JP2002265494A - 混合物から高純度化された目的物を製造する方法 - Google Patents

混合物から高純度化された目的物を製造する方法

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JP2002265494A
JP2002265494A JP2001061523A JP2001061523A JP2002265494A JP 2002265494 A JP2002265494 A JP 2002265494A JP 2001061523 A JP2001061523 A JP 2001061523A JP 2001061523 A JP2001061523 A JP 2001061523A JP 2002265494 A JP2002265494 A JP 2002265494A
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JP2001061523A
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Hiroshi Takahashi
博 高橋
Kenichi Kikuchi
賢一 菊地
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Tokuyama Corp
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Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 タンパク質、ペプチド、アミノ酸等を含む混
合物から、目的成分を効率よく分離し、純度の向上した
目的物を得る方法を提案する。 【解決手段】 リシンとメチオニンのような互いに等電
点の異なる両性電解質の混合物から目的成分を電気透析
法で分離するに際し、目的成分又は不純物成分のいずれ
か一方の等電的pH領域又は等電点に相当するpH条件
下で前記混合物の電気透析を行なうか、又は電気透析を
行なう際の溶液pHと目的物の等電点との差と該溶液p
Hと不純物の等電点との差との差が1以上となるような
pH条件下で前記混合物の電気透析を行ない目的成分を
分離すし、純度の向上した目的成分を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アミノ酸やタンパ
ク質等の両性電解質或いは両性コロイドとなり得る物質
を製造する方法に関する。更に詳しくは、不純物を含む
アミノ酸やタンパク質等から電気透析法を用いて目的物
を分離し、純度の向上した目的物を製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】タンパク質、ペプチド、アミノ酸等は医
農薬、各種診断薬、食品等における重要な原料物質とな
っている。これらタンパク質等は、一般にバイオプロセ
スを用いて製造されているが、バイオプロセスにおいて
は、目的成分はプロセスの上部から供給される原料中に
僅かしか含まれておらず、且つ該原料中には分離が困難
な夾雑物が多く含まれていることが多い。このため、高
純度の目的物を得るためには目的物と不純物との混合物
から目的物を分離する必要がある。
【0003】このような分離方法としては、アフィニテ
ィークロマトグラフィー、密度勾配遠心法、電気泳動分
離法等が知られている。これら分離法の中でも電気泳動
分離法は、駆動電気力の制御、抵抗力の制御、或いは環
境因子の制御等により多くの方法が開発されており、具
体的には等電点電気泳動法やエレクトロデカンテーショ
ン法等が知られている。
【0004】上記等電点電気泳動法とは、等電点がわず
かずつ異なる多数の低分子電解質の混合物からなる両性
担体を用いて電気透析を行ない、pH勾配を形成すると
ともにタンパク質をその等電点と等しいpHの位置に狭
いバンド状に濃縮するものであり、高度の分離が可能で
ある。また、エレクトロデカンテーション法は、連続的
に原料を導入しながら連続的に分離を行なうことが可能
な方法であり、工業的生産に適した方法であると言える
{A.Polson, J.F.Larger:Multi-membrane Electrodeca
ntation,A Laboratory Manual of Analytical Methods
of Protain Chemistry, Pergamon Press, Oxford ,pp.
161-192(1960)}。該エレクトロデカンテーション法
は、両側が半透膜で仕切られた単位槽の中に複数種のタ
ンパク質の混合物を連続的に下方から供給して、特定の
タンパク質の等電点で電気泳動を行なうもので、この時
に等電点タンパク質は、供給液と共に槽外に排出される
が、等電点以外のタンパク質は単位槽の中で起こる熱対
流と電気泳動によって膜表面で濃縮されて沈降するとい
う現象を利用して分離を行なうものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
等電点電気泳動法では、一般に装置等の制約から一回の
処理量が僅かとなってしまうばかりでなく、pH勾配及
び分離した成分を安定に保つためにショ糖密度勾配や種
々のゲルからなる支持体を用いなければならず、最終的
には目的成分をこれら支持体等から分離する必要があ
る。また、エレクトロデカンテーション法では、処理量
に対する制約は少ないが、等電点以外のタンパク質の沈
降速度は一般に遅いため、大量の原料について短時間で
分離を行なうことは困難である。また、沈降したタンパ
ク質の中に別の有用なタンパク質が含まれている場合、
沈降したタンパク質を一旦回収し、これをまた溶液に分
散させて同様の操作を繰り返さなければならず、操作が
煩雑であるといった問題もある。
【0006】そこで、本発明は、複数種類のアミノ酸や
タンパク質等を含んでなる混合物から、目的物を固定化
したり不純物を沈降させることなく目的物を短時間で効
率よく分離し、純度の向上した目的物を得る方法を提供
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するため鋭意検討を行なった。その結果、複数種
類のアミノ酸を含んでなる混合物について、目的物であ
るアミノ酸の等電点で電気透析を行なった場合には、等
電点以外のアミノ酸を沈降さること無く短時間で両者を
分離することができることに想到し、本発明を完成する
に至った。
【0008】即ち、本発明は、両性電解質又は水溶液中
で両性コロイドとなり得る物質からなる目的物と、両性
電解質又は水溶液中で両性コロイドとなり得る物質であ
って前記目的物と異なる等電的pH領域又は等電点を有
する物質からなる不純物とを含む混合物から当該目的物
を分離して純度の向上した目的物を製造する方法であっ
て、前記目的物又は前記不純物のいずれか一方の等電的
pH領域又は等電点に相当するpH条件下で前記混合物
の電気透析を行なうか、又は電気透析を行なう際の溶液
pHと目的物の等電点との差と該溶液pHと不純物の等
電点との差との差が1以上となるようなpH条件下で前
記混合物の電気透析を行なうかして前記目的物を分離す
ることを特徴とする高純度化された目的物の製造方法で
ある。
【0009】上記本発明の製造方法においては、イオン
交換膜等の半透膜を用いた電気透析法を採用しているの
で、例えば、原料液を供給する室内のpHが目的物であ
るアミノ酸やタンパク質等の等電点となる様にして原料
液を連続供給して電気透析を行なった場合に、目的物は
室から排出される液と共に室外に排出され、不純物であ
る他のアミノ酸やタンパク質等は荷電を持ったまま存在
するので陽イオン交換膜を透過して隣の室に移動する。
したがって、短時間で目的物と不純物との分離を行なう
ことが出来、しかも不純物を溶液またはコロイド溶液の
状態のままで回収することも可能である。
【0010】また、前記本発明において、陽極と陰極と
の間に陰イオン交換膜、バイポーラ膜、少なくとも2枚
の陽イオン交換膜を配置して、(A)陽極を含み、その
陰極側が陰イオン交換膜で仕切られた陽極室、(B)陰
極を含み、その陽極側が陽イオン交換膜で仕切られた陰
極室、(C)陽極側が陰イオン交換膜で仕切られ、陰極
側がバイポーラ膜の陰イオン交換体面で仕切られた水酸
化物イオン発生室、(D)陽極側がバイポーラ膜の陽イ
オン交換体面で仕切られ、陰極側が陽イオン交換膜で仕
切られた水素イオン発生室、並びに(E)陽極側及び陰
極側が共に陽イオン交換膜で仕切られた少なくとも1つ
のpH調整室を有する電気透析装置を用い、該装置の各
室に電解液水溶液を供給すると共に、水素イオン発生室
及びpH調整室からなる群より選ばれる少なくとも1つ
の室に、両性電解質又は水溶液中で両性コロイドとなり
得る物質からなる目的物と、両性電解質又は水溶液中で
両性コロイドとなり得る物質であって前記目的物と異な
る等電的pH領域又は等電点を有する物質からなる不純
物とを含む混合物を供給して電気透析を行なうに際し、
該混合物を供給する室及び/又は該室の陰極側の室の溶
液のpHを、前記目的物又は前記不純物のいずれか一方
の等電的pH領域又は等電点に相当するpHに調整する
か、又は室内溶液のpHと目的物の等電点との差と該室
内溶液のpHと不純物の等電点との差との差が1以上と
なるようなpHに調整して電気透析を行なった場合に
は、バイポーラ膜で発生した水素イオンの拡散性を利用
して、或いは各室に供給する電解質溶液の濃度や流量を
変えることにより、室内溶液のpHを容易に調整できる
という特徴がある。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法では、等電的p
H領域又は等電点の異なる複数の物質の混合物から、特
定の等電点又は等電的pH領域を有する目的物質を不純
物と分離し、目的物質を得る。ここで、等電点又は等電
的pH領域とは、溶液中における物質についてその分子
内の正、負の荷電がつり合い、全体としての電荷が0と
なるときのpH又はpH領域を意味する。なお、混合物
に含まれる各物質の等電点や等電的pH領域が不明の場
合には、前出の等電点電気泳動法により容易に求めるこ
とができる。この場合には、各バンドに濃縮された物質
を個別に取り出し分析し物質を同定することによって、
各物質ごとの等電点又は等電的pH領域を知ることがで
きる。
【0012】本発明の製造方法では、原料として互いに
等電的pH領域又は等電点の異なる複数の両性電解質又
は水溶液中で両性コロイドとなり得る物質の混合物を使
用する。該混合物中の1種の両性電解質又は水溶液中で
両性コロイドとなり得る物質が製造の目的物であり、そ
の他の物質が不純物となる。ここで、両性電解質又は水
溶液中で両性コロイドとなり得る物質としては、特に限
定されず、グリシン、アラニン、リシン、メチオニンな
どの各種アミノ酸等の両性電解質;水溶性タンパク質、
ホルモンなどのペプチドやタンパク質等の高分子両性電
解質;アルミナ、酸化錫等の両性酸化物;及び水酸化亜
鉛等の両性水酸化物等が使用できる。これらの中でも、
それぞれが固有の等電点を有し、他の方法では効率的な
分離が難しいという観点から、本発明の製造方法は、少
なくとも2種のアミノ酸、ペプチド、又はタンパク質を
含有する混合物から特定の1種のアミノ酸、ペプチド、
又はタンパク質(目的物)を分離し、純度の向上した目
的物を製造するのに特に有効である。
【0013】本発明の製造方法では、前記目的物又は
前記不純物のいずれか一方の等電的pH領域又は等電点
に相当するpH条件下で前記原料混合物の電気透析を行
なうか、又は室内溶液のpHと目的物の等電点との差
と該室内溶液のpHと不純物の等電点との差との差が1
以上となるようなpHに調整して電気透析を行うかして
前記目的物を分離する。
【0014】上記のような条件で電気透析を行なった
場合には、等電的pH領域(又は等電点)において分子
の全体の電荷は0となるので、等電的pH領域(又は等
電点)におかれた物質(等電点物質ともいう。)は電場
内においても電気泳動が起こらずその場にとどまるのに
対し、その等電的pH領域(又は等電点)でないPH条
件下におかれた物質(非等電点物質ともいう。)は分子
に電荷が存在するため電場内で電気泳動して半透膜を透
過し、結果として等電点物質と非等電点物質とを分離す
ることができる。この場合においては、分離効率の点か
ら、原料混合物における目的物と不純物の等電点又は等
電的pH領域の低い方の限界pHの差は0.5以上、特
に1以上であるのが好適である。
【0015】また、室内溶液のpHを等電点に制御する
ことが困難な場合においても、目的物と不純物の等電点
の差が1以上ある場合には、溶液pHを何れの等電点よ
りも低くする、即ち、上記に示すように室内溶液のp
Hと目的物の等電点との差と該室内溶液のpHと不純物
の等電点との差との差が1以上となるようにすることに
より両者を分離することができる。この場合には、両者
ともイオン状態で存在することになるが、両者の移動度
に大きな差が生じるために分離が可能になるものと思わ
れる。上記の場合には、分離効率の点から、原料混合
物における目的物と不純物の等電点の差は2以上、特に
3以上であるのが好適である。
【0016】pHを制御して原料混合物の電気透析を行
なう方法は、2枚の半透膜で仕切られた室内に原料混合
物を含む溶液を導入し、pHが特定の値に調整された条
件下で該室内に電場を発生させてイオンを半透の外側に
移動させる方法であれば特に限定されず、公知の電気透
析装置を用いて行なうことができる。また、pH調整方
法についても酸や塩基を添加する方法等の水素イオンや
水酸化物イオンを導入又は除去できる公知の方法が適用
可能である。しかしながら、危険性が高く装置の腐食の
原因ともなる酸や塩基を用いずにpH調整が容易に行な
えるという観点から、バイポーラ膜を用いて発生させた
水素イオンや水酸化物イオンを利用してpH調節を行な
うのが好適である。
【0017】特に、連続運転が可能で、高い分離効率が
期待できることから、陽極と陰極との間に陰イオン交換
膜、バイポーラ膜、少なくとも2枚の陽イオン交換膜を
配置して、(A)陽極を含み、その陰極側が陰イオン交
換膜で仕切られた陽極室、(B)陰極を含み、その陽極
側が陽イオン交換膜で仕切られた陰極室、(C)陽極側
が陰イオン交換膜で仕切られ、陰極側がバイポーラ膜の
陰イオン交換体面で仕切られた水酸化物イオン発生室、
(D)陽極側がバイポーラ膜の陽イオン交換体面で仕切
られ、陰極側が陽イオン交換膜で仕切られた水素イオン
発生室、並びに(E)陽極側及び陰極側が共に陽イオン
交換膜で仕切られた少なくとも1つのpH調整室を有す
る電気透析装置を用い、該装置の各室に電解液水溶液を
供給すると共に、水素イオン発生室及びpH調整室から
なる群より選ばれる少なくとも1つの室に、両性電解質
又は水溶液中で両性コロイドとなり得る物質からなる目
的物と、両性電解質又は水溶液中で両性コロイドとなり
得る物質であって前記目的物と異なる等電的pH領域又
は等電点を有する物質からなる不純物とを含む混合物を
供給して電気透析を行なうに際し、該混合物を供給する
室及び/又は該室の陰極側の室の溶液のpHを、前記目
的物又は前記不純物のいずれか一方の等電的pH領域又
は等電点に相当するpHに調整するか、又は室内溶液の
pHと目的物の等電点との差と該室内溶液のpHと不純
物の等電点との差との差が1以上となるようなpHに調
整して電気透析を行なうのが好適である。
【0018】以下、図1を用いて上記方法を例に、本発
明の製造方法について詳しく説明する。
【0019】上記方法では、図1に示すような陽極2と
陰極3との間に陰イオン交換膜4、バイポーラ膜5、陽
イオン交換膜6a〜6cを配置して、(A)陽極室7、
(B)陰極室8、(C)水酸化物イオン発生室9、
(D)水素イオン発生室10、並びに(E)2つのpH
調整室11aおよび11bを構成した電気透析装置1を
用いる。
【0020】該装置1で使用する陽極2及び陰極3とし
ては、一般的な電気透析で使用される公知の電極が特に
制限されず使用できる。例えば、陽極材料としては、カ
ーボン、白金、ニッケル、鉄、チタン上にルテニウムを
コートしたもの、チタン上に酸化イリジウムをコートし
たもの等が使用できる。また陰極材料としては鉄、ニッ
ケル、カーボン、白金等が使用できる。
【0021】また、上記装置で使用する陰イオン交換膜
4は、特に限定されず、公知の陰イオン交換膜を用いる
ことが出来る。例えば、スチレン−ジビニルベンゼン樹
脂、ポリスルホン樹脂などに4級アンモニウム基、ピリ
ジニウム基、アミノ基等の陰イオン交換基を導入した膜
を用いることが出来るが、バイポーラ膜と併用する関係
上、アルカリ性下にても交換基が解離している4級アン
モニウム基を有し、かつアルカリ耐久性の陰イオン交換
膜が望ましい。又、陰イオン交換膜は、重合型、均一
型、不均一型、あるいは補強心材の有無や製造方法に由
来する陰イオン交換膜の種類、形式など如何なるもので
あってもよい。又、陰イオン交換膜のなかに陽イオン交
換基を若干有する様なイオン交換膜であっても陰イオン
の輸率が90%以上であれば陰イオン交換膜として十分
使用できる。陰イオン交換膜の厚みは10〜400μ
m、好ましくは30〜200μmである。イオン交換容
量は、電圧降下や輸率の関係から0.4〜2.5meq
/g、好ましくは0.6〜2.0meq/gである。
【0022】また、バイポーラ膜5としては、陽イオン
交換膜と陰イオン交換膜が貼合わさった構造からなり、
水をプロトン(水素イオン)と水酸化物イオンに解離す
ることができるイオン交換膜であれば特に限定されず、
公知の製法で製造されたバイポーラ膜が使用できる。
【0023】前記装置1で使用可能なバイポーラ膜を示
せば、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜をポリエチレン
イミン−エピクロルヒドリンの混合物で張り合わせ硬化
接着する方法により製造されるバイポーラ膜(特公昭3
2−3962号公報);陽イオン交換膜と陰イオン交換
膜をイオン交換性接着剤で接着させる方法により製造さ
れるバイポーラ膜(特公昭34−3961号公報);陽
イオン交換膜と陰イオン交換膜とを微粉のイオン交換樹
脂、陰または陽イオン交換樹脂と熱可塑性物質とのペー
スト状混合物を塗布し圧着させる方法により製造される
バイポーラ膜(特公昭35−14531号公報);陽イ
オン交換膜の表面にビニルピリジンとエポキシ化合物か
らなる糊状物質を塗布しこれに放射線照射することによ
って製造する方法により製造されるバイポーラ膜(特公
昭38−16633号公報);陰イオン交換膜の表面に
スルホン酸型高分子電解質とアリルアミン類を付着させ
た後電離性放射線を照射架橋させる方法により製造され
るバイポーラ膜(特公昭51−4113号公報);イオ
ン交換膜の表面に反対電荷を有するイオン交換樹脂の分
散系と母体重合体との混合物を沈着させる方法により製
造されるバイポーラ膜(特開昭53−37190号公
報);ポリエチレンフィルムにスチレンージビニルベン
ゼンを含浸重合したシート状物をステンレス製の枠には
さみつけ、一方の側をスルホン化させた後、シートを取
り外して残りの部分にクロルメチル化次いでアミノ化処
理する方法により製造されるバイポーラ膜(米国特許3
562139号);特定の金属イオンを陰陽イオン交換
膜の表面に塗り両イオン交換膜を重ね合わせてプレスす
ることにより得られる水解離電圧の低いバイポーラ膜
(Electrochim.Acta,Vol.31
1175−1176(1986));無機イオン交換体
を陰陽イオン交換膜の間に存在させるバイポーラ膜(特
開平6−172557号公報、特開平6−172558
号公報、特開平6−263896号公報、特開平7−3
051号公報);金属酸化物の微粒子を含む陰イオン交
換体と陽イオン交換膜とが接合したバイポーラ膜(特開
平8−269217号公報);及び陰イオン交換膜と陽
イオン交換膜の間に中間層を儲け、中間層が金属酸化物
の微粒子および陰イオン交換基からなるバイポーラ膜
(特開平10−87853号公報)等を挙げることがで
きる。
【0024】また、上記装置1で使用する陽イオン交換
膜6は、特に限定されず、公知の陽イオン交換膜を用い
ることが出来る。例えば、スチレン−ジビニルベンゼン
樹脂、ポリスルホン樹脂などにスルホン酸基、カルボン
酸基等の陽イオン交換基を導入した膜を用いることが出
来るが、バイポーラ膜と併用する関係上、酸性下にても
交換基が解離しているスルホン酸基を有する陽イオン交
換膜が望ましい。又、陽イオン交換膜は、重合型、均一
型、不均一型、あるいは補強心材の有無や製造方法に由
来する陽イオン交換膜の種類、形式など如何なるもので
あってもよい。又、陽イオン交換膜のなかに陰イオン交
換基を若干有する様なイオン交換膜であっても陽イオン
の輸率が90%以上であれば陽イオン交換膜として十分
使用できる。陽イオン交換膜の厚みは10〜400μ
m、好ましくは30〜200μmである。イオン交換容
量は、電圧降下や輸率の関係から0.5〜3.0meq
/g、好ましくは0.7〜2.5meq/gである。
【0025】前記装置1では、各室に電解質水溶液を供
給し、両電極間に電力を印可し電位差を生じせしめる
と、バイポーラ膜により水の電気分解が起こり、水酸化
物イオン発生室9及び水素イオン発生室10でそれぞれ
水酸化物イオン及び水素イオンが発生する。そして発生
した水酸化物イオンは陽極方向に移動し、陰イオン交換
膜4を透過して陽極室に移動する。また、発生した水素
イオンは陰極方向に移動し、陽イオン膜6a、6b、お
よび6cを順次透過して最終的に陰極室に移動する。
【0026】このとき、印可電圧、水素イオン発生室1
0、pH調整室11a及び11bに供給する電解質溶液
中の電解質の種類や濃度等を制御したり、或いは流量を
制御してこれら室に連続的又は断続的に電解質溶液を供
すると共に室内の液を抜き出す等することにより各室内
の溶液のpHを調整することができる。例えば、pHを決
めるプロトン濃度は、供給されてくる溶液中の陰イオン
濃度によって決まってくるので、陰イオン濃度を高くす
れば酸濃度が高くなりpHは低くくなる、また、陰イオン
濃度を低くしても酸濃度はさほど低くならないので、陰
イオン濃度を設定することで任意の7より低いpHに制
御できる。
【0027】装置1を用いて本発明の方法を行なう場合
には、水素イオン発生室10、又はpH調整室11a或
いは11bの何れかの室に複数種のアミノ酸を含む原料
混合物を供給し、各室のpHを所望の値に調整して電気
透析を行なえばよい。
【0028】例えば、図1においてpH調整室11aに
原料混合物を供給した場合を考えてみると、該室に溶液
中の陰イオン濃度を一定とした液を供給すると、該室の
pHは一定の値に収束する。この時この収束するpH値を目
的物のアミノ酸の等電点に等しくすると目的物のアミノ
酸の等電点より高い等電点を有する不純物アミノ酸はプ
ラスに荷電しているので陰極に引かれて陽イオン交換膜
(6b)を透過してpH調整室11bに移動する。一
方、目的物アミノ酸は等電点であるので、陰極にも陽極
にも引かれないからpH調整室11aに残る。かくし
て、原料混合物に含まれるアミノ酸類を2分割すること
ができる。なお、原料混合物が目的物アミノ酸より低い
等電点を有するアミノ酸を含んでいる場合には、該アミ
ノ酸はアニオンとなっているので、pH調整室11aに
残るが、該室内の溶液を抜き出し、不純物アミノ酸の等
電点で同様の電気透析を行なうことにより、目的物アミ
ノ酸を更に分離することができる。
【0029】上記装置1を用いた方法では、原料となる
アミノ酸混合溶液を連続的に供給すれば、アミノ酸の分
離も連続的に行うことができ、目的物を連続的に製造す
ることができる。以上、バイポーラ膜より陰極側に陽イ
オン交換膜を複数枚配置した時に就いて説明してきた
が、陽極側に陰イオン交換膜を複数枚配置した時に就い
ては、ちょうど反対のことがいえる。すなわち、(A)
陽極を含み、その陰極側が陰イオン交換膜で仕切られた
陽極室、(B)陰極を含み、その陽極側が陽イオン交換
膜で仕切られた陰極室、(C)陽極側が陰イオン交換膜
で仕切られ、陰極側がバイポーラ膜の陰イオン交換体面
で仕切られた水酸イオン発生室、(D)陽極側がバイポ
ーラ膜の陽イオン交換体面で仕切られ、陰極側が陽イオ
ン交換膜で仕切られた水素イオン発生室、並びに
(E’)陽極側及び陰極側が共に陰イオン交換膜で仕切
られた少なくとも1つのpH調整室を有する電気透析装
置を用いて分離を行なうことも可能であるる。この場
合、陰イオン交換膜で挟まれたpH調整室においては、
pHが7より高いところで、供給される陽イオン濃度によ
って制御できる。
【0030】
【実施例】以下実施例により本発明を説明するが、本発
明はこれに限られるものではない。 実施例1 図1に示した構造の電気透析装置を用い、各室にNaC
l水溶液を供給すると共に、水素イオン発生室10にリ
シン(等電点:9.74)とメチオニン(等電点:5.74)の
混合物を供給し、電気透析を行なった。
【0031】電気透析は、pH勾配が2〜4の範囲にな
るように水素イオン発生室10、pH調整室11a、及
び11bに供給するNaCl水溶液のNaCl濃度をそ
れぞれ5、1、及び0.1mol/m3に調整し、水素イ
オン発生室10のみにリシンとメチオニンを各4.5m
ol/m3添加して、電流密度10A/m2で12時間行
った。12時間後の水素イオン発生室10、pH調整室
11a、及び11bにおけるpHはそれぞれ2.5、
3.5、及び3.8となっており、水素イオン発生室1
0、pH調整室11a、11b、および陰極室8におけ
るリシン濃度は、それぞれ1.6、0.5、0.5、お
よび1.3mol/m3であり、メチオニン濃度はそれ
ぞれ4.5、0、0、及び0mol/m3であった。リシン
は陰極室まで移動してきているが、メチオニンは水素イ
オン発生室10に留まっており、リシンとメチオニンが
分離された。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、例えばバイオプロセス
で製造されるようなさまざまな種類のタンパク質、ペプ
チド、アミノ酸等を含む混合物から、目的成分を効率よ
く分離し、純度の向上した目的物を得ることができる。
しかも、分離工程において目的物を固定化したり不純物
を沈降させることがないので、目的物を単離したり不純
物から他の有効成分を回収したりするもの容易である。
さらに、本発明の製造方法は、連続運転が可能であり、
工業的にも優れた方法であると言える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本図は、本発明の方法に使用できる代表的な
電気透析装置の概略図である。
【符号の説明】
1・・・電気透析装置 2・・・陽極 3・・・陰極 4・・・陰イオン交換膜 5・・・バイポーラ膜 6a〜6c・・・陽イオン交換膜 7・・・陽極室 8・・・陰極室 9・・・水酸化物イオン発生室 10・・・水素イオン発生室 11a、11b・・・pH調整室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 227/40 C07C 229/26 229/26 319/28 319/28 323/58 323/58 C07K 1/34 C07K 1/34 C02F 1/46 103 Fターム(参考) 4D006 GA17 HA41 JA02A KA26 KE15R KE30R MA03 MA13 MA14 MA15 MA31 MC24 MC62 MC77 MC78 PA01 PB52 PB70 PC11 PC41 4D061 DA10 DB16 DB18 DC12 EA09 EB01 EB04 EB28 EB29 EB30 EB31 FA11 4H006 AA02 AD19 BD82 BS10 BU32 NB23 TA04 TB52 TC34 4H045 AA20 GA10

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両性電解質又は水溶液中で両性コロイド
    となり得る物質からなる目的物と、両性電解質又は水溶
    液中で両性コロイドとなり得る物質であって前記目的物
    と異なる等電的pH領域又は等電点を有する物質からな
    る不純物とを含む混合物から当該目的物を分離して純度
    の向上した目的物を製造する方法であって、前記目的物
    又は前記不純物のいずれか一方の等電的pH領域又は等
    電点に相当するpH条件下で前記混合物の電気透析を行
    なうか、又は電気透析を行なう際の溶液pHと目的物の
    等電点との差と該溶液pHと不純物の等電点との差との
    差が1以上となるようなpH条件下で前記混合物の電気
    透析を行なうかして前記目的物を分離することを特徴と
    する高純度化された目的物の製造方法。
  2. 【請求項2】 陽極と陰極との間に陰イオン交換膜、バ
    イポーラ膜、少なくとも2枚の陽イオン交換膜を配置し
    て、(A)陽極を含み、その陰極側が陰イオン交換膜で
    仕切られた陽極室、(B)陰極を含み、その陽極側が陽
    イオン交換膜で仕切られた陰極室、(C)陽極側が陰イ
    オン交換膜で仕切られ、陰極側がバイポーラ膜の陰イオ
    ン交換体面で仕切られた水酸化物イオン発生室、(D)
    陽極側がバイポーラ膜の陽イオン交換体面で仕切られ、
    陰極側が陽イオン交換膜で仕切られた水素イオン発生
    室、並びに(E)陽極側及び陰極側が共に陽イオン交換
    膜で仕切られた少なくとも1つのpH調整室を有する電
    気透析装置を用い、該装置の各室に電解液水溶液を供給
    すると共に、水素イオン発生室及びpH調整室からなる
    群より選ばれる少なくとも1つの室に、両性電解質又は
    水溶液中で両性コロイドとなり得る物質からなる目的物
    と、両性電解質又は水溶液中で両性コロイドとなり得る
    物質であって前記目的物と異なる等電的pH領域又は等
    電点を有する物質からなる不純物とを含む混合物を供給
    して電気透析を行なうに際し、該混合物を供給する室及
    び/又は該室の陰極側の室の溶液のpHを、前記目的物
    又は前記不純物のいずれか一方の等電的pH領域又は等
    電点に相当するpHに調整するか、又は室内溶液のpH
    と目的物の等電点との差と該室内溶液のpHと不純物の
    等電点との差との差が1以上となるようなpHに調整し
    て電気透析を行なうことを特徴とする請求項1に記載の
    製造方法。
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