆動輪速度VWFL,VWFRはフィルタ14FL,14FRでノイズを
除去されて切換回路18にそれぞれ入力される。而して該
切換回路18は、ハイセレクト回路15から入力される車体
速度VRおよび共通制御部21から入力される信号に基づい
て、左、右駆動輪用ブレーキ装置BFL,BFRの独立制御モ
ードおよび一括制御モードのいずれかを判断し、独立制
御モード選択時には左、右駆動輪速度VWFL,VWFRを左、
右前輪ブレーキ力制御部20L,20Rに個別に入力し、また
一括制御モード選択時には左、右駆動輪速度VWFL,VWFR
の平均値を左、右前輪ブレーキ力制御部20L,20Rにそれ
ぞれ入力するものであり、後に第3図を参照しながらそ
の構成について詳述する。
左、右前輪ブレーキ力制御部20L,20Rは同一の構成を
有するものであり、以下、左前輪ブレーキ力制御部20L
の構成要素について添字を付しながら説明し、右前輪
ブレーキ力制御部20Rについては左前輪ブレーキ力制御
部20Lに対応する構成要素に添字を付して図示するの
みとする。
左前輪ブレーキ力制御部20Lは、切換回路18から入力
される駆動輪速度VWLを微分して駆動輪加・減速度αWL
を算出る微分回路22Lと、4つの比較器23L,24L,25L,26L
と、AND回路27L,28L,32L,36L,40Lと、OR回路29L,31L,35
L,37Lと、タイマ30Lと、発振回路33L,34Lとを備える。
比較器23Lにおいて、その非反転入力端子には切換回
路18から駆動輪速度VWLが入力され、反転入力端子には
高速側基準速度設定回路17から高速側基準速度VRHが入
力される。したがってVWL>VRHであるときに比較器23L
からハイレベルの信号が出力される。比較器24Lにおい
て、その非反転入力端子には低速側基準速度設定回路16
から低速側基準速度VRLが入力され、反転入力端子には
切換回路18から駆動輪速度VWLが入力される。したがっ
て比較器24LからはVRL>VWLであるときにハイレベルの
信号が出力される。また比較器25Lにおいて、非反転入
力端子には微分回路22Lから駆動輪加・減速度αWLが入
力され、反転入力端子には基準端子38Lから一定の基準
加速度αが入力される。したがってαWL>αである
ときに比較器25Lからハイレベルの信号が出力される。
さらに比較器26Lにおいて、非反転入力端子には基準端
子39Lから一定の基準減速度αが入力され、反転入力
端子には微分回路22Lから駆輪加・減速度αWLが入力さ
れる。したがってα>αWLであるときに比較器26L
らハイレベルの信号が出力される。
AND回路27Lには比較器23L,25Lの出力信号が入力され
る。したがってAND回路27Lは、VWL>VRHであってかつα
WL>αであるときにハイレベルの信号を出力するもの
であり、これは駆動輪が過剰スリップ傾向にあることを
示す信号となる。またAND回路28Lには、比較器23L,26L
の出力信号が入力され、したがってAND回路28Lは、VWL
>VRHであってかつα>αWLであるときにハイレベル
の信号を出力する。さらにOR回路29Lには比較器24L,26L
の出力信号が入力され、該OR回路29Lは、VRL>VWLであ
るか、またはα>αWLであるときにハイレベルの信号
を出力する。
タイマ30Lは、ハイレベルの信号が入力されから一定
時間T1だけ持続するハイレベルの信号を出力するもので
あり、このタイマ30Lには比較器23Lの出力信号が反転し
て入力される。さらに該タイマ30Lの出力はOR回路31L
一方の入力端子に入力され、該OR回路31Lの他方の入力
端子には比較器23Lの出力が入力される。したがってOR
回路31Lは、比較器23Lの出力がハイレベルすなわちVWL
>VRHであるときか、または比較器23Lの出力がローレベ
ルすなわちVWL≦VRHとなったときにはローレベルとなっ
てから一定時間T1が経過するまで、ハイレベルの信号を
出力する。
AND回路32Lには、OR回路29L,31Lの出力信号が入力さ
れる。したがって、AND回路32Lは、両OR回路29L,31L
出力がともにハイレベル、すなわちVRL>VWLであるかα
>αWLであって、しかもVWL>VRHであるかVWL≦VRH
なったときにはそれから一定時間T1が経過するまでの間
に、ハイレベルの信号を出力することになる。
このAND回路32Lの出力信号は発振回路33Lに入力され
る。而して該発振回路33Lは、AND回路32Lからハイレベ
ルの信号が入力されるのに応じて、ハイレベル状態とロ
ーレベル状態とを交互に繰り返す発振信号を出力し、こ
の発振回路33Lからの信号はOR回路37Lの一方の入力端子
に入力される。また該OR回路37Lの他方の入力端子にはA
ND回路28Lの出力信号が入力される。したがってOR回路3
7Lは、VWL>VRHであってかつα>αWLであるときにAN
D回路28Lがハイレベルの信号を出力するのに応じてハイ
レベルとなるとともに、AND回路28Lの出力がローレベル
すなわちVWL≦VRHであるかα≦αWLであるときには、
発振回路33Lが発振信号を出力する際に、その発振信号
のハイレベル状態でハイレベルの信号を出力する。而し
て該OR回路37Lの出力端子はソレノイド5FLSに接続され
る。
発振回路34Lには、AND回路27Lの出力信号が入力さ
れ、該発振回路34Lは、AND回路27Lからハイレベルの信
号が入力されるのに応じて、すなわちVWL>VRHであって
かつαWL>αであるであるときに、ハイレベル状態と
ローレベル状態とを交互に繰り返す発振信号を出力し、
この発振回路34Lからの信号はOR回路35Lの一方の入力端
子に入力される。而して該OR回路35Lの出力信号はAND回
路36Lの一方の入力端子に反転して入力され、AND回路36
Lの出力端子はソレノイド4FLSに接続される。
AND回路40Lの一方の入力端子にはAND回路27Lの出力信
号が入力され、該AND回路40Lの出力信号はOR回路35L
地方の入力端子に入力される。
共通制御部21は、OR回路41,43,44と、タイマ42,45
と、AND回路46と、比較器47とを備える。
OR回路41には、左、右前輪ブレーキ力制御部20L,20R
におけるAND回路27L,27Rの出力信号が入力され、両AND
回路27L,27Rの少なくとも一方がハイレベルの信号を出
力しているとき、すなわち左、右前輪ブレーキ力制御部
20L,20Rの少なくとも一方で、駆動輪が過剰スリップ傾
向にあってVWL>VRHWL>αH;VWR>VRHWR>α
成立したときに、OR回路41はハイレベルの信号を出力す
る。
該OR回路41の出力信号はタイマ42に反転して入力され
るとともにOR回路43の一方の入力端子に入力される。タ
イマ42は、ハイレベルの信号が入力されるとき、すなわ
ちOR回路41の出力信号の立ち下がりに応じて一定時間T2
だけ持続するハイレベルの信号を出力するものであり、
このタイマ42の出力信号は前記OR回路43の他方の入力端
子に入力される。したがってOR回路43は、左、右駆動輪
の少なくとも一方が過剰スリップ傾向となったときか
ら、その過剰スリップ傾向が解消されてから一定時間T2
が経過するまでの間にハイレベルの信号を出力する。而
してOR回路3の出力端子は、ソレノイド6S,7Sに接続さ
れる。
またOR回路44には、左、右前輪ブレーキ力制御部20L,
20RにおけるOR回路31L,31Rの出力信号が入力されてお
り、このOR回路44の出力信号はタイマ42のリセット入力
端子に反転して入力される。したがってタイマ42は、前
記OR回路31L,31Rの出力信号がともにローレベルとなっ
たときにリセットさせることになる。
ところで、前記OR回路43の出力信号は、左、右前輪ブ
レーキ力制御部20L,20RにおけるAND回路36L,36Rの他方
の入力端子にも入力さており、それらのAND回路36L,36R
はOR回路35L,35Rの出力がローレベルであってOR回路43
の出力がハイレベルであるときにハイレベルの信号を出
力することになり、それによってソレノイド4FLS,4FRS
が励磁される。
またOR回路43の出力信号はタイマ45にも入力されてお
り、このタイマ45はハイレベルの信号が入力されてから
一定時間T3だけ持続するハイレベルの信号を出力し、該
タイマ45の出力信号はAND回路46の一方の入力端子に入
力される。而して該AND回路46の他方の入力端子には比
較器47の出力信号が入力さっる。この比較器47は、その
非反転入力端子に基準端子48から基準車体速度VROたと
えば15〜20km/hに対応する基準信号応が入力されるとと
もに反転入力端子にハイセレクト回路15から車体速度VR
が入力されるものであり、車体速度VRが前記基準車体速
度VRO以下のときにハイレベルの信号を出力する。した
がってAND回路46は、OR回路41の出力がハイレベルすな
わち左、右駆動輪の少なくとも一方が過剰スリップ傾向
となってから一定時間T3が経過する間に車体速度VRが基
準車体速度VRO以下である場合にハイレベルの信号を出
力する。
前記AND回路46の出力信号は、左、右前輪ブレーキ力
制御部20L,20RにおけるAND回路40L,40Rの他方の入力端
子に入力される。したがってAND回路40L,40Rは、左、右
駆動輪の少なくとも一方が過剰スリップ傾向となってか
ら一定時間T3が経過する間に車体速度VRが基準車体速度
VRO以下である場合であって左、右駆動輪が依然として
過剰スリップ傾向にある場合にハイレベルの信号を出力
するものである。
ところで、上述のタイマ30L,30Rでの一定時間T1、タ
イマ42での一定時間T2およびタイマ45での一定時間T
3は、それぞれ次のように設定される。
(a) 一定時間T2は、駆動輪過剰スリップを解消し得
る通常の時間に対応して設定されるものであり、たとえ
ば1000m秒である。而してこの一定時間T2は、駆動輪の
過剰スリップ傾向が解消された後に、次の過剰スリップ
が生じたときに即応したトラクション制御を可能とすべ
くトラクション制御用常開型および常閉型電磁弁6,'の
ソレノイド6S,7Sを励磁した状態のままとしておくため
の時間である。
(b) 一定時間T1は、前記一定軸間T2よりも短く、た
とえば500m秒に設定される。すなわち上述のように次の
過剰スリップに対応すべく比較的長い時間T2(1000m
秒)ソレノイド6S,7Sを励磁したままにしておくと、そ
の時間T2内にアクセルを急激に戻して駆動輪速度VWFL,V
WFRが車体速度VRまで急激に低下したときや、ブレーキ
操作をしたときに対応できない。而して駆動輪速度VWL,
VWRが高速側基準速度VRH以下(VWL≦VRH,VWR≦VRH)と
なってから次に駆動輪が過剰スリップ傾向となるまでの
時間はほぼ一定であるので、その時間をカバーし得る程
度に一定時間T1が設定される。しかもOR回路30L,30
Rは、VWL≦VRHあるいはVWR≦VRHとなってからT1時間経
過後に出力がローレベルとなるものであり、両OR回路30
L,30Rの出力がともにローレベルとなったときにタイマ4
2がリセットされる。而して左、右駆動輪の少なくとも
一方がVWL>VRH,VWR>VRHとなっているときにはタイマ4
2はリセットされず、ソレノイド6S,7Sは励磁されたまま
となるので、一定時間T1は比較的短く設定可能なもので
あり、それらを勘案して一定時間T1がたとえば500m秒に
設定される。
(c) 一定時間T3はたとえば60m秒に設定される。こ
の一定時間T3は、左、右駆動輪用ブレーキ装置BFL,BFR
における制動油圧室10の油圧を大気圧状態からブレーキ
力作用状態まで高めるのに必要な時間として設定される
ものである。ここでタイマ45は、左、右いずれか一方の
駆動輪が過剰スリップ傾向を生じてからタイマ作動する
ものであり、左、右駆動輪が同時に過剰スリップ傾向を
生じたとき、ならびに左、右駆動輪が位相をずらして過
剰スリップ傾向を生じたときにも、各ブレーキ装置BFL,
BFRにおける制動油圧室10の油圧を大気圧状態からブレ
ーキ力作用状態まで高めるのに充分な時間として、たと
えば60m秒が一定時間T3として設定されている。
第3図において、切換回路18は、その入力端子18I1
フィルタ14FLに、入力端子18I2がフィルタ14FRに、入力
端子18I3がハイセレクト回路15に、入力端子18I4が共通
制御部21におけるOR回路43にそれぞれ接続されるととも
に、出力端子18O1,18O2が左、右前輪ブレーキ力制御部2
0L,20Rに個別に接続されるものであり、平均値演算回路
51と、切換スイッチ52,53,62と、偏差絶対値演算回路54
と、比較器55,63と、タイマ56,57,59と、OR回路58,60,6
1とを備える。
切換スイッチ52は、入力端子18I1に接続される個別接
点52aと、平均値演算回路51に接続される個別接点52b
と、出力端子18O1に接続される共通接点52cとを備え
る。また切換スイッチ53は、入力端子18I2に接続される
個別接点53aと、平均値演算回路51に接続される個別接
点53bと、出力端子18O2に接続される共通接点53cとを備
える。これらの切換スイッチ52,53は、そのスイッチン
グ態様をOR回路61の出力により切り換えるものであり、
該OR回路61の出力がハイレベルであるときに個別接点52
a,53aと共通接点52c,53cとが導通状態となり、OR回路61
の出力がローレベルとなる個別接点52b,53bと共通接点5
2c,53cとが導通状態となる。しかも平均値演算回路51
は、入力端子18I1,18I2から入力される駆動輪速度VWFL,
VWFRの和を2で除去して駆動輪速度の平均値を演算する
ものであり、OR回路61の出力がハイレベルであるときに
は、各駆動輪速度VWFL,VWFRが出力端子18O1,18O2から駆
動輪速度VWL,VWRとして出力される個別制御モードとな
り、またOR回路61の出力がローレベルであるときには、
各駆動輪速度VWFL,VWFRの平均値が出力端子18O1,18O2
ら駆動輪速度VWL,VWRとして出力される一括制御モード
となる。
偏差絶対演算回路54は、入力端子18I1,18I2から入力
される駆動輪速度VWFL,VWFRの偏差の絶対値(|VWFL−V
WFR|)を演算するものであり、この偏差絶対値演算回路
54の出力は比較器55の非反転入力端子に入力される。一
方、該比較器55の反転入力端子には基準端子64から基準
偏差ΔVWたとえば4〜5km/hに対応する信号が入力され
る。而して比較器55は、前記偏差の絶対値|VWFL−VWFR|
が基準偏差ΔVWを超えたとき(|VWFL−VWFR|>ΔVW)に
ハイレベルの信号を出力する。
タイマ56は、端子66から常時入力されるクロック信号
をカウントし、そのクロック信号が予め定めた一点時間
T4以上持続したときにハイレベルの信号を出力するもの
であり、リセット端子Rにハイレベルの信号が入力され
たときにカウント作動がリセットされる。而してリセッ
ト端子Rには比較器55の出力が反転されて入力されてお
り、したがって比較器55の出力がハイレベルすなわち|V
WFL−VWFR|>ΔVWとなっている時間が一定時間T4以上持
続したときにタイマ56からハイレベルの信号が出力され
ることになる。
タイマ57は、入力信号の立ち上がりに応じて一定時間
T5だけ持続するハイレベルの信号を出力するものであ
り、タイマ56の出力が反転されて該タイマ57に入力され
る。したがって|VWFL−VWFR|>ΔVWとなっている時間が
一定時間T4以上持続した後に|VWFL−VWFR|≦ΔVWとなっ
たときにタイマ57は一定時間T5だけ持続するハイレベル
の信号を出力する。
OR回路58には、前記タイマ56,57の出力が入力されて
おり、両タイマ56,57の少なくとも一方がハイレベルの
信号を出力しているとき、すなわち|VWFL−VWFR|>ΔVW
となっている時間が一定時間T4以上持続しているとき
と、|VWFL−VWFR|>ΔVWとなってから|VWFL−VWFR|≦Δ
VWとなったときにそれから一定時間T5が経過するまでと
で、OR回路58はハイレベルの信号を出力する。このOR回
路58の出力はOR回路61の一方の入力端子に入力される。
一方、切換スイッチ62は、OR回路60における一方の入
力端子に反転して接続される個別接点62aおよび独立し
た個別接点62bと、入力端子18I4に接続される共通接点6
2cとの導通状態の切換を比較器63の出力により切換える
ものであり、比較器63の出力ハイレベルのときには共通
接点62cと個別接点62bと、またローレベルのときには共
通接点62cと個別接点62aとが導通状態となる。
比較器63の非反転入力端子には入力端子18I3から車体
速度VRが入力され、反転入力端子には基準端子65から基
準速度VROたとえば15〜20km/hに対応する信号が入力さ
れる。したがってVR>VROで比較器63の出力がハイレベ
ルとなり、入力端子18I4とOR回路60との間が遮断され、
VR≦VROとなって比較器63の出力がローレベルとなるこ
とにより、入力端子18I4に入力される信号が反転してOR
回路60に入力されることになる。
入力端子18I4はタイマ59にも接続されており、このタ
イマ59は、入力端子18I4から入力される信号がハイレベ
ルとなってから一定時間T6だけ持続するハイレベルの信
号を出力するものである。而して該タイマ59の出力はOR
回路60の他方の入力端子に入力され、さらにOR回路60の
出力はOR回路61の他方の入力端子に入力される。
このような切換回路18によると、共通制御部21におけ
るOR回路43の出力がハイレベルとなってから、すなわち
トラクション制御が開始されてから一定時間T6が経過す
るまではOR回路60,61の出力がハイレベルであり、した
がって独立制御モードとなる。また比較器55の出力がハ
イレベルすなわち左、右駆動輪の速度偏差の絶対値|V
WFL−VWFR|が基準偏差ΔVWよりも大きい状態が一定時間
T4以上持続したときにタイマ56からハイレベルの信号が
出力されるのに応じて独立制御モードとなる。さらに|V
WFL−VWFR|>ΔVWである状態が一定時間T4以上持続した
後に、|VWFL−VWFR|≦ΔVWとなると、その時点から一定
時間だけ持続するハイレベルの信号が出力されるのに
応じて独立制御モードとなる。すなわちトラクション制
御が開始されてから一定時間T6が経過した後には、|V
WFL−VWFR|>ΔVWである状態が一定時間T4以上持続する
と、その一定時間T4経過時から独立制御モードとなり、
|VWFL−VWFR|≦ΔVWとなってから一定時間T5が経過する
まで独立制御モード状態が継続することになる。また車
体速度VRが基準速度VRO以下のときには、入力端子18I4
に入力される信号がローレベルすなわち駆動輪が過剰ス
リップ状態でない状態でOR回路60の出力はハイレベルで
あり、したがって独立制御モードとなっており、出力端
子18O1,18O2からは、左、右駆動輪速度VWFL,VWFRが駆動
輪速度VWL,VWRとして出力される。
ところで、タイマ56,57,59での一定時間T4,T5,T6は、
それぞれ次のように設定される。
(d) 一定時間T4は、比較器55において、|VWFL−V
WFR|がΔVWよりも大であるか否かを判定する際に、左、
右駆動輪の干渉および悪路走行時の駆動輪速度の変動等
による誤作動を防止するためのものであり、たとえば40
m秒に設定される。
(e) 一定時間T5は、タイマ56の出力信号が比較的短
時間の間にハイレベルからローレベルに変化しても、切
換制御信号のチャタリングを回避すべく次にタイマ56の
出力信号がハイレベルとなるまで信号を持続させるため
のものであり、たとえば100〜200m秒に設定される。
(f) 一定時間T6は、左、右駆動輪が摩擦係数の異な
る路面を走行中に、低摩擦係数側の路面に接地している
駆動輪の過剰スリップを解消すべく必要なブレーキ力を
作用せしめるのに必要な時間に対応するものであり、た
とえば200m秒の設定される。
このような構成において、左駆動輪用ブレーキ装置B
FLのブレーキ力制御について第4図を参照しながら説明
すると、左前輪ブレーキ力制御部20Lに入力される駆動
輪速度VWLが第4図(a)、駆動輪加・減速度αWLが第
4図(b)で示すように変化するときに、比較器23L
出力は第4図(c)、比較器24Lの出力は第4図
(d)、比較器25Lの出力は第4図(e)、比較器26L
出力は第4図(f)でそれぞれ示され、それに応じて制
御されるべき制動油圧の制御状態は第4図(g)で示さ
れる。而してその制動油圧制御状態に応じてソレノイド
6S,7Sの励磁および消磁状態は第4図(h)および第4
図(i)でそれぞれ示され、ソレノイド4FLSの励磁およ
び消磁状態、ならびにソレノイド5FLSの励磁および消磁
状態は第4図(j)および第4図(k)でそれぞれ示さ
れ、左駆動輪用ブレーキ装置BFLのブレーキ力は第4図
(1)で示される。この第4図において、第4図(h)
ないし第4図(k)では、ハイレベルは励磁状態、ロー
レベルは消磁状態を示すものとし、さらに第4図(j)
および第4図(k)で中間レベルは励磁および消磁状態
を断続的に切換える状態を示すものとする。而して第4
図(h)でソレノイド6Sのハイレベル状態は常開型電磁
弁6の閉弁状態を、第4図(i)でソレノイド7Sのハイ
レベル状態は常閉型電磁弁7の開弁状態をそれぞれ示す
ものであり、第4図(j)でソレノイド4FLSのハイレベ
ル状態は流入電磁弁4FLの閉弁状態を、またソレノイド4
FLSの中間レベル状態は流入電磁弁4FLが断続的に開閉作
動している状態を示し、第4図(k)でソレノイド5FLS
のハイレベル状態は流出電磁弁5FLの閉弁状態を、また
ソレノイド5FLSの中間レベル状態は流出電磁弁5FLが断
続的に開閉作動している状態を示す。
左駆動輪速度VWLが高速側基準速度VRHを超えるととも
に、左駆動輪加・減速度αWLが基準加速度αを超えた
ときには、比較器23L,25Lの出力がハイレベルとなり、
左駆動輪が過剰スリップ傾向になったとして、AND回路2
7Lからハイレベルの信号が出力される。
これによりソレノイド6S,7Sが励磁され、トラクショ
ン制御用常開型電磁弁6が閉弁するとともにトラクショ
ン制御用常閉型電磁弁7が開弁する。この際、車体速度
VRが基準車体速度VRO以下であるときには、前記過剰ス
リップ傾向となってから一定時間T3の間はAND回路46の
出力がハイレベルとなる。而してAND回路46の出力がハ
イレベルである間に過剰スリップ傾向が続いているとき
にはAND回路40Lの出力がハイレベルとなるので、AND回
路36Lの出力がローレベルとなり、ソレノイド4FLSは消
磁状態のままであり、またこの間は、比較器24L,26L
出力はローレベルであってOR回路37Lの出力もローレベ
ルであるので、ソレノイド5FLSも消磁状態である。した
がって急増加モードとなり、油圧供給源2からの油圧を
左駆動輪用ブレーキ装置BFLの制動油圧室10に急速に作
用させてブレーキ力を急激に高めることができ、トラク
ション制御の応答性を向上することができる。
しかもタイマ45の出力は、過剰スリップ傾向となって
から一定時間T3(たとえば60m秒)経過後にローレベル
となり、それに応じてAND回路40Lの出力もローレベルと
なるので、前記急増加モードによるブレーキ力制御は、
駆動輪が過剰スリップ傾向となってから一定時間T3の間
だけ実行されることになる。
また前記急増加モードによるブレーキ力制御は、車体
速度VRが基準車体速度VRO(たとえば15〜20km/h)以下
である場合のトラクション制御初期に実行されるもので
あり、これは、左、右駆動輪を独立制御する場合に、
左、右駆動輪の回転速度変化の位相がずれるとトラクシ
ョン制御時に左、右駆動輪装置用ブレーキ装置BFL,BFR
のブレーキ力が交互に高くなって車体振動を生じる可能
性があるので、基準車体速度VROを超える高速域では安
定性を重視して車体振動の緩和を図るべくブレーキ力の
増加を緩やかにするためである。またエンジン出力制御
とブレーキ力制御とを併用する場合に、上述のように高
速域での急増加モードによるブレーキ力制御を禁止する
と、高速域すなわちエンジン出力が所定値以上で安定し
ていて出力制御可能な領域ではブレーキ力制御の寄与率
を低めて、過剰制御や車体の異常挙動等が生じるのを防
止することができる。
左駆動輪速度VWLが高速側基準速度VRHを超えている状
態で、上記急増加モードによるブレーキ力制御により、
左駆動輪加・減速度αWLがα≧αWL>αとなると、
AND回路27Lの出力がローレベルとなる。而して右駆動輪
が過剰スリップ傾向を生じていないときにはOR回路41の
出力がローレベルとなるが、タイマ42のタイマ作動によ
り一定時間T2が経過するまではOR回路43の出力はハイレ
ベルであり、ソレノイド6S,7Sの励磁状態が持続する。
而してAND回路40Lの出力がローレベルとなり、それに応
じてOR回路36Lの出力がハイレベルとなり、ソレノイド4
FLSが励磁されて流入電磁弁4FLが閉弁する。
したがってソレノイド4FLSを励磁するとともに、ソレ
ノイド,5FLSを消磁状態として流入電磁弁4FLおよび流出
電磁弁5FLを閉じた保持モードとなり、制動油圧室10の
油圧が保持されてブレーキ装置BFLのブレーキ力が保持
される。
前記保持モードによるブレーキ力制御により、左駆動
輪速度VWLが高速側基準速度VRHを超えてはいるが、αWL
<αとなると、急減少モードによるブレーキ力制御が
実行される。すなわち、左駆動輪速度VWLが高速側基準
速度VRHを超えている状態は、基本的には駆動輪にかな
りのスリップが生じており、本来ブレーキ力を増大すべ
き状態であるが、αWL<αであることにより大きな駆
動力に打ち勝つ過剰ブレーキ力作用している状態と予測
することができる。而してこの状態では、比較器26L
出力がハイレベルとなるのに応じてAND回路28Lの出力が
ハイレベルとなり、OR回路37Lの出力がハイレベルとな
ってソレノイド5FLSが励磁され、流出電磁弁5FLが開弁
される。したがってブレーキ装置BFLにおける制動油圧
室10の油圧が急激に解放され、ブレーキ力が急激に減少
することになる。
急減少モードによるブレーキ力制御に応じて左駆動輪
速度VWLが高速側基準速度VRH以下となったときには、左
駆動輪加・減速度αWLが基準減速度α未満の領域で緩
減少モードによるブレーキ力制御が実行される。
すなわち、VRL<VWL≦VRHの領域は、原則的には理想
的なスリップ状態であり、本来はブレーキ力を保持すべ
きときであるが、αWL<αとなっているのは、上記急
減少モードのときに比べると過剰程度が小さいけれども
過剰のブレーキ力が作用していると予測できるものであ
り、比較器26Lの出力がハイレベルとなるのに応じてAND
回路32Lからのハイレベル信号が発振回路33Lに入力さ
れ、それに応じてOR回路37Lからハイレベルおよびロー
レベルの信号が一定のサイクルで交互に出力され、ソレ
ノイド5FLSが断続的に励磁される。したがって流出電磁
弁5が断続的に開閉作動し、制動油圧室10の油圧が緩や
かに解放されることにより、左駆動輪用ブレーキ装置B
FLのブレーキ力が緩やかに減少される。
次いで、左駆動輪速度VWLが低速側基準速度VRL以下と
なったときには、左駆動輪速度VWLを理想的スリップ状
態、すなわちVRL>VWL<VRHにしようとするトラクショ
ン制御の目標領域からずれた状態となり、明らかに過剰
ブレーキ力が作用していると予測されるものであり、比
較器24Lの出力がハイレベルとなるので、上述と同様に
してソレノイド5FLSが断続的に励磁され、流出電磁弁5
FLの断続的な開閉作動が継続し、左駆動輪用ブレーキ装
置BFLのブレーキ力を緩やかに減少させる状態が持続す
る。
而して上述の緩やかなブレーキ力減少により、VWL>V
RLとなると比較器24Lの出力がローレベルとなるのでAND
回路32Lの出力もローレベルとなり、ソレノイド5FLS
消磁されて流出電磁弁5FLが閉弁し、保持モードによる
ブレーキ力制御が実行される。
しかも、前記緩減少モードおよび保持モードによるブ
レーキ力制御は、タイマ30Lによるタイマ作動により確
保される。
左駆動輪が再び過剰スリップ傾向となり、左駆動輪速
度VWLが高速側基準速度VRHを超えるとともに左駆動輪加
・減速度αWLが基準加速度αを超えると、緩増加モー
ドによるブレーキ力制御となる。すなわち最初に過剰ス
リップ傾向となったときから一定時間T3経過した後に
は、AND回路46の出力がローレベルとなるので、OR回路3
5Lは、ハイレベルおよびローレベルの信号を一定サイク
ルで繰り返して出力するようになり、ソレノイド4FLS
断続的に励磁され、流入電磁弁4FLが断続的に開閉作動
することにより、左駆動輪用ブレーキ装置BFLにおける
制動油圧室10の油圧が緩やかに増大され、ブレーキ力が
緩やかに増加することになる。
ところで、左駆動輪速度VWLが高速側基準速度VRH以下
となってから一定時間T1(たとえば500m秒)が経過する
と、タイマ42がリセットされるので、過剰スリップ傾向
が生じてから一定時間T2が経過する前に過剰スリップ傾
向が解消されたときには、ソレノイド6S,7Sが消磁さ
れ、トラクション制御用常開型電磁弁6が開弁するとと
もにトラクション制御用常閉型電磁弁7が閉弁するの
で、アクセルを急激に戻したり、ブレーキ操作をしたり
する操作に応じて両駆動輪ブレーキ装置BFLの油圧を適
切に制御することが可能となる。
このような一連のブレーキ力制御が、左駆動輪速度V
WLおよび左駆動輪加・減速度αWLに応じて繰り返され、
それにより左駆動輪の過剰スリップが解消されることに
なる。
またトラクション制御の初期には、急増加モードによ
るブレーキ力制御を実行し、その後でのブレーキ力増加
時には緩増加モードによるブレーキ力制御を行なうの
で、ブレーキ油圧の無効消費を回避し、応答性の良いト
ラクション制御を得ることが可能となる。
さらにトラクション制御時に過剰ブレーキ力が作用し
ている場合には、ブレーキ力を減少させる必要がある
が、その過剰程度に応じて急減少モードおよび緩減少モ
ードによるブレーキ力を切り換えて実行するので、状況
に応じた適切なトラクション制御が可能となる。
上述のブレーキ力制御は右駆動輪に関しても同様に実
行されるものである。
ところで、制御手段12における切換回路18では、共通
制御部21におけるOR回路43の出力がハイレベルとなって
から一定時間T6が経過するまでは独立制御モードとな
る。すなわち左、右駆動輪用ブレーキ装置BFL,BFRのブ
レーキ力が、左、右駆動輪速度VWFL,VWFRにそれぞれ基
づいて制御されることになる。而してこのようなトラク
ション制御開始時には、駆動輪の過剰スリップ状態を解
消して駆動力を充分に確保することが重要であり、車体
振動の原因となる左、右駆動輪の回転速度変化の位相ず
れは生じ難いので、少なくともトラクション制御開始時
に左、右駆動輪用ブレーキ装置BFL,BFRを独立制御する
ことにより駆動輪の駆動力を充分に確保することができ
る。しかも車体速度VRが基準速度VRO以下のときには、
駆動輪が過剰スリップ状態でないときに切換回路18は独
立制御モードとなっており、トラクション制御の開始が
遅れることはない。
また切換回路18は、左、右駆動輪の速度偏差の絶対値
|VWFL−VWFR|が基準偏差ΔVWよりも大きいときに、その
状態が一定時間以上持続するのに応じて独立制御モー
ドとなる。而して一方の駆動輪のみがスリップ傾向とな
って左、右駆動輪速度の偏差が大きくなることがあり、
その場合に独立制御モードによるブレーキ力の制御を行
なうことにより、過剰スリップ状態の解消が効果的に行
なわれることになる。
さらに左、右駆動輪の速度偏差の絶対値|VWFL−VWFR|
が基準偏差ΔVWよりも大きい状態が一定時間T4以上継続
することにより独立制御モードとすることにより、左、
右駆動輪の干渉や悪路走行時の駆動輪速度の変動に伴う
誤作動を回避することができる。しかも|VWFL−VWFR|>
ΔVWである状態が一定時間T4以上持続した後に、|VWFL
−VWFR|≦ΔVWとあると、その時点から一定時間T5だけ
持続して独立制御モードとするので、制御信号のチャタ
リングが生じることを回避することができる。
C.発明の効果 以上のように本発明によれば、駆動力確保が重視され
る一方、車体振動の原因となる左、右駆動輪の回転速度
変化の位相ずれは比較的生じにくいトラクション制御開
始時に、特に独立制御モードを設定保持するので、車体
振動を効果的に回避しつつ左,右駆動輪の駆動域を充分
に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の一実施例を示すものであり、第1図は油
圧制御回路図、第2図は制御手段のトラクション制御に
関連する部分の構成を示す回路図、第3図は制御手段に
おける切換回路の構成を示す回路図、第4図はタイミン
グチャートである。 BFL,BFR……駆動輪用ブレーキ装置、T6……一定時間
フロントページの続き (72)発明者 東 俊幸 大阪府大阪市淀川区宮原3丁目5番24号 日本電気ホームエレクトロニクス株式 会社内 (72)発明者 木崎 勝敏 大阪府大阪市淀川区宮原3丁目5番24号 日本電気ホームエレクトロニクス株式 会社内 (72)発明者 奥田 高志 大阪府大阪市淀川区宮原3丁目5番24号 日本電気ホームエレクトロニクス株式 会社内 (56)参考文献 特開 昭64−44369(JP,A) 特開 昭63−38071(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】駆動状態での駆動輪がスリップ傾向にある
    と判断したときに左、右駆動輪用ブレーキ装置(BFL,B
    FR)にブレーキ力を発生させ、その左、右駆動輪用ブレ
    ーキ装置(BFL,BFR)のブレーキ力を個別に制御する独
    立制御モードと、左、右駆動輪用ブレーキ装置(BFL,B
    FR)のブレーキ力を一括制御する一括制御モードとを制
    御手段(12)を用いて選択的に切換制御するようにし
    た、車両のトラクション制御方法において、 トラクション制御開始時から一定時間(T6)か経過する
    までは、前記独立制御モードを選定保持することを特徴
    とする、車両のトラクション制御方法。
  2. 【請求項2】駆動状態での駆動輪がスリップ傾向にある
    と判断したときに左、右駆動輪用ブレーキ装置(BFL,B
    FR)にブレーキ力を発生させ、その際に左、右駆動輪用
    ブレーキ装置(BFL,BFR)のブレーキ力を個別に制御す
    る独立制御モードと、左、右駆動輪用ブレーキ装置(B
    FL,BFR)のブレーキ力を一括制御する一括制御モードと
    を左、右駆動輪のスリップ状態に応じて選択的に切換え
    る、車両のトラクション制御方法において、 トラクション制御開始時から一定時間(T6)が経過する
    までは、前記スリップ状態に関係なく前記独立制御モー
    ドとすることを特徴とする、車両のトラクション制御方
    法。
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