JPH07173711A - 抗菌性ビスコースレーヨン及びその製造方法 - Google Patents

抗菌性ビスコースレーヨン及びその製造方法

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JPH07173711A
JPH07173711A JP34487793A JP34487793A JPH07173711A JP H07173711 A JPH07173711 A JP H07173711A JP 34487793 A JP34487793 A JP 34487793A JP 34487793 A JP34487793 A JP 34487793A JP H07173711 A JPH07173711 A JP H07173711A
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啓三 菰渕
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 10%以下の第4級アンモニウム塩化合物の
添加量でも繰り返しの洗濯に対しても抗菌性の低下を防
ぐことができ、しかも、MRSAに対して優れた抗菌性
を示すビスコースレーヨン、及びその製造方法を提供す
る。 【構成】 ビスコースに陰イオンを有する高分子物質を
混合し、得られたビスコースを紡糸し、精錬してビスコ
ースレーヨンとする。このビスコースレーヨンを第4級
アンモニウム塩化合物の溶液または分散液にて処理す
る。前記第4級アンモニウム塩化合物は下記式で示され
る化合物である。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抗菌性を有するビスコー
スレーヨンに関し、特に、メチシリン耐性黄色ブドウ球
菌(略号:MRSA)に対して優れた抗菌性を有するビ
スコースレーヨン及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、抗菌性を有する繊維製品は、体臭
の発生を防止したり、また細菌感染防止の観点から注目
され、効果的な製品の出現が望まれている。特に、MR
SAに対して抗菌性を有する繊維製品はMRSA菌の繁
殖を防ぎ、院内感染を防止することが期待されるため、
そのような繊維製品の出現が望まれている。従来、繊維
製品に対する抗菌性、特に、MRSAに対する抗菌性付
与の手段としては、キトサンあるいは銀ゼオライトの練
り込みなどの方法が知られているが、キトサンはレーヨ
ンをゴワゴワにさせて風合いを低下させ、また銀ゼオラ
イトは硫化銀となりレーヨンの色調を黒化させるという
欠点があった。
【0003】また、従来、繊維に対し抗菌性を付与する
方法として、第4級アンモニウム塩化合物を付与するこ
とが知られており、例えば、特開昭63−275311
号公報には、低分子第4級アンモニウム塩化合物とアニ
オン性高分子第4級アンモニウム塩化合物とのアルコー
ル溶液を紙又は不織布に含浸させた清拭紙(いわゆる、
ウエットティッシュ)が開示されており、またこの清拭
紙は特に便座クリーナーに適していることが開示されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記公報に記載の抗菌
性を有する清拭紙の技術を、単にビスコースレーヨンに
適用、即ち、ビスコースレーヨンに前記抗菌性物質を含
浸させることにより得られる抗菌性ビスコースレーヨン
は、抗菌性の保持が十分ではないという問題がある。例
えば、このような抗菌性ビスコースレーヨンをシーツ、
病院内衣服等の繰り返し洗濯して使用される資材に適用
した場合、洗濯回数を重ねるにつれて、急速にその抗菌
性が低下するという問題があり、実用的ではない。
【0005】また、このような洗濯時の第4級アンモニ
ウム塩化合物の脱落を防ぐために、例えば、第4級アン
モニウム塩化合物を界面活性剤と共に用いて紡糸液(ビ
スコース)中に分散させる方法が考えられるが、この方
法では、界面活性剤が該第4級アンモニウム塩化合物に
作用して、第4級アンモニウム塩化合物の抗菌作用が低
下するという問題がある。
【0006】このような抗菌性作用の低下を防ぐために
は、第4級アンモニウム塩化合物を10%以上の多量添
加しなければならず、その結果、繊維表面がツルツルに
なり過ぎたり、また、後加工時に加熱されると第4級ア
ンモニウム塩化合物が分解して黄変をおこし、且つ繊維
の触感を損なったりするという問題があった。
【0007】本発明は上記の問題点を解決し、10%以
下の第4級アンモニウム塩化合物の含有量でも繰り返し
の洗濯に対しても抗菌性の低下を防ぐことができ、しか
も、MRSAに対して優れた抗菌性を示すビスコースレ
ーヨン及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記した問題点を解決す
るために、本発明の抗菌性ビスコースレーヨンは、ビス
コースレーヨン中に陰イオンを有する高分子物質が均一
に分布されており、且つ該ビスコースレーヨンの表面に
第4級アンモニウム塩化合物が保持されていることを特
徴とする。
【0009】また本発明の抗菌性ビスコースレーヨンの
製造方法は、ビスコースに陰イオンを有する高分子物質
を混合し、得られたビスコースを紡糸し、精錬してビス
コースレーヨンとし、該ビスコースレーヨンを第4級ア
ンモニウム塩化合物のアルコール溶液又は水分散液にて
処理することを特徴とする。アルコールとしては、エタ
ノール、イソプロピルアルコールが一般的である。
【0010】本発明の抗菌性ビスコースレーヨンは、優
れた抗菌性、特にMRSAに対して優れた抗菌作用を示
し、また繰り返しの洗濯に対しても抗菌作用の低下を減
少させることができる。
【0011】本発明において陰イオンを有する高分子物
質は、カルボキシメチルセルロース(略号:CMC)、
アルギン酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリ
ウム、ポリメタクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナ
トリウム又はそれらの共重合物、酸化澱粉、リン酸澱
粉、マレイン酸イソブチレン共重合物等の1種類以上の
ものが使用でき、特にポリスチレンスルホン酸ナトリウ
ムが好ましい。これら高分子物質のうちCMCはカルボ
キシル基を有するため第4級アンモニウム塩化合物との
結合をより強固にする作用がある。
【0012】特に、これらの陰イオンを有する高分子物
質は、その分子量が1万〜50万のものが好ましい。そ
の分子量が1万未満であると紡糸時に脱落しやすく、紡
浴の汚染、コスト高等の原因となり好ましくない。一
方、その分子量が50万を越えるものは、添加量にもよ
るがビスコースの粘度を上昇させる原因となり、ビスコ
ース中への均一分散が困難になるので、結果的に抗菌剤
の吸着、定着力を低下させる原因となる。
【0013】本発明で使用する第4級アンモニウム塩化
合物は、下記の式(1)で示される化合物である。
【0014】
【化2】 特に好ましくは、ジデシルジメチルアンモニウムクロラ
イド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、
ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシアル
キルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシアルキル
ジメチルベンジルアンモニウムクロライド、牛脂アルキ
ルトリメチルアンモニウムクロライド、硬化牛脂アルキ
ルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルト
リメチルアンモニウムクロライドなどである。
【0015】ビスコースレーヨンにおける前記陰イオン
を有する高分子物質の含有量は、0.01〜30%、特
に、0.5〜5%のものが好ましい。その含有量が0.
01%未満の濃度ではカチオン性抗菌剤第4級アンモニ
ウム塩化合物の吸着が弱まり、30%を越えると紡浴を
汚染し、ビスコースレーヨンの風合いの低下が起こるた
め好ましくないからである。
【0016】また、ビスコースレーヨンにおける前記第
4級アンモニウム塩化合物の含有量は、0.001〜1
0%、特に、0.03〜5%が好ましい。その含有量が
0.001%未満の濃度では抗菌性不足になり、10%
を越えると繊維表面がツルツルしすぎて繊維の風合いが
低下したり、また第4級アンモニウム塩化合物の分解に
より黄変等の着色の発生を伴うため好ましくないからで
ある。
【0017】本発明の抗菌性ビスコースレーヨンの製造
方法は、次の方法によって行なうことができる。ビスコ
ースレーヨン製造用のビスコースに、陰イオンを有する
高分子物質を添加混合し微分散させる。この陰イオンを
有する高分子物質の添加混合微分散の方法は、ビスコー
スザンテートを溶解するときに添加する方法、ビスコー
スに添加して攪拌させる方法、ビスコースの紡糸直前に
混合機で微分散させる方法などが採用できる。
【0018】陰イオンを有する高分子物質のビスコース
への添加量は、紡糸時の紡浴中への溶出を考慮し、目的
とする最終ビスコースレーヨン中のその存在量より若干
多くすることが必要である。紡糸の際の歩止まりは、該
高分子物質の分子量の種類によっても異なり、経験的に
決められる。通常、該高分子物資の分子量が1万以上で
あれば、ほとんど溶出することなくそのほぼ90%以上
を繊維内にとどめることができる。
【0019】また、分子量の高い前記高分子物質を多量
にビスコース中に加えると粘度が上昇し、紡糸が円滑に
行えなくなる。そこで、その分子量が50万を越えるも
のは好ましくない。その添加量は、ビスコースの粘度が
30〜80poisとなるよう高分子物質の種類や性質
により適宜調節し、10pois前後の粘度で添加する
のが好ましい。
【0020】前記のようにして得られた陰イオンを有す
る高分子物質が微分散されたビスコースは、通常のビス
コースの紡糸方法と同一の方法によって、紡糸を行うこ
とができる。すなわち、ビスコースレーヨン製造方法に
従って、硫酸、硫酸ナトリウム、硫酸亜鉛からなる酸性
紡糸浴中に吐出紡糸し、延伸し、精練し、乾燥する。陰
イオンを有する高分子物質を添加したビスコースは、強
力レーヨン用ビスコース、ポリノジック用ビスコース及
びレーヨンペーパー用ビスコースとして用いることがで
きる。
【0021】第4級アンモニウム塩化合物を繊維に含ま
せるには、上記のようにビスコースを紡糸、延伸、精錬
して得られたビスコースレーヨンに対して、第4級アン
モニウム塩化合物の溶液又は分散液の形態で付与するこ
とにより行われる。その付与の方法としては、浸漬法、
スプレー法、いずれの方法も採用できる。
【0022】紡糸後の第4級アンモニウム塩化合物のビ
スコースレーヨンへの付与の時期は、その精練後であれ
ばいずれの段階でもよいが、特に、その乾燥前に付与す
る方が繊維内部へ均一に浸透して浸透性が高くなり、ま
た二度の乾燥の必要がなくなるので有利である。
【0023】以上のようにして得られた本発明の抗菌性
ビスコースレーヨンは、繰り返し洗濯しても抗菌性の減
少を防ぐことができ、一般細菌のみならず、特にMRS
Aに対し優れた抗菌効果を有する。また、通常の繊維と
同様に製綿化、紡績、織編が可能であり、必要に応じて
他の繊維と混綿、混紡、交織交編を行ない、布団、シー
ツ、マット、カーペット、カーテン、白衣、障子、壁
紙、ソックス、肌着、シャツなどに応用することができ
る。
【0024】また、本発明における陰イオンを有する高
分子物質及び第4級アンモニウム塩化合物の各々のビス
コースレーヨン中の含有量であれば、未添加の普通ビス
コースレーヨン素材と比べて、繊維性能、風合いなどは
何等変わることなく、良好な紡績性を有している。加え
て抗菌性に関する耐洗濯性も十分であり、綿や糸の染色
工程に対しても抗菌性能は十分保持される。
【0025】
【実施例】
〔実施例1〕セルロース濃度8.5重量%、アルカリ濃
度5.7重量%の普通レーヨンビスコース液に、ポリス
チレンスルホン酸ナトリウム(PSS−Na:商品名、
徳山曹達(株)製、スルホン化度84%、分子量2万)
を対セルロース当り5.0重量%になるように混合し微
分散させた。得られたビスコース(粘度:70poi
s)を常法に従って47℃の硫酸98g/l、硫酸ナト
リウム360g/l、硫酸亜鉛17g/lからなる紡糸
浴中に紡出し、延伸し、精練して、ポリスチレンスルホ
ン酸ナトリウムを4.6%含んだ練り込みビスコースレ
ーヨンを作成した。
【0026】対ビスコースレーヨン当り3.0重量%の
ジデシルジメチルアンモニウムクロライド(アーカード
210−50:商品名、ライオン(株)製)溶液に、前
記工程で得られたポリスチレンスルホン酸ナトリウム練
り込みビスコースレーヨンを、40℃で2分間浸漬し、
脱水し、乾燥して、ジデシルジメチルアンモニウムクロ
ライドが2.8%付着した本実施例1の抗菌性ビスコー
スレーヨンを得た。
【0027】〔実施例2〕セルロース濃度8.5重量
%、アルカリ濃度5.7重量%の普通レーヨンビスコー
ス液に、アルギン酸ナトリウム(1−3F:商品名、君
津化学工業(株)製、平均分子量5万)を対セルロース
当り1.0重量%になるように混合し微分散させた。得
られたビスコース(粘度:70pois)を常法に従っ
て47℃の硫酸98g/l、硫酸ナトリウム360g/
l、硫酸亜鉛17g/lからなる紡糸浴中に紡出し、延
伸し、精練して、アルギン酸ナトリウムを0.9%含ん
だ練り込みビスコースレーヨンを作成した。
【0028】対ビスコースレーヨン当り3.0重量%の
ヤシアルキルトリメチルアンモニウムクロライド(ニッ
サンカチオンFB:商品名、日本油脂(株)製)溶液
に、前記工程で得られたアルギン酸ナトリウム練り込み
ビスコースレーヨンを、40℃で2分間浸漬し、脱水
し、乾燥して、ヤシアルキルトリメチルアンモニウムク
ロライドが2.7%付着した本実施例2の抗菌性ビスコ
ースレーヨンを得た。
【0029】〔実施例3〕セルロース濃度8.5重量
%、アルカリ濃度5.7重量%の普通レーヨンビスコー
ス液に、ポリアクリル酸ナトリウム(アクアリックDL
522:商品名、日本触媒(株)製、平均分子量22
万)を対セルロース当り2.5重量%になるように混合
微分散させた。得られたビスコース(粘度:70poi
s)を常法に従って47℃の硫酸98g/l、硫酸ナト
リウム360g/l、硫酸亜鉛17g/lからなる紡糸
浴中に紡出し、延伸し、精練して、ポリアクリル酸ナト
リウムを2.3%含んだ練り込みビスコースレーヨンを
作成した。
【0030】対ビスコースレーヨン当り2.0重量%の
ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド(ニッサン
カチオンVB:商品名、日本油脂(株)製)溶液に、前
記工程で得られたポリアクリル酸ナトリウム練り込みビ
スコースレーヨンを40℃で2分間浸漬し、脱水し、乾
燥して、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライドが
1.9%付着した本実施例3の抗菌性ビスコースレーヨ
ンを得た。
【0031】〔実施例4〕セルロース濃度8.5重量
%、アルカリ濃度5.7重量%の普通レーヨンビスコー
ス液に、カルボキシメチルセルロース(和光純薬工業
(株)製試薬:平均分子量11万)を対セルロース当り
1.0重量%になるように混合して微分散させた。得ら
れたビスコース(粘度:70pois)を常法に従って
47℃の硫酸98g/l、硫酸ナトリウム360g/
l、硫酸亜鉛17g/lからなる紡糸浴中に紡出し、延
伸し、精練して、カルボキシメチルセルロースを0.9
%含んだ練り込みビスコースレーヨンを作成した。
【0032】対ビスコースレーヨン当り3.0重量%の
ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド(アーカ
ード18−63:商品名、ライオン(株)製)溶液に、
前記工程で得られたカルボキシメチルセルロース練り込
みビスコースレーヨンを、40℃で2分間浸漬し、脱水
し、乾燥して、ステアリルトリメチルアンモニウムクロ
ライドが2.8%付着した本実施例4の抗菌性ビスコー
スレーヨンを得た。
【0033】〔比較例1〕セルロース濃度8.5重量
%、アルカリ濃度5.7重量%の普通レーヨンビスコー
ス液(粘度:70pois)を常法に従って47℃の硫
酸98g/l、硫酸ナトリウム360g/l、硫酸亜鉛
17g/lからなる紡糸浴中に紡出し、延伸し、精練
し、乾燥して、普通ビスコースレーヨンを作成した。
【0034】対ビスコースレーヨン当り3.0重量%の
ジデシルジメチルアンモニウムクロライド(アーカード
210−50:商品名、ライオン(株)製)溶液に、前
記工程で得られた普通ビスコースレーヨンを40℃で2
分間浸漬して、ジデシルジメチルアンモニウムクロライ
ドが2.8%付着した比較例1のビスコースレーヨンを
得た。
【0035】〔比較例2〕セルロース濃度8.5重量
%、アルカリ濃度5.7重量%の普通レーヨンビスコー
ス液(粘度:70pois)を常法に従って47℃の硫
酸98g/l、硫酸ナトリウム360g/l、硫酸亜鉛
17g/lからなる紡糸浴中に紡出し、延伸し、精練
し、乾燥して、普通ビスコースレーヨンを作成した。
【0036】対ビスコースレーヨン当り2.0重量%の
ヤシアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド
(ニッサンカチオンF2コンク:商品名、日本油脂
(株)製)溶液に、前記工程で得られた普通ビスコース
レーヨンを40℃で2分間浸漬して、ヤシアルキルジメ
チルベンジルアンモニウムクロライドが1.7%付着し
た比較例2のビスコースレーヨンを得た。
【0037】〔比較例3〕セルロース濃度8.5重量
%、アルカリ濃度5.7重量%の普通レーヨンビスコー
ス液に、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド
(アーカード18−63:商品名、ライオン(株)製)
を、対セルロース当り3.0重量%になるように混合微
分散させた。得られたビスコース(粘度:70poi
s)を常法に従って47℃の硫酸98g/l、硫酸ナト
リウム360g/l、硫酸亜鉛17g/lからなる紡糸
浴中に紡出し、延伸し、精練して、ステアリルトリメチ
ルアンモニウムクロライドを2.2%含む比較例3の練
り込みビスコースレーヨンを作成した。
【0038】〔比較例4〕抗菌処理を何もしない普通ビ
スコースレーヨンを常法に従って作成し、比較例4のビ
スコースレーヨンとした。
【0039】上記実施例1〜4、比較例1〜4の各々の
ビスコースレーヨンについて、MRSAに対する抗菌性
評価を行なった。評価方法としては、以下の条件で抗菌
性の測定及び洗濯を行なった。
【0040】抗菌性の測定 1)試験に用いた細菌 Methicillin-resistant Staphylococcus aureus 2)試験方法 抗菌性の評価方法としては、繊維製品化衛生加工協議会
制定統一規準の衛生加工製品の加工評価試験方法である
シェークフラスコ法(CTM0923法)によって行な
った。減菌率は、次式により算出した。
【0041】
【数1】 3)洗濯方法 JIS C 9606(電気洗濯機)の規格に基づき洗
濯を行なった。家庭用電気洗濯機を用い、洗剤ニュービ
ーズ(登録商標:花王(株)製)2g/lを含有する4
0℃の水溶液中で5分間洗濯した後、水洗を2分間行な
い、脱水し、さらに水洗を2分間行ない、脱水し、乾燥
した。繰り返し洗濯は上記操作を繰り返し行なうことに
より実施した。
【0042】前記実施例1〜4、比較例1〜4により得
られたビスコースレーヨンについて、洗濯を0、3、
5、10、30、50回それぞれ行ない、減菌率を測定
して求めた。得られた値を下記の表1に示す。
【0043】
【表1】 表1によれば、比較例1、2のように単に抗菌剤のみを
吸着させたサンプルでは洗濯耐性が悪く、5回程度しか
その抗菌性が持続しないことがわかる。これに対して、
実施例1〜4のように陰イオンを有する高分子物質を練
り込み、且つ第4級アンモニウム塩化合物の溶液又は分
散液の処理をしたビスコースレーヨンは、洗濯耐性が5
0回以上に上がり、抗菌性を保持する効果があることが
判る。また、比較例3のように第4級アンモニウム塩化
合物を練り込み、紡糸して得られたビスコースレーヨン
は、洗濯を行なうと抗菌効果がなかった。
【0044】〔比較例5〕普通ビスコースレーヨンを常
法に従って作成した。一方、対ビスコースレーヨン当
り、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PSS−N
A:商品名、徳山ソーダ(株)製、スルホン化度84
%、分子量2万)を1.0重量%及びジデシルメチルア
ンモニウムクロライド(アーカード210−50:商品
名、ライオン(株)製)を5.0重量%になるように5
0%エタノール溶液に混合分散させて浸漬液を調整し
た。この浸漬液に前記普通ビスコースレーヨンを40
℃、2分間浸漬し、脱水し、乾燥してポリスチレンスル
ホン酸ナトリウムが0.9%、ジデシルジメチルアンモ
ニウムクロライドが4.5%付着した比較例5のビスコ
ースレーヨンを作成した。得られたビスコースレーヨン
の洗濯回数に対する減菌率の測定を行ない、その結果を
次の表2に示す。
【0045】
【表2】 前記表2によれば、比較例5の浸漬処理により得られた
ビスコースレーヨンは抗菌性保持についての洗濯耐性が
ないことが分かる。
【0046】〔実施例5〜9〕前記実施例1〜4の方法
において、使用する陰イオンを有する高分子物質と第4
級アンモニウム塩化合物の種類を変えた以外は、同様に
して本実施例5〜9の抗菌性ビスコースレーヨンを製造
した。用いた陰イオンを有する高分子物質は下記のA、
B、C、Dに示す化合物であり、また用いた第4級アン
モニウム塩化合物は下記のア、イ、ウ、エに示す化合物
である。本実施例5〜9に用いた陰イオンを有する高分
子物質と第4級アンモニウム塩化合物の種類の組合せは
下記の表3に示す。このようにして得られた本実施例5
〜9抗菌性ビスコースレーヨンについて、洗濯を50回
行ない、その減菌率を測定して求めた。得られた値を下
記の表3に示す。
【0047】A:ポリスチレンスルホン酸ナトリウム
(対繊維重量3.0%) B:ポリアクリル酸ナトリウム(対繊維重量5.0%) C:アルギン酸ナトリウム(対繊維重量2.0%) D:カルボキシメチルセルロース(対繊維重量1.5
%) ア:ヤシアルキルトリメチルアンモニウムクロライド
(対繊維重量3.0%)(ニッサンカチオンFB:商品
名、日本油脂(株)製) イ:牛脂トリメチルアンモニウムクロライド(対繊維重
量2.0%)(ニッサンカチオンABT2 −500:商
品名、日本油脂(株)製) ウ:ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド(対
繊維重量1.0%) エ:ジデシルジメチルアンモニウムクロライド(対繊維
重量3.0%)
【0048】
【表3】
【0049】
【発明の効果】本発明の製造方法により得られた抗菌性
ビスコースレーヨンは、繰り返し洗濯しても抗菌性の低
下を防ぐことができ、しかも、一般細菌のみならず、特
にMRSAに対して優れた抗菌性を示すビスコースレー
ヨンとすることができる。
【0050】本発明の抗菌性ビスコースレーヨンは、通
常の繊維と同様に製綿化、紡績、織編が可能であり、必
要に応じて他の繊維と混綿、混紡、交織交編を行ない、
布団、シーツ、マット、カーペット、カーテン、白衣、
障子、壁紙、ソックス、肌着、シャツなどに長期間にわ
たり抗菌性を付与することができる。
【0051】本発明の抗菌性ビスコースレーヨンは、第
4級アンモニウム化合物の含有量が0.001〜10%
と少なくて、繰り返しの洗濯に対しても抗菌性の低下を
防ぐことができるので、該第4級アンモニウム化合物の
含有量を10%以上の多量にする必要がなく、したがっ
て、繊維性能、風合いなども損ねることはない。
【0052】また、本発明の抗菌性ビスコースレーヨン
は、綿や糸の染色工程などにも十分に耐え抗菌性を保持
することができる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビスコースレーヨン中に陰イオンを有す
    る高分子物質が均一に分布されており、且つ該ビスコー
    スレーヨンの表面に第4級アンモニウム塩化合物が保持
    されていることを特徴とする抗菌性ビスコースレーヨ
    ン。
  2. 【請求項2】 前記陰イオンを有する高分子物質が、分
    子量1万〜50万のカルボキシメチルセルロース、アル
    ギン酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウ
    ム、ポリメタクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナト
    リウム又はそれらの共重合物、酸化澱粉、リン酸澱粉、
    マレイン酸イソブチレン共重合物などから選ばれた1種
    類以上の高分子物質である請求項1記載の抗菌性ビスコ
    ースレーヨン。
  3. 【請求項3】 前記第4級アンモニウム塩化合物が、下
    記式で示される化合物である請求項1又は2記載の抗菌
    性ビスコースレーヨン。 【化1】
  4. 【請求項4】 前記第4級アンモニウム塩化合物が、第
    4級ジメチルアンモニウム塩化合物及び第4級トリメチ
    ルアンモニウム塩化合物から選択されたものである請求
    項1、2又は3記載の抗菌性ビスコースレーヨン。
  5. 【請求項5】 前記第4級アンモニウム塩化合物が、ジ
    デシルジメチルアンモニウムクロライドである請求項
    1、2、3又は4記載の抗菌性ビスコースレーヨン。
  6. 【請求項6】 ビスコースレーヨンにおける前記陰イオ
    ンを有する高分子物質の含有量は、0.01〜30%
    (対繊維重量)である請求項1、2、3、4又は5記載
    の抗菌性ビスコースレーヨン。
  7. 【請求項7】 ビスコースレーヨンにおける前記第4級
    アンモニウム塩化合物の含有量は、0.001〜10%
    (対繊維重量)である請求項1、2、3、4、5又は6
    記載の抗菌性ビスコースレーヨン。
  8. 【請求項8】 (1)ビスコースに陰イオンを有する高
    分子物質を混合し、 (2)得られたビスコースを紡糸し、精錬してビスコー
    スレーヨンとし、 (3)該ビスコースレーヨンを第4級アンモニウム塩化
    合物の溶液又は分散液にて処理することを特徴とする抗
    菌性ビスコースレーヨンの製造方法。
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