JPH0719356B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents
磁気記録媒体Info
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- JPH0719356B2 JPH0719356B2 JP59021599A JP2159984A JPH0719356B2 JP H0719356 B2 JPH0719356 B2 JP H0719356B2 JP 59021599 A JP59021599 A JP 59021599A JP 2159984 A JP2159984 A JP 2159984A JP H0719356 B2 JPH0719356 B2 JP H0719356B2
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Description
(イ)技術分野 この発明は磁気記録媒体に関し、特に走行安定性、耐久
性等のすぐれた強磁性薄膜を磁気記録層とする磁気記録
媒体に関するものである。 (ロ)背景技術 現在、磁気記録媒体は、オーディオ、ビデオ、コンピュ
ーター、磁気ディスク等の分野で広範囲に使用されるよ
うになっており、それに伴い、磁気記録媒体に記録する
情報量も年々増加の一途をたどり、そのため磁気記録媒
体に対しては記録密度の向上が益々要求されるようにな
ってきている。 塗布型の磁気記録媒体より薄型化が容易で飽和磁化も大
きい非バインダー型磁気記録媒体、即ち強磁性薄膜から
なる磁気記録媒体は、腐食、衝撃及び摩擦強度に問題が
あり、磁気信号の記録、再生及び消去の過程で磁気ヘッ
ドとの高速相対運動により摩擦もしくは破壊が生ずるこ
とがある。すなわち電気メッキ、無電解メッキ、スパッ
タリング、真空蒸着、イオンプレーティング等の方法に
よる強磁性薄膜を設けた磁気記録媒体はバインダーを含
まないため、磁気ヘッドとの接触摺動時に摩擦のため磁
気記録層が削りとられるか、破壊され易いものであっ
た。 そのため磁気金属薄膜表面上に潤滑剤を塗布する方法
(特公昭39−25246号公報)があるが、そのような方法
では磁気ヘッド等で潤滑剤が拭きとられる等して潤滑作
用が永続的でなく、又、潤滑作用を継続的に磁気記録層
上に供給する手段として磁気記録層の反対側の面に液状
又は半固体状の潤滑剤及び有機バインダーを主成分とす
る潤滑層(バックコート層)を設ける方法(特公昭57−
29769号公報)も提案され、この方法では磁気記録層の
裏面ににじみ出た潤滑剤がロール状に巻かれた際磁気記
録層に移り、磁気記録層の表面に常に潤滑剤を供給で
き、磁気記録層の耐久性(スリキズやハガレの程度)や
動摩擦係数の変化において、すぐれた効果が奏せられる
とするものであるが、前記方法のバックコート層のみに
潤滑剤を含有させたものでは磁気薄膜と磁気ヘッドとの
摩擦レベルは高く、走行不良をもたらし、未まだ充分な
ものとは言えないものであった。 (ハ)発明の開示 本発明者等はそれらの欠点を改善すべく、鋭意研究の結
果、強磁性薄膜からなる磁気記録層において、薄膜表面
上にトップコート層を設けることにより、前記欠点とさ
れていた摩擦、削れ及び走行性の改善されたすぐれた磁
気記録媒体が得られることを見出したものである。 前記のとおり、特公昭57−29769号公報の潤滑剤を含有
するバックコート層のみを有するものにあっては、摩擦
レベルが高く、走行不良を生ずる。すなわちトップコー
トをしていない蒸着膜にあっては、バックコート層に潤
滑剤が含まれていると、該潤滑剤が裏型転写され、その
ため蒸着膜が酸素導入のないもの(酸素不含有物)の場
合の蒸着膜においてはそれほどでもないが、酸素が導入
されたもの(酸素含有物)の場合には膜が不安定な状態
となり、出力ダウンして目づまりをしたり、画像が出な
いか、或いは摩擦抵抗未だ大きく、不十分であり、時に
は膜がとれるか或いは壊れてしまうのである。特にスチ
ール時の測定において、膜がつきぬけて取れてしまい、
目づまりを発生し、大問題となる。 又強磁性薄膜にトップコート層を設ける場合、潤滑剤の
みではトップコート層のない前記と同様の不都合が生ず
るが、放射線硬化型ポリマー、酸化防止剤、潤滑剤をト
ップコート層に含有させることにより、該ポリマーによ
る補強効果によって削れが少なく、防錆性、耐腐食性、
耐久性、走行安定性にすぐれ、バックコート層の潤滑剤
が裏型転写しても、強磁性薄膜はトップコート層により
保護されると共にバックコート層を特定の電子線硬化型
樹脂組成物で形成することによりすぐれた磁気記録媒体
が得られることを見出し、本発明に到達したものであ
る。 即ち、本発明は非磁性基材の一方の面に強磁性薄膜から
なる磁気記録層、他方の面にバックコート層を設けた磁
気記録媒体において、該磁気記録層には、強磁性薄膜の
表面上に酸化防止剤、電子線硬化型ポリマー及び潤滑剤
とからなるトップコート層が設けられ、該バックコート
層が無機顔料、電子線硬化型樹脂、潤滑剤を含む塗膜か
らなり該電子線硬化型樹脂が (A)電子線により硬化性をもつ不飽和二重結合を2個
以上有する、分子量5,000〜100,000のプラスチック状化
合物、 (B)電子線により硬化性をもつ不飽和二重結合を1個
以上有する、分子量3,000〜100,000のゴム状化合物及び (C)電子線により硬化性をもつ不飽和二重結合を1個
以上有する、分子量200〜3,000の化合物 よりなる樹脂組成物であることを特徴とする磁気記録媒
体に関するものである。 本発明の強磁性薄膜に用いられる強磁性金属あるいは強
磁性合金としては、鉄、コバルト、ニッケルその他の強
磁性金属あるいはFe−Co、Fe−Ni、Co−Ni、Fe−Rh、Fe
−Cu、Fe−Au、Co−Cu、Co−Au、Co−Y、Co−La、Co−
Pr、Co−Gd、Co−Sm、Co−Pt、Ni−Cu、Fe−Co−Nd、Mn
−Bi、Mn−Sb、Mn−Alのような磁性合金を挙げることが
できる。 強磁性薄膜は非磁性基材、即ちポリエステルフィルム、
ポリアミドフィルム等のプラスチックフィルム、アルミ
板、ステンレス板等の金属板、ガラス板のような無機質
の板等の公知の基材の上に直接あるいは非磁性薄膜層を
介して、上記金属又は合金を真空蒸着、スパッタリン
グ、イオンプレーティング、メッキその他の方法で形成
され得る。 本発明の強磁性薄膜は前記どのような方法によって製造
されたものでも勿論用いることができるが、前記特公昭
57−29769号公報実施例5に記載の真空度5.0×10-6Torr
の真空中で、その幅方向が蒸発源に対して50゜傾斜して
蒸着するもの(1)よりも、現在一般に行なわれている
ところの、蒸着方向が長手方向に傾斜(90゜〜30゜)
し、幅方向には傾斜していないもので、雰囲気として、
O2又はO2とArを導入しながら、〜1×10-4Torrで蒸着し
たもの(2)が好ましく用いられる。 前記の(1)の方法で製造された蒸着膜は全面金属状態
(空気中に取り出した後に自然酸化された表面を除け
ば)であるのに対して、(2)の方法の微量の酸素ガス
の存在する真空中で金属又は合金を蒸着するものでは磁
性金属は酸素を含有しその酸素は金属と固溶せず、酸化
物の状態で存在する。そして、この酸化物の存在が磁気
記録媒体にとっては好ましく、特にベースとの界面及び
ベースと反対側の表面に酸化物が多く存在する場合に、
本発明において良好な特性が得られることが判明した。 又、強磁性金属薄膜への酸素導入法としては前記の酵素
の存在下での蒸着のほかに、酸素の存在しない真空蒸着
での蒸着膜を、例えば90℃、20%RH等の雰囲気中で強制
酸化し、そのベースと反対側の表面を酸化物のみとする
こともできる。 酸素を含有する強磁性薄膜の酸素の含有量は で3〜60%である。 磁気記録層が強磁性薄膜のみからなり、トップコート層
のないものでは、バックコート層に潤滑剤が含有された
ものであっても、摩擦レベルが高く、走行安定性がな
く、又耐久性においても劣るものである。そしてトップ
コート層のない蒸着膜において、現在行なわれている蒸
着法で製造される蒸着膜は前述の通り酸素を含有するも
のであることが知られ、これは酸素を含有しない蒸着膜
に比して耐食性、抗磁力、電磁変換特性等の点ですぐれ
ているが、磁気ヘッド等との摩擦抵抗が未だ大きく不十
分で、走行安定性、耐久性の点で実用レベルの特性が得
られていない。そして前記の如く、特公昭57−29769号
公報記載のようにバックコート層に潤滑剤を含有させる
だけでは、バックコート層の潤滑剤が蒸着膜に裏型転写
し、膜をいため、出力が不安定となって画像が出なくな
ったり、特にスチール時の測定において膜がつきぬけて
とれてしまい、目づまりを発生して、満足できる磁気記
録媒体は得られないこと、又、トップコート層に潤滑剤
のみを塗布するものでは一時的な摩擦の低下しか得られ
ず、防錆性、耐腐食性、耐久性の点でも著しく劣ること
が判明し、それを解決するための技術手段として、本発
明では特定のトップコート層を設けるものである。 本発明のトップコート層は、電子線硬化型ポリマーと酸
化防止剤に更に潤滑剤を含有するものである。 本発明のトップコート層で用いられる電子線硬化型ポリ
マーとしては、イオン化エネルギーに感応し、ラジカル
重合性を示す不飽和二重結合を有すアクリル酸、メタク
リル酸、あるいはそれらのエステル化合物のようなアク
リル系二重結合、ジアリルフタレートのようなアリル系
二重結合、マレイン酸、マレイン酸誘導体等の不飽和結
合等の、電子線照射による架橋あるいは重合乾燥する基
を熱可塑性樹脂の分子中に含有または導入した樹脂等を
用いることができる。その他、使用可能なポリマー成分
としては、単量体としてアクリル酸、メタクリル酸、ア
クリルアミド等がある。二重結合のあるポリマーとして
は、種々のポリエステル、ポリオール、ポリウレタン等
をアクリル二重結合を有する化合物で変性することもで
きる。更に必要に応じて多価アルコールと多価カルボン
酸を配合することによって種々の分子量のものもでき
る。電子線感応樹脂として上記のものはその一部であ
り、これらは混合して用いることもできる。また(A)
電子線により硬化性をもつ不飽和二重結合を2個以上有
する分子量5,000〜100,000のプラスチック状化合物、
(B)電子線により硬化性をもつ不飽和二重結合を1個
以上有する分子量3,000〜100,000のゴム状化合物、およ
び(C)電子線により硬化性をもつ不飽和二重結合を1
個以上有する、分子量200〜3,000の化合物である。これ
らは単独又は混合物の形で用いられ、混合物の場合、特
に好ましいものとしては、(A)20〜70重量%、(B)
20〜80重量%、(C)10〜40重量%の割合で用いた組合
せである。又(A)、(B)、(C)の化合物における
不飽和二重結合は1分子当り(A)は2以上、好ましく
は5以上、(B)は1以上、好ましくは5以上、(C)
は1以上、好ましくは3以上である。 本発明で用いる(A)のプラスチック状化合物は、電子
線によりラジカルを発生し架橋構造を生じるような、不
飽和二重結合を分子鎖中に二個以上含むものであり、こ
れはまた熱可塑性樹脂を電子線感応変性することによっ
ても得ることができる。 電子線硬化性樹脂の具体例としては、ラジカル重合性を
有する不飽和二重結合を示すアクリル酸、メタクリル
酸、あるいはそれらのエステル化合物のようなアクリル
系二重結合、ジアリルフタレートのようなアリル系二重
結合、マレイン酸、マレイン酸誘導体等の不飽和結合等
の、電子線照射による架橋あるいは重合乾燥する基を熱
可塑性樹脂の分子中に含有または導入した樹脂である。
その他電子線照射により架橋重合する不飽和二重結合を
有する化合物で分子量が5,000〜100,000のもの、好まし
くは10,000〜80,000のものであれば用いることができ
る。 電子線照射による架橋あるいは重合乾燥する基を熱可塑
性樹脂の分子中に含有する樹脂としては次の様な不飽和
ポリエステル樹脂がある。 分子鎖中に電子線硬化性不飽和二重結合を含有するポリ
エステル化合物、例えば下記(2)の多塩基酸と多価ア
ルコールのエステル結合から成る飽和ポリエステル樹脂
で多塩基酸の一部をマレイン酸とした電子線硬化性不飽
和二重結合を含有する不飽和ポリエステル樹脂を挙げる
ことができる。電子線硬化性不飽和ポリエステル樹脂は
多塩基酸成分1種以上と多価アルコール成分1種以上に
マレイン酸、フマル酸等を加え常法、すなわち触媒の存
在下で、180〜200℃、窒素雰囲気下、脱水あるいは脱ア
ルコール反応の後、240〜280℃まで昇温し、0.5〜1mmHg
の減圧下、縮合反応により得ることができる。マレイン
酸やフマル酸等の含有量は、製造時の架橋、電子線硬化
性等から酸成分中1〜40モル%、好ましくは10〜30モル
%である。 電子線硬化性樹脂に変性できる熱可塑性樹脂の例として
は、次のようなものを挙げることができる。 (1)塩化ビニール系共重合体 塩化ビニール−酢酸ビニール−ビニールアルコール共重
合体、塩化ビニール−ビニールアルコール共重合体、塩
化ビニール−ビニールアルコール−プロピオン酸ビニー
ル共重合体、塩化ビニール−酢酸ビニール−マレイン酸
共重合体、塩化ビニール−酢酸ビニル−ビニルアルコー
ル−マレイン酸共重合体、塩化ビニール−酢酸ビニール
−末端OH側鎖アルキル基共重合体、たとえばUCC社製VRO
H、VYNC、VYBGX、VERR、VYES、VMCA、VAGH等が挙げら
れ、このものに後述の手法により、アクリル系二重結
合、マレイン酸系二重結合、アリル系二重結合を導入し
て電子線感応変性を行う。 (2)飽和ポリエステル樹脂 フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、ア
ジピン酸、セバシン酸のような飽和多塩基酸と、エチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ト
リメチロールプロパン、1,2プロピレングリコール、1,3
ブタンジオール、ジプロピレングリコール、1,4ブタン
ジオール、1,6ヘキサンジオール、ペンタエリスリッ
ト、ソルビトール、グリセリン、ネオペンチルグリコー
ル、1,4シクロヘキサンジメタノールのような多価アル
コールとのエステル結合により得られる飽和ポリエステ
ル樹脂又はこれらのポリエステル樹脂をSO3Na等で変性
した樹脂(例えばバイロン53S)が例として挙げられ、
これらも同様にして電子線感応変性を行う。 (3)ポリビニルアルコール系樹脂 ポリビニルアルコール、ブチラール樹脂、アセタール樹
脂、ホルマール樹脂及びこれらの成分の共重合体で、こ
れら樹脂中に含まれる水酸基に対し後述の手法により電
子線感応変性を行う。 (4)エポシキ系樹脂、フェノキシ系樹脂 ビスフェノールAとエピクロルヒドリン、メチルエピク
ロルヒドリンの反応によるエポキシ樹脂、例えばシェル
化学製(エピコート152、154、828、1001、1004、100
7)、ダウケミカル製(DEN431、DER732、DER511、DER33
1)、大日本インキ製(エピクロン400、800)、更に上
記エポキシの高重合度樹脂であるUCC社製フェノキシ樹
脂(PKHA、PKHC、PKHH)、臭素化ビスフェノールAとエ
ピクロルヒドリンとの共重合体、大日本インキ化学工業
製(エピクロン145、152、153、1120)等があり、又こ
れらにカルボン酸基を含有するものも含まれる。これら
樹脂中に含まれるエポキシ基を利用して電子線感応変性
を行う。 (5)繊維素誘導体 各種のものが用いられるが、特に効果的なものは硝化
綿、セルローズアセトブチレート、エチルセルローズ、
ブチルセルローズ、アセチルセルローズ等が好適であ
る。樹脂中の水酸基を活用して後述の方法により電子線
感応変性を行う。 その他、電子線感応変性に用いることのできる樹脂とし
ては、多官能ポリエステル樹脂、ポリエーテルエステル
樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂及び誘導体(PVPオレ
フィン共重合体)、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、
フェノール樹脂、スピロアセタール樹脂、水酸基を含有
するアクリルエステル及びメタクリルエステルを重合成
分として少くとも一種含むアクリル系樹脂等も有効であ
る。 本発明で用いる(B)の高分子量の化合物は、熱可塑性
エラストマーもしくはプレポリマー、またはこれらを電
子線感応変性したものであり、後者の場合はより効果的
である。以下にエラストマーもしくはプレポリマーの例
を挙げる。 (1)ポリウレタンエラクトマーもしくはプレポリマー ポリウレタンの使用は耐摩耗性、及び基体フィルム、例
えばPETフィルムへの接着性が良い点で特に有効であ
る。ウレタン化合物の例としては、イソシアネートとし
て、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジ
イソシアネート、1,3−キシレンジイソシアネート、1,4
−キシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソ
シアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フ
ェニレンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−
ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニ
ルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチルビフェニ
レンジイソシアネート、4,4′−ビフェニレンジイソシ
アネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソフォ
ロンジイソシアネート、ジシクロヘキシメタンジイソシ
アネート、デスモジュールL、デスモジュールN等の各
種多価イソシアネートと、線状飽和ポリエステル(エチ
レングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、
トリメチロールプロパン、1,4−ブタンジオール、1,6−
ヘキサンジオール、ペンタエリスリット、ソルビトー
ル、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジ
メタノールの様な多価アルコールと、フタル酸、イソフ
タル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシ
ン酸の様な飽和多塩基酸との縮重合によるもの)、線状
飽和ポリエーテル(ポリエチレングリコール、ポリプロ
ピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール)や
カプロラクタム、ヒドロキシル含有アクリル酸エステ
ル、ヒドロキシル含有メタクリル酸エステル等の各種ポ
リエステル類の縮重合物より成るポリウレタンエラスト
マー、プレポリマーが有効である。 これらのウレタンエラストマーの末端のイソシアネート
基又は水酸基と、アクリル系二重結合又はアリル系二重
結合等を有する単量体とを反応させることにより、電子
線感応性に変性することは非常に効果的である。又、末
端に極性基としてOH、COOH等を含有するものも含む。 (2)アクリロニトリル−ブタジエン共重合エラストマ
ー シンクレアペトロケミカル社製ポリBDリタイッドレジン
として市販されている末端水酸基のあるアクリロニトリ
ルブタジエン共重合プレポリマーあるいは日本ゼオン社
製ハイカー1432J等のエラストマーは、特にブタジエン
中の二重結合が電子線によるラジカルを生じ架橋及び重
合させるエラストマー成分として適する。 (3)ポリブタジエンエラストマー シンクレアペトロケミカル社製ポリBDリタイッドレジン
R−15等の低分子量末端水酸基を有するプレポリマーが
特に熱可塑性樹脂との相溶性の点で好適である。R−15
プレポリマーにおいては分子末端が水酸基となっている
為、分子末端にアクリル系不飽和二重結合を付加するこ
とにより電子線感応性を高めることが可能であり、バイ
ンダーとして更に有利となる。 またポリブタジエンの環化物、日本合成ゴム製CBR−M90
1も熱可塑性樹脂との組合せによりすぐれた性質を有し
ている。 その他、熱可塑性エラストマー及びそのプレポリマーの
系で好適なものとしては、スチレン−ブタジエンゴム、
塩化ゴム、アクリルゴム、イソプレンゴム及びその環化
物(日本合成ゴム製CIR−701)があり、エポキシ変性ゴ
ム、内部可塑化飽和線状ポリエステル(東洋紡バイロン
#300)等のエラストマーも下記に述べる電子線感応変
性処理を施こすことにより有効に利用できる。 本発明で用いられる(C)電子線硬化性不飽和二重結合
を有する化合物としては、スチレン、エチルアクリレー
ト、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリ
コールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアク
リレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,
6−ヘキサングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサン
グリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパン
トリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタク
リレート、多官能オリゴエステルアクリレート(アロニ
ックスM−7100、M−5400、5500、5700等、東亜合
成)、ウレタンエラストマー(ニッポラン4040)のアク
リル変性体、あるいはこれらのものにCOOH等の官能基が
導入されたもの等が挙げられる。 次に、電子線硬化型ポリマー合成例を説明する。 a)塩化ビニール酢酸ビニール共重合系樹脂のアクリル
変性体(電子線感応変性樹脂)の合成 OH基を有する一部ケン化塩ビ−酢ビ共重合体(平均重合
度 n=500)750部とトルエン1250部、シクロヘキサノ
ン500部を5lの4つ口フラスコに仕込み加熱溶解し、80
℃昇温後トリレンジイソシアネートの2−ヒドロキシエ
チルメタクリレートアダクト※を61.4部加え、更にオク
チル酸スズ0.012部、ハイドロキノン0.012部を加え80℃
でN2気流中、NCO反応率が90%となるまで反応せしめ
る。反応終了後冷却し、メチルエチルケトン1250部を加
え希釈する。
性等のすぐれた強磁性薄膜を磁気記録層とする磁気記録
媒体に関するものである。 (ロ)背景技術 現在、磁気記録媒体は、オーディオ、ビデオ、コンピュ
ーター、磁気ディスク等の分野で広範囲に使用されるよ
うになっており、それに伴い、磁気記録媒体に記録する
情報量も年々増加の一途をたどり、そのため磁気記録媒
体に対しては記録密度の向上が益々要求されるようにな
ってきている。 塗布型の磁気記録媒体より薄型化が容易で飽和磁化も大
きい非バインダー型磁気記録媒体、即ち強磁性薄膜から
なる磁気記録媒体は、腐食、衝撃及び摩擦強度に問題が
あり、磁気信号の記録、再生及び消去の過程で磁気ヘッ
ドとの高速相対運動により摩擦もしくは破壊が生ずるこ
とがある。すなわち電気メッキ、無電解メッキ、スパッ
タリング、真空蒸着、イオンプレーティング等の方法に
よる強磁性薄膜を設けた磁気記録媒体はバインダーを含
まないため、磁気ヘッドとの接触摺動時に摩擦のため磁
気記録層が削りとられるか、破壊され易いものであっ
た。 そのため磁気金属薄膜表面上に潤滑剤を塗布する方法
(特公昭39−25246号公報)があるが、そのような方法
では磁気ヘッド等で潤滑剤が拭きとられる等して潤滑作
用が永続的でなく、又、潤滑作用を継続的に磁気記録層
上に供給する手段として磁気記録層の反対側の面に液状
又は半固体状の潤滑剤及び有機バインダーを主成分とす
る潤滑層(バックコート層)を設ける方法(特公昭57−
29769号公報)も提案され、この方法では磁気記録層の
裏面ににじみ出た潤滑剤がロール状に巻かれた際磁気記
録層に移り、磁気記録層の表面に常に潤滑剤を供給で
き、磁気記録層の耐久性(スリキズやハガレの程度)や
動摩擦係数の変化において、すぐれた効果が奏せられる
とするものであるが、前記方法のバックコート層のみに
潤滑剤を含有させたものでは磁気薄膜と磁気ヘッドとの
摩擦レベルは高く、走行不良をもたらし、未まだ充分な
ものとは言えないものであった。 (ハ)発明の開示 本発明者等はそれらの欠点を改善すべく、鋭意研究の結
果、強磁性薄膜からなる磁気記録層において、薄膜表面
上にトップコート層を設けることにより、前記欠点とさ
れていた摩擦、削れ及び走行性の改善されたすぐれた磁
気記録媒体が得られることを見出したものである。 前記のとおり、特公昭57−29769号公報の潤滑剤を含有
するバックコート層のみを有するものにあっては、摩擦
レベルが高く、走行不良を生ずる。すなわちトップコー
トをしていない蒸着膜にあっては、バックコート層に潤
滑剤が含まれていると、該潤滑剤が裏型転写され、その
ため蒸着膜が酸素導入のないもの(酸素不含有物)の場
合の蒸着膜においてはそれほどでもないが、酸素が導入
されたもの(酸素含有物)の場合には膜が不安定な状態
となり、出力ダウンして目づまりをしたり、画像が出な
いか、或いは摩擦抵抗未だ大きく、不十分であり、時に
は膜がとれるか或いは壊れてしまうのである。特にスチ
ール時の測定において、膜がつきぬけて取れてしまい、
目づまりを発生し、大問題となる。 又強磁性薄膜にトップコート層を設ける場合、潤滑剤の
みではトップコート層のない前記と同様の不都合が生ず
るが、放射線硬化型ポリマー、酸化防止剤、潤滑剤をト
ップコート層に含有させることにより、該ポリマーによ
る補強効果によって削れが少なく、防錆性、耐腐食性、
耐久性、走行安定性にすぐれ、バックコート層の潤滑剤
が裏型転写しても、強磁性薄膜はトップコート層により
保護されると共にバックコート層を特定の電子線硬化型
樹脂組成物で形成することによりすぐれた磁気記録媒体
が得られることを見出し、本発明に到達したものであ
る。 即ち、本発明は非磁性基材の一方の面に強磁性薄膜から
なる磁気記録層、他方の面にバックコート層を設けた磁
気記録媒体において、該磁気記録層には、強磁性薄膜の
表面上に酸化防止剤、電子線硬化型ポリマー及び潤滑剤
とからなるトップコート層が設けられ、該バックコート
層が無機顔料、電子線硬化型樹脂、潤滑剤を含む塗膜か
らなり該電子線硬化型樹脂が (A)電子線により硬化性をもつ不飽和二重結合を2個
以上有する、分子量5,000〜100,000のプラスチック状化
合物、 (B)電子線により硬化性をもつ不飽和二重結合を1個
以上有する、分子量3,000〜100,000のゴム状化合物及び (C)電子線により硬化性をもつ不飽和二重結合を1個
以上有する、分子量200〜3,000の化合物 よりなる樹脂組成物であることを特徴とする磁気記録媒
体に関するものである。 本発明の強磁性薄膜に用いられる強磁性金属あるいは強
磁性合金としては、鉄、コバルト、ニッケルその他の強
磁性金属あるいはFe−Co、Fe−Ni、Co−Ni、Fe−Rh、Fe
−Cu、Fe−Au、Co−Cu、Co−Au、Co−Y、Co−La、Co−
Pr、Co−Gd、Co−Sm、Co−Pt、Ni−Cu、Fe−Co−Nd、Mn
−Bi、Mn−Sb、Mn−Alのような磁性合金を挙げることが
できる。 強磁性薄膜は非磁性基材、即ちポリエステルフィルム、
ポリアミドフィルム等のプラスチックフィルム、アルミ
板、ステンレス板等の金属板、ガラス板のような無機質
の板等の公知の基材の上に直接あるいは非磁性薄膜層を
介して、上記金属又は合金を真空蒸着、スパッタリン
グ、イオンプレーティング、メッキその他の方法で形成
され得る。 本発明の強磁性薄膜は前記どのような方法によって製造
されたものでも勿論用いることができるが、前記特公昭
57−29769号公報実施例5に記載の真空度5.0×10-6Torr
の真空中で、その幅方向が蒸発源に対して50゜傾斜して
蒸着するもの(1)よりも、現在一般に行なわれている
ところの、蒸着方向が長手方向に傾斜(90゜〜30゜)
し、幅方向には傾斜していないもので、雰囲気として、
O2又はO2とArを導入しながら、〜1×10-4Torrで蒸着し
たもの(2)が好ましく用いられる。 前記の(1)の方法で製造された蒸着膜は全面金属状態
(空気中に取り出した後に自然酸化された表面を除け
ば)であるのに対して、(2)の方法の微量の酸素ガス
の存在する真空中で金属又は合金を蒸着するものでは磁
性金属は酸素を含有しその酸素は金属と固溶せず、酸化
物の状態で存在する。そして、この酸化物の存在が磁気
記録媒体にとっては好ましく、特にベースとの界面及び
ベースと反対側の表面に酸化物が多く存在する場合に、
本発明において良好な特性が得られることが判明した。 又、強磁性金属薄膜への酸素導入法としては前記の酵素
の存在下での蒸着のほかに、酸素の存在しない真空蒸着
での蒸着膜を、例えば90℃、20%RH等の雰囲気中で強制
酸化し、そのベースと反対側の表面を酸化物のみとする
こともできる。 酸素を含有する強磁性薄膜の酸素の含有量は で3〜60%である。 磁気記録層が強磁性薄膜のみからなり、トップコート層
のないものでは、バックコート層に潤滑剤が含有された
ものであっても、摩擦レベルが高く、走行安定性がな
く、又耐久性においても劣るものである。そしてトップ
コート層のない蒸着膜において、現在行なわれている蒸
着法で製造される蒸着膜は前述の通り酸素を含有するも
のであることが知られ、これは酸素を含有しない蒸着膜
に比して耐食性、抗磁力、電磁変換特性等の点ですぐれ
ているが、磁気ヘッド等との摩擦抵抗が未だ大きく不十
分で、走行安定性、耐久性の点で実用レベルの特性が得
られていない。そして前記の如く、特公昭57−29769号
公報記載のようにバックコート層に潤滑剤を含有させる
だけでは、バックコート層の潤滑剤が蒸着膜に裏型転写
し、膜をいため、出力が不安定となって画像が出なくな
ったり、特にスチール時の測定において膜がつきぬけて
とれてしまい、目づまりを発生して、満足できる磁気記
録媒体は得られないこと、又、トップコート層に潤滑剤
のみを塗布するものでは一時的な摩擦の低下しか得られ
ず、防錆性、耐腐食性、耐久性の点でも著しく劣ること
が判明し、それを解決するための技術手段として、本発
明では特定のトップコート層を設けるものである。 本発明のトップコート層は、電子線硬化型ポリマーと酸
化防止剤に更に潤滑剤を含有するものである。 本発明のトップコート層で用いられる電子線硬化型ポリ
マーとしては、イオン化エネルギーに感応し、ラジカル
重合性を示す不飽和二重結合を有すアクリル酸、メタク
リル酸、あるいはそれらのエステル化合物のようなアク
リル系二重結合、ジアリルフタレートのようなアリル系
二重結合、マレイン酸、マレイン酸誘導体等の不飽和結
合等の、電子線照射による架橋あるいは重合乾燥する基
を熱可塑性樹脂の分子中に含有または導入した樹脂等を
用いることができる。その他、使用可能なポリマー成分
としては、単量体としてアクリル酸、メタクリル酸、ア
クリルアミド等がある。二重結合のあるポリマーとして
は、種々のポリエステル、ポリオール、ポリウレタン等
をアクリル二重結合を有する化合物で変性することもで
きる。更に必要に応じて多価アルコールと多価カルボン
酸を配合することによって種々の分子量のものもでき
る。電子線感応樹脂として上記のものはその一部であ
り、これらは混合して用いることもできる。また(A)
電子線により硬化性をもつ不飽和二重結合を2個以上有
する分子量5,000〜100,000のプラスチック状化合物、
(B)電子線により硬化性をもつ不飽和二重結合を1個
以上有する分子量3,000〜100,000のゴム状化合物、およ
び(C)電子線により硬化性をもつ不飽和二重結合を1
個以上有する、分子量200〜3,000の化合物である。これ
らは単独又は混合物の形で用いられ、混合物の場合、特
に好ましいものとしては、(A)20〜70重量%、(B)
20〜80重量%、(C)10〜40重量%の割合で用いた組合
せである。又(A)、(B)、(C)の化合物における
不飽和二重結合は1分子当り(A)は2以上、好ましく
は5以上、(B)は1以上、好ましくは5以上、(C)
は1以上、好ましくは3以上である。 本発明で用いる(A)のプラスチック状化合物は、電子
線によりラジカルを発生し架橋構造を生じるような、不
飽和二重結合を分子鎖中に二個以上含むものであり、こ
れはまた熱可塑性樹脂を電子線感応変性することによっ
ても得ることができる。 電子線硬化性樹脂の具体例としては、ラジカル重合性を
有する不飽和二重結合を示すアクリル酸、メタクリル
酸、あるいはそれらのエステル化合物のようなアクリル
系二重結合、ジアリルフタレートのようなアリル系二重
結合、マレイン酸、マレイン酸誘導体等の不飽和結合等
の、電子線照射による架橋あるいは重合乾燥する基を熱
可塑性樹脂の分子中に含有または導入した樹脂である。
その他電子線照射により架橋重合する不飽和二重結合を
有する化合物で分子量が5,000〜100,000のもの、好まし
くは10,000〜80,000のものであれば用いることができ
る。 電子線照射による架橋あるいは重合乾燥する基を熱可塑
性樹脂の分子中に含有する樹脂としては次の様な不飽和
ポリエステル樹脂がある。 分子鎖中に電子線硬化性不飽和二重結合を含有するポリ
エステル化合物、例えば下記(2)の多塩基酸と多価ア
ルコールのエステル結合から成る飽和ポリエステル樹脂
で多塩基酸の一部をマレイン酸とした電子線硬化性不飽
和二重結合を含有する不飽和ポリエステル樹脂を挙げる
ことができる。電子線硬化性不飽和ポリエステル樹脂は
多塩基酸成分1種以上と多価アルコール成分1種以上に
マレイン酸、フマル酸等を加え常法、すなわち触媒の存
在下で、180〜200℃、窒素雰囲気下、脱水あるいは脱ア
ルコール反応の後、240〜280℃まで昇温し、0.5〜1mmHg
の減圧下、縮合反応により得ることができる。マレイン
酸やフマル酸等の含有量は、製造時の架橋、電子線硬化
性等から酸成分中1〜40モル%、好ましくは10〜30モル
%である。 電子線硬化性樹脂に変性できる熱可塑性樹脂の例として
は、次のようなものを挙げることができる。 (1)塩化ビニール系共重合体 塩化ビニール−酢酸ビニール−ビニールアルコール共重
合体、塩化ビニール−ビニールアルコール共重合体、塩
化ビニール−ビニールアルコール−プロピオン酸ビニー
ル共重合体、塩化ビニール−酢酸ビニール−マレイン酸
共重合体、塩化ビニール−酢酸ビニル−ビニルアルコー
ル−マレイン酸共重合体、塩化ビニール−酢酸ビニール
−末端OH側鎖アルキル基共重合体、たとえばUCC社製VRO
H、VYNC、VYBGX、VERR、VYES、VMCA、VAGH等が挙げら
れ、このものに後述の手法により、アクリル系二重結
合、マレイン酸系二重結合、アリル系二重結合を導入し
て電子線感応変性を行う。 (2)飽和ポリエステル樹脂 フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、ア
ジピン酸、セバシン酸のような飽和多塩基酸と、エチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ト
リメチロールプロパン、1,2プロピレングリコール、1,3
ブタンジオール、ジプロピレングリコール、1,4ブタン
ジオール、1,6ヘキサンジオール、ペンタエリスリッ
ト、ソルビトール、グリセリン、ネオペンチルグリコー
ル、1,4シクロヘキサンジメタノールのような多価アル
コールとのエステル結合により得られる飽和ポリエステ
ル樹脂又はこれらのポリエステル樹脂をSO3Na等で変性
した樹脂(例えばバイロン53S)が例として挙げられ、
これらも同様にして電子線感応変性を行う。 (3)ポリビニルアルコール系樹脂 ポリビニルアルコール、ブチラール樹脂、アセタール樹
脂、ホルマール樹脂及びこれらの成分の共重合体で、こ
れら樹脂中に含まれる水酸基に対し後述の手法により電
子線感応変性を行う。 (4)エポシキ系樹脂、フェノキシ系樹脂 ビスフェノールAとエピクロルヒドリン、メチルエピク
ロルヒドリンの反応によるエポキシ樹脂、例えばシェル
化学製(エピコート152、154、828、1001、1004、100
7)、ダウケミカル製(DEN431、DER732、DER511、DER33
1)、大日本インキ製(エピクロン400、800)、更に上
記エポキシの高重合度樹脂であるUCC社製フェノキシ樹
脂(PKHA、PKHC、PKHH)、臭素化ビスフェノールAとエ
ピクロルヒドリンとの共重合体、大日本インキ化学工業
製(エピクロン145、152、153、1120)等があり、又こ
れらにカルボン酸基を含有するものも含まれる。これら
樹脂中に含まれるエポキシ基を利用して電子線感応変性
を行う。 (5)繊維素誘導体 各種のものが用いられるが、特に効果的なものは硝化
綿、セルローズアセトブチレート、エチルセルローズ、
ブチルセルローズ、アセチルセルローズ等が好適であ
る。樹脂中の水酸基を活用して後述の方法により電子線
感応変性を行う。 その他、電子線感応変性に用いることのできる樹脂とし
ては、多官能ポリエステル樹脂、ポリエーテルエステル
樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂及び誘導体(PVPオレ
フィン共重合体)、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、
フェノール樹脂、スピロアセタール樹脂、水酸基を含有
するアクリルエステル及びメタクリルエステルを重合成
分として少くとも一種含むアクリル系樹脂等も有効であ
る。 本発明で用いる(B)の高分子量の化合物は、熱可塑性
エラストマーもしくはプレポリマー、またはこれらを電
子線感応変性したものであり、後者の場合はより効果的
である。以下にエラストマーもしくはプレポリマーの例
を挙げる。 (1)ポリウレタンエラクトマーもしくはプレポリマー ポリウレタンの使用は耐摩耗性、及び基体フィルム、例
えばPETフィルムへの接着性が良い点で特に有効であ
る。ウレタン化合物の例としては、イソシアネートとし
て、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジ
イソシアネート、1,3−キシレンジイソシアネート、1,4
−キシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソ
シアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フ
ェニレンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−
ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニ
ルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチルビフェニ
レンジイソシアネート、4,4′−ビフェニレンジイソシ
アネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソフォ
ロンジイソシアネート、ジシクロヘキシメタンジイソシ
アネート、デスモジュールL、デスモジュールN等の各
種多価イソシアネートと、線状飽和ポリエステル(エチ
レングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、
トリメチロールプロパン、1,4−ブタンジオール、1,6−
ヘキサンジオール、ペンタエリスリット、ソルビトー
ル、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジ
メタノールの様な多価アルコールと、フタル酸、イソフ
タル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシ
ン酸の様な飽和多塩基酸との縮重合によるもの)、線状
飽和ポリエーテル(ポリエチレングリコール、ポリプロ
ピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール)や
カプロラクタム、ヒドロキシル含有アクリル酸エステ
ル、ヒドロキシル含有メタクリル酸エステル等の各種ポ
リエステル類の縮重合物より成るポリウレタンエラスト
マー、プレポリマーが有効である。 これらのウレタンエラストマーの末端のイソシアネート
基又は水酸基と、アクリル系二重結合又はアリル系二重
結合等を有する単量体とを反応させることにより、電子
線感応性に変性することは非常に効果的である。又、末
端に極性基としてOH、COOH等を含有するものも含む。 (2)アクリロニトリル−ブタジエン共重合エラストマ
ー シンクレアペトロケミカル社製ポリBDリタイッドレジン
として市販されている末端水酸基のあるアクリロニトリ
ルブタジエン共重合プレポリマーあるいは日本ゼオン社
製ハイカー1432J等のエラストマーは、特にブタジエン
中の二重結合が電子線によるラジカルを生じ架橋及び重
合させるエラストマー成分として適する。 (3)ポリブタジエンエラストマー シンクレアペトロケミカル社製ポリBDリタイッドレジン
R−15等の低分子量末端水酸基を有するプレポリマーが
特に熱可塑性樹脂との相溶性の点で好適である。R−15
プレポリマーにおいては分子末端が水酸基となっている
為、分子末端にアクリル系不飽和二重結合を付加するこ
とにより電子線感応性を高めることが可能であり、バイ
ンダーとして更に有利となる。 またポリブタジエンの環化物、日本合成ゴム製CBR−M90
1も熱可塑性樹脂との組合せによりすぐれた性質を有し
ている。 その他、熱可塑性エラストマー及びそのプレポリマーの
系で好適なものとしては、スチレン−ブタジエンゴム、
塩化ゴム、アクリルゴム、イソプレンゴム及びその環化
物(日本合成ゴム製CIR−701)があり、エポキシ変性ゴ
ム、内部可塑化飽和線状ポリエステル(東洋紡バイロン
#300)等のエラストマーも下記に述べる電子線感応変
性処理を施こすことにより有効に利用できる。 本発明で用いられる(C)電子線硬化性不飽和二重結合
を有する化合物としては、スチレン、エチルアクリレー
ト、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリ
コールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアク
リレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,
6−ヘキサングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサン
グリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパン
トリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタク
リレート、多官能オリゴエステルアクリレート(アロニ
ックスM−7100、M−5400、5500、5700等、東亜合
成)、ウレタンエラストマー(ニッポラン4040)のアク
リル変性体、あるいはこれらのものにCOOH等の官能基が
導入されたもの等が挙げられる。 次に、電子線硬化型ポリマー合成例を説明する。 a)塩化ビニール酢酸ビニール共重合系樹脂のアクリル
変性体(電子線感応変性樹脂)の合成 OH基を有する一部ケン化塩ビ−酢ビ共重合体(平均重合
度 n=500)750部とトルエン1250部、シクロヘキサノ
ン500部を5lの4つ口フラスコに仕込み加熱溶解し、80
℃昇温後トリレンジイソシアネートの2−ヒドロキシエ
チルメタクリレートアダクト※を61.4部加え、更にオク
チル酸スズ0.012部、ハイドロキノン0.012部を加え80℃
でN2気流中、NCO反応率が90%となるまで反応せしめ
る。反応終了後冷却し、メチルエチルケトン1250部を加
え希釈する。
【※トリレンジイソシアネート(TDI)の2−ヒドロ
キシエチルメタクリレート(2HEMA)アダクトの製
法 TDI348部をN2気流中1lの4つ口フラスコ内で80℃に加熱
後、2−エチレンメタクリレート260部、オクチル酸ス
ズ0.07部、ハイドロキノン0.05部を反応缶内の温度が80
〜85℃となるように冷却コントロールしながら滴下終了
後80℃で3時間撹拌し反応を完結させる。反応終了後取
り出して冷却後白色ペースト状のTDIの2HEMAを得た。】 b)ブチラール樹脂アクリル変性体の合成(電子線感応
変性樹脂) ブチラール樹脂積水化学製BM−S100部をトルエン191.2
部、シクロヘキサノン71.4部と共に5lの4つ口フラスコ
に仕込み加熱溶解し80℃昇温後TDIの2HEMAアダクト※を
7.4部加え、更にオクチル酸スズ0.015部、ハイドロキノ
ン0.015部を加え、80℃でN2気流中NCO反応率が90%以上
となるまで反応せしめる。反応終了後冷却し、メチルエ
チルケトンにて希釈する。 c)飽和ポリエステル樹脂アクリル変性体の合成(電子
線感応変性樹脂) 飽和ポリエステル樹脂(東洋紡製バイロンRV−200)、1
00部をトルエン116部、メチルエチルケトン116部に加熱
溶解し80℃昇温後TDIの2HEMAアダクト※を3.55部加え、
オクチル酸スズ0.007部、ハイドロキノン0.007部を加
え、80℃、N2気流中NCO反応率が90%以上となるまで反
応せしめる。 d)◎エポキシ樹脂アクリル変性体の合成(電子線感応
変性樹脂) エポキシ樹脂(シエル化学製エピコート1007)、400部
をトルエン50部、メチルエチルケトン50部に加熱溶解
後、N,N−ジメチルベンジルアミン0.006部、ハイドロキ
ノン0.003部を添加し80℃とし、アクリル酸69部を滴加
し80℃で酸価5以下となるまで反応せしめる。 ◎フェノキシ樹脂アクリル変性体の合成(電子線感応変
性樹脂) OH基を有するフェノキシ樹脂(PKHH:UCC社製 分子量3
0,000)600部、メチルエチルケトン1800部を3lの4ッ口
フラスコに仕込み、加熱溶解し、80℃昇温後、トリレン
ジイソシアネートの2ヒドロキシエチルメタクリレート
アダクトを6.0部加え、更にオクチル酸スズ0.012部、ハ
イドロキノン0.012部を加え、80℃でN2気流中、NCO反応
率が90%となるまで反応せしめる。このフェノキシ変性
体の分子量は35,000、1分子当りの二重結合は1個であ
る。 e)ウレタンエラストマーアクリル変性体の合成(電子
線硬化性エラストマー) 末端イソシアネートのジフェニルメタンジイソシアネー
ト(MDI)系ウレタンプレポリマー(日本ポリウレタン
製ニッポラン3119)250部、2HEMA32.5部、ハイドロキノ
ン0.07部、オクチル酸スズ0.009部を反応缶に入れ、80
℃に加熱溶解後TDI43.5部を反応缶内の温度が80〜90℃
となるように冷却しながら滴下し、滴下終了後80℃で反
応率95%以上となるまで反応せしめる。 f)ポリエーテル系末端ウレタン変性エラストマーアク
リル変性体(電子線硬化性エラストマー)の合成 日本ポリウレタン社製ポリエーテルPTG−500、250部、2
HEMA32.5部、ハイドロキノン0.007部、オクチル酸スズ
0.009部を反応缶に入れ、80℃に加熱溶解後TDI43.5部を
反応缶内の温度が80〜90℃となるように冷却しながら滴
下し、滴下終了後80℃で反応率95%以上となるまで反応
せしめる。 g)ポリブタジエンエラストマーアクリル変性体の合成
(電子線硬化性エラストマー) シンクロアペトロケミカル社製低分子量末端水酸基ポリ
ブタジエンポりBDリクイットレジンR−15、250部、2HE
MA32.5部、ハイドロキノン0.007部、オクチル酸スズ0.0
09部を反応缶に入れ、80℃に加熱溶解後TDI43.5部を反
応缶内の温度が80〜90℃となるように冷却しながら滴下
し、滴下終了後80℃で反応率95%以上となるまで反応せ
しめる。 高分子には電子線照射により崩壊するものと分子間に架
橋を起こすものが知られている。分子間に架橋を起こす
ものとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリス
チレン、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミ
ド、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリビニルピロリ
ドンゴム、ポリビニルアルコール、ポリアクロレインが
ある。この様な架橋型ポリマーであれば上記のような変
性を特に施さなくても、架橋反応が起るので、前記変性
体の他に、これらの樹脂はそのまま電子線架橋用トップ
コート樹脂として使用可能である。 更にまた、この方法によれば溶剤を使用しない無溶剤型
の樹脂であっても短時間で硬化することができるので、
この様な樹脂をトップコート用として用いることができ
る。又、官能基としては、水酸基としてアルコール系、
フェノール系、リン酸系、カルボン酸基として芳香族
系、脂肪族系、スルホン酸基、アミン基、アンモニウム
基等を含有するものも含まれる。特に官能基を有するも
のの方が強磁性薄膜に対して密着性が良い。 本発明の電子線硬化性樹脂組成物の特に好ましいものと
しては、(A)の化合物が一部ケン化した、カルボン酸
が導入された塩化ビニール−酢酸ビニール共重合体、塩
化ビニール−酢酸ビニール−ビニルアルコール−マレイ
ン酸共重合体、エポキシ、フェノキシ樹脂(好ましくは
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、
セバシン酸等のカルボン酸を導入したもの)にポリイソ
シアネート化合物を反応させて得られたイソシアネート
基を有する化合物に、イソシアネート基との反応性を有
する官能基をもつアクリル化合物あるいはメタクリル化
合物を反応させてなる化合物である。 (B)の化合物がポリオールにイソシアネート化合物を
反応させて得られた、イソシアネート化合物又はポリオ
ール(ポリウレタンエラストマー、好ましくはOH、COOH
基が導入されたもの)に、反応性を有する官能基をもつ
アクリル化合物あるいはメタクリル化合物を反応させて
なる化合物であり、(C)は多官能(メタ)クリレート
モノマー、オリゴエステルアクリレートまたは(B)の
低分子量化合物というものである。これらの組合せも含
まれる。 電子線硬化型ポリマーを用いることにより、強磁性薄膜
との付着性がよく、トップコート層がポリマーにより補
強され、塗膜の破断強度が上り、塗膜の強化が為され、
トップコート削れが少なく、かつ高温走行での耐久性が
改善できる。そこでドロップアウトの少ない、かつロー
ル状に巻き取った形での硬化の際の巻きしまりのない、
長さ方向で均一の特性を有する磁気記録媒体が得られ
る。ポリマーがない場合、高温走行でのストップを生
じ、ケズレが大であり、付着が生じる。又、電子線硬化
型ポリマーを用いると、トップコート層の製造上、連続
処理が可能であり、オンライン上で処理できるので、省
エネルギー、コストの低減に役立つ。 本発明で用いられる酸化防止剤としては、通常の酸化防
止剤が用いられ、これらは1)フェノール系酸化防止
剤、2)アミン系酸化防止剤、3)リン系酸化防止剤、
4)硫黄系酸化防止剤、5)有機酸、アルコール、エス
テル系酸化防止剤、6)キノン系酸化防止剤、7)無機
酸、無機塩系酸化防止剤のように構造的に大別される。 上記各種酸化防止剤の具体例を挙げると、 1)フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−第三
ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−第三ブチル−フェ
ノール、2,4−ジ−メチル−6−第三ブチル−フェノー
ル、ブチルヒドロキシアニソール、2,2′−メチレンビ
ス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、4,4′
−ブチリデンビス(3−メチル−6−第三ブチルフェノ
ール)、4,4′−チオビス(3−メチル−6−第三ブチ
ルフェノール)、テトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ
−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロ
キシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ジブチルヒド
ロキシトルエン、没食子酸プロピル、グアヤク脂、ノル
ジヒドログアヤレチン酸等がある。放射線硬化型として
はモノグリコールサリチレート、2,5−ジ第三ブチルハ
イドロキノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,
4,5−トリヒドロキシブチロフェノン、ハイドロキノン
等のメタクリレート、アクリレートタイプが挙げられ
る。 2)アミン系酸化防止剤としては、フェニル−β−ナフ
チルアミン、α−ナフチルアミン、N,N′−ジ−第二ブ
チル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,
N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミンの他、アル
カノールアミン、リン脂質等が挙げられる。アミン系で
もジメチルアミノエチルメタクリレート、アクリレート
等の放射線硬化可能のものが放射線硬化型として挙げら
れる。 3)リン系酸化防止剤としては放射線硬化型或いは放射
線硬化型でないものが用いられ、リン酸エステル部分の
Rとしてはアルキル基、アルキルフェニル基、その他酸
化エチレン、酸化プロピレンを含有し、そのRとしてC
が1〜26が好ましく、更に好ましいのは1〜22である。
リン酸ステルとしてはモノ、ジ、トリのものが含まれ、
モノあるいはジの成分が多いものであってもよく、トリ
タイプのものはカットされてていてもよい。またリン酸
エステルはNH4タイプのもの及びメタクリレートタイ
プ、アクリレートタイプのものも含まれる。具体的には
トリフェニルホスファイト、トリオクタデシルホスファ
イト、トリデシルホスファイト、トリラウリルトリチオ
ホスファイト等の亜リン酸エステルや、ヘキサメチルホ
スホリックトリアミド、ブチルホスフェート、セチルホ
スフェート、ブトキシエチルホスフェート、2−エチル
ヘキシルホスフェート、β−クロロエチルホスフェー
ト、ブトキシエチルホスフェートジエチルアミン塩、ジ
(2−エチルヘキシル)ホスフェート、エチレングリコ
ールアシッドホスフェート、(2−ヒドロキシエチル)
メタクリレート・ホスフェート、ブチルヒドロキシメタ
クリレート・ホスフェート、カプリルヒドロキシメタク
リレート・ホスフェート、ミリスチルヒドロキシメタク
リレート・ホスフェート、ステアリルヒドロキシメタク
リレート・ホスフェート、セチルヒドロキシメタクリレ
ート・ホスフェート、ブチルフェニルヒドロキシメタク
リレート・ホスフェート、アミルフェニルヒドロキシメ
タクリレート・ホスフェート、ノニルフェニルヒドロキ
シメタクリレート・ホスフェート、及びこれらのアクリ
レートタイプ、フェニルホスフェート、その他のアルコ
ール、及びノニルフェニル等のフェニルホスフェート、
バナジウム系酸性リン酸エステル等のリン酸エステルが
挙げられる。 4)硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリルチオジプロ
ピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウ
リルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチ
オジプロピオネート、ジステアリルβ,β′−チオジブ
チレート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウ
リルサルファイドの他、4,4′−チオ−ビス(3−メチ
ル−6−第三ブチル−フェノール)、2,2′−チオ−ビ
ス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)等のメタ
クリレート、アクリレート等の放射線硬化型が挙げられ
る。またこれらは酸化エチレン、酸化プロピレンを含有
していてもよい。 5)有機酸、アルコール、エステル系酸化防止剤として
はソルビトール、グリセリン、プロピレングリコール、
アジピン酸、クエン酸、アスコルビン酸等が挙げられ、
これらの放射線硬化型であってもよい。 6)キノン系酸化防止剤としてはヒドロキノン、トコフ
ェロール等があり、これらの中で放射線硬化型であって
もよい。 7)無機酸、無機塩系酸化防止剤としてはリン酸がその
代表例として挙げられる。 上記酸化防止剤の中でも、強磁性薄膜への裏型転写を抑
え得るという点から、分子中にアクリル系二重結合を有
する放射線硬化型のもの、例えばモノグリコールサリチ
レートメタクリレート(アクリレート)、4−第三ブチ
ルカテコールメタクリレート(アクリレート)、ジメチ
ルアミノエチルメタクリレート(アクリレート)、エチ
ルヒドロキシメタクリレート(アクリレート)ホスフェ
ート、セチルヒドロキシホスフェートメタクリレート
(アクリレート)、ステアリルメタクリレート(アクリ
レート)ホスフェート、及び上記のもののフェニルタイ
プのもの、2,2′チオ−ビス(4−メチル−6−第三ブ
チル−フェノール)メタクリレート(アクリレート)等
が好ましい。リン酸エステルの製法としては公知の方法
で行なわれるが、特開昭57−44223号公報記載の方法も
挙げられる。放射線硬化型酸化防止剤では強磁性薄膜へ
のオンライン硬化ができるため熱硬化時の巻きしまりに
よる裏型転写による表面性の劣化がなく、そのため出力
の低下がない。強磁性薄膜のトップコートは800A以下が
好適であり、これ以上厚くすると電特の低下を生じる。
またあまり厚すぎると強磁性薄膜の表面粗度が100A以下
のため、この上の酸化防止剤の層が厚さを増して該層が
削れる。このようなことは本発明においてはじめて判明
したことである。そしてドロップアウトの防止、ロール
状に巻かれたときの内外径の個所による出力差の減少と
いった特性上の効果の他、オンライン上での製造が可能
といった処理上の効果をもあげ得るものである。 本発明で用いられる潤滑剤としては従来この種磁気記録
媒体に用いられる潤滑剤としてシリコンオイル、弗素オ
イル、脂肪酸、脂肪酸エステル、パラフィン、流動パラ
フィン、界面活性剤等を用いることができるが、脂肪酸
および/又は脂肪酸エステルを用いるのが好ましい。 脂肪酸としてはカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、
ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン
酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン
酸、ステアロール酸等の炭素数12以上の脂肪酸(RCOO
H、Rは炭素数11以上のアルキル基)であり、脂肪酸エ
ステルとしては、炭素数12〜16個の一塩基性脂肪酸と炭
素数3〜12個の一価のアルコールからなる脂肪酸エステ
ル類、炭素数17個以上の一塩基性脂肪酸と該脂肪酸の炭
素数と合計して炭素数が21〜23個より成る一価のアルコ
ールとから成る脂肪酸エステル等が使用される。 シリコーンとしては脂肪酸変性よりなるもの、一部フッ
素変性されているものが使用される。アルコールとして
は高級アルコールよりなるもの、フッ素としては電解置
換、テロメリゼーション、オリゴメリゼーション等によ
って得られるものが使用される。 潤滑剤の中では放射線硬化型のものも使用して好都合で
ある。これらは強磁性薄膜への裏型転写を抑えるため、
ドロップアウトの防止、ロール状に巻かれたときの内外
径の個所による出力差の減少の他、オンライン上での製
造が可能である等の利点を持つ。 放射線硬化型潤滑剤としては、滑性を示す分子鎖とアク
リル系、ビニル系二重結合とを分子中に有する化合物、
例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビ
ニル酢酸エステル、アクリル酸アミド系化合物、ビニル
アルコールエステル、メチルビニルアルコールエステ
ル、アリルアルコールエステル、グリセライド等があ
り、これらの潤滑剤を構造式で表すと、 CH2=CHCOOR、 CH2=CH−CH2COOR、 CH2=CHCONHCH2OCOR、 RCOOCH2−CH=CH2等で、ここでRは直鎖又は分枝状の飽
和もしくは不飽和炭化水素基で、炭素数は7以上、好ま
しくは12以上23以下であり、これらは弗素置換体とする
こともできる。弗素置換体としては CnF2n+1−、CnF2n+1(CH2)m−(但し、m=(1〜
5)、 CnF2n+1CH2CH2NHCH2CH2−、 等がある。 これら放射線硬化型潤滑剤の好ましい具体例としては、
ステアリン酸メタクリレート(アクリレート、以下、全
てアクリレートタイプを含む)、ステアリルアルコール
のメタクリレート、グリセリンのメタクリレート、グリ
コールのメタクリレート、シリコーンのメタクリレー
ト、ステアリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル等が挙げ
られる。 強磁性薄膜表面に電子線硬化型ポリマー、酸化防止剤お
よび潤滑剤を含むトップコート層を設ける方法として
は、前記添加剤を溶剤で希釈して強磁性金属薄膜上に薄
く塗布したり、該添加剤を大気中、不活性ガス中、ある
いは真空中で気化せしめてその蒸気を強磁性金属表面に
当てるなどの手段があり、これらを適用することができ
る。このとき電子線硬化型ポリマー、酸化防止剤、潤滑
剤を共に混合、塗布して硬化したり、先ず電子線硬化型
ポリマーおよび酸化防止剤の混合物を塗布、硬化後、該
塗布膜上に前記潤滑剤を塗布或いは蒸着して塗布膜或い
は蒸着膜を形成することができる。前記添加剤の塗布に
当っては、溶剤を用いて行なうことができる。又、前記
添加剤の蒸着は、該添加剤を大気中、不活性ガス中、あ
るいは真空中で気化せしめてその蒸気を膜を形成すべき
物質の表面に当てて行なうものである。 添加剤の蒸着法によるものでは、その膜の表面が均一と
なり、出力波形が良好なものが得られる。 本発明のトップコート層における電子線硬化型ポリマ
ー、酸化防止剤、潤滑剤の使用割合は電子線硬化型ポリ
マー:酸化防止剤=10:90〜90:10、好ましくは30:70〜7
0:30(重量)、潤滑剤はポリマー+酸化防止剤100重量
部に対し0.5〜30重量部である。 トップコート層の厚みとしては10〜800Åが好ましい。
あまり厚すぎると電特の低下を生じたり、ケズレを生ず
る。又、あまり薄すぎると目づまりが発生する。トップ
コートなしの強磁性薄膜の表面粗度は100Å以下が好ま
しいため、この上にトップモート層を形成する場合、あ
まり厚すぎるとケズレを生ずることが判った。あまり少
なすぎるとトップコート層の吸着が弱すぎ、目づまりを
発生することが予想される。このようなことは本発明で
はじめて判明したものである。特に好ましい範囲として
は10〜300Åである。 本発明において、トップコート層に前記の電子線硬化型
ポリマーを含有することによりトップコート層が補強さ
れ、削れが少なく、酸化防止剤を含有することにより防
錆効果が著しく、又潤滑剤を含ませることにより、磁性
層の表面の摩擦抵抗が低下するという効果が奏せられ、
走行安定性、耐久性の優れた、ドロップアウトの減少し
た磁気記録媒体が得られる。 本発明のバックコート層は無機顔料、有機バインダー及
び潤滑剤を含有するものからなる。 無機顔料としては、1)導電性のあるカーボンブラッ
ク、グラファイト、また2)無機充填剤としてSiO2、Ti
O2、Al2O3、Cr2O3、SiC、CaO、CaCO3、酸化亜鉛、ゲー
サイト、αFe2O3、タルク、カオリン、CaSO4、窒化硼
素、フッ化黒鉛、二硫化モリブデン、ZnS等があり、中
でもCaCO3、カオリン、ZnO、ゲーサイト、ZnSやカーボ
ンが使用される。この様な無機顔料の使用量は1)に関
してはバインダー100重量部に対して20〜200重量部、又
2)に関しては10〜300重量部が適当であり、無機顔料
量があまり多くなると、塗膜がもろくなり、かえってド
ロップアウトが多くなるという欠点がある。 潤滑剤としては(分散剤をも含めて)従来この種バック
コート層に用いられる種類のものはいずれも用いること
ができるが、カプリン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミ
リスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、
オレイン酸、エライジン酸、リノー酸、リノレン酸、ス
テアロール酸等の炭素数12以上の脂肪酸(RCOOH、Rは
炭素数11以上のアルキル基);前記の脂肪酸のアルカリ
金属(Li、Na、K等)またはアルカリ土類金属(Mg、C
a、Ba等)から成る金属石鹸;レシチン等が使用され
る。この他に炭素数12以上の高級アルコール、およびこ
れらの硫酸エステル、界面活性剤、チタンカップリング
剤、シランカップリング剤等も使用可能である。これら
の潤滑剤(分散剤)はバインダー100重量部に対して1
〜20重量部の範囲で添加される。 潤滑剤としては上記の他にシリコンオイル、グラファイ
ト、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、炭素数12
〜16個の一塩基性脂肪酸と炭素数3〜12個の一価のアル
コールからなる脂肪酸エステル類、炭素数17個以上の一
塩基性脂肪脂と該脂肪酸の炭素数と合計して炭素数が21
〜23個より成る一価のアルコールとから成る脂肪酸エス
テル等が使用される。これらの潤滑剤はバインダー100
重量部に対して0.2〜20重量部の範囲で添加される。 またその他の添加剤としてはこの種のバックコートに用
いるものでは何でも用いることができるが、例えば帯電
防止剤としてサポニンなどの天然界面活性剤;アルキレ
ンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系などの
ノニオン界面活性剤;高級アルキルアミン類、第4級ア
ンモニウム塩類、ピリジンその他の複素環類、ホスホニ
ウム又はスルホニウム類などのカチオン界面活性剤;カ
ルボン酸、スルホン酸、燐酸、硫酸エステル基、燐酸エ
ステル基等の酸性基を含むアニオン界面活性剤;アミノ
酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸ま
たは燐酸エステル類等の両性活性剤などが使用される。 本発明のバックコート層で用いる有機バインダーは、得
られる塗膜強度等の点から電子線硬化型の樹脂である。 電子線硬化型樹脂としては、アクリル変性塩化ビニル−
酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体(カルボン酸導
入のものも含む)及びウレタンアクリレートからなる電
子線硬化系樹脂等であり、ラジカル重合性を有する不飽
和二重結合を示すアクリル酸、メタクリル酸、あるいは
それらのエステル化合物のようなアクリル系二重結合、
ジアリルフタレートのようなアリル系二重結合、マレイ
ン酸、マレイン酸誘導体等の不飽和結合等の、電子線照
射による架橋する基を熱可塑性樹脂の分子中に含有また
は導入した樹脂等を用いることができる。その他、使用
可能なバインダー成分としては、単量体としてアクリル
酸、メタクリル酸、アクリルアミド等がある。二重結合
のあるバインダーとしては、種々のポリエステル、ポリ
オール、ポリウレタン等をアクリル二重結合を有する化
合物で変性することもできる。更に必要に応じて多価ア
ルコールと多価カルボン酸を配合することによって種々
の分子量のものもできる。本発明では(A)電子線によ
り硬化性をもつ不飽和二重結合を2個以上有する、分子
量5,000〜100,000のプラスチック状化合物、(B)電子
線により硬化性をもつ不飽和二重結合を1個以上有す
る、分子量3,000〜100,000のゴム状化合物、および
(C)電子線により硬化性をもつ不飽和二重結合を1個
以上有する、分子量200〜3,000の化合物、よりなる樹脂
組成物を用いる。これにより、塗膜の破断強度が上り、
塗膜の強化が為され、バックコート削れが少なく、バッ
クコート層から磁性層への無機充填剤粉末の移転がない
ためドロップアウトの少ない、かつ、ロール状に巻き取
った形での硬化の際の巻きしまりのない、長さ方向で均
一の特性を有する磁気記録媒体が得られる。 本発明の磁気記録媒体の製造において、有機バインダー
が熱硬化型では、製造過程において、バックコート層の
潤滑剤が磁性薄膜に裏型転写し、前述のような不安定な
走行による出力ダウンが発生し、画像が出なくなると
か、或いは摩擦レベルが未だ大きく不十分であり、裏型
転写により強磁性薄膜が取れたり或いは破壊されるとい
う現象が生じ好ましくない。そのためトップコートを最
初に行なうことが考えられるが、操作上、傷つきやすく
不都合な場合が多い。更に、熱硬化型の場合、硬化時の
巻きしまりによるバックコート面の裏型転移のため、熱
硬化中のジャンボロールの内側、外側での電磁変換特性
の差が問題となる。 これに対して、電子線硬化型樹脂の場合、製造上、連続
硬化が可能であり、硬化時間も短かく、上記の裏型転写
がないのでドロップアウトが防止でき、その上、電子線
硬化及びトップコート処理がオンライン上で処理できる
ので、省エネルギー対策、製造時の人員の減少にも役立
ち、コストの低減にもつながる。特性面では熱硬化時の
巻きしまりによるドロップアウトの外に、ロール状に巻
かれたときの内外径の個所の圧力のちがいにより磁気テ
ープの長さ方向の距離による出力差が生じることもなく
なる。 前記(A)、(B)及び(C)からなる電子線硬化型樹
脂バインダーにおいて、(A)だけでは柔軟性がなくも
ろく、(B)だけでは弾性の欠けたものであり、
(A)、(B)を組合せることにより破壊エネルギー大
となるが、脆性エネルギーを大とするには限度があり、
また(A)、(B)だけでは硬度が低いためか、高温多
湿下で粘着性を生じ静摩擦が高くなった。これに対し、
(A)、(B)に更に(C)を組合せることにより、架
橋性が増大し、バインダーの引張り強度大、破断エネル
ギー、脆性エネルギーが大となり、バックコートケズレ
もなく、硬化度が高い強靭な塗膜になる。そのため50
℃、80%、5日間の高温保存下においたところ、粘着を
生ぜず、摩擦係数も低く、画像ひずみを生じなかった。
これは(C)を加えることによりバックコート膜の架橋
性が増し、硬化度が増したためである。(A)、(B)
に更に(C)を加えることにより、(A)、(B)のみ
よりなる組成の場合に比べ、(A)成分が低分子量の方
迄使えるようになった。これは(A)成分よりなるプラ
スチック状のものを、(C)成分を導入することにより
可塑性を向上させた硬化度の向上となるため、粘弾性に
富んだ脆性エネルギーの大なる塗膜となったものであ
る。 本発明の電子線硬化型樹脂バインダーにおいて、(A)
の分子量5,000未満、(B)の分子量3,500未満では塗膜
が固くなってバックコート削れが激しく、電磁変換特性
も低下し、また(B)の分子量100,000を超えると分散
不良のため電磁変換特性が低下すると共に、(B)が電
子線硬化性の場合にはその特性が低下して強度低下を生
じる。(C)については、分子量が3,000を超えると架
橋性が低下し、塗膜の強度が低下する。(A)は10,000
〜80,000、(B)は3,000〜80,000、(C)は200〜2,50
0が好ましい分子量範囲で、(B)は電子線硬化性のも
のが、架橋性を上げ、塗膜強度が大となるので好まし
い。 (A)、(B)、(C)の配合比率は、(A)が20〜70
重量%、好ましくは30〜70重量%、(B)が20〜80重量
%、好ましくは20〜60重量%、(C)が10〜40重量%、
好ましくは10〜30重量%である。 本発明の(A)、(B)、(C)の化合物の分子量は次
のような測定方法による数平均分子量によっている。 ※GPCによるバインダーの平均分子量測定 GPC(Gel Permeation Chlomatography)とは試料中の
分子を移動相中のその大きさに基いて分離する方法で、
分子ふるいの役をする多孔質ゲルをカラムに充填し液体
クロマトグラフィーを行なう方法である。平均分子量を
算出するには標準試料として分子量既知のポリスチレン
を使いその溶出時間から検量線を作成する。これよりポ
リスチレン換算の平均分子量を計算する。 与えられた高分子量物質中に分子量Miである分子がNi個
あったとすると 数平均分子量 で表わせる。 本発明の(A)、(B)、(C)の化合物における不飽
和二重結合は1分子当り(A)は2以上、好ましくは5
以上、(B)は1以上、好ましくは5以上、(C)は1
以上、好ましくは3以上である。 高分子には電子線照射により崩壊するものと分子間に架
橋を起こすものが知られている。分子間に架橋を起こす
ものとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリス
チレン、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミ
ド、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリビニルピロリ
ドンゴム、ポリビニルアルコール、ポリアクロレインが
ある。この様な架橋型ポリマーであれば上記のような変
性を特に施さなくても、架橋反応が起るので、前記変性
体の他に、これらの樹脂はそのまま電子線架橋用バック
コート樹脂として使用可能である。 更にまた、この方法によれば溶剤を使用しない無溶剤型
の樹脂であっても短時間で硬化することができるので、
この様な樹脂をバックコート用として用いることができ
る。 本発明の電子線硬化性バインダー用組成物の特に好まし
い組合せとしては、(A)の化合物が一部ケン化した塩
化ビニール−酢酸ビニール共重合体、カルボン酸が導入
された塩化ビニール−酢酸ビニール共重合体、フェノキ
シ樹脂にポリイソシアネート化合物を反応させて得られ
たイソシアネート基を有する化合物に、イソシアネート
基との反応性を有する官能基をもつアクリル化合物ある
いはメタクリル化合物を反応させてなる化合物であり、
(B)の化合物がポリオールにイソシアネート化合物を
反応させて得られた、イソシアネート化合物又はポリオ
ール(ポリウレタンエラストマー)に、反応性を有する
官能基をもつアクリル化合物あるいはメタクリル化合物
を反応させてなる化合物であり、(C)は多官能(メ
タ)クリレートモノマー、オリゴエステルアクリレート
または(B)の低分子量化合物というものである。 また本発明のトップコート層の電子線硬化型ポリマーの
架橋、バックコート層に用いる有機バインダー、トップ
コート層あるいはバックコート層に含まれる潤滑剤、酸
化防止剤が電子線硬化型の場合の架橋に当って使用する
活性エネルギー線としては、電子線加速器を線源とした
電子線、が使用される。 特に照射線源としては吸収線量の制御、製造工程ライン
への導入、電離放射線の遮蔽等の見地から電子線加速器
により電子線を使用する方法が有利である。 上記バックコート層、及びトップコート層を硬化する際
に使用する電子線特性としては、透過力の面から加速電
圧100〜750KeV、好ましくは150〜300KeVの電子線加速器
を用い吸収線量を0.5〜20メガラッドになるように照射
するのが好都合である。 本発明の電子線硬化に際しては、米国エナージーサイエ
ンス社にて製造されている低線量タイプの電子線加速器
(エレクトロカーテンシステム)等がテープコーティン
グ加工ラインへの導入、加速器内部の2次X線の遮蔽等
に極めて有利である。 勿論、従来より電子線加速材として広く活用されている
ところのファンデグラフ型加速器を使用してもよい。 また電子線架橋に際しては、N2ガス、Heガス等の不活性
ガス気流中で電子線をバックコート層、トップコート層
に照射することが重要であり、空気中で電子線を照射す
ることは、バインダー成分の架橋に際し電子線照射によ
り生じたO3等の影響でポリマー中に生じたラジカルが有
利に架橋反応に働くことを阻害するので極めて不利であ
る。従って、活性エネルギー線を照射する部分の雰囲気
は、特に酸素濃度が最大で5%である、N2、He、CO2等
の不活性ガス雰囲気に保つことが重要となる。 磁気記録媒体の製造に際し、熱硬化系バックコート面形
成においては、バックコート面を磁性面より先に形成す
るとバックコート面の熱硬化処理はベースとの巻きしま
りのためベース面の表面粗度を低下させ好ましくない。
そのため磁性面を形成した後熱硬化処理を行なってい
た。そのため、バックコート処理は、磁性塗膜を支持体
上に形成した後、その支持体の裏面になされるのが普通
であるが、本発明で電子線硬化性バインダーを用いた時
は、バックコート面での巻きしまりがなく、またカセッ
トテープ、ビデオカセットテープ、ビデオテープ接触転
写プリント用マスターテープ等には本発明の電子線硬化
性バインダーを用いたバックコート層と、電子線硬化型
ポリマー、酸化防止剤と潤滑剤を含有するトップコート
層を設けた金属薄膜からなる磁気記録層とを組合せるこ
とにより、極めて良好な電磁変換特性と物性信頼性を有
する高性能テープを得ることができ、本発明の磁気記録
媒体は有用性の大きいすぐれたものであるということが
できる。 (ホ)発明を実施するための最良の形態 以下の本発明の実施例を示す。なお、本発明がこの実施
例に限定されるものでないことは理解されるべきであ
る。 実施例1 (1)磁性層の形成 強磁性薄膜1 厚さ12μmのポリエステルフィルムを円筒状冷却キャン
の周面に沿わせて移動させ、O2+Ar(容積比1:1)を毎
分800ccの速さで流し真空度を1.0×10-4Torrとしたチャ
ンバー内で、Co80、Ni20よりなる合金を溶融し、入射角
90゜〜30゜の部分のみ斜め蒸着し膜厚0.15μmのCo−Ni
−O薄膜を形成した。酸素はベースとの界面およびベー
スと反対側の表面に多く偏在していた。またベースと反
対側の表面はほぼ酸化物のみで覆われていた。Hc=1000
Oe。 膜中の平均酸素量はCoとNiに対する原子比(O×100)
で40%であった。 CoNi 強磁性薄膜2 厚さ12μmのポリエステルフィルムを円筒状冷却キャン
の周面に沿わせて移動させ、真空度を5.0×10-6Torrと
したチャンバー内で、強磁性薄膜1の場合と同様に蒸着
した。膜厚は0.15μmで実質的にCo−Niより成る。 このテープを90℃、20%RH雰囲気中で強制酸化し、その
ベースと反対側の表面を酸化物のみとした。Hc=900O
e。膜中の平均酸素量はCoとNiに対する原子比で45%で
あった。 強磁性薄膜3 酸素による酸化工程を省略した以外は強磁性薄膜2と同
様に厚さ12μmのポリエステルフィルムを円筒状冷却キ
ャンの周面に沿わせて移動させ、真空度を5.0×16-6Tor
rとしたチャンバー内で、強磁性薄膜1の場合と同様に
蒸着した。膜厚は0.15μmで実質的にCo−Niより成るも
のであった。Hc=950Oe。 強磁性薄膜(比較例) 厚さ12μm幅1/2インチのポリエチレン・テレフタレー
トベースを真空度4.0×10-6Torrの真空中で、その幅方
向が蒸発源に対して50゜に傾斜するように走行させつ
つ、Co75−Ni25(重量比)の合金を蒸着せしめた。膜厚
0.2μmでベースの長さの方向の磁気特性が抗磁力420O
e、角型比0.80の磁性薄膜が得られた。 (2)バックコート層の形成 バックコート層1(熱硬化型) 重量部 酸化亜鉛 80mμ 200 硬化剤 コロネートL 20 潤滑剤 ステアリン酸変性シリコーン 4 ステアリン酸ブチル 2 硝化綿 40 塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体
(積水化学製、エスレックA) 30 ポリウレタンエラストマー 30 (B.Fグッドリッチ社製、エッセン5703) 混合溶剤(MIBK/トルエン)250重合部の混合物を良く混
合溶解させる。 この塗料を15μのポリエステルフィルム上に塗布し、赤
外線ランプまたは熱風により溶剤を乾燥させた後、表面
平滑化処理後、80℃に保持したオーブン中にロールを48
時間保持し、イソシアネートによる架橋反応を促進させ
た。 バックコート層2 重量部 カーボンブラック 50 旭カーボン(株)製100mμ (A)アクリル変性塩ビ−酢ビ−ビニルアルコール共重
合体 分子量45,000 50 (B)アクリル変性ポリウレタンエラストマー 分子量 5,000 50 ステアリン酸 2 ステアリン酸ブチル 2 混合溶剤(MIBK/トルエン=1/1)300上記混合物をボー
ルミル中5時間分散させ、磁性面が形成されているポリ
エステルフィルムの裏面に乾燥厚1μになるように塗布
し、エレクトロカーテンタイプ電子線加速装置を用いて
加速電圧150KeV、電極電流10mA、吸収線量5Mrad、N2ガ
ス中で電子線をバックコート層に照射した。 バックコート層3 重量部 硫化亜鉛 粒径可変 30 カーボンブラック 25 アクリル変性塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコー
ル共重合体(分子量3万) 40 アクリル変性ポリウレタンエラストマー 分子量20,000 40 オリゴエステルポリアクリレート 分子量1,000 20 オレイン酸 4 ステアリンメタクリレート 2 混合溶剤(MIBK/トルエン) 250 これらをバックコート層2と同様に処理、製造した。 バックコート層4 重量部 CaCO3 80mμ 50 アクリル変性塩ビ−酢ビ−ビニルアルコール共重合体
分子量30,000 30 アクリル変性ポリウレタンエラストマー 分子量50,000 30 アクリル変性フェノキシ樹脂 分子量35,000 20 オリゴエステルポリアクリレート分子量500 20 ステアリン酸 4 溶剤(MEK/トルエン=1/1) 300 これらを上記と同様に処理、製造した。 (3)トップコート層の形成 ◎トップコート組成 トップコート組成1 重量部 2,6ジ第三ブチルp−クレゾール 1 アクリル変性塩ビ−酢ビ−ビニルアルコール共重合体
(マレイン酸含有)分子量20,000 1 フッ素変性ステアリン酸シリコーン 0.4 MEK 100 トップコート組成2 モノグリコールサリチレートアクリレート 3 エポキシ変性体(コハク酸含有)分子量6,000 2 ミリスチン酸 0.3 ミリスチルアルコールのメタクリレート 1.0 MEK/トルエン(1/1) 100 トップコート組成3 ジメチルアミノメタクリレート 1 フェノキシ変性体 分子量30,000 0.6 アクリル変性ポリウレタンエラストマー 分子量4,000 0.6 オリゴエステルポリアクリレート 分子量500 0.8 フッ素(電解法) 0.3 MEK/トルエン(1/1) 100 トップコート組成4 ヒドロキシエチルメタクリレートホスフェート 2 塩−酢ビ(マレイン酸含有)分子量20,000 0.5 トリメチロールプロパントリメタクリレート分子量300
0.5 ステアリン酸 0.5 ステアリン酸変性シリコーン 0.5 トルエン 100 トップコート組成5 ステアリルアルコールメタクリレートホスフェート2 スピラーク変性体 分子量10,000 0.3 アクリル変性ポリウレタンエラストマー 分子量3,000 0.3 トリメチロールプロパントリメタクリレート分子量300
0.4 ステアリン酸のアクリレート 0.6 MEK/トルエン(1/1) 100 ◎トップコート層の製造及び性状 1.トップコート層1は強磁性薄膜(1)上、トップコー
ト組成1をそのまま塗布し、加速電圧150KeV、電極電流
6mA、3Mrad、N2ガス中で照射を行なった。膜厚が50Åで
あった。 2.トップコート層2は強磁性薄膜(2)上、トップコー
ト組成2を塗布し、加速電圧150KeV、電極電流6mA、3Mr
ad、N2ガス中で照射を行なった。膜厚が300Åであっ
た。 3.トップコート層3は強磁性薄膜(1)上、トップコー
ト組成3を塗布し、加速電圧150KeV、電極電流10mA、5M
rad、N2ガス中で照射を行なった。膜厚が100Åであっ
た。 4.トップコート層4は強磁性薄膜(3)上、トップコー
ト組成4を塗布し、加速電圧150KeV、電極電流10mA、5M
rad、N2ガス中で照射を行なった。膜厚が100Åであっ
た。 5.トップコート層5は強磁性薄膜(2)上にトップコー
ト組成5を塗布し、加速電圧150KeV、電極電流10mA、5M
rad、N2ガス中で照射を行なった。膜厚が150Åであっ
た。 6.トップコート組成6 重量部 a.ジメチルアミノメタクリレート 1 エポキシ変性体、分子量80,000 0.5 アクリル変性ポリウレタンエラストマー 分子量5,000 0.5 オリゴエステルポリアクリレート、分子量500 0.2 MEK/トルエン(1/1) 100 このものを強磁性薄膜(1)上に塗布、加速電圧150Ke
V、電極電流10mA、5Mrad、N2ガス中で照射を行なった。 その上に b.ステアリルメタクリレート 0.3 フッ素オイル(テロメリゼーション法) 0.2 MEK 100 を塗布、加速電圧150KeV、電極電流4mA、2Mrad、N2ガス
中で照射を行なった。膜厚が110Åであった。 7.強磁性薄膜(2)上のトップコート組成6のaの上に
4×10-3Torrの条件の雰囲気中でステアリルアルコール
吸着させた。膜厚は110Åであった。 8.強磁性薄膜(2)上のトップコート組成6のaの上に
4×10-3Torrの条件の雰囲気中でフッ素変性オイルを吸
着させた。膜厚は105Åであった。 比較トップコート1 トップコート1の組成の中から電子線硬化型ポリマーを
除き、熱硬化型としたものである。 比較トップコート2 トップコート3の組成の中から電子線硬化型ポリマーを
除いたものである。 これらの強磁性薄膜、バックコート、トップコートを各
々組合せて得られる磁気記録媒体の特性を以下の表に示
す。 比較例1、2 強磁性薄膜1にバックコート層1を形成し、トップコー
ト層1或いは3を各々形成した。 比較例3、4 強磁性薄膜の比較例のもの、又は強磁性薄膜1にバック
層1を、次いで各々比較トップコート層1、2を設け
た。 これらの例の磁気記録媒体の特性を第1表に示す。 第1表から、トップコート層に電子線硬化型ポリマーを
入れたものは、熱硬化型ポリマーのものに比して、40
℃、60%の走行性が改善されること(磁性面側の摩擦係
数の上昇から判る、トップコート層が熱硬化型ポリマー
のものでは摩擦係数0.7以上となって2回でストップす
る)、またトップコート削れ、ガイド付着もポリマーな
しの場合は大であったのが、小〜中となるなど、改善さ
れることが判るが、バックコート層及びトップコート層
共に電子線硬化型樹脂を入れるもの特にバックコート層
の電子線硬化型ポリマーが(A)(B)(C)の組合わ
せからなるものが以下の実施例(第3表)の通り極めて
すぐれたものとなることが判る。 比較例5、6、 強磁性薄膜1又は3にバック層2を形成し、その後トッ
プコート層3又は4を形成した。 比較例7 強磁性薄膜3に、aではバック層2、比較トップ層1の
順で、bではトップ層1、バック層2の順で各層を形成
した。 比較例8、9、10 表に示した各強磁性薄膜上に、同じく表に示したバック
層、トップ層をその順に形成した。 各磁気記録媒体の特性を第2表に示す。 第2表の結果を以下に考察する。 1.トップコート層及びバックコート層に電子線硬化型ポ
リマーが入ったことにより、摩擦が改良され、走行性が
改善され、トップコート削れ、バックコート削れも改良
されるが、バックコート層が電子線硬化型ポリマー
(A),(B)及び(C)の組合わせのものに比して劣
る(第3表参照)。 2.比較例8と比較例7bを比べると、比較例8ではトップ
コート層、バックコート層が放射線硬化型でないため熱
硬化時の巻きしまりにより不均一となり、トップコート
面がケズレやすい。また比較例8ではトップコート層が
熱硬化性で熱硬化時には硬化していないためバック層よ
りの裏型転写の影響を受けて目づまりし易い。 又、比較例7ではバック層が放射線硬化タイプのため、
aでは比較例8のように熱硬化時の巻きしまりがない
が、トップ層1の熱硬化時の影響によりトップコートケ
ズレ及び表面性の点でよくないものとなる。 なお、バック、トップコートの形成においては熱硬化型
の場合はトップ層を最初に形成しておいた方がバック層
からの影響が少なくなり、出力安定性が良好となるが、
工程上、最初にトップコートを形成するとバックコート
工程でケズレやすいので工程管理を厳しくせねばならな
い等の不便な点が多い。 3.比較例7b及び比較例5、6とは両側とも電子線硬化型
の樹脂で摩擦が低く、トップコートケズレも少なく、オ
ンラインで操作できるため裏型転写がなく、出力安定性
は良好であるが、同様にバックコート層が電子放射線硬
化型樹脂(A),(B),(C)の組合わせからなる実
施例1〜5のものに比してバックコート削れ等の点で劣
るものとなる(第3表参照)。 実施例1〜5 強磁性薄膜(2)にバック層3(バインダーとしてABC3
成分を含む)を形成し、次いで各種トップ層を形成した
ものについての特性を、バック層3の代りにバック層2
(AB2成分)を形成した比較例11と比較した結果を第3
表に示す。 第3表の結果について以下に考察する。 1.40℃、60%走行ではバック層3成分よりなるものは比
較例11(AB2成分)のものに比して50回走行後での摩擦
の上昇が少ない。またバックコートケズレも全くない。
そのためドロップアウトも少ない。 2.電特出力、スチール特性はいずれも良好である。バッ
クコート削れ、ドロップアウト、表面性についてはバッ
クコート3成分よりなる実施例のものの方が2成分より
なるものより良好であることが判る。 3.実施例3の2層コーティングのものは1層コーティン
グのものより潤滑効果が良好のため摩擦係数が低いこと
が判った。また蒸着法によるトップコートも2層コーテ
ィングの効果が生かされ良好なことが判った。更に表面
性を表に記載した以外の部分について顕微鏡で観察した
ところ、蒸着法によるトップコートの表面性がこの中で
一番良いことも判った。また摩擦レベルが最も低いこと
が判る。防錆性も良好である。 上記特性の測定方法について以下に記す。 1.スチール特性 5MHzで記録し、再生出力のスチール特性を測定する。10
分以上をOKレベルとする。 2.40℃、60%走行 一般市販のVHS方式VTRを改造し、初期摩擦、走行後の摩
擦を測定する。摩擦測定はデッキにテンションアナライ
ザーを組み込んで行なう。 3.接触角 投影型の測定器にて注射器で一定量の水滴をたらし、1
分後の接触角を投影機より読みとる。 4.表面性 干渉顕微鏡にて50、400倍の倍率にて目視、及び写真に
より調査する。 5.出力 中心周波数5MHzで記録、再生した場合のS/N比(相対
値)を示す。VHSのVTRを改造し5MHzまで測定できるよう
にする。 6.錆 50℃、90%RHの環境下に2日間保存する。 7.バックコート、トップコート面削れ 一般市販のVHS方式VTRを改造し、40℃、60%走行にて50
回走行後のバックコート、トップコート面削れを観察す
る。バックコートについては◎:非常にきれい、○:汚
れがない、△:やや汚れ、×:汚れがひどい、という状
態を表わし、トップコートについては◎:削れがない、
○:汚れ小、△:汚れ中、×:汚れ大、という状態を表
わす。 8.ドロップアウト 20℃、60%でVHSデッキを用い5MHzの単一信号を記録
し、再生した場合の信号が、平均再生レベル18dB以上低
下する時間が15μ秒以上であるものの個数を、サンプル
10個について1分間当りで数え、その平均をとる。
キシエチルメタクリレート(2HEMA)アダクトの製
法 TDI348部をN2気流中1lの4つ口フラスコ内で80℃に加熱
後、2−エチレンメタクリレート260部、オクチル酸ス
ズ0.07部、ハイドロキノン0.05部を反応缶内の温度が80
〜85℃となるように冷却コントロールしながら滴下終了
後80℃で3時間撹拌し反応を完結させる。反応終了後取
り出して冷却後白色ペースト状のTDIの2HEMAを得た。】 b)ブチラール樹脂アクリル変性体の合成(電子線感応
変性樹脂) ブチラール樹脂積水化学製BM−S100部をトルエン191.2
部、シクロヘキサノン71.4部と共に5lの4つ口フラスコ
に仕込み加熱溶解し80℃昇温後TDIの2HEMAアダクト※を
7.4部加え、更にオクチル酸スズ0.015部、ハイドロキノ
ン0.015部を加え、80℃でN2気流中NCO反応率が90%以上
となるまで反応せしめる。反応終了後冷却し、メチルエ
チルケトンにて希釈する。 c)飽和ポリエステル樹脂アクリル変性体の合成(電子
線感応変性樹脂) 飽和ポリエステル樹脂(東洋紡製バイロンRV−200)、1
00部をトルエン116部、メチルエチルケトン116部に加熱
溶解し80℃昇温後TDIの2HEMAアダクト※を3.55部加え、
オクチル酸スズ0.007部、ハイドロキノン0.007部を加
え、80℃、N2気流中NCO反応率が90%以上となるまで反
応せしめる。 d)◎エポキシ樹脂アクリル変性体の合成(電子線感応
変性樹脂) エポキシ樹脂(シエル化学製エピコート1007)、400部
をトルエン50部、メチルエチルケトン50部に加熱溶解
後、N,N−ジメチルベンジルアミン0.006部、ハイドロキ
ノン0.003部を添加し80℃とし、アクリル酸69部を滴加
し80℃で酸価5以下となるまで反応せしめる。 ◎フェノキシ樹脂アクリル変性体の合成(電子線感応変
性樹脂) OH基を有するフェノキシ樹脂(PKHH:UCC社製 分子量3
0,000)600部、メチルエチルケトン1800部を3lの4ッ口
フラスコに仕込み、加熱溶解し、80℃昇温後、トリレン
ジイソシアネートの2ヒドロキシエチルメタクリレート
アダクトを6.0部加え、更にオクチル酸スズ0.012部、ハ
イドロキノン0.012部を加え、80℃でN2気流中、NCO反応
率が90%となるまで反応せしめる。このフェノキシ変性
体の分子量は35,000、1分子当りの二重結合は1個であ
る。 e)ウレタンエラストマーアクリル変性体の合成(電子
線硬化性エラストマー) 末端イソシアネートのジフェニルメタンジイソシアネー
ト(MDI)系ウレタンプレポリマー(日本ポリウレタン
製ニッポラン3119)250部、2HEMA32.5部、ハイドロキノ
ン0.07部、オクチル酸スズ0.009部を反応缶に入れ、80
℃に加熱溶解後TDI43.5部を反応缶内の温度が80〜90℃
となるように冷却しながら滴下し、滴下終了後80℃で反
応率95%以上となるまで反応せしめる。 f)ポリエーテル系末端ウレタン変性エラストマーアク
リル変性体(電子線硬化性エラストマー)の合成 日本ポリウレタン社製ポリエーテルPTG−500、250部、2
HEMA32.5部、ハイドロキノン0.007部、オクチル酸スズ
0.009部を反応缶に入れ、80℃に加熱溶解後TDI43.5部を
反応缶内の温度が80〜90℃となるように冷却しながら滴
下し、滴下終了後80℃で反応率95%以上となるまで反応
せしめる。 g)ポリブタジエンエラストマーアクリル変性体の合成
(電子線硬化性エラストマー) シンクロアペトロケミカル社製低分子量末端水酸基ポリ
ブタジエンポりBDリクイットレジンR−15、250部、2HE
MA32.5部、ハイドロキノン0.007部、オクチル酸スズ0.0
09部を反応缶に入れ、80℃に加熱溶解後TDI43.5部を反
応缶内の温度が80〜90℃となるように冷却しながら滴下
し、滴下終了後80℃で反応率95%以上となるまで反応せ
しめる。 高分子には電子線照射により崩壊するものと分子間に架
橋を起こすものが知られている。分子間に架橋を起こす
ものとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリス
チレン、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミ
ド、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリビニルピロリ
ドンゴム、ポリビニルアルコール、ポリアクロレインが
ある。この様な架橋型ポリマーであれば上記のような変
性を特に施さなくても、架橋反応が起るので、前記変性
体の他に、これらの樹脂はそのまま電子線架橋用トップ
コート樹脂として使用可能である。 更にまた、この方法によれば溶剤を使用しない無溶剤型
の樹脂であっても短時間で硬化することができるので、
この様な樹脂をトップコート用として用いることができ
る。又、官能基としては、水酸基としてアルコール系、
フェノール系、リン酸系、カルボン酸基として芳香族
系、脂肪族系、スルホン酸基、アミン基、アンモニウム
基等を含有するものも含まれる。特に官能基を有するも
のの方が強磁性薄膜に対して密着性が良い。 本発明の電子線硬化性樹脂組成物の特に好ましいものと
しては、(A)の化合物が一部ケン化した、カルボン酸
が導入された塩化ビニール−酢酸ビニール共重合体、塩
化ビニール−酢酸ビニール−ビニルアルコール−マレイ
ン酸共重合体、エポキシ、フェノキシ樹脂(好ましくは
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、
セバシン酸等のカルボン酸を導入したもの)にポリイソ
シアネート化合物を反応させて得られたイソシアネート
基を有する化合物に、イソシアネート基との反応性を有
する官能基をもつアクリル化合物あるいはメタクリル化
合物を反応させてなる化合物である。 (B)の化合物がポリオールにイソシアネート化合物を
反応させて得られた、イソシアネート化合物又はポリオ
ール(ポリウレタンエラストマー、好ましくはOH、COOH
基が導入されたもの)に、反応性を有する官能基をもつ
アクリル化合物あるいはメタクリル化合物を反応させて
なる化合物であり、(C)は多官能(メタ)クリレート
モノマー、オリゴエステルアクリレートまたは(B)の
低分子量化合物というものである。これらの組合せも含
まれる。 電子線硬化型ポリマーを用いることにより、強磁性薄膜
との付着性がよく、トップコート層がポリマーにより補
強され、塗膜の破断強度が上り、塗膜の強化が為され、
トップコート削れが少なく、かつ高温走行での耐久性が
改善できる。そこでドロップアウトの少ない、かつロー
ル状に巻き取った形での硬化の際の巻きしまりのない、
長さ方向で均一の特性を有する磁気記録媒体が得られ
る。ポリマーがない場合、高温走行でのストップを生
じ、ケズレが大であり、付着が生じる。又、電子線硬化
型ポリマーを用いると、トップコート層の製造上、連続
処理が可能であり、オンライン上で処理できるので、省
エネルギー、コストの低減に役立つ。 本発明で用いられる酸化防止剤としては、通常の酸化防
止剤が用いられ、これらは1)フェノール系酸化防止
剤、2)アミン系酸化防止剤、3)リン系酸化防止剤、
4)硫黄系酸化防止剤、5)有機酸、アルコール、エス
テル系酸化防止剤、6)キノン系酸化防止剤、7)無機
酸、無機塩系酸化防止剤のように構造的に大別される。 上記各種酸化防止剤の具体例を挙げると、 1)フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−第三
ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−第三ブチル−フェ
ノール、2,4−ジ−メチル−6−第三ブチル−フェノー
ル、ブチルヒドロキシアニソール、2,2′−メチレンビ
ス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、4,4′
−ブチリデンビス(3−メチル−6−第三ブチルフェノ
ール)、4,4′−チオビス(3−メチル−6−第三ブチ
ルフェノール)、テトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ
−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロ
キシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ジブチルヒド
ロキシトルエン、没食子酸プロピル、グアヤク脂、ノル
ジヒドログアヤレチン酸等がある。放射線硬化型として
はモノグリコールサリチレート、2,5−ジ第三ブチルハ
イドロキノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,
4,5−トリヒドロキシブチロフェノン、ハイドロキノン
等のメタクリレート、アクリレートタイプが挙げられ
る。 2)アミン系酸化防止剤としては、フェニル−β−ナフ
チルアミン、α−ナフチルアミン、N,N′−ジ−第二ブ
チル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,
N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミンの他、アル
カノールアミン、リン脂質等が挙げられる。アミン系で
もジメチルアミノエチルメタクリレート、アクリレート
等の放射線硬化可能のものが放射線硬化型として挙げら
れる。 3)リン系酸化防止剤としては放射線硬化型或いは放射
線硬化型でないものが用いられ、リン酸エステル部分の
Rとしてはアルキル基、アルキルフェニル基、その他酸
化エチレン、酸化プロピレンを含有し、そのRとしてC
が1〜26が好ましく、更に好ましいのは1〜22である。
リン酸ステルとしてはモノ、ジ、トリのものが含まれ、
モノあるいはジの成分が多いものであってもよく、トリ
タイプのものはカットされてていてもよい。またリン酸
エステルはNH4タイプのもの及びメタクリレートタイ
プ、アクリレートタイプのものも含まれる。具体的には
トリフェニルホスファイト、トリオクタデシルホスファ
イト、トリデシルホスファイト、トリラウリルトリチオ
ホスファイト等の亜リン酸エステルや、ヘキサメチルホ
スホリックトリアミド、ブチルホスフェート、セチルホ
スフェート、ブトキシエチルホスフェート、2−エチル
ヘキシルホスフェート、β−クロロエチルホスフェー
ト、ブトキシエチルホスフェートジエチルアミン塩、ジ
(2−エチルヘキシル)ホスフェート、エチレングリコ
ールアシッドホスフェート、(2−ヒドロキシエチル)
メタクリレート・ホスフェート、ブチルヒドロキシメタ
クリレート・ホスフェート、カプリルヒドロキシメタク
リレート・ホスフェート、ミリスチルヒドロキシメタク
リレート・ホスフェート、ステアリルヒドロキシメタク
リレート・ホスフェート、セチルヒドロキシメタクリレ
ート・ホスフェート、ブチルフェニルヒドロキシメタク
リレート・ホスフェート、アミルフェニルヒドロキシメ
タクリレート・ホスフェート、ノニルフェニルヒドロキ
シメタクリレート・ホスフェート、及びこれらのアクリ
レートタイプ、フェニルホスフェート、その他のアルコ
ール、及びノニルフェニル等のフェニルホスフェート、
バナジウム系酸性リン酸エステル等のリン酸エステルが
挙げられる。 4)硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリルチオジプロ
ピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウ
リルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチ
オジプロピオネート、ジステアリルβ,β′−チオジブ
チレート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウ
リルサルファイドの他、4,4′−チオ−ビス(3−メチ
ル−6−第三ブチル−フェノール)、2,2′−チオ−ビ
ス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)等のメタ
クリレート、アクリレート等の放射線硬化型が挙げられ
る。またこれらは酸化エチレン、酸化プロピレンを含有
していてもよい。 5)有機酸、アルコール、エステル系酸化防止剤として
はソルビトール、グリセリン、プロピレングリコール、
アジピン酸、クエン酸、アスコルビン酸等が挙げられ、
これらの放射線硬化型であってもよい。 6)キノン系酸化防止剤としてはヒドロキノン、トコフ
ェロール等があり、これらの中で放射線硬化型であって
もよい。 7)無機酸、無機塩系酸化防止剤としてはリン酸がその
代表例として挙げられる。 上記酸化防止剤の中でも、強磁性薄膜への裏型転写を抑
え得るという点から、分子中にアクリル系二重結合を有
する放射線硬化型のもの、例えばモノグリコールサリチ
レートメタクリレート(アクリレート)、4−第三ブチ
ルカテコールメタクリレート(アクリレート)、ジメチ
ルアミノエチルメタクリレート(アクリレート)、エチ
ルヒドロキシメタクリレート(アクリレート)ホスフェ
ート、セチルヒドロキシホスフェートメタクリレート
(アクリレート)、ステアリルメタクリレート(アクリ
レート)ホスフェート、及び上記のもののフェニルタイ
プのもの、2,2′チオ−ビス(4−メチル−6−第三ブ
チル−フェノール)メタクリレート(アクリレート)等
が好ましい。リン酸エステルの製法としては公知の方法
で行なわれるが、特開昭57−44223号公報記載の方法も
挙げられる。放射線硬化型酸化防止剤では強磁性薄膜へ
のオンライン硬化ができるため熱硬化時の巻きしまりに
よる裏型転写による表面性の劣化がなく、そのため出力
の低下がない。強磁性薄膜のトップコートは800A以下が
好適であり、これ以上厚くすると電特の低下を生じる。
またあまり厚すぎると強磁性薄膜の表面粗度が100A以下
のため、この上の酸化防止剤の層が厚さを増して該層が
削れる。このようなことは本発明においてはじめて判明
したことである。そしてドロップアウトの防止、ロール
状に巻かれたときの内外径の個所による出力差の減少と
いった特性上の効果の他、オンライン上での製造が可能
といった処理上の効果をもあげ得るものである。 本発明で用いられる潤滑剤としては従来この種磁気記録
媒体に用いられる潤滑剤としてシリコンオイル、弗素オ
イル、脂肪酸、脂肪酸エステル、パラフィン、流動パラ
フィン、界面活性剤等を用いることができるが、脂肪酸
および/又は脂肪酸エステルを用いるのが好ましい。 脂肪酸としてはカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、
ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン
酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン
酸、ステアロール酸等の炭素数12以上の脂肪酸(RCOO
H、Rは炭素数11以上のアルキル基)であり、脂肪酸エ
ステルとしては、炭素数12〜16個の一塩基性脂肪酸と炭
素数3〜12個の一価のアルコールからなる脂肪酸エステ
ル類、炭素数17個以上の一塩基性脂肪酸と該脂肪酸の炭
素数と合計して炭素数が21〜23個より成る一価のアルコ
ールとから成る脂肪酸エステル等が使用される。 シリコーンとしては脂肪酸変性よりなるもの、一部フッ
素変性されているものが使用される。アルコールとして
は高級アルコールよりなるもの、フッ素としては電解置
換、テロメリゼーション、オリゴメリゼーション等によ
って得られるものが使用される。 潤滑剤の中では放射線硬化型のものも使用して好都合で
ある。これらは強磁性薄膜への裏型転写を抑えるため、
ドロップアウトの防止、ロール状に巻かれたときの内外
径の個所による出力差の減少の他、オンライン上での製
造が可能である等の利点を持つ。 放射線硬化型潤滑剤としては、滑性を示す分子鎖とアク
リル系、ビニル系二重結合とを分子中に有する化合物、
例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビ
ニル酢酸エステル、アクリル酸アミド系化合物、ビニル
アルコールエステル、メチルビニルアルコールエステ
ル、アリルアルコールエステル、グリセライド等があ
り、これらの潤滑剤を構造式で表すと、 CH2=CHCOOR、 CH2=CH−CH2COOR、 CH2=CHCONHCH2OCOR、 RCOOCH2−CH=CH2等で、ここでRは直鎖又は分枝状の飽
和もしくは不飽和炭化水素基で、炭素数は7以上、好ま
しくは12以上23以下であり、これらは弗素置換体とする
こともできる。弗素置換体としては CnF2n+1−、CnF2n+1(CH2)m−(但し、m=(1〜
5)、 CnF2n+1CH2CH2NHCH2CH2−、 等がある。 これら放射線硬化型潤滑剤の好ましい具体例としては、
ステアリン酸メタクリレート(アクリレート、以下、全
てアクリレートタイプを含む)、ステアリルアルコール
のメタクリレート、グリセリンのメタクリレート、グリ
コールのメタクリレート、シリコーンのメタクリレー
ト、ステアリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル等が挙げ
られる。 強磁性薄膜表面に電子線硬化型ポリマー、酸化防止剤お
よび潤滑剤を含むトップコート層を設ける方法として
は、前記添加剤を溶剤で希釈して強磁性金属薄膜上に薄
く塗布したり、該添加剤を大気中、不活性ガス中、ある
いは真空中で気化せしめてその蒸気を強磁性金属表面に
当てるなどの手段があり、これらを適用することができ
る。このとき電子線硬化型ポリマー、酸化防止剤、潤滑
剤を共に混合、塗布して硬化したり、先ず電子線硬化型
ポリマーおよび酸化防止剤の混合物を塗布、硬化後、該
塗布膜上に前記潤滑剤を塗布或いは蒸着して塗布膜或い
は蒸着膜を形成することができる。前記添加剤の塗布に
当っては、溶剤を用いて行なうことができる。又、前記
添加剤の蒸着は、該添加剤を大気中、不活性ガス中、あ
るいは真空中で気化せしめてその蒸気を膜を形成すべき
物質の表面に当てて行なうものである。 添加剤の蒸着法によるものでは、その膜の表面が均一と
なり、出力波形が良好なものが得られる。 本発明のトップコート層における電子線硬化型ポリマ
ー、酸化防止剤、潤滑剤の使用割合は電子線硬化型ポリ
マー:酸化防止剤=10:90〜90:10、好ましくは30:70〜7
0:30(重量)、潤滑剤はポリマー+酸化防止剤100重量
部に対し0.5〜30重量部である。 トップコート層の厚みとしては10〜800Åが好ましい。
あまり厚すぎると電特の低下を生じたり、ケズレを生ず
る。又、あまり薄すぎると目づまりが発生する。トップ
コートなしの強磁性薄膜の表面粗度は100Å以下が好ま
しいため、この上にトップモート層を形成する場合、あ
まり厚すぎるとケズレを生ずることが判った。あまり少
なすぎるとトップコート層の吸着が弱すぎ、目づまりを
発生することが予想される。このようなことは本発明で
はじめて判明したものである。特に好ましい範囲として
は10〜300Åである。 本発明において、トップコート層に前記の電子線硬化型
ポリマーを含有することによりトップコート層が補強さ
れ、削れが少なく、酸化防止剤を含有することにより防
錆効果が著しく、又潤滑剤を含ませることにより、磁性
層の表面の摩擦抵抗が低下するという効果が奏せられ、
走行安定性、耐久性の優れた、ドロップアウトの減少し
た磁気記録媒体が得られる。 本発明のバックコート層は無機顔料、有機バインダー及
び潤滑剤を含有するものからなる。 無機顔料としては、1)導電性のあるカーボンブラッ
ク、グラファイト、また2)無機充填剤としてSiO2、Ti
O2、Al2O3、Cr2O3、SiC、CaO、CaCO3、酸化亜鉛、ゲー
サイト、αFe2O3、タルク、カオリン、CaSO4、窒化硼
素、フッ化黒鉛、二硫化モリブデン、ZnS等があり、中
でもCaCO3、カオリン、ZnO、ゲーサイト、ZnSやカーボ
ンが使用される。この様な無機顔料の使用量は1)に関
してはバインダー100重量部に対して20〜200重量部、又
2)に関しては10〜300重量部が適当であり、無機顔料
量があまり多くなると、塗膜がもろくなり、かえってド
ロップアウトが多くなるという欠点がある。 潤滑剤としては(分散剤をも含めて)従来この種バック
コート層に用いられる種類のものはいずれも用いること
ができるが、カプリン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミ
リスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、
オレイン酸、エライジン酸、リノー酸、リノレン酸、ス
テアロール酸等の炭素数12以上の脂肪酸(RCOOH、Rは
炭素数11以上のアルキル基);前記の脂肪酸のアルカリ
金属(Li、Na、K等)またはアルカリ土類金属(Mg、C
a、Ba等)から成る金属石鹸;レシチン等が使用され
る。この他に炭素数12以上の高級アルコール、およびこ
れらの硫酸エステル、界面活性剤、チタンカップリング
剤、シランカップリング剤等も使用可能である。これら
の潤滑剤(分散剤)はバインダー100重量部に対して1
〜20重量部の範囲で添加される。 潤滑剤としては上記の他にシリコンオイル、グラファイ
ト、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、炭素数12
〜16個の一塩基性脂肪酸と炭素数3〜12個の一価のアル
コールからなる脂肪酸エステル類、炭素数17個以上の一
塩基性脂肪脂と該脂肪酸の炭素数と合計して炭素数が21
〜23個より成る一価のアルコールとから成る脂肪酸エス
テル等が使用される。これらの潤滑剤はバインダー100
重量部に対して0.2〜20重量部の範囲で添加される。 またその他の添加剤としてはこの種のバックコートに用
いるものでは何でも用いることができるが、例えば帯電
防止剤としてサポニンなどの天然界面活性剤;アルキレ
ンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系などの
ノニオン界面活性剤;高級アルキルアミン類、第4級ア
ンモニウム塩類、ピリジンその他の複素環類、ホスホニ
ウム又はスルホニウム類などのカチオン界面活性剤;カ
ルボン酸、スルホン酸、燐酸、硫酸エステル基、燐酸エ
ステル基等の酸性基を含むアニオン界面活性剤;アミノ
酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸ま
たは燐酸エステル類等の両性活性剤などが使用される。 本発明のバックコート層で用いる有機バインダーは、得
られる塗膜強度等の点から電子線硬化型の樹脂である。 電子線硬化型樹脂としては、アクリル変性塩化ビニル−
酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体(カルボン酸導
入のものも含む)及びウレタンアクリレートからなる電
子線硬化系樹脂等であり、ラジカル重合性を有する不飽
和二重結合を示すアクリル酸、メタクリル酸、あるいは
それらのエステル化合物のようなアクリル系二重結合、
ジアリルフタレートのようなアリル系二重結合、マレイ
ン酸、マレイン酸誘導体等の不飽和結合等の、電子線照
射による架橋する基を熱可塑性樹脂の分子中に含有また
は導入した樹脂等を用いることができる。その他、使用
可能なバインダー成分としては、単量体としてアクリル
酸、メタクリル酸、アクリルアミド等がある。二重結合
のあるバインダーとしては、種々のポリエステル、ポリ
オール、ポリウレタン等をアクリル二重結合を有する化
合物で変性することもできる。更に必要に応じて多価ア
ルコールと多価カルボン酸を配合することによって種々
の分子量のものもできる。本発明では(A)電子線によ
り硬化性をもつ不飽和二重結合を2個以上有する、分子
量5,000〜100,000のプラスチック状化合物、(B)電子
線により硬化性をもつ不飽和二重結合を1個以上有す
る、分子量3,000〜100,000のゴム状化合物、および
(C)電子線により硬化性をもつ不飽和二重結合を1個
以上有する、分子量200〜3,000の化合物、よりなる樹脂
組成物を用いる。これにより、塗膜の破断強度が上り、
塗膜の強化が為され、バックコート削れが少なく、バッ
クコート層から磁性層への無機充填剤粉末の移転がない
ためドロップアウトの少ない、かつ、ロール状に巻き取
った形での硬化の際の巻きしまりのない、長さ方向で均
一の特性を有する磁気記録媒体が得られる。 本発明の磁気記録媒体の製造において、有機バインダー
が熱硬化型では、製造過程において、バックコート層の
潤滑剤が磁性薄膜に裏型転写し、前述のような不安定な
走行による出力ダウンが発生し、画像が出なくなると
か、或いは摩擦レベルが未だ大きく不十分であり、裏型
転写により強磁性薄膜が取れたり或いは破壊されるとい
う現象が生じ好ましくない。そのためトップコートを最
初に行なうことが考えられるが、操作上、傷つきやすく
不都合な場合が多い。更に、熱硬化型の場合、硬化時の
巻きしまりによるバックコート面の裏型転移のため、熱
硬化中のジャンボロールの内側、外側での電磁変換特性
の差が問題となる。 これに対して、電子線硬化型樹脂の場合、製造上、連続
硬化が可能であり、硬化時間も短かく、上記の裏型転写
がないのでドロップアウトが防止でき、その上、電子線
硬化及びトップコート処理がオンライン上で処理できる
ので、省エネルギー対策、製造時の人員の減少にも役立
ち、コストの低減にもつながる。特性面では熱硬化時の
巻きしまりによるドロップアウトの外に、ロール状に巻
かれたときの内外径の個所の圧力のちがいにより磁気テ
ープの長さ方向の距離による出力差が生じることもなく
なる。 前記(A)、(B)及び(C)からなる電子線硬化型樹
脂バインダーにおいて、(A)だけでは柔軟性がなくも
ろく、(B)だけでは弾性の欠けたものであり、
(A)、(B)を組合せることにより破壊エネルギー大
となるが、脆性エネルギーを大とするには限度があり、
また(A)、(B)だけでは硬度が低いためか、高温多
湿下で粘着性を生じ静摩擦が高くなった。これに対し、
(A)、(B)に更に(C)を組合せることにより、架
橋性が増大し、バインダーの引張り強度大、破断エネル
ギー、脆性エネルギーが大となり、バックコートケズレ
もなく、硬化度が高い強靭な塗膜になる。そのため50
℃、80%、5日間の高温保存下においたところ、粘着を
生ぜず、摩擦係数も低く、画像ひずみを生じなかった。
これは(C)を加えることによりバックコート膜の架橋
性が増し、硬化度が増したためである。(A)、(B)
に更に(C)を加えることにより、(A)、(B)のみ
よりなる組成の場合に比べ、(A)成分が低分子量の方
迄使えるようになった。これは(A)成分よりなるプラ
スチック状のものを、(C)成分を導入することにより
可塑性を向上させた硬化度の向上となるため、粘弾性に
富んだ脆性エネルギーの大なる塗膜となったものであ
る。 本発明の電子線硬化型樹脂バインダーにおいて、(A)
の分子量5,000未満、(B)の分子量3,500未満では塗膜
が固くなってバックコート削れが激しく、電磁変換特性
も低下し、また(B)の分子量100,000を超えると分散
不良のため電磁変換特性が低下すると共に、(B)が電
子線硬化性の場合にはその特性が低下して強度低下を生
じる。(C)については、分子量が3,000を超えると架
橋性が低下し、塗膜の強度が低下する。(A)は10,000
〜80,000、(B)は3,000〜80,000、(C)は200〜2,50
0が好ましい分子量範囲で、(B)は電子線硬化性のも
のが、架橋性を上げ、塗膜強度が大となるので好まし
い。 (A)、(B)、(C)の配合比率は、(A)が20〜70
重量%、好ましくは30〜70重量%、(B)が20〜80重量
%、好ましくは20〜60重量%、(C)が10〜40重量%、
好ましくは10〜30重量%である。 本発明の(A)、(B)、(C)の化合物の分子量は次
のような測定方法による数平均分子量によっている。 ※GPCによるバインダーの平均分子量測定 GPC(Gel Permeation Chlomatography)とは試料中の
分子を移動相中のその大きさに基いて分離する方法で、
分子ふるいの役をする多孔質ゲルをカラムに充填し液体
クロマトグラフィーを行なう方法である。平均分子量を
算出するには標準試料として分子量既知のポリスチレン
を使いその溶出時間から検量線を作成する。これよりポ
リスチレン換算の平均分子量を計算する。 与えられた高分子量物質中に分子量Miである分子がNi個
あったとすると 数平均分子量 で表わせる。 本発明の(A)、(B)、(C)の化合物における不飽
和二重結合は1分子当り(A)は2以上、好ましくは5
以上、(B)は1以上、好ましくは5以上、(C)は1
以上、好ましくは3以上である。 高分子には電子線照射により崩壊するものと分子間に架
橋を起こすものが知られている。分子間に架橋を起こす
ものとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリス
チレン、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミ
ド、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリビニルピロリ
ドンゴム、ポリビニルアルコール、ポリアクロレインが
ある。この様な架橋型ポリマーであれば上記のような変
性を特に施さなくても、架橋反応が起るので、前記変性
体の他に、これらの樹脂はそのまま電子線架橋用バック
コート樹脂として使用可能である。 更にまた、この方法によれば溶剤を使用しない無溶剤型
の樹脂であっても短時間で硬化することができるので、
この様な樹脂をバックコート用として用いることができ
る。 本発明の電子線硬化性バインダー用組成物の特に好まし
い組合せとしては、(A)の化合物が一部ケン化した塩
化ビニール−酢酸ビニール共重合体、カルボン酸が導入
された塩化ビニール−酢酸ビニール共重合体、フェノキ
シ樹脂にポリイソシアネート化合物を反応させて得られ
たイソシアネート基を有する化合物に、イソシアネート
基との反応性を有する官能基をもつアクリル化合物ある
いはメタクリル化合物を反応させてなる化合物であり、
(B)の化合物がポリオールにイソシアネート化合物を
反応させて得られた、イソシアネート化合物又はポリオ
ール(ポリウレタンエラストマー)に、反応性を有する
官能基をもつアクリル化合物あるいはメタクリル化合物
を反応させてなる化合物であり、(C)は多官能(メ
タ)クリレートモノマー、オリゴエステルアクリレート
または(B)の低分子量化合物というものである。 また本発明のトップコート層の電子線硬化型ポリマーの
架橋、バックコート層に用いる有機バインダー、トップ
コート層あるいはバックコート層に含まれる潤滑剤、酸
化防止剤が電子線硬化型の場合の架橋に当って使用する
活性エネルギー線としては、電子線加速器を線源とした
電子線、が使用される。 特に照射線源としては吸収線量の制御、製造工程ライン
への導入、電離放射線の遮蔽等の見地から電子線加速器
により電子線を使用する方法が有利である。 上記バックコート層、及びトップコート層を硬化する際
に使用する電子線特性としては、透過力の面から加速電
圧100〜750KeV、好ましくは150〜300KeVの電子線加速器
を用い吸収線量を0.5〜20メガラッドになるように照射
するのが好都合である。 本発明の電子線硬化に際しては、米国エナージーサイエ
ンス社にて製造されている低線量タイプの電子線加速器
(エレクトロカーテンシステム)等がテープコーティン
グ加工ラインへの導入、加速器内部の2次X線の遮蔽等
に極めて有利である。 勿論、従来より電子線加速材として広く活用されている
ところのファンデグラフ型加速器を使用してもよい。 また電子線架橋に際しては、N2ガス、Heガス等の不活性
ガス気流中で電子線をバックコート層、トップコート層
に照射することが重要であり、空気中で電子線を照射す
ることは、バインダー成分の架橋に際し電子線照射によ
り生じたO3等の影響でポリマー中に生じたラジカルが有
利に架橋反応に働くことを阻害するので極めて不利であ
る。従って、活性エネルギー線を照射する部分の雰囲気
は、特に酸素濃度が最大で5%である、N2、He、CO2等
の不活性ガス雰囲気に保つことが重要となる。 磁気記録媒体の製造に際し、熱硬化系バックコート面形
成においては、バックコート面を磁性面より先に形成す
るとバックコート面の熱硬化処理はベースとの巻きしま
りのためベース面の表面粗度を低下させ好ましくない。
そのため磁性面を形成した後熱硬化処理を行なってい
た。そのため、バックコート処理は、磁性塗膜を支持体
上に形成した後、その支持体の裏面になされるのが普通
であるが、本発明で電子線硬化性バインダーを用いた時
は、バックコート面での巻きしまりがなく、またカセッ
トテープ、ビデオカセットテープ、ビデオテープ接触転
写プリント用マスターテープ等には本発明の電子線硬化
性バインダーを用いたバックコート層と、電子線硬化型
ポリマー、酸化防止剤と潤滑剤を含有するトップコート
層を設けた金属薄膜からなる磁気記録層とを組合せるこ
とにより、極めて良好な電磁変換特性と物性信頼性を有
する高性能テープを得ることができ、本発明の磁気記録
媒体は有用性の大きいすぐれたものであるということが
できる。 (ホ)発明を実施するための最良の形態 以下の本発明の実施例を示す。なお、本発明がこの実施
例に限定されるものでないことは理解されるべきであ
る。 実施例1 (1)磁性層の形成 強磁性薄膜1 厚さ12μmのポリエステルフィルムを円筒状冷却キャン
の周面に沿わせて移動させ、O2+Ar(容積比1:1)を毎
分800ccの速さで流し真空度を1.0×10-4Torrとしたチャ
ンバー内で、Co80、Ni20よりなる合金を溶融し、入射角
90゜〜30゜の部分のみ斜め蒸着し膜厚0.15μmのCo−Ni
−O薄膜を形成した。酸素はベースとの界面およびベー
スと反対側の表面に多く偏在していた。またベースと反
対側の表面はほぼ酸化物のみで覆われていた。Hc=1000
Oe。 膜中の平均酸素量はCoとNiに対する原子比(O×100)
で40%であった。 CoNi 強磁性薄膜2 厚さ12μmのポリエステルフィルムを円筒状冷却キャン
の周面に沿わせて移動させ、真空度を5.0×10-6Torrと
したチャンバー内で、強磁性薄膜1の場合と同様に蒸着
した。膜厚は0.15μmで実質的にCo−Niより成る。 このテープを90℃、20%RH雰囲気中で強制酸化し、その
ベースと反対側の表面を酸化物のみとした。Hc=900O
e。膜中の平均酸素量はCoとNiに対する原子比で45%で
あった。 強磁性薄膜3 酸素による酸化工程を省略した以外は強磁性薄膜2と同
様に厚さ12μmのポリエステルフィルムを円筒状冷却キ
ャンの周面に沿わせて移動させ、真空度を5.0×16-6Tor
rとしたチャンバー内で、強磁性薄膜1の場合と同様に
蒸着した。膜厚は0.15μmで実質的にCo−Niより成るも
のであった。Hc=950Oe。 強磁性薄膜(比較例) 厚さ12μm幅1/2インチのポリエチレン・テレフタレー
トベースを真空度4.0×10-6Torrの真空中で、その幅方
向が蒸発源に対して50゜に傾斜するように走行させつ
つ、Co75−Ni25(重量比)の合金を蒸着せしめた。膜厚
0.2μmでベースの長さの方向の磁気特性が抗磁力420O
e、角型比0.80の磁性薄膜が得られた。 (2)バックコート層の形成 バックコート層1(熱硬化型) 重量部 酸化亜鉛 80mμ 200 硬化剤 コロネートL 20 潤滑剤 ステアリン酸変性シリコーン 4 ステアリン酸ブチル 2 硝化綿 40 塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体
(積水化学製、エスレックA) 30 ポリウレタンエラストマー 30 (B.Fグッドリッチ社製、エッセン5703) 混合溶剤(MIBK/トルエン)250重合部の混合物を良く混
合溶解させる。 この塗料を15μのポリエステルフィルム上に塗布し、赤
外線ランプまたは熱風により溶剤を乾燥させた後、表面
平滑化処理後、80℃に保持したオーブン中にロールを48
時間保持し、イソシアネートによる架橋反応を促進させ
た。 バックコート層2 重量部 カーボンブラック 50 旭カーボン(株)製100mμ (A)アクリル変性塩ビ−酢ビ−ビニルアルコール共重
合体 分子量45,000 50 (B)アクリル変性ポリウレタンエラストマー 分子量 5,000 50 ステアリン酸 2 ステアリン酸ブチル 2 混合溶剤(MIBK/トルエン=1/1)300上記混合物をボー
ルミル中5時間分散させ、磁性面が形成されているポリ
エステルフィルムの裏面に乾燥厚1μになるように塗布
し、エレクトロカーテンタイプ電子線加速装置を用いて
加速電圧150KeV、電極電流10mA、吸収線量5Mrad、N2ガ
ス中で電子線をバックコート層に照射した。 バックコート層3 重量部 硫化亜鉛 粒径可変 30 カーボンブラック 25 アクリル変性塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコー
ル共重合体(分子量3万) 40 アクリル変性ポリウレタンエラストマー 分子量20,000 40 オリゴエステルポリアクリレート 分子量1,000 20 オレイン酸 4 ステアリンメタクリレート 2 混合溶剤(MIBK/トルエン) 250 これらをバックコート層2と同様に処理、製造した。 バックコート層4 重量部 CaCO3 80mμ 50 アクリル変性塩ビ−酢ビ−ビニルアルコール共重合体
分子量30,000 30 アクリル変性ポリウレタンエラストマー 分子量50,000 30 アクリル変性フェノキシ樹脂 分子量35,000 20 オリゴエステルポリアクリレート分子量500 20 ステアリン酸 4 溶剤(MEK/トルエン=1/1) 300 これらを上記と同様に処理、製造した。 (3)トップコート層の形成 ◎トップコート組成 トップコート組成1 重量部 2,6ジ第三ブチルp−クレゾール 1 アクリル変性塩ビ−酢ビ−ビニルアルコール共重合体
(マレイン酸含有)分子量20,000 1 フッ素変性ステアリン酸シリコーン 0.4 MEK 100 トップコート組成2 モノグリコールサリチレートアクリレート 3 エポキシ変性体(コハク酸含有)分子量6,000 2 ミリスチン酸 0.3 ミリスチルアルコールのメタクリレート 1.0 MEK/トルエン(1/1) 100 トップコート組成3 ジメチルアミノメタクリレート 1 フェノキシ変性体 分子量30,000 0.6 アクリル変性ポリウレタンエラストマー 分子量4,000 0.6 オリゴエステルポリアクリレート 分子量500 0.8 フッ素(電解法) 0.3 MEK/トルエン(1/1) 100 トップコート組成4 ヒドロキシエチルメタクリレートホスフェート 2 塩−酢ビ(マレイン酸含有)分子量20,000 0.5 トリメチロールプロパントリメタクリレート分子量300
0.5 ステアリン酸 0.5 ステアリン酸変性シリコーン 0.5 トルエン 100 トップコート組成5 ステアリルアルコールメタクリレートホスフェート2 スピラーク変性体 分子量10,000 0.3 アクリル変性ポリウレタンエラストマー 分子量3,000 0.3 トリメチロールプロパントリメタクリレート分子量300
0.4 ステアリン酸のアクリレート 0.6 MEK/トルエン(1/1) 100 ◎トップコート層の製造及び性状 1.トップコート層1は強磁性薄膜(1)上、トップコー
ト組成1をそのまま塗布し、加速電圧150KeV、電極電流
6mA、3Mrad、N2ガス中で照射を行なった。膜厚が50Åで
あった。 2.トップコート層2は強磁性薄膜(2)上、トップコー
ト組成2を塗布し、加速電圧150KeV、電極電流6mA、3Mr
ad、N2ガス中で照射を行なった。膜厚が300Åであっ
た。 3.トップコート層3は強磁性薄膜(1)上、トップコー
ト組成3を塗布し、加速電圧150KeV、電極電流10mA、5M
rad、N2ガス中で照射を行なった。膜厚が100Åであっ
た。 4.トップコート層4は強磁性薄膜(3)上、トップコー
ト組成4を塗布し、加速電圧150KeV、電極電流10mA、5M
rad、N2ガス中で照射を行なった。膜厚が100Åであっ
た。 5.トップコート層5は強磁性薄膜(2)上にトップコー
ト組成5を塗布し、加速電圧150KeV、電極電流10mA、5M
rad、N2ガス中で照射を行なった。膜厚が150Åであっ
た。 6.トップコート組成6 重量部 a.ジメチルアミノメタクリレート 1 エポキシ変性体、分子量80,000 0.5 アクリル変性ポリウレタンエラストマー 分子量5,000 0.5 オリゴエステルポリアクリレート、分子量500 0.2 MEK/トルエン(1/1) 100 このものを強磁性薄膜(1)上に塗布、加速電圧150Ke
V、電極電流10mA、5Mrad、N2ガス中で照射を行なった。 その上に b.ステアリルメタクリレート 0.3 フッ素オイル(テロメリゼーション法) 0.2 MEK 100 を塗布、加速電圧150KeV、電極電流4mA、2Mrad、N2ガス
中で照射を行なった。膜厚が110Åであった。 7.強磁性薄膜(2)上のトップコート組成6のaの上に
4×10-3Torrの条件の雰囲気中でステアリルアルコール
吸着させた。膜厚は110Åであった。 8.強磁性薄膜(2)上のトップコート組成6のaの上に
4×10-3Torrの条件の雰囲気中でフッ素変性オイルを吸
着させた。膜厚は105Åであった。 比較トップコート1 トップコート1の組成の中から電子線硬化型ポリマーを
除き、熱硬化型としたものである。 比較トップコート2 トップコート3の組成の中から電子線硬化型ポリマーを
除いたものである。 これらの強磁性薄膜、バックコート、トップコートを各
々組合せて得られる磁気記録媒体の特性を以下の表に示
す。 比較例1、2 強磁性薄膜1にバックコート層1を形成し、トップコー
ト層1或いは3を各々形成した。 比較例3、4 強磁性薄膜の比較例のもの、又は強磁性薄膜1にバック
層1を、次いで各々比較トップコート層1、2を設け
た。 これらの例の磁気記録媒体の特性を第1表に示す。 第1表から、トップコート層に電子線硬化型ポリマーを
入れたものは、熱硬化型ポリマーのものに比して、40
℃、60%の走行性が改善されること(磁性面側の摩擦係
数の上昇から判る、トップコート層が熱硬化型ポリマー
のものでは摩擦係数0.7以上となって2回でストップす
る)、またトップコート削れ、ガイド付着もポリマーな
しの場合は大であったのが、小〜中となるなど、改善さ
れることが判るが、バックコート層及びトップコート層
共に電子線硬化型樹脂を入れるもの特にバックコート層
の電子線硬化型ポリマーが(A)(B)(C)の組合わ
せからなるものが以下の実施例(第3表)の通り極めて
すぐれたものとなることが判る。 比較例5、6、 強磁性薄膜1又は3にバック層2を形成し、その後トッ
プコート層3又は4を形成した。 比較例7 強磁性薄膜3に、aではバック層2、比較トップ層1の
順で、bではトップ層1、バック層2の順で各層を形成
した。 比較例8、9、10 表に示した各強磁性薄膜上に、同じく表に示したバック
層、トップ層をその順に形成した。 各磁気記録媒体の特性を第2表に示す。 第2表の結果を以下に考察する。 1.トップコート層及びバックコート層に電子線硬化型ポ
リマーが入ったことにより、摩擦が改良され、走行性が
改善され、トップコート削れ、バックコート削れも改良
されるが、バックコート層が電子線硬化型ポリマー
(A),(B)及び(C)の組合わせのものに比して劣
る(第3表参照)。 2.比較例8と比較例7bを比べると、比較例8ではトップ
コート層、バックコート層が放射線硬化型でないため熱
硬化時の巻きしまりにより不均一となり、トップコート
面がケズレやすい。また比較例8ではトップコート層が
熱硬化性で熱硬化時には硬化していないためバック層よ
りの裏型転写の影響を受けて目づまりし易い。 又、比較例7ではバック層が放射線硬化タイプのため、
aでは比較例8のように熱硬化時の巻きしまりがない
が、トップ層1の熱硬化時の影響によりトップコートケ
ズレ及び表面性の点でよくないものとなる。 なお、バック、トップコートの形成においては熱硬化型
の場合はトップ層を最初に形成しておいた方がバック層
からの影響が少なくなり、出力安定性が良好となるが、
工程上、最初にトップコートを形成するとバックコート
工程でケズレやすいので工程管理を厳しくせねばならな
い等の不便な点が多い。 3.比較例7b及び比較例5、6とは両側とも電子線硬化型
の樹脂で摩擦が低く、トップコートケズレも少なく、オ
ンラインで操作できるため裏型転写がなく、出力安定性
は良好であるが、同様にバックコート層が電子放射線硬
化型樹脂(A),(B),(C)の組合わせからなる実
施例1〜5のものに比してバックコート削れ等の点で劣
るものとなる(第3表参照)。 実施例1〜5 強磁性薄膜(2)にバック層3(バインダーとしてABC3
成分を含む)を形成し、次いで各種トップ層を形成した
ものについての特性を、バック層3の代りにバック層2
(AB2成分)を形成した比較例11と比較した結果を第3
表に示す。 第3表の結果について以下に考察する。 1.40℃、60%走行ではバック層3成分よりなるものは比
較例11(AB2成分)のものに比して50回走行後での摩擦
の上昇が少ない。またバックコートケズレも全くない。
そのためドロップアウトも少ない。 2.電特出力、スチール特性はいずれも良好である。バッ
クコート削れ、ドロップアウト、表面性についてはバッ
クコート3成分よりなる実施例のものの方が2成分より
なるものより良好であることが判る。 3.実施例3の2層コーティングのものは1層コーティン
グのものより潤滑効果が良好のため摩擦係数が低いこと
が判った。また蒸着法によるトップコートも2層コーテ
ィングの効果が生かされ良好なことが判った。更に表面
性を表に記載した以外の部分について顕微鏡で観察した
ところ、蒸着法によるトップコートの表面性がこの中で
一番良いことも判った。また摩擦レベルが最も低いこと
が判る。防錆性も良好である。 上記特性の測定方法について以下に記す。 1.スチール特性 5MHzで記録し、再生出力のスチール特性を測定する。10
分以上をOKレベルとする。 2.40℃、60%走行 一般市販のVHS方式VTRを改造し、初期摩擦、走行後の摩
擦を測定する。摩擦測定はデッキにテンションアナライ
ザーを組み込んで行なう。 3.接触角 投影型の測定器にて注射器で一定量の水滴をたらし、1
分後の接触角を投影機より読みとる。 4.表面性 干渉顕微鏡にて50、400倍の倍率にて目視、及び写真に
より調査する。 5.出力 中心周波数5MHzで記録、再生した場合のS/N比(相対
値)を示す。VHSのVTRを改造し5MHzまで測定できるよう
にする。 6.錆 50℃、90%RHの環境下に2日間保存する。 7.バックコート、トップコート面削れ 一般市販のVHS方式VTRを改造し、40℃、60%走行にて50
回走行後のバックコート、トップコート面削れを観察す
る。バックコートについては◎:非常にきれい、○:汚
れがない、△:やや汚れ、×:汚れがひどい、という状
態を表わし、トップコートについては◎:削れがない、
○:汚れ小、△:汚れ中、×:汚れ大、という状態を表
わす。 8.ドロップアウト 20℃、60%でVHSデッキを用い5MHzの単一信号を記録
し、再生した場合の信号が、平均再生レベル18dB以上低
下する時間が15μ秒以上であるものの個数を、サンプル
10個について1分間当りで数え、その平均をとる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 有岡 博之 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 テイ ーデイーケイ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭57−208628(JP,A) 特開 昭57−150136(JP,A) 特開 昭54−123922(JP,A) 特開 昭58−218043(JP,A) 特開 昭51−20805(JP,A) 特開 昭50−114205(JP,A)
Claims (3)
- 【請求項1】非磁性基材の一方の面に強磁性薄膜からな
る磁気記録層、他方の面にバックコート層を設けた磁気
記録媒体において、該磁気記録層には、強磁性薄膜の表
面上に酸化防止剤、電子線硬化型ポリマー及び潤滑剤と
からなるトップコート層が設けられ、該バックコート層
が無機顔料、電子線硬化型樹脂、潤滑剤を含む塗膜から
なり該電子線硬化型樹脂が (A)電子線により硬化性をもつ不飽和二重結合を2個
以上有する、分子量5,000〜100,000のプラスチック状化
合物、 (B)電子線により硬化性をもつ不飽和二重結合を1個
以上有する、分子量3,000〜100,000のゴム状化合物及び (C)電子線により硬化性をもつ不飽和二重結合を1個
以上有する、分子量200〜3,000の化合物 よりなる樹脂組成物であることを特徴とする磁気記録媒
体。 - 【請求項2】トップコート層の酸化防止剤が放射線硬化
型のものである特許請求の範囲第1項記載の磁気記録媒
体。 - 【請求項3】潤滑剤が放射線硬化型のものを含むもので
ある特許請求の範囲第1項又は第2項記載の磁気記録媒
体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP59021599A JPH0719356B2 (ja) | 1984-02-10 | 1984-02-10 | 磁気記録媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP59021599A JPH0719356B2 (ja) | 1984-02-10 | 1984-02-10 | 磁気記録媒体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS60167113A JPS60167113A (ja) | 1985-08-30 |
JPH0719356B2 true JPH0719356B2 (ja) | 1995-03-06 |
Family
ID=12059497
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP59021599A Expired - Lifetime JPH0719356B2 (ja) | 1984-02-10 | 1984-02-10 | 磁気記録媒体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0719356B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0414618A (ja) * | 1990-05-07 | 1992-01-20 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 磁気記録媒体 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5729769B2 (ja) * | 1974-02-15 | 1982-06-24 | ||
JPS5120805A (ja) * | 1974-08-13 | 1976-02-19 | Fuji Photo Film Co Ltd | Jikideisukugatakirokutai |
JPS54123922A (en) * | 1978-03-17 | 1979-09-26 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | Magnetic recording medium |
JPH0640384B2 (ja) * | 1982-06-14 | 1994-05-25 | ティ−ディ−ケイ株式会社 | 磁気記録媒体 |
-
1984
- 1984-02-10 JP JP59021599A patent/JPH0719356B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS60167113A (ja) | 1985-08-30 |
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