JPH07186866A - 助手席用エアバッグの取付方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 エアバッグ用布を補強布と共に折り返し重ね
てリテーナー取付部を形成し、このリテーナー取付部を
さらにＵ字状に折曲し、内側に添着したリテーナーによ
りエアバッグケースに挟着するよう固定するエアバッグ
の取付方法において、上記リテーナー取付部周辺の仕様
の自由度を向上させる。 【構成】 上記エアバッグ用布１，２と補強布７の少な
くとも一方を、上記折り返し部６ａの近傍で分断し、こ
の分断された片方７ｂを別種または同種の他の布にて構
成することを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は助手席用エアバッグのエ
アバッグ袋体とエアバッグケースの取付方法の改良に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】エアバッグ装置は、車両の衝突時にエア
バッグが膨張することによって、乗員を保護する安全装
置であり、助手席用のものは通常、ガス発生器であるイ
ンフレータと、インフレータのガスにより膨張するエア
バッグと、前記インフレータを該エアバッグと共に収納
するエアバッグケースとで構成されている。

【０００３】上記エアバッグは四角形の開口部を有し、
この開口部の各辺には夫々リテーナー取付部が形成され
て、ボルト付リテーナとエアバッグケースとでこのリテ
ーナー取付部を挟着するようにして上記エアバッグをエ
アバッグケースに固定している。

【０００４】このようなエアバッグのエアバッグケース
への取付方法としては、例えば特開平５−１７８１５０
号公報に記載のものが知られており、この方法では、同
公報の第３図に示すように、エアバッグを形成するエア
バッグ用布を開口部付近で折り返し重ねて二重部を形成
すると共に、この二重部の外側に補強布を重合・縫着し
てリテーナー取付部を形成し、このリテーナー取付部を
さらにＵ字状に折曲し、内側に添着したリテーナーによ
りエアバッグケースに挟着するよう固定している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の取付方法においては、リテーナー取付部の縫製糸に
かかる剪断力を低くできるとしても、上記エアバッグ用
布と補強布の両方共が、上記二重部の先端で折り返され
て、前記エアバッグケース側とリテーナ側とで夫々連続
していることから、これら重なり合う布に多くても２種
類の布しか使用できず、エアバッグ取付等の仕様に自由
度を欠くものであった。

【０００６】また、通常補強布には、ゴムやシリコン樹
脂を片面コートした引布が使用されるが、上記従来の取
付構造では、例えばエアバッグケース側をコーティング
面にすると、前記折り返しによってリテーナー側もコー
ティング面となり、表裏の自由度も失われていた。

【０００７】そしてさらに、上記エアバッグ用布と補強
布が、前記二重部の先端で共に折り返されているため、
これらの先端から補強布やエアバッグ用布を延長できな
い欠点もある。

【０００８】本発明は上記欠点を改良し、エアバッグの
取付方法における仕様の自由度を向上させることを目的
とするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】即ち、上記目的に適合す
る本発明エアバッグの取付方法の特徴は、エアバッグ用
布を開口部付近で折り返し重ねて二重部を形成する一
方、この二重部の外側両面に補強布を重合してリテーナ
ー取付部となし、このリテーナー取付部をさらにＵ字状
に折曲し、内側に添着したリテーナーによりエアバッグ
ケースに挟着、固定するエアバッグの取付方法におい
て、上記エアバッグ用布と補強布の少なくとも一方を、
上記二重部の折り返し部近傍で分断し、この分断された
片方を同種あるいは別種の他の布、または布織目方向を
変えた同種もしくは別種の他の布にて構成するところに
ある。

【００１０】なお、上記エアバッグ用布と補強布の両方
を分断した場合は、何れか一方の布の分断片のみを上記
別種の布等にて構成することが可能である。

【００１１】

【作用】上記本発明の方法においては、例えば補強布を
分断した場合は、リテーナー取付部のエアバッグケース
側を従来通りのゴム等の引布とする一方、リテーナー側
をノンコート布として、コーティング工程の必要な布の
消費を少なくした仕様を採用することが可能である。

【００１２】また、エアバッグ用布を分断した場合は、
例えばこの布とは別種の補強布等の布をエアバッグ用布
の代わりに使用することができ、また、同種のエアバッ
グ用布を使用する場合でも、図６に示すように、従来は
折り返し長さ分１０だけ余計に原反を必要としたのに対
し、余り布の部分１１を使用することによって原反の長
手方向の必要長さを縮小し、原材量コストを下げること
が可能である。

【００１３】そしてさらに、エアバッグ布と補強布の両
方または補強布を分断した場合は、補強布の一部を延長
し、エアバッグケース内のエアバッグを前方から保護す
る保護カバーを設けることも可能である。

【００１４】

【実施例】以下、さらに添付図面を参照して、本発明の
実施例を説明する。

【００１５】図５は本発明の助手席用エアバッグの１例
を示す斜視図であり、１は帯状の本体布、２は該本体布
１の両側面に夫々縫着された側面布、３は開口部、４は
リテーナー取付部、５はリテーナーを夫々示し、開口部
３は本体布１のＵ字状両先端部と各側面布２の先端部と
で区画形成されている。

【００１６】上記リテーナー取付部４は図１に示すよう
に、本体布１の先端部と側面布２の先端部とによって構
成され、これらエアバッグ用布１，２を開口部３付近で
折り返し重ねて二重部６を形成する一方、この二重部６
の外側両面に補強布７を重合してリテーナー取付部４と
なし、このリテーナー取付部４をさらにＵ字状に折曲
し、内側に添着したリテーナー５によりエアバッグケー
ス８に挟着して固定するようになっている。

【００１７】そして、図１に示すこの実施例では、上記
補強布７を、上記二重部６の折り返し部６ａで分断し、
この分断された補強布７のリテーナー５側の布７ｂを、
エアバッグケース８側のゴム引布に対し通常のノンコー
ト布にて構成している。この実施例では、上記の如くコ
ーティングの必要な布の消費を少なくした仕様を採用す
ることができる。

【００１８】一方、図２に示す第２の実施例では、補強
布７とエアバッグ布１，２の両方を、二重部６の折り返
し部６ａで分断し、分断したリテーナー５側の補強布７
ｂを、図４に示す如きケース開口部の下方まで延長する
保護カバー９と一体になった布にて構成している。この
場合、本発明では、例えば高温のガスから保護するため
に、エアバッグケース側補強布７ａのケース側をコーテ
ィング面とし、保護カバー９を延設した上記リテーナー
側補強布７ａのエアバッグケース側も同じくコーティン
グ面とできるが、折り返し部６ａが分断されない従来の
取付方法では、このような選択をすることはできない。

【００１９】さらに、図３に示す第３の実施例では、エ
アバッグ用布１，２を二重部６の折り返し部６ａにて分
断し、この分断したリテーナー側のエアバッグ用布１
ｂ，２ｂを、エアバッグケース側の布１ａ，２ａに対し
て異なる布、即ち例えば補強布等で構成している。ま
た、同種のエアバッグ用布を使用する場合でも、図６に
示すように、従来は折り返し長さ分１０だけ余計に原反
を必要としたのに対し、余り布の部分１１を使用するこ
とによって原反の長手方向の必要長さを縮小し、原材量
コストを下げることが可能である。なお、これらの構造
は、上記第２の実施例にも採用しうる。

【００２０】このように、リテーナー取付部４の布を折
り返し部６ａで分断した構造をとることにより、上記分
断されたエアバッグ用布１，２や補強布７は、種々の布
の選択やコーティング面の表裏にも自由度が生まれ、さ
らに、上記何れかの布の分断部を上記第２実施例のよう
に延長することにより、保護カバー９などの別部品を一
体に、しかも布の選択も自由に製作できる効果がある。

【００２１】また、本発明で採用して効果的な種々の仕
様には、ノンコート布や引布の選択、打ち込み本数の選
択、デニール数の選択、フィラメント数の選択、引布の
場合の表裏の選択等があり、一般的には、熱からエアバ
ッグの口元を守るために引布を採用し（表裏も考慮）、
強度を求めるならばエアバッグ用布の低デニール化と打
ち込み本数の増大をさせた、いわゆる高密度化の布（引
布も同様）を選択する。

【００２２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のエアバッ
グの取付方法は、エアバッグ用布を補強布と共に折り返
し重ねたリテーナー取付部において、上記エアバッグ用
布と補強布の少なくとも一方を上記折り返し部近傍で分
断し、この分断された片方を同種または別種の他の布に
て構成するものであり、例えば補強布を分断した場合
は、リテーナー取付部のエアバッグケース側を従来通り
のゴム等の引布とする一方、リテーナー側をノンコート
布として、コーティング工程の必要な布の消費を少なく
した仕様を採用することができ、また、エアバッグ用布
を分断した場合は、例えば補強布や裁断残りの同種の布
等をエアバッグを構成する布の代わりに使用することが
でき、さらに、エアバッグ布と補強布の両方または補強
布を分断した場合は、補強布の一部を延長し、エアバッ
グケース内のエアバッグを前方から保護する保護カバー
を設け得る等、エアバッグのリテーナー取付部周辺に種
々の仕様を選択できるとの効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明第１実施例の助手席用エアバッグの取付
方法を示す断面図である。

【図２】本発明第２実施例の助手席用エアバッグの取付
方法を示す断面図である。

【図３】本発明第３実施例の助手席用エアバッグの取付
方法を示す断面図である。

【図４】上記第２実施例による保護カバーを設けたエア
バッグ装置の斜視図である。

【図５】本発明の助手席用エアバッグの１例を示す斜視
図である。

【図６】本発明実施例によるエアバッグの原反からの裁
断例を示す斜視図である。

【符号の説明】

１ 本体布（エアバッグ用布） １ａ 本体布のエアバッグケース側 １ｂ 本体布のリテーナー側 ２ 側面布（エアバッグ用布） ２ａ 側面布のエアバッグケース側 ２ｂ 側面布のリテーナー側 ３ エアバッグ開口部 ４ リテーナー取付部 ５ リテーナー ６ 二重部 ６ａ 折り返し部 ７ 補強布 ７ａ 補強布のエアバッグケース側 ７ｂ 補強布のリテーナー側 ８ エアバッグケース ９ 保護カバー

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山地 猛 愛知県西加茂郡三好町大字打越字生賀山３ 番地 東洋ゴム工業株式会社自動車部品技 術センター内 (72)発明者 尾崎 徹 愛知県西加茂郡三好町大字打越字生賀山３ 番地 東洋ゴム工業株式会社自動車部品技 術センター内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 袋状に縫製したエアバッグ用布を開口部
   付近で折り返し重ねて二重部を形成する一方、この二重
   部の外側両面に補強布を重合してリテーナー取付部とな
   し、このリテーナー取付部をさらにＵ字状に折曲し、内
   側に添着したリテーナーによりエアバッグケースに挟
   着、固定するエアバッグの取付方法において、上記エア
   バッグ用布と補強布の少なくとも一方を、上記二重部の
   折り返し部近傍で分断したことを特徴とする助手席用エ
   アバッグの取付方法。
2. 【請求項２】 分断された片方を別種の布にて構成する
   請求項１記載の助手席用エアバッグの取付方法。
3. 【請求項３】 分断された片方を、織目角度を変えた同
   種または別種の布にて構成する請求項１記載の助手席用
   エアバッグの取付方法。