JPH07186339A - 防汚性に優れた積層シート及びその製造法 - Google Patents

防汚性に優れた積層シート及びその製造法

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JPH07186339A
JPH07186339A JP5331404A JP33140493A JPH07186339A JP H07186339 A JPH07186339 A JP H07186339A JP 5331404 A JP5331404 A JP 5331404A JP 33140493 A JP33140493 A JP 33140493A JP H07186339 A JPH07186339 A JP H07186339A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、熱可塑性樹脂シートの各種特性を
維持し、しかも優れた防汚性を有する積層シートを提供
せんとするものである。 【構成】 本発明の防汚性に優れた積層シートは、熱可
塑性樹脂からなる基材層(A)の表面に熱可塑性樹脂か
らなる表皮層(B)が積層されているシートであって、
表皮層(B)の表面硬度が基材層(A)より大きいこと
を特徴とするものである。また、本発明の防汚性に優れ
た積層シートの製造法は、熱可塑性樹脂基材層(A)の
表面に基材樹脂より表面硬度の大きい樹脂表皮層(B)
をラミネートすることを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、防汚性に優れた熱可塑
性樹脂からなる積層シート及びその製造法に関するもの
である。
【0002】さらに詳しくは、テントなどの建築用部
材、トラック用の幌、看板用バックリットなどの産業用
資材として好適に用いられる熱可塑性樹脂シートの防汚
性改善に関するものである。
【0003】
【従来の技術】従来、繊維基布に軟質塩化ビニル系樹脂
をカレンダー法やコーティング法、Tダイ押し出し法な
ど種々の方法により被覆加工し、各種イベント用あるい
は倉庫用テント、トラック用の幌など各種シート、野積
シート、バックリット、フレキシブルコンテナなど様々
な用途に展開されている。塩化ビニル系樹脂は、低コス
トで加工性などの取扱いがよく、高周波ウエルダー溶着
縫製が容易であるなど様々な長所を有するが、長期の屋
外使用により大気中の煤煙、塵埃などの汚染物質が付着
して汚れやすく、また拭き取っても除去できないなど、
テント、シート類の美観を損ねるという重大な欠点を有
する。かかる欠点の理由としては、塩化ビニル系樹脂の
柔軟性を改善するために配合する各種可塑剤がシート表
面に移行し、粘着性を増すために汚れが付着しやすくな
り、しかも除去しにくくなるためとされている。
【0004】かかる欠点を改善する目的で種々の方法が
提案されている。例えば、 (1) 有機溶剤に溶かしたアクリル系またはウレタン系樹
脂をコーティングする。
【0005】(2) 特開昭56−167445号公報に記
載のごとく塩化ビニルシートにポリメタクリル酸系フィ
ルムをラミネートする方法 (3) 特開昭59−171649号公報に記載のごとく塩
化ビニルシートに弗素系樹脂を接着積層する方法 などがあるが、(1) の方法は、コーティング用樹脂の有
機溶剤中に可塑剤が溶け出したり、コーティング樹脂層
に移行すために防汚効果がほとんどない。(2) の方法は
可塑剤のフィルム層への移行を防ぎ得ず、長期の使用に
は十分でないうえに、ウエルダー溶着性が弱く、シワが
入りやすい欠点を有する。(3) の方法は、防汚性には優
れるものの、コストが高く、溶着縫製ができないか、非
常に困難であるという重大な欠点を有するものである。
【0006】熱可塑性樹脂、特に塩化ビニル樹脂シート
の特性を損なうこと無く防汚性を改善した積層シートは
現在のところまだ見出だされていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、熱可塑性樹
脂シートの各種特性を維持し、しかも優れた防汚性を有
する積層シートを提供せんとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる目的を
達成するために次のような構成を有する。
【0009】すなわち本発明の防汚性に優れた積層シー
トは、熱可塑性樹脂からなる基材層(A)の表面に熱可
塑性樹脂からなる表皮層(B)が積層されているシート
であって、表皮層(B)の表面硬度が基材層(A)より
大きいことを特徴とするものである。また、本発明の防
汚性に優れた積層シートの製造法は、熱可塑性樹脂基材
層(A)の表面に基材樹脂より表面硬度の大きい樹脂表
皮層(B)をラミネートすることを特徴とするものであ
る。
【0010】
【作用】本発明は、従来、熱可塑性樹脂シート、特に塩
化ビニル樹脂製シートの持つ各種長所を維持して優れた
防汚性を付与することは極めて難しいとされていた事実
に鑑み、鋭意検討したところ、防汚性能はシートの最外
層表面の硬度に関係し、高硬度なもの程、優れた防汚性
を発揮する事実を究明して完成されたものである。
【0011】本発明でいう熱可塑性樹脂としては、各種
添加剤を配合してなる樹脂であって、たとえばポリオレ
フィン系樹脂、フッ素系樹脂、塩化ビニル系樹脂、さら
にはゴム弾性を有するSBR、NBR、ポリアミド系樹
脂、ポリエステル系樹脂などのエラストマーを使用する
ことができる。これらの中でも塩化ビニル系樹脂が代表
的であり、以下これに代表させて説明する。
【0012】ここでいう塩化ビニル系樹脂としては、塩
化ビニル重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩
化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−
塩化ビニリデン共重合体などであり、これらを単独ある
いは二種以上を混合したものに可塑剤、安定剤、充填
剤、酸化防止剤、耐候剤、防炎剤などの添加剤を混合し
たものを使用することができる。かかる塩化ビニル系樹
脂の平均重合度は600〜3500であり、好ましくは
800〜2500のものを使用する。
【0013】可塑剤としては、一般に使用されているも
のを使用することができるが、例えば、フタル酸エステ
ル系としては、ジブチルフタレート、ジエチルフタレー
ト、ジヘブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフ
タレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジノニルフタ
レート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレ
ート、ブチルベンジルフタレートなどであり、脂肪族二
塩基酸系エステルとしては、ジメチルアジペート、ジイ
ソブチルアジペート、ジブチルアジペート、ジ−2−エ
チルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ
ブチルジグリコールアジペート、ジ−2−エチルヘキシ
ルアゼレート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケー
ト、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、メチルアセチ
ルリシノレートなどであり、エポキシ系としては、エポ
キシ化大豆油、オクチルエポキシステアレートなどであ
り、リン酸エステル系としては、トリメチルホスヘー
ト、トリエチルホスヘート、トリブチルホスヘート、ト
リ−2−エチルヘキシルホスヘート、トリブトキシエチ
ルホスヘート、トリオレイルホスヘート、トリフェニル
ホスヘート、トリクレジルホスヘート、トリキシレニル
ホスヘート、クレジルジフェニルホスヘート、キシレニ
ルジフェニルホスヘート、2−エチルヘキシルジフェニ
ルホスヘートなどであり、ポリエステル系としては、ア
ジピン酸と2−メチル−1、8−オクタンジオール、
1、2−プロパンジオール、1、3−ブタンジオール、
2−エチルヘキサノール、n−オクタノールなどのグリ
コール類をエステル化したものなどであり、トリメリッ
ト酸系ではトリ2−エチルヘキシルトリメリレート、ト
リイソデシルトリメリレートなどであり、その他に2−
エチルヘキシルピロメリレートなどのピロメリット酸
系、ビフェニルテトラカルボン酸エステル系などを例示
することができ、これらを単独あるいは混合したものが
軟質塩化ビニル樹脂の場合、塩化ビニル系樹脂100重
量部に対し通常30〜10重量部使用される。
【0014】また、いわゆる無可塑用として一般に使用
されるエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アク
リル酸エステル共重合体、およびこれらに一酸化炭素を
導入したELVALOY(三井デュポンポリケミカル株
式会社製)、塩素化パラフィンなども使用することがで
き通常塩化ビニル系樹脂100重量部に対し50〜12
0重量部使用される。
【0015】安定剤、安定助剤の例としては、例えば、
カルシュウム・亜鉛系、カルシュウム・亜鉛有機複合体
系、バリウム・亜鉛系、カドミウム・バリウム系、カド
ミウム・鉛系、エポキシ系、有機錫ラウレート、有機錫
メルカプタイト、有機錫オクチルなどがあり、これらを
単独あるいは混合したものを塩化ビニル系樹脂100重
量部に対し、0.1〜10重量部使用する。
【0016】充填剤としては、シリカ、タルク、炭酸カ
ルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、リン酸カ
ルシウム、カオリンクレイ、チタン白、石英、ケオソウ
土、ハイドロタルサイトなどであり、単独あるいは混合
したものを塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、3〜
25重量部使用する。
【0017】酸化防止剤としては、2、6−ジ−t−ブ
チル−メチルフェノール、ジラウリルチオジプロピオネ
ートなどがあり、塩化ビニル系樹脂100重量部に対
し、0.05〜2.5重量部使用する。
【0018】耐候剤としては、トリアゾール系紫外線吸
収剤では2−(2′ヒドロキシ−3′、5′−ジ−t−
ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2
−(2′ヒドロキシ−3′−t−アミノ−5′−イソブ
チルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(2′ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリ
アゾール、2−(2′ヒドロキシ−5′−メチルフェニ
ル)5、6−ジクロロベンゾトリアゾール、2−(2′
ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)5−エチルスルホ
ンベンゾトリアゾール、2−(2′ヒドロキシ−3′−
イソブチル−5′−メチルフェニル)5−クロロベンゾ
トリアゾール、2−(2′ヒドロキシ−3′−イソブチ
ル−5′−プロピルフェニル)5−クロロベンゾトリア
ゾール、2−(2′ヒドロキシ−3′、5′−ジ−t−
ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′ヒド
ロキシ−5′−1、1、3、3−テトラメチルブチルフ
ェニル)ベンゾトリアゾールなどであり、ベンゾフェノ
ン系紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−n−
オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メト
キシ−2′−カルボキシベンゾフェノン、2、2′−ジ
ヒドロキシ−4、4′−ジメトキシベンゾフェノン、2
−ヒドロキシ−4−ベンゾイルオキシベンゾフェノン、
2、2′、4、4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン
などを使用することができ、またハイドロキノン系紫外
線吸収剤としては、ハイドロキノン、ヒドロキノンジサ
リチレートなどを使用することができる。また、サリチ
ル酸系紫外線吸収剤としては、フェニルサリチレート、
パラオクチルフェニルサリチレートなどを使用すること
ができる。かかる添加剤は、これらを単独あるいは混合
したものを塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.
25〜3重量部添加して使用することができる。
【0019】また、酸化防止剤としては、2、6−ジ−
t−ブチル−4−メチルフェノール、2、2′−メチレ
ンビス(6−t−ブチル−4−エチルフェノール)、
2、6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールなどのフェノ
ール系酸化防止剤、ジ−n−ドデシル−チオジプロピオ
ネート、ジ−n−オクタデシル−チオジプロピオネー
ト、ジラウリルチオジプロピオネートなどのチオジプロ
ピオン酸エステルなどがあり、これらを単独あるいは混
合したものを塩化ビニル系樹脂100重量部に対して
0.1〜1重量部添加して使用することができる。
【0020】防炎剤としては、三酸化アンチモン、リン
酸チタン、水和硼酸亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化
マグネシウムなどの無機系化合物が一般的に用いられ、
特に三酸化アンチモンを主体としたものを塩化ビニル系
樹脂100重量部に対して3〜10重量部添加する。ト
リクレジルホスヘートなどの難燃可塑剤が使用される場
合もある。
【0021】その他、2、4、5、6−テトラクロロイ
ソフタロニトリル、10、10′オキシビスフェノキシ
アルシンなどの防黴剤、フタロシニアンブルー、フタロ
シニアングレーン、アリザリンレーキ、酸化チタン、亜
鉛華、カーボンブラックなどの着色剤を塩化ビニル系樹
脂100重量部に対してそれぞれ0.001〜2重量
部、添加する0.001〜1重量部添加してもよい。な
お、ここに例示した対外の化合物も必要に応じて添加し
てもさしつかえない。
【0022】本発明の塩化ビニル系樹脂基材層(A)
は、通常軟質タイプと称されるものであり、可塑剤とし
て一般的に使用されるジ−2−エチルヘキシルフタレー
ト(DOP)の例で示すと添加量が塩化ビニル系樹脂1
00重量部に対して40〜100重量部、さらには50
〜70重量部のものである。
【0023】該軟質塩化ビニル樹脂は、特に屋外で長期
間使用した場合に表面に各種汚染物質が付着し、極めて
汚れやすいものであることは周知の事実である。汚染し
やすい原因として、一般に可塑剤がシート表面に滲みだ
し、粘着性が増すため、汚染物質が付着しやすく、付着
した汚染物が取れにくくなるといわれている。
【0024】本発明者等は上記原因が主要因であるなら
ば、滲みだしの程度が異なる可塑剤の種類や、滲みだし
のない、可塑剤を使用しない無可塑タイプで汚れの程度
に差が生ずるものと考え、シートの表面硬度をほぼ同一
にして種々実験を実施したところ可塑剤の種類、無可塑
タイプにほとんど汚染性に差がないという事実を確認
し、可塑剤の滲みだしが主要因でないことを突き止めた
ものである。
【0025】本発明者等はさらに実験を重ねた結果、シ
ートの表面硬度が著しく防汚性を左右し、表面の硬いも
のが汚れにくく、付着した汚れが拭き取りで除去しやす
いことを発見した。かかる事実から判断すると、可塑剤
の種類を変更した、あるいは無可塑タイプの軟質塩化ビ
ニル樹脂シートの防汚性に差がないことは当然のことで
あり、表面が柔らかいことが汚れた原因であると推定さ
れる。
【0026】上述した実験の結果を表1に示す。
【0027】防汚性の試験、評価は次の方法で実施し
た。
【0028】[汚染試験] JIS A 1410 に
規定される方法により屋外曝露を180日間実施した。
【0029】[防汚性評価]汚染前のシート、曝露後の
シート、曝露後の汚れを綿布で拭き取ったシートの表面
をデジタル測色色差計算機(スガ試験機株式会社製)に
よりL値を測定し、次の計算式により汚染の程度、汚れ
の除去性を求めた。
【0030】汚染度 X=A−B/A ×100 汚染除去性 Y=A−C/A ×100 ここで、A:汚染試験前のシートのL値 B:屋外曝露後のシートのL値 C:屋外曝露後のシートの汚れを綿布で拭き取った後の
L値 であり、Xの値が大きいものほど汚染がひどいことを現
し、Y値が小さいものほど汚れが落ちやすいことを現
す。
【0031】表1に表面硬度を測定した結果を示した
が、本測定値は島津製作所製の島津ダイナミック超微小
硬度計DUH−200型の三角錘圧子115°で測定し
た数値であり、数値の大きいもの程、表面が硬質である
ことを現す。硬度の測定方法は、JIS法で定められた
種々の方法があるが、これらは、ある範囲の硬度のもの
を特定の方法で測定するもので、極めて柔軟なものから
極めて硬いものまでを一つの方法で測定できるものはな
く、広範囲の硬度を総体的に評価することができない。
かかる現状から、本発明者等は総体的な判断をするた
め、上記の測定装置を使用した。
【0032】
【表1】 表1から、表面硬度をほぼ同一にした軟質系シートは、
可塑剤の種類に関係なく、ぼぼ同等に著しく汚染するこ
とが判り、可塑剤の添加量を変更し表面硬度を変えたシ
ートでは、可塑剤量の少ない、大きい硬度のもの程、汚
染しにくく、付着した汚染物も除去しやすいのが明確で
ある。
【0033】かかる事実から、本発明は、軟質である塩
化ビニル系樹脂基材層(A)の表面に該樹脂よりも表面
硬度の大きい塩化ビニル系樹脂表皮層(B)を接合する
ことを特徴とする塩化ビニル系樹脂100%系による防
汚性に優れた積層シートを完成したものである。
【0034】本発明は、塩化ビニル系樹脂基材層(A)
と塩化ビニル系樹脂表皮層(B)の表面硬度は、本発明
の方法で測定した場合、基材層(A)が0.2以下で、
表皮層(B)は0.2を越えるものである。基材層
(A)は従来の軟質塩化ビニル樹脂であり、可塑剤とし
て一般的に使用されるジ−2−エチルヘキシルフタレー
ト(DOP)の例で示すと塩化ビニル系樹脂100重量
部に対し40重量部添加したものは、約0.2であり、
基材層に要求される柔軟性を考慮すると硬度は0.15
以下である。基材層(A)の汚染性に対し、明らかに防
汚性が向上する表皮層(B)の硬度は基材層(A)より
0.2以上、好ましくは0.35以上大きいものであ
る。また、表皮層(B)の硬度が0.5以上、好ましく
は0.6以上であると極めて優れた防汚機能を発揮す
る。
【0035】本発明は、表面硬度が0.5以上の樹脂の
みで構成されたシートを使用することができるが、かか
るシートは、柔軟性が低いため、テント、トラック用
幌、バックリットなどには使用しにくく、用途が極めて
限定されるものになる。塩化ビニル系樹脂の柔軟性を利
用する用途分野には、従来の軟質シートの表面に、高い
硬度のシートを積層するのが良い。
【0036】本発明の積層シートの可塑剤量は表皮層
(B)が基材層(A)より少ないものであり、例えば、
塩化ビニル系樹脂100重量部に対する可塑剤の配合量
で示すと、可塑剤が同一の場合、ジ−2−エチルヘキシ
ルフタレート(DOP)では、基材層(A)が50重量
部の場合、表皮層(B)は35重量部以下であり、好ま
しくは、30重量部以下である。可塑剤がテトラオクチ
ルピロメリメートの場合は、基材層(A)が65重量部
の場合、表皮層(B)は45重量部以下、好ましくは、
40重量部以下である。
【0037】本発明の積層シートの基材層(A)と表皮
層(B)の可塑剤の種類が異なっていてもよい。この場
合、基材層(A)にピロメリット酸エステル系またはト
リメリット酸エステル系またはポリエステル系を使用
し、表皮層(B)にフタル酸エステル系を使用するのが
好ましく、例えば、基材層(A)にテトラオクチルピロ
メリメートを65重量部、表皮層(B)にジ−2−エチ
ルヘキシルフタレート(DOP)を35重量部以下、好
ましくは30重量部以下とするとシートが使用される温
度、湿度などの環境に左右されにくい、優れた防汚性を
発揮させることができる。
【0038】可塑剤を使用する限り、基材層(A)と表
皮層(B)間の可塑剤の移行が避けられないので、基材
層(A)から表皮層(B)への移行をできるだけ阻止し
て、表皮層(B)の硬度を維持することが重要であり、
そのためには上述した可塑剤の種類を変えることが有効
である。
【0039】本発明は、可塑化成分としてエチレン−酢
酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸アルキル共重
合体、およびこれらに一酸化炭素を導入したELVAL
OY(三井デュポンポリケミカル株式会社製)、塩素化
パラフィンなどの無可塑用高分子を使用することができ
る。該可塑化成分の使用は、可塑剤の移行を全く心配す
ることがないので極めて安定した積層体を形成すること
ができる。例えば、ELVALOY−HP533(エチ
レン−アクリル酸アルキル共重合体系)を使用した場
合、基材層(A)に100重量部配合した場合は表皮層
(B)には70重量部以下、好ましくは50重量部以下
である。かかる構成は、可塑剤の移行が全くないので、
優れた防汚性を維持できる。本発明は、基材層(A)と
表皮層(B)の塩化ビニル系樹脂の平均重合度が異なる
ものであり、表皮層(B)に高重合度のものを使用す
る。本来、重合度の大きいものほど硬度が高くなるし、
また、同一の可塑剤を使用した場合、可塑剤は高重合度
側から低重合度サイドへ移行するので、基材層(A)と
表皮層(B)の重合度が同一の場合より表皮層(B)の
硬度を維持しやすいものとなる。重合度差は、好ましく
は500以上、さらに好ましくは800以上である。本
発明の表皮層(B)の厚さは、5〜300μ、好ましく
は10〜200μ、さらに好ましくは30〜100μで
ある。
【0040】本発明の防汚性に優れた積層シートは、基
材層(A)と表皮層(B)の接合体で使用されるより、
繊維基布で補強されたものとして使用されることが多
い。
【0041】本発明の繊維基布とは、ポリエステル、ポ
リアミド、ビニロン等の合成繊維や、木綿、麻などの天
然繊維を単独あるいは混合した編織物であり、繊維は長
繊維でも短繊維でもよい。
【0042】本発明の積層シートの製造は、繊維基布に
基材層(A)を張合わせた後、表皮層(B)を接合する
か、あるいは基材層(A)と表皮層(B)を接合したも
のを繊維基布に張合わせてもよく特に限定されるもので
はない。該積層体の製造にあたっては、接着剤法、加圧
下での加熱圧着法、ラミネーター法、エクストルージョ
ンラミネーター法などが使用できるが、これらに限定さ
れるものではないが、繊維基布に基材層(A)を被覆
し、その表面に表皮層(B)をラミネートするのが好ま
しい。さらに積層シートの表面を凹凸のある加圧体で処
理し、表面を賦型してもよい。
【0043】本発明は、従来の改善技術のように塩化ビ
ニル系樹脂の表面に、アクリル系、フッ素系などの異な
る種類の高分子物質を接合するものではなく、塩化ビニ
ル系樹脂100%系の積層シートを採用できるので、塩
化ビニル系樹脂が本来持つ高周波溶着性などの特性を損
なうことがないので、縫製性、縫製部強力が変化しない
ので、従来と同様の取扱い、施工が可能である。
【0044】
【実施例】以下、実施例により詳しく説明するが、本発
明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例及
び比較例に示すに示す性能値は次の方法で測定した。
【0045】「屋外曝露汚染試験」JIS A 141
0に規定される方法で360日間実施した。 「汚れ除去性」屋外曝露したものを、綿布で拭き取っ
た。
【0046】「汚染性評価」汚染前のシート、曝露後の
シート、曝露後の汚れを綿布で拭き取ったシートの表面
をデジタル測色色差計算機(スガ試験機株式会社製)に
よりL値を測定し、次の計算式により汚染の程度汚れの
除去性を求めた。
【0047】汚染度:X=A−B/A ×100 汚染除去性:Y=A−C/A ×100 ここで、A:汚染試験前のシートのL値 B:屋外曝露後のシートのL値 C:屋外曝露後のシートの汚れを綿布で拭き取った後の
L値であり、Xの値が大きいものほど汚染がひどいこと
を現し、Yの値が小さいものほど汚れが落ちやすいこと
を現す。
【0048】「表面硬度」シート表面を島津製作所製の
島津ダイナミック超微小硬度計DUH−200型の三角
錘圧子115°で測定した。
【0049】「シワ」10cm平方の積層シートを二つ
折りにし、5Kgの荷重をかけて5日間放置した後の折
った部分の表皮フィルムのシワの程度を評価した。
【0050】○:シワの発生なし △:少量のシワが発生 ×:全体にシワが発生 「高周波溶着」精電舎電子工業株式会社製KM4000
TA型装置を用い、4KW出力、2Kg/cm2 圧力で処理
時間6秒で実施した。
【0051】「高周波接着強度」JIS K 6328
に基ずき、社団法人膜構造協会が規定する方法により3
cm幅で測定した。
【0052】「耐クリープ性」JIS K 6859に
基ずき、社団法人膜構造協会が規定する方法により60
℃、6時間処理後の評価を行った。
【0053】変化のないものを「異常なし」とし、部分
的または接合部が剥離したものを「異常あり」とした。
【0054】「可塑剤の移行量」5cm×5cmサイズの基
材と表皮材を重ね、8cm×8cmのガラス板の間にに挟
み、70g/cm2 の荷重を乗せ、80℃で500時間処
理した後の表皮材の重量変化から可塑剤の増減量を重量
%で計算した。(+)表示が増加、(−)表示が減少を
示す。
【0055】実施例1〜29、比較例1〜5 縦糸、緯糸に1000デニール、96フィラメントのポ
リエチレンテレフタレート繊維(東レ株式会社製)を使
用した平織物を常法により精練、乾燥、ヒートセットし
た。該織物の両面に次に示す樹脂組成で、180℃の温
度でカレンダー法により基材層(A)を被覆加工した。
【0056】 (基材a)塩化ビニル樹脂(平均重合度1000) 100重量部 ジ−2−エチルヘキシルフタレート 50 Cd−Zn系安定剤 3 炭酸カルシウム 10 酸化チタン 7 (基材b)塩化ビニル樹脂(平均重合度1000) 100重量部 テトラオクチルピロメリメート 65 Cd−Zn系安定剤 3 炭酸カルシウム 10 酸化チタン 7 (基材c)塩化ビニル樹脂(平均重合度1000) 100重量部 ELVALOY−HP533 90 Cd−Zn系安定剤 3 エポキシ化大豆油 6 酸化チタン 7 該シートの両面に次に示す表皮材フィルムを180℃で
熱圧着した。
【0057】[フィルム厚さ40μ] (表皮ア)塩化ビニル樹脂(平均重合度1000) 100重量部 ジ−2−エチルヘキシルフタレート 50 エポキシ化大豆油 6 Ba−Zn系安定剤 3 MBS樹脂 10 (表皮イ)表皮アのジ−2−エチルヘキシルフタレート
を40重量部とした (表皮ウ)表皮アのジ−2−エチルヘキシルフタレート
を30重量部とした (表皮エ)表皮アのジ−2−エチルヘキシルフタレート
を20重量部とした (表皮オ)表皮アのジ−2−エチルヘキシルフタレート
を10重量部とした (表皮カ)表皮アの可塑剤をテトラオクチルピロメリメ
ート40重量部とした (表皮キ)表皮アの可塑剤をテトラオクチルピロメリメ
ート30重量部とした (表皮ク)表皮アの可塑剤をテトラオクチルピロメリメ
ート20重量部とした (表皮ケ)表皮アの可塑剤をテトラオクチルピロメリメ
ート10重量部とした (表皮コ)表皮アの塩化ビニル樹脂平均重合度を200
0とした (表皮サ)塩化ビニル樹脂(平均重合度1000) 100重量部 ELVALOY−HP533 50 Cd−Zn系安定剤 3 エポキシ化大豆油 6 [フィルム厚さ100μ] (表皮シ)表皮アのジ−2−エチルヘキシルフタレート
を30重量部とした (表皮ス)表皮アのジ−2−エチルヘキシルフタレート
を20重量部とした (表皮セ)表皮アのジ−2−エチルヘキシルフタレート
を10重量部とした (表皮ソ)表皮アの可塑剤をテトラオクチルピロメリメ
ート30重量部とした (表皮タ)表皮アの可塑剤をテトラオクチルピロメリメ
ート20重量部とした 比較例として、表皮フィルムを接合していない基材層だ
けのものと次に示すフィルムを張合わせた。
【0058】(表皮チ)厚さ30μポリメタクリル酸エ
ステル系樹脂フィルムを180℃で熱溶着した (表皮ツ)厚さ20μのフッ化ビニリデンフィルムを接
着剤で接着した 評価結果を表2、3に示したが、本発明によるものは、
塩化ビニル系樹脂の高周波溶着性能を維持して、優れた
防汚性を発揮できることが判る。
【0059】
【表2】
【表3】
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、高周波溶着性などの基
本的機能を損なうことがなく、優れた防汚性を持つ、塩
化ビニル系樹脂100%系のシートを提供し得る。
【0061】本発明の防汚性シートは、テント、バック
リット、トラック用幌などに好適に使用できる。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂からなる基材層(A)の表
    面に熱可塑性樹脂からなる表皮層(B)が積層されてい
    るシートであって、表皮層(B)の表面硬度が基材層
    (A)より大きいことを特徴とする防汚性に優れた積層
    シート。
  2. 【請求項2】 島津製作所製の島津ダイナミック超微小
    硬度計DUH−200型の三角錐圧子115°で測定し
    た樹脂の硬度が、基材層(A)に対し、表皮層(B)が
    0.2以上大きいものである請求項1記載の防汚性に優
    れた積層シート。
  3. 【請求項3】 島津製作所製の島津ダイナミック超微小
    硬度計DUH−200型の三角錐圧子115°で測定し
    た表皮層(B)の硬度が0.5以上である請求項1記載
    の防汚性に優れた積層シート。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂が、塩化ビニル系樹脂であ
    る請求項1記載の防汚性に優れた積層シート。
  5. 【請求項5】 塩化ビニル系樹脂表皮層(B)の可塑剤
    配合量が基材層(A)より少ないものである請求項4記
    載の防汚性に優れた積層シート。
  6. 【請求項6】 表皮層(B)の塩化ビニル樹脂100重
    量部に対する可塑剤配合量が基材層(A)より5重量部
    以上少ないものである請求項5記載の防汚性に優れた積
    層シート。
  7. 【請求項7】 塩化ビニル系樹脂基材層(A)と表皮層
    (B)に配合される可塑剤の種類が異なるものである請
    求項4記載の防汚性に優れた積層シート。
  8. 【請求項8】 基材層(A)に配合された可塑剤がポリ
    エステル系可塑剤またはトリメリット酸エステル系可塑
    剤またはピロメリット酸エステル系可塑剤であり、表皮
    層(B)に配合された可塑剤がフタル酸エステル系可塑
    剤である請求項7記載の防汚性に優れた積層シート。
  9. 【請求項9】 塩化ビニル系樹脂表皮層(B)の塩化ビ
    ニル系樹脂の平均重合度が基材層(A)より大きいもの
    である請求項4記載の防汚性に優れた積層シート。
  10. 【請求項10】 表皮層(B)の塩化ビニル系樹脂の平
    均重合度が基材層(A)より500以上大きいものであ
    る請求項4記載の防汚性に優れた積層シート。
  11. 【請求項11】 基材層(A)および表皮層(B)に配
    合された可塑剤が、無可塑用のエチレン−酢酸ビニル共
    重合体またはエチレン−アクリル酸エステル共重合体ま
    たはこれらに一酸化炭素を導入したELVALOY(三
    井デュポンポリケミカル株式会社製)または塩素化パラ
    フィンである請求項4記載の防汚性に優れた積層シー
    ト。
  12. 【請求項12】 基材層(A)が、繊維基布との積層体
    である請求項1記載の防汚性に優れた積層シート。
  13. 【請求項13】 熱可塑性樹脂基材層(A)の表面に基
    材樹脂より表面硬度の大きい樹脂表皮層(B)をラミネ
    ートすることを特徴とする防汚性に優れた積層シートの
    製造法。
  14. 【請求項14】 基材層Aが、繊維基布との積層体であ
    る請求項13記載の防汚性に優れた積層シートの製造
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010060012A (ja) * 2008-09-02 2010-03-18 Tigers Polymer Corp 可撓性ホース

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