JPH061548B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH061548B2
JPH061548B2 JP59107517A JP10751784A JPH061548B2 JP H061548 B2 JPH061548 B2 JP H061548B2 JP 59107517 A JP59107517 A JP 59107517A JP 10751784 A JP10751784 A JP 10751784A JP H061548 B2 JPH061548 B2 JP H061548B2
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JP
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acid
radiation
resin
magnetic recording
coat layer
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陽一 中山
博之 有岡
正治 西松
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Description

【発明の詳細な説明】 (イ)技術分野 この発明は磁気記録媒体に関し、特に走行安定性、耐久
性等のすぐれた強磁性薄膜を磁気記録層とし、低摩擦で
電磁変換特性のすぐれた磁気記録媒体に関するものであ
る。
(ロ)従来技術及びその問題点 現在、磁気記録媒体は、オーディオ、ビデオ、コンピュ
ーター、磁気ディスク等の分野で広範囲に使用されるよ
うになっており、それに伴い、磁気記録媒体に記録する
情報量も年々増加の一途をたどり、そのため磁気記録媒
体に対しては記録密度の向上が益々要求されるようにな
ってきている。
塗布型の磁気記録媒体より薄型化が容易で飽和磁化も大
きい非バインダー型磁気記録媒体、即ち強磁性薄膜から
なる磁気記録媒体は、腐食、衝撃及び摩擦強度に問題が
あり、磁気信号の記録、再生及び消去の過程で磁気ヘッ
ドとの高速相対運動により摩擦もしくは破壊が生ずるこ
とがある。すなわち電気メッキ、無電解メッキ、スパッ
タリング、真空蒸着、イオンプレーティング等の方法に
よる強磁性薄膜を設けた磁気記録媒体はバインダーを含
まないため、磁気ヘッドとの接触摺動時に摩擦のため磁
気記録層が削りとられるか、破壊され易いものであっ
た。
そのため磁気金属薄膜表面上に潤滑剤を塗布する方法
(特公昭39−25246号公報)があるが、そのよう
な方法では磁気ヘッド等で潤滑剤が拭きとられる等して
潤滑作用が永続的でなく、勿論この方法では防錆効果、
耐久性等の効果は期待すべくもなかった。
又、潤滑作用を継続的に磁気記録層上に供給する手段と
して磁気記録層の反対側の面に液状又は半固体状の潤滑
剤及び有機バインダーを主成分とする潤滑層(バックコ
ート層)を設ける方法(特公昭57−29769号公
報)も提案され、この方法では磁気記録層の裏面ににじ
み出た潤滑剤がロール状に巻かれた際磁気記録層に移
り、磁気記録層の表面に常に潤滑剤を供給でき、磁気記
録層の耐久性(スリキズやハガレの程度)や動摩擦係数
の変化において、すぐれた効果が奏せられるとするもの
であるが、前記方法のバックコート層のみに潤滑剤を含
有させたものでは磁気薄膜と磁気ヘッドとの摩擦レベル
は依然として高く、走行不良をもたらし、又耐腐食、防
錆効果においても未だ充分なものとは言えないものであ
った。
(ハ)問題点を解決するための手段 本発明者等はそれらの欠点を改善すべく、鋭意研究の結
果、強磁性薄膜からなる磁気記録層において、薄膜表面
上にトップコート層を設け、非磁性基剤の他方の面にバ
ックコート層を設けることにより、前記欠点とされてい
た摩擦及び走行性の改善されたすぐれた磁気記録媒体が
得られることを見出したものである。
前記のとおり、特公昭57−29769号公報の潤滑剤
をバックコート層にのみ含有させるものにあっては、摩
擦レベルが高く、走行不良を生ずる。例えば、トップコ
ートをしていない蒸着膜にあっては、バックコート層に
潤滑剤が含まれていると、該潤滑剤が裏型転写され、そ
のため蒸着膜が酸素導入のないもの(酸素不含有物)の
場合の蒸着膜においてはそれほどでもないが、酸素が導
入されたもの(酸素含有物)の場合には膜が不安定な状
態となり、出力ダウンして目づまりをしたり、画像が出
ないか、或いは摩擦抵抗未だ大きく、不十分であり、時
には膜がとれるか或いは壊れてしまうのである。特にス
チール時の測定において、膜がつきぬけて取れてしま
い、目づまりを発生し、大問題となる。
又強磁性薄膜に潤滑剤からなるトップコート層のみを設
ける場合、その効果は永続的なものではなかった。
本発明においては、非磁性基材の一方の面に、強磁性薄
膜からなる磁気記録層、該磁気記録層の表面上に潤滑剤
を含有する電子線硬化型化合物より形成されたトップコ
ート層を、非磁性基材の他方の面に潤滑剤を含有するバ
ックコート層を設けた磁気記録媒体とすることによって
上記の欠点を除くと共に、トップコート層とバックコー
ト層とにおける潤滑剤を同種のものとすることにより、
トップコート層とバックコート層の両者の移行性が大と
なり、その相乗効果で磁気ヘッドとの摩擦が低くなり、
耐久走行性がより向上し、その結果、電特もよくなると
いうものである。
即ち、本発明は非磁性基材の一方の面に、強磁性薄膜か
らなる磁気記録層、該磁気記録層の表面上にトップコー
ト層を、非磁性基材の他方の面にバックコート層を設け
た磁気記録媒体において、トップコート層が電子線硬化
型化合物から形成され、且つトップコート層とバックコ
ート層とにおける潤滑剤が同種のものであることを特徴
とする磁気記録媒体に関するものである。
本発明の強磁性薄膜に用いられる強磁性金属あるいは強
磁性合金としては、鉄、コバルト、ニッケルその他の強
磁性金属あるいはFe−Co,Fe−Ni,Co−N
i,Fe−Rh,Fe−Cu,Fe−Au,Co−C
u,Co−Au,Co−Y,Co−La,Co−Pr,
Co−Gd,Co−Sm,Co−Pt,Ni−Cu,F
e−Co−Nd,Mn−Bi,Mn−Sb,Mn−Al
のような磁性合金を挙げることができる。
強磁性薄膜は非磁性基材、即ちポリエステルフィルム、
ポリアミドフィルム等のプラスチックフィルム、アルミ
板、ステンレス板等の金属板、ガラス板のような無機質
の板等の公知の基材の上に直接あるいは非磁性薄膜層を
介して、上記金属又は合金を真空蒸着、スパッタリン
グ、イオンプレーティング、メッキその他の方法で形成
され得る。
本発明の強磁性薄膜は前記どのような方法によって製造
されたものでも勿論用いることができるが、前記特公昭
57−29769号公報実施例5に記載の真空度5.0
×10−6Torrの真空中で、その幅方向が蒸発源に
対して50°傾斜して蒸着するもの(1)よりも、現在一
般に行なわれているところの、蒸着方法が長手方向に傾
斜(90°〜30°)し、幅方向には傾斜してしないも
ので、雰囲気として、O又はOとArを導入しなが
ら、〜1×10−4Torrで蒸着したもの(2)が好ま
しく用いられる。
前記の(1)の方法で製造された蒸着膜は全面金属状態
(空気中に取り出した後に自然酸化された表面を除け
ば)であるのに対して、(2)の方法の微量の酸素ガスの
存在する真空中で金属又は合金を蒸着するものでは磁性
金属は酸素を含有し、その酸素は金属と固溶せず、酸化
物の状態で存在する。そして、この酸化物の存在が磁気
記録媒体にとっては好ましく、特にベースとの界面及び
ベースと反対側の表面に酸化物が多く存在する場合に、
本発明において良好な特性が得られることが判明した。
又、強磁性金属薄膜への酸素導入法としては前記の酸素
の存在下での蒸着のほかに、酸素の存在しない真空蒸着
での蒸着膜を、例えば90℃、20%RH等の雰囲気中
で強制酸化し、そのベースと反対側の表面を酸化物のみ
とすることもできる。酸素を含有する強磁性薄膜の酸素
の含有量は で3〜60%である。
本発明で用いられる潤滑剤としては従来この種磁気記録
媒体に用いられる潤滑剤としてシリコンオイル、弗素オ
イル、脂肪酸、脂肪酸エステル、パラフィン、流動パラ
フィン、界面活性剤等を用いることができるが、脂肪酸
および/又は脂肪酸エステルを用いるのが好ましい。
脂肪酸としてはカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、
ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン
酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン
酸、ステアロール酸等の炭素数12以上の脂肪酸(RC
OOH,Rは炭素数11以上のアルキル基)であり、脂
肪酸エステルとしては、炭素数12〜16個の一塩基性
脂肪酸と炭素数3〜12個の一価のアルコールからなる
脂肪酸エステル類、炭素数17個以上の一塩基性脂肪酸
と該脂肪酸の炭素数と合計して炭素数が21〜23個よ
り成る一価のアルコールとから成る脂肪酸エステル等が
使用される。
シリコーンとしては脂肪酸変性よりなるもの、一部フッ
素変性されているものが使用される。アルコールとして
は高級アルコールよりなるもの、フッ素としては電解置
換、テロメリゼーション、オリゴメリゼーション等によ
って得られるものが使用される。
潤滑剤の中では放射線硬化型のものも使用して好都合で
ある。これらは強磁性薄膜への裏型転写を抑えるため、
ドロップアウトの防止、ロール状に巻かれたときの内外
径の個所による出力差の減少の他、オンライン上での製
造が可能である等の利点を持つ。
放射線硬化型潤滑剤としては、滑性を示す分子鎖とアク
リル系二重結合とを分子中に有する化合物、例えばアク
リル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニル酢酸エ
ステル、アクリル酸アミド系化合物、ビニルアルコール
エステル、メチルビニルアルコールエステル、アリルア
ルコールエステル、グリセライド等があり、これらの潤
滑剤を構造式で表すと、 CH=CHCOOR、 CH=CH−CHCOOR、 CH=CHCONHCHOCOR、 RCOOCH=CHRCOOCH−CH=CH等で、ここでRは直鎖又
は分枝状の飽和もしくは不飽和炭化水素基で、炭素数は
7以上、好ましくは12以上23以下であり、これらは
弗素置換体とすることもできる。弗素置換体としては CnF2n+1-、CnF2n+1(CH−(但し、m=1〜
5)、 CnF2n+1CHCHNHCHCH−、 等がある。
これら放射線硬化型潤滑剤の好ましい具体例としては、
ステアリン酸メタクリレート(アクリレート)、ステア
リルアルコールのメタクリレート(アクリレート)、グ
リセリンのメタクリレート(アクリレート)、グリコー
ルのメタクリレート(アクリレート)、シリコーンのメ
タクリレート(アクリレート)等が挙げられる。
本発明においてはトップコート層、バックコート層にお
ける潤滑剤として同種のものを使用すれば所期の目的を
達成できるが、同種のものとは脂肪酸ならば脂肪酸種の
中から選ばれるものということであり、必ずしも同一の
ものでなくともよい。例えばトップコート層にベヘン
酸、リノール酸、バックコート層にミリスチン酸といっ
た組合せを例として挙げることができ、このように脂肪
酸という同種の潤滑剤であれば、飽和、不飽和脂肪酸に
関係なく、またその数を1種以上のものを含有すること
ができる。他の例としてアクリル酸エステルの例を挙げ
ると、トップコート層にアクリル酸のR7アルコールエ
ステル、バックコート層にR10アルコールエステルとい
ったものがある。
なおこれら潤滑剤は当然混合系で使用することができ、
この場合トップコート層とバックコート層とで同種の混
合系を使用するものである。特に好ましいものとして
は、トップコート層、バックコート層に脂肪酸及び/又
は脂肪酸エステル、フッ素が混入されているものであ
り、これらに更に他の潤滑剤が混入されていてもよい。
本発明のトップコート層は、上記潤滑剤の他、酸化防止
剤、有機バインダー、カップリング剤等を含有すること
ができる。
上記酸化防止剤は金属の酸化を防止するものであれば、
いずれのものでも良いが、次のような通常の酸化防止剤
が用いられ、これらは1)フェノール系酸化防止剤、
2)アミン系酸化防止剤、3)リン系酸化防止剤、4)
硫黄系酸化防止剤、5)有機酸、アルコール、エステル
系酸化防止剤、6)キノン系酸化防止剤、7)無機酸、
無機塩系酸化防止剤のように構造的に大別される。
上記各種酸化防止剤の具体例を挙げると、 1)フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−第
三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−第三ブチル−
フェノール、2,4−ジ−メチル−6−第三ブチル−フ
ェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,2′−メ
チレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノー
ル)、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−第
三ブチルフェノール)、4,4′−チオビス(3−メチ
ル−6−第三ブチルフェノール)、テトラキス〔メチレ
ン−3(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート〕メタン、1,1,3−トリス
(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニ
ル)ブタン、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プ
ロピル、グアヤク脂、ノルジヒドログアヤレチン酸等が
ある。放射線硬化型としてはモノグリコールサリチレー
ト、2,5−ジ第三ブチルハイドロキノン、2,4−ジ
ヒドロキシベンゾフェノン、2,4,5−トリヒドロキ
シブチロフェノン、ハイドロキノン等のメタクリレー
ト、アクリレートタイプが挙げられる。
2)アミン系酸化防止剤としては、フェニル−β−ナフ
チルアミン、α−ナフチルアミン、N,N′−ジ−第三
ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、
N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミンの他、
アルカノールアミン、リン脂質等が挙げられる。アミン
系でもジメチルアミノエチルメタクリレート、アクリレ
ート等の放射線硬化可能のものが放射線硬化型として挙
げられる。
3)リン系酸化防止剤としては放射線硬化型或いは放射
線硬化型でないものが用いられ、リン酸エステル部分の
Rとしてはアルキル基、アルキルフェニル基、その他酸
化エチレン、酸化プロピレンを含有し、そのRとしてC
が1〜26が好ましく、更に好ましいのは1〜22であ
る。リン酸ステルとしてはモノ、ジ、トリのものが含ま
れ、モノあるいはジの成分が多いものであってもよく、
トリタイプのものはカットされていてもよい。またリン
酸エステルはNHタイプのもの及びメタクリレートタ
イプ、アクリレートタイプのものも含まれる。具体的に
はトリフェニルホスファイト、トリオクタデシルホスフ
ァイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルトリチ
オホスファイト等の亜リン酸エステルや、ヘキサメチル
ホスホリックトリアミド、ブチルホスフェート、セチル
ホスフェート、ブトキシエチルホスフェート、2−エチ
ルヘキシルホスフェート、β−クロロエチルホスフェー
ト、ブトキシエチルホスフェートジエチルアミン塩、ジ
(2−エチルヘキシル)ホスフェート、エチレングリコ
ールアシッドホスフェート、(2−ヒドロキシエチル)
メタクリレート・ホスフェート、ブチルヒドロキシメタ
クリレート・ホスフェート、カプリルヒドロキシメタク
リレート・ホスフェート、ミリスチルヒドロキシメタク
リレート・ホスフェート、ステアリルヒドソキシメタク
リレート・ホスフェート、セチルヒドロキシメタクリレ
ート・ホスフェート、ブチルフェニルヒドロキシメタク
リレート・ホスフェート、アミルフェニルヒドロキシメ
タクリレート・ホスフェート、ノニルフェニルヒドロキ
シメタクリレート・ホスフェート、及びこれらのアクリ
レートタイプ、フェニルホスフェート、その他のアルコ
ール、及びノニルフェニル等のフェニルホスフェート、
バナジウム系酸性リン酸エステル等のリン酸エステルが
挙げられる。
4)硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリルチオジプロ
ピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウ
リルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチ
オジプロピオネート、ジステアリルβ,β′−チオジブ
チレート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウ
リルサルファイドの他、4,4′−チオ−ビス(3−メ
チル−6−第三ブチル−フェノール)、2,2′−チオ
−ビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)等の
メタクリレート、アクリレート等の放射線硬化型が挙げ
られる。またこれらは酸化エチレン、酸化プロピレンを
含有していてもよい。
5)有機酸、アルコール、エステル系酸化防止剤として
はゾルビトール、グリセリン、プロピレングリコール、
アジピン酸、クエン酸、アスコルビン酸等が挙げられ、
これらの放射線硬化型であってもよい。
6)キノン系酸化防止剤としてはヒドロキノン、トコフ
ェロール等があり、これらの中で放射線硬化型であって
もよい。
7)無機酸、無機塩系酸化防止剤としてはリン酸がその
代表例として挙げられる。
上記酸化防止剤の中でも、強磁性薄膜への裏型転写を抑
え得るという点から、分子中にアクリル系二重結合を有
する放射線硬化型のもの、例えばモノグリコールサリチ
レートメタクリレート(アクリレート)、4−第三ブチ
ルカテコールメタクリレート(アクリレート)、ジメチ
ルアミノエチルメタクリレート(アクリレート)、エチ
ルヒドロキシメタクリレート(アクリレート)ホスフェ
ート、セチルヒドロキシホスフェートメタクリレート
(アクリレート)、ステアリルメタクリレート(アクリ
レート)ホスフェート、及び上記のもののフェニルタイ
プのもの、2,2′チオ−ビス(4−メチル−6−第三
ブチル−フェノール)メタクリレート(アクリレート)
等が好ましい。リン酸エステルの製法としては公知の方
法で行なわれるが、特公昭57−44223号公報記載
の方法も挙げられる。放射線硬化型酸化防止剤では強磁
性薄膜へのオンライン硬化ができるため熱硬化時の巻き
しまりによる裏型転写による表面性の劣化がなく、その
ため出力の低下がない。そしてドロップアウトの防止、
ロール状に巻かれたときの内外径の個所による出力差の
減少といった特性上の効果の他、オンライン上での製造
が可能といった処理上の効果をもあげ得るものである。
本発明トップコート層で用いることのできる有機バイン
ダーとしては、後出のバックコート層における有機バイ
ンダーと同様のものが挙げられるが、中でも放射線硬化
型モノマー、オリゴマー及びポリマーが最適である。
上記放射線硬化型モノマー、放射線硬化型オリゴマー及
び放射線硬化型ポリマーとしては、イオン化エネルギー
に感応し、ラジカル重合性を示す不飽和二重結合を有す
アクリル酸、メタクリル酸、あるいはそれらのエステル
化合物のようなアクリル系二重結合、ジアリルフタレー
トのようなアリル系二重結合、マレイン酸、マレイン酸
誘導体等の不飽和結合等の、放射線照射による架橋ある
いは重合乾燥する基を分子中に含有または導入したモノ
マー、オリゴマー及びポリマー等を用いることができ
る。
放射線硬化型モノマーとしては分子量2000未満の化
合物が、オリゴマーとしては分子量2000乃至1万の
ものが用いられる。これらはスチレン、エチルアクリレ
ート、エチレングリコールジアクリレート、エチレング
リコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジア
クリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、
1,6−ヘキサングリコールジアクリレート、1,6−
ヘキサングリコールジメタクリレート等も挙げられる
が、特に好ましいものとして、N−ビニルピロリドン、
ペンタエリスリトールテトラアクリレート(メタクリレ
ート)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(メタ
クリレート)、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト(メタクリレート)、トリメチロールプロパンジアク
リレート(メタクリレート)、多官能オリゴエステルア
クリレート(アロニックスM−7100、M−540
0,5500,5700等、東亜合成)、ウレタンエラ
ストマー(ニッポラン4040)のアクリル変性体、あ
るいはこれらのものにCOOH等の官能基が導入された
もの、フェノールエチレンオキシド付加物のアクリレー
ト(メタクリレート)、下記一般式で示されるペンタエ
リスリトール縮合環にアクリル基(メタクリル基)又は
ε−カプロラクトン−アクリル基のついた化合物、 式中、m=1、a=2、b=4の化合物(以下、特殊ペ
ンタエリスリトール縮合物Aという)、 m=1、a=3、b=3の化合物(以下、特殊ペンタエ
リスリトール縮合物Bという)、 m=1、a=6、b=0の化合物(以下、特殊ペンタエ
リスリトール縮合物Cという)、 m=2、a=6、b=0の化合物(以下、特殊ペンタエ
リスリトール縮合物Dという)、 及び下記一般式で示される特殊アクリレート類等が挙げ
られる。
(1)(CH2=CHCOOCH2)3-CCH2OH (特殊アクリレートA) (2)(CH2=CHCOOCH2)3-CCH2CH3 (特殊アクリレートB) (3)〔CH2=CHCO(OC3H6)n-OCH23-CCH2CH3 (n≒3) (特殊アクリレートC) (特殊アクリレートD) (特殊アクリレートE) (特殊アクリレートF) (特殊アクリレートG) (8)CH2=CHCOO-(CH2CH2O)4-COCH=CH2 (特殊アクリレートH) (特殊アクリレートI) (特殊アクリレートJ) A:アクリル酸、X:多価アルコール、 Y:多塩基酸、(特殊アクリレートK) 又、放射線硬化型オリゴマーとしては、下記一般式で示
される多官能オリゴエステルアクリレートやウレタンエ
ラストマーのアクリル変性体あるいはこれらのものにC
OOH等の官能基が導入されたもの、等が挙げられる。
(式中、R,R:アルキル基、n:整数) 又、放射線硬化型ポリマーとしては、前記のポリマーの
他に、二重結合のあるポリマーとして、種々のポリエス
テル、ポリオール、ポリウレタン等をアクリル二重結合
を有する化合物で変性したものを挙げることができる。
更に必要に応じて多価アルコールと多価カルボン酸を配
合することによって種々の分子量のものとすることがで
き、これらの具体例としてはバックコート層における放
射線硬化型ポリマーと同様のものが挙げられる。
有機バインダーを用いることにより、トップコート層が
バインダーにより補強され、塗膜の破断強度が上がり、
塗膜の強化が為され、トップコート削れが少なく、かつ
高温走行での耐久性が改善できる。そこでドロップアウ
トの少ない、かつロール状に巻き取った形での硬化の際
の巻きしまりのない、長さ方向で均一の特性を有する磁
気記録媒体が得られる。バインダーがない場合、高温走
行でのストップを生じ、摩擦が大のためケズレが大であ
り、付着を生じる。又、放射線硬化型バインダーを用い
ると、トップコート層の製造上、連続処理が可能であ
り、オンライン上で処理できるので、省エネルギー、コ
ストの低減に役立つ。
本発明で用いられるカップリング剤としては、有機チタ
ンカップリング剤、シランカップリング剤等、通常使用
されるものが挙げられる。
強磁性薄膜表面に潤滑剤を含むトップコート層を設ける
方法としては、前記添加剤を溶剤で希釈して強磁性金属
薄膜上に薄く塗布したり、またバインダーと共に混合、
薄く塗布する手段、該添加剤を大気中、不活性ガス中、
あるいは真空中で気化せしめてその蒸気を強磁性金属表
面に当てるなどの手段があり、これらを適用することが
できる。
トップコート層の厚みとしては、10〜800Åが好ま
しい。あまり厚すぎると電特の低下を生じたり、ケズレ
を生じる。またあまり薄すぎると目づまりが発生する。
トップコート層なしの強磁性薄膜の表面粗度は100Å
以下が好ましいため、この上にトップコート層を形成す
る場合、あまり厚すぎるとケズレを生ずることが判っ
た。あまり薄すぎるとトップコート層の吸着が弱すぎ、
目づまりを発生することが予想される。特に好ましいの
は10〜300Åである。
本発明のバックコート層は前記潤滑剤の他、無機顔料、
有機バインダー、その他帯電防止剤等の添加剤を含有す
ることができる。
無機顔料としては、1)導電性のあるカーボンブラッ
ク、グラファイト、また2)無機充填剤としてSi
、TiO、Al、Cr、SiC、C
aO、CaCO、酸化亜鉛、ゲーサイト、αFe
、タルク、カオリン、CaSO、窒化硼素、フッ化
黒鉛、二硫化モリブデン、ZnS等があり、中でもCa
CO、カオリン、ZnO、ゲーサイト、ZnSやカー
ボンが使用される。この様な無機顔料の使用料は1)に
関してはバインダー100重量部に対して20〜200
重量部、又2)に関しては10〜300重量部が適当で
あり、無機顔料量があまり多くなると、塗膜がもろくな
り、かえってドロップアウトが多くなるという欠点があ
る。
潤滑剤としてはトップコート層の所で述べたようなもの
が用いられ、これらの潤滑剤(分散剤)はバインダー1
00重量部に対して1〜20重量部の範囲で添加され
る。
またその他の添加剤としてはこの種のバックコートに用
いるものは何でも用いることができるが、例えば帯電防
止剤としてサポニンなどの天然界面活性剤;アルキレン
オキサイド系、グリセリン系、グリシドール系などのノ
ニオン界面活性剤;高級アルキルアミン類、第4級アン
モニウム塩類、ピリジンその他の複素環類、ホスホニウ
ム又はスルホニウム類などのカチオン界面活性剤;カル
ボン酸、スルホン酸、燐酸、硫酸エステル基、燐酸エス
テル基等の酸性基を含むアニオン界面活性剤;アミノ酸
類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸また
は燐酸エステル類等の両性活性剤などが使用される。
本発明のバックコート層で用いられる有機バインダー
は、従来、磁気記録媒体用に利用されている熱可塑性、
熱硬化性又は反応型樹脂やこれらの混合物が使用される
が、得られる塗膜強度等の点から硬化型、特に放射線硬
化型の樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂としては軟化温度が150℃以下、平均分
子量が10000〜200000、重合度が約200〜
2000程度のもので、例えば塩化ビニール−酢酸ビニ
ール共重合体(カルボン酸導入のものも含む)、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体(カルボ
ン酸導入のものも含む)、塩化ビニール−塩化ビニリデ
ン共重合体、塩化ビニール−アクリロニトリル共重合
体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、
アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、アクリ
ル酸エステル−スチレン共重合体、メタクリル酸エステ
ル−アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸エステル
−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−ス
チレン共重合体、ウレタンエラストマー、ナイロン−シ
リコン系樹脂、ニトロセルロース−ポリアミド樹脂、ポ
リフッ化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共
重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリ
アミド樹脂、ポリビニールブチラール、セルロース誘導
体(セルロースアセテート、セルロースダイアセテー
ト、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネ
ート、ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共
重合体、ポリエステル樹脂、クロロビニルエーテル−ア
クリル酸エステル共重合体、アミノ樹脂、各種の合成ゴ
ム系の熱可塑性樹脂及びこれらの混合物が使用される。
熱硬化性樹脂又は反応型樹脂としては、塗布液の状態で
は200000以下の分子量であり、塗布、乾燥後に加
熱することにより、縮合、付加等の反応により分子量は
無限大のものとなる。又、これらの樹脂のなかで、樹脂
が熱分解するまでの間に軟化又は溶融しないものが好ま
しい。具体的には例えばフェノール樹脂、エポキシ樹
脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹
脂、アルキッド樹脂、シリコン樹脂、アクリル系反応樹
脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ニトロセルロースメラ
ミン樹脂、高分子量ポリエステル樹脂とイソシアネート
プレポリマーの混合物、メタクリル酸塩共重合体とジイ
ソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリ
オールとポリイソシアネートの混合物、尿素ホルムアル
デヒド樹脂、低分子量グリコール/高分子量ジオール/
トリフェニルメタントリイソシアネートの混合物、ポリ
アミン樹脂、及びこれらの混合物である。
而して好ましいものは、繊維素樹脂(硝化綿等)、塩化
ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、ウレ
タンの組合せからなる熱硬化性樹脂(硬化剤使用)、或
いは塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合
体(カルボン酸導入のものも含む)、又はアクリル変性
塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体
(カルボン酸導入のものも含む)及びウレタンアクリレ
ートからなる放射線硬化系樹脂からなるものであり、放
射線硬化系樹脂については前記の好ましい組合せの外
に、ラジカル重合性を有する不飽和二重結合を示すアク
リル酸、メタクリル酸、あるいはそれらのエステル化合
物のようなアクリル系二重結合、ジアリルフタレートの
ようなアリル系二重結合、マレイン酸、マレイン酸誘導
体等の不飽和結合等の、放射線照射による架橋あるいは
重合乾燥する基を熱可塑性樹脂の分子中に含有または導
入した樹脂等を用いることができる。その他、使用可能
なバインダー成分としては、単量体としてアクリル酸、
メタクリル酸、アクリルアミド等がある。二重結合のあ
るバインダーとしては、種々のポリエステル、ポリオー
ル、ポリウレタン等をアクリル二重結合を有する化合物
で変性することもできる。更に必要に応じて多価アルコ
ールと多価カルボン酸を配合することによって種々の分
子量のものもできる。放射線感応樹脂として上記のもの
はその一部であり、これらは混合して用いることもでき
る。さらに好ましいのは(A)放射線により硬化性をもつ
不飽和二重結合を2個以上有する。分子量5000〜1
00000のプラスチック状化合物、(B)放射線により
硬化性をもつ不飽和二重結合を1個以上有するか、又は
放射線硬化性を有しない、分子量3000〜10000
0のゴム状化合物、および(C)放射線により硬化性をも
つ不飽和二重結合を1個以上有する、分子量200〜3
000の化合物を、(A)20〜70重量%、(B)20〜8
0重量%、(C)10〜40重量%の割合で用いた組合せ
である。これにより、塗膜の破断強度が上り、塗膜の強
化が為され、バックコート削れが少なく、バックコート
層から磁性層への無機充填剤粉末の移転がないためドロ
ップアウトの少ない、かつ、ロール状に巻き取った形で
の硬化の際の巻きしまりのない、長さ方向で均一の特性
を有する磁気記録媒体が得られる。
本発明の磁気記録媒体の製造において、有機バインダー
が熱硬化型では、製造過程において、バックコート層の
潤滑剤が磁性薄膜に裏型転写し、前述のような不安定な
走行による出力ダウンが発生し、画像が出なくなると
か、或いは摩擦レベルが未だ大きく不十分であり、裏型
転写により強磁性薄膜が取れたり或いは破壊されるとい
う現象が生じ好ましくない。そのためトップコートを最
初に行なうことが考えられるが、操作上、傷つきやすく
不都合な場合が多い。更に、熱硬化型の場合、硬化時の
巻きしまりによるバックコート面の裏型転移のため、熱
硬化中のジャンボロールの内側、外側での電磁変換特性
の差が問題となる。
これに対して、放射線硬化型樹脂の場合、製造上、連続
硬化が可能であり、硬化時間も短かく、上記の裏型転写
がないのでドロップアウトが防止でき、その上、放射線
硬化及びトップコート処理がオンライン上で処理できる
ので、省エネルギー対策、製造時の人員の減少にも役立
ち、コストの低減にもつながる。特性面では熱硬化時の
巻きしまりによるドロップアウトの外に、ロール状に巻
かれたときの内外径の個所の圧力のちがいにより磁気テ
ープの長さ方向の距離による出力差が生じることもなく
なる。
前記(A)、(B)及び(C)からなる放射線硬化型樹脂バイン
ダーにおいて、(A)だけでは柔軟性がなくもろく、(B)だ
けでは弾性の欠けたものであり、(A)、(B)を組合せるこ
とにより破壊エネルギー大となるが、脆性エネルギーを
大とするには限度があり、また(A)、(B)だけでは硬度が
低いためか、高温多湿下で粘着性を生じ静摩擦が高くな
った。これに対し、(A)、(B)に更に(C)を組合せること
により、架橋性が増大し、バインダーの引張り強度大、
破断エネルギー、脆性エネルギーが大となり、バックコ
ートケズレもなく、硬化度が高い強靱な塗膜になる。そ
のため50℃、80%、5日間の高温保存下においたと
ころ、粘着を生ぜず、摩擦係数も低く、画像ひずみを生
じなかった。これは(C)に加えることによりバックコー
ト膜の架橋性が増し、硬化度が増したためである。
(A)、(B)に更に(C)を加えることにより、(A)、(B)のみ
よりなる組成の場合に比べ、(A)成分が低分子量の方迄
使えるようになった。これは(A)成分よりなるプラスチ
ック状のものを、(C)成分を導入することにより可塑性
を向上させた硬化度の向上となるため、粘弾性に富んだ
脆性エネルギーの大なる塗膜となったものである。
本発明の放射線硬化型樹脂バインダーにおいて、(A)の
分子量5000未満、(B)の分子量3500未満では塗
膜が固くなってバックコート削れが激しく、電磁変換特
性も低下し、また(B)の分子量100000を超えると
分散不良のため電磁変換特性が低下すると共に、(B)が
放射線硬化性の場合にはその特性が低下して強度低下を
生じる。(C)については、分子量が3000を超えると
架橋性が低下し、塗膜の強度が低下する。(A)は100
00〜80000、(B)は3000〜80000、(C)は
200〜2500が好ましい分子量範囲で、(B)は放射
線硬化性のものが、架橋性を上げ、塗膜強度が大となる
ので好ましい。
(A)、(B)、(C)の配合比率は、(A)が20〜70重量%、
好ましくは30〜70重量%、(B)が20〜80重量
%、好ましくは20〜60重量%、(C)が10〜40重
量%、好ましくは10〜30重量%である。
本発明の(A)、(B)、(C)の化合物及びトップコート層の
オリゴマーの分子量は次のような測定方法による数平均
分子量によっている。
※GPCによるバインダーの平均分子量測定 GPC(Gel Permeation Chloma
tography)とは試料中の分子を移動相中のその
大きさに基いて分離する方法で、分子ふるいの役をする
多孔質ゲルをカラムに充填し液体クロマトグラフィーを
行なう方法である。平均分子量を算出するには標準試料
として分子量既知のポリスチレンを使いその溶出時間か
ら検量線を作成する。これよりポリスチレン換算の平均
分子量を計算する。
与えられた高分子量物質中に分子量Miである分子がN
i個あったとすると 数平均分子量 で表わせる。
本発明の(A)、(B)、(C)の化合物における不飽和二重結
合は1分子当り(A)は2以上、好ましくは5以上、(B)は
1以上、好ましくは5以上、(C)は1以上、好ましくは
3以上である。
本発明で用いる(A)のプラスチック状化合物は、放射線
によりラジカルを発生し架橋構造を生じるような、不飽
和二重結合を分子鎖中に二個以上含むものであり、これ
はまた熱可塑性樹脂を放射線感応変性することによって
も得ることができる。
放射線硬化性樹脂の具体例としては、ラジカル重合性を
有する不飽和二重結合を示すアクリル酸、メタクリル
酸、あるいはそれらのエステル化合物のようなアクリル
系二重結合、ジアリルフタレートのようなアリル系二重
結合、マレイン酸、マレイン酸誘導体等の不飽和結合等
の、放射線照射による架橋あるいは重合乾燥する基を熱
可塑性樹脂の分子中に含有または導入した樹脂であり、
その他放射線照射により架橋重合する不飽和二重結合を
有する化合物で分子量が5000〜100000のも
の、好ましくは10000〜80000のものであれば
用いることができる。
放射線照射による架橋あるいは重合乾燥する基を熱可塑
性樹脂の分子中に含有する樹脂としては次の様な不飽和
ポリエステル樹脂がある。
分子鎖中に放射線硬化性不飽和二重結合を含有するポリ
エステル化合物、例えば下記(2)の多塩基酸と多価アル
コールのエステル結合から成る飽和ポリエステル樹脂で
多塩基酸の一部をマレイン酸とした放射線硬化性不飽和
二重結合を含有する不飽和ポリエステル樹脂を挙げるこ
とができる。放射線硬化性不飽和ポリエステル樹脂は多
塩基酸成分1種以上と多価アルコール成分1種以上にマ
レイン酸、フマル酸等を加え常法、すなわち触媒の存在
下で、180〜200℃、窒素雰囲気下、脱水あるいは
脱アルコール反応の後、240〜280℃まで昇温し、
0.5〜1mmHgの減圧下、縮合反応により得ることが
できる。マレイン酸やフマル酸等の含有量は、製造時の
架橋、放射線硬化性等から酸成分中1〜40モル%、好ま
しくは10〜30モル%である。
放射線硬化性樹脂に変性できる熱可塑性樹脂の例として
は、次のようなものを挙げることができる。
(1)塩化ビニール系共重合体 塩化ビニール−酢酸ビニール−ビニールアルコール共重
合体、塩化ビニール−ビニールアルコール共重合体、塩
化ビニール−ビニールアルコール−プロピオン酸ビニー
ル共重合体、塩化ビニール−酢酸ビニール−マレイン酸
共重合体、塩化ビニール−酢酸ビニール−末端OH側鎖
アルキル基共重合体、たとえばUCC社製VROH,V
YNC,VYBGX,VERR,VYES,VMCA,
VAGH等が挙げられ、このものに後述の手法により、
アクリル系二重結合、マレイン酸系二重結合、アリル系
二重結合を導入して放射線感応変性を行う。
(2)飽和ポリエステル樹脂 フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、ア
ジピン酸、セバシン酸のような飽和多塩基酸と、エチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ト
リメチロールプロパン、1,2プロピレングリコール、
1,3ブタンジオール、ジプロピレングリコール、1,
4ブタンジオール、1,6ヘキサンジオール、ペンタエ
リスリット、ソルビトール、グリセリン、ネオペンチル
グリコール、1,4シクロヘキサンジメタノールのよう
な多価アルコールとのエステル結合により得られる飽和
ポリエステル樹脂又はこれらのポリエステル樹脂をSO
Na等で変性した樹脂(例えばバイロン53S)が例
として挙げられ、これらも同様にして放射線感応変性を
行う。
(3)ポリビニルアルコール系樹脂 ポリビニルアルコール、ブチラール樹脂、アセタール樹
脂、ホルマール樹脂及びこれらの成分の共重合体で、こ
れら樹脂中に含まれる水酸基に対し後述の手法により放
射線感応変性を行う。
(4)エポキシ系樹脂、フェノキシ系樹脂 ビスフェノールAとエピクロルヒドリン、メチルエピク
ロルヒドリンの反応によるエポキシ樹脂、例えばシェル
化学製(エピコート152,154,828,1001,1004,1007)、ダ
ウケミカル製(DEN431、DER732、DER511、D
ER311)、大日本インキ製(エピクロン400,800)、更
に上記エポキシの高重合度樹脂であるUCC社製フェノ
キシ樹脂(PKHA,PKHC,PKHH)、臭素化ビ
スフェノールAとエピクロルヒドリンとの共重合体、大
日本インキ化学工業製(エピクロン145,152,153,1120)
等がある。これら樹脂中に含まれるエポキシ基を利用し
て放射線感応変性を行う。
(5)繊維素誘導体 各種のものが用いられるが、特に効果的なものは硝化
綿、セルローズアセトブチレート、エチルセルローズ、
ブチルセルローズ、アセチルセルローズ等が好適であ
る、樹脂中の水酸基を活用して後述の方法による放射線
感応変性を行う。
その他、放射線感応変性に用いることのできる樹脂とし
ては、多官能ポリエステル樹脂、ポリエーテルエステル
樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂及び誘導体(PVPオ
レフィン共重合体)、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹
脂、フェノール樹脂、スピロアセタール樹脂、水酸基を
含有するアクリルエステル及びメタクリルエステルを重
合成分として少くとも一種含むアクリル系樹脂等も有効
である。
本発明で用いる(B)の高分子量の化合物は、熱可塑性エ
ラストマーもしくはプレポリマー、またはこれらを放射
線感応変性したものであり、後者の場合はより効果的で
ある。以下にエラストマーもしくはプレポリマーの例を
挙げる。
(1)ポリウレタンエラストマーもしくはプレポリマー ポリウレタンの使用は耐摩耗性、及び基体フィルム、例
えばPETフィルムへの接着性が良い点で特に有効であ
る。ウレタン化合物の例としては、イソシアネートとし
て、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トリ
エンジイソシアネート、1,3−キシレンジイソシアネ
ート、1,4−キシレンジイソシアネート、1,5−ナ
フタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシア
ネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3′−
ジメチル−4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、
3,3′−ジメチルビフェニレンジイソシアネート、
4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチ
レンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネー
ト、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、デスモ
ジュールL、デスモジュールN等の各種多価イソシアネ
ートと、線状飽和ポリエステル(エチレングリコール、
ジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプ
ロパン、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジ
オール、ペンタエリスリット、ソルビトール、ネオペン
チルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール
の様な多価アルコールと、フタル酸、イソフタル酸、テ
レフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸の様な
飽和多塩基酸との縮重合によるもの)、線状飽和ポリエ
ーテル(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、ポリテトラメチレングリコール)やカプロラク
タム、ヒドロキシル含有アクリル酸エステル、ヒドロキ
シル含有メタクリル酸エステル等の各種ポリエステル類
の縮重合物より成るポリウレタンエラストマー、プレポ
リマーが有効である。
これらのウレタンエラストマーの末端のイソシアネート
基又は水酸基と、アクリル系二重結合又はアリル系二重
結合等を有する単量体とを反応させることにより、放射
線感応性に変性することは非常に効果的である。
(2)アクリロニロリル−ブタジエン共重合エラストマー シンクレアペトロケミカル社製ポリBDリタイッドレジ
ンとして市販されている末端水酸基のあるアクリロニト
リルブタジエン共重合体プレポリマーあるいは日本ゼオ
ン社製ハイカー1432J等のエラストマーは、特にブタジ
エン中の二重結合が放射線によりラジカルを生じ架橋及
び重合させるエラストマー成分として適する。
(3)ポリブタジエンエラストマー シンクレアペトロケミカル社製ポリBDリタイッドレジ
ンR−15等の低分子量末端水酸基を有するプレポリマ
ーが特に熱可塑性樹脂との相溶性の点で好適である。R
−15プレポリマーにおいては分子末端が水酸基となっ
ている為、分子末端にアクリル系不飽和二重結合を付加
することにより放射線感応性を高めることが可能であ
り、バインダーとして更に有利となる。
またポリブタジエンの環化物、日本合成ゴム製CBR−
M901も熱可塑性樹脂との組合せによりすぐれた性質を
有している。
その他、熱可塑性エラストマー及びそのプレポリマーの
系で好適なものとしては、スチレン−ブタジエンゴム、
塩化ゴム、アクリルゴム、イソプレンゴム及びその環化
物(日本合成ゴム製CIR701)があり、エポキシ変性
ゴム、内部可塑化飽和線状ポリエステル(東洋紡バイロ
ン♯300)等のエラストマーも下記に述べる放射線感応
変性処理を施こすことにより有効に利用できる。
本発明で用いられる(C)放射線硬化性不飽和二重結合を
有する化合物としては、スチレン、エチルアクリレー
ト、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリ
コールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアク
リレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、
1,6−ヘキサングリコールジアクリレート、1,6−
ヘキサングリコールジメタクリレート、トリメチロール
プロパントリアクリレート、トリメチロールプロパント
リメタクリレート、多官能オリゴエステルアクリレート
(アロニックスM−7100、東亜合成)、ウレタンエ
ラストマー(ニッポラン4040)のアクリル変性体、
あるいはこれらのものにCOOH等の官能基が導入され
たもの等が挙げられる。
高分子には放射線照射により崩壊するものと分子間に架
橋を起こすものが知られている。分子間に架橋を起こす
ものとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリス
チレン、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミ
ド、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリビニルピロリ
ドンゴム、ポリビニルアルコール、ポリアクロレインが
ある。この様な架橋型ポリマーであれば上記のような変
性を特に施さなくても、架橋反応が起るので、前記変性
体の他に、これらの樹脂はそのまま放射線架橋用バック
コート樹脂として使用可能である。
更にまた、この方法によれば溶剤を使用しない無溶剤型
の樹脂であっても短時間で硬化することができるので、
この様な樹脂をバックコート用として用いることができ
る。
本発明の放射線硬化性樹脂組成物の特に好ましい組合せ
としては、(A)の化合物が一部ケン化した塩化ビニール
−酢酸ビニール共重合体、カルボン酸が導入された塩化
ビニール−酢酸ビニール共重合体、フェノキシ樹脂にポ
リイソシアネート化合物を反応させて得られたイソシア
ネート基を有する化合物に、イソシアネート基との反応
性を有する官能基をもつアクリル化合物あるいはメタク
リル化合物を反応させてなる化合物であり、(B)の化合
物がポリオールにイソシアネート化合物を反応させて得
られた、イソシアネート化合物又はポリオール(ポリウ
レタンエラストマー)に、反応性を有する官能基をもつ
アクリル化合物あるいはメタクリル化合物を反応させて
なる化合物であり、(C)は多官能(メタ)クリレートモ
ノマー、オリゴエステルアクリレートまたは(B)の低分
子量化合物というものである。
また本発明のバックコート層に用いる有機バインダー、
トップコート層あるいはバックコート層に含まれる潤滑
剤、酸化防止剤が放射線硬化型の場合、その架橋に使用
する活性エネルギー線としては、放射線加速器を線源と
した電子線、Co60を線源としたγ−線、Sr90を線源
としたβ−線、X線発生器を線源としたX線あるいは紫
外線等が使用される。
特に照射線源としては吸収線量の制御、製造工程ライン
への導入、電離放射線の遮蔽等の見地から放射線加熱器
により放射線を使用する方法が有利である。
上記バックコート層、及びトップコート層を硬化する際
に使用する放射線特性としては、透過力の面から加速電
圧100〜750KeV、好ましくは150〜300K
eVの放射線加速器を用い吸収線量を0.5〜20メガ
ラッドになるように照射するのが好都合である。
放射線硬化に際しては、米国エナージーサイエンス社に
て製造されている低線量タイプの放射線加速器(エレク
トロカーテンシスエム)等がテープコーティング加工ラ
インへの導入、加速器内部の2次X線の遮蔽等に極めて
有利である。
勿論、従来より放射線加速材として広く活用されている
ところのファンデグラフ型加速器を使用してもよい。
また放射線架橋に際しては、Nガス、Heガス等の不
活性ガス気流中で放射線をバックコート層、トップコー
ト層に照射することが重要であり、空気中で放射線を照
射することは、バインダー成分の架橋に際し放射線照射
により生じたO等の影響でポリマー中に生じたラジカ
ルが有利に架橋反応に働くことを阻害するので極めて不
利である。従って、活性エネルギー線を照射する部分の
雰囲気は、特に酸素濃度が最大で5%である、N、H
e,CO等の不活性ガス雰囲気に保つことが重要とな
る。
本発明のトップコート層には光重合増感剤を加えること
により紫外線硬化を行なうこともできる。該光重合増感
剤としては従来公知のものでよく、例えばベンゾインメ
チルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、α−メチル
ベンゾイン、α−クロルデオキシベンゾイン等のベンゾ
イン系、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ビスジアル
キルアミノベンゾフェノン等のケトン類、アントラキノ
ン、フェナントラキノン等のキノン類、ベンジルジスル
フィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のスル
フィド類、等を挙げることができる。光重合増感剤は樹
脂固形分に対し、0.1〜10重量%の範囲が望まし
い。
磁気記録媒体の製造に際し、熱硬化系バックコート面形
成においては、バックコート面を磁性面より先に形成す
るとバックコート面の熱硬化処理はベースとの巻きしま
りのためベース面の表面粗度を低下させ好ましくない。
そのため磁性面を形成した後熱硬化処理を行なってい
た。そのため、バックコート処理は、磁性塗膜を支持体
上に形成した後、その支持体の裏面になされるのが普通
であるが、本発明で放射線硬化性バインダーを用いた時
は、バックコート面での巻きしまりがなく、またオンラ
イン硬化が可能なため、トップコート、バックコートの
形成順序はどちらが先でもよい。
(ニ)発明の効果 前述の如く、本発明においては非磁性基材の一方の面
に、強磁性薄膜からなる磁気記録層、該磁気記録層の表
面上に潤滑剤を含有するトップコート層を、非磁性基材
の他方の面に潤滑剤を含有するバックコート層を設けた
磁気記録媒体とすることによって、耐腐食性、防錆性、
耐久性を全般的に改善すると共に、トップコート層とバ
ックコート層とにおける潤滑剤を同種のものとすること
により、トップコート層とバックコート層の両者の移行
性が大となって、その相乗効果で磁気ヘッドとの摩擦が
低くなり、耐久走行性がより向上し、その結果、電特も
よくなるという効果を奏するものである。
(ホ)発明の利用分野 本発明の磁気記録媒体は、オーディオテープ、ビデオテ
ープ、コンピューター用テープ、エンドレステープ、磁
気ディスク、磁気カメラ等として利用でき、中でもドロ
ップアウトが最も重要な特性の1つであるビデオテー
プ、コンピューター用テープとして用いることができ非
常に有用である。
近年、特に技術進歩が著しく、しかも市場性の拡大して
いる高バイアスのHiFi用オーディオカセットテー
プ、ビデオカセットテープ(特に8ミリテープ)、ビデ
オテープ接触転写プリント用マスターテープ等には本発
明の放射線硬化性バインダーを用いた潤滑剤含有バック
コート層と、潤滑剤を含有するトップコート層を設けた
金属薄膜からなる磁気記録層とを組合せることにより、
極めて良好な電磁変換特性と物性信頼性を有する高性能
テープを得ることができ、本発明の磁気記録媒体は有用
性の大きいすぐれたものであるということができる。
(ヘ)発明の具体的実施例 以下に本発明の実施例を示す。なお、本発明がこの実施
例に限定されるものでないことは理解されるべきであ
る。
実施例1 (1)磁性層の形成 強磁性薄膜1 厚さ12μmのポリエステルフィルムを円筒状冷却キャ
ンの周面に沿わせて移動させ、O+Ar(容積比1:
1)を毎分800ccの速さで流し真空度を1.0×10
−4Torrとしたチャンバー内で、Co80、Ni2
0よりなる合金を溶融し、入射角90°〜30°の部分
のみ斜め蒸着し膜厚0.15μmのCo−Ni−O薄膜
を形成した。酸素はベースとの界面およびベースと反対
側の表面に多く偏在していた。またベースと反対側の表
面はほぼ酸化物のみで覆われていた。Hc=1000O
e。
膜中の平均酸素量はCoとNiに対する原子比 で40%であった。
強磁性薄膜2 厚さ12μmのポリエステルフィルムを円筒状冷却キャ
ンの周面に沿わせて移動させ、真空度を5.0×10
−6Torrとしたチャンバー内で、強磁性薄膜1の場
合と同様に蒸着した。膜厚は0.15μmで実質的にC
o−Niより成る。
このテープを90℃、20%RH雰囲気中で強制酸化
し、そのベースと反対側の表面を酸化物のみとした。H
c=900Oe。膜中の平均酸素量はCoとNiに対す
る原子比で45%であった。
強磁性薄膜3 酸素による酸化工程を省略した以外は強磁性薄膜2と同
様に厚さ12μmのポリエステルフィルムを円筒状冷却
キャンの周面に沿わせて移動させ、真空度を5.0×1
−6Torrとしたチャンバー内で、強磁性薄膜1の
場合と同様に蒸着した。膜厚は0.15μmで実質的に
Co−Niより成るものであった。Hc=950Oe。
(2)バックコート層の形成 バックコート層1(熱硬化型) 重量部 酸化亜鉛 80μm 200 硬化剤 コロネートL 20 潤滑剤 ステアリン酸変性シリコーン 4 ステアリン酸ブチル 2 硝化綿 40 塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール 共重合体(積水化学製、エスレックA) 30 ポリウレタンエラストマー 30 (B.Fグッドリッチ社製、エッセン5703) 混合溶剤(MIBK/トルエン)250重量部の混合物
を良く混合溶解させる。
この塗料を15μのポリエステルフィルム上に塗布し、
赤外線ランプまたは熱風により溶剤を乾燥させた後、表
面平滑化処理後、80℃に保持したオーブン中にロール
を48時間保持し、イソシアネートによる架橋反応を促
進させた。
バックコート層2 重量部 カーボンブラック 30μm 50 (A)アクリル変性塩ビ−酢ビ−ビニルアルコール 共重合体 分子量45000 50 (B)アクリル変性ポリウレタンエラストマー 分子量5000 50 ステアリン酸 5 混合溶剤(MIBK/トルエン=1/1) 300 上記混合物をボールミル中5時間分散させ、磁性面が形
成されているポリエステルフィルムの裏面に乾燥厚1μ
になるように塗布し、エレクトロカーテンタイプ電子線
加速装置を用いて加速電圧150KeV、電極電流10
mA、吸収線量5Mrad、Nガス中で電子線をバッ
クコート層に照射した。
バックコート層3 重量部 硫化亜鉛 50μm 30 カーボンブラック 25μm 25 アクリル変性塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニル アルコール共重合体(分子量3万) 40 アクリル変性ポリウレタンエラストマー 分子量20000 40 多官能アクリレート 分子量1000 20 オレイン酸 4 ミリスチン酸変性シリコーン 2 混合溶剤(MIBK/トルエン) 250 これらをバックコート層2と同様に処理、製造した。
バックコート層4 重量部 CaCO 80μm 50 アクリル変性塩ビ−酢ビ−ビニルアルコール 共重合体 分子量30000 30 アクリル変性ポリウレタンエラストマー 分子量50000 30 アクリル変性フェノキシ樹脂 分子量35000 20 多官能アクリレート 分子量500 20 ステアリン酸 4 フッ素(電解置換法) 0.5 溶剤(MEK/トルエン=1/1) 300 これらを上記と同様に処理、製造した。
(3)トップコート層の形成 ◎トップコート組成 トップコート組成1(バックコート1のトップコート組
成) 重量部 2,6ジ第三ブチルp−クレゾール 1 ペンタエリスリトールテトラアクリレート 分子量 352 1.5 ミリスチン酸変性シリコーン 0.5 オレイン酸変性シリコーン 0.5 ミリシチン酸ブチル 0.1 MEK 100 トップコート組成2(バックコート2のトップコート組
成) 重量部 モノグリコールサリチレートアクリレート 1 ペンタエリスリトールテトラアクリレート 0.6 N−ビニルピロリドン 分子量111 0.3 ミリスチン酸 0.3 メタクリル酸変性ミリスチン酸 1.0 MEK/トルエン(1/1) 100 トップコート組成3(バックコート2のトップコート組
成) 重量部 ジメチルアミノエチルメタクリレート 0.2 アクリル変性塩ビ−酢ビ−ビニルアルコール 共重合体(マレイン酸含有)分子量2万 0.7 トリメチロールプロパントリアクリレート 分子量296 0.2 N−ビニルピロリドン 0.1 ステアリン酸 0.1 MEK/トルエン(1/1) 100 トップコート組成4(バックコート3のトップコート組
成) 重量部 メタアクリロキシエチルホスフェート 1 ペンタエリスリトールテトラアクリレート 分子量534 0.5 ステアリン酸 0.1 ステアリン酸変性シリコーン 0.1 トルエン 100 トップコート組成5(バックコート4のトップコート組
成) 重量部 ステアリルアルコールメタクリレート ホスフェート 0.2 スピラック変性体 分子量10000 アクリル変性ポリウレタンエラストマー 0.1 分子量300 多官能アクリレート分子量300 アクリル酸変性ステアリン酸 0.2 MEK/トルエン(1/1) 100 ◎トップコート層の製造及び性状 1.トップコート層1,2は強磁性薄膜(1)上、トップ
コート組成1,2をそのまま塗布し、加速電圧150K
eV、電極電流6mA、3Mrad、Nガス中で照射
を行なった。膜厚がそれぞれ150Åであった。
トップコート層3,4は強磁性薄膜(2)上にトップコー
ト層1,2と同様の条件で設けた。膜厚が50,150
Åであった。
トップコート層5については、強磁性薄膜(3)上にトッ
プコート組成5を塗布し、加速電圧150KeV、電極
電流10mA、5Mrad、Nガス中で照射を行なっ
た。膜厚が30Åであった。更にその上にフッ素(電解
置換法)0.2を4×10−3Torrの条件の雰囲気
中で吸着させた。膜厚は120Åであった。
これらを各種バックコート層と組合せて得られた磁気記
録媒体の特性を第1表に示す。なお比較例として、比較
例1:トップコート2のミリスチン酸に代えてステアリ
ン酸変性シリコーン(2′)を使用したもの、比較例2:
トップコート4のステアリン酸+ステアリン酸変性シリ
コーンに代えて流動パラフィン0.1+パルミチン酸
0.1(4′)を使用したもの、比較例3:バックコート
4のステアリン酸+フッ素に代えてステアリン酸4+ミ
リスチン酸変性シリコーン0.5(4′)を使用したもの
を採用し、これらの特性も併せて示した。
第1表から次のことが言える。
トップコート層とバックコート層とで同種の潤滑剤を用
いているもの(実施例)は、100回走行後でも摩擦上
昇が少ない。異種のものの組合せ(比較例)は初期より
摩擦が高く、途中で走行ストップを生じる。また出力低
下も激しく、画像ゆれを生じ、ドロップアウトも多い。
トップコート層及びバックコート層で同種の潤滑剤を用
いたものは出力低下も少なく、画像ゆれもなく、ドロッ
プアウトも少ない。特に放射線硬化型の組合せがよい。
実施例5の2層コーティングのものは1層コーティング
のものより潤滑効果が良好のため摩擦係数が低いことが
判った。なお、この場合、蒸着法によらないで2層コー
トを行った場合は0.18(初)、0.22(100回
後)であり、蒸着法によるトップコートは、2層コーテ
ィングの効果がより生かされ、良好なことが判った。
実施例4のトップコートにおいて、ベンゾフェノン2部
を溶解し塗布後、紫外線ランプ(出力80W/有効管長
1cm)の下で毎分30mのラインスピードで硬化させた
ところ、この場合も良好な特性の磁気記録媒体が得られ
た。
上記各種特性の測定方法について以下に記す。
1.磁性面側摩擦測定 磁気テープの磁性面がシリンダー側に来るように巻きつ
け、一方の端面に20gの負荷をかけ、シリンダーを9
0°回転したときの張力変化を読みとって摩擦測定をす
る。
2.出力低下 中心周波数5MHzで記録、再生した場合の、初回走行後
及び100回走行後の出力について、100回走行後に
おける出力低下をみる。
3.ドロップアウト 20℃、60%でVHSデッキを用い5MHzの単一信号
を記録し、再生した場合の信号が、平均再生レベルより
18dB以上低下する時間が15μ秒以上であるものの
個数を、サンプル10個について1分間当りで数え、そ
の平均をとる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性基材の一方の面に強磁性薄膜からな
    る磁気記録層、該磁気記録層の表面上にトップコート層
    を、非磁性基材の他方の面にバックコート層を設けた磁
    気記録媒体において、トップコート層が電子線硬化型化
    合物から形成され、且つトップコート層とバックコート
    層とにおける潤滑剤が同種のものであることを特徴とす
    る磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】潤滑剤が脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸
    変性シリコーンから選ばれたものである特許請求の範囲
    第1項記載の磁気記録媒体。
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