JPH07171353A - 電気透析方法 - Google Patents

電気透析方法

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JPH07171353A
JPH07171353A JP5318096A JP31809693A JPH07171353A JP H07171353 A JPH07171353 A JP H07171353A JP 5318096 A JP5318096 A JP 5318096A JP 31809693 A JP31809693 A JP 31809693A JP H07171353 A JPH07171353 A JP H07171353A
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chamber
anode
exchange membrane
membrane
cathode
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JP5318096A
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Inventor
Fumio Hanada
文夫 花田
Atsushi Tomita
篤志 冨田
Taro Kobayashi
太郎 小林
Fumito Kishimoto
文都 岸本
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Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
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  • Treatment Of Water By Ion Exchange (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】電気透析槽の運転中に陰陽極室に酸、アルカリ
およびその他の薬液を補充しなくても連続運転を可能と
する。 【構成】電気透析槽の少なくとも1つの極室の隔膜とし
てバイポーラ膜を使用し、陰陽電極液を別々に単独で循
環して電気透析する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、運転中に陽極室、陰極
室への酸、アルカリおよびその他の薬液の補充を行うこ
となく連続運転可能な電気透析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電気透析において、陽極室では通常酸化
反応が起こり、酸素、塩素などの酸化性の気体が発生す
る。このとき水素イオンが発生するか、水酸イオンが消
滅する。一方、陰極室では通常還元反応が起こり、水素
などの還元性の気体が発生する。このとき水酸イオンが
発生するか、水素イオンが消滅する。したがって、陽極
室および陰極室へ供給する陽極液および陰極液は、陽極
および陰極において生成するイオンやガスのために電気
透析の運転中に次第に組成やpHが変化するという問題
があった。
【0003】これを防止するために陽極室および陰極室
から排出される両極液を混合して中和し、これを再度両
極液として循環使用することが行われていた。しかしな
がら、このような方法を採用した場合、陽極室で発生す
る酸素と陰極室で発生する水素を別々に気液分離して両
極液を混合しているが、このとき気液分離が不十分であ
ると、水素酸素混合ガスが生成するという非常に危険な
状態となる。そのため、陽極液、陰極液はそれぞれ別の
タンクを設けて循環することが安全上求められる。
【0004】また、バイポーラ膜を使用した電気透析に
おいては、例えば、特開昭63−65912号公報に
は、電気透析により生成してくる塩基水溶液を陰極室お
よび陽極室に供給する方法が記載されている。この方法
では、陽極室で生成する酸の量に応じて塩基水溶液が供
給されるために、陽極液は常に塩基性に保たれている
が、電気透析の運転中は常に陽極室に中和のための塩基
水溶液を供給し続けなければならないという問題点があ
る。
【0005】また、陽極液として塩水溶液を用いた場合
には、塩が電極隔膜を通過して隣室に拡散するため、陽
極室には常に塩の補充が必要であるという問題もある。
さらに、塩の拡散が生じる場合には、陽極液の塩と塩室
の塩とを同一種類にしなければならないという制限が加
わるために、プロセスの自由度を狭める結果につなが
る。
【0006】また、特開平5−285347号公報に
は、陽極室を区画する隔膜として陽イオン交換膜を使用
し、その陽イオン交換膜に隣接してバイポーラ膜を配置
し、陽極室には酸を供給してそれを循環することが提案
されている。この方法は、陽極で発生した水素イオンを
隔膜である陽イオン交換膜を透過させてバイポーラ膜と
陽イオン交換膜で区画した室に移動させることができる
ため、陽極室の水素イオン濃度の増加を防止することが
でき、したがって、陽極に中和のための薬品を添加した
り、陽極で発生する酸を取り出す必要が無いという点で
優れている。しかし、陽極で発生する酸素、塩素などの
酸化性物質が電極隔膜である陽イオン交換膜を通過して
バイポーラ膜と陽イオン交換膜で区画した塩基室に混合
するために、塩基室で生成する塩基に不純物が混入する
という問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとしている課題】本発明の目的は、
運転中に陽極室および陰極室への酸、アルカリ、塩およ
びその他の薬液を補充しなくても連続して電気透析を行
える方法を提供することにある。また、陽極で発生する
酸化性物質が通常の電気透析法であれば脱塩室、濃縮室
に、バイポーラ膜電気透析法であれば酸室、酸・塩混合
室に拡散しない電気透析法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題を解決するべく鋭意研究した結果、きわめて簡単な方
法で上記の目的を達成できることを見いだし、本発明を
提案するに至った。
【0009】即ち、本発明は、電気透析槽の陽極室およ
び/または陰極室を区画する隔膜としてバイポーラ膜を
用い、陽極室及び陰極室の極液をそれぞれ循環すること
を特徴とする電気透析方法である。
【0010】本発明の電気透析槽は、従来公知の電気透
析槽を使用できる。例えば、一対の電極間に陽イオン交
換膜と陰イオン交換膜とを交互に多数配置した通常の電
気透析に使用する多室電気透析槽、および一対の電極間
に陽イオン交換膜とバイオーラ膜を、また、陰イオン交
換膜とバイポーラ膜を、さらにはこれら3種のイオン交
換膜を順に多数配置したバイポーラ膜を用いた多室電気
透析槽を使用することができる。
【0011】本発明では、陽極室および/または陰極室
を区画する隔膜としてバイポーラ膜が使用される。電気
透析槽の陽極室では酸が発生するが、本発明の方法によ
って陽極室を区画する隔膜としてバイポーラ膜を使用す
ることによって、陽極で発生する酸をバイポーラ膜で発
生する水酸イオンで中和することによって、酸の増加を
抑えることができる。また、陰極室を区画する隔膜とし
てバイポーラ膜を使用することによって、陰極で発生す
る塩基をバイポーラ膜で発生する水素イオンで中和する
ことによって、塩基の増加を抑えることができる。した
がって、本発明の方法によれば、陽極室および陰極室で
発生する酸およびアルカリがそれぞれ中和されて塩を生
ずるため、陽極室および陰極室に中和のための薬剤を供
給する必要はない。
【0012】本発明において、一対の電極間に陽イオン
交換膜と陰イオン交換膜とを交互に多数配置した多室電
気透析槽を使用したときの各イオン交換膜の配列の仕方
には、下記のような方法を挙げることができる。ここ
で、バイポーラ膜をB、陽イオン交換膜をC、陰イオン
交換膜をAで表す。
【0013】(1) 陽極−B−(A−C)n−B−陰極 (2) 陽極−B−(A−C)n−A−B−陰極 (3) 陽極−B−(C−A)n−B−陰極 (4) 陽極−B−(C−A)n−C−B−陰極 (但し、nは陽イオン交換膜、陰イオン交換膜の繰り返
し数である。)上記した各配列の電気透析槽をそれぞれ
図1、図2、図3及び図4に示した。また、バイポーラ
膜は、通常、陰イオン交換体側を陽極側に、また、陽イ
オン交換体側を陰極側に向けて使用される。
【0014】上記した電気透析槽を用いて電気透析を行
うと、陽極室を区画するバイポーラ膜の陰極側室aには
酸が生成し、陰極室を区画するバイポーラ膜の陽極側室
bには塩基が生成する。このため、バイポーラ膜を極室
の隔膜として使用しない通常の電気透析に比べて電気透
析槽から得られる各種水溶液のpHに変動がみられるこ
とがある。この時は、a室とb室から取り出される水溶
液を混合し、これを再び脱塩室および/または濃縮室に
供給することにより各種水溶液のpHの変動を最小限に
抑えることができる。この点から、電気透析槽の膜の配
列で特に好ましいのは(1)である。
【0015】本発明において、一対の電極間に陽イオン
交換膜とバイオーラ膜を、また、陰イオン交換膜とバイ
ポーラ膜を、さらにはこれら3種のイオン交換膜を順に
多数配置した多室電気透析槽を使用する場合のこれら各
イオン交換膜の配列の仕方には、下記のような方法を挙
げることができる。陽イオン交換膜とバイオーラ膜を、
また、陰イオン交換膜とバイポーラ膜を交互に配列した
二室式としては、 (5) 陽極−B−(A−B−)n−陰極 (6) 陽極−B−(C−B−)n−陰極 (但し、nは陽イオン交換膜、陰イオン交換膜の繰り返
し数である。)を挙げることができる。上記した各配列
の電気透析槽をそれぞれ図5及び図6に示した。図5
は、陽極1と陰極2との間にバイポーラ膜と陰イオン交
換膜を交互に配列し、各膜の間に酸室7と塩基・塩混合
室9を形成させた電気透析槽の概略図であり、図6は、
陽極1と陰極2との間にバイポーラ膜と陽イオン交換膜
を交互に配列し、各膜の間に塩基室5と酸・塩混合室8
を形成させた電気透析槽の概略図である。
【0016】また、陽イオン交換膜、陰イオン交換膜と
バイポーラ膜を順に配列した三室式としては、 (7) 陽極−B−(A−C−B)n−陰極 (8) 陽極−B−(C−B−A)n−C−B−陰極 (9) 陽極−B−(C−B−A)n−B−陰極 (但し、nは陽イオン交換膜、バイポーラ膜および陰イ
オン交換膜の繰り返し数である。)を挙げることができ
る。これら三室式は、図7、図8および図9に示すよう
に、陽極1と陰極2との間にバイポーラ膜、陰イオン交
換膜および陽イオン交換膜の3種類を順に配列し、塩基
室5、酸室7および塩室6の三室を形成させた構造のも
のである。これらの中では(7)の配列が酸、塩基が効
率的に生産できるという点で最も好適である。
【0017】本発明で使用されるバイポーラ膜は、陽イ
オン交換膜と陰イオン交換膜とが張り合わさった構造を
した複合イオン交換膜である。またバイポーラ膜は重合
型、縮合型、均一型、不均一型の別なく、また、補強心
材の有無や、炭化水素系のもの、弗素系のもの、材料・
製造方法に由来する陽イオン交換膜の種類、型式などの
別なく如何なるものであってもよい。そのようなバイポ
ーラ膜としては、特に制限されず公知の膜を使用するこ
とができる。その製造方法としては、次のようなものが
知られている。例えば、陽イオン交換膜と陰イオン交換
膜とをポリエチレンイミン−エピクロルヒドリンの混合
物で張り合わせ硬化接着する方法(特公昭32−396
2号公報)、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とをイオ
ン交換性接着剤で接着させる方法(特公昭34−396
1号公報)、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とを微粉
のイオン交換樹脂、陰または陽イオン交換樹脂と熱可塑
性物質とのペースト状混合物を塗布し圧着させる方法
(特公昭35−14531号公報)、陽イオン交換膜の
表面にビニルピリジンとエポキシ化合物とからなる糊状
物質を塗布し、これに放射線照射することによって製造
する方法(特公昭38−16633号公報)、陰イオン
交換膜の表面にスルホン酸型高分子電解質とアリルアミ
ン類を付着させた後、電離性放射線を照射架橋させる方
法(特公昭51−4113号公報)、イオン交換膜の表
面に反対電荷を有するイオン交換樹脂の分散系と母体重
合体との混合物を沈着させる方法(特開昭53−371
90号公報)、ポリエチレンフィルムにスチレン、ジビ
ニルベンゼンを含浸重合したシート状物をステンレス製
の枠にはさみつけ、一方の側をスルホン化させた後、シ
ートを取り外して残りの部分にクロルメチル化、次いで
アミノ化処理する方法(米国特許3562139号明細
書)、また陰イオン交換膜と陽イオン交換膜との界面を
無機化合物で処理し、両膜を接合する方法(特開昭59
−47235号公報)などである。本発明の隔膜として
用いるバイポーラ膜は、陰イオン交換体部が、弗素系の
もの、複素芳香環状のものなど、耐酸化剤性のものが好
ましい。
【0018】上記の電気透析槽において、陽イオン交換
膜は特に限定されず公知の陽イオン交換膜を用いること
が出来る。例えば、スルホン酸基、カルボン酸基、ホス
ホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基を有する
もの、さらにこれらのイオン交換基の複数種類が混在し
た陽イオン交換膜を使用できる。また、陽イオン交換膜
は重合型、縮合型、均一型、不均一型の別なく、また、
補強心材の有無や、炭化水素系のもの、弗素系のもの、
材料・製造方法に由来する陽イオン交換膜の種類、型式
などの別なく如何なるものであってもよい。さらに、2
N−食塩水溶液を5A/dm2の電流密度で電気透析
し、電流効率が70%以上の実質的に陽イオン交換膜と
して機能するものであれば、一般に両性イオン交換膜と
称されるものであっても本発明の陽イオン交換膜として
使用できる。
【0019】本発明で用いる陰イオン交換膜は、特に限
定されず公知の陰イオン交換膜を用いることが出来る。
例えば、4級アンモニウム基、1級アミノ基、2級アミ
ノ基、3級アミノ基、さらにこれらのイオン交換基が複
数混在した陰イオン交換膜を使用できる。また該陰イオ
ン交換膜は重合型、縮合型、均一型、不均一型の別な
く、また、補強心材の有無や、炭化水素系のもの、弗素
系のもの、材料・製造方法に由来する陰イオン交換膜の
種類、型式などの別なく如何なるものであってもよい。
さらに2N−食塩溶液を5A/dm2の電流密度で電気
透析し、電流効率が70%以上の実質的に陰イオン交換
膜として機能するものであれば、一般に両性イオン交換
膜と称されるものであっても本発明の陰イオン交換膜と
して使用できる。陰イオン交換膜は酸を透過させ易い傾
向があるので、酸を透過させにくい陰イオン交換膜を使
用することが好ましい。
【0020】本発明で使用する陽極としてはチタンが好
適に使用される。またその表面に白金、酸化イリジウム
等を存在させて耐酸性とするものが好ましい。更に、陽
極液に塩基性溶液を使用するときは、陽極としてニッケ
ルが好適に使用される。また、陰極の材質は特に限定さ
れるものでなく、通常、ニッケル、鉄、ステンレススチ
ールまたは白金等が好適に使用できる。これらのなかで
も耐食性、電気伝導性、熱伝導性を考慮するとニッケル
が好適に使用される。
【0021】陽極液は、硫酸、燐酸、硝酸、またはこれ
らのアンモニウム塩、アルカリ金属塩水溶液を好適に使
用することができる。これらの酸および塩の水溶液の濃
度は、特に制限されないが、通常は、0.1〜10Nの
範囲から、好ましくは0.5〜4Nの範囲から採用する
ことができる。また、陰極液としては、塩基または酸水
溶液、無機塩水溶液が挙げられ、導電性の良いものが好
適に使用できる。一般には、塩基である水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム;酸として塩酸、硫酸、燐酸、硝
酸;無機塩として食塩、硫酸ナトリウム、硝酸カリウ
ム、硫酸アンモニウム等を挙げることができる。陰極や
陰極室を区画する隔膜の耐食性、陰極から発生するガス
を考慮すると陰極液としては水酸化ナトリウムや硫酸ナ
トリウムが好ましい。また、これらの水溶液濃度は、
0.1〜10N、さらに、0.5〜4Nの範囲であるこ
とが好ましい。
【0022】本発明において、上記した陽極室及び陰極
室の極液はそれぞれ循環される。陽極液を単独で循環す
る方法として、陽極液タンクを設け、陽極室と陽極液タ
ンクとの間をポンプにて陽極液を循環する方法が好適に
採用される。こうすることによって、陽極で発生した水
素イオンとバイポーラ膜で発生した水酸イオンの混合に
よる中和を助けることができる。陽極液の液温が中和熱
や、ジュール熱のために高くなる場合は、熱交換器など
で除熱すればよい。陰極液の循環も上記の陽極液と同様
に行えばよい。このようにすることにより、運転中に陽
極室および陰極室への塩基、酸、塩等の薬液を補充しな
くても連続して電気透析を行うことが可能となる。
【0023】本発明にしたがって電気透析を行った場
合、陰極で水素ガスが、また、陽極で酸素ガスが発生す
る。したがって、陽極室および陰極室に供給する極液の
循環路に気液分離装置を設け、陽極室および陰極室で発
生するガスをそれぞれ分離除去することが好ましい。
【0024】電気透析時、陽極では通常酸素等の酸化性
物質が発生する。このため、陽極室を区画するバイポー
ラ膜が酸化性物質によって劣化することがある。このよ
うな場合には陽極とバイポーラ膜の間に保護膜として陽
イオン交換膜、陰イオン交換膜または多孔質隔膜を使用
することが好ましい。これらの膜は耐酸化性であること
が耐久性の点で好ましい。多孔質隔膜としては、孔径5
0ミクロン、好ましくは20ミクロン以下で0.5規定
の食塩水中での実効電気抵抗50Ω・cm2以下のも
の、好ましくは10Ω・cm2以下のものを好適に使用
することができる。また、多孔質隔膜の材質として、ポ
リ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフル
オロエチレン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケ
トン等を好適に使用することができる。さらに、多孔質
隔膜としてはその表面が親水化処理されているものが好
ましい。陽イオン交換膜としては、フッ素系の陽イオン
交換膜、例えば、デュポン社製のナフィオン117およ
び350(いずれも商品名)などを好適に用いることが
できる。また、陰イオン交換膜としてはビニルピリジン
系の陰イオン交換膜を好適に使用できる。
【0025】上記のように陽極とバイポーラ膜との間に
陽イオン交換膜、陰イオン交換膜または多孔質隔膜を配
置したときは、図10および図11に示したようにバイ
ポーラ膜で区画された陽極室、即ち、陽極の存在する室
1′および陽イオン交換膜、陰イオン交換膜または多孔
質隔膜とバイポーラ膜とで区画された室1″の液は、共
に陽極液として循環される。このとき、陽極の存在する
室1′および陽イオン交換膜、陰イオン交換膜または多
孔質隔膜とバイポーラ膜とで区画された室1″の液は、
それぞれ単独で循環されてもよく、また、混合して循環
されてもよい。
【0026】また、電気透析時、陰極では通常水素等の
還元性物質が発生する。このため、陰極室を区画するバ
イポーラ膜が還元性物質によって劣化したり、還元性物
質がバイポーラ膜を透過して塩基室に拡散して塩基溶液
を変性させる恐れがある。このような場合には陰極とバ
イポーラ膜の間に保護膜として耐還元性の多孔質隔膜、
または耐還元性の陽イオン交換膜または陰イオン交換膜
を使用することが好ましい。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、運転中に陽極室、陰極
室の極液の組成、およびpHの変動を防止することがで
きるため、極液に酸、塩基、塩等の薬液を補充しなくて
も電気透析の連続運転が可能となる。また、陽極で発生
する酸化性物質が隣室に混入することはないために、純
度の高い目的物の水溶液を得ることもできる。さらに、
陽極とバイポーラ膜との間に陽イオン交換膜、陰イオン
交換膜または多孔質隔膜を配置した場合には、陽極で発
生する酸化性物質によるバイポーラ膜の劣化を防ぐこと
もできる。
【0028】
【実施例】本発明を更に具体的に説明するために、以下
に実施例および比較例を掲げて説明するが、本発明はこ
れらの実施例に限定されるものではない。
【0029】実施例1 徳山曹達(株)製、電気透析槽TS2型(有効膜面積2
dm2/枚)に、徳山曹達(株)製バイポーラ膜ネオセ
プタBP−1(商品名)を2枚、陽イオン交換膜CMX
(商品名)および陰イオン交換膜AMX(商品名)それ
ぞれ5枚を図1のごとく配列し電気透析槽を組み立て
た。陽極には白金メッキしたチタン板を、陰極にはステ
ンレス板を使用した。陽極液タンクは5リットルのもの
を設け、陽極液として1規定の硫酸3リットルを使用し
た。また、陰極液タンクは5リットルのものを設け、陰
極液として1規定の硫酸ナトリウム3リットルを使用
し、陽極液および陰極液をそれぞれ循環した。脱塩室、
濃縮室にはそれぞれ5リットルのタンクを設け脱塩液タ
ンクには1規定のKClを3リットル、濃縮液タンクに
は1規定のKClを3リットル仕込んだ。
【0030】それぞれの液を循環中、電流密度3A/d
2の電流を2時間流した。濃縮室4、陽極の隣のバイ
ポーラ膜の陰極側室aおよび陰極の隣のバイポーラ膜の
陽極側室bの液を混合してそれぞれの室に循環した。こ
のときの混合液のpHは6であり、酸、塩基共に増大し
ていなかった。また、ヨウ素滴定法で検出された混合液
中の酸化性物質の濃度は2.5ppmであった。濃縮さ
れたKCl溶液中にはナトリウムイオンも硫酸イオンも
認められず、陽極液および陰極液からのナトリウムイオ
ンおよび硫酸イオンの移動はなかった。この間、陽極液
の硫酸、陰極液中の硫酸ナトリウムの量は全く変化して
おらず、また、pHの変化もなかった。
【0031】実施例2 実施例1で、陽極側のバイポーラ膜の代わりにデュポン
社製のフッ素系陽イオン交換膜ナフィオン117(商品
名)を使用した以外は実施例1と同様の操作を行った。
通電の結果、混合液中の酸化性物質の濃度は3.2pp
mであった。また、混合液のpHは6であり、酸、塩基
共に増大していなかった。濃縮室とバイポーラ膜の陽極
側室bの液を混合してそれぞれの室に循環した。濃縮さ
れたKCl溶液中にはナトリウムイオンも硫酸イオンも
認められず、陽極液および陰極液からのナトリウムイオ
ンおよび硫酸イオンの移動はなかった。この間、陽極液
の硫酸、陰極液中の硫酸ナトリウムの量は全く変化して
おらず、また、pHの変化もなかった。
【0032】実施例3 実施例1で、陽極液として1規定の硫酸ナトリウムを使
用した以外は実施例1と同様一の操作を行った。通電の
結果、実施例1と同様の結果であった。
【0033】実施例4 徳山曹達(株)製、二室式バイポーラ膜電気透析槽TS
2B2型(有効膜面積2dm2/枚)に、徳山曹達
(株)製バイポーラ膜ネオセプタBP−1(商品名)を
6枚、陽イオン交換膜CMH(商品名)を5枚を図6の
ごとく配列し電気透析槽を組み立てた。陽極は、白金メ
ッキしたチタン板を、陰極にはニッケル板を使用した。
陽極液タンクは5リットルのものを設け、陽極液として
1規定の硫酸アンモニウム3リットルを循環使用した。
また、陰極液タンクは5リットルのものを設け、陰極液
として1規定の塩化ナトリウム3リットルを循環使用し
た。酸・塩混合室には3規定クエン酸ナトリウム3リッ
トルを、塩基室には5リットルの塩基タンクを設け0.
1規定のNaOH溶液を3リットルを仕込んだ。
【0034】それぞれの液を循環中、電流密度6A/d
2の電流を1時間流した。通電の結果、陽極液中の硫
酸アンモニウムの量も、陰極液中の塩化ナトリウムの量
にも変化無く、また、pHの変化もなかった。酸・塩混
合室の液中の酸化性物質の濃度は1.5ppmであっ
た。
【0035】実施例5 徳山曹達(株)製、三室式バイポーラ膜電気透析槽TS
3B2型(有効膜面積2dm2/枚)に、徳山曹達
(株)製バイポーラ膜ネオセプタBP−1を6枚、陽イ
オン交換膜CMHを5枚、陰イオン交換膜ACMを5枚
を図7のごとく配列し電気透析槽を組み立てた。陽極
は、白金メッキしたチタン板を、陰極にはニッケル板を
使用した。陽極液タンクは5リットルのものを設け、陽
極液として1規定の硫酸ナトリウム3リットルを循環使
用した。また、陰極液タンクは5リットルのものを設
け、陰極液として1規定の塩化ナトリウム3リットルを
循環使用した。塩室には3規定の硝酸ナトリウム3リッ
トルを、塩基室には5リットルの塩基タンクを設け0.
1規定のNaOH溶液を3リットルを、また酸室には
0.1規定の硝酸を3リットル仕込んだ。それぞれの液
を循環中、電流密度6A/dm2の電流を1時間流し
た。通電の結果、陽極液中の硫酸ナトリウムの量も、陰
極中の塩化ナトリウムの量にも変化無く、また、pHの
変化もなかった。
【0036】実施例6 実施例5で、酸、塩基、塩室のタンクを共通の1つのタ
ンクとし、3規定の硝酸ナトリウムを各部屋に循環した
以外は同一の構成とした。陰陽極タンクにイオン交換水
を補充しながら、電流密度6A/dm2で30日間通電
した。通電の結果、陽極液中の硫酸ナトリウムの量も、
陰極中の塩化ナトリウムの量にも変化無く、また、pH
の変化もなかった。ヨウ素滴定法で検出された共通タン
ク中の酸化性物質の濃度は3.2ppmであった。この
間陰陽極タンクには水以外の薬品は補充しなかった。
【0037】実施例7 図10のように、陽極と陽極側の隔膜であるバイポーラ
の間に湯浅電池(株)製多孔質隔膜ユミクロンMF−2
50(商品名)を存在させたことと、運転時間を10日
とした以外は実施例6と同一の操作を行った。通電の結
果、陽極液中の硫酸ナトリウムの量も、陰極中の塩化ナ
トリウムの量にも変化無く、また、pHの変化もなかっ
た。ヨウ素滴定法で検出された共通タンク中の酸化性物
質の濃度は2.3ppmであった。この間陰陽極タンク
には水以外の薬品は補充しなかった。
【0038】実施例8 図11のように、陽極と陽極側の隔膜であるバイポーラ
の間にナフィオン117(商品名)を存在させたこと
と、運転時間を10日とした以外は実施例6と同一の操
作を行った。通電の結果、陽極液中の硫酸ナトリウムの
量も、陰極中の塩化ナトリウムの量にも変化無く、ま
た、pHの変化もなかった。ヨウ素滴定法で検出された
共通タンク中の酸化剤の濃度は1.5ppmであった。
この間陰陽極タンクには水以外の薬品は補充しなかっ
た。
【0039】実施例9 実施例7において、多孔性隔膜のかわりに徳山曹達
(株)製耐酸化性陰イオン交換膜AFN(商品名)を存
在させたことと、運転時間を10日とした以外は実施例
6と同一の操作を行った。通電の結果、陽極液中の硫酸
ナトリウムの量も、陰極中の塩化ナトリウムの量にも変
化無く、また、pHの変化もなかった。ヨウ素滴定法で
検出された共通タンク中の酸化剤の濃度は1.4ppm
であった。この間陰陽極タンクには水以外の薬品は補充
しなかった。
【0040】比較例1 図12のように、陽極と陽極側の隔膜であるバイポーラ
の間にナフィオン117(商品名)を存在させたが、ナ
フィオン117とバイポーラ膜の間には、酸、塩基、塩
室の共通のタンク液を循環した。また、運転時間を10
日とした以外は実施例6と同一の操作を行った。通電の
結果、陽極液中の硫酸ナトリウムの量も、陰極中の塩化
ナトリウムの量にも変化無く、また、pHの変化もなか
った。ヨウ素滴定法で検出された共通タンク中の酸化性
物質の濃度は6.7ppmと実施例に比べて高かった。
この間陰陽極タンクには水以外の薬品は補充しなかっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、電気透析槽の模式図である。
【図2】図2は、電気透析槽の模式図である。
【図3】図3は、電気透析槽の模式図である。
【図4】図4は、電気透析槽の模式図である。
【図5】図5は、バイポーラ膜を使用した二室式電気透
析槽の模式図である。
【図6】図6は、バイポーラ膜を使用した二室式電気透
析槽の模式図である。
【図7】図7は、バイポーラ膜を使用した三室式電気透
析槽の模式図である。
【図8】図8は、バイポーラ膜を使用した三室式電気透
析槽の模式図である。
【図9】図9は、バイポーラ膜を使用した三室式電気透
析槽の模式図である。
【図10】図10は、バイポーラ膜を使用した三室式電
気透析槽の模式図である。
【図11】図11は、バイポーラ膜を使用した三室式電
気透析槽の模式図である。
【図12】図12は、バイポーラ膜を使用した三室式電
気透析槽の模式図である。
【符号の説明】
B バイポーラ膜 C 陽イオン交換膜 A 陰イオン交換膜 CF 耐酸化性陽イオン交換膜 N 耐酸化性多孔質隔膜 + 陽極 − 陰極 1 陽極室 2 陰極室 3 脱塩室 4 濃縮室 5 塩基室 6 塩室 7 酸室 8 酸・塩混合室 9 塩基・塩混合室 a 陽極の隣のバイポーラ膜の陰極側室 b 陰極の隣のバイポーラ膜の陽極側室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岸本 文都 山口県徳山市御影町1番1号 徳山曹達株 式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電気透析槽の陽極室および/または陰極室
    を区画する隔膜としてバイポーラ膜を用い、陽極室及び
    陰極室の極液をそれぞれ循環することを特徴とする電気
    透析方法。
  2. 【請求項2】電気透析槽の陽極室を区画する隔膜として
    バイポーラ膜を用い、陽極と該バイポーラ膜との間に更
    に陰イオン交換膜、陽イオン交換膜または多孔質隔膜を
    配置し、該バイポーラ膜で区画された陽極室の極液を循
    環することを特徴とする電気透析方法。
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