JP3324853B2 - 酸水溶液及びアルカリ水溶液の製造方法 - Google Patents
酸水溶液及びアルカリ水溶液の製造方法Info
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Description
膜を使用した電気透析により酸水溶液及びアルカリ水溶
液を製造する方法に関する。
透析(以下、バイポーラ膜電気透析とも略する)によ
り、酸水溶液及びアルカリ水溶液を生成させることは公
知である。例えば、陽極と陰極の間に陽イオン交換膜、
バイポーラ膜及び陰イオン交換膜を順に複数配列させ
て、塩室、酸室及びアルカリ室を形成させ、塩室に塩水
溶液を供給して電気透析を行い酸室及びアルカリ室から
酸水溶液及びアルカリ水溶液をそれぞれ排出させる三室
式セル方式は、特公昭32−3962号公報、特公昭3
3−6963号公報、特開昭63−65912号公報な
どで知られている。
運転方法の一つとして、それぞれタンク内に張られた酸
水溶液、アルカリ水溶液を電気透析槽に循環して供給
し、生じてくる酸、アルカリに相当する量の水を上記各
タンクに補充し、該タンクよりこの補充した量に相当す
る酸水溶液、アルカリ水溶液をオーバーフローさせて、
該酸水溶液、アルカリ水溶液を逐次一定濃度で取得す
る、いわゆるフィードアンドブリード方式が知られてい
る。このフィードアンドブリード方式では、取得される
酸水溶液及びアルカリ水溶液の酸、アルカリ濃度は、各
々のタンクに補充する上記水の量を調製することによ
り、任意に設定することができる。しかして、該取得さ
れる酸水溶液及びアルカリ水溶液の酸、アルカリ濃度
は、通常、互いに同一濃度となるように設定されている
のが一般的であり、この場合、電気透析槽に循環供給さ
れる酸水溶液、アルカリ水溶液の各酸、アルカリ濃度
も、当然同じ濃度となっている。
ィードアンドブリード方式等の、電気透析槽に酸水溶液
及びアルカリ水溶液を循環して供給し、かかる循環中に
酸水溶液及びアルカリ水溶液を一部取得し、且つ濃度調
整を行う方式により、上記バイポーラ膜電気透析を実施
した場合、電気透析槽の塩室内の塩水溶液が、該塩水溶
液に溶解する塩の種類及び濃度から予測される酸性度や
アルカリ性度よりもずれてくることが多々生じる。例え
ば、硫酸ナトリウムの水溶液は中性であり、該硫酸ナト
リウム水溶液の上記バイポーラ膜電気透析では、その塩
室内の該水溶液は脱塩の程度にかかわらず本来なら一貫
して中性が維持されるはずであるが、実際には、上記電
気透析の進行に伴って酸性或いはアルカリ性を呈してく
る。
過剰に酸性、アルカリ性を呈すようになった場合、該塩
室内から、隣接するアルカリ室にH+イオンが陽イオン
交換膜を透過して浸入したり、同じく隣接する酸室にO
H-イオンが陰イオン交換膜を透過して浸入したりする
ようになり、電気透析により折角生じた酸やアルカリが
中和される問題が生じる。また、塩室から排出される脱
塩液が、上記の如く酸性やアルカリ性を呈するようにな
ると、該脱塩液は、さらに中和処理を施す必要が生じ、
操作が煩雑になる。
方式によりバイポーラ膜電気透析を実施して、塩水溶液
から酸水溶液及びアルカリ水溶液を製造するに際し、塩
室内の塩水溶液が、過剰に酸性やアルカリ性を帯びてく
ることが防止され、効率的に該電気透析が遂行できる方
法を開発することが望まれていた。
術課題を解決するべく鋭意研究してきた。その結果、電
気透析時、循環供給される酸水溶液及びアルカリ水溶液
の各濃度を、電気透析中における酸及びアルカリの電流
効率が概ね等しくなる濃度とすることにより、上記課題
が解決できることを見出し、本発明を提供するに至っ
た。
ン交換膜、バイポーラ膜及び陰イオン交換膜を順に配列
させて、塩室、酸室及びアルカリ室を形成させ、塩室に
塩水溶液を供給して電気透析を行い酸室及びアルカリ室
から酸水溶液及びアルカリ水溶液をそれぞれ排出させ、
排出された酸水溶液及びアルカリ水溶液を循環して再び
酸室及びアルカリ室にそれぞれ供給し、循環中に酸水溶
液及びアルカリ水溶液を一部取得する電気透析方法にお
いて、塩室中の塩水溶液のpHが5〜9に維持されるよ
うに上記循環中の酸水溶液及びアルカリ水溶液の各濃度
をそれぞれ調整することを特徴とする酸水溶液及びアル
カリ水溶液の製造方法である。
1に示すように陽極11と陰極12との間にバイポーラ
膜(B)、陰イオン交換膜(A)及び陽イオン交換膜
(C)の3種類を順に配列し、アルカリ室13、酸室1
4及び塩室15の三室を形成させた構造のものであれ
ば、公知のものが何等制限されることなく採用される。
ここで、陽イオン交換膜(C)とバイポーラ膜(B)の
間の室をアルカリ室13、バイポーラ膜(B)と陰イオ
ン交換膜(A)の間の室を酸室14、陰イオン交換膜
(A)と陽イオン交換膜(C)の間の室を塩室15とい
う。
−B−A−)n−C−陰極で示される。ここで、陽イオ
ン交換膜、バイポーラ膜及び陰イオン交換膜などで構成
される最小の繰返単位をセルと称し、また、電極を除い
た膜、ガスケット、スペーサーの集合体をスタックと称
する。nはセルの繰返積層数である。なお、バイポーラ
膜は、通常、陰イオン交換体側を陽極側に、また、陽イ
オン交換体側を陰極側に向けて使用される。
槽の塩室に塩水溶液を供給して電気透析を行い酸室及び
アルカリ室から酸水溶液及びアルカリ水溶液をそれぞれ
排出させる。そうして、排出された酸水溶液及びアルカ
リ水溶液は、循環して再び酸室及びアルカリ室にそれぞ
れ供給される。また、この循環中において、酸水溶液及
びアルカリ水溶液は、その一部が生産液として取得さ
れ、且つ酸室及びアルカリ室に循環供給されるための濃
度調整が施される。その場合、この酸水溶液及びアルカ
リ水溶液の取得や濃度調製は、循環する該酸水溶液及び
アルカリ水溶液の流れの如何なる箇所で、どのような手
段により実施されても良い。通常は、酸水溶液及びアル
カリ水溶液の循環ラインの任意の箇所に酸水溶液タンク
及びアルカリ水溶液タンクを設置し、該タンクのそれぞ
れに循環する酸水溶液及びアルカリ水溶液を貯留し、そ
れに電気透析により生成した酸及びアルカリに相当する
量の水を補充し、且つ該タンクよりこの補充した量に相
当する酸水溶液、アルカリ水溶液をオーバーフローさせ
て、該酸水溶液、アルカリ水溶液を逐次一定濃度で取得
する、いわゆるフィードアンドブリード方式により行う
のが好ましい。
な酸水溶液、アルカリ水溶液を循環供給するバイポーラ
膜電気透析を実施するに際し、該循環供給中において濃
度調整される酸水溶液及びアルカリ水溶液の各濃度を、
電気透析中における酸及びアルカリの電流効率が概ね等
しくなる濃度とした点にある。即ち、バイポーラ膜電気
透析では、酸室或いはアルカリ室に供給される酸水溶液
及びアルカリ水溶液の各濃度に相関して、生成する酸及
びアルカリの電流効率は変化する。一般的な傾向として
は、供給される酸及びアルカリ水溶液の濃度が高くなる
につれて、膜に吸着するドナンイオンの影響で、それぞ
れの電流効率は低くなる。ところが、その際の電流効率
の低下率は、酸、アルカリ種の違いや使用する陽イオン
交換膜及び陰イオン交換膜の種類、さらには温度、電流
密度等の運転条件等に起因して、酸の場合とアルカリの
場合とでは互いに異なるものとなる。その結果、こうし
たバイポーラ膜電気透析では、前記した通り、たとえ酸
室及びアルカリ室に供給される酸水溶液及びアルカリ水
溶液の酸、アルカリ濃度が互いに等しかったとしても、
その濃度条件での電気透析における酸及びアルカリの電
流効率の間には、ある程度の差が生じる。しかして、こ
うしたバイポーラ膜電気透析では、この電流効率の差に
相当する、酸もしくはアルカリが塩室に侵入し、前記の
如く該塩室の室液の酸性度やアルカリ性度が変質してく
る問題が生じる。
膜電気透析を運転するに際し、この酸室、アルカリ室に
供給される各水溶液の酸濃度及びアルカリ濃度を、上記
のように電気透析中における酸及びアルカリの電流効率
が概ね等しくなる濃度とすれば、塩室に侵入する酸、も
しくはアルカリの量が概ね等しくなり、該塩室の酸性度
やアルカリ性度が変質することが防止できることを見出
しなされたものである。
溶液の、電気透析中における酸及びアルカリの電流効率
が概ね等しくなる濃度とは、バイポーラ膜電気透析によ
り塩室の塩水溶液を電気分解するに際し、塩を構成する
陽イオンがアルカリ室に移行してアルカリを生成する電
流効率と、塩を構成する陰イオンが酸室に移行して酸を
生成する電流効率が、互いにほぼ等しくなるときのアル
カリ室及び酸室のそれぞれのアルカリ水溶液と酸水溶液
の濃度をいう。かくすることにより、塩室内の塩水は、
ほぼ中性に保たれるのである。なお、電流効率は以下の
式で求められる、流した電気量に対する生成した酸、ア
ルカリの量をいう。
室に供給される各水溶液の酸濃度及びアルカリ濃度は、
必ずしも上記酸及びアルカリの電流効率が互いに全く等
しくなる濃度である必要はなく、かかる両者の値は概ね
一致していれば若干の差があっても許容される。好適に
は、その電気透析中における酸及びアルカリの電流効率
の差の絶対値が、供給する該酸、アルカリ水溶液の各規
定度の小さい方の値よりも大きくならない程度に、上記
酸、アルカリ水溶液の濃度が一致しているのが好まし
い。また、この酸及びアルカリの電流効率の差は、電気
透析を長期間運転しても、塩室のpHが5〜9に維持さ
れるような値である。
の如く循環供給される酸水溶液及びアルカリ水溶液の濃
度を、酸及びアルカリの電流効率が概ね等しくなるよう
に調製する方法は、特に制限されるものではなく如何な
る方法により行っても良い。通常は、実施するバイポー
ラ膜電気透析と等しい条件で電気透析を実施した際の、
酸室内或いはアルカリ室内の各水溶液の酸、アルカリ濃
度と、生成する酸、アルカリの電流効率の関係を、予め
測定しておき、その関係から上記酸及びアルカリの電流
効率が等しくなる酸水溶液とアルカリ水溶液の濃度を求
め、それに基づいて、実際の電気透析における上記各水
溶液の濃度を調節するのが好ましい。なお、この酸水溶
液及びアルカリ水溶液の、電気透析中における酸及びア
ルカリの電流効率が等しくなる濃度は、必ずしも陽イオ
ン交換膜、バイポーラ膜及び陰イオン交換膜の3種を使
用して、酸及びアルカリを同時に生成する条件で測定し
なくても、陽イオン交換膜または陰イオン交換膜の個々
において、該膜を介して電極を置き、該膜の陽極側、陰
極側の室に塩水溶液および酸、アルカリ水溶液を供給し
て通電して、酸またはアルカリを生成させ、それぞれの
酸、アルカリ濃度と、生成する酸、アルカリの電流効率
の関係を測定する簡易な方法により求めても良い。一般
には、かかる酸水溶液とアルカリ水溶液の濃度は、0.
1〜8.0N、好ましくは2.0〜6.0Nの範囲から
採択される。また、酸水溶液、アルカリ水溶液の各濃度
の測定は、電導度、比重計、屈折率計、超音波計、ガス
クロマトグラフィ等により測定する方法が任意に適用で
きる。
用する陽イオン交換膜は、特に限定されず公知の陽イオ
ン交換膜を用いることが出来る。例えば、スルホン酸
基、カルボン酸基、ホスホン酸基、硫酸エステル基、リ
ン酸エステル基を有するもの、さらにこれらのイオン交
換基の複数種類が混在した陽イオン交換膜を使用でき
る。また、陽イオン交換膜は重合型、縮合型、均一型、
不均一型の別なく、また、補強心材の有無や、炭化水素
系のもの、フッ素系のもの、材料・製造方法に由来する
陽イオン交換膜の種類、型式などの別なく如何なるもの
であってもよい。さらに、2N−食塩水溶液を5A/d
m2の電流密度で電気透析し、電流効率が70%以上の
実質的に陽イオン交換膜として機能するものであれば、
一般に両性イオン交換膜と称されるものであっても本発
明の陽イオン交換膜として使用できる。また、陽極室に
接する陽イオン交換膜は、フッ素系のものを使用するこ
とが好ましい。
陰イオン交換膜とが張り合わさった構造をした複合イオ
ン交換膜が、公知のものが特に制限されずに使用でき
る。その製造方法としては、次のようなものが知られて
いる。例えば、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とをポ
リエチレンイミン−エピクロルヒドリンの混合物で張り
合わせ硬化接着する方法(特公昭32−3962号公
報)、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とをイオン交換
性接着剤で接着させる方法(特公昭34−3961号公
報)、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とを微粉のイオ
ン交換樹脂、陰または陽イオン交換樹脂と熱可塑性物質
とのペースト状混合物を塗布し圧着させる方法(特公昭
35−14531号公報)、陽イオン交換膜の表面にビ
ニルピリジンとエポキシ化合物とからなる糊状物質を塗
布し、これに放射線照射することによって製造する方法
(特公昭38−16633号公報)、陰イオン交換膜の
表面にスルホン酸型高分子電解質とアリルアミン類を付
着させた後、電離性放射線を照射架橋させる方法(特公
昭51−4113号公報)、イオン交換膜の表面に反対
電荷を有するイオン交換樹脂の分散系と母体重合体との
混合物を沈着させる方法(特開昭53−37190号公
報)、ポリエチレンフィルムにスチレン、ジビニルベン
ゼンを含浸重合したシート状物をステンレス製の枠には
さみつけ、一方の側をスルホン化させた後、シートを取
り外して残りの部分にクロルメチル化、次いでアミノ化
処理する方法(米国特許3562139号明細書)、ま
た陰イオン交換膜と陽イオン交換膜との界面を無機化合
物で処理し、両膜を接合する方法(特開昭59−472
35号公報)などである。
ず公知の陰イオン交換膜を用いることが出来る。例え
ば、4級アンモニウム基、1級アミノ基、2級アミノ
基、3級アミノ基、さらにこれらのイオン交換基が複数
混在した陰イオン交換膜を使用できる。また該陰イオン
交換膜は重合型、縮合型、均一型、不均一型の別なく、
また、補強心材の有無や、炭化水素系のもの、フッ素系
のもの、材料・製造方法に由来する陰イオン交換膜の種
類、型式などの別なく如何なるものであってもよい。さ
らに2N−食塩溶液を5A/dm2の電流密度で電気透
析し、電流効率が70%以上の実質的に陰イオン交換膜
として機能するものであれば、一般に両性イオン交換膜
と称されるものであっても本発明の陰イオン交換膜とし
て使用できる。陰イオン交換膜は酸を透過させ易い傾向
があるので、酸を透過させにくい陰イオン交換膜使用す
ることが好ましい。
電解、食塩電解など電気化学工業で用いられる電極が、
何等制限なく用いられる。例えば、陽極材料としてはニ
ッケル、鉄、鉛、白金または黒鉛等が、また、陰極材料
としてはニッケル、鉄、ステンレススチールまたは白金
等が好適に使用できる。
料の種類に応じて適宜選択することができる。これらの
組合せとして好ましいものを例示すると、例えば、次の
とおりである。ニッケルまたは鉄−水酸化ナトリウム水
溶液、鉛−硫酸水溶液、白金−硫酸または硫酸ナトリウ
ム水溶液、黒鉛−食塩水溶液を挙げることができる。ま
た、陰極材料と陰極液の組合せとして好ましいものは以
下のようである。ニッケル、鉄、またはステンレススチ
ール−水酸化ナトリウム、硫酸ナトリウムまたは食塩水
溶液を挙げることができる。
用される塩は、電気透析により塩分解を行って生成する
酸及びアルカリが水溶液を形成するものであれば、有機
塩及び無機塩を問わず何等制限なく使用できる。塩を構
成する陽イオンとしては、例えば、ナトリウム、カリウ
ム、リチウム、アンモニウムイオン等がある。また塩を
構成する陰イオンとしてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素
の各ハロゲンイオン、硫酸イオン、硝酸イオン、酢酸イ
オン、乳酸イオン等がある。こうした塩の水溶液は、電
気透析槽の塩室に供給して電気透析した後、前記酸水溶
液やアルカリ水溶液と同様に、途中に塩水溶液タンクが
設置される塩水溶液タンクを通して、再度塩室に供給
し、該脱塩を所定の塩濃度に到達するまで繰り返して行
うのが好ましい。
条件として、温度は、通常5〜70℃、好ましくは20
〜50℃の範囲であることが好適である。また、電流密
度は、特に制限を受けないが、一般には1〜30A/d
m2、好ましくは、3〜20A/dm2であることが好適
である。
ド方式等の酸水溶液、アルカリ水溶液を電気透析槽に各
一定濃度で循環供給する方式によりバイポーラ膜電気透
析を実施して、塩水溶液から酸水溶液及びアルカリ水溶
液を製造するに際し、塩室内の塩水溶液が、過剰に酸性
やアルカリ性を帯びてくることが防止できる。従って、
本発明では、脱塩液を中和処理すること等もなく、極め
て効率的に電気透析を実施して酸水溶液及びアルカリ水
溶液を製造することができ、極めて有用である。
実施例及び比較例を掲げて説明するが、本発明はこれら
の実施例に限定されるものではない。実施例に使用した
イオン交換膜を以下に示す。
クロリド50部、スチレン35部、純度50%のジビニ
ルベンゼン15部、ベンゾイルパーオキサイド2部、ス
チレンオキサイド2部及びアクリロニトリル−ブタジエ
ンゴム5部からなる粘稠なポリマー溶液を調製した。こ
のポリマー溶液をガラス板間において、窒素雰囲気中の
70℃で16時間の加熱重合を行って高分子膜状物を得
た。次に、この高分子膜状物を96%硫酸に60度で1
0分間浸漬し、膜状物の表面にスルホン酸基を導入し
た。さらに、トリメチルアミン−アセトン−水(1:
1:8)混合溶液中に置いて、30℃で1日処理して、
膜状物の内部に陰イオン交換基を導入し陰イオン交換膜
を得た。この表面がスルホン化された陰イオン交換膜と
徳山曹達社製陽イオン交換膜(商品名、CM−1)の間
に、5%ポリビニルアルコールと5%グルタルアルデヒ
ドの等量よりなる混合物を塗り、50℃にて加熱プレス
を1時間行って接着し、バイポーラ膜を得た。
透析した時の、アルカリ室の水酸化ナトリウム水溶液の
濃度と生成する水酸化ナトリウムの電流効率の関係を、
次の方法により測定した。陽イオン交換膜の場合の測定
は、該膜を介して電極を置き、陽極側に2N硫酸ナトリ
ウム水溶液を、陰極側に各種濃度の水酸化ナトリウム水
溶液を入れ通電した。電極は両極とも白金板を使用し
た。有効膜面積は1cm2、電流密度は10A/dm2、
温度は40℃で行った。通電中陽極側は酸性になるの
で、pHが8以上になると水酸化ナトリウムを投入し
て、中性を維持した。陰極液は電導度が上昇すると水を
加えて、濃度を一定に保った。20分後陰極液の増加量
より電流効率を求めた。上記アルカリ濃度と電流効率の
関係を表2に示した。
透析した時の、酸室の硫酸水溶液の濃度と生成する硫酸
の電流効率の関係を同様にして測定した。結果を表3に
示した。陰イオン交換膜の場合の電流効率の測定では、
陽極側に硫酸を、陰極側に硫酸ナトリウムを入れ、水と
硫酸をそれぞれ補給した。通電条件は陽イオン交換膜の
場合と同じである。
フィードアンドブリード方式で運転されるバイポーラ膜
電気透析を用い、硫酸ナトリウムの電気透析による硫酸
水溶液及び水酸化ナトリウム水溶液の製造を実施した。
電気透析槽は、1対の陰陽極間に陽イオン交換膜CM−
1、バイポーラ膜及び陰イオン交換膜AMXが順番にそ
れぞれ11枚、10枚、10枚(陽イオン交換膜、バイ
ポーラ膜、陰イオン交換膜の有効膜面積はいずれも1d
m2、総膜面積はそれぞれ11、10、10dm2)配置
され、アルカリ室13、酸室14及び塩室15が形成さ
れたフィルタープレス型バイポーラ膜電気透析槽を使用
した。
オーバーフローする酸室タンク21とアルカリ室タンク
23に、電気透析中における酸及びアルカリの電流効率
がそれぞれ75%と等しくなる濃度である2.0Nの硫
酸水溶液と3.0Nの水酸化ナトリウム水溶液を各々満
杯に張った。このタンクには電導度計(東亜電波社製C
M−40S)を取付け、濃度をモニターし、電導度が上
昇したら、水を自動で加え、濃度を一定にコントロール
した。塩室用タンクには3.0N硫酸ナトリウム水溶液
を3L張った。これらの硫酸水溶液、水酸化ナトリウム
水溶液、硫酸ナトリウム水溶液を、1cm/sec、1
cm/sec、10cm/secの膜内線速度でそれぞ
れ酸室14、アルカリ室13、塩室15を循環して供給
し通電した。運転時の電流密度は10A/dm2、温度
は40℃とした。180分後、運転を停止したところ、
塩水溶液は硫酸ナトリウム濃度0.24N、液量は2.
5L、pHは7.2であった。酸水溶液は2.0N硫酸
水溶液が4.2L、アルカリ水溶液は3.0N水酸化ナ
トリウム水溶液が2.8L得られた。電流効率を計算す
ると酸、アルカリとも75%であり、前記予め求めた各
イオン交換膜膜単独での電流効率の値と同じだった。
酸の濃度を3Nとした以外は全く同じ条件で、硫酸水溶
液及び水酸化ナトリウム水溶液の製造を実施した。18
0分後、塩水溶液は硫酸ナトリウム濃度0.6N、液量
は2.5L、硫酸濃度は0.4Nであった。生成した酸
水溶液は3.0N硫酸水溶液が2.2L、アルカリ水溶
液は3.0N水酸化ナトリウム水溶液が2.6L得られ
た。電流効率を計算すると、酸は59%、アルカリは6
9%でいずれも膜単独の電流効率より低かった。
てリン酸ナトリウムを電気透析した時の酸室のリン酸水
溶液の濃度と生成するリン酸の電流効率の関係を測定し
た結果を表4に示した。ここでは、上記膜の陽極側にリ
ン酸を、陰極側にリン酸ナトリウムを入れ通電した。
ようなフィードアンドブリード方式で運転されるバイポ
ーラ膜電気透析を用い、リン酸ナトリウムの電気透析に
よるリン酸水溶液及び水酸化ナトリウム水溶液の製造を
実施した。電気透析槽とタンク類を含めた装置、及び運
転方法は実施例1と同様である。
液に5.0N水酸化ナトリウム水溶液をそれぞれ4L張
った。塩室用タンクには3Nリン酸ナトリウム水溶液を
3L張り、85%リン酸を180ml加えてpHを7に
した。180分の通電後、運転を停止したところ、塩水
溶液はリン酸ナトリウム濃度0.90N、液量は2.5
L、pHは7.1であった。酸水溶液は4.0Nリン酸
水溶液が1.3L、アルカリ水溶液は5.0N水酸化ナ
トリウム水溶液が1.7L得られた。電流効率を計算す
ると酸、アルカリとも60%であり、前記予め求めた各
イオン交換膜膜単独での電流効率の値と同じだった。
ード方式で運転される三室式バイポーラ膜電気透析槽の
模式図である。
Claims (1)
- 【請求項1】陽極と陰極の間に陽イオン交換膜、バイポ
ーラ膜及び陰イオン交換膜を順に配列させて、塩室、酸
室及びアルカリ室を形成させ、塩室に塩水溶液を供給し
て電気透析を行い酸室及びアルカリ室から酸水溶液及び
アルカリ水溶液をそれぞれ排出させ、排出された酸水溶
液及びアルカリ水溶液を循環して再び酸室及びアルカリ
室にそれぞれ供給し、循環中に酸水溶液及びアルカリ水
溶液を一部取得する電気透析方法において、塩室中の塩
水溶液のpHが5〜9に維持されるように上記循環中の
酸水溶液及びアルカリ水溶液の各濃度をそれぞれ調整す
ることを特徴とする酸水溶液及びアルカリ水溶液の製造
方法。
Priority Applications (1)
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JP32815693A JP3324853B2 (ja) | 1993-12-24 | 1993-12-24 | 酸水溶液及びアルカリ水溶液の製造方法 |
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