JPH0824587A - 電気透析方法 - Google Patents

電気透析方法

Info

Publication number
JPH0824587A
JPH0824587A JP6164972A JP16497294A JPH0824587A JP H0824587 A JPH0824587 A JP H0824587A JP 6164972 A JP6164972 A JP 6164972A JP 16497294 A JP16497294 A JP 16497294A JP H0824587 A JPH0824587 A JP H0824587A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
salt
chamber
electrodialysis
weak
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6164972A
Other languages
English (en)
Inventor
Taro Kobayashi
太郎 小林
Fumito Kishimoto
文都 岸本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokuyama Corp filed Critical Tokuyama Corp
Priority to JP6164972A priority Critical patent/JPH0824587A/ja
Publication of JPH0824587A publication Critical patent/JPH0824587A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Water Treatment By Electricity Or Magnetism (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、上記弱酸または弱塩基の製造に適用
される電気透析において、該目的物を最良の収率で且つ
良好なエネルギー効率で運転する方法を提供することを
目的とする。 【構成】陽極と陰極の間に、陽イオン交換膜または陰イ
オン交換膜とバイポーラ膜を順に配列させて、塩基室と
塩室、または酸室と塩室を形成させ、塩室に弱酸の塩、
または弱塩基の塩を供給して電気透析を行い、該塩室に
弱酸または弱塩基を生成させる電気透析方法において、
該電気透析を回分式で運転し、且つこの電気透析中の塩
室室液の導電率を経時的に測定し、生成した弱酸または
弱塩基の解離に基づく導電率の値まで低下し、該導電率
の変化が実質的になくなった時点で、生成した弱酸また
は弱塩基を取得することを特徴とする電気透析方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気透析方法、詳しく
は弱酸の塩または弱塩基の塩から弱酸または弱塩基を製
造する電気透析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】弱酸の塩または弱塩基の塩から、弱酸ま
たは弱塩基を製造する方法としては、例えば陽イオン交
換膜または陰イオン交換膜とバイポーラ膜を用いた電気
透析による方法が、特公昭33−2023号公報、ケム
テック6号17頁(1993年)、特開平2−2832
89号公報、USP4584057号明細書などにより
知られている。
【0003】こうした方法では、図1及び図2に示すよ
うな陽極11と陰極12の間に、陽イオン交換膜(C)
または陰イオン交換膜(A)とバイポーラ膜(B)を順
に配列させた電気透析装置の塩室13に弱酸の塩または
弱塩基の塩を供給して通電することにより、該塩を構成
する陽イオンまたは陰イオンが、上記陽イオン交換膜
(C)または陰イオン交換膜(A)を通過して隣接する
塩基室14または酸室15に移動し、一方、該塩室13
では、残った弱酸イオンまたは弱塩基イオンがバイポー
ラ膜から供給されたH+またはOH-と結合して目的とす
る弱酸または弱塩基が生成する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この弱酸または弱塩基
の製造に適用される電気透析を回分式で実施する場合、
得られる弱酸または弱塩基の収率を最も高くしようとす
れば、かかる透析は、上記塩を構成する陽イオンまたは
陰イオンのほぼ全てが透析されるまで運転すれば良い。
特に、ほぼ純粋な弱酸や弱塩基を得ようとする場合、上
記電気透析により得られた塩室室液は、通常、さらにイ
オン交換樹脂塔に通され、残存する弱酸の塩または弱塩
基の塩が除かれているが、設備費が高額になる上記イオ
ン交換樹脂塔の容量を少しでも小さくする上からも、上
記弱酸または弱塩基の収率をより高くすることが望まれ
る。
【0005】ところで、一般の電気透析、即ち、陽イオ
ン交換膜と陰イオン交換膜とからなる電気透析装置で塩
を脱塩する電気透析等では、脱塩の進行にともなってそ
の塩室室液の導電率は低下し、如何なる場合において
も、塩を構成する各イオンの全てが透析されるまで運転
を継続すると、該導電率は遍くほぼ0にまで低下する。
これに対して、上記の弱酸または弱塩基の製造に適用さ
れる電気透析では、透析の進行にともなって塩室から、
塩を構成する陽イオンまたは陰イオンが透析されても、
それに応じてある程度の解離定数を有する弱酸または弱
塩基が生成するため、かかる塩室室液の導電率は、いく
ら透析を継続してもある一定の値までしか下がらず、該
値で安定する。そして、この弱酸や弱塩基の解離定数
は、その種類に応じて異なるため、上記電気透析におい
て、供給した塩の透析が完了して到達するこの塩室室液
の導電率は、透析に供した前記塩の種類によってまちま
ちの値となる。
【0006】従って、かかる電気透析では、この透析の
完了時がつかみ難く、その運転の終点は透析がかなり遂
行された時点で大まかに決められているのが現状であ
り、目的物の収率や消費エネルギーの面で効率的な運転
が実施されないことが多々あった。
【0007】こうしたことから本発明は、上記弱酸また
は弱塩基の製造に適用される電気透析において、該目的
物を最良の収率で且つ良好なエネルギー効率で運転する
方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の技
術課題を解決するべく鋭意研究を続けてきた。その結
果、前記電気透析において、塩室室液の導電率を経時的
に測定し、該導電率の変化がなくなった時点の近傍を該
透析の終了点とすることによって、上記目的を達成でき
ること見出し、本発明を提供するに到った。
【0009】即ち、本発明は、陽極と陰極の間に、陽イ
オン交換膜または陰イオン交換膜とバイポーラ膜を順に
配列させて、塩基室と塩室、または酸室と塩室を形成さ
せ、塩室に弱酸の塩、または弱塩基の塩を供給して電気
透析を行い、該塩室に弱酸または弱塩基を生成させる電
気透析方法において、該電気透析を回分式で運転し、且
つこの電気透析中の塩室室液の導電率を経時的に測定
し、該導電率の変化がなくなった時点の近傍で、生成し
た弱酸または弱塩基を取得することを特徴とする電気透
析方法である。
【0010】本発明において使用される電気透析装置
は、透析に供する塩が、弱酸の塩と弱塩基の塩の場合と
で、2種類存在する。まず、弱酸の塩を透析に供す電気
透析装置を図1に示す。この電気透析装置は、陽極11
と陰極12との間にバイポーラ膜(B)と陽イオン交換
膜(C)を順に配列し、塩室13と塩基室14を形成さ
せた構造にある。かかる電気透析装置では、塩室13に
供給された弱酸の塩は、陽イオンと陰イオンに解離して
いるため、通電されることによって陽イオンは陽イオン
交換膜(C)を通過し、バイポーラ膜(B)から供給さ
れたOH- と結合して塩基となる。一方、弱酸イオンで
ある陰イオンは塩室13に残り、バイポーラ膜(B)か
ら供給されたH+ と結合して弱酸となる。弱酸は解離度
が低いため、上記塩室13では、それ以上通電を続けて
も、陽イオン交換膜(C)を通過して塩基室14へ移動
するH+は僅かであり、その大部分は、塩室13に残
る。
【0011】一方、弱塩基の塩を透析に供す電気透析装
置を図2に示す。この場合、電気透析装置は、陽極11
と陰極12との間にバイポーラ膜(B)と陰イオン交換
膜(A)を順に配列し、塩室13と酸室15を形成させ
た構造にある。かかる電気透析装置では、塩室13に供
給された弱塩基の塩は、前記と同様に通電されることに
よって、解離する陰イオンが陰イオン交換膜(A)を通
過し、バイポーラ膜(B)から供給されたH+ と結合し
て酸となる。一方、弱塩基イオンである陽イオンは塩室
13に残り、バイポーラ膜(B)から供給されたOH-
と結合して塩基となる。そして、弱塩基は解離度が低い
ため、上記塩室13では、それ以上通電を続けても、陰
イオン交換膜(A)を通過して塩基室14へ移動するO
-は僅かであり、その大部分は、塩室13に残る。
【0012】次に、以上の電気透析装置において使用さ
れる各イオン交換膜について、説明する。
【0013】まず、本発明において使用されるバイポー
ラ膜は、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とが張り合わ
さった構造をした複合イオン交換膜である。そのような
バイポーラ膜としては、特に制限されず公知の膜を使用
することができる。その製造方法としては、次のような
ものが知られている。例えば、陽イオン交換膜と陰イオ
ン交換膜とをポリエチレンイミン−エピクロルヒドリン
の混合物で張り合わせ硬化接着する方法(特公昭32−
3962号公報)、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜と
をイオン交換性接着剤で接着させる方法(特公昭34−
3961号公報)、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜と
を微粉のイオン交換樹脂、陰または陽イオン交換樹脂と
熱可塑性物質とのペースト状混合物を塗布し圧着させる
方法(特公昭35−14531号公報)、陽イオン交換
膜の表面にビニルピリジンとエポキシ化合物とからなる
糊状物質を塗布し、これに放射線照射することによって
製造する方法(特公昭38−16633号公報)、陰イ
オン交換膜の表面にスルホン酸型高分子電解質とアリル
アミン類を付着させた後、電離性放射線を照射架橋させ
る方法(特公昭51−4113号公報)、イオン交換膜
の表面に反対電荷を有するイオン交換樹脂の分散系と母
体重合体との混合物を沈着させる方法(特開昭53−3
7190号公報)、ポリエチレンフィルムにスチレン、
ジビニルベンゼンを含浸重合したシート状物をステンレ
ス製の枠にはさみつけ、一方の側をスルホン化させた
後、シートを取り外して残りの部分にクロルメチル化、
次いでアミノ化処理する方法(米国特許3562139
号明細書)、また陰イオン交換膜と陽イオン交換膜との
界面を無機化合物で処理し、両膜を接合する方法(特開
昭59−47235号公報)などである。
【0014】また、本発明において使用される陽イオン
交換膜は、公知の陽イオン交換膜が何等制限されること
なく使用される。例えば、スルホン酸基、カルボン酸
基、ホスホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基
を有するもの、さらにこれらのイオン交換基の複数種類
が混在した陽イオン交換膜を使用できる。また、陽イオ
ン交換膜は重合型、縮合型、均一型、不均一型の別な
く、また、補強心材の有無や、炭化水素系のもの、フッ
素系のもの、材料・製造方法に由来する陽イオン交換膜
の種類、型式などの別なく如何なるものであってもよ
い。さらに、2N−食塩水溶液を5A/dm2の電流密
度で電気透析した時の電流効率が70%以上の実質的に
陽イオン交換膜として機能するものであれば、一般に両
性イオン交換膜と称されるものであっても本発明の陽イ
オン交換膜として使用できる。また、陽極室に接する陽
イオン交換膜は、フッ素系のものを使用することが好ま
しい。
【0015】さらに、本発明に使用される陰イオン交換
膜としては、特に限定されず公知の陰イオン交換膜を用
いることが出来る。こうした陰イオン交換膜としては、
例えば、4級アンモニウム基、1級アミノ基、2級アミ
ノ基、3級アミノ基、さらにこれらのイオン交換基が複
数混在した陰イオン交換膜等が挙げられる。また、該陰
イオン交換膜は重合型、縮合型、均一型、不均一型の別
なく、また、補強心材の有無や、炭化水素系のもの、フ
ッ素系のもの、材料・製造方法に由来する陰イオン交換
膜の種類、型式などの別なく如何なるものであってもよ
い。さらに2N−食塩溶液を5A/dm2の電流密度で
電気透析し、電流効率が70%以上の実質的に陰イオン
交換膜として機能するものであれば、一般に両性イオン
交換膜と称されるものであっても本発明の陰イオン交換
膜として使用できる。
【0016】なお、本発明において使用される陽極およ
び陰極は、水電解、食塩電解など電気化学工業で用いら
れる電極が、何等制限なく用いられる。例えば、陽極材
料としてはニッケル、鉄、鉛、白金または黒鉛等が、ま
た、陰極材料としてはニッケル、鉄、ステンレススチー
ルまたは白金等が好適に使用できる。ここで言う白金は
白金メッキも含む。また、上記陽極および陰極の隣には
各々隔膜を入れ、電極から発生するガスを塩室13、酸
室15そして塩基室14にいれないことが望ましい。こ
の隔膜は、バイポーラ膜(B)、陽イオン交換膜
(C)、陰イオン交換膜(A)が兼ねていても、また荷
電を帯びていないものを新たに挿入してもかまわない。
【0017】陽極室に供給する陽極液の種類は、陽極材
料の種類に応じて適宜選択することができる。これらの
組合せとして好ましいものを例示すると、例えば、次の
とおりである。ニッケルまたは鉄−水酸化ナトリウム水
溶液、鉛−硫酸水溶液、白金−硫酸または硫酸ナトリウ
ム水溶液、黒鉛−食塩水溶液を挙げることができる。ま
た、陰極材料と陰極液の組合せとして好ましいものは以
下のようである。ニッケル、鉄、またはステンレススチ
ール−水酸化ナトリウム、硫酸ナトリウムまたは食塩水
溶液、白金−硫酸を挙げることができる。
【0018】本発明において、電気透析に供する弱酸の
塩及び弱塩基の塩は、各々公知のものが何等制限なく使
用できる。ここで、この電気透析に供する塩が強酸や強
塩基の塩であった場合、該塩から変換される強酸や強塩
基は、解離定数が大きくその全てが解離しているため、
電気透析の遂行にともなって経時的に変化する導電率の
変化が小さかったり、この生成した強酸や強塩基のH+
やOH-が、上記塩を構成する陽イオンや陰イオンの酸
室や塩基室への移動と競合するようになり、電気透析の
効率が悪いものとなったりする。ここで、上記弱酸の塩
及び弱塩基の塩は、その導電率が3Nの時20mS/c
m(25℃換算値、以下導電率は全て25℃換算値)以
上であり、このものから生成する弱酸及び弱塩基の導電
率が3Nの濃度で15mS/cm以下、さらに1〜12
mS/cmであるものが好ましい。
【0019】本発明において、好適に使用される弱酸の
塩を具体的に例示すれば、ギ酸塩、酢酸塩、シュウ酸
塩、トリクロロ酢酸塩、ジクロロ酢酸塩、モノクロロ酢
酸塩、チオグリコロール酸塩、マロン酸塩、プロピオン
酸塩、乳酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸
塩、酒石酸塩、酪酸塩、フェノール酸塩、クエン酸塩、
ピクリン酸塩、ピコリン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸
塩、フタル酸塩、亜硫酸塩、硫酸塩、クロム酸塩、チオ
硫酸塩等が挙げられる。一方、好適に使用される弱塩基
の塩を具体的に例示すれば、アンモニア塩、ヒドラジン
塩、ヒドロキシルアミン塩、エチルアミン塩、ジメチル
アミン塩、ジエチルアミン塩、トリエタノールアミン
塩、アニリン塩、ヘキサミン塩、ピリジン塩等が挙げら
れる。
【0020】本発明の最大の特徴は、前記電気透析装置
を回分式で運転して、こうした弱酸の塩または弱塩基の
塩から対応する弱酸または弱塩基を製造するに際し、電
気透析中における塩室室液の導電率を経時的に測定し
て、この電気透析を該導電率の変化がなくなる時点の近
傍まで実施することにある。即ち、かかる電気透析で
は、塩室室液の導電率は、図3に示すとおり透析の当初
においては、供給した弱酸の塩または弱塩基の塩がほぼ
完全に解離しているため、高い導電率を有している。そ
して、透析が遂行されるに従って、塩室室液中には、解
離定数の小さい弱酸または弱塩基が生成し、その導電率
は次第に低下してくる。そうして、さらに透析が進み、
塩室室液中の弱酸の塩または弱塩基の塩が全て対応する
弱酸または弱塩基に変換されると、その導電率の低下は
終了し、該弱酸または弱塩基の解離度に応じた固有の値
で一定となってしまう。
【0021】しかして、本発明は、図3に示すA点のよ
うなこの導電率の低下がおさまり、その変化がなくなる
時点の近傍まで透析を実施することにより、最良の収率
で最も効率的に透析を実施するものである。この導電率
の低下がおさまり安定する点は、生成する弱酸または弱
塩基の種類に応じてまちまちであるため、このような効
率的な電気透析の運転は、本発明の如く、塩室室液の導
電率を経時的に測定し、該導電率の変化がなくなる時を
もって、その透析の終える思想があって初めて達成され
るものである。なお、この導電率の変化がなくなる値
は、塩室室液中の若干のコンタミ物質、またはバイポー
ラ膜を介してリークした不純物等の影響で、上記弱酸ま
たは弱塩基の解離度のみから導かれる値よりも多少変動
するのが一般的である。
【0022】ここで、導電率の変化がなくなる時点より
過度に手前で運転を終了した場合、得られる弱酸や弱塩
基の収率が十分でなくなる。一方、この時点より過度に
後ろで運転を終了した場合、この過度に超過して運転し
た分、エネルギーを浪費し効率的でない。本発明におい
て、上記導電率の変化がなくなる時点の近傍とは、通
常、塩室室液1Lに対して、0.08ファラディ通電し
た時に通電前と通電後の導電率の差が0.5mS/c
m、さらに好ましくは0.3mS/cmになった時点か
ら該導電率の差が実質的な測定限界に達し変化が認めら
れなくなるまでの範囲、及びこの導電率の変化がなくな
った時点から、上記導電率の差が0.5mS/cm等に
なってから変化がなくなるまでに要した時間と同時間だ
け時間が超過するまでの範囲から採択されるのが一般的
である。このうち、特にエネルギー効率の面から、上記
導電率の差が0.5mS/cmになってからその変化が
なくなるまでの間であるのが好適である。
【0023】本発明において、この塩室室液の導電率の
測定は、塩室からサンプリングされた室液の導電率を電
導度計により測定することにより行えば良い。通常、本
発明の電気透析は、図4に示されるように塩室の室液
を、一部排出させて、一定の線速度で循環供給させるの
が好適であるため、上記導電率の測定は、この循環供給
される塩室室液循環ライン22の任意箇所に導電率計2
4を設置し、それにより測定するのが好ましい。
【0024】なお、本発明においてこうした導電率の変
化の測定は、必ずしも上記の如く塩室室液の導電率を直
接測定しなくても、かかる導電率の変化が原因で変化す
る他の物性値を測定して、かかる他の物性値の変化によ
り間接的に測定しても良い。こうした他の物性値として
は、例えば膜1対(バイポーラ膜と陽イオン交換膜、ま
たはバイポーラ膜と陰イオン交換膜)間の電圧(以下セ
ル電圧とも呼ぶ)の変化がある。このセル電圧の変化
は、具体的には、膜1対もしくは数対毎に装置に白金線
や金線のような貴金属線を挿入して膜1対当たりの電圧
を測り、その上昇の経時的な変化を観察する。この場
合、セル電圧は、透析の遂行にともなって上昇し、やが
て定点に達するが、本発明では、このセル電圧が定点に
達し変化がなくなる時点の近傍で、透析の運転を終了す
れば良い。ここで、好適なる透析の終了時点は、前記導
電率の測定の場合と同様に、塩室室液1Lに対して、
0.08ファラディ通電した時に、通電前と通電後のセ
ル電圧の差が0.2V、さらに好ましくは0.15Vに
達した時点から該セル電圧の差に変化が認められなくな
るまでの範囲、及びこのセル電圧の変化がなくなった時
点から、上記セル電圧の差が0.2Vに達してから変化
がなくなるまでに要した時間と同時間だけ時間が超過す
るまでの範囲から採択されるのが一般的である。
【0025】本発明において、以上の電気透析の運転
は、公知の電気透析の運転条件が何等制限なく採用でき
る。一般には、温度は10〜40℃、電流密度は5〜2
0A/dm2で運転するのが好適である。また、塩室に
供給する前記塩の濃度は、濃度が高いほど導電率が高く
なり液抵抗が下がるため、低い電力で運転することがで
きる。一般には0.1N以上が必要であり、0.2Nか
ら該塩の溶解度までの濃度が好適である。
【0026】
【発明の効果】本発明の電気透析方法によれば、塩室に
供給された弱酸の塩、または弱塩基の塩の種類に関係な
く、低電力にて最も良好な収率で、無駄なエネルギーを
ロスすることもなく、対応する弱酸または弱塩基に変換
可能である。
【0027】本発明の方法は、発酵液等の処理に特に有
効である。この方法を用いれば、コモディティケミカル
として有望な弱酸または弱塩基を、副生成物なしで、低
コストで生産することができる。特に生分解ポリマーの
原料として、注目を浴びている乳酸、コハク酸等を、そ
の塩が含有される発酵液から製造する場合において、非
常に有効な手段である。
【0028】
【実施例】本発明を更に具体的に説明するために下記に
実施例及び比較例を掲げて説明するが、本発明はこれら
の実施例に限定されるものではない。
【0029】実施例1 図1に示すように、白金製の1対の陰陽極間に、陽イオ
ン交換膜としてネオセプタCL−25T11枚とバイポ
ーラ膜ネオセプタBP−1 10枚(イオン交換膜の有
効膜面積はいずれも2dm2、総膜面積はそれぞれ2
2、20dm2)とが交互に配置され、塩室13と塩基
室14が形成されたフィルタープレス型電気透析装置を
使用した。
【0030】電気透析装置の塩室13に、3.0N乳酸
ナトリウム水溶液5.0Lを6cm/秒の線速度で、塩
基室14は1.0N水酸化ナトリウム水溶液5Lを5c
m/秒の線速度で、また電極室は1.0N水酸化ナトリ
ウム5Lを10cm/秒の線速度で供給、循環し、20
Aで通電した。通電前の3N乳酸ナトリウムの導電率は
50mS/cm(25℃換算値、以下実施例に於いても
導電率は全て25℃換算値)であった。通電中は常時導
電率をモニターしておき、0.4ファラディ(時間にし
て193秒)の間に0.4mS/cmしか変化しなかっ
たら通電が自動的に止まるように設定した。通電開始1
50分後導電率は5.7mS/cmであった。その19
3秒後導電率が5.3mS/cmであったので、通電が
終了した。塩室濃度を測定したところ乳酸として3.0
5N、乳酸ナトリウムとして0.011Nであった。液
量は4.9Lであったため、99.60%が変換され
た。平均電圧は25Vであったので電力原単位は949
WH/kg乳酸であった。
【0031】比較例1 実施例1において、導電率の差が1.2mS/cmしか
変化しなかった時、運転を停止するように設定した以外
は実施例1と同様の条件で通電した。120分後9.2
mS/cmになり、その193秒後8.0mS/cmに
なったので運転を自動停止した。実施例1と同様に変換
率を設定したところ89.5%であった。電力原単位は
827WH/kg乳酸であった。
【0032】比較例2 実施例1において、導電率の差が測定限界である0.1
mS/cmをきってから20分経過した後、運転を停止
するように設定した以外は実施例1と同様の条件で通電
した。この電気透析を実施後、実施例1と同様に変換率
を設定したところ99.63%であった。電力原単位は
1490WH/kg乳酸であった。
【0033】実施例2 実施例1において、塩室13に1N酪酸ナトリウムに変
更し、且つ導電率の差が0.2mS/cmしか変化しな
かった時、運転を停止するように設定した以外は、実施
例1と全く同様の条件で通電した。塩室の導電率は通電
前に70mS/cmであった。51分後導電率は1.3
mS/cmで、その193秒後1.1mS/cmであっ
たため通電が終了した。塩室濃度を測定したところ、酪
酸として0.99N、酪酸ナトリウムとして0.016
Nであった。液量は4.97Lであったため、変換率は
98.4%であった。平均電圧は23Vであったので電
力原単位は876WH/kg酪酸であった。
【0034】実施例3 実施例1において、塩室13に1.88Nギ酸ナトリウ
ムに変更し、且つ導電率の差が0.2mS/cmしか変
化しなかった時、運転を停止するように設定した以外
は、実施例1と全く同様の条件で通電した。塩室の導電
率は通電前に150mS/cmであった。95分後導電
率は8.5mS/cmで、その193秒後8.3mS/
cmであったため通電が終了した。塩室濃度を測定した
ところ、ギ酸として1.9N、ギ酸ナトリウムとして
0.014Nであった。液量は4.91Lであったた
め、変換率は99.2%であった。平均電圧は24Vで
あったので電力原単位は1748WH/kgギ酸であっ
た。
【0035】実施例4 実施例1において、乳酸ナトリウムの濃度を0.5Nに
変更し、且つ導電率の差が0.2mS/cmしか変化し
なかった時、運転を停止するように設定した以外はする
以外は、実施例1と全く同様の条件で通電した。導電率
は通電前に30mS/cmであった。22分後導電率は
5.4mS/cmで、その193秒後5.2mS/cm
であったため通電が終了した。塩室濃度を測定したとこ
ろ、乳酸として0.50N、乳酸ナトリウムとして0.
005Nであった。液量は4.95Lであったため、変
換率は99.0%であった。平均電圧は25Vであった
ので電力原単位は942WH/kg乳酸であった。
【0036】実施例5 実施例1において、塩液と電極液の種類を乳酸アンモニ
ウムに変更する以外は、実施例1と同様の条件で通電し
た。導電率は通電前に95mS/cmであった。147
分後塩室導電率は5.8mS/cmになり、その193
秒後5.4mS/cmであったため通電が止まった。塩
室濃度を測定したところ、乳酸として3.07N、乳酸
ナトリウムとして0.032Nであった。液量は4.8
5Lであったため、変換率は99.3%であった。平均
電圧は25Vであったので電力原単位は933WH/k
g乳酸であった。
【0037】実施例6 塩液をグルタミン酸モノナトリウムに変更する以外は、
実施例1と同様の条件で通電した。導電率は通電前に8
0mS/cmであった。160分後導電率は6.2mS
/cmで、その193秒後5.8mS/cmであったた
め通電が止まった。濃度を測定したところ、グルタミン
酸として3.05N、グルタミン酸モノナトリウムとし
て0.023Nであった。液量は4.88Lであったた
め、変換率は99.2%であった。平均電圧は28Vで
あったので電力原単位は696WH/kgグルタミン酸
であった。
【0038】実施例7 図2に示すように、白金製1対の陰陽極間に、陰イオン
交換膜ネオセプタAMH11枚とバイポーラ膜ネオセプ
タBP−1 10枚(イオン交換膜の有効膜面積はいず
れも2dm2、総膜面積はそれぞれ22、20dm2)と
が交互に配置され、塩室13と酸室15が形成されたフ
ィルタープレス型電気透析装置を使用した。
【0039】電気透析装置の塩室13に、3.0N硫酸
アンモニウム水溶液5.0Lを6cm/秒の線速度で、
酸室15は1.0N硫酸水溶液5Lを5cm/秒の線速
度で、また電極室は1.0N硫酸ナトリウム5Lを10
cm/秒の線速度で供給、循環し、20Aで通電した。
通電前のセル電圧は1.7Vであった。通電中は常時セ
ル電圧をモニターしておき、0.4ファラディ(時間に
して193秒)の間に0.15V変化するようになった
ら通電を止めるように設定しておいた。150分後セル
電圧は3.5Vであり、その193秒後セル電圧が3.
65Vに達したため、通電が終了した。塩室濃度を測定
したところ、アンモニアとして3.05N、硫酸アンモ
ニウムとして0.011Nであった。液量は4.9Lで
あったため、変換率は99.6%であった。平均電圧は
25Vであったので電力原単位は4979WH/kgア
ンモニアであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明で使用するバイポーラ膜と陽イオ
ン交換膜を用いた、電気透析装置の代表的模式図であ
る。
【図2】図2は本発明で使用するバイポーラ膜と陰イオ
ン交換膜を用いた、電気透析装置の代表的模式図であ
る。
【図3】図3は、電気透析中における導電率の変化を示
す図である。
【図4】図4は、本発明の電気透析方法の具体的運転の
態様を示す図である。
【符号の説明】
A 陰イオン交換膜 B バイポーラ膜 C 陽イオン交換膜 D 陰イオン交換膜または陽イオン交換膜 11 陽極 12 陰極 13 電気透析装置塩室 14 電気透析装置塩基室 15 電気透析装置酸室 16 電気透析装置電極液室 21 塩室室液タンク 22 塩室室液循環ライン 23 電気透析装置 24 導電率計

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陽極と陰極の間に、陽イオン交換膜または
    陰イオン交換膜とバイポーラ膜を順に配列させて、塩基
    室と塩室、または酸室と塩室を形成させ、塩室に弱酸の
    塩、または弱塩基の塩を供給して電気透析を行い、該塩
    室に弱酸または弱塩基を生成させる電気透析方法におい
    て、該電気透析を回分式で運転し、且つこの電気透析中
    の塩室室液の導電率を経時的に測定し、該導電率の変化
    がなくなった時点の近傍で、生成した弱酸または弱塩基
    を取得することを特徴とする電気透析方法。
JP6164972A 1994-07-18 1994-07-18 電気透析方法 Pending JPH0824587A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6164972A JPH0824587A (ja) 1994-07-18 1994-07-18 電気透析方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6164972A JPH0824587A (ja) 1994-07-18 1994-07-18 電気透析方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0824587A true JPH0824587A (ja) 1996-01-30

Family

ID=15803388

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6164972A Pending JPH0824587A (ja) 1994-07-18 1994-07-18 電気透析方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0824587A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004526280A (ja) * 2001-02-02 2004-08-26 ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト 燃料電池用冷却材を脱イオン化するための方法および装置
JP2005511074A (ja) * 2001-12-10 2005-04-28 イーメンブレン インコーポレーティッド 機能化材料およびそのライブラリー
JP2012149001A (ja) * 2011-01-18 2012-08-09 Kurita Water Ind Ltd シュウ酸インジウム水溶液からのシュウ酸イオンの回収装置、及びシュウ酸インジウム水溶液からのシュウ酸イオンの回収方法
JP2013193930A (ja) * 2012-03-21 2013-09-30 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 硫酸ニッケル水溶液の精製方法
CN108689827A (zh) * 2018-06-25 2018-10-23 合肥科佳高分子材料科技有限公司 一种通过双极膜电渗析制备甲酸的方法
CN109096230A (zh) * 2018-09-10 2018-12-28 合肥科佳高分子材料科技有限公司 一种通过双极膜电渗析制备维生素c的方法
JP2020132605A (ja) * 2019-02-25 2020-08-31 キリンホールディングス株式会社 カフェイン含有液の処理方法
CN113603565A (zh) * 2021-07-15 2021-11-05 浙江蓝波新材料科技有限公司 一种膜法分离季戊四醇副产甲酸钠新工艺
WO2022130782A1 (ja) * 2020-12-18 2022-06-23 オルガノ株式会社 電気透析装置、水処理システム及び方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004526280A (ja) * 2001-02-02 2004-08-26 ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト 燃料電池用冷却材を脱イオン化するための方法および装置
JP2005511074A (ja) * 2001-12-10 2005-04-28 イーメンブレン インコーポレーティッド 機能化材料およびそのライブラリー
JP2012149001A (ja) * 2011-01-18 2012-08-09 Kurita Water Ind Ltd シュウ酸インジウム水溶液からのシュウ酸イオンの回収装置、及びシュウ酸インジウム水溶液からのシュウ酸イオンの回収方法
JP2013193930A (ja) * 2012-03-21 2013-09-30 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 硫酸ニッケル水溶液の精製方法
CN108689827A (zh) * 2018-06-25 2018-10-23 合肥科佳高分子材料科技有限公司 一种通过双极膜电渗析制备甲酸的方法
CN109096230A (zh) * 2018-09-10 2018-12-28 合肥科佳高分子材料科技有限公司 一种通过双极膜电渗析制备维生素c的方法
JP2020132605A (ja) * 2019-02-25 2020-08-31 キリンホールディングス株式会社 カフェイン含有液の処理方法
WO2022130782A1 (ja) * 2020-12-18 2022-06-23 オルガノ株式会社 電気透析装置、水処理システム及び方法
CN113603565A (zh) * 2021-07-15 2021-11-05 浙江蓝波新材料科技有限公司 一种膜法分离季戊四醇副产甲酸钠新工艺

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0011504B1 (en) Method of, use of an ion-exchange membrane for, and apparatus for electrodeposition of a protein
Melnikov et al. Pilot scale complex electrodialysis technology for processing a solution of lithium chloride containing organic solvents
Boniardi et al. Lactic acid production by electrodialysis Part I: Experimental tests
WO2022209641A1 (ja) バイポーラ膜を用いた電気透析方法
JPH0824587A (ja) 電気透析方法
JP5769409B2 (ja) 水酸化リチウムの製造方法
Lambert et al. Treatment of solutions containing trivalent chromium by electrodialysis
JP3337587B2 (ja) 有機酸の製造方法
US20210069645A1 (en) Multi-stage bipolar electrodialysis system for high concentration acid or base production
JP5188454B2 (ja) 有機酸の製造方法
JPH1036310A (ja) 有機酸の製造方法
Tzanetakis et al. Radiation-grafted PVDF anion exchange membrane for salt splitting
Strathmann et al. Electromembrane processes, efficient and versatile tools in a sustainable industrial development
JP3151042B2 (ja) 酸及びアルカリの製造方法
JPH06322572A (ja) 両性膜及びアルカリ金属水酸化物水溶液の製造方法
JP3324853B2 (ja) 酸水溶液及びアルカリ水溶液の製造方法
KR20220086862A (ko) 황산리튬 폐액으로부터 수산화리튬 및 황산의 회수방법
JP4016663B2 (ja) 電気脱イオン装置の運転方法
JPH05285347A (ja) 酸及びアルカリの製造方法
JP2002265494A (ja) 混合物から高純度化された目的物を製造する方法
JP3144652B2 (ja) 酸及びアルカリの製造方法
JP3151045B2 (ja) 酸及びアルカリの製造方法
JPH07148420A (ja) 酸及びアルカリの回収方法
JP4494612B2 (ja) 水酸基含有塩の製造方法
CN220812640U (zh) 一种海水制氢系统