JPH07156371A - シリンダ洗浄装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 弾性体の圧着パッドの耐久性を向上させると
共に、メインテナンス性を向上させる。 【構成】 圧着パッド５と洗浄布４との間に金属板６を
配置し、金属板と洗浄布との間の摩擦を低減させる。洗
浄布のシリンダ１０への押圧を解除し、布供給ロール２
から供給され、布巻取ロール３に巻取って布供給を行う
間欠動作の場合は布巻取トルクを小さくでき、また洗浄
布をシリンダへ押圧状態で布供給を行う連続動作の場合
は布が金属板表面を滑らかに通過でき、圧着パッドによ
る押し付け圧を確保しつつ布送りができる。また圧着パ
ッドが金属板によって保護されているため、洗浄のため
の溶剤などに侵されることがなく、耐久性が向上する。
更に金属板に付く汚れは簡単に除去できるため、圧着パ
ッドに付着した汚れを除去する場合に比べて圧着パッド
部のメインテナンスが容易である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はオフセット印刷機のブラ
ンケットシリンダなどのシリンダ表面を洗浄するシリン
ダ洗浄装置に係り、特に弾性体の圧着パッドを用いて、
洗浄布をシリンダ表面に押圧する方式のシリンダ洗浄装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】洗浄布を使用したシリンダ洗浄装置は、
被洗浄シリンダに対し、予め溶剤や水を含ませた洗浄布
を、その背面側から押圧部材でシリンダ表面に圧着し、
シリンダ表面上のインキや紙粉などの付着物を溶解さ
せ、布で拭き取り、汚れた布を随時送って、新しい布を
シリンダに当てて洗浄する。一般的に洗浄布をシリンダ
に押付ける手段として、例えば回転ブラシ、弾性体の中
実パッド、内部にエアを送って膨張させるエアパッドな
どが使用されている。

【０００３】シリンダ洗浄においては、シリンダに洗浄
布を圧着させた状態で連続的または間欠的に供給すると
洗浄効果が大きくなり、また布供給時に於ける洗浄布を
シリンダから離脱させるための機構が不要になって構造
の簡略化が図れる。また弾性体表面に摩擦の少ない素材
をコーティングしたり、テフロンなど摩擦の少ないシー
トを張ったりして、摩擦を減少させ洗浄性能の改善が図
られている。例えば、実開昭６３−１１３６４６号には
布押圧時の洗浄布と押圧部材との間の摩擦を低減するた
め、押圧部材の表面に低摩擦材のフッ素化合物から成る
柔軟なフィルムを配設したものが提案されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、洗浄布をシ
リンダに押圧した状態で、布供給を行う方式ではシリン
ダ表面と洗浄布、洗浄布と押圧部材との間の摩擦に打勝
つ布巻取トルクを必要とし、布供給機構が大型化する。
特に、シリンダが印刷機のブランケットシリンダのよう
に、ゴム系の場合は摩擦が大きくなる。また洗浄布を圧
着している弾性体も、一般的にゴム系の材料が使用され
るため、ここでも布との摩擦が大きくなる。そのため、
布を送る場合はシリンダより布を離脱させて摩擦を減少
させなければならない。このように、布供給時にシリン
ダから洗浄布を離脱させる方式ではシリンダと洗浄布と
の間の摩擦がなくなり、布巻取トルクを小さくでき、布
供給機構を小型化できるが、その反面、洗浄布を離脱さ
せる機構が必要となり、構造が複雑になり、しかも布供
給のタイミングに合わせて布離脱機構を動作させるなど
の制御をしなければならない。また押圧部材の表面にコ
ーティングしたり、プラスチック系のシートを張る方式
では対摩耗性や対薬品性について十分満足する性能を得
ることができないという問題があった。本発明の目的
は、弾性体の圧着パッドの耐久性を向上させると共に、
メインテナンス性に優れたシリンダ洗浄装置を提供する
ことにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明はシリンダの外周面に対して相対的に移動す
る洗浄布を、弾性体の圧着パッドにより前記シリンダの
外周面に押圧して、当該外周面を洗浄するシリンダ洗浄
装置において、前記圧着パッドと洗浄布との間に金属板
を配置した構成にある。また他の発明は、上記発明にお
いて、次のいずれかの構成に特徴を有するものである。
すなわち、 （１）金属板は圧着パッドの押圧によって該圧着パッド
の形状に沿って変形する構成にある。 （２）金属板は予め圧着パッドの形状に合わせて湾曲し
た形状に作製された構成にある。 （３）金属板は少なくとも布供給側または布巻取側が固
定された構成にある。 （４）金属板の布供給側と布巻取側の端部を可動自在に
支持し、圧着パッドの押圧動作により金属板を変形また
は移動させる構成にある。

【０００６】

【作用】請求項１に記載のシリンダ洗浄装置によると、
圧着パッドと洗浄布との間に金属板を配置したことによ
り、金属板と洗浄布との間の摩擦が、圧着パッドと洗浄
布との間の摩擦に比べて極めて小さくなる。特に、洗浄
布のシリンダへの押圧を解除して布供給を行う間欠動作
の場合は有利になる。また洗浄布を連続的に供給する、
つまりシリンダに押圧した状態で布供給を行う連続動作
の場合、洗浄布をシリンダに押し付ける力は圧着パッド
の弾性力に依存するが、布の通過に伴って生ずる摩擦は
金属板表面の小さな摩擦係数によって減少し、押し付け
圧を確保しつつ布送りができる。また圧着パッドが金属
板によって保護されているため、洗浄のための溶剤など
に侵されることがなく、耐久性が向上する。更に金属板
に付く汚れは簡単に除去できるため、圧着パッドに付着
した汚れを除去する場合に比べて圧着パッド部のメイン
テナンスが容易である。

【０００７】

【実施例】以下、本発明のシリンダ洗浄装置の実施例を
説明する。図１は本発明の実施例の構成を示す。洗浄ユ
ニット１は、布供給ロール２及び布巻取ロール３を備
え、洗浄布４の走行路中のシリンダ１０に対向する部分
には、圧着パッド５が設けられている。圧着パッド５
は、弾性体で作製されており、その前面に金属板６が配
置されている。なお、符号９は洗浄布に溶剤を与えるた
めのスプレーバーである。

【０００８】金属板６は、キズに対して強く、かつ圧着
パッド５になじみ易い、可とう性を持った薄い板が選ば
れる。好ましくは、厚さ０．０３〜０．０５ｍ／ｍのス
テンレス板を使用する。金属板６の取付は、洗浄布４の
供給側または巻取側のいずれか一方を固定し、対向する
他方を非固定にした片持ち構造とする。図１に示す例
は、洗浄布供給側に設けられた金属板支持部７に固定し
たものである。

【０００９】金属板６は、シリンダとの対向側に対して
ほぼ直角方向に折り曲げられた折曲片６ａ、６ｂを有す
る。本例では布供給側の折曲片６ａが金属板を支持する
ための取付片になっている。金属板支持部７は、図２に
示すように、取付片６ａを圧着パッド５のサポータ８の
側面に固定板７ａで押え、ねじ止めによって支持する構
造になっている。このように金属板を片持ち構造にする
ことにより、金属板が圧着パッドに押されて、パッド表
面形状に沿って変形する場合に、金属板の自由端によっ
てその逃げを許容することができる。

【００１０】このように圧着パッドと洗浄布との間に、
金属板を配置することにより、金属板と洗浄布との間の
摩擦が、圧着パッドと洗浄布との間の摩擦に比べて極め
て小さくなる。その結果として、洗浄布供給時の布巻取
トルクが小さくなる。特に、洗浄布のシリンダへの押圧
を解除して布供給を行う間欠動作の場合は有利になる。
また洗浄布を連続的に供給する、つまりシリンダに押圧
した状態で布供給を行う連続動作の場合は布巻取トルク
を大きくすると、布切れを起こし易くなるが、圧着パッ
ド側の摩擦を低減することにより、布供給時に洗浄布に
かかる力を小さくすることができ、布切れ事故の発生を
防ぐことができる。また圧着パッドが金属板によって保
護されているため、洗浄のための溶剤などに侵されるこ
とがなく、耐久性が向上する。更に金属板に付く汚れは
簡単に除去できるため、圧着パッドに付着した汚れを除
去する場合に比べて圧着パッド部のメインテナンスが容
易である。

【００１１】次に金属板の取付の他の実施例を説明す
る。図３は金属板支持部の構造を示す。本実施例は金属
板を支持する布供給側と布巻取側を共にシリンダ方向に
可動自在に支持したものである。パッドホルダーの上面
と下面には金属板を可動自在に支持する金属板支持部が
設けられている。金属板の折曲片端部には係止部６ｃが
設けられており、この係止部６ｃがシリンダとは反対側
の金属板支持部の縁に係止され、金属板がシリンダ方向
に移動した際に、金属板支持部から脱落するのを防止し
ている。金属板の両端を自由状態に保持することによ
り、パッドとのなじみがさらに良くなり、洗浄布のシリ
ンダ表面への押圧が確実になされる。

【００１２】パッドとして、エアパッドを用いた場合
は、エア供給前のエアパッドは図４（１）に示すよう
に、エアパッド５が収縮しており、このエアパッドによ
る押圧力が解除された状態の金属板６は洗浄布４のテン
ションによる矢印ａ方向の力を受け、シリンダとは逆方
向に移動し、洗浄布４をシリンダから引き離す。一方エ
アパッドへのエアの供給によって膨張すると、図４
（２）に示すように、金属板６はエアパッドの膨張によ
る押圧力を受け、シリンダ側である矢印ｂ方向に押され
る。所定距離を押されると、金属板の係止部６ｃが金属
板支持部７の縁に係止され、それ以上シリンダ方向への
移動が止められる。更に、エアパッドが膨張すると金属
板６はエアパッドの形状に沿って変形しながら洗浄布４
をシリンダ表面に圧着させる。

【００１３】次に前面が湾曲状に形成された金属板を用
いた実施例を説明する。図５は湾曲した前面を有する金
属板の構造を示す。図５において、金属板６は、シリン
ダに対向する面６ｅが圧着パッドの形状に合わせて、予
め湾曲に作製されている。図６は湾曲した前面を有する
金属板とエアパッドとの組み合わせた構造を示す。本例
は金属板の折曲片をシリンダ方向に移動自在に支持した
ものである。この金属板の作用を説明すると、図６
（１）に示すエア供給前のエアパッドによる押圧力が解
除された状態では洗浄布４のテンションによってシリン
ダとは逆方向に移動し、洗浄布４をシリンダから引き離
す。一方図６（２）に示すエア供給時には金属板がエア
パッドの膨張による押圧力によってシリンダ側に押さ
れ、金属板を介して洗浄布をシリンダ表面に圧着させ
る。

【００１４】湾曲した前面を有する金属板を用いる場
合、図６に示すように折曲片を自由に移動できる支持構
造としたが、一方の折曲片を固定した片持ち構造にして
も構わない。また図３と図６の構造の組み合わせ構造、
つまり湾曲の曲率半径を大きくして、折曲片の端部に係
止部を設け、圧着パッドのシリンダ方向への移動によ
り、湾曲した金属板をさらに圧着パッドの形状に沿って
変形させるような構造にすることもできる。

【００１５】上記実施例のエアパッド以外の圧着パッド
の場合は、圧着パッド自体をシリンダ方向に移動自在に
設け、この圧着パッドの移動によって金属板を介して洗
浄布をシリンダ表面に押圧するように構成しても良い。
この場合、図３および図６のいずれの金属板で適用が可
能である。また金属板自体に圧着パッドによる変形許容
量を大きく取れる場合は、布供給側と布巻取側の折曲片
を共に固定した両持ち構造とすることもできる。 更に
金属板の折曲片は金属板を支持するためのものであっ
て、金属板の機能に必須のものではない。例えば図７に
示すように折曲片のない構造を取ることもできる。

【００１６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
圧着パッドと洗浄布との間に、金属板を配置することに
より、金属板と洗浄布との間の摩擦が、圧着パッドと洗
浄布との間の摩擦に比べて極めて小さくなり、洗浄布供
給時の布巻取トルクが小さくなると共に、布切れ事故の
発生を防ぐことができる。また圧着パッドが金属板によ
って保護されているため、洗浄のための溶剤などに侵さ
れることがなく、耐久性が向上する。更に金属板に付く
汚れは簡単に除去でき、また独立した部材であるので、
清掃や交換など圧着パッド部のメインテナンスが容易で
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明のシリンダ洗浄装置の一実施例の構成
を示す平面図である。

【図２】 図１のＡ−Ａ矢視図である。

【図３】 金属板の第２の実施例を示す斜視図である。

【図４】 第２の実施例の金属板の作用を説明する図で
ある。

【図５】 金属板の第３の実施例を示す斜視図である。

【図６】 第３の実施例の金属板の作用を説明する図で
ある。

【図７】 金属板の支持構造の変形例を示す構成図であ
る。

【符号の説明】

１…シリンダ洗浄装置、２…布供給ロール、３…布巻取
ロール、４…洗浄布、５…圧着パッド、６…金属板、７
…金属板支持部、８…圧着パッドのサポート部材、１０
…被洗浄シリンダ

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シリンダの外周面に対して相対的に移動
   する洗浄布を、弾性体の圧着パッドにより前記シリンダ
   の外周面に押圧して、当該外周面を洗浄するシリンダ洗
   浄装置において、 前記圧着パッドと洗浄布との間に金属板を配置したこと
   を特徴とするシリンダ洗浄装置。
2. 【請求項２】 金属板は圧着パッドの押圧によって該圧
   着パッドの形状に沿って変形することを特徴とする請求
   項１記載のシリンダ洗浄装置。
3. 【請求項３】 金属板は予め圧着パッドの形状に合わせ
   て湾曲した形状に作製されていることを特徴とする請求
   項１記載のシリンダ洗浄装置。
4. 【請求項４】 金属板は少なくとも布供給側または布巻
   取側が固定されていることを特徴とする請求項１記載の
   シリンダ洗浄装置。
5. 【請求項５】 金属板の布供給側と布巻取側の端部を可
   動自在に支持し、圧着パッドの押圧動作により金属板を
   変形または移動させることを特徴とする請求項１記載の
   シリンダ洗浄装置。