JP2506403B2 - アンチスキッド制御装置 - Google Patents

アンチスキッド制御装置

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JP2506403B2
JP2506403B2 JP7856588A JP7856588A JP2506403B2 JP 2506403 B2 JP2506403 B2 JP 2506403B2 JP 7856588 A JP7856588 A JP 7856588A JP 7856588 A JP7856588 A JP 7856588A JP 2506403 B2 JP2506403 B2 JP 2506403B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、車両の制動時における車輪ロックを防止
するアンチスキッド制御装置に係り、とくに、二輪駆動
(2WD)及び四輪駆動(4WD)を選択可能な、所謂,セレ
クティブ方式の四輪駆動車、或いは、前・後輪の駆動力
配分比をクラッチの締結力により連続的に可変制御す
る、所謂,トルクスプリット式四輪駆動車等に用いられ
るアンチスキッド制御装置に関する。
〔従来の技術〕
近年、制動性能及び制動時の旋回性能の向上を図る等
の観点から、車輪のロックを防止するアンチスキッド制
御装置が随所で提案されている。
この従来例としては、例えば、特開昭60−259559号公
報記載のものが知られている。このような装置は、一般
には、車輪の回転速度及び回転加減速度を検出するとと
もに、車体速度を推定して擬似車速を求め、さらに擬似
車速及び車輪回転速度より車輪のスリップ率を演算する
ようになっている。そして、スリップ状況(スリップ
率)に応じてブレーキ液圧を少なくとも増圧,保圧,減
圧の3モードで調整し、理想的な制動状態,即ちスリッ
プ率が所定領域(例えば10〜20%)に収まるように制御
される。
これを詳述すると、制動開始時のブレーキ圧の急増に
伴って車輪速度が減速され、この減速度が予め設定した
減速側基準レベル(例えば−1.0Gに相当する値)を通過
する時点で保持モードに設定される。この後、車輪周速
度が車輪目標値(例えば擬似車速の(100〔%〕−15
〔%〕)に相当する値)より低下する時点で減圧モード
に移行され、この減圧に伴って増大する車輪の回転加速
度が加速側基準レベル(例えば0.6Gに相当する値)を通
過する時点で保圧モードに設定され、この液圧保持によ
り低下する車輪減速度が再び加速側基準レベルを通過し
た時点で増圧され、これによってスキッドサイクルが形
成される。つまり、車輪自体は、このような調圧に伴っ
て加速,減速が繰り返され、この結果、車体に対するス
リップ率が所定の範囲に制御される。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、このような従来の装置では、ブレーキ
液圧の減圧後における車輪回転速度の車体速度方向への
回復は、路面反力,つまり路面との間に発生する摩擦力
によるトルクに依存するようになっていたため、例えば
低μ路において制動を行った場合、車輪に作用するエン
ジンブレーキが制動トルクとして働くため、上述した車
輪速度の回復が著しく遅れてしまう。これによって、加
速側基準レベルを通過するまでの時間、即ち減圧モード
の指令状態が格段に長くなってしまうことから、このよ
うな低μ路にあっては制動距離が必要以上に長くなっ
て、制動性能の低下を招来するとともに、車両の安定性
が悪くなるという問題点があった。
、また、とくに、前・後輪の駆動力配分状態が変化す
る車両,例えば前述したセレクティブ方式の四輪駆動車
にあっては、各駆動状態において車輪イナーシャが異な
ることから、エンジンブレーキによる制動トルクが変わ
ってしまうため、そのような車両に搭載した場合であっ
ても、制動性能が駆動方式の相違によって影響されない
ことが従来より望まれていた。
そこで、この発明は、このような問題点及び状況に鑑
みてなされたもので、前・後輪の駆動力配分状態が可変
である四輪駆動車において二輪駆動側又は四輪駆動側状
態であっても、制動時における減圧後の車輪速度の回復
を共に早め、これによって、路面状況に関わらず、ノー
ブレーキ気味の状態や制動距離の延長等を防止して、制
動性能の向上を図ることを、その解決しようとする課題
としている。
〔課題を解決するための手段〕
そこで、上記課題を解決するため、この発明では、第
1図に示すように、車輪速度を検出する車輪速度検出手
段と、車体速度を推定する車体速度推定手段と、前記車
輪速度検出値及び前記車体速度推定値に基づき車輪のス
リップ率を演算するスリップ率演算手段と、前記車輪速
度検出値に基づき及び前記スリップ率に応じて車輪のブ
レーキ圧を制御する制御手段とを備えたアンチスキッド
制御装置において、車両が二輪駆動側状態か四輪駆動側
状態かを検出する駆動状態検出手段と、制動時における
エンジンのアイドリング回転以上の回転数目標値を設定
するとともに、前記駆動状態検出手段の検出情報に付勢
されて当該目標値を二輪駆動側状態の方が四輪駆動側状
態よりも高い値に設定するエンジン回転数目標値設定手
段とを備え、前記スリップ率演算手段の演算値が所定値
以上である状態が所定時間以上継続する所定スリップ状
態か否かを判断するスリップ状態判断手段と、このスリ
ップ状態判断手段により所定スリップ状態であると判断
されたときに、前記エンジン回転数目標値設定手段によ
る目標値に応じてエンジンの回転数を上昇させるエンジ
ン回転数調整手段とを備えている。
〔作用〕
この発明では、スリップ率演算によって、車輪速度検
出値及び車体速度推定値に基づき車輪のスリップ率が演
算される。制御手段は、車輪速度に基づき及びスリップ
率に応じて制動時のブレーキ圧を制御する。
一方、車両が二輪駆動側状態であるか四輪駆動側状態
であるかが駆動状態検出手段により検出されており、エ
ンジン回転数目標値設定手段では、制動時におけるエン
ジンのアイドリング回転以上の回転数目標値が設定され
るとともに、駆動状態検出手段の検出情報に付勢されて
当該目標値を二輪駆動側状態の方が四輪駆動側状態より
も高い値に設定される。
さらに、スリップ率演算値が所定値以上である状態が
所定時間以上継続する所定スリップ状態か否かがスリッ
プ状態判断手段において常時判断されている。そこで、
この判断手段により所定スリップ状態であると判断され
たときには、エンジン回転数調整手段によって、エンジ
ン回転数目標値設定手段により設定されていた目標値ま
でエンジンの回転数が上昇される。これによって、駆動
状態に応じた制動時のアイドリング回転数の上昇がなさ
れる。
〔実施例〕 以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第2図乃至第6図は、この発明の一実施例を示す図で
ある。なお、この実施例は、セレクティブな四輪駆動車
に適用している。
第2図において、2は車両に搭載された液圧式のドラ
ムブレーキを示し、4はこのブレーキ2に対する四輪独
立制御のアンチスキッド制御装置を示す。
ブレーキ2は、ブレーキペダル6、マスターシリンダ
8、前左側〜後右側の車輪9FL〜9RRのホイールシリンダ
10FL〜10RRを有している。
アンチスキッド制御装置4は、車輪の回転状況を検知
するための車輪速センサ11FL〜11RRと、車両の駆動状態
を検知するための駆動状態検出手段としての駆動状態検
出スイッチ12と、この各検出値に基づき制動時のアンチ
スキッド制御及びエンジン回転数制御を指令するコント
ローラ15と、このコントローラ15の出力する制御信号に
よってホイールシリンダ10FL〜10RRの液圧を個別に調整
するアクチュエータ16FL〜16RRと、同様にコントローラ
15からの制御信号によってスロットルバルブ17Aの開度
を調整する比例電磁ソレノイドからなるスロットルアク
チュエータ17とを含んで構成される。
車輪速センサ11FL〜11RRは、各車輪9FL〜9RRの所定位
置に設けられた電磁ピックアップで構成され、車輪の回
転数に比例した周波数の正弦波交流電圧信号v1〜v4を各
々出力する。また、駆動状態検出スイッチ12はトランス
ファの所定位置に設けられており、二輪駆動状態では論
理Hレベル(又は論理「1」),四輪駆動状態では論理
Lレベル(又は論理「0」)の検出信号Vaを出力する。
コントローラ15は、第3図に示すように(前左側〜後
右側の信号処理回路は同一構成であるので、同図ではこ
れらの内、前左側のみを示す)、車輪速センサ11FLの検
出信号v1の信号処理を行う前左側信号処理回路18FLと、
四輪9FL〜9RRのスリップ状態を判断するスリップ状態判
断手段20と、駆動状態検出スイッチ12の出力信号Va及び
論理Hレベルの信号Vbを加算するエンジン回転数目標値
設定手段としての加算回路22と、この加算回路22及びス
ロットルアクチュエータ17間に介装されたスイッチ回路
24及び駆動回路26とを有している。ここで、スイッチ回
路24,駆動回路26,及びスロットルアクチュエータ17とに
よりエンジン回転数調整手段28が形成される。
前左側信号処理回路18FLは、その入力段に、車輪速セ
ンサ11FLの検出信号v1をその周波数に比例した電圧信号
に変換し、これを車輪速度信号Vw1とする周波数/電圧
(F/V)変換器30を備えている。この周波数/電圧変換
器30の出力側は、微分回路32を介して車輪減速度比較回
路34A,車輪加速度比較回路34Bの比較入力端に至るとと
もに、車体速度推定手段としての擬似車速発生回路35,
スリップ率演算手段としてのスリップ率演算回路36,及
び車輪速比較回路37に各々至る。
両比較回路34A及び34Bの基準入力端には、各々、車輪
の減速度基準値−α(例えば、−1G)に相当する基準
電圧信号−V2及び加速度基準値α(例えば、0.6G)に
相当する基準電圧信号1が印加されている。このた
め、比較回路34Aは、w1≦−V2のときに論理Hレベ
ル,Vw1>−V2のときに論理Lレベルの信号を出力し、
比較回路34Bは、w1≧V1のときに論理Hレベル,w1
<V1のときに論理Lレベルの信号を出力する。さらに、
この比較回路34A,34Bの出力側は、インバータ44A,44Bを
介して4入力AND(論理積)回路46に各々至ると共に、
比較回路34Bの出力端はまた、別のインバータ48を介し
て3入力AND回路50に至る。さらにまた、比較回路34Aの
出力は、擬似車速発生回路35に入力されるようになって
いる。
擬似車速発生回路35は、通常は、車輪速度Vw1を擬似
車速として出力し、車輪減速度が所定基準値を越えるよ
うな車輪のロック傾向のもとでは、車輪速度が車速を模
倣したものではなくなることから、ロック傾向瞬時の車
輪速度を初期値する一定減速度勾配の擬似車速信号Vref
を演算し、これをスリップ率演算回路36に出力するよう
になっている。
ここで、車輪速センサ11FL及び周波数/電圧変換器30
により車輪速度検出手段62が形成される。
さらに、スリップ率演算回路36は、引算器及び割算器
を含み、入力する擬似車体速度信号Vref及び車輪速度信
号Vw1に対して、 の式に基づき前左輪9FLのスリップ率S1を演算し、これ
に応じた電圧信号でなるスリップ率信号s1を次段のスリ
ップ率比較回路70に出力する。この比較回路70の出力側
は、前記AND回路50に、またインバータ72を介して前記A
ND回路46に接続されている。
比較回路70には、路面・車輪間の摩擦係数が最高領域
にある所定スリップ率S0(ここでは15%)に相当する電
圧信号s0が基準値として印加されている。
このため、比較回路70は、スリップ率信号s1≧s0にな
ったときには、論理Hレベルの信号を出力し、s1<s0
ときは論理Lレベルの信号を出力するようになってい
る。
ところで、前述した車輪速比較回路37には、その基準
値として、擬似的に停車状態とみなすことのできる車速
(ここでは5km/h)に対応した電圧信号V0が印加されて
いる。このため、比較回路37は、Vw1≧V0の場合には論
理Hレベルの信号を、Vw1<V0の場合には論理Lレベル
の信号をAND回路50及びRSフリップフロップ74のセット
入力端に供給する。
AND回路50の出力端はフリップフロップ74のリセット
入力端に至り、このフリップフロップ74のQ出力端は後
段のOR回路76を介してAND回路46に至る。また、緩増圧
のためのパルス信号P1を発生するパルス発生器77の出力
は、OR回路76の他方の入力となっている。
また、AND回路50,46の出力側は増幅器78,80を各々介
して前記アクチュエータ16FLの後述する流出弁91,流入
弁90に至り、これにより各弁91,90に液圧制御信号AV,EV
を各々供給するようになっている。つまり、AND回路50
は、その3入力が全て論理Hレベルのときにのみ、論理
Hレベルの信号を出力し、これに応じて液圧制御信号AV
をオンとし、AND回路46は同様に4入力が全て論理Hレ
ベルのときにのみ、液圧制御信号EVをオンとする。
さらに、AND回路50の出力側はリトリガブルタイマ81,
増幅器82を介してアクチュエータ16FLのポンプ93に至
り、これによりポンプ制御信号MRを供給できるようにな
っている。リトリガブルタイマ81は、AND回路50の出力
が論理Hレベルに立ち上がる毎に、1スキッドサイクル
以上の時間に設定された論理Hレベルの出力を行うもの
で、これに対応してポンプ制御信号MRがオンとなる。
一方、前記スリップ状態判断手段20は、前左側〜後右
側のAND回路50の各出力信号を入力とするOR回路85と、
このOR回路85の出力の立ち上がりに同期してトリガされ
る単安定マルチバイブレータ86と、OR回路85及び単安定
マルチバイブレータ86の出力を各々反転させるインバー
タ87A,87Bと、このインバータ87A及び単安定マルチバイ
ブレータ86の出力を入力信号とするNAND回路88Aと、イ
ンバータ87B及びOR回路85の出力を入力信号とするNAND
回路88Bと、NAND回路88Aの出力をセット入力とし,NAND
回路88Bの出力をリセット入力とするRSフリップフロッ
プ89とにより形成される。単安定マルチバイブレータ86
の準安定時間Tは、第5図(16)に示すように、低μ路
での減圧指令時間(AND回路50の出力が論理Hレベルと
なる時間)より短く、且つ、高μ路のそれよりも長く設
定されている。
さらに、前記スイッチ回路24は、フリップフロップ89
の出力を制御入力としており、これによって、Q出力が
論理Hレベルのときに「オン(閉)」,論理Lレベルの
ときに「オフ(開)」となる。
このため、スイッチ回路24のオン状態では、加算回路
22の出力が駆動回路26に供給され、この駆動回路26の出
力によってスロットルアクチュエータ17が加算回路22の
加算結果に比例した量だけ回転される。これにより、ス
ロットルバルブ17Aの開度がアイドリング回転時の全閉
より大きくなり、エンジンの回転数が上昇する構成にな
っている。
一方、前記アクチュエータ16FL〜16RRの各々は、第4
図に示すように、マスターシリンダ8とホイールシリン
ダ10FL(〜10RR)との間に接続された流入弁90と、ホイ
ールシリンダ10FL(〜10RR)に接続された流出弁91と、
この流出弁91の出力側に接続された蓄圧用のアキュムレ
ータ92及びオイル回収用のオイルポンプ93と、オイルポ
ンプ93及びマスターシリンダ8間のチェック弁94とを備
えている。
この内、流入弁90及び流出弁91は、コントローラ15か
らの液圧制御信号EV及びAVにより各々開閉制御される常
閉電磁弁となっている。そして、増圧モードでは、制御
信号EVをオン,制御信号AVをオフとすることにより、流
入弁90が「開」,流出弁91が「閉」となり、マスターシ
リンダ8からの制動液圧を流入弁90を介してホイールシ
リンダ10FL(〜10RR)に供給でき、この結果、シリンダ
圧が上昇する。減圧モードでは、制御信号EVをオフ,制
御信号をAVをオンとすることにより、流入弁90が
「閉」,流出弁91が「開」とばり、ホイールシリンダ10
FL(〜10RR)内のオイルをマスターシリンダ8側に回収
でき、この結果、シリンダ液圧が下降する。さらに、保
持モードでは、制御信号EV,AVをオフとすることで流入
弁90,流出弁91が閉じ、ホイールシリンダFL(〜10RR)
のオイルを閉じ込めることができ、その圧力を保持でき
る。制御信号MRはアンチスキッド制御中オンとされ、こ
れによりポンプ93が駆動する。
ここで、周波数/電圧変換器30,擬似車速発生回路35,
及びスリップ率演算回路36を除く信号処理回路により制
御部96が形成され、この制御部96及びアクチュエータ16
FL(〜16RR)により制御手段が構成される。
次に、上記実施例の動作を第5図,第6図を参照しな
がら説明する。なお、簡単のため、車輪速度は四輪9FL
〜9RRで全て等しいとし、その前左側について述べる。
本装置は、イグニッションスイッチがオン状態になる
と起動する。
まず、車輪スリップ率が殆ど零であるブレーキ非操作
状態での走行時(t0以前)を説明すると、車輪速センサ
11FLは、車輪9FLの車輪周速度に対応する正弦波信号v1
を、コントローラ15の信号処理回路18FLに各々出力す
る。
入力した交流信号v1は、周波数/電圧変換器30によ
り、その周波数に比例した車輪速度信号Vw1に変換され
る。この信号Vw1は、微分回路32でその微小時間当たり
の変化率を示す車輪加減速度信号w1に変換され、比較
回路34A,34Bで基準値−V2,V1と各々比較され、比較回
路34A,34Bの出力を共に論理Lレベルとする(第5図
(3)(4)参照)。また、スリップ率演算回路36で
は、擬似車速信号Vref=Vw1であるから、スリップ率S1
=0が演算され、比較回路70の出力は論理Lレベル(同
図(5)参照)、インバータ72の出力は論理Hレベルと
なる(同図(9)参照)。また、いま車両は停車に相当
する速度以上で走行中であるから、比較回路37の出力は
論理Hレベルであり(同図(6)参照)、これによって
フリップフロップ74がセットされ(同図(11)参照)、
そのQ出力が論理Hレベルであり、これがOR回路76に供
給される。一方、パルス発生器77からの緩増圧用のパル
ス信号P1(同図(12)参照)もOR回路76に供給され、そ
の出力は論理Hレベルとなる(同図(13)参照)。
そこで、一方のAND回路46では、その4入力は全て論
理Hレベルになるため、該出力も論理Hレベルとなり
(同図(14)参照)、アクチュエータ16FLの流入弁90に
対する液圧制御信号が所定レベルのオンとなる。このと
き、他方のAND回路50では、その3入力の内、比較回路7
0の出力が論理Lレベルであるから、AND回路50の出力は
論理Lレベルに保持される((同図(10)参照)。この
ため、アクチュエータ16FLの流出弁91に対する液圧制御
信号AVが零レベルのオフになるとともに、リトリガブル
タイマ81も起動されず、ポンプ制御信号MRがオフとな
る。
つまり、この通常走行状態では、流入弁90が開,流出
弁91が閉となっており、マスターシリンダ8からのオイ
ルはホイールシリンダ10FL(〜10RR)に流入可能になっ
ている。
このとき、減圧信号,つまりAND回路50の出力が上述
のように論理Lレベルであるから、単安定マルチバイブ
レータ86がトリガされず、従って、フリップフロップ89
のQ出力が論理Lレベルに維持される(同図(16)〜
(19)参照)。
一方、駆動状態検出スイッチ12は、車両が二輪駆動状
態であれば論理Hレベルの検出信号Vaを、四輪駆動状態
であれば論理Lレベルの検出信号Vaを加算回路22の一方
の入力端に供給する。これによって、加算回路22での加
算結果は、二輪駆動状態のときに〔Va+Vb〕となり、四
輪駆動状態のときにVb(<〔Va+Vb〕)となる。
しかし、この通常走行時にあっては前述のように、ス
イッチ回路24がオフとなっているため、駆動状態の如何
に関わらず、本装置に係るスロットルバルブ17Aの開度
制御が実施されるということはない。
この状態から、時刻t0で低μ路における急制動を行っ
たとする。つまり、ブレーキペダル6の踏み込みによっ
て、マスターシリンダ8から流入弁90を介してホイール
シリンダ10FL(〜10RR)にオイルが流入し、シリンダ圧
(ブレーキ圧)が急増して(同図(15)A参照)、車輪
速度が低下し始める(同図(1)参照)。このように、
車輪速度が実車体速度より低下してきた状態では、擬似
車速発生回路35によって、同図(1)のように、車輪速
度Vw1に模して又は減速側への一定勾配の車体速度Vref
が推定され、これに基づき液圧制御が行われる。
また、この状態では、微分回路32の出力する車輪加減
速度信号w1はマイナス方向に徐々に増大する信号とな
り(同図(2)参照)、時刻t1において、減速側の基準
値−V2に達する。これに付勢されて比較回路34Aの出力
が論理Hレベル、インバータ44Aの出力が論理Lレベ
ル、AND回路46の出力が論理Lとなる(同図(3)
(8)(14)参照)。つまり、前述の急増圧状態から、
液圧制御信号EVがオフ(信号AVはオフ)となって、その
圧力が保持される(同図(15)B参照)。
この保圧によって車輪速度Vw1の低下が鈍るものの、
時刻t2においてスリップ率演算回路36の演算値がS1≧S0
になる。これによって、比較回路70の出力が論理Hレベ
ルとなり、AND回路50の3入力が全て論理Hレベルにな
るから、その出力も論理Hレベルになり(同図(5)
(10)参照)、液圧制御信号AVがオンになるとともに、
リトリガブルタイマ81が起動してポンプ制御信号MRがオ
ンとなる。一方、このとき、AND回路46の出力が論理L
レベルであるから、液圧制御信号EVがオフとなって、前
述した減圧モードが指令され、シリンダ液圧が低下する
(第5図(15)C参照)。
この時点t2では、AND回路50の出力の立ち上がり付勢
されて単安定マルチバイブレータ86がトリガされ、時刻
t2から予め設定された時間Tだけ、その出力を論理Hレ
ベルとする(同図(16)参照)。しかし、NAND回路88A
の出力が論理Lレベルとなり、フリップフロップ89がセ
ットされることはなく(同図(17)(19)参照)、スイ
ッチ回路24はオフを維持する。
上記減圧によって、車輪速度Vw1はその後徐々に車体
速度方向に回復し、時刻t3で車輪加減速度w1=−α
に復帰し、t3以降で比較回路34Aの出力が論理Lレベル
になるが、依然としてAND回路50が論理Hレベル,AND回
路46が論理Lレベルを出力する。つまり、車輪速度Vw1
の回復が充分でないとして減圧モードが継続される。
さらに時刻t3′(=t2+T)では、単安定マルチバイ
ブレータ86の出力が論理Lレベルとなり、このときAND
回路50の出力が論理Hレベルであるので、NAND回路88A
が論理Hレベルに立ち上がる(同図(16)(17)参
照)。これに付勢されて、フリップフロップ89がセット
され(同図(19)参照)、スイッチ回路24がオンとな
る。そこで、加算回路22の出力が駆動回路26に至り、駆
動回路26がスロットルアクチュエータ17を駆動し、スロ
ットルバルブ17Aが、その時点の駆動方式に対応した加
算回路22の出力に比例して開度増となり、その分エンジ
ン回転数が上昇開始する。
そして、時刻t4において、車輪加減速度w1=α
なるから、比較回路34Bが論理Hレベルを出力し、AND回
路46の出力の論理Lレベルを維持したまま、AND回路50
の出力も論理Lレベルとなる(同図(5)(7)(10)
(14)参照)。つまり、前述したと同様に液圧制御信号
EV,AVが共にオフとなり、保圧状態に入る(同図(15)
D参照)。このt4でNAND回路88Aも論理Lレベルに戻
る。
そして、時刻t5では、車輪速度Vw1が回復してきてス
リップ率S1<S0となるから、比較回路70の出力が論理L
レベルに立ち下がるが(同図(5)参照)、液圧制御信
号EV,AVのオフが維持される。これにより、保圧モード
が継続し、車輪速度Vw1が車体速度Vref近辺まで充分に
回復する。
そして、保圧終盤で路面が高μ路に変わり、再び車輪
加減速度信号w1=V1となる時刻t6において、比較回路
34Bが論理Lレベル、AND回路50が論理Lレベル、AND回
路46がパルス状の出力となる(同図(4)(7)(10)
(14)参照)。つまり、液圧制御信号AVのオフを維持し
たまま、液圧制御信号EVを所定微小時間だけオンとし、
且つ、これを所定周期で繰り返す。これにより、第5図
(15)A′に示す如く液圧が略ステップ状に上昇する。
この緩増圧モードは、この増圧によりw1=−V2とな
る時刻t7まで継続され、S1=S0となる時刻t8までは保圧
モードが指令される。以下、同様にして減圧(t8
t9),保圧(t9〜t10),緩増圧(t10〜t11),……,
の繰り返しによるスキッドサイクルが制動完了まで継続
する。このスキッドサイクルに係る液圧モードの制御方
向を示すと、第6図に示すように原点を出発点として矢
印のようになる。
一方、時刻t9では、今度は、NAND回路88Bが論理Hレ
ベルとなるからフリップフロップ89の出力が論理Lとな
って(同図(18)(19)参照)、スイッチ回路24がオフ
となる。これにより、路面が高μ路に変わったため、減
圧によるスリップ大からの復帰状態が良好であると認識
し、時刻t3′以降指令していたエンジン回転数の上昇制
御を中止し、元のアイドリング状態に復帰する。
このように、低μ路では車輪速度の回復が遅くなるか
ら適宜なタイミングでエンジン回転数の上昇がなされ、
高μ路ではそのような事態が殆ど無いので、通常のアイ
ドリング回転に戻される。つまり、エンジン回転数を上
昇させたときには、エンジン駆動トルクにより車輪速度
Vw1の回復が早められ、スリップ率の大きな状態が極力
短期間に抑制されるから、制動性能の低下及び車両安定
性の悪化を回避できる。
これをさらに詳述すると、車輪の一輪に対する運動方
程式は、 I=μrW−TB0−TE0 ……(2) で表される。ここで、I:車輪イナーシャ、:車輪角速
度、μ:路面摩擦係数、r:車輪半径、W:輪荷重、TB0:ブ
レーキトルク、TE0:エンジントルクである。上述したこ
とは、この第(2)式において、エンジントルクTE0が
エンジンブレーキのとき負になり、摩擦力により車輪を
回すトルクμrWより大きくなり、車輪角加速度が正と
ならず、スリップから回復しない状態を、エンジン回転
数を上昇させ、エンジントルクTE0を正とし、これによ
り車輪角加速度を正とすることに相当する。
一方、任意のスロットル開度に対してエンジントルク
TE0は一定であるが、2WD車ではこれが二等分されて各車
輪に係り、4WD車では全四輪に配分される。このため、
ある路面μに対して、各輪にかけるべきエンジントルク
の値は異なることになる。そこで、本実施例では、2WD
の場合は、4WD場合より大きなエンジントルクとなるよ
うにスロットル開度を大きく開き、エンジントルクを増
大させている。これにより駆動方式の違いによるエンジ
ントルクの差を補正して、何れの駆動方式であっても、
確実且つ適量のエンジントルクの上昇がなされる。
なお、前記実施例におけるコントローラ15は、この全
体をコンピュータによって構成することもできる。
また、前記実施例は、四輪駆動車として二輪駆動と四
輪駆動とをセレクティブに切り換える車両に適用した場
合を示したが、前・後輪の駆動力配分比をクラッチ締結
圧により連続的に可変制御する、所謂,トルクスプリッ
ト式四輪駆動車にも適用出来ることは言うまでもない。
この種の車両では、前記クラッチ締結圧を決定する信号
に応じてエンジン回転数の目標値を決定すればよい。
また、前記実施例はドラム式ブレーキについて適用し
た場合を示したが、これはディスク式ブレーキについて
も同様に適用可能である。また4輪独立制御方式のみな
らず、後2輪制御のアンチロックブレーキについて適用
することもできる。
〔発明の効果〕
以上説明してきたように、この発明によれば、所定の
スリップ状態になったときに、エンジン回転数を上昇さ
せるとともに、そのエンジン回転数を、四輪駆動側状態
よりも二輪駆動側状態の方が高い値となるように構成し
たため、氷上路等の低μ路で制動をかけた場合でも、ブ
レーキ圧減少後の車輪速度の回復が迅速になされ、スリ
ップ過多となる時間がエンジントルクの上昇により短縮
化され、これによって、ノーブレーキ気味となることに
よる制動性能の低下及び車両の不安定化という事態が確
実に排除されるとともに、制動時の駆動方式が二輪駆動
又は四輪駆動であっても上述した利点を確実に享受する
ことができるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の特許請求の範囲との対応図、第2図
はこの発明の一実施例の全体構成を示すブロック図、第
3図は第2図のコントローラの構成を示すブロック図、
第4図は第2図のアクチュエータの構成を示すブロック
図、第5図は本実施例の各部の作動を示すタイミングチ
ャート、第6図は制御マップを示すグラフである。 図中、2はブレーキ、4はアンチスキッド制御装置、9F
L〜9RRは車輪、10FL〜10RRはホイールシリンダ、11FL〜
11RRは車輪速センサ、12は駆動状態検出スイッチ、15は
コントローラ、16FL〜16RRは制御手段の一部を成すアク
チュエータ、20はスリップ状態判断手段、22は加算回路
(エンジン回転数目標値設定手段)、28はエンジン回転
数調整手段、35は擬似車速発生回路(車体速度推定手
段)、36はスリップ率演算回路(スリップ率演算手
段)、62は車輪速度検出手段、96は制御手段の一部を成
す制御部である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、
    車体速度を推定する車体速度推定手段と、前記車輪速度
    検出値及び前記車体速度推定値に基づき車輪のスリップ
    率を演算するスリップ率演算手段と、前記車輪速度検出
    値に基づき及び前記スリップ率に応じて車輪のブレーキ
    圧を制御する制御手段とを備えたアンチスキッド制御装
    置において、 車両が二輪駆動側状態か四輪駆動側状態かを検出する駆
    動状態検出手段と、制動時におけるエンジンのアイドリ
    ング回転以上の回転数目標値を設定するとともに、前記
    駆動状態検出手段の検出情報に付勢されて当該目標値を
    二輪駆動側状態の方が四輪駆動側状態よりも高い値に設
    定するエンジン回転数目標値設定手段とを備え、 前記スリップ率演算手段の演算値が所定値以上である状
    態が所定時間以上継続する所定スリップ状態か否かを判
    断するスリップ状態判断手段と、このスリップ状態判断
    手段により所定スリップ状態であると判断されたとき
    に、前記エンジン回転数目標値設定手段による目標値に
    応じてエンジンの回転数を上昇させるエンジン回転数調
    整手段とを備えたことを特徴としたアンチスキッド制御
    装置。
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