JPH07172516A - 吊り下げ式ラック装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 建物内の有効スペースを侵すことなく、冷凍
庫や二階以上の倉庫等のレールの埋設が不可能でかつ床
支持力の低い建物内にも採用できる吊り下げ式ラック装
置を提供する。 【構成】 四隅の支柱７とこの支柱７間に設けた棚板８
とから直方体状に組み立てられたラックユニット６が、
水平方向に移動自在に吊り下げられている吊り下げ式ラ
ック装置において、前記ラックユニット６で構成された
相対向する一対の固定ユニット３を床２上に間隔をおい
て載置する。この固定ユニット３の上面間に架設した水
平方向の支持梁４に前記ラックユニット６で構成された
移動ユニット５を移動自在に吊り下げる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、吊り下げ式ラック装置
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】各種工場や倉庫においては、物品の格納
・取出を効率的に行うべく、四隅の支柱とこの支柱間に
設けた棚板とから直方体状に組み立てられたラックユニ
ットを限られたスペース内に移動自在に設けているが、
かかるラックユニットを移動自在に設ける手段として、
床上に敷設したレール上に上記ラックユニットを走行自
在に設けたものがある（特願平３−３１２７４３号）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記レール式のラック
装置を既存の建物内に設ける場合には、床上にレールを
敷設する必要がある。このため、従来では床コンクリー
トを削ってレールを埋設したり、床コンクリートを増打
ちしたりしていたが、これでは施工コストが高くなる。

【０００４】一方、かかる不都合を解消すべく、床上に
並設した門型フレームの上弦材に複数のラックユニット
を移動自在に吊り下げることが考えられる。しかし、門
型フレームの上弦材にすべてのラックユニットを吊り下
げた場合、各ユニットの荷重が門型フレームの柱材を介
して床面に伝達され、その柱材の接地部に膨大な荷重が
集中する。従って、既設の床コンクリートの強度上の問
題から当該ラック装置を設けられないことが多く、この
ことは、床下に断熱材を設ける関係で床コンクリートが
比較的薄くなっている冷凍庫や、二階以上のフロアに設
置された倉庫では特に顕著であった。

【０００５】このため、門型フレームの柱材の太さや接
地面積を可及的に大きくとることでこれに対処しするこ
とが考えられるが、これでは建物内の有効スペースが侵
されることになる。本発明は、このような実情に鑑み、
建物内の有効スペースを侵すことなく、冷凍庫や二階以
上の倉庫等のレール埋設工事が不可能でかつ床支持力の
低い建物内にも採用できる吊り下げ式ラック装置を提供
することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく、
本発明は次のような技術的手段を講じた。即ち、本発明
は、四隅の支柱とこの支柱間に設けた棚板とから直方体
状に組み立てられたラックユニットが、水平方向に移動
自在に吊り下げられている吊り下げ式ラック装置であっ
て、前記ラックユニットで構成された相対向する一対の
固定ユニットが床上に間隔をおいて載置され、この固定
ユニットの上面間に架設した水平方向の支持梁に前記ラ
ックユニットで構成された移動ユニットが移動自在に吊
り下げられていることを特徴とする（請求項１）。

【０００７】また、上記発明において、支持梁を下から
支承する支承手段を前記固定ユニット上の水平方向中央
に配置する（請求項２）。請求項１又は２に記載の発明
において、上記移動ユニットがその長手方向に長大であ
ってかつその短手方向に移動されるときは、移動ユニッ
トは、短手方向に並ぶ左右一対の間柱を長手方向に渡っ
て多数対備えかつこの左右一対の間柱の上端間を連結す
る短手方向の横梁を有し、この各横梁の両端部に吊り下
げ部材が取り付けられ、この吊り下げ部材に設けた走行
ローラーが前記横梁に平行でかつその直上にそれぞれ配
置された支持梁に転動自在に支持される（請求項２）。

【０００８】上記発明において、移動ユニットを自走さ
せる場合には、移動ユニットは、一つの横梁に設けた吊
り下げ部材のうちいずれか一方の吊り下げ部材の走行ロ
ーラーを回転させる駆動モーターを備え、この駆動モー
ターによって駆動される各走行ローラーを前記移動ユニ
ットの移動方向において交互に分散して配置するように
する（請求項４）。

【０００９】この場合、駆動モーターの駆動力を当該移
動ユニットの移動方向に直交する方向に並設された複数
の走行ローラーに伝える伝動機構を設けることができる
（請求項５）。

【００１０】

【作用】本発明では、移動ユニット５を支持する支持梁
４がラックユニット６で構成された固定ユニット３で支
持されているので、当該ラック装置１の両側も物品の収
納スペースとして利用でき、しかも床２への荷重を固定
ユニット３の各支柱７へ分散できる支持梁４の支承手段
を固定ユニット３上の水平方向中央に配置した場合、支
持梁４にかかる荷重が固定ユニット３の左右の支柱７に
均等に配分される。

【００１１】また、請求項３に記載の発明の場合、移動
ユニット５が各支持梁４の直下に位置する横梁１７に設
けた吊り下げ部材２７を介して各支持梁４に対して移動
自在に吊り下げられ、しかもその横梁１７が間柱９の上
端に連結されているため、ラック内の物品の重量が間柱
９を介して各横梁１７に均等に伝達される。

【００１２】

【実施例】以下、図面を参照しつつ、本発明の実施例に
ついて説明する。図１乃至図６は、本発明の第一実施例
を示している。同図において、本実施例における吊り下
げ式ラック装置１は、床２上に間隔をおいて載置された
相対向一対の固定ユニット３と、この固定ユニット３の
上面間に架設した水平方向の支持梁４と、この支持梁４
に対して移動自在に吊り下げられた移動ユニット５とを
備えている。

【００１３】固定ユニット３と移動ユニット５とはいず
れも同じラックユニット６で構成されていて、このラッ
クユニット６は四隅の支柱７とこの支柱７間に設けた上
下二枚の棚板８とから直方体状に組み立てられている。
本実施例のラックユニット６は、その短手方向（図１の
左右方向）に比べて長手方向（図２の左右方向）に長大
であり、短手方向に並ぶ左右一対の間柱９を長手方向に
渡って多数対有し、この各間柱９間及びこれと支柱７と
の間の各スパンに、前記二枚の棚板８で仕切られた上下
三段の収納庫１０が形成されている。また、短手方向に
並ぶ左右一対の支柱７間及び左右一対の間柱９間はトラ
ス１１で互いに連結されている。

【００１４】固定ユニット３の下端にはベース枠１２が
固定され、かつ固定ユニット３の上端には天井枠１３が
固定されている。ベース枠１２は、図５に示すようにＨ
鋼よりなる大引き材１４を方形に枠組みしてなり、支柱
７及び間柱９の相当位置に短手方向方向の大引き材１４
が配置されかつこの大引き材１４下面に鋼板製のベース
板１５が設けられていて、これによって支柱７や間柱９
にかかる荷重を分散させている。

【００１５】図１に示すように、一対の固定ユニット３
はその短手方向に間隔をおいてかつ互いに平行に床２上
に載置されていて、この一対の固定ユニット３間の間隔
は、その間に設ける移動ユニット５の短手方向の幅寸法
に作業車両（例えば、フォークリフト）１６の車両幅を
加えた寸法に設定されている。移動ユニット５は、二つ
のラックユニット６をその短手方向で近接した状態で連
結してなる。すなわち、この二つのラックユニット６
は、その上端間を連結する短手方向の横梁１７とその下
端間を連結する下端フレーム１８によって互いに接続さ
れていて、前記横梁１７は当該ラックユニット６の短手
方向に並ぶ左右一対の支柱７の上端間及び左右一対の間
柱９の上端間に架設されている。

【００１６】また、この二つのラックユニット６は互い
の支柱７間及び間柱９間を連結する連結棒１９によって
も接続され、この各連結棒１９間にブレース２０が架設
されている。なお、作業車両１６の前後部下側には縦軸
回りに回転する左右一対のガイドローラー２１が設けれ
ており、このガイドローラー２１を固定ユニット３のベ
ース枠１２及び移動ユニット５の下端フレーム１８の外
側面に接地させながら作業車両１６を走行させることに
より、物品の格納・取出作業時における移動ユニット５
の横振れを防止することができる。

【００１７】移動ユニット５は、固定ユニット３の上面
間に架設したＨ鋼よりなる支持梁４に短手方向に移動自
在に吊り下げられていて、この支持梁４は固定ユニット
３の長手方向に渡って多数設けられ、各支持梁４は移動
ユニット５の各横梁１７と平行にかつその直上にそれぞ
れ配置されている。本実施例では、前記支持梁４を下か
ら支承する支承手段２２が固定ユニット３上の短手方向
中央に配置されていて、これにより支持梁４にかかる移
動ユニット５の全重量が短手方向両側の支柱７及び間柱
９に均等に分散されるようになっている。

【００１８】上記支承手段２２としては図３又は図４に
示すものを採用できる。このうち図３に示す支承手段２
２は、支持梁４と天井枠１３との間に接続プレート２３
が介装され、一対のボルト２４で支持梁４及び天井枠１
３のフランジ部が共締めされている。また、図４に示す
支承手段２２は、天井枠１３の上面と支持梁４の下面に
それぞれ固定した支承ブラケット２５をピン２６で互い
に連結してなる。

【００１９】移動ユニット５の各横梁１７の両端部に
は、同ユニット５を支持梁４に対して移動自在に吊り下
げるための吊り下げ部材２７が取り付けられている。図
２に示すように、この吊り下げ部材２７は、横梁１７の
両側面に固定した一対のブラケット２８と、この各ブラ
ケット２８に横軸回り回転自在に設けられた走行ローラ
ー２９とを備えている。

【００２０】各走行ローラー２９は横梁１７の下フラン
ジ部に転動自在に支持されており、この各走行ローラー
２９が横梁１７に沿って転動することにより、当該移動
ユニット５がその短手方向において移動自在となってい
る。従って、本実施例の移動ユニット５は、各支持梁４
の直下に位置する横梁１７に設けた吊り下げ部材２７を
介して各支持梁４に対して移動自在に吊り下げられてお
り、しかもその横梁１７が支柱７及び間柱９の上端に連
結されているため、各収納庫１０内の物品の重量が間柱
９及び横梁１７を介して各支持梁４に均等に伝達される
ことになる。

【００２１】本実施例では、移動ユニット５はこれを自
走させるための駆動モーター（例えば、電動モーター）
３０を備えており、この駆動モーター３０は、図２に示
すように一つの横梁１７に設けられている前記吊り下げ
部材２７のうちいずれか一方の吊り下げ部材２７の走行
ローラー２９に直結されている。また、図６に示すよう
に、ある横梁１７の駆動モーター３０が左側ならばその
隣の横梁１７の駆動モーター３０は右側というように、
走行ローラー２９に直結の駆動モーター３０を移動ユニ
ット５の短手方向（図６の上下方向）において交互に分
散して配置しており、このように駆動する走行ローラー
２９の走行方向の位置を変えることによって長手方向に
長大な移動ユニット５をスムーズに走行させるようにし
ている。

【００２２】図７及び図８は本発明の第二実施例を示
し、この実施例では、移動ユニット５の駆動方式が第一
実施例と異なり、その他は第一実施例の場合と同様であ
る。すなわち、本実施例の移動ユニット５は、その駆動
モーター３０の駆動力を当該移動ユニット５の移動方向
に直交する方向（図８の左右方向）に並設された複数の
走行ローラー３３に伝える伝動機構３１を備えている。

【００２３】この伝動機構３１は、間柱９の二スパン間
に渡って架設された伝動シャフト３２と、この伝動シャ
フト３２の両端及び中央に固定した三つの走行ローラー
３３と、伝動シャフト３２側のプーリーと駆動モーター
３０側のプーリー間に巻き掛けたベルト３４とを備えて
いる。伝動シャフト３２は各横梁１７の両側面に固定し
た支持ブラケット３５に挿通されていて、この支持ブラ
ケット３５間に介装された走行ローラー３３は、支持梁
４の上面に転動自在に支持されている。

【００２４】従って、駆動モーター３０の駆動力は伝動
シャフト３２を介して三つの走行ローラー３３に伝達さ
れ、これによって当該駆動モーター３０の個数を低減さ
せるようにしている。なお、上記した実施例において、
移動ユニット５は一つのラックユニット６から構成する
ことができ、また三つのラックユニット６を短手方向で
互いに連結することによって構成することもできる。

【００２５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の吊り下げ
式ラック装置１によれば、当該ラック装置１の両側も物
品の収納スペースとして利用でき、しかも床２への荷重
を固定ユニット３の各支柱７（間柱９を有する場合はこ
れも含む。）へ分散できるので、建物内の有効スペース
を侵すことなく、冷凍庫や二階以上の倉庫等のレール埋
設工事が不可能でかつ床２の支持力が低い建物内にも採
用できる。

【００２６】請求項２に記載の発明によれば、支持梁４
にかかる荷重が左右の支柱７に均等に分散されるので、
床２の支持力がより低い場合にも対応できる。また、請
求項３に記載の発明によれば、ラック内の物品の重量が
間柱９を介して各横梁１７に均等に伝達されるので、長
手方向に長大な移動ユニット５であっても支持梁４に対
して無理なく吊り下げることができる。

【００２７】請求項４に記載の発明によれば、駆動され
る各走行ローラー２９が移動ユニット５の移動方向にお
いて交互に分散して配置されているので、長手方向に長
大な移動ユニット５であってもスムーズに走行させるこ
とができる。請求項５に記載の発明によれば、伝動機構
３１が駆動モーター３０の駆動力を移動ユニット５の移
動方向に直交する方向に並設された複数の走行ローラー
３３に伝えるので、駆動モーターの個数を低減すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】第一実施例の吊り下げ式ラック装置の正面図で
ある。

【図２】同装置の側面図である。

【図３】支承手段の正面図である。

【図４】他の支承手段の正面図である。

【図５】ベース枠の平面図である。

【図６】駆動モーターの平面配置図である。

【図７】第二実施例の吊り下げ式ラック装置の正面図で
ある。

【図８】伝動機構の平面配置図である。

【符号の説明】

１ 吊り下げ式ラック装置 ２ 床 ３ 固定ユニット ４ 支持梁 ５ 移動ユニット ６ ラックユニット ７ 支柱 ８ 棚板 ９ 間柱 １７ 横梁 ２２ 支承手段 ２７ 吊り下げ手段 ２９ 走行ローラー ３１ 伝動機構 ３３ 走行ローラー

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 四隅の支柱（７）とこの支柱（７）間に
   設けた棚板（８）とから直方体状に組み立てられたラッ
   クユニット（６）が、水平方向に移動自在に吊り下げら
   れている吊り下げ式ラック装置であって、 前記ラックユニット（６）で構成された相対向する一対
   の固定ユニット（３）が床（２）上に間隔をおいて載置
   され、この固定ユニット（３）の上面間に架設した水平
   方向の支持梁（４）に前記ラックユニット（６）で構成
   された移動ユニット（５）が移動自在に吊り下げられて
   いることを特徴とする吊り下げ式ラック装置。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の吊り下げ式ラック装置
   （１）において、支持梁（４）を下から支承する支承手
   段（２２）が固定ユニット（３）上の水平方向中央に配
   置されている。
3. 【請求項３】 請求項１又は２に記載の吊り下げ式ラッ
   ク装置（１）において、移動ユニット（５）は、短手方
   向に並ぶ左右一対の間柱（９）を長手方向に渡って多数
   対備えかつその左右一対の間柱（９）の上端間を連結す
   る短手方向の横梁（１７）を有し、この各横梁（１７）
   の両端部に吊り下げ部材（２７）が取り付けられ、この
   吊り下げ部材（２７）に設けた走行ローラー（２９）
   （３３）が前記横梁（１７）に平行でかつその直上にそ
   れぞれ配置された支持梁（４）に転動自在に支持されて
   いる。
4. 【請求項４】 請求項３に記載の吊り下げ式ラック装置
   （１）において、移動ユニット（５）は、一つの横梁
   （１７）に設けた吊り下げ部材（２７）のうちいずれか
   一方の吊り下げ部材（２７）の走行ローラー（２９）を
   回転させる駆動モーター（３０）を備え、この駆動モー
   ター（３０）によって駆動される各走行ローラー（２
   ９）は前記移動ユニット（５）の移動方向において交互
   に分散するように配置されている。
5. 【請求項５】 請求項３に記載の吊り下げ式ラック装置
   （１）において、移動ユニット（５）は、各走行ローラ
   ー（３３）を駆動させるための駆動モーター（３０）
   と、この駆動モーター（３０）の駆動力を当該移動ユニ
   ット（５）の移動方向に直交する方向に並設された複数
   の走行ローラー（３３）に伝える伝動機構（３１）と、
   を備えている。