JP2532203B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2532203B2
JP2532203B2 JP60084116A JP8411685A JP2532203B2 JP 2532203 B2 JP2532203 B2 JP 2532203B2 JP 60084116 A JP60084116 A JP 60084116A JP 8411685 A JP8411685 A JP 8411685A JP 2532203 B2 JP2532203 B2 JP 2532203B2
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博之 有岡
康二 小林
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Description

【発明の詳細な説明】
I 発明の背景 技術分野 本発明は、磁気記録媒体、特に金属薄膜型の磁気記録
媒体に関する。 先行技術とその問題点 ビデオ用、オーディオ用等の磁気記録媒体として、テ
ープ化して巻回したときのコンパクト性等から、金属薄
膜型の磁性層を有するものの開発が活発に行われてい
る。 このような金属薄膜型の媒体の磁性層としては、基体
法線に対して所定の傾斜角にて蒸着を行う、いわゆる斜
め蒸着法によって形成したCo系、Co−Ni系等からなる蒸
着膜やCo−Cr系のスパッタないし蒸着膜からなる垂直磁
化膜等種々のものがある。 このような媒体では、小型化、長時間記録等のため、
例えば厚さ10μm以下の薄手のフィルムを用いると、走
行性、カールや片伸びの発生、機械的強度等の点で問題
が生じる。 そこで、これらの不都合を解消するため、フィルム裏
面に金属薄膜補強層を設ける旨の提案がなされている
(特開昭56−16939号、同58−97131号、同57−78627
号、同57−37737号等)。 これらの提案によれば、裏地層としての金属薄膜によ
り、媒体のヤング率が向上し、走行性、カール、機械的
強度等は改善される。 しかし、上記諸公報の技術では、最適ヤング率設計が
なされるには至っておらず、ヘッドタッチ不良から発生
する出力低下、エンベロープ不良が発生し、またエッヂ
折れや片伸び等のテープダメージが発生し、さらには保
存によっていわゆるスキューが発生する。 あるいは、走行により、磁性層にクラッチや磁性層ケ
ズレが生じたり、ヘッド摩耗量が増大したり、ドロップ
アウトが増加する。 II 発明の目的 本発明の目的は、金属薄膜型の薄手フィルム支持体を
用いた磁気記録媒体において、所定の裏地層およびバッ
クコート層を設けることにより媒体の機械的強度、特に
曲げ剛性、ヤング率および走行性を最適なものとし、ヘ
ッドタッチを向上し、出力低下やエンベロープ不良を解
消し、エッヂ折れや片伸び等のテープダメージを解消
し、保存によるスキューの発生を解消し、さらには、走
行による磁性層のクラッチやケズレを解消し、ヘッド摩
設量を減少し、ドロップアウトを減少し、またさらに
は、ロール巻きとり時の巻きしまりを防止することにあ
る。 III 発明の開示 このような目的は、下記の本発明によって達成され
る。 すなわち第1の発明は、厚さ10μm以下のプラスチッ
クフィルムの一方の面上に、強磁性金属薄膜の磁性層を
有し、他方の面上に裏地層を有し、この裏地層の上に顔
料と放射線硬化系樹脂のバインダーとを含有するバック
コート層を有することを特徴とする磁気記録媒体であ
る。 また第2の発明は、厚さ10μm以下のプラスチックフ
ィルムの一方の面上に、強磁性金属薄膜の磁性層を有
し、さらにこの磁性層上にトップコート層を有し、プラ
スチックフィルムの他方の面上に裏地層を有し、この裏
地層の上に顔料と放射線硬化系樹脂のバインダーとを含
有するバックコート層を有することを特徴とする磁気記
録媒体である。 IV 発明の具体的構成 以下、本発明の具体的構成について詳細に説明する。 本発明の磁気記録媒体は、プラスチックフィルム上に
磁性層を有する。 磁性層は、連続薄膜型の強磁性金属薄膜の種々のもの
であってよい。 強磁性金属薄膜には、鉄、コバルト、ニッケルその他
の強磁性金属、あるいはFe−Co、Fe−Ni、Co−Ni、Fe−
Rh、Fe−Cu、Fe−Au、Co−Cu、Co−Au、Co−Y、Co−L
a、Co−Pr、Co−P、Co−Gd、Co−Sm、So−Pt、Ni−C
u、Co−Ni−P、Fe−Co−Nd、Mn−Bi、Mn−Sb、Mn−A
l、Fe−Co−Cr、Co−Ni−Cr等の磁性合金を挙げること
ができる。 あるいは、垂直磁化膜として知られているCoCr、Co
V、CoNiP、CoP、MnBi、MnAlGe、NdFe、NdCo、CoO、MnS
b、MnCuBi、GdFe、GdCo、PtCo、TbCo、TbFeCo、GdFeC
o、TbFeO3、GdIG、GdTbFe、GdTbFeCoBi、CoFe2O4等のい
ずれであってもよい。そして、これらの磁性層は、プラ
スチックフィルム上に真空蒸着法やスパッタリング法、
イオンプレーティング法、メッキ法等の方法で直接形成
してもよく、あるいは下地層を介して設層してもよい。 この場合、本発明においては、Coを必須成分とし、C
o、Co+Ni、Co+OまたはCo+Ni+Oからなることが好
ましい。 すなわち、Co単独からなってもよく、CoとNiとからな
ってもよい。 Co+Niである場合、Co/Niの重量比は、1.5以上である
ことが好ましい。 さらに、CoまたはCo+Niに加え、Oが含まれていても
よい。Oが含まれたときには電磁変換特性や走行耐久性
の点で、より好ましい結果をうる。 このような場合、O/Co(Niが含まれない場合)あるい
はO/(Co+Ni)の原子比は、0.6以下、特に0.15〜0.5で
あることが好ましい。 一方、磁性層中には、Co、Co+Ni、Co+OあるいはCo
+Ni+Oに加え、Crが含有されると、より一層好ましい
結果を得る。 これは、電磁変換特性が向上し、出力およびS/N比が
向上し、さらに膜強度が向上するからである。 このような場合、Cr/Co(Niが含まれない場合)ある
いはCr/(Co+Ni)の重量比は、0.001〜0.1であること
が好ましい。 この場合Cr/CoあるいはCr/(Co+Ni)の重量比は、0.
005〜0.05であると、より一層好ましい結果を得る。 なお、このような磁性層中には、さらに他の微量成
分、特に遷移金属元素、例えばFe、Mn、V、Zr、Nb、T
a、Mo、W、Ti、Cu、Zn等が含まれていてもよい。 このようなCo−Ni系の磁性層は、通常、基体主面の法
線に対して傾斜した柱状結晶構造の粒子の集合体である
ことが好ましい。これにより、電磁変換特性が向上す
る。 このような場合、柱状結晶構造の粒子は、基体の主面
の法線に対して、20〜60゜の範囲で傾斜していることが
好ましい。 また、各柱状結晶粒子は、通常、磁性層の厚さ方向全
域に亘る長さをもち、その短径は一般に50〜500Å程度
とされる。 そして、Coと必要に応じ添加されるNi、Cr等は、この
柱状結晶自体を構成するものであり、Oが添加されたと
き、Oは通常、各柱状結晶粒子の表面に、主として酸化
物の形で存在している。 このようなCo−Ni系磁性層は、通常斜め蒸着法によっ
て形成される。 用いる斜め蒸着法としては、公知の斜め蒸着法を用い
ればよく、基体法線に対する入射角の最小値は30゜以上
とすることが好ましい。 なお、蒸着条件および後処理法等は、公知の条件およ
び方法に従えばよい。この場合、有効な後処理法として
は、磁性層中へのO導入のための公知の各種処理法等が
ある。 このような磁性層は通常、0.05〜0.5μm、より好ま
しくは0.1〜0.25μmの厚さが電磁変換特性上、好まし
い。 この場合、磁性層は、プラスチックフィルム上に直接
設けられていてもよく、あるいはプラスチックフィルム
上に下地層を介して設けられていてもよい。 また、磁性層は通常、単一の層として形成されるが、
場合によっては中間層を介して、複数の層を積層して形
成されていてもよい。 このような磁性層は、例えばポリエステルフィルム、
ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム等の各種プラ
スチックフィルム上に上述したような方法で形成するこ
とができる。 本発明で用いるプラスチックフィルムの厚さは10μm
以下、好ましくは5〜10μm、より好ましくは6〜10μ
m、さらにより好ましくは6〜8μmである。 この厚さが10μmをこえると、媒体の小型化、長時間
記録等の目的は達成されない。またこの厚さがあまり薄
くなりすぎると後述する媒体の曲げ剛性値EIが小さくな
って本発明の設定範囲外となり、走行性、出力低下等の
問題は解決されず、たとえ後述する裏地層を必要以上に
厚くして、EI値を本発明の設定範囲内にしたとしてもこ
の場合には磁性面がケズレたり、ヘッド摩耗がはげしく
なったり、出力が安定しない等の問題が生じる。 このようなプラスチックフィルムの磁性層が設けられ
ていない他方の面上には裏地層が設層される。 裏地層はAl、Cu、W、Mo、Cr、Ti等の単一金属薄膜ま
たはこれらの金属の合金、さらにはこれらの酸化物等の
薄膜であることが好ましい。 上記の金属等の中では特に非磁性のものを用いるのが
好ましい。その理由としては、例えば裏地層を磁性金属
とすると、磁性面が磁化された状態で巻きとられた場
合、裏地層が磁性層の漏洩磁束により磁化されたり、あ
るいは裏地層が磁化された状態で磁性面再記録して再び
巻きとられると、裏地層の磁気の影響により磁性面の磁
化状態が乱れるためノイズが増加するなどの問題が生じ
うるからである。 裏地層の形成方法は、例えば、蒸着、スパッタ、イオ
ンプレーティング、等の真空薄膜形成法、さらには各種
CVD等の気相成長法、あるいはメッキ法等を用いればよ
い。 このように形成された裏地層の膜厚は0.05〜1.5μ
m、より好ましくは0.07〜0.9μm、さらに最も好まし
くは0.07〜0.7μmとされる。この膜厚が1.5μmをこえ
ると後述の曲げ剛性値範囲をこえ、また、0.05μm未満
であると、後述の曲げ剛性値範囲未満となり、それぞれ
後述する不都合が生じる。 このような金属薄膜の裏地層を設けることによって、
記録媒体としての曲げ剛性は大きくなり、しかもプラス
チックフィルム上に設層されている磁性層との物性上の
バランスをとる機能、例えば、フィルム状の記録媒体の
カール防止機能などが発揮される。 そのため磁気記録媒体としての走行は格段と安定す
る。 さらにこのような金属薄膜の裏地層の上には、バック
コート層が設層される。 バックコート層には顔料および放射線硬化型化合物の
バインダーが含有される。 顔料としては、 1)導電性のあるカーボンブラック、グラファイト、ま
た、 2)無機充填剤としてSIO2、TiO2、Al2O3、Cr2O3、Si
C、CaO、CaCO3、酸化亜鉛、ゲーサイト、αFe2O3、タル
ク、カオリン、CaSO4、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、二硫
酸モリブデン、ZnS等があり、中でもCaCO3、カオリン、
ZnO、ゲーサイト、ZnSやカーボンが使用される。 このような無機顔料の使用量は、 1)に関してはバインダー100重量部に対して20〜200重
量部、また 2)に関しては10〜300重量が適当であり、無機顔料が
あまり多くなると、塗膜がもろくなり、かえってドロッ
プアウトが多くなるという欠点がある。 なお顔料の平均粒径は、0.01〜0.3μm程度より好ま
しくは0.02〜0.1μmとされる。 本発明のバックコート層で用いられる放射線硬化系樹
脂のバインダーは、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルア
ルコール共重合体(カルボン酸導入のものも含む)、ま
たはアクリル変性塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアル
コール共重合体(カルボン酸導入のものも含む)および
ウレタンアクリレート等からなるものが好ましい。 放射線硬化系樹脂については、前記の好ましい組み合
わせのほかに、ラジカル重合性を有する不飽和二重結合
を示すアクリル酸、メタクリル酸あるいはそれらのエス
テル化合物のようなアクリル系二重結合、 ジアリルフタレートのようなアリル系二重結合、 マレイン酸、マレイン酸誘導体等の不飽和結合等の、
放射線照射による架橋あるいは重合する基を熱可塑性樹
脂の分子中に含有または導入した樹脂等を用いることが
できる。 その他、使用可能なバインダー成分としては、単量体
としてアクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド等が
ある。 二重結合あるいはバインダーとしては、種々のポリエ
ステル、ポリオール、ポリウレタン等をアクリル二重結
合を有する化合物で変性することもできる。さらに必要
に応じて、多価アルコールと多価カルボン酸を配合する
ことによって、種々の分子量のものもできる。 放射線感応樹脂として上記のものはその一部であり、
これらは混合して用いることもできる。 さらに好ましいものは、 (A)放射線により硬化性をもつ不飽和二重結合を2個
以上有する、分子量5000〜100000のプラスチック状化合
物、 (B)放射線により硬化性をもつ不飽和二重結合を1個
以上有するか、または放射線硬化性を有しない、分子量
3000〜100000のゴム状化合物、および (C)放射線により硬化性をもつ不飽和二重結合を1個
以上有する、分子量200〜3000の化合物を、 (A)20〜70重量%、 (B)20〜80重量%、 (C)10〜40重量%の割合で用いた組み合わせである。 これにより、塗膜の破断強度が上り、塗膜の強化がな
され、バックコート削れが少なく、バックコート層から
磁性層への無機充填剤粉末の転移がないためドロップア
ウトの少ない、かつロール状に巻き取った形での硬化の
際の巻きしまりのない、長さ方向で均一の特性を有する
磁気記録媒体が得られる。 本発明の磁気記録媒体の製造において、有機バインダ
ーが例えば熱硬化型では、製造過程において、バックコ
ート層の潤滑剤が磁性薄膜に裏型転写し、前述のような
不安定な走行による出力ダウンが発生し、画像が出なく
なるとか、あるいは、摩擦レベルが未だ大きく不十分で
あり、裏型転写により強磁性薄膜が取れたり、あるいは
破壊されるという現象が生じ、好ましくない。 そのため、例えば、磁性層上に設層されるトップコー
トを最初に行うことが考えられるが、操作上、傷つきや
すく不都合なことが多い。 さらに、熱硬化型の場合、硬化時の巻きしまりによる
バックコート面の裏型転移のため、熱硬化中のジャンボ
ロールの内側、外側での電磁変換特性の差が問題とな
る。 これに対して、放射線硬化型樹脂の場合、製造上、連
続硬化が可能であり、硬化時間も短く、上記の裏型転写
がないので、ドロップアウトが防止でき、その上放射線
硬化およびトップコート処理がオンライン上で処理でき
るので、省エネルギー対策、製造時の人員の減少にも役
立ち、コストの低減にもつながる。 特性面では熱硬化時の巻きしまりによるドロップアウ
トの外に、ロール状に巻かれたときの内外径の個所の圧
力のちがいにより、磁気テープの長さ方向の距離による
出力差が生じることもなくなる。 前記(A)、(B)および(C)からなる放射線硬化
型樹脂バインダーにおいて、(A)だけでは柔軟性がな
くもろく、(B)だけでは弾性の欠けたものであり、
(A)、(B)を組合わせることにより破壊エネルギー
大となるが、脆性エネルギーを大とするには制限があ
り、また(A)、(B)だけでは硬度が低いためか、高
温多湿下で粘着性が生じ、静摩擦が高くなった。 これに対し、(A)、(B)さらに(C)を組合わせ
ることにより、架橋性が増大し、バインダーの引っ張り
強度大、破断エネルギー、脆性エネルギーが大となり、
バックコート削れもなく、硬化度が高い強靭な塗膜とな
る。 そのため、50℃、80%5日間の高温保存下においたと
ころ、粘着を生ぜず、摩擦係数も低く、画像ひずみを生
じなかった。 これは(C)を加えることによりバックコート膜の架
橋性が増し、硬化度が増したためである。 (A)、(B)にさらに(C)を加えることにより、
(A)、(B)のみよりなる組成の場合に比べ、(A)
成分が低分子量の方まで使えるようになった。これは
(A)成分よりなるプラスチック状のものを、(C)成
分を導入することにより可塑性を向上させた硬化度の向
上となるため、粘弾性にとんだ脆性エネルギーの大なる
塗膜となったものである。 本発明の放射線硬化型樹脂バインダーにおいて、
(A)の分子量5000未満、(B)の分子量3000未満では
塗膜が固くなってバックコート削れが激しく、電磁変換
特性も低下し、また(B)の分子量100000を超えると分
散不良のため電磁変換特性が低下するとともに、(B)
が放射線硬化性の場合にはその特性が低下して強度低下
を生じる。 (C)については、分子量が3000を超えると、架橋性
が低下し、塗膜の強度が低下する。 (A)は10000〜80000、(B)は3000〜80000、
(C)は200〜2500が好ましい分子量範囲で、(B)は
放射線硬化性のものが、架橋性を上げ、塗膜強度が大と
なるので好ましい。 (A)、(B)、(C)の配合比率は、(A)が20〜
70重量%、好ましくは30〜79重量%、(B)が20〜80重
量%、好ましくは20〜60重量%、(C)が10〜40重量
%、好ましくは10〜30重量%である。 本発明の(A)、(B)、(C)の化合物の分子量
は、次のような測定方法による数平均分子量によってい
る。 ※GPCによるバインダーの平均分子量測定 GPC(Gel Permeation Chlomatography)とは試料中の
分子を移動相中のその大きさに基ずいて分離する方法
で、分子ふるいの役をする多孔質ガルをカラムに充填
し、液体クロマトグラフィーを行う方法である。 平均分子量を算出するには、標準試料として分子量既
知のポリスチレンを使い、その溶出時間から検量線を作
成する。 これにより、ポリスチレン換算の平均分子量を計算す
る。 与えられた高分子量物質中に、分子量Miである分子が
Ni個あったとすると、 数平均分子量 で表わせる。 本発明の(A)、(B)、(C)の化合物における不
飽和二重結合は、1分子当り(A)は2以上、好ましく
は5以上、(B)は1以上、好ましくは5以上、(C)
は1以上、好ましくは3以上である。 本発明で用いる(A)のプラスチック状化合物は、放
射線によりラジカルを発生し、架橋構造を生じるよう
な、不飽和二重結合を分子鎖中に2個以上含むものなの
であり、これはまた熱可塑性樹脂を放射線感応変性する
ことによっても得ることができる。 放射線硬化性樹脂の具体例としては、ラジカル重合性
を有する不飽和二重結合を示すアクリル酸、メタクリル
酸、あるいはそれらのエステル化合物のようなアクリル
系二重結合、ジアクリルフタレートのようなアリル系二
重結合、マレイン酸、マレイン酸誘導体等の不飽和結合
等の放射線照射による架橋あるいは重合乾燥する基を、
熱可塑性樹脂の分子中に含有または導入した樹脂であ
り、その他放射線照射により架橋重合する不飽和二重結
合を有する化合物で、分子料が5000〜100000のもの、好
ましくは10000〜80000のものであれば用いることができ
る。 放射線照射による架橋なるいは重合乾燥する基を熱可
塑性樹脂の分子中に含有する樹脂としては、次のような
不飽和ポリエステル樹脂がある。 分子鎖中に放射線硬化性不飽和二重結合を含有するポ
リエステル化合物、例えば下記(2)の多塩基酸と多価
アルコールのエステル結合からなる樹脂ポリエステル樹
脂で、多塩基酸の一部をマレイン酸とした放射線硬化性
不飽和二重結合を含有する不飽和ポリエステル樹脂を挙
げることができる。 放射線硬化性不飽和ポリエステル樹脂は、多塩基酸成
分1種以上と、多価アルコール成分1種以上に、マレイ
ン酸、フマル酸等を加え、常法すなわち触媒の存在下
で、180〜200℃、窒素雰囲気下、脱水あるいは脱アルコ
ール反応の後、240〜280℃まで昇温し、0.5〜1mmHgの減
圧下、縮合反応により得ることができる。 マレイン酸やフマル酸等の含有量は、製造時の架橋、
放射線硬化性等から酸成分中1〜40モル%、好ましくは
10〜30モル%である。 放射線硬化性樹脂に変性できる熱可塑性樹脂の例とし
ては、次のようなものを挙げることができる。 (1)塩化ビニール系共重合体 塩化ビニール−酢酸ビニール−ビニールアルコール共
重合体、塩化ビニール−ビニールアルコール共重合体、
塩化ビニール−ビニールアルコール−プロピオン酸ビニ
ール共重合体、塩化ビニール−酢酸ビニール−マレイン
酸共重合体、塩化ビニール−酢酸ビニール−末端OH側鎖
アルキル基共重合体、たとえばUCC社製VROH,VYNC,VYBG
X,VERR,VYES,VMCA,VAGH等が挙げられ、このものに後述
の手法により、アクリル系二重結合、マレイン酸系二重
結合、アクリル系二重結合を導入して、放射線感応変性
を行う。 (2)飽和ポリエステル樹脂 フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、
アジピン酸、セバシン酸、のような飽和多塩基酸と、エ
チレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリ
ン、トリメチロールプロパン、1,2プロピレングリコー
ル、1,3ブタンジオール、ジプロピレングリコール、1,4
ブタンジオール、1,6ヘキサンジオール、ペンタエリス
リット、ソルビトール、グリセリン、ネオペンチルグリ
コール、1,4シクロヘキサンジメタノールのような多価
アルコールとのエステル結合により得られる飽和ポリエ
ステル樹脂、またはこれらのポリエステル樹脂をSONa
等で変性した樹脂(例えばバイロン53S)が例として挙
げられ、これらも同様にして放射線感応変性を行う。 (3)ポリビニルアルコール系樹脂 ポリビニルアルコール、ブチラール樹脂、アセタール
樹脂、ホルマール樹脂およびこれらの成分の共重合体
で、これら樹脂中に含まれる水酸基に対し、後述の手法
により放射線感応変性を行う。 (4)エポキシ系樹脂、フェノキシ系樹脂 ビスフェノールAとエプクロルヒドリン、メチルエピ
クロルヒドリンの反応によるエポキシ樹脂、例えばシェ
ル化学製(エピコート152,154,828,1001,1004,1007)、
ダウケミカル製(DEN431,DER732,DER511,DER331)、大
日本インキ社製(エピクロン400,800)、さらに上記エ
ポキシの高重合度樹脂であるUCC社製フェノキシ樹脂(P
KHA,PKHC,PKHH)、臭素化ビスフェノールAとエピクロ
ルヒドリンの共重合体、大日本インキ化学工業製(エピ
クロン145,152,153,1120)等がある。 これら樹脂中に含まれるエポキシ基を利用して、放射
線感応変性を行う。 (5)遷移素誘導体 各種のものが用いられるが、特に効果的なものは、硝
化綿、セルローズアセトブチレート、エチルセルロー
ズ、ブチルセルローズ、アセチルセルローズ等が好適で
ある。 樹脂中の水酸基を利用して後述の方法により放射線感
応変性を行う。 その他、放射線感応変性に用いることのできる樹脂と
しては、多官能ポリエステル樹脂、ポリエーテルエステ
ル樹脂、ポリビニルポロリドン樹脂および誘導体(PVP
オレフィン共重合体)、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹
脂、フェノール樹脂、スピロアセタール樹脂、水酸基を
含有するアクリルエステル、およびメタクリエステルを
重合成分として、少なくとも1種含むアクリル系樹脂等
も有効である。 本発明で用いる(B)の高分子化合物は、熱可塑性エ
ラストラーもしくはプレポリマー、またはこれらを放射
線感応変性したものであり、後者の場合は、より効果的
である。 以下にエラストマーもしくはプレポリマーの例を挙げ
る。 (1)ポリウレタンエラストマーもしくはプレポリマー ウレタン化合物の例としては、イソシアネートとし
て、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジ
イソシアネート、1,3−キシレンジイソシアネート、1,4
−キシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソ
シアネート、m−フェニレンジイソシアネート、3,3−
ジメチル−4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、
4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3−ジメチ
ルビフェニレンジイソシアネート、4,4−ビフェニレン
ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、
イソフォロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタ
ンジイソシアネート、デスモジュールL、デスモジュー
ルN等の各種多価イソシアネートと、 線状飽和ポリエステル(エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパ
ン、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ペ
ンタエリスリット、ソルビトール、ネオペンチルグリコ
ール、1,4−シクロヘキサンジメチノールのような多価
アルコールと、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル
酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸のような飽和多
塩基酸との縮重合によるもの)、 線状飽和ポリエーテル(ポリエチレングリコール、ポ
リプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコー
ル)やカプロラクタム、ヒドロキシル含有アクリル酸エ
ステル、ヒドロキシ含有メタクリル酸エステル等の各種
ポリエステル類の縮合物よりなるポリウレタンエラスト
マー、プレポリマーが有効である。 これらのウレタンエラストマーの末端のイソシアネー
ト基または水酸基と、アクリル系二重結合またはアクリ
ル系二重結合を有する単量体とを反応させることによ
り、放射線感応性に変性することは非常に効果的であ
る。 (2)アクリロニトリル−ブタジエン共重合エラストマ
ー シンクレアペトロケミカル社製ポリBDリタイッドレジ
ンとして市販されている末端水酸基のあるアクリロニト
リルブタジエン共重合体プレポリマー、あるいは日本ゼ
オン社製ハイカー1432J等のエラストマーは、特にブタ
ジエン中の二重結合が放射線によりラジカルを生じ、架
橋および重合させるエラストマー成分として適する。 (3)ポリブタジエンエラストマー シンクレアペトロケミカル社製ポリBDリタイッドレジ
ンR−15等の低分子量末端水酸基を有するプレポリマー
が、特に熱可塑性との相溶性の点で好適である。 R−15プレポリマーにおいては、分子末端が水酸基と
なっているため、分子末端にアクリル系不飽和二重結合
を付加することにより放射線感応を高めることが可能で
あり、バインダーとしてさらに有利となる。 また、ポリブタジエンの環化物、日本合成ゴム製CBR
−M901も熱可塑性樹脂との組合わせにより、すぐれた性
質を有している。 その他、熱可塑性エラストマーおよびこのプレポリマ
ーの系で好適なものとしては、スチレン−ブタジエンゴ
ム、塩化ゴム、アクリルゴム、イソプレンゴム、および
その環化物(日本合成ゴム製CIR701)があり、エポキシ
変性ゴム、内部可塑化飽和線状ポリエステル(東洋紡バ
イロン#300)等のエラストマーも下記に述べる放射線
感応変性処理を施すことにより有効に利用できる。 本発明で用いられる(C)放射線硬化性不飽和二重結
合を有する化合物としては、スチレン、エチルアクリレ
ート、エチレングリコールジアクリレート、エチレング
リコールジメタクリレート、ジエチレングリコールアク
リレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,
6−ヘキサングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサン
グリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパン
トリメタクリレート、多官能オリゴエステルアクリレー
ト(アロニックスM−7100、東亜合成)、ウレタンエラ
ストマー(ニッポラン4040)のアクリル変性体、あるい
はこれらのものにCOOH等の官能基が導入されたもの等が
挙げられる。 次に、放射線可能性バインダー合成例を説明する。 a)塩化ビニール酢酸ビニール共重合系樹脂のアクリル
変性体(放射線感応変性樹脂)の合成 OH基を有する一部ケン化塩ビ−酢ビ共重合体(平均重
合度 n=500)750部とトルエン1250部、シクロヘキサ
ン500部を51の4つ口フラスコに仕込み、加熱溶解し、8
0℃昇温後トリレンジイソシアネートの2−ヒドロキシ
エチルメタクリレートアダクト※を61.4部加え、さらに
オクチル酸スズ0.012部、ハイドロキノン0.012部を加
え、80℃でN気流中、NCO反応率が90%となるまで
反応せしめる。 反応終了後冷却し、メチルエチルケトン1250分を加え
希釈する。
【※トリレンジイソシアネート(TDI)の2−ヒドロ
キシエチルメタクリレート(2HEMA)アダクトの製
法 TDI348部をN気流中11の4つ口フラスコ内で80℃
で加熱後、2−エチレンメタクリレート260部、オクチ
ル酸スズ0.07部、ハイドロキノン0.05部を反応缶内の温
度が80〜85℃となるように冷却コントロールしながら滴
下終了後80℃で3時間攪拌し、反応を完結させる。 反応終了後取り出して、冷却後、白色ペースト状のTD
Iの2HEMAを得た】 b)ブラチール樹脂アクリル変性体に合成(放射線感応
変性樹脂) ブチラール樹脂積水化学製BM−S100部をトルエン191.
2部、シクロヘキサノン71.4分と共に51の4つ口フラス
コに仕込み、加熱溶解し、80℃昇温後TDIの2HEMAアダク
ト※を7.4部加え、さらにオクチル酸スズ0.015部,ハイ
ドロキノン0.015部を加え、80℃でN気流中NCO反応
率が90%以上となるまで反応せしめる。 反応終了後冷却し、メチルエチルケトンにて希釈す
る。 c)飽和ポリエステル樹脂アクリル変性体の合成(放射
線感応変性樹脂) 飽和ポリエステル樹脂(東洋紡バイロンRV−200)、1
00部をトルエン116部、メチルエチルケトン116部に加熱
溶解し、80℃昇温後、TDIの2HEMAアダクト※を3.55部加
え、さらにオクチル酸スズ0.007部、ハイドロキノン0.0
07部を加え、80℃でN気流中NCO反応率が90%以上
となるまで反応せしめる。 d)i) エポキシ樹脂アクリル変性体の合成(放射線
感応変性樹脂) エポキシ樹脂(シエル化学製エピコート1007)400部
をトルエン50部、メチルエチルケトン50部に加熱溶解
後、N,N−ジメチルベンジルアミン0.006部、ハイドロキ
ノン0.003部を添加し80℃とし、アクリル酸69部を滴下
し、80℃で酸価5以下となるまで反応せしめる。 ii)フェノキシ樹脂アクリル変性体の合成(放射線感応
変性樹脂) OH基を有するフェノキシ樹脂(PKHH:UCC社製) 分子
量30000)600部、メチルエチルケトン1800部を31の4つ
口フラスコに仕込み、加熱溶解し、80℃昇温後、トリレ
ンジイソシアネートの2ヒドロキシエチルメタクリレー
トアダクトを6.0部加え、さらにオクチル酸スズ0.012
部、ハイドロキノン0.012部を加え、80℃でN気流
中、NCO反応率が90%となるまで反応せしめる。 このフェノキシ変性体の分子量は、35000、1分子当
りの二重結合は1個である。 e)ウレタンエラストマーアクリル変性体の合成(放射
線硬化性エラストマー) 末端イソシアネートのジフェニルメタンジイソシアネ
ート(MDI)系ウレタンプレポリマー(日本ポリウレタ
ン製ニッポラン3119)250部,2HEMA32.5部、ハイドロキ
ノン0.07部、オクチル酸スズ0.009部を反応缶にいれ、8
0℃に加熱溶解後、TDI43.5部を反応缶内の温度が80〜90
℃となるように冷却しながら滴下し、滴下終了後、80℃
で反応率95℃以上となるまで反応せしめる。 f)ポリエーテル系末端ウレタン変性エラストマーアク
リル変性体(放射線硬化性エラストマー)の合成 日本ポリウレタン社製ポリエーテルPTG−500、250
部、2HEMA32.5部、ハイドロキノン0.07部、オクチル酸
スズ0.009部を反応缶にいれ、80℃に加熱溶解後、TDI4
3.5部を反応缶内の温度が80〜90℃となるように冷却し
ながら滴下し、滴下終了後、80℃で反応率95%以上とな
るまで反応せしめる。 g)ポリブタジエンエラストマーアクリル変性体の合成
(放射線硬化性エラストマー) シンクレアペトロケミカル社製低分子量末端水酸基ポ
リブタジエンポリBDリクイットレンジンR−15250部、2
HEMA32.5部、ハイドロキノン0.07部、オクチル酸スズ0.
009部を反応缶にいれ、80℃に加熱溶解後、TDI43.5部を
反応缶内の温度が80〜90℃となるように冷却しながら滴
下し、滴下終了後、80℃で反応率95%以上となるまで反
応せしめる。 高分子には、放射線照射により崩壊するものと分子間
に架橋を起こすものが知られている。 分子間に架橋を起すものとしては、ピリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステ
ル、ポリアクリルアミド、ポリ塩化ビニル、ポリエステ
ル、ポリビニルピロリドンゴム、ポリビニルアルコー
ル、ポリアクロレンがある。 このような架橋型ポリマーであれば、上記のような変
性を特に施さなくても、架橋反応が起こるので、前記変
性体の他に、これらの樹脂はそのまま放射線架橋用バッ
クコート樹脂として使用可能である。 さらにまた、この方法によれば溶剤を使用しない無溶
剤型の樹脂であっても、短時間で硬化することができる
ので、このような樹脂をバックコート用として用いるこ
とができる。 本発明の放射線硬化性樹脂組成物の、特に好ましい組
合わせとしては、 (A)の化合物が一部ケン化した塩化ビニール−酢酸ビ
ニール共重合体、カルボン酸が導入された塩化ビニール
−酢酸ヒニール共重合体、フェノキシ樹脂にポリイソシ
アネート化合物を反応させて得られたイソシアネート基
を有する化合物に、イソシアネート基との反応性を有す
る官能基をもつアクリル化合物、あるいはメタクリル化
合物を反応させてなる化合物であり、 (B)の化合物がポリオールにイソシアネート化合物を
反応させて得られた、イソシアネート化合物またはポリ
オール(ポリウレタンエラストマー)に、反応性を有す
る官能基をもつアクリル化合物あるいはメタクリル化合
物を反応させてなる化合物であり、 (C)が多官能(メタ)クリレートモノマー、オリゴエ
ステルアクリレート、または(B)の低分子量化合物と
いうものである。 このようなバックコート層の膜厚は0.2〜2.5μmであ
り、より好ましくは0.3〜1.5μm程度とされる。膜厚が
0.2μm未満であると充分な走行安定性が得られなくな
り、また2.5μmをこえるとバックコート層のケズレが
発生するからである。 なお、バックコート層には、上述したような顔料、有
機バインダーの他に、必要に応じて潤滑剤等の種々の公
知の添加剤を含有させてもよい。 塗布溶剤としては、MEK、シクロヘキサノン、MIBK等
のケトン系、IPA等のアルコール系、トルエン等の芳香
族系、ジクロロエタン等のハロゲン系などが用いられ
る。 使用に際しては、これらの1種類を単独で用り、いず
れでもよい。 潤滑剤としては(分散剤をも含めて)、従来この種の
バックコート層に用いられる種類のものはいずれも用い
ることができるが、 カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン
酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアロ
ール酸等の炭素数12以上の脂肪酸(RCOOH、Rは炭素数1
1以上のアルキル基); 前記の脂肪酸のアルカリ金属(Li,Na,K等)またはア
ルカリ土類金属(Mg,Ca,Ba等)からなる金属石鹸; レシチン等が使用される。 この他に、炭素数12以上の高級アルコール、およびこ
れらの硫酸エステル、界面活性剤、チタンカップリング
剤、シランカップリング剤等も使用可能である。 これらの潤滑剤(分散剤)はバインダー100重量部に
対して1〜20重量部の範囲で添加される。 潤滑剤としては、上記の他にシリコンオイル、グラフ
ァイト、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、炭素
数12〜16個の一塩基性脂肪酸と炭素数3〜12個の一価の
アルコールからなる脂肪酸エステル類、炭素数17個以上
の一塩基性脂肪酸とこの脂肪酸の炭素数と合計して、炭
素数が21〜23個よりなる一価のアルコールとからなる脂
肪酸エステル等が使用される。 これらの潤滑剤はバインダー100重量部に対して0.2〜
20重量部の範囲で添加される。 また、その他の添加剤としては、この種のバックコー
トに用いるものは何にでも用いることができるが 例えば、帯電防止剤として、 サポニンなどの天然界面活性剤; アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール
系などのノニオン界面活性剤; 高級アルキルアミン類、第4級アンモニウム塩類、ピリ
ジンその他の複素環類、ホスホニウムまたはスルホニウ
ム類などのカチオン界面活性剤; カルボン酸、スルホン酸、リン酸、硫酸エステル基、リ
ン酸エステル基等の酸性基を含むアニオン界面活性剤; アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコール
の硫酸またはリン酸エステル類等の両性活性剤などが使
用される。 また、本発明のバックコート層あるいは後述するトッ
プコート層に含まれる潤滑剤、酸化防止剤等としては放
射線硬化型のものが好ましい。 このような場合、その架橋に使用する活性エネルギー
線としては、放射線加速器を線源とした電子線、Co60を
線源としたγ−線、Sr90を線源としたβ−線、X線発生
機を線源としたX線、あるいは紫外線が使用される。 特に照射線源としては、吸収線量の制御、製造工程ラ
インへの導入、電離放射線の遮断等の見地から、放射線
加熱器により放射線を使用する方法が有利である。 上記のバックコート層および下記のトップコート層を
硬化する際に使用する放射線特性としては、透過力の面
から加速電圧100〜750kv、好ましくは150〜300kvの放射
線加速器を用い、吸収線量を0.5〜20メガラドになるよ
うに照射するのが好都合である。 本発明の放射線硬化に際しては、米国エナジーサイエ
ンス社にて製造されている低線量タイプの放射線加速器
(エレクトロカーテンシステム)等がテープコーティン
グ加工ラインへの導入、加速器内部の2次X線の遮断等
に極めて有利である。 また、従来より放射線加速材として広く活用されてい
るところのファンデグラフ型加速器を使用してもよい。 また、放射線架橋に際しては、N2ガス、Heガス等の不
活性ガス気流中で放射線をバックコート層、トップコー
ト層に照射することが重要であり、空気中で放射線を照
射することは、バインダー成分の架橋に際し、放射線照
射による生じたO3等の影響でポリマー中に生じたラジカ
ルが有利に架橋反応に働くことを阻害するので、極めて
不利である。 したがって、活性エネルギー線を照射する部分の雰囲
気は、特に酸素濃度が最大で5%であるN2、He、CO2
の不活性ガス雰囲気に保つことが重要となる。 また、バックコート層が設けられる裏地層の表面に
は、接着強度を向上させる目的でプラズマ処理を施すこ
とが好ましい。このようなプラズマ処理は通常、無機ガ
スを処理ガスとして行われ、これらの処理ガスの中では
特にO、N、Hとを含む処理ガスを用いるのが好まし
い。 プラズマ処理の周波数については特に制限はないが、
より好ましくは10KHz〜200KHzの周波数で行うのが好適
である。 このようなプラズマ処理によって裏地層とバックコー
ト層の接着強度は格段と向上する。 なお、裏地層を設ける前にプラスチックフィルム上に
プラズマ処理を施すこともできる。 さらにこのような本発明の媒体は、3.0×10-3〜1.2×
10-2g・cm、より好ましくは3.5×10-3〜1.0×10-2g・c
m、さらに最も好ましくは3.5×10-3〜8×10-3g・cmの
曲げ剛性値EIをもつ。 EIは、下記のように測定される。 測定は、ループ押込みによるy方向荷重と直径変化に
よる。 測定にあたって、まず本発明の媒体により、長さ31.4
mm×幅8mmのリボン状の試験片10を切り出す。次いで平
板状プレート75上の所定位置に第1図(a)に示すよう
に、両面テープ20を貼り、この後、磁性面を上側にし
て、上記試験片10の一端を上記両面テープ20上に貼り、
さらに第1図(b)、(c)のように、図で時計回りに
試験片10を曲げ、最後に試験片の他端を上記一端につき
合わせるようにして上記両面テープ20上に貼り合せて、
半径a、幅bの輪を作る。両面テープの貼り合せの際、
両面テープは1mm以下程度にカットしたものを使用し、
貼り合せの影響をできるだけ最小限におさえた。この場
合、aは5mmとなる。なお、EIは、a、bの値により変
動するが、aは2〜5mm、bは3〜8mmの間で固定するも
のとする。 この輪状試験片10を、第1図(d)、(e)に示すよ
うに、平板状プレート71,75間にはさみ、一定のスピー
ド、特に5mm/minで圧縮し、変位d=0.2πaを生じたと
きの荷重曲げ剛性EIを算出する。 なお、EIは、一般に、磁性層塗布前のロールに巻かれ
たプラスチックフィルムの長手方向と幅方向とで異なる
ものであり通常、長手方向で最大となる。そして、この
EIはテープ長手方向の値である。 このようなEIが3×10-3g・cm未満になると、走行安
定性が低下し、ヘッドタッチ不良が生じ、出力低下やエ
ンベロープ不良が生じる。また、エッヂ折れ、片伸び等
のテープダメージが生じる。そして走行ナキや、ジッタ
ーや保存によるスキューが増大する。 他方、EIが1.2×10-2g・cmをこえると、走行によっ
て、磁性層のクラッチや磁性面ケズレが生じる。また、
ヘッド摩耗量が増大する。そして、ドロップアウトが増
加する。 なお、上記の先行技術としての諸公報には、上記本発
明の曲げ剛性値に合致するものはない。わずかに、これ
に近いものとして特開昭56−16939号に実施例1の試料
3に、複合ヤング率1340kg/mm2、推定曲げ剛性値EI約2.
9g・cmのものが記載されている程度である。 本発明における上記の曲げ剛性値範囲は臨界的なもの
である。 この範囲をはずれると本発明の効果は、後記実施例か
ら明らかなように実現しない。 以上、述べてきたように磁気記録媒体の磁性層の上に
は、さらにトップコート層を設けることが好ましい。 トップコート層の組成としては、公知の種々のものを
用いることができるが、これらのうち特に、脂肪酸エス
テルおよび/または放射線感応不飽和二重結合を有する
基とフッ素置換のアルキル基とを有する化合物を含有さ
せることが好ましい。 トップコート層に含有される脂肪酸エステルは、その
物性として融点−20〜30℃、より好ましくは−10〜25℃
のものを用いるのが好適である。 融点が−20℃未満のものは、高温での潤滑性が得られ
ず、例えば40℃の環境下でヘッド目づまりやハリツキを
生じ、また30℃をこえるものは低温での潤滑性が得られ
ず、例えば0℃環境下ではシリンダーへのハリツキやナ
キを発生するという不都合がある。 そのため、このような物性を有する脂肪酸エステルと
しては、例えば、、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチ
ン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸などの
炭素数4〜24の一塩基性脂肪酸と炭素数1〜12の一価の
飽和アルコールとからなるものであり、この中でも特
に、炭素数6〜20の一塩基性脂肪酸と一価の飽和アルコ
ールとからなる合計の炭素数7〜26の脂肪酸エステル等
が好ましい。 トップコート層中に含有されるこのような脂肪酸エス
テルは、通常1種のものを用いるが、必要に応じて2種
以上を混合して用いてもよい。 以下に−20〜30℃の融点をもつ脂肪酸エステルの具体
例を示す。 E1 ラウリン酸メチル(m.p.=5.0℃) E2 トリカデン酸メチル(m.p=20.5℃) E3 ミリスチン酸メチル(m.p.=18.5℃) E4 ペンタデカン酸メチル(m.p=18.5℃) E5 マルガリン酸メチル(m.p.=29.7℃) E6 オレイン酸メチル(m.p.=19.9℃) E7 リシノール酸メチル(m.p.=−4.5℃) E8 ラウリン酸エチル(m.p.=−1.8℃) E9 トリデカン酸エチル(m.p.=−4.8℃) E10 ミリスチン酸エチル(m.p.=12.3℃) E11 ペンタデカン酸エチル(m.p.=14.0℃) E12 パルミチン酸エチル(m.p.=25.0℃) E13 マルガリン酸エチル(m.p.=25.7℃) E14 カプロン酸ドデシル(m.p.=−4.6℃) E15 ラウリン酸ブチル(m.p.=−4.8℃) E16 ラウリン酸ヘプチル(m.p.=−2.0℃) E17 ラウリン酸ドデシル(m.p.=21.0℃) E18 ミリスチン酸ブチル(m.p.=1.0℃) E19 パルミチン酸プロピル(m.p.=20.4℃) E20 パルミチン酸ブチル(m.p.=18.3℃) E21 パルミチン酸アミル(m.p.=19.4℃) E22 パルミチン酸オクチル(m.p.=22.5℃) E23 パルミチン酸デシル(m.p.=30.0℃) E24 ステアリン酸ブチル(m.p.=27.5℃) E25 ステアリン酸アミル(m.p.=30.0℃) E26 ミリスチン酸イソプロピル(m.p.=9.0℃) E27 パルミチン酸イソプロピル(m.p.=15.0℃) E28 カプリン酸メチル(m.p.=−18℃) E29 カプリン酸エチル(m.p.=−19.9℃) E30 ウンデカン酸エチル(m.p.=−14.7℃) E31 カプロン酸ウンデシル(m.p.=−10.5℃) E32 カプリン酸ヘプチル(m.p.=−10.2℃) E33 カプリル酸オクチル(m.p.=−15.1℃) E34 カプリン酸ブチル(m.p.=−20.0℃) さらにトップコート層中には、放射線感応不飽和二重
結合を有する基と、フッ素置換のアルキル基とを有する
化合物を含有させることが好ましい。 この場合、放射線感応不飽和二重結合を有する基とし
ては、CH2=CR2−CO−で示される基(R2は水素原子また
はアルキル基を表わす)が好ましい。 また、フッ素置換のアルキル基としては、炭素原子数
2〜20のアルキル基であって、その複数の水素原子がフ
ッ素原子によって置換されたものである。そして、これ
らのうち、特にCnF2n+1−で示されるもの(nは2〜20
の整数である)が好ましい。 このような化合物としては、特に下記の式(I)また
は(II)で示される化合物が好ましい。 {上記式(I)および(II)において、R1はフッ素置換
のアルキル基、L1およびL2はそれぞれ2価の連結基、R2
は水素原子またはアルキル基を表わし、mは1または2
である。} 上記(I)および(II)において、 R1は、好ましくは炭素数2〜20のフッ素置換のアルキ
ル基を表わし、特に、CnF2n+1−で示される基(nは2
〜20の整数)が好ましく、例えば、C4F9、C5F11、C
6F13、C7F15、C8F17、C9F19、C10F21等が好適である。 L1およびL2は、それぞれ置換または非置換のアルキレ
ン基、またはアリーレン基、あるいはこれらと結合した
基、あるいはこれらと、−O−、−S−、−SO2−、−C
O−、−COO−、−OCO−、それぞれ置換または非置換の
−NH−、−SO2NH−、−NHSO2−、−CONH−、−NHCO−等
が結合した基が好ましい。これらのうちでは、特に炭素
原子数1〜4の非置換のアルキレン基等が好適である。 なお、これらのL1とL2は同一でも異なっていてもよ
い。 またL1、L2は、さらに他の置換基、例えばアルキル
基、アリール基、ヒドロキシ基、さらにはCH2=CR2COO
−L1−基等で置換されていてもよい。 R2は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表わ
し、特に、水素原子、メチル基が好適である。 また、mは1または2である。 以下に式(I)および式(II)で表わされる化合物の
具体例を挙げる。 このような化合物は公知の方法を用いて容易に製造す
ることができる。 一例を挙げるならば、式(I)および式(II)中のR1
としてCnF2n+1基を有するハロゲン化化合物、例えばC8C
17−C2H4Iを水と反応させて対応するアルコール、例え
ばC8F17−C2H4−OHを作る。強酸を触媒として用いこの
アルコールを不飽和酸、例えばアクリル酸を縮合反応さ
せて所望の化合物、例えば を得ることができる。 このような式(I)および式(II)で表わされる化合
物は、式(I)もしくは式(II)の化合物の1種のみを
用いてもよく、その2種以上を適当に混合して用いても
よく、その総含有量は脂肪酸エステル100重量部に対し
て、200重量部以下、より好ましくは10〜100重量部とさ
れる。このような範囲をはずれると目づまり、ハリツ
キ、ジッターの増加等の不都合がある。 本発明のトップコート層は、放射線感応不飽和二重結
合を有する化合物を使用することによって磁性層との接
着力が向上し、このため耐久性が向上する。好ましくは
活性化エネルギー線を照射して架橋反応を行わせること
によって、トップコート層は磁性層と迅速に結合し、耐
久性がさらに向上する。また、本発明のトップコート層
は例えば、CnF2n+1(nは2〜20の間の整数である)等
で表わされるフッ素置換のアルキル基を有する化合物を
用いることによって特に優れた走行安定性を有する。 放射線感応性化合物におけるCnF2n+1のnが20をこえ
るとトップコート層の磁性層への総合力が弱くなり、ま
たnが2未満になると潤滑性が著しく低下するため好ま
しくない。 さらに、本発明のトップコート層は、放射線感応不飽
和二重結合と例えばCnF2n+1等で表わされるフッ素置換
のアルキル基の両方を有する化合物を使用することによ
り、走行性はきわめて向上し、ケズレやヘッドの目づま
りが生じない。 このような組成成分を含有するトップコート層は通常
グラビアコート、リバースロールコート、エアーナイフ
コート、エアードクターコート等を用いて設層され、上
述したように放射線加速器を線源とした電子線、Co60を
線源としたγ−線、Sr90を線源としたβ−線、X線発生
器を線源としたX線あるいは紫外線等の活性化エネルギ
ー線を照射して硬化させられる。照射量は、0.5〜20Mra
dの範囲が好ましい。 塗布溶剤としては、前述したバックコート層の場合と
同様にMEK、シクロヘキサノン、MIBK等のケトン系、IPA
等のアルコール系、トルエン等の芳香族系、ジクロロエ
タン等のハロゲン系などが用いられる。 使用に際しては、これらの1種類を単独で用いたり、
あるいは2種類以上を混合して用いたり、いずれでもよ
い。 本発明のトップコート層には、必要に応じてさらに公
知の種々の潤滑剤、酸化防止剤、硬化剤等を含有しても
よい。 潤滑剤としては従来この種の磁気記録媒体に用いられ
ている潤滑剤、例えばシリコーンオイル、フッ素オイ
ル、アルコール、脂肪酸、パラフィン、流動パラフィ
ン、界面活性剤等を用いることができるが、特に脂肪酸
が好ましい。 脂肪酸としては炭素数12以上の脂肪酸(RCOOH、Rは
炭素数11以上のアルキル基)、例えばカプリル酸、カプ
リン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ス
テアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エライジン酸、リ
ノール酸、リノレン酸、ステアロール酸等が好ましい。 シリコーンオイルとしては脂肪酸変性によりなるも
の、一部フッ素変性されているものが使用される。アル
コールとしては高級アルコールよりなるもの、フッ素オ
イルとしては電解置換、テロメリゼーション、オリゴメ
リゼーション等によって得られるものが使用される。 さらに、潤滑剤として放射線硬化型のものを好適に用
いることができる。放射線硬化型潤滑剤を使用した場
合、潤滑剤の裏型転写が抑えられ、これにより、ドロッ
プアウトの防止、ロール状に巻かれたときの内外径の個
所による出力の差の現象の他、オンライン上での製造が
可能である等の利点が生ずる。 放射線硬化型潤滑剤としては、滑性を示す分子鎖とア
クリル系二重結合とを分子中に有する化合物、例えばア
クリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニル酢酸
エステル、アクリル酸アミド系化合物、ビニルアルコー
ルエステル、メチルビニルアルコールエステル、アリル
アルコールエステル、グリセライド等があり、これらの
潤滑剤を構造式で表すと、 CH2=CHCOOR、 CH2=CH−CH2COOR、 CH2=CHCONHCH2OCOR、 RCOOCH=CH2RCOOCH2−CH=CH2等(ここで、Rは直鎖または分枝状の
飽和もしくは不飽和炭化水素基で、炭素数は7以上、好
ましくは12以上23以下であり、これらはフッ素置換体と
することもできる)である。 これら放射線硬化型潤滑剤の好ましい具体例として
は、ステアリン酸メタクリレート(アクリレート)、ス
テアリルアルコールのメタクリレート(アクリレー
ト)、グリセリンのメタクリレート(アクリレート)、
グリコールのメタクリレート(アクリレー)、シリコー
ンのメタクリレート(アクリレート)等を挙げることが
できる。 本発明のトップコート層に用いる放射線硬化型添加剤
の架橋に使用する活性エネルギー線としては、放射線加
速器を線源とした電子線、Co60をとしたγ−線、Sr90を
線源としたβ−線、X線発生器を線源としたX線あるい
は紫外線等を挙げることができる。特に照射線源として
は吸収線量の制御、製造工程ラインへの導入、電離放射
線の遮蔽等の見地から放射線加速器により発生される放
射線を使用する方法が有利である。 本発明においてトップコート層の厚さは5〜200Åが
好ましい。あまり厚すぎると電特が低下したり、ケズラ
レたりする。また、あまり薄すぎると目づまりが発生す
る。トップコートなしの磁性層の表面粗度は100Å以下
が好ましいため、この上にトップコート層を形成する場
合、あまり厚すぎるとケズレを生ずることがわかった。
あまり少なすぎるとトップコート層の吸着が弱すぎ、目
づまりを発生することが予想される。このようなことは
本発明ではじめて判明したものである。特に好ましい範
囲としては10〜100Åである。 本発明のトップコートを形成する際に、上述したよう
にさらに通常用いられる酸化防止剤、硬化剤等を通常用
いられる量で加えることができる。 本発明において硬化剤を用いる場合、硬化剤としては
放射線硬化型モノマーおよびオリゴマーが適している。
放射線硬化型モノマーとしては分子量2,000未満の化合
物が、オリゴマーとしては分子量500〜10,000のものが
用いられる。これらはスチレン、エチルアクリレート、
エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコー
ルジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレ
ート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6−
ヘキサンングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサン
グリコールジメタクリレート等を包含し、特に好ましく
は以下を包含する:N−ビニルピロリドン、ペンタエリス
リトールテトラアクリレート(メタクリレート)、ペン
タエリスリトールトリアクリレート(メタクリレー
ト)、トリメチロールプロパントリアクリレート(メタ
クリレート)、トリメチロールプロパンジアクリレート
(メタクリレート)、多官能オリゴエステルアクリレー
ト(東亜合成(株)製アロニックスM−7100、M−540
0、5500、5700等)ウレタンエラストマー(ニッポラン4
040)のアクリル変性体、あるいはこれらのものにCOOH
等の官能基が導入されたもの、フェノールエチレンオキ
シド付加物アクリレート(メタクリレート)、下記一般
式で示されるペンタエリスリトール縮合環にアクリル基
(メタクリル基)またはε−カプロラクトン−アクリル
基のついた化合物: および下記一般式で示される 特殊アクリレート類: (CH2=CHCOOH2−CCH2OH; (CH2=CHCOOH2−CCH2CH3; CH2=CHCOO−(CH2CH2O)−COCH=CH2; 放射線硬化型オリゴマーの例としては、下記一般式で
示される多官能オリゴエステルアクリレートやウレタン
エラストマーのアクリル変性体あるいはこれらのものに
COOH等の官能基が導入されたもの等を挙げることができ
る: 本発明においてトップコート層に潤滑剤、酸化防止
剤、硬化剤等を添加する場合、これらの合計重量は、式
(I)および式(II)で表わされるように放射線感応不
飽和二重結合を1個以上有し、かつフッ素置換のアルキ
ル基を有する化合物の総重量の10倍以内になるようにす
るのが好ましい。また、酸化防止剤の重量は、潤滑剤+
硬化剤の重量をこえないことが好ましい。 このようなトップコート層を有する本発明の磁気記録
媒体においても前述の場合と同様な曲げ剛性値を持つ。 すなわち、その値は3.0×10-3〜1.2×10-2g・cm、よ
り好ましくは3.5×10-3〜1.0×10-2g・cm、さらにより
好ましくは3.5×10-3〜8×10-3g・cmであり、その測定
方法、数値限定の理由なども前述の場合と同様である。 なお、プラスチックフィルム上には各種下地処理を施
したり、プラスチックフィルムと磁性層ないし裏地層間
にはさらに下地層を形成することもできる。 V 発明の具体的作用効果 本発明によれば、曲げ剛性EIを所定の範囲に規制し、
しかも、所定のバックコート層あるいは所定のバックコ
ート層とトップコート層を設けることにより、種々の環
境において、走行安定性がきわめて高く、ヘッドタッチ
が良好で、出力低下やエンベロープ不良がきわめて少な
い。また、エッヂ折れや片伸び等のテープダメージの発
生もきわめて少ない。そして、走行ナキやジッターや保
存によるスキューの発生はきわめて小さい。 また、走行による磁性層のクラッチや磁性面のケズレ
の発生がきわめて少なく、ヘッド摩耗量もきわめて少な
い。そして、ドロップアウトの発生もきわめて少ない。 さらに本発明においては、製造上、連続硬化が可能で
あり、硬化時間も短く、巻きしまりによる裏型転写がな
いので、ドロップアウトが防止でき、その上、放射線硬
化およびトップコート処理がオンライン上で処理できる
ので、省エネルギー対策、製造時の人員の減少にも役立
ち、コストの低減にもつながる。 特性面では熱硬化時の巻きしまりによるドロップアウ
トの外に、ロール状に巻かれたときの内外径の箇所の圧
力のちがいにより、磁気テープの長さ方向の距離による
出力差が生じることもなくなる。 VI 発明の具体的実施例 以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明をさらに
詳細に説明する。 実施例1 下記表1に示す厚さのポリエステル(PET)フィルム
を円筒状の冷却キャンの周面に沿わせて移動させ、O2
Ar(容積比1:1)を毎分800ccの速さで流し真空度を1.0
×10-4Torrとしたチャンバー内で、Co80、Ni20(重量
比)よりなる合金を溶融し、入射角90゜〜30゜の部分の
み斜め蒸着し、膜厚0.15μmのCo−Ni−O薄膜を形成し
た。 酸素はベースとの界面およびベースと反対側の表面に
多く偏在していた。またベースと反対側の表面はほぼ酸
化物のみで覆われていた。 Hc=1000Oe。膜中の平均酸素量はCoとNiに対する原子
で40%であった。 このフィルムの裏面に、真空蒸着により、下記表1に
示される厚さのAl裏地層を形成した。 さらに、このAl裏地層の表面をプラズマ処理した後、
下記に示すようなバックコート層を設層した。なおプラ
ズマ処理条件は、処理ガスをO2ガスとし、ガス流量100m
l/分、真空度0.5Torr、電源50KHz、200W、フィルム走行
速度30m/分とした。 またさらに必要に応じて、磁性層上に下記に示すよう
なトップコート層を設層した。なおこれらの設層厚さは
表1に示すとおりとした。 (1)バックコート層の形成バックコート層1 重量部 カーボンブラック30mμm 50 (A)アクリル変性塩ビ−酢ビ−ビニルアルコール共重
合体 分子量45,000 50 (B)アクリル変性ポリウレタンエラストマー 分子量5,000 50 ステアリン酸 5 混合溶剤(MIBK/トルエン=1/1) 300 上記混合物をボールミル中5時間分散させ、プラズマ
処理が施された裏地層上に乾燥厚1μmになるように塗
布し、エレクトロカーテンタイプ電子線加速装置を用い
て加速電圧150KeV、電極電流10mA、吸収線量5Mrad、N2
ガス中で電子線をバックコート層に照射した。バックコート層2 重量部 硫化亜鉛50mμm 30 カーボンブラック25mμm 25 アクリル変性塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコー
ル共重合体分子量30,000 40 アクリル変性ポリウレタンエラストマー分子量20,00040 多官能アクリレート分子量20,000 20 オレイン酸 4 ミリスチン酸変性シリコーン 2 混合溶剤(MIBK/トルエン) 250 これらをバックコート層1と同様に処理、製造した。バックコート層3 重量部 CaCO3 80mμm 25 アクリル変性塩ビ−酢ビ−ビニルアルコール共重合体分
子量30,000 30 アクリル変性ポリウレタンエラストマー 分子量50,000 30 アクリル変性フェノキシ樹脂分子量35,000 20 多官能アクリレート分子量500 20 ステアリン酸 4 フッ素(電解置換法) 0.5 溶剤(MEK/トルエン=1/1) 300 これらを上記と同様に処理、製造した。バックコート層4 バックコート層1の放射線硬化型のバインダーを熱硬
化型のバインダーにかえた以外はバックコート層1と同
様にした。 すなわち、アクリル変性塩ビ−酢ビ−ビニルアルコー
ル共重合体、アクリル変性ポリウレタンエラストマー計
100重量部を、塩ビ−酢ビ−ビニルアルゴール共重合体
(ユニオンカーバイド社製VAGH)50重量部とウレタン
(日本ポリウレタン社ニッポラン302)50重量部とにか
えた。ただし、この場合、イソシアネート化合物(日本
ポリウレタン社製コロネートL)を5重量部(固型分換
算)加えた。 また、表面平滑後、80℃で48時間熱硬化を行った。 (2)トップコート層の形成 以下に示すような組成物を磁性層上に設層した。トップコート層1 重量部 F−3(上記具体例中の化合物) 0.2 MEK 40 MIBK 60 を常温で1時間撹拌混合し、生成した混合物を上記の磁
性層表面に均一な厚さになるようにグラビア塗布を行い
100℃で1分間乾燥した後に、N2ガス中150KeV、6mA、3M
radの条件で電子線照射し、層厚み25Åのトップコート
層を形成した。トップコート層2 重量部 E−21(上記の具体例中の脂肪酸エステルm.p=19.4
℃) 0.8 シクロヘキサノン 10 トルエン 90 を用い、電子線照射を除いてトップコート層1の場合と
同様に形成した。トップコート層3 重量部 E−26(上記の具体例中の脂肪酸エステルm.p=9.0℃)
0.5 F−2(上記の具体例中の化合物) 0.3 MEK 30 シクロヘキサノン 70 を用い、トップコート1の場合と同様にして形成した。 このようにして形成した下記表1に示す各サンプルに
つき、下記の測定を行った。 1)EI(g・cm) テープ長手方向のEIを上記の押し込み法で測定した。 なお、サンプルは、長さ31.4mm、幅b8mmとし、aを5m
mとした。試験機はスティフネステスター(横浜システ
ム研究(株)製 型番:SFT−700 SD型 引張試験機)
を用いた。 2)出力(dB) 中心周波数5MHzの出力を測定し、サンプルNo.1を+3d
Bとしたときの値を求めた。 3)出力変動(%) 2)の出力の最大値を100%としたときの最小値を%
で表示した。 4)エンベロープ変動(%) 各サンプルにおけるエンベロープ幅の最大値を100%
としたときの最小値を%で表示した。 5)ドロップアウト(個/分) 6)ヘッド摩耗(μm) ソニー(株)製Video8にて100時間連続走行後のヘッ
ドの摩耗量を5回の測定を行い平均した。 7)走行ナキ 前記ヘッド摩耗の測定時に走行ナキの有無を確認し
た。 8)ジッター(μsec) 前記ヘッド摩耗測定時に用いたデッキにジッターメー
ターを接続して測定した。 9)保存スキュー(μsec) 60℃相対湿度80%にて7日間保存したのち、前記デッ
キを用いて測定した。 10)テープダメージ 100時間連続走行後のテープ走行面を光学顕微鏡(×4
00)にて観察した。 これらの結果を表1に示す。 表1に示される結果より、本発明の効果が明らかであ
る。 すなわち、本発明のサンプル(No.1〜3、No.8〜13、
No.18)および比較サンプル(No.16〜17、No.19〜20)
の表1に示された測定値を比較した場合、比較サンプル
No.16(裏地層を設けないもの)および比較サンプルNo.
19(裏地層、バックコート層、トップコート層を設けな
いもの)では各測定項目のすべてにおいて良好な測定値
は得られない。 また、サンプルNo.18と比較サンプルNo.17、20(バッ
クコート層を設けないもの)とを比較すれば、本発明に
従い、各特性が向上していることがわかる。 すなわち、本発明のサンプル(No.1〜3、No.8〜13、
No.18)においては、すべての測定項目についてバラン
スのよい良好な結果が得られている。 なお、本発明においては、EI値の設定が最適であるか
否かが、各測定値の良否に大きな影響をおよぼし、重要
なファクターとなる。 従って、本発明のサンプルであっても、EI値の好適範
囲の上限(例えば、サンプルNo.1)および下限(例えば
サンプルNo.2)では、わずかであるがテープダメージが
発生しているし、また、上述した比較のサンプルにおい
てEI値が最適値であれば、(例えば、サンプルNo.17、2
0)すべての測定項目をクリアーできないまでも、ある
程度の良好な結果が得られている。 なお、本発明のEI値の好適範囲をはずれると(サンプ
ルNo.4、No.5)、ほぼすべての測定項目について良好な
結果は得られない。 また、バックコート層もしくはトップコート層の膜厚
が好適範囲をこえると(サンプルNo.6〜No.7、No.14〜N
o.15)出力、出力変動、エンベロープ変動、ドロップア
ウト、ヘッド摩耗、テープダメージ等の問題が発生す
る。 なお、熱硬化型のバインダーを用いたバックコート層
を設層したサンプル(サンプルNo.21)では、ロール巻
きとり時の巻きしまりによる磁性層のダメージが大き
く、放射線硬化型のバインダーを用いた本発明の場合と
比べて、ドロップアウトの発生はきわめて多いものであ
った。
【図面の簡単な説明】
第1図は、曲げ剛性値の測定法を説明するための概略図
である。

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】厚さ10μm以下のプラスチックフィルムの
    一方の面上に、強磁性金属薄膜の磁性層を有し、他方の
    面上に裏地層を有し、この裏地層の上に顔料と放射線硬
    化系樹脂のバインダーとを含有するバックコート層を有
    し、そして、媒体の曲げ剛性値EIを下記式により算出し
    たときにEIが3.0×10-3〜1.2×10-2g・cmであることを
    特徴とする磁気記録媒体。 式 (ここに、a=2〜5mm、b=3〜8mmである。また、W
    は、媒体を裁断して作製した半径acm、幅bcmの輪状試験
    片に対し、径方向変位d=0.2πaを生じる荷重であ
    る。)
  2. 【請求項2】裏地層の厚さが0.05〜1.5μmである特許
    請求の範囲第1項に記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】バックコート層の厚さが0.2〜2.5μmであ
    る特許請求の範囲第1項または第2項のいずれかに記載
    の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】裏地層が金属ないしその酸化物薄膜である
    特許請求の範囲第1項ないし第3項のいずれかに記載の
    磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】厚さ10μm以下のプラスチックフィルムの
    一方の面状に、強磁性金属薄膜の磁性層を有し、さらに
    この磁性層上にトップコート層を有し、プラスチックフ
    ィルムの他方の面上に裏地層を有し、この裏地層の上に
    顔料と放射線硬化系樹脂のバインダーとを含有するバッ
    クコート層を有し、そして、媒体の曲げ剛性値EIを下記
    式により算出したときEIが3.0×10-3〜1.2×10-2g・cm
    であることを特徴とする磁気記録媒体。 式 (ここに、a=2〜5mm、b=3〜8mmである。また、W
    は、媒体を裁断して作製した半径acm、幅bcmの輪状試験
    片に対し、径方向変位d=0.2πaを生じる荷重であ
    る。)
  6. 【請求項6】トップコート層が放射線感応不飽和二重結
    合を有しかつフッ素置換のアルキル基を有する化合物を
    含有する特許請求の範囲第5項に記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】トップコート層が脂肪酸エステルを含有す
    る特許請求の範囲第5項に記載の磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】トップコート層が放射線感応不飽和二重結
    合を有しかつフッ素置換のアルキル基を有する化合物と
    脂肪酸エステルとを含有する特許請求の範囲第5項に記
    載の磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】トップコート層の厚さが5〜200Åである
    特許請求の範囲第5項ないし第8項のいずれかに記載の
    磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】裏地層の厚さが0.05〜1.5μmである特
    許請求の範囲第5項ないし第9項のいずれかに記載の磁
    気記録媒体。
  11. 【請求項11】バックコート層の厚さが0.2〜2.5μmで
    ある特許請求の範囲第5項ないし第10項のいずれかに記
    載の磁気記録媒体。
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