JP2020132605A - カフェイン含有液の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 カフェインは、有益な生理作用がある反面、子供や妊婦などカフェインに過敏な人にとっては、好ましくなく、カフェイン濃度の制御が行われている。従来、薬剤や吸着材などを利用するため、操作の煩雑さや廃棄物の発生などが問題となっていた。【解決手段】 2枚のバイポーラ膜の中間にカチオン交換膜を配置したバイポーラ膜電気透析装置の水素イオン発生室にカフェイン含有液を導入し、カフェインに水素イオンを配位させ、カフェインカチオンとし、カチオン交換膜を通過させることによって、カフェインを分離する。カチオン交換膜を通過したカフェインカチオンは、もう一方のバイポーラ膜によって発生した水酸化物イオンによって、カフェインと水に戻り濃縮される。他の有用成分を残しながら、電気のみを使用し、カフェインを分離できる。【選択図】 図3

Description

本発明は、植物抽出液からカフェインを選択的に低減してカフェイン濃度の低減された低カフェイン植物抽出液を得るための処理方法に関する。
茶、コーヒー、ココア、その他多種類の植物にカフェインが含まれている。このような植物から得られる抽出液にはカフェインが含まれる。しかし、カフェインは、利尿作用、眠気醒まし、疲労回復等の脳刺激作用などの有益な生理作用がある反面、中枢神経興奮作用や強心作用等の生理活性を備えているため、子供や妊婦などカフェインに過敏な人にとっては、飲食物中にカフェインが含まれない方が望まれる。更にまた、植物抽出液を製造する過程において、カフェインはカテキン等との相互作用により不溶成分(クリームダウン) を形成し、カテキン等の収率を下げるとも指摘されている。
そのため、従来、植物の抽出液、特に茶葉や茶抽出液からカフェインを低減させる種々の方法が提案されている。
例えば、特許文献1(特開昭48−469号公報)は、炭酸ガスの臨界温度、臨界圧力の臨界点を超えた領域で抽出を行うことによってカフェインを分離除去する超臨界炭酸ガス抽出法を開示している。
特許文献2(特開昭59−219384号公報)は、茶葉を熱湯、メタノール水溶液、エタノール水溶液又はアセトン水溶液で抽出して得られる抽出成分を含む溶液をクロロホルムで洗浄し、酢酸エチル等の有機溶媒に転溶させることによってカフェインを低減する方法を開示している。
特許文献3(特開平1−175978号公報)は、茶葉から温水乃至熱水を用いて溶出した水溶性化合物を、ハイドロキシルプロピル化デキストリン又は親水性ビニルポリマーゲルを充填したカラムに注入し、次いで蒸留水、メタノール水溶液、エタノール水溶液又はアセトン水溶液を通液し、ポリマーゲルにカフェイン等を吸着分離する方法を開示している。
特許文献4(特開平2−6499号公報)は、茶抽出液を限外濾過膜で処理するポリフェノール類の製造方法を開示している。
特許文献5(特開平2−311474号公報)、特許文献6(特開平6−9607号公報)及び特許文献7(特開平8−109178号公報)は、茶葉抽出液を合成吸着剤処理し、親水性有機溶媒で溶出することによってカフェインを低減する方法を開示している。
特許文献8(特開平3−27248号公報)は、ケイソウ土、セラミックス粉体、脱脂綿、粉末濾紙の少なくとも一種を充填したカラムに茶浸出液を注入し、ジクロロエタンまたはクロロホルムまたはその混合液を用いてカラムを洗浄してカフェインのみを溶出させる方法を開示している。
特許文献10(特開平8−70772号公報)は、緑茶・紅茶・ウーロン茶・マテ茶等のカフェインを含む茶類を素材とした茶の抽出時及び/又は抽出後、適量の活性炭を混合または添加して、カフェインを低減した茶類抽出液を得る方法を開示している。
特開昭48−469号公報 特開昭59−219384号公報 特開平1−175978号公報 特開平2−6499号 特開平2−311474号公報 特開平6−9607号公報 特開平8−109178号公報 特開平3−27248号公報 特開平6−116258号公報 特開平8−70772号公報
本発明は、ポリフェノール、アミノ酸、無機塩類など、カフェイン以外の有用な成分を低減することなく、カフェインのみを選択的に低減して得られる低カフェイン天然植物エキス、特に茶から得られる低カフェイン茶エキスを提供せんとするものである。本発明はまた、外観や香味が通常の茶飲料と遜色ない程度に維持される、茶飲料およびコーヒー飲料の濁度低減方法や香味低減抑制方法を提供することも目的とする。
本発明は、次の特徴を有するカフェイン含有液の処理方法およびカフェインの分離装置を提供することによって課題を解決する。
(1)カフェイン含有液中のカフェインを第1のバイポーラ膜により発生させた水素イオンによってカチオン化する第1工程、カチオン化されたカフェインを陰極側に向かって、強酸性カチオン交換膜を通過させることによって、カフェイン含有液からカフェインを分離する第2工程、強酸性カチオン交換膜を通過したカチオン化したカフェインを第2のバイポーラ膜により発生させた水酸化物イオンにより中和し、カフェインを得る第3工程を含むことを特徴とするカフェイン含有液の処理方法。
(2)前記カフェイン含有液は植物抽出成分を含み、前記第1工程から第3工程によりカフェイン濃度が薄められたカフェイン含有液とカフェイン濃度が高められたカフェイン濃縮液を得ることを特徴とする(1)記載のカフェイン含有液の処理方法。
(3)2枚のバイポーラ膜の中間にカチオン交換膜を配置し、水素イオン発生室と水酸化物イオン発生室に区画された膜構成を基本単位とするバイポーラ膜電気透析装置において、水素イオン発生室にカフェイン含有液を流入させ、カフェインをカチオン化させることによって、カチオン交換膜を通過させ、隣室の水酸化物イオン発生室において、カフェインカチオンと水酸化物イオンとの反応によって、カフェインと水に戻すことを特徴とする(1)又は(2)記載のカフェイン含有液の処理方法。
(4)前記(3)記載のバイポーラ膜とカチオン交換膜とによって区画される水素イオン発生室には、カチオン交換体が装填されていることを特徴とする(3)記載のカフェイン含有液の処理方法。
(5)前記(4)記載のカチオン交換体が、強酸性カチオン交換樹脂、強酸性カチオンスペーサー、強酸性カチオン交換繊維、それらの加工品、より選択されたことを特徴とする(3)又は(4)記載のカフェイン含有液の処理方法。
(6)前記(5)記載の強酸性カチオン交換スペーサー又は強酸性カチオン交換繊維が、強酸性カチオン交換基を含まないスペーサー又は強酸性カチオン交換基を含まない繊維に放射線を照射した後、スルホン酸基を含むモノマーか又はスルホン酸基に転換可能なモノマーをグラフト重合することによって得ることを特徴とする(3)〜(5)のいずれか記載のカフェイン含有液の処理方法。
(7)前記水素イオン発生室とカフェイン含有液を貯めた脱塩液槽との配管経路にカチオン交換体充填槽を設け、カフェイン及び共存カチオンを吸着させ、その後前記水酸化物イオン発生室の循環液で洗浄することを特徴とする(3)〜(6)のいずれか記載のカフェイン含有液の処理方法。
カフェインは分子量194であり、図1に示すように3級アミン4個を有するプリン環からなる。酸性溶液側では、この窒素原子の非共有電子対に水素イオン(H)が配位することにより、カチオンとしての性質を示すようになる。図1では、1個の水素イオンが特定の窒素原子に配位する例を示したが、他の窒素原子に配位する可能性もあり、以降カフェインカチオン又は[CafH]と記す。
バイポーラ膜(BP膜)は強酸性カチオン交換膜と強塩基性アニオン交換膜を貼り合わせた構造を有しており、電気透析装置用の膜として開発された。BP膜を電気透析装置に配置し、直流電圧を印加することにより、水(HO)がHとOHに分解する。この現象は水解とよばれている。
本発明のカフェイン除去に利用できるBP膜搭載電気透析装置の基本構成は図2に示すようなものである。2枚のBP膜1の間にカチオン交換膜2が設置され、水素イオン発生室3と水酸化物イオン発生室4とに分かれている。BP膜を構成するカチオン交換膜(C)とアニオン交換膜(A)の向きは水素イオンを発生する面がカチオン交換膜(BP(AC)のC面)、水酸化物イオンを発生する面がアニオン交換膜(BP(AC)のA面)でなければならない。BP膜と中間のカチオン交換膜2で仕切られた左側の水素イオン発生室3では電圧が印加され、BP膜から水素イオンが発生する。水素イオンは陰極5に向かって移動し、カチオン交換膜2を通過する。水酸化物イオン発生室4では、アニオン交換膜より、水酸化物イオンが発生し、陽極6に向かう。図2では、イオン交換膜や各区画室の機能を説明するため、膜間距離を幅広く記載しているが、実際は膜間距離がわずか数mmと小さく、図2に示すようなイオン交換膜構成の単位ユニットが数十組積層されている。
水素イオン発生室にカフェイン含有液を流入させると、BP膜で発生した水素イオンとカフェイン(Caf)が接触し、図3に示すようにカチオン化され[CafH]+となる。カチオン化された[CafH]+はカチオン交換膜を通過し、水酸化物イオン発生室に至る。水酸化物イオン発生室では水酸化物イオン(OH)とカチオン化された[CafH]+とが反応し、水とカフェイン(Caf)に戻る。
カフェインを含有する液に塩化ナトリウム(NaCl)のような無機塩類が共存していれば、ナトリウムイオン(Na+)がカチオン交換膜を通過し、塩化物イオンがのこるため、塩酸酸性となるが、この水素イオンはカフェインへの配位にも利用され、カフェイン分離に都合がよい。したがって、カフェインと無機塩類の共存は、水素イオン発生室では水素イオンがより多く、水酸化物イオン発生室では水酸化物イオンがより多く生成し、カフェイン分離の不利にはならない。
カチオン化されたカフェインはアルカリ金属やアルカリ土類金属のような塩構成カチオンと比べ、カチオン交換膜の透過が遅いが、電圧を上げて水解発生量を多くするなど、電気透析装置の運転条件を調整することにより、早くすることができる。
カチオン交換樹脂は再生型である水素イオン型が図4の反応式に示すように、カフェインを吸着除去できる。カフェインをカチオン化するための水素イオンが再生型強酸性カチオン交換樹脂から提供される。そして、カチオン交換樹脂のようなカチオン交換体を水素イオン発生室に充填することにより、[CafH]をより迅速に捕捉することが可能である。カチオン交換体に捕捉された[CafH]は、イオン電導により、陰極に向かって移動し、カチオン交換膜に受け渡される。BP膜電気透析装置の処理性能を上げることができる。
通常の電気透析装置は図5に示すようなイオン交換膜(1,2)とスペーサー7の単位セルが何組も積層され密着している。電気抵抗を小さく抑えるため、膜間距離はわずか数mmと小さく、直径1mm弱のイオン交換樹脂を充填することが難しい。しかしながら、イオン電導性のイオン交換樹脂の充填によって、電気抵抗が下がるため、例えば、膜間距離を10mm以上と大きくすることが可能である。
電気透析装置に搭載されるイオン交換膜の膜間距離は通常数mmと狭いが、膜が互いに接触することがないようスペーサー7が装填されている。このスペーサーは、図6に示す形状で、ポリオレフィン系の高分子からなる斜交網ネットであり、膜間距離を一定に保つだけでなく、液の均一分散と膜面流速を一定に保持する役割を有している。斜交網ネットに放射線グラフト重合法を利用して、スルホン酸基を導入し、強酸性カチオン交換スペーサーを製造することができる。強酸性カチオン交換スペーサーを使用すると、スペーサー自体がカフェインを吸着できるようになる。捕捉されたカフェインは[CafH]の形態となり、スペーサー上をカチオン交換膜に向かってイオン電導する。図7においては、スペーサーの幅を広く記載しているが、実際は数mmの幅である。
また、水素イオン発生室に充填するカチオン交換体としては、繊維も好ましい。特に繊維の集合体である織布や不織布はシート状であり、単繊維と比べ装填しやすい。図8に示すように、強酸性カチオン交換不織布を短冊状に切り、水素イオン発生室に積層してもよい。また、図9に示すように、2枚の不織布シートをイオン交換膜面に接するように装填し、不織布シートに挟まれるようにスペーサーを配置してもよい。
カチオン交換膜を通過した[CafH]はカチオン交換膜表面から濃縮室に移動する。濃縮室側のBP膜は2枚のイオン交換膜のうちアニオン交換膜側(BP(AC)のA側)が濃縮室に接し、水解によって発生した水酸化物イオンを放出しており、カフェインに配位していた水素イオンを中和する。[CafH]はOHと反応しカフェインと水に戻る。
このようにして、脱塩室にはカフェイン濃度が薄められた液、濃縮室にはカフェイン濃度の高められた液ができる。新たな薬剤、吸着材を使用せずとも、カフェインを含む溶液からカフェインを分離することができる。
本発明により、何ら薬剤や吸着材を使用せず電気のみでカフェイン濃度の低められた液を味や外観の大きな変化を伴うことなく製造することが可能となった。
カフェインの化学構造と水素イオンの配位の一例を示す図である。 カチオン交換膜を搭載した2室法バイポーラ膜電気透析装置の基本構造と水の分解によって生じた水素イオンと水酸化物イオンの移動方向を示す図である。実際より膜間距離を大きく描いている。 本発明のカフェイン除去メカニズムを示す図である。カチオン交換膜を2枚のバイポーラ膜の中間に配置した2室法電気透析装置において、カフェインを含む液が水素イオン発生室に導入され、バイポーラ膜で発生した水素イオンをカフェインが配位することによってカフェインカチオン([CafH])となり、中間に位置するカチオン交換膜を通過する。カチオン交換膜を通過した[CafH]は水酸化物イオン発生室おいて、もう一方のバイポーラ膜によって発生した水酸化物イオン(OH)と接触することにより、[CafH]がCafと水に戻り、水酸化物イオン発生室から流出する。 再生型(H型)の強酸性カチオン交換樹脂がカフェインを吸着する反応式である。スルホン酸基のHがカフェインへ配位する。 イオン交換膜とスペーサーの積層構造を表す図である。 スペーサーに使用される斜交網ネットを示す図である。スペーサーの厚み方向から液が流れる。 水素イオン発生室にカチオン交換スペーサーが装填されている状態を示す図である。スペーサーが装填されている実際の幅は数mmと小さい。 水素イオン発生室に短冊状に切断したカチオン交換不織布を積層させた状態を示す図である。 水素イオン発生室にイオン交換膜に接して2枚のカチオン交換不織布とその中間にスペーサーを装填した図である。 BP膜電気透析装置と脱塩液槽、濃縮液槽、極液槽を付設し、配管により接合した基本系統図である。 BP膜電気透析装置と脱塩液槽、濃縮液槽、極液槽を付設し、さらに、脱塩液槽と水素イオン発生室の間にカチオン交換樹脂塔を設置し、濃縮液槽からの配管が接合している図である。
発明の実施の形態
本発明による、カフェインの除去は図2に示す2枚のバイポーラ膜1の間にカチオン交換膜2を配置した2室法バイポーラ膜電気透析装置で実施することができる。バイポーラ膜を市販している電気透析装置の代表的なメーカーとしては、株式会社アストムがあり、アシライザーBPEDなどを利用することができる。カチオン交換膜としてはスルホン酸基を有する強酸性カチオン交換膜であればいずれも使用可能であり、アストム社のものではネオセプタCMB、ネオセプタCSEなどが利用できる。
図2のようなバイポーラ膜電気透析装置の基本構成を、陽極−BP(AC)−C−BP(AC)−陰極と表すことができる。BPはバイポーラ膜、C及びAはそれぞれカチオン交換膜及びアニオン交換膜を表す。BP(AC)膜とC膜で囲まれた区画室及びC膜とBP(AC)膜で囲まれた区画室があり、それぞれ水素イオン発生室及び水酸化物イオン発生室と呼び、図では幅広に描かれているが、それぞれの区画室は幅数mmと薄いスペーサーによって膜間距離が維持されている。
カフェイン含有液を処理する場合は、図10に示すように、電気透析装置と脱塩液槽10、濃縮液槽11、及び極液槽12が併設される。脱塩液槽と水素イオン発生室とは流入用及び流出用配管が接続され脱塩液槽に投入されたカフェイン含有液が循環できる構造となっている。また、濃縮液槽と水酸化物イオン発生室においても、流入及び流出のための配管が接続され、濃縮液が循環できる構造となっている。カフェイン含有液は水素イオン発生室に送られ、水解によって発生した水素イオンがカフェインの一部に配位し、カチオン交換膜を透過する。脱塩液槽のカフェイン濃度は徐々に低くなる。濃縮液槽と水酸化物イオン発生室が配管で接続され、循環している。カチオン交換膜を透過したカフェインカチオンはBP膜から発生する水酸化物イオンによって中和されカフェインに戻る。したがって、濃縮液槽でのカフェイン濃度は徐々に高くなる。濃縮液槽には最初は電気抵抗を小さくするため、無機塩類溶解液などを利用することができる。極液槽には硫酸ナトリウムなど電極が腐食しない液を利用することができる。
カフェインカチオンは他のカチオン、例えばアルカリ金属のナトリウムイオン(Na+)やアルカリ土類金属のカルシウムイオン(Ca2+)と比べイオン交換選択性が小さいために、カチオン交換膜を透過する速度が小さい。これを改善するため、図11のように再生型のカチオン交換体を脱塩液槽と水素イオン発生室の間で配置し、カフェイン含有液と接触させてもよい。配置する箇所としては、水素イオン発生室が好ましいが、水素イオン発生室と脱塩液槽の途中でもよい。
例えば、図11に示すように、水素イオン発生室と脱塩液槽の配管の途中にカチオン交換樹脂塔13を再生型で設置することができる。この場合、先ず、カフェイン以外の共存カチオンがカチオン交換樹脂に吸着される。その結果、吸着したカチオンと等量の水素イオンが発生し、BP膜から発生する水素イオンと合わせ、カフェインに配位する水素イオンの濃度を高くすることができる。また、水素イオン発生室に流入するカフェイン含有液から共存イオンを減らすことができ、カフェインカチオンを透過しやすくできる。カチオン交換樹脂塔は濃縮液槽に貯まった弱アルカリ液で洗浄し、カチオン交換樹脂塔に吸着したカフェインを溶離することができる。
水素イオン発生室にカチオン交換体を充填する方法は最も好ましい。カチオン交換樹脂を充填する場合、膜間距離はカチオン交換樹脂を均一充填しやすい距離を採用する必要がある。また、電気透析装置には、多数のイオン交換膜が膜間距離2〜3mmの間隔を保ちながら、互いに接触しないようスペーサーが挿入されている。このスペーサーはポリオレフィン系の斜交網ネットからできており、流入液の均一分散やイオン交換膜面での滞留が無いよう工夫されている。図7は斜交網ネットに放射線グラフト重合法によりスルホン酸基を導入したものを装填した例である。膜間距離が通常の電気透析とほとんど変わらないため、カフェイン含有液中のカフェインや共存カチオンが先ずスペーサーに吸着され、カチオン交換膜に向かってイオン電導する。カチオン交換膜の膜表面積が増加したと考える方が直感的に理解しやすいであろう。
また、スペーサーの代わりに繊維を用いることができる。繊維の集合体である不織布には、様々な仕様がある。繊維径、目付(1mあたりの繊維重量)、厚み、不織布の製造方法など、目的、用途、作業性などを考慮して選定できる。あらかじめ予備実験等により、処理性能、電気抵抗、圧力損失などの情報を得ておくことが好ましい。不織布の製造方法とは、繊維をシート化する際の方法である。本発明ではあらゆる不織布が使用できるが、熱融着タイプの不織布が好ましい。物理的強度が大きく、繊維くずの脱落が少ない点や繊維同士の接点が溶けているため、イオン電導に好ましいためである。不織布はシート状であるため、放射線グラフト重合法を適用し、スルホン酸基を導入したカチオン交換不織布を装填する際、図8に示すように、水素イオン発生室に積層させる方法や図9に示すように、イオン交換膜と面で接して装填することが可能である。繊維は表面積が大きいため、大きな吸着速度を期待できる。
本発明においては、好ましくは放射線グラフト重合法、すなわち、放射線を基材に照射し、基材表面あるいは基材内部に生成したラジカルを利用して重合性モノマーを基材に重合させる方法によりグラフト重合を実施し、スルホン酸基を導入することができる。既存の様々な形状、材質の高分子材料を利用でき、グラフト鎖が架橋構造を有していないためグラフト鎖は架橋構造を有しておらず、吸着速度や被吸着イオンの拡散速度が大きく分離材料として優れた性質を示す。
高分子基材に照射する放射線は電離性放射線を用いることができ、例えば、α線、β線、γ線、電子線、中性子線等が挙げられるが、高分子基材の表面から深部まで透過する能力を有するγ線および電子線が好ましい。放射線の照射条件は、適度な官能基密度が達成される限り特に限定されないが、脱酸素状態で、5〜200kGyが好ましく、より好ましくは15〜100kGyである。反応系を脱酸素状態にするための方法は当業者に知られており、例えば、窒素等の不活性ガスを反応系にバブリングする等の処理を行うことができる。
放射線グラフト重合は、放射線の照射のタイミングにより、前照射グラフト重合法と同時照射グラフト重合法とに分けられる。前照射グラフト重合法とは、あらかじめ基材に放射線を照射した後、モノマーと接触させる重合方法であり、単独重合物の生成量が少ないため一般的には分離材料の製造方法にふさわしい方法である。
放射線グラフト重合法は既存のさまざまな形状の高分子材料の表面だけでなく内部にもグラフト鎖を導入でき、単なる表面改質とは大きく異なる。したがって、繊維やネットを基材として選定した場合、基材表層だけでなく内部にまでラジカルが均一に生成する。そのため、グラフト重合が基材表面ばかりでなく内部にも起こり、官能基量を大きくできる。例えば、グラフト率(重量増加率)は容易に50%以上が得られ、100%以上も可能である。
水素イオン発生室に装填したカチオン交換体はカフェインカチオンや共存のカチオンを吸着し、イオン電導によってカチオン交換膜へ移動させる。したがって、イオン交換膜のみから構成されるBP膜電気透析装置の性能を向上させることができる。
以下の具体的実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
バイポーラ膜電気透析装置でのカフェイン除去試験
(株)アストムのバイポーラ膜電気透析装置EX−3Bに図2に示すイオン交換膜を搭載した。東京化成工業(株)のカフェインを純水に溶解し、カフェイン濃度が400mg/Lのカフェイン含有液を調製し、700mlを脱塩液槽に投入した。さらに、濃縮液槽に純水700ml、極液として0.5Mの水酸化ナトリウムを極液槽に700ml投入した。電圧30Vを印加し、定電圧運転でBP膜電気透析装置を稼働した。脱塩液流量、濃縮液流量及び極液流量はともに1〜1.4L/分の範囲であった。BP膜電気透析装置の脱塩液及び濃縮液槽のカフェイン濃度をUV吸収スペクトルで測定した。1時間後のカフェイン濃度は脱塩液槽で340mg/L、濃縮液30mg/Lであった。2時間後のカフェイン濃度は脱塩液槽で290mg/L、濃縮液槽で60mg/Lであった。脱塩液槽のカフェイン濃度の減少量と濃縮液槽でのカフェイン濃度の増加量が一致しないが、イオン交換膜内でのカフェインの残留とおもわれる。しかし、カフェインが徐々に濃縮液槽に移動できることが分かった。なお、水素イオン発生室のpHは2.7〜2.9、水酸化物イオン発生室のpHは9.0〜10.0であった。
[実施例2]
強酸性カチオン交換ネットの製造
ポリエチレン製斜交網ネットに100kGyの電子線を照射し、スチレンスルホン酸ナトリウム(東ソー製、商品名:スピノマー)/N−ビニル−2ピロリドン(日本触媒製)/メタノール/水=10/20/10/60(重量比)の液に浸漬し、50℃で24時間グラフト重合を行った。グラフト率(重量増加率)は64%であり、中性塩分解容量が1.2mmol/gのスルホン酸基を有する強酸性カチオン交換ネットが製造できた。
強酸性カチオン交換ネット搭載バイポーラ膜電気透析装置によるカフェイン除去試験
実施例1と同様の条件でカフェイン除去試験を行った。1時間後のカフェイン濃度は脱塩液槽で120mg/L、濃縮液10mg/Lであった。2時間後のカフェイン濃度は脱塩液槽で80mg/L、濃縮液槽で70mg/Lであった。
実施例1及び2より、カフェインがバイポーラ膜電気透析装置により、分離できることが分かった。また、カチオン交換ネットを充填するとさらに分離効率が上がることが分かった。
本発明により、カフェイン含有溶液から電気のみを使用してカフェインを分離することが可能となった。コーヒーをはじめ植物抽出液にはカフェインが含まれるので、濃度を制御することが重要である。従来、カフェインを分離するのに、吸着材や薬剤を使用する方法が行われてきたが、操作の煩雑さや廃棄物発生量が多いなど課題が多かった。本発明により、これらの課題を解決でき、産業の発展に資すること大である。
1 バイポーラ膜
2 カチオン交換膜
3 水素イオン発生室
4 水酸化物イオン発生室
5 陰極
6 陽極
7 スペーサー
8 強酸性カチオン交換スペーサー
9 強酸性カチオン交換不織布
10 脱塩液槽
11 濃縮液槽
12 極液槽
13 カチオン交換樹脂塔

Claims (7)

  1. カフェイン含有液中のカフェインを第1のバイポーラ膜により発生させた水素イオンによってカチオン化する第1工程、カチオン化されたカフェインを陰極側に向かって、強酸性カチオン交換膜を通過させることによって、カフェイン含有液からカフェインを分離する第2工程、強酸性カチオン交換膜を通過したカチオン化したカフェインを第2のバイポーラ膜により発生させた水酸化物イオンにより中和し、カフェインを得る第3工程を含むことを特徴とするカフェイン含有液の処理方法。
  2. 前記カフェイン含有液は植物抽出成分を含み、前記第1工程から第3工程によりカフェイン濃度が薄められたカフェイン含有液とカフェイン濃度が高められたカフェイン濃縮液を得ることを特徴とする請求項1記載のカフェイン含有液の処理方法。
  3. 2枚のバイポーラ膜の中間にカチオン交換膜を配置し、水素イオン発生室と水酸化物イオン発生室に区画された膜構成を基本単位とするバイポーラ膜電気透析装置において、水素イオン発生室にカフェイン含有液を流入させ、カフェインをカチオン化させることによって、カチオン交換膜を通過させ、隣室の水酸化物イオン発生室において、カフェインカチオンと水酸化物イオンとの反応によって、カフェインと水に戻すことを特徴とする請求項1または2記載のカフェイン含有液の処理方法。
  4. 前記請求項3記載のバイポーラ膜とカチオン交換膜とによって区画される水素イオン発生室には、カチオン交換体が装填されていることを特徴とする請求項3記載のカフェイン含有液の処理方法。
  5. 前記請求項4記載のカチオン交換体が、強酸性カチオン交換樹脂、強酸性カチオンスペーサー、強酸性カチオン交換繊維、それらの加工品、より選択されたことを特徴とする請求項3又は4記載のカフェイン含有液の処理方法。
  6. 前記請求項5記載の強酸性カチオン交換スペーサー又は強酸性カチオン交換繊維が、強酸性カチオン交換基を含まないスペーサー又は強酸性カチオン交換基を含まない繊維に放射線を照射した後、スルホン酸基を含むモノマーか又はスルホン酸基に転換可能なモノマーをグラフト重合することによって得ることを特徴とする請求項3〜5のいずれか記載のカフェイン含有液の処理方法。
  7. 前記水素イオン発生室とカフェイン含有液を貯めた脱塩液槽との経路にカチオン交換体充填槽を設け、カフェイン及び共存カチオンを吸着させ、その後前記水酸化物イオン発生室の循環液で洗浄することを特徴とする請求項3〜6のいずれか記載のカフェイン含有液の処理方法。
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